JP2574900Y2 - 編地引張り装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、例えば、靴下やパンス
ト等の編地を編成するダブルシリンダーの丸編機におけ
る編地引張り装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種のダブルシリンダーの丸編
機における編地引張り装置は、図２に示されるように構
成されている（実開昭６１−１６３８９号）。

【０００３】即ち、図２において、ダブルシリンダーの
丸編機における機枠ａには、下シリンダーｂが回転自在
に設けられてやり、この下シリンダーｂの直上の上記機
枠ａには、上シリンダーｃが間隙ｄを存して下シリンダ
ーｂと同期して回転しながら図示されない編針の編成作
用で編地を編成するように設けられている。又、上記下
シリンダーｂの下部には、吸込み管ｅが略Ｌ字状に形成
して連結されており、この吸込み管ｅ内には、切換弁ｆ
が開閉自在に付設されている。さらに、上記上シリンダ
ーｃの上部には、編地ガイドパイプｇが接続されてお
り、この編地ガイドパイプｇの上部には、逆Ｕ字状のＵ
字案内管ｈが編成された編地を案内するように接手ｉを
介して連結されている。さらに又、上記Ｕ字案内管ｈの
下部には、編地溜り部ｊが形成されており、この編地溜
り部ｊの一部には、吹出し口ｋを有するファン装置ｍが
連管ｎを通して連結されている。

【０００４】従って、上述したダブルシリンダーの丸編
機における編地引張り装置は、予め、上記ファン装置ｍ
を駆動しておき、編地の編成時、上記切換弁ｆを閉じる
ことにより、上記ファン装置ｍへの空気は上記間隙ｄか
ら吸込まれることにより、上記下シリンダーｂと上記上
シリンダーｃと同期して回転しながら図示されない編針
の編成作用で編成された編地を反転状態（裏返し状態）
にして上記編地ガイドパイプｇ内へ吸上げて、編成終了
後、給糸（ヤーン）が自動的に切断されると、編成プロ
グラムからの信号に基づき上記切換弁ｆを開き、上記吸
込み管ｅから大量の空気を吸込むことにより、編成終了
後の編地を上記Ｕ字案内管ｈを通して編地溜り部ｊへ高
速度で回収して収容している。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たダブルシリンダーの丸編機における編地引張り装置
は、上記下シリンダーｂの下部に吸込み管ｅを略Ｌ字状
に形成して連結し、この吸込み管ｅ内に切換弁ｆを開閉
自在に付設している関係上、ダブルシリンダーの丸編機
自体の座高が高くなり、運転操作がやりにくくなるばか
りでなく、上記吸込み管ｅ内に切換弁ｆを開き、上記吸
込み管ｅから大量の空気を吸込むことにより、編成終了
後の編地を上記Ｕ字案内管ｈを通して編地溜り部ｊへ回
収して収容しているために、上記編地を高速度で上記Ｕ
字案内管ｈを通して編地溜り部ｊへ回収して収容する結
果になるから、何等かの原因により、上記Ｕ字案内管ｈ
内に静電気的に塵埃が付着したとき、この塵埃に編地が
引っ掛かり、折角、編成された編地の品質を損うことも
予測される等の問題がある。

【０００６】又一方、特公昭５４−４４１５号（円型メ
リヤス機）のようなメリヤス生地引き離し機構が既に提
案されているけれども、これは構造複雑にして、しか
も、組立て調整や保守点検が面倒であるばかりでなく、
折角、編成された編地が移送途中の穴開き障壁で引っ掛
かる等の問題がある。

【０００７】本考案は、上述した問題を解消するため
に、ダブルシリンダーの丸編機において、下シリンダー
の上部を遮蔽体で密閉して空気の流通を遮断する共にダ
ブルシリンダーの丸編機自体の座高を低く構成し、さら
に、編成終了後に切換弁を切換えて編地をＵ字案内管を
通して編地溜り部へ回収して後、シャッターを開いて機
外へ取出し、収容する際の編地を円滑に収容して編成さ
れた編地の品質の向上を図るようにしたダブルシリンダ
ーの丸編機における編地引張り装置を提供することを目
的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本考案は、機枠に下シリ
ンダーを回転自在に設け、この下シリンダーの直上に上
シリンダーを下シリンダーと同期して回転しながら編針
の編成作用で編地を編成するダブルシリンダーの丸編機
において、上記下シリンダーの上部開口部に遮蔽体を密
閉して嵌装し、上記上シリンダーに編地ガイドパイプを
嵌装し、この編地ガイドパイプにＵ字案内管を連結し、
このＵ字案内管の下部にシャッターを備えた編地溜り部
を形成し、この編地溜り部の一部に枝管を付設し、この
枝管の一部に分岐管を連結し、この分岐管に送風機を設
け、上記枝管及び分岐管の分岐部に切換弁を付設したも
のである。

【０００９】

【作用】本考案は、予め、送風機を駆動しておき、編地
の編成時、切換弁を開くことにより、上記シヤッターを
空気の吸引力で閉じて送風機への空気を上記間隙から吸
込むようにして、上記下シリンダーと上記上シリンダー
と同期して回転しながら編針の編成作用で編成されたで
編地を反転状態（裏返し状態）にして上記編地ガイドパ
イプ内へ吸上げ、編成終了後、糸（ヤーン）をカッター
で自動的に切断すると、編成プログラムからの信号に基
づき上記切換弁を閉じることにより、空気の残存吸引力
を利用して、編成終了後の編地を上記Ｕ字案内管を通し
て編地溜り部へ回収すると共に吸引力の低減に伴いシヤ
ッターを自動的に自重で開いて編地を機外へ取出すもの
である。

【００１０】

【実施例】以下、本考案を図示のー実施例について説明
する。

【００１１】図１おいて、符号１は、ダブルシリンダー
の丸編機における機枠と一体のテーブルであって、この
テーブル１には、下シリンダー２が回転自在に設けられ
ている。即ち、上記テーブル１には、下カム筒体３が保
持枠４を介して一体に取付られており、この下カム筒体
３内周には、下カム５ａと上カム５ｂが設けられてい
る。又、この下カム５ａと上カム５ｂの位置する上記カ
ム筒体３内には、上記下シリンダー２が同心的に回転自
在に嵌装されており、この下シリンダー２の内周には、
シリンダースリーブ６が嵌装されている。さらに、上記
下シリンダー２の外周の縦溝には、各スライダー７が摺
動自在に嵌装されており、この各スライダー７には、各
編針８が編成作用をしながら糸を編成して編地を生成す
るように装着されている。さらに又、上記シリンダース
リーブ６の上部には、カムリング（カム円筒体）９が嵌
装されており、このカムリング９と上記下シリンダー２
の上部との間には、各シンカーカム１０ａ、１０ｂ及び
シンカーリング１１がシンカー１２を挟むように設けら
れている。又、上記下シリンダー２の位置する上記カム
リング９の上部開口部には、断面が山型をなす遮蔽体１
３が密閉して嵌装されており、この遮蔽体１３は下方か
らの空気の流入を遮断すると共に編地Ｗの引張り案内と
編地Ｗの落下を防止している。

【００１２】一方、上記下シリンダー２の直上に位置す
る機枠と一体のギャボックス１４には、スラスト軸受１
５が設けられており、このスラスト軸受１５には、伝動
歯車１６が押え板１７によって抜け出ないように回転自
在に嵌装されている。又、この伝動歯車１６には、上シ
リンダー１８が上記下シリンダー２と同期して回転する
ように垂設されており、この上シリンダー１８には、上
部円筒体１９が滑りキー２０ａ及びバージングリング２
０ｂを介して嵌装されている。さらに、上記上シリンダ
ー１８の外周の縦溝には、各上スライダー２１が摺動自
在に嵌装されており、この各上スライダー２１には、上
記各編針８が編成作用しながら糸を編成するように装着
されている。さらに又、上記ギャボックス１４の下部に
は、上カム筒体２２が保持枠２２ａを介して一体に取付
られており、この上カム筒体２２の内周には、下カム２
３ａと上カム２３ｂが設けられている。又、この下カム
２３ａと上カム２３ｂは上記各上スライダー２１を各編
針８と編成作用しながら糸を編成して編地を生成してお
り、上記上カム筒体２２の下部と上記下シリンダー２の
上部との間には、間隙２４が空気を吸込むように形成さ
れている。

【００１３】他方、上記ギャボックス１４には、保持枠
２５が各支杆２６によって水平に設けられており、この
保持枠２５の中程には、編地ガイドパイプ２７が上記上
部円筒体１９内を垂下して嵌装されている。又、この編
地ガイドパイプ２７には、逆Ｕ字状をなすＵ字案内管２
８が接手２９を介して連結されており、このＵ字案内管
２８の下部開口部２８ａには、編地溜り部３０が編地Ｗ
を貯溜するように形成されている。さらに、上記下部開
口部２８ａには、シャッター３１が支軸３２で開閉自在
に枢着されており、このシャッター３１は、編地編成
時、空気の吸引力で閉じられているけれども、吸引力が
解消されるとシャッター３１は自動的に自重で開く。さ
らに又、上記編地溜り部３０の一部には、枝管３３が付
設されており、この枝管３３の一部には、分岐管３４が
連結されている。又、この分岐管３４には、例えば、リ
ニアブロアのような送風機３５が設けられており、上記
枝管３３及び分岐管３４の分岐部３４ａには、切換弁３
６が付設されており、この切換弁（切換電磁弁）３６は
図示されない編成制御回路の編成プログラムからの信号
に基づき開閉するように接続されている。

【００１４】以下、本考案の作用について説明する。

【００１５】従って、予め、編地の編成時、送風機３５
を駆動しておき、切換弁３６は実線で示すように開いて
置くことにより、上記シヤッター３１は空気の吸引力で
閉じられ、送風機３５への空気が上記間隙２４から吸込
むようになり、上記下シリンダー２と上記上シリンダー
１８と同期して回転しながら編針の編成作用で編成され
た編地Ｗは反転状態（裏返し状態）にして上記編地ガイ
ドパイプ２７内へ吸上げられる。

【００１６】次に、一編地の編成終了後、糸（ヤーン）
がカッターで自動的に切断されると、編成制御回路の編
成プログラムからの信号に基づき上記切換弁３６を閉じ
ると、空気の残存吸引力を利用して、編成終了後の編地
Ｗを上記Ｕ字案内管２８を通して編地溜り部３０へ回収
すると共に空気の吸引力の低減に伴い上記シヤッター３
１が支軸３２の周りに回動して自重で開いて編地Ｗが機
外へ取出される。

【００１７】このようにして本考案は、丸編機自体の座
高を低く構成できると共に、編成終了後の編地を空気の
残存吸引力によりＵ字案内管２８を通して編地溜り部３
０へ回収して収容する際の編地の引っ掛かりを解消して
編成された編地の品質の向上を図っている。

【００１８】

【考案の効果】以上述べたように本考案によれば、機枠
に下シリンダーを回転自在に設け、この下シリンダーの
直上に上シリンダーを下シリンダーと同期して回転しな
がら編地を編成するダブルシリンダーの丸編機におい
て、上記下シリンダーの上部開口部に遮蔽体を密閉して
嵌装し、上記上シリンダーに編地ガイドパイプを嵌装
し、この編地ガイドパイプにＵ字案内管を連結し、この
Ｕ字案内管の下部にシャッターを備えた編地溜り部を形
成し、この編地溜り部の一部に枝管を付設し、この枝管
の一部に分岐管を連結し、この分岐管に送風機を設け、
上記枝管及び分岐管の分岐部に切換弁を付設してあるの
で、丸編機自体の座高を低く構成して操作性の向上を図
ることができるばかりでなく、編成終了後の編地を空気
の残存吸引力によりＵ字案内管を通して編地溜り部へ回
収して収容するから、編地の引っ掛かりを解消して編成
された編地を損なうことのないようにして品質の向上を
図ることができる等の優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のダブルシリンダーの丸編機における編
地引張り装置の断面図。

【図２】従来のダブルシリンダーの丸編機における編地
引張り装置の線図。

【符号の説明】

１ テーブル ２ 下シリンダー １３ 遮蔽体 １８ 上シリンダー ２７ 編地ガイドパイプ ２８ Ｕ字案内管 ３０ 編地溜り部 ３１ シャッター ３３ 枝管 ３４ 分岐管 ３５ 送風機 ３６ 切換弁

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】機枠に下シリンダーを回転自在に設け、こ
   の下シリンダーの直上に上シリンダーを下シリンダーと
   同期して回転しながら編針の編成作用で編地を編成する
   ダブルシリンダーの丸編機において、上記下シリンダー
   の上部開口部に密閉して嵌装された遮蔽体と、上記上シ
   リンダーに嵌装された編地ガイドパイプと、この編地ガ
   イドパイプに連結されたＵ字案内管と、このＵ字案内管
   の下部に形成されたシャッターを備えた編地溜り部と、
   この編地溜り部の一部に付設された枝管と、この枝管の
   一部に連結された分岐管と、この分岐管に設けられた送
   風機と、上記枝管及び分岐管の分岐部に付設された切換
   弁とを具備したことを特徴とする編地引張り装置。