JP2573547Y2 - 車輌のホイール盗難防止用文字合せ錠 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は文字合せ錠に関し、特に車輌のホイール盗難
防止用文字合せ錠に関する。 「従来の技術」 最近、自動車のアルミホイールはスチールホイールに
比べて軽く、デザイン等も流行にマッチしているので、
多少高価であっても人気があり、一般の乗用車では次第
に利用されつつあり、またこれに伴って該アルミホイー
ルに取付けられる意匠的なホイールキャップも色々と普
及しつつある。 しかるに、日常生活において駐車場に駐車中の自動車
の車輪あるいはアルミホイールが、前述したように高価
であるが故に知らない間に盗まれる事がある。 そこで、従来このような盗難防止のためにハブボルト
に螺着されたクリップナットをロックする考え方が提案
されている。その一実施例としてはクリップナットに回
動自在な施錠キャップをかぶせ、ハブナットレンチの嵌
合ボックス部を該施錠キャップに嵌合してもカラ回り
し、ハブナットレンチの使用を不可能にするものが実施
化されている。また実公昭58-139301号公報に、ナット
本体の垂直外壁面にマグネットキーの突起部が嵌合する
凹所を形成し、このナット本体に筒状のロックカバーを
スライド嵌合させ、このロックカバーにマグネットキー
機構を設けた盗難防止用ホイールが提案されている。 しかし、施錠キャップでクリップナットをロックする
前者の実施例も、またナット本体に筒状のロックカバー
を嵌合する後者の実施例も、施錠キャップの頭部又はロ
ックカバーがクリップナットから外側に突出するので好
ましいものとは言えず、前述したホイールキャップを取
付けようとする場合は、ホイールキャップ自体が外側に
突出するような特殊な形態のものを除き、一般的には外
表面偏平状の最近流行的なホールキャップを取付けるこ
とができないなどの欠点があった。 「考案の目的」 本考案は以上のような従来の欠点に鑑み、最近流行的
な各種形態のホイールキャップをアルミホイール等に取
付けることができ、またホイールキャップがあると否と
にかかわらずハブナットレンチでクリップナットを容易
に弛めることができず、したがって、アルミホイールを
簡単に盗まれず、またダイヤル部材を一体的に有するス
リーブをクリップナットに簡単に装着することがてき、
さらに、ハブナットレンチ以外の工具（例えばドライバ
ー）でクリップナットを取り外そうとしても、非常に困
難である文字合せ錠を得ることである。 「考案の目的を達成するための手段」 本考案の車輌のホイール盗難防止用文字合せ錠は、ハ
ブボルト２に螺着し外周部に係合溝７が周設されたクリ
ップナット６と、このクリップナットの外周部とホイー
ル５のナット取付け用凹所４との間にできる間隙部に該
クリップナットから略突出しないように差し込まれ、か
つ、外端部の外周壁に鍔部９が周設されていると共に内
周壁にクリップナットの頭部の周縁部に当接する係止部
10を有するスリーブ８と、このスリーブに前記鍔部９と
対向するように固定的に設けられたスナップリング15
と、このスナップリング15と鍔部９との間に位置するよ
うにスリーブ８に環装され、文字合せ錠に必要な係合部
18、この係合部と当接係合するツク20、第１切欠部17、
この第１切欠部と並列的に一致可能な第２切欠部19aを
それぞれ有する内側及び外側リング14、19と、これら内
側及び外側リングの内周壁面と摺接する板状受体部12b
並びにこの受体部と直角方向に連設し前記スリーブに形
成された貫通孔11を介してクリップナット６の係合溝７
と係合する係合部12aを有するロック片12と、このロッ
ク片を常時係合解除の方向に付勢するように前記貫通孔
と連通する収納部11aに収納されたバネ部材13とを備
え、二以上の暗証番号に基く外側リング19の回動操作に
より解錠することを特徴とする。 「実施例」 以下、図面に示す実施例により本考案を詳細に説明す
る。 第１図ないし第７図の一実施例におて、Ｘは自動車Ｖ
の車輪Ｗに設けられるホイール、特にアルミホイール盗
難防止用の文字合せ錠である。 すなわち、１は４個のハブボルト２を所定間隔で周方
向に有するホイール取付板で、このホイール取付板１に
は前記ハブボルト２が貫通する複数の貫通孔３と、これ
らの貫通孔３と連通するナット取付用凹所４とがそれぞ
れ形成されたアルミホイール５が取付けられている。 ６は前記ハブボルト２に螺着し、アルミホイール５を
ホイール取付板１に固設するクリップナットで、このク
リップナット６の頭部寄りの部位に周方向に係合溝７が
形成されている。 ８は第２図および第３図で示すようにハブボルト２に
クリップナット６を嵌着した際、該クリップナット６の
外周部とアルミホイール５のナット取付け用凹所４との
間にできる間隙部に略差し込まれ、該クリップナット６
に嵌着するスリーブで、このスリーブ８の外端部の外周
壁に鍔部９が周設されていると共に、その内周壁にクリ
ップナットの頭部の周縁部に当接する係止部10がそれぞ
れ周設されている。この鍔部９は後述する外側リング19
をストッパーする。 そして、スリーブ８の前記鍔部９の外周面には第１図
で示すように０ないし９のダイヤル文字が施されてい
る。11は第６図で示すようにスリーブ８の外端部寄りの
部位にクリップナット６の前記係合溝７に対向するよう
に形成されたロック片12用の貫通孔（ガイド孔）で、こ
の貫通孔11と前記鍔部９との間のスリーブ８にはロック
片12を係合解除の方向に常時付勢するコイルスプリング
などのバネ部材13を収納する収納部11aが形成されてい
る。 前記ロック片12は特に形態は問わないが、本実施例で
は断面Ｔ字型状で、第６図および第７図で示すようにス
リーブ８の貫通孔11を貫通してクリップナット６の係合
溝７と係脱する係合部12aと、この係合部12aとは直交方
向に設けられバネ部材13の外端部を受ける受体部12bと
を有する。 しかして、前記板状の受体部12bは、内側リング14及
び外側リング19の内周壁面と摺接し、一方、この受体部
12bと直角方向に連設する係合部12aは、前記スリーブ８
に形成された貫通孔11を介してクリップナット６の係合
溝７と係合している。 14はスリーブ８に遊嵌的に嵌合する内側リングで、こ
の内側リング14はスリーブ８の鍔部９と該内側リング14
の横移動を防止するためにスリーブ８に固定的に環装さ
れたスナップリング15との間に回動自在に設けられ、そ
の内周壁には第４図で示すように前記ロック片12の受体
部12bと摺接してクリック感を彷彿するためのラチェッ
ト16が形成されている。そして、ラチェット16の１つは
第４図で示すようにロック片12をクリップナット６の係
合溝７から係合解除するための第１切欠部17と成ってい
る。また内側リング14の外周面には文字合わせ錠に必要
な係合部18が突設されている。 19は内周面の適宜箇所に前記係合部18と係合する突起
状のツク20および内側リング14の第１切欠部17と同様
（第１切欠部と並列的に一致可能）な第２切欠部19aと
を有する外側リングである。この外側リング19は、本実
施例では第３図で示すように内側リング14に外嵌合する
ようにスリーブ８に回動自在に環装されている。そし
て、外側リング19は単独ではスリーブ８から取り外すこ
とができないように鍔部９でストッパーされていると共
に、表面の適宜箇所には第１図で示すようにダイヤル文
字と合せるための指標21が設けられている。 上記構成にあっては、第２図および第３図で示すよう
にホイール取付板１に取付けられたアルミホイール５を
固定するクリップナット６の少なくとも１つに文字合せ
錠Ｘが装着される。 すなわち、ハブボルト２にクリップナット６を螺着し
た際、第２図で示すように内外のリング14、19を環装し
たスリーブ８を該クリップナット６の外周部とホイール
のナットのナット取付け用凹所４との間にできた間隙部
に略差し込む。この場合クリップナット６に外嵌合した
スリーブ８は、第２図及び第３図で示すようにクリップ
ナット６或いは凹所４から略突出しないように差し込ま
れる。 そこで、外側リング19を適当に左右に回すと、第６図
で示すように解錠状態からロック片12の係合部12aがバ
ネ部材13のバネ力に抗してクリップナット６の係合溝７
と係合する施錠状態となる。 したがって、このような文字合せ錠Ｘがクリップナッ
ト６に装着されている限り、図示しないハブナットレン
チの嵌合ボックス部をナット取付け用凹所４に嵌め込
み、クリップナット６を容易に弛めることはできないだ
けでなく、スリーブ８の外端部の内周壁にクリップナッ
トの頭部の周縁部に当接する係止部10が設けられている
ので、今仮に盗人がハブナットレンチ以外の工具、例え
ばドライバーで、クリップナット６とスリーブ８との間
にドライバーを差し込み、まず該スリーブ８をクリップ
ナット６から外し、次にクリップナットを取り外そうと
しても、非常に困難である。 ところで、文字合せ錠Ｘをクリップナット６から外す
時は、外側リング19の指標21を、たとえばダイヤル文字
「０」に合せた後、外側リング19を最初の暗証番号に基
いて第４図で示す矢印Ａ方向に回す。そうすると、外側
リング19のツク20が内側リング14の係合部18と当接係合
し、内側リング14はその第１切欠部17がロック片12の受
体部12bと対向する位置へと回転する。第７図は外側リ
ング19を最初の暗証番号に基づき、時計方向（第４図の
矢印Ａ方向）へ回し、内側リング14の第１切欠部17がロ
ック片12の受体部12bと丁度対向した状態を示してい
る。この時未だ外側リング19の第２切欠部19aは内側リ
ング14の第１切欠部17と並列的に一致していない。 そこで、次の暗証番号に基いて外側リング19を第５図
で示すように反時計方向（矢印Ｂ方向）に回すと、外側
リング19の第２切欠部19aもロック片12の受体部12bと対
向する位置まで移行し、その結果、外側リング19の第２
切欠部19aと内側リング14の第１切欠部17と並列的に一
致し、文字合せ錠Ｘは解錠状態と成る。 その結果、ロック片12は第７図で示すようにバネ部材
13のバネ力により矢印方向に押し上げられ、ロック片12
の係合部12aがクリップナットの係合溝７から離れ、ス
リーブ８がクリップナット６から解放される。つまり、
一般の文字合せ錠と同様に、二以上の暗証番号に基く外
側リング19の回動操作により、スリーブ８は解錠状態と
なる。 しかして、外側リング19をそのまま外方向へ引っ張る
と文字合せ錠Ｘ全体がクリップナット６から「すぽっ
と」離れ、ハブナットレンチの嵌合ボックス部をクリッ
プナット６に嵌め込むことができる状態となる。 「考案の効果」 以上の説明から明らかなように本考案にあっては次に
列挙するような効果がある。 （１） ダイヤル部材（内外のリング14、19）を一体的
に有するスリーブ８をクリップナット６に装着しても、
他のクリップナットあるいはホイールの外表面から著し
くスリーブが突出せず、したがって、一般の乗用車で多
く使用されているナット取付け用凹所を有するアルミホ
イールの場合であっても、流行的なホイールキャップを
取付けることができる。 （２） ナット取付け用凹所を有するアルミホイールの
場合、該凹所内に文字合せ錠Ｘが装着されるので、ハブ
ナットレンチの嵌合ボックス部をクリップナットに全く
嵌め込むことができない。 （３） 特にスリーブの外端部の内周壁にクリップナッ
トの頭部の周縁部に当接する係止部が設けられているの
で、盗人がハブナットレンチ以外の工具、例えばドライ
バーで、クリップナットとスリーブとの間にドライバー
を差し込み、まず該スリーブをクリップナットから外
し、次にクリップナットを取り外そうとしても、非常に
困難である。 （４） スリーブに鍔部９並びに鍔部９と対向するよう
に固定的に設けられたクリップナット６とが設けられ、
これらクリップナットと鍔部との間に位置するように内
外のリングがスリーブに環装されているので、解錠時、
クリップナットから内外のリング等が装着されたスリー
ブを簡単に「すぽっと」取り外すことができる。一方、
施錠する時もスリーブをクリップナットに嵌め込み、外
リングを適当に回転するだけで良い。 （５） 従来の一例である実公昭58-139301号公報の考
案のように、マグネットキーを常に持つ歩く必要がな
い。 （６） 短時間でアルミホイールを盗もうとする泥棒に
対し、暗証番号が一致しない限り、スリーブ８をクリッ
プナット６から外すことは極めて困難なので、泥棒の心
理に対する効果は絶大である。

【図面の簡単な説明】 第１図は本考案の一実施例を示す使用箇所の概略説明
図、第２図および第３図は本考案の使用態様を示す各説
明図、第４図は第３図のIV-IV線断面方向から見た概略
説明図（施錠状態）、第５図は解錠操作の概略説明図、
第６図及び第７図は本考案の要部を拡大したダイヤル部
材の施錠乃至解錠に関する各説明図。 Ｘ……文字合せ錠、２……ハブボルト、４……ナット取
付け用凹所、５……アルミホイール、６……クリップナ
ット、７……係合溝、８……スリーブ、９……鍔部、10
……係止部、12……ロック片、13……バネ部材、14……
内側リング、18……係合部、15……スナップリング、19
……外側リング、20……ツク。

Claims (1)

1. (57)【実用新案登録請求の範囲】 １．ハブボルト２に螺着し外周部に係合溝７が周設され
   たクリップナット６と、このクリップナットの外周部と
   ホイール５のナット取付け用凹所４との間にできる間隙
   部に該クリップナットから略突出しないように差し込ま
   れ、かつ、外端部の外周壁に鍔部９が周設されていると
   共に内周壁にクリップナットの頭部の周縁部に当接する
   係止部10を有するスリーブ８と、このスリーブに前記鍔
   部９と対向するように固定的に設けられたスナップリン
   グ15と、このスナップリング15と鍔部９との間に位置す
   るようにスリーブ８に環装され、文字合せ錠に必要な係
   合部18、この係合部と当接係合するツク20、第１切欠部
   17、この第１切欠部と並列的に一致可能な第２切欠部19
   aをそれぞれ有する内側及び外側リング14、19と、これ
   ら内側及び外側リングの内周壁面と摺接する板状受体部
   12b並びにこの受体部と直角方向に連設し前記スリーブ
   に形成された貫通孔11を介してクリップナット６の係合
   溝７と係合する係合部12aを有するロック片12と、この
   ロック片を常時係合解除の方向に付勢するように前記貫
   通孔と連通する収納部11aに収納されたバネ部材13とを
   備え、二以上の暗証番号に基く外側リング19の回動操作
   により解錠する車輌のホイール盗難防止用文字合せ錠。