JP2572403B2 - ボイラ装置 - Google Patents

ボイラ装置

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JP2572403B2 JP31407487A JP31407487A JP2572403B2 JP 2572403 B2 JP2572403 B2 JP 2572403B2 JP 31407487 A JP31407487 A JP 31407487A JP 31407487 A JP31407487 A JP 31407487A JP 2572403 B2 JP2572403 B2 JP 2572403B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、例えば発電所用ボイラなどのボイラ装置に
係り、特にボイラ本体を鉄骨構造体で吊り下げて支持
し、そのボイラ本体と鉄骨構造体との間に掛け渡される
振れ止め構造体に関するものである。
〔従来の技術〕
第10図並びに第11図は、発電所用ボイラの支持構造を
説明するための概略構成図である。
同図に示すように、節炭器,蒸発器ならびに過熱器な
ど所定の熱交換器(いずれも図示せず)を内部に設置し
たボイラ本体8は、支持鉄骨6の頂部より多数の吊りボ
イラ9で吊り下げられている。
このような吊り下げ構造において、地震や強風などの
水平方向の外力がボイラ本体8や支持鉄骨6に作用する
と、支持鉄骨6は地中へ埋設された部ぶを基点として水
平方向に撓もうとし、その支持鉄骨6の頂部の撓み量に
応じてボイラ本体8が水平方向に平行移動しようとす
る。このような支持鉄骨6とボイラ本体8との間の相対
的な変位を防止するため、支持鉄骨6とボイラ本体8と
の間に振れ止め構造体10が設けられている。
この振れ止め構造体10は第10図に示すように垂直方向
に多数段に設けられているとともに、第11図に示すよう
に水平方向においても複数個設置されている。すなわち
第11図は第10図のF−F線上の断面概略構成図で、前記
振れ止め構造体10は同図に示すように前後,左右の2方
向の水平力が吸収できるように取付けられている。なお
この図において11は、ボイラ本体8に取付けられたバツ
クステーである。
第12図は、例えば第11図G部分における従来の振れ止
め構造体の側面図である。同図に示すように、支持鉄骨
6からバツクステー11側に向けてブラケツト15が突設さ
れている。バツクステー11にはピン12aが、またブラケ
ツト15にはピン12bがそれぞれ貫通しており、このピン1
2a,12bの上部どうし並びに下部どうしは、連結ピン13を
介して2本のリンク14,14によつてそれぞれを連結され
ている。
従つてボイラ本体8の水平力はバツクステー11,ピン1
2,連結ピン13,リンク14,連結ピン13,ピン12b,並びにブ
ラケツト15を経て支持鉄骨6に伝達されるようになつて
いる。
前記リンク14,14がボイラ本体8の熱膨張による伸び
を拘束しないように振れ止め構造10は、2本のリンク14
と2本のピン12a,12bとによつてリンク機構を構成して
いる。
次にこのことについて第13図ならびに第14図を用いて
説明する。第13図はボイラ冷缶時の状態を説明するため
の図、第14図はボイラ運転時の状態を説明するための図
である。第13図に示すように冷缶時は、リンク14,14は
若干傾斜した状態にある。そしてボイラの運転を開始し
てボイラ本体8が熱膨張することにより、支持鉄骨6に
対してボイラ本体8が相対的に移動し、それによつて第
14図に示すようにリンク1がほぼ水平になるように設置
されている。
ところで近年、構造物の地震に対する安全性の要求
と、電子計算機の急速な発達に伴ない、構造物の耐震設
計は従来実施してきた静的耐震設計法に加えて、構造物
の振動特性を考慮した動的耐震設計法が実施されてい
る。なお、静的耐震設計法とは、構造物の振動特性に無
関係に加速度を設定し、その加速度に構造物の質量を乗
じて設計地震力を求め、構造物の各部材を設計する方法
である。従つて発電所用ボイラにおいても、第15図に示
すように支持鉄骨6,振れ止め構造体10並びにボイラ本体
8を連設した計算モデルで、水平方向の外力による動的
解析を行い、その解析結果を用いて支持鉄骨6のサイズ
などを決める設計法が実施されている。
振れ止め構造体は、例えば中小地震に対しては塑性変
形しないように弾性設計する一方、極めてまれにしか発
生しない大地震などでは塑性変形を許容できるよう設計
されている。
ボイラ本体8は例えば幅が30m、奥行が35mの長さを有
し、内部に前述したような種々の熱交換器が設けられて
いることから、剛性が非常に大きく、一つの剛体として
とらえることができる。従つて水平方向の外力による動
的解析を行い、第16図に示す如くボイラ本体8と支持鉄
骨6との間に相対変位Δを生じると、振れ止め構造体10
のバネ剛性をKとすると、振れ止め構造体10にはフツク
の法則に従い、(1)式に示す作用力Fが生じる。
F=K・Δ ……(1) この式から明らかなように、作用力Fは振れ止め構造
体10のバネ剛性Kに比例して大きくなる。振れ止め構造
体10に発生した作用力Fは反力として支持鉄骨6に伝
達,吸収される。
従来の振れ止め構造体10では、リンク14のバネ剛性KL
はピン12のバネ剛性KPの約1/3〜1/5であるから、振れ止
め構造体10のバネ剛性はこのリンク14のバネ剛性に大き
く左右される。
第17図ないし第19図はリンクを示す図、第17図はリン
ク14の側面図、第18図は第17図のH−H線上から視た一
部平面図、第19図は第17図のI−I線上の拡大断面図で
ある。これらの図に示すようにリンク14は2枚のU型鋼
17を合せ(第19図参照)、途中の隙間の所々に挟み板16
を配置してリンク14の強度を高めている。このリンク14
のバネ剛性K1、次の(2)式で表わすことができる。
K1=A・E/LL ……(2) ここでLL:リンク14の長さ A:リンク14の断面積 E:リンク14の縦弾性係数 例えばリンク14の長さLLを4000mm、リンク14の断面積
Aを5000mm2、リンク14の縦弾性係数Eを21000kg/mm2
し、支持鉄骨6とボイラ本体8との間で相対変位Δが10
0mm生じた場合、リンク14に2525tonが作用することにな
り、この作用力Fを支持鉄骨6で吸収しなければならな
い。
このようにリンク14のバネ剛性が大きいと、そのバネ
剛性に比例した相対変位Δによる荷重が支持鉄骨6に伝
達される。従つて支持鉄骨6は、振れ止め構造体10より
伝達される荷重に対して十分に耐え得る強度を有する必
要がある。つまり振れ止め構造体10のバネ剛性が大であ
れば、それに応じて支持鉄骨6も大きくしなければなら
ない。
地震時に支持鉄骨6を負担するせん断力は、ボイラ本
体・支持鉄骨の連成系の動特性及び作用する地震波の特
性に依存する。しかし、概略的には、以上述べたように
振れ止め装置の剛性が大である程、支持鉄骨の負担する
せん断力は増加する傾向となる。
次に耐震性能上大きな意味を持つ変形性能について述
べる。第22図は第17図ないし第19図に示すリンクに、そ
の弾性限界を超えるような地震力が繰り返して作用した
場合の、地震力と変形の関係を実験にて求めたものであ
り、復元力特性図と呼ばれるものである。同図に示すよ
うに、変形特性は という曲線を描く。
これで明らかなように圧縮荷重により座屈現象が生じ
た後は、顕著な耐力低下があり、変形性能は極めて乏し
い。一般的に、このような繰り返し荷重が交互に作用す
る場合、履歴曲線に囲まれた面積に相当するエネルギは
部材が塑性変形することにより消費される。つまり、降
伏後に耐力低下が生じないで、安定して変形が進んでゆ
く。変形性能の優れた振れ止め装置であれば、大地震
時、ボイラ本体・支持鉄骨連成系の応答せん断力を低減
させる履歴減衰と呼ばれる減衰効果を生じることとな
る。
更に、第22図に示した履歴線図より、引張,圧縮の包
絡線図として変形特性を表したものが第20図の曲線イで
ある。この特性曲線イからも明らかなように、座屈開始
点dを越えると、リンク14の耐力が極端に低下し、以降
の変形性能が極めて乏しくなつているのが分かる。
このように座屈後の耐力が著しく低下することは、振
れ止め構造体10としての機能が発揮できなくなるという
ことであり、そうなると他の振れ止め構造体10に荷重が
伝達してしまう。このような現象が生じないようにする
ためには、振れ止め構造体10を機械的強度の点で十分に
余裕を持つたサイズにしなければならない。しかし、振
れ止め構造体10の各部のサイズを大きくするとバネ剛性
が更に大となり、その結果支持鉄骨6のコストアツプを
招来する。
次に、従来のボイラ装置における水平方向の外力にお
ける動的解析について説明する。振れ止め構造体10の変
形特性は、リンク14の剛性KLとピン12の剛性KPとを合成
することによつて得られる。従来の振れ止め構造体10に
おける変形特性を第21図に模式的に示す。リンク14の剛
性KLがピン12の剛性KPに比べて小さいため、リンク14の
変形特性が振れ止め構造体10の変形特性を支配してい
る。第21図に示す特性を有する振れ止め構造体10に、圧
縮力(+P)と引張力(−P)が作用した場合では変形
特性が異なり非対称となる。
〔発明が解決しようとする問題点〕 以上述べたように従来のボイラ装置では、動解析に基
づくボイラ本体8と支持鉄骨6との間の相対変位Δにつ
いての配慮がされておらず、静的荷重のみを考慮した弾
性設計により各部材の設計が行われていた。そのため振
れ止め構造体10のバネ剛性が大きく、ボイラ本体8の支
持鉄骨6との間に相対変位Δが生じた場合、支持鉄骨6
に大きな反力が生じるから、支持鉄骨6のサイズが必然
的に大きくなるという欠点がある。
更に、従来の振れ止め構造体10の復元力特性は弾性限
以上の圧縮力が作用した場合、リンク14が座屈して履歴
曲線に囲まれる面積も小さい。つまり、履歴減衰と呼ば
れる減衰効果が乏しいという欠点がある。また、リンク
14が座屈すると、耐力が著しく低下し、そのため振れ止
め構造体10が支持力を失うことになり機能を果さなくな
るという問題がある。
更に、振れ止め構造体10に、圧縮力と引張力が作用し
た場合では、変形特性が異なるため、動解析における振
れ止め構造体10の計算モデル化が極めて困難である。従
つて動解析の計算モデル化作成においても、従来の振れ
止め構造体10は好ましくない。
一方、以上の問題点を解消するために、ピン12a,12b
の最大曲げ強度をリンク14の座屈強度よりも小さくし、
ピンが主として所定の相対変位を吸収し、ボイラ本体8
の水平力を緩和して支持鉄骨6に伝達し得るような振れ
止め構造体を、先に提案した。
この出願に示された構成は従前のものに比して種々の
優位性をもつが、ピン12a,12bが一様断面の円柱状であ
るため、次に述べる改善すべき点が指摘される。
即ち、ピン12a(12b)は第23図(e)に示すようにそ
の軸線に沿つてピン断面積が変化しない所謂一様モデル
の両端支持梁にモデル化できる。この場合、ピン12aの
中央部にPなる荷重が作用した時、第23図(b)に示す
如く、ピン12aの支持点間(リンク接合部間)の距離を2
Lとすると、ピン12aの中心部にP・L/2の最大曲げモー
メントMmaxが発生し、両端の支持点で曲げモーメントM
はゼロとなり、その間は曲げモーメントMは直線的に変
化する。
ピン径をd0とすると、ピン12aの断面係数Zは、Z=
πd0 3/32で表わされるから、ピン12aの最大曲げ応力δ
maxは次式の通りとなる。
そして、ピン12は一様断面であるから、Zは一定であ
り、Mはピン軸に沿つて直線的に変化するので、曲げ応
力分布は第23図(c)の如く、中央部で最大、両端部で
ゼロとなる。その時の中央部の変形量:δ′max及び剛
性:K′は次式で表わされる。
ここでE:縦弾性係数 I0:ビンの断面二次モーメント よつて、一様断面のピン12aにおいては、その中心部
のみが曲げ変形を担い、ピン12aの大部分が曲げ変形を
分散して担うものに比してピン剛性を小さく出来ないと
いう問題が指摘された。
〔発明の目的〕
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解消
し、ボイラ本体と支持鉄骨との間の大きな相対変位を生
じても、振れ止め構造体が所期の機能を損うことなく、
ボイラ本体の水平変位力を緩等して支持鉄骨に伝達可能
なボイラ装置の振れ止め構造体を提供するにある。ま
た、振れ止め構造体の変形特性を、圧縮側と引張側とに
おいて同一となるようにし、動解析における計算モデル
化を容易することにある。
本発明の他の目的とするところは、リンク構造の振れ
止め構造体におけるピンが、水平力吸収用の部材として
働く構成において、ピンの剛性を減じてピンの変形能力
を向上させることにある。
〔問題点を解決するための手段〕
上述の目的を達成するため、本発明は、吊り下げ支持
されたボイラ本体と支持鉄骨との間を、略水平方向に掛
け渡されたリンク構造の振れ止め構造体で連結し、該振
れ止め構造体が、その中央部を前記ボイラ本体側もしく
は前記支持鉄骨側に取り付けられたピンと、該2本のピ
ンの上端どうし並びに下端どうしをそれぞれ連結した平
行な2本の連結部材を備え、前記ピンの最大曲げ強度よ
りも前記連結部材の座屈強度が大きく設定されてなる構
成において、前記ピンのピン径が、その中央部から両端
のリンク接合部に向つて漸次小さくなるようになされて
いる。
〔実施例〕
以下本発明を図示した実施例によつて説明する。第1
図は、本発明の1実施例に係るボイラ装置における振れ
止め構造体の側面図で、前記第12図に対応するもの、第
2図は第1図のA−A線上の平面図である。
第1,2図において、6は支持鉄骨で、該支持鉄骨6の
頂部部材には、図示していないが前記ボイラ本体8が、
従前と同様に多数の吊りボルトによつて吊り下げ支持さ
れている。また、支持鉄骨6とボイラ本体8との間に
は、略水平方向に掛け渡された振れ止め構造体1が多数
個設置されている。
11は前記したバツクステーで、例えばボイラ本体8の
外壁となるメンブレンパネルの外側に固着されている。
また、ボイラ本体8の外周に立設された前記支持鉄骨6
には、対応するバツクステー11に向けてブラケツト15が
突設・固着されている。そして、バツクステー11の端部
及びブラケツト15の端部付近にはピン2a,2bがそれぞれ
貫通・支持されている。
この2aと2bの上端どうし並びに下端どうしを、連結ピ
ン3を介して互いに平行なリンク4,4でそれぞれ連結
し、ピン2a,2b,連結ピン3…,リンク4,4によつてリン
ク機構を構成している。
上記リンク4は、例えば前述と同様に、2本の背中合
せになつたU字鋼,それらの両端部に挟まれた連結板,U
字鋼に挟まれた挟み板を溶接・一体化したものよりなつ
ているが、これに限定されるものではない。但し、この
リンク4の座屈強度(座屈耐力)は、上記ピン2(2a,2
b)の最大曲げ強度よりも大きく設定されており、リン
ク4の長さと断面形状はこれに見合つたものに選定され
る。なお、リンク4の引張強度は周知のように座屈耐力
よりも大きいので、ピン2との強度比較においては座屈
強度を論議すれば良い。
また、振れ止め構造体1のリンク4以外の部品,箇所
においても同様にピン2の最大曲げ強度を上廻る強度を
もたせてある。この結果、振れ止め構造体1の主たる変
形部材はピン2のみとなり、変形箇所が明確化されてい
る。
一方、ピン2は、その長さと断面形状を適宜選択する
ことによつて、破断時の変形量を算出し、ボイラ本体8
と支持鉄骨6との相対変位量Δに対し、相対変位量Δ<
破断時の変形量となるようにされている。従つて、ピン
2が破断する前の降伏応力に達するまでは、ピン2は荷
重に対して略所定比率の一定変位を示し、前記振れ止め
構造体1は、このピン2の変位に略従つて変位すること
になる。
第3図及び第4図は、支持鉄骨6とボイラ本体8との
かに相対変位が生じた際のピン2a,2bの変形モードを示
す図で、第3図は引張時の状態を、第4図は圧縮時の状
態を各々示している。
前述のように変形箇所をピンのみとし、リンク4の座
屈耐力をピン2の最大曲げ強度より大きくすると、振れ
止め構造体1の変形特性は、第5図に模式的に示したよ
うにピン2の変形特性が支配したものとなる。この結
果、、同図から明らように圧縮側(+P)と引張側(−
P)の変形特性が同一で且つシンプルであるため、振れ
止め構造体1における動解析のための計算モデル化が極
めて容易なものとのる。更に、従前に比して変形特性が
改善され、変形が大きく耐力低下がながく、履歴減衰効
果が大となる。なお、本発明においては、後述するピン
形状の工夫によつて、変形特性は更により一層改善され
る。以下、これについて説明する。
本発明においては、リンク4の座屈耐力をピン2の最
大曲げ応力(最大荷重)以上とすることに加えて、ピン
2のピン径を、その中央部から両端のリンク接合部に向
つて漸次小さくなるように設定されてる。このように為
す所以は、ピン2のピン軸方向に沿つた変形量(曲げ応
力分布)を出来るだけ一様化し、ピン2の剛性を全体と
して減じることにある。
いま、ピン軸方向の任意の点の曲げ応力がピン中央部
の最大曲げ応力δmaxと同一となるようにピン径をピン
軸に沿つて変化させた場合を考える。このような断面
は、第8図(a)の如くd/d0=(x/L)1/3となるように
ピン径を変化させることにより得られる。
ここでd0:ピン中央部のピン径 2L:ピン両端の支持点間の距離 x:両端支持点からの任意の距離 (≦L) d:任意の点xでのピン径 このような紡錘形状を呈するピン2−Aの曲げ応力分
布は第8図(b)に示す如く、ピン軸方向全域にわたつ
て最大曲げ応力となる。第8図(a)に示す如く断面を
有するピン2−Aの中央部の変形量:δ″max、及び剛
性:K″は次式で表わされる。なお、E,I0は各々前述した
ピンの縦断性係数並びに断面2次モーメントである。
ここで、この第8図(a)と前記した第23図(a)に
示すピン12aとピン2−Aの剛性を比較すると、上記
式並びに前記式との対比により明らかなように、第8
図(a)に示すピンは第23図(a)のピンに比べてK″
=0.55K′となり、ピン径をピン軸に沿つてピン曲げ応
力が等しくなるように変化させればピンの曲げ剛性を55
%に小さくできる。
しかし、第8図(a)において、M=0の断面にもせ
ん断力をささえる断面積が必要であり、更にリンク接合
部を確保するためにも、両端支持部の断面をゼロにする
ことはできない。
そこで、リンク接合部を考慮して、例えば両端支持部
のピン径:d1を0.6d0(d0:ピン中央部のピン径)とし、
その間は直線的に変化させる。このピン2−Bの形状
は、第9図(a)に示されていて、第1図のピン2a,2b
と対応する。第9図(a)に示すピン2−Bの応力分布
を第9図(b)に示す。このピン19の中央部の変形量:
δmax及び剛性:Kは次式で表わされる。
ここで、d1:両端支持部のピン径 d1=0.60とすると、 となる。
一様断面のピン12aのK′(前記式)と比較する
と、K=0.6K′とピン19の剛性は60%と小さくなる。
以上のように、第1図もしくは第9図に示した実施例
においては、ピン2a,2b(2−B)におけるリンク接合
部のピン径を、例えば中央部の径のよりも60%小さくし
て中央部から両端に向けて漸次直径を減じているので、
一様断面のピンに比して剛性を60%に減じ得る。よつ
て、ピン2a,2bの変形能力が大幅に増して相対変位にる
反力をより一層効果的に抑えることが出来る。
第6図は本発明の他の実施例に係るピンを示す図であ
る。同図に示すピン2−Cは、両端リンク接合部分を一
様断面の円柱状のものとし、他の部位は前述した第8図
に示したピン2−Aと同様の一様な変形量分布をもつも
のとされている。即ちピンに発生する曲げ応力がピン軸
方向のどの位置においても中央部と等しくなるように、
ピン径dをピン中央部からピン両端部に沿つて次式によ
り変化させたものである。
d=d0・(x/L)1/3 この場合、ピン2−Cは、一様断面のピンに比してそ
の剛性を略55%に低減でき、ピン2−Cの変形能力を大
幅にアツプできる。
本発明のピン2の形状は、上記実施例に限定されるこ
とはなく、例えば第7図に示すように、ピン2−Dの中
央部を前述したd=d0・(x/L)1/3で示される紡錘形状
とし、他の部分を前記第9図で示された直線的に径が減
少するものとしても良く、この場合も同等の効果が期待
できる。
また、ピン2の中央部から両端への径の漸次減少形状
は、前述した曲線や直線に限定されることはなく、他の
任意の曲線、或いは複数の曲線や直線の組合せとするこ
とも任意である。
〔発明の効果〕
以上のように本発明によれば、振れ止め構造体1の変
形箇所をピン2のみとし、変形箇所を明確にできると共
に、ピン2のピン径を中央部から両端へ漸次減少させて
いるので下記に示す効果がある。
(i)ピンが破断するまでに所定の相対変位を吸収する
ので、振れ止め構造体がその機能を失うことなく本体の
水平力を支持鉄骨に伝達できる。
(ii)ピン径をピン中央部からピン両端部に向つて小さ
くすることによりピンの変形能力が大幅に向上し、相対
変位による反力を大幅に低減させることができるので、
支持鉄骨部材のサイズ減少,コストダウンが計れる。
(iii)ピンが破断する前にリンクは座屈を生じないの
で、振れ止め装置の機能を失うことなく、本体の水平力
を支持鉄骨に伝達できる。
(iv)振れ止め構造体の圧縮側と引張側の変形特性が同
一となるので、動解析における振れ止め構造体のモデル
化が極めて容易であり、動解析結果の精度向上が計れ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第5図は本発明の1実施例を説明するための図
で、第1図は振れ止め構造体の側面図、第2図は第1図
のA−A上の平面図、第3図および第4図は引張時およ
び圧縮時におけるピンの変形モードを示すモデル図、第
5図は振れ止め構造体の変形特性図である。 第6図は本発明の他の実施例に係るピンを示す説明図で
ある。 第7図は本発明の更に他の実施例に係るピンの説明図で
ある。 第8図(a),(b)は本発明に係るピンの作用原理を
説明するためのもので、ピンの曲げ変形量がピン軸に沿
つて一様なピンを示し、同図(a)はピン径の変化を示
すモデル図、同図(b)はピン曲げ応力分布図である。 第9図(a),(b)は同じく本発明に係るピンの作用
原理を説明するためのもので、ピン径が直線的に変化す
るものを示し、同図(a)はピン径の変化を示すモデル
図、同図(b)はピンの曲げ応力分布図である。 第10図および第11図は発電用のボイラ本体の支持構造を
説明するためのもので、第10図は概略側面図、第11図は
概略平面図である。 第12図〜第23図は従来の振れ止め構造体を説明するため
の図で、第12図は振れ止め構造体の側面図、第13図およ
び第14図は冷缶時およびボイラ運転時における振れ止め
構造体リンクの状態を各々示す概略構成図、第15図およ
び第16図はボイラ本体と支持鉄骨との相対変位を説明す
るためのモデル図、第17図はリンクの平面図、第18図は
第17図のH−H線上の平面図、第19図は第17図のI−I
線上の拡大断面図、第20図はリンクの荷重Pとリンクの
軸方向変形量δとの関係を示す特性図、第21図は振れ
止め構造体の変形特性図、第22図は従来のリンクの復元
力特性図、第23図は従来の一様断面のピンを説明するた
めのもので、同図(a)は両端支持梁モデル図、同図
(b)最大曲げモーメント発生部の説明図、同図(c)
は曲げ応力分布図である。 1,10……振れ止め構造体、2a,2b,2−A,2−B,2−C,2−D
(以下符号2で総括),12a,12b……ピン、3,13……連結
ピン、4,14……リンク、5,15……ブラケツト、6……支
持鉄骨、8……ボイラ本体、9……吊りボルト、11……
バツクステー。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】吊り下げ支持されたボイラ本体と支持鉄骨
    との間を、略水平方向に掛け渡されたリンク構造の振れ
    止め構造体で連結し、該振れ止め構造体が、その中央部
    を前記ボイラ本体側もしくは前記支持鉄骨側に取り付け
    られたピンと、該2本のピンの上端どうし並びに下端ど
    うしをそれぞれ連結した平行な2本の連結部材を備え、
    前記ピンの最大曲げ強度よりも前記連結部材の座屈強度
    が大きく設定されてなる構成において、 前記ピンのピン径が、その中央部から両端のリンク接合
    部に向つて漸次小さくなるように形成されたことを特徴
    とするボイラ装置。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第(1)項記載において、
    前記ピンのピン径を、その中央部から前記リンク接合部
    に向つて直線的もしくは折れ線形状的に減少させたこと
    を特徴とするボイラ装置。
  3. 【請求項3】特許請求の範囲第(1)項記載において、
    前記ピンにおける両端のリンク接合部間の距離を2L、ピ
    ン中央部のピン径をd0とした時、ピンのリンク接合部か
    ら距離xでのピン径dが、 d=d0・(x/L)1/3 となるような紡錘形状としたことを特徴とするボイラ装
    置。
  4. 【請求項4】特許請求の範囲第(1)項記載において、
    前記ピンの中央部位を紡錘形状とし、この紡錘形状部か
    らピンの両端に向つてピン径を直線的に減少させとこと
    を特徴とするボイラ装置。
  5. 【請求項5】特許請求の範囲第(2)項もしくは第
    (3)項記載において、前記ピンの前記リンク接合部近
    傍のピン形状を円柱状としたことを特徴とするボイラ装
    置。
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