JP2572387B2 - ホイ−ル式油圧シヨベルの油圧制御装置 - Google Patents

ホイ−ル式油圧シヨベルの油圧制御装置

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JP2572387B2 JP7488387A JP7488387A JP2572387B2 JP 2572387 B2 JP2572387 B2 JP 2572387B2 JP 7488387 A JP7488387 A JP 7488387A JP 7488387 A JP7488387 A JP 7488387A JP 2572387 B2 JP2572387 B2 JP 2572387B2
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Description

【発明の詳細な説明】 A.産業上の利用分野 本発明は油圧ショベルやホイールローダ等に代表され
るホイール式油圧ショベルの油圧制御装置に関し、負荷
に応じて原動機の馬力を制御して燃料消費率等を改善し
たものである。
B.従来の技術とその問題点 ホイール式油圧ショベルを一例として従来の技術につ
いて説明する。
ホイール式油圧ショベルは、第7図に示すように、走
行輪1を有する下部走行体2と、その下部走行体2の上
に旋回輪を介して接続された上部旋回体3とからなり、
上部旋回体3には、油圧シリンダ4〜6によりそれぞれ
駆動されるブーム7,アーム8,バケット9等から成る堀削
用アタッチメントが設けられている。また、下部走行体
には、油圧シリンダ10aにより駆動されるブレードアタ
ッチメント10bが設けられている。
ホイール式油圧ショベルは特定の作業現場内にとどま
らず一般道路走行が認められているが、一般道路には平
坦路もあれば坂道もあり、種々の道路条件下でもできる
だけ法定最高速度35km/hで走行できることが好ましい。
そこで、ある必要な勾配における登板時に35km/hの速
度を出しうるエンジンを用いれば走行性能の点について
は一応の解決がつくことになる。ホイール式油圧ショベ
ルでは、一台のエンジンを堀削と走行の双方に用いるの
が一般であるが、堀削作業に要するエンジン馬力は走行
に要するエンジン馬力に比べて小さくてよい。このよう
なことから、登板時の走行性能を重視してエンジンを高
馬力にセットするのは堀削作業の面からみれば燃費,騒
音,コスト等の点で無駄なことであり、その半面、堀削
時の燃費,騒音,コストを重視して前者に比べてエンジ
ンを低馬力にセットすると登板時に十分な走行性能が得
られないことになり、ホイール式油圧ショベルにおいて
は、エンジン性能に関するかぎり堀削と走行とのマッチ
ングが悪いことになる。
そのため従来から種々の考え方がとられており、その
代表的な考え方のひとつとして、平坦路走行時にのみ法
令で定められた35km/hを満足するようにしたものがあ
る。
この場合、使用する走行用油圧モータおよびミッショ
ンの仕様から、35km/hで平坦路を走行する時に必要流量
をQ1,必要圧力をP1と定めると、例えば第8図(a)の
ようにエンジンの所要馬力PS2′が決まり、これによ
り、エンジン最高回転数N1と油圧ポンプの最大押し除け
容積q1とが定まり、エンジン回転数−ポンプ吐出量線図
(N−Q線図)は例えば第9図に示すようになる。
第9図に示すN−Q線図を有する油圧式走行駆動装置
における登板走行について考えてみると、第8図(a)
に示すように、登板時にはポンプの吐出圧力がP2まで増
加してポンプの傾転角が小さくなるのでポンプ吐出量は
Q2まで低下し、従って、その速度は35km/hよりかなり遅
く(35km/h×Q2/Q1)なってしまい、満足のできる走行
性能が得られない。
そこで、エンジンおよび油圧機器の仕様を定めるにあ
たって、予め設定した登板勾配で35km/hの速度が得られ
るようにすることが考えられる。このように設定すれ
ば、当然のことながら、平坦路走行時にも35km/hの速度
がでる。
そこで、上述したと同様に、仕様する油圧モータおよ
びミッションの仕様から、ある勾配の登板路を35km/hで
走行するときの必要流量をQ1,必要圧力をP2(>P1)と
定めると、例えば第8図(b)のようにエンジンの所要
馬力PS2が決まり、更に、エンジンの最高回転数N2と油
圧ポンプの最大押除け容積q2とが定まり、例えばエンジ
ン回転数−ポンプ吐出量線図(N−Q線図)は第10図に
示すようになる。
ここで、第10図に示したN−Q線図を有する油圧式走
行駆動装置におけるエンジンの性能が第11図のように定
められているとする。第11図の回転数−馬力曲線(N−
PS曲線)からわかるように、ある勾配の登板路を35km/h
で走行するに必要なポンプ吸収馬力をPS2とすれば、そ
の馬力はエンジン回転数N2のときに得られるようになっ
ている。そして、そのときの燃料消費率〔g/PSh〕は、
回転数−燃料消費率曲線(N−g曲線)からg2であるこ
とがわかる。しかるに、このような油圧式走行駆動装置
により平坦路を35km/hで走行する際のポンプの吸収馬力
をPS2′(<PS2)とすれば、エンジンをフルスロットル
のまま平坦路を走行すると、そのときのエンジン回転数
はN2′(>N2)となり、燃料消費率がg2′(>g2)とな
ることがわかる。すなわち、このようなエンジンおよび
油圧装置の設定では、平坦路を35km/hで走行するにはエ
ンジンをその燃料消費率の悪い領域で使用することにな
る好ましくない。また、エンジンを燃料消費率の良い領
域で使用するため、スロットルレバーを操作してエンジ
ン回転数を下げて走行すると、ポンプ吐出量が少なくな
り、所定の速度(35km/h)を出すことができない。
また、走行油圧駆動装置を備えたホイール油圧式ショ
ベルにおいては、上述したように上部旋回体に搭載した
単一のエンジンおよび単一の油圧ポンプを用いて、堀削
用アクチェエータおよび走行用の油圧モータを駆動して
いるが、登板走行時の油圧ポンプの所要吸収馬力PS2は
堀削時の油圧ポンプの所要吸収馬力PS3に比べてかなり
大きい。
従って、第11図に示した特性を有するエンジンにおい
て、エンジン最高回転数N2のスロットルレバー位置で堀
削作業を行う場合、油圧ポンプの所要吸収馬力をPS3
(<PS2)とすれば、エンジン回転数がN3と増加し燃料
消費率がg3(>g2)となってしまう。スロットルレバー
を操作してエンジン回転数を下げればポンプ吐出量が低
下してしまい作業速度が遅くなってしまう。
本発明の目的は、このような従来の問題点を解決した
ホイール式油圧ショベルの油圧制御装置を提供すること
にある。
C.問題点を解決するための手段 一実施例を示す第1図により本発明を説明すると、本
発明によるホイール式油圧ショベルは、原動機11によっ
て駆動される可変容量形油圧ポンプ13と、当該可変容量
形油圧ポンプ13からの吐出油により駆動され走行輪を駆
動する走行用油圧モータ17と、可変容量形油圧ポンプ13
からの吐出油により駆動される堀削用アクチュエータ19
と、原動機11の回転数を指令するために操作される操作
装置25eと、油圧ショベルの運転状態が走行か堀削かを
判別する判別手段34,35と、原動機11の回転数が原動機1
1の軽負荷に適した回転数を越えるよう原動機11の回転
数が原動機11の軽負荷に適した回転数を越えるよう操作
装置25eで指令される場合に重負荷に適した回転数を指
令する高回転数指令手段31と、パワーモードおよびエコ
ノミーモードのいずれかを選択するために操作され、パ
ワーモード選択時にパワーモード信号を出力し、エコノ
ミーモード選択時にエコノミーモード信号を出力するモ
ード選択手段33と、重負荷に適した回転数が指令される
と、原動機11の回転数を、操作装置25eで指令されてい
る軽負荷に適した回転数よりも高い重負荷に適した回転
数に設定するとともに、重負荷に適した回転数が指令さ
れないときは、原動機11の回転数を操作装置25eで指令
される軽負荷に適した回転数に設定する回転数設定手段
12,14,25a〜25dと、油圧ポンプ13を、所定の吐出量が得
られる範囲で、パワーモード用最大押除け容積と、それ
よりも大きいエコノミーモード用最大押除け容積とに制
御可能な最大押除け容積設定手段21と、判別手段34,35
により堀削が判別されると、重負荷に適した回転数の指
令の有無およびモード選択状態に拘らず、軽負荷に適し
た回転数とエコノミーモード用最大押除け容積とを対応
づけて回転数設定手段12,14,25a〜25dおよび最大押除け
容積設定手段21を制御する堀削制御手段29と、判別手段
34,35により走行が判別されると、重負荷に適した回転
数の指令およびパワーモード信号の出力に応答して重負
荷に適した回転数とパワーモード用最大押除け容積とを
対応づけるとともに、それ以外の条件下では軽負荷に適
した回転数とエコノミーモード用最大押除け容積とを対
応づけて、それぞれ回転数設定手段12,14,25a〜25dと最
大押除け容積設定手段21とを制御する走行制御手段29と
を備える。
第2の発明は、更に可変容量形油圧ポンプ13からの吐
出油により駆動されるブレード用アクチュエータ20を具
備する油圧ショベルに適用され、第1の発明に加えて、
ブレード用アクチュエータ20を作動するために操作され
ブレード作動信号を出力するブレード切換手段36を設け
るとともに、判別手段34,35により堀削が判別される場
合、およびブレード作動信号が出力される場合に、重負
荷に適した回転数の指令の有無およびモード選択状態か
ら拘らず、軽負荷に適した回転数とエコノミーモード用
最大押除け容積とを対応づけて回転数設定手段12,14,25
a〜25dおよび最大押除け容積設定手段21を制御する堀削
/ブレード制御手段29と、判別手段34,35により走行が
判別されると、重負荷に適した回転数の指令およびパワ
ーモード信号の出力に応答して重負荷に適した回転数と
パワーモード用最大押除け容積とを対応づけるととも
に、それ以外の条件下では軽負荷に適した回転数とエコ
ノミーモード用最大押除け容積とを対応づけて、それぞ
れ回転数設定手段12,14,25a〜25dと最大押除け容積設定
手段21とを制御する走行制御手段29とを備える。
D.作用 第1の発明では、判別手段34,35により堀削が判別さ
れると、堀削制御手段29の作用の下で、重負荷に適した
回転数の指令の有無およびモード選択状態に拘かず、軽
負荷に適した回転数とエコノミーモード用最大押除け容
積とが対応づいて変更されるように回転数設定手段12,1
4,25a〜25dおよび最大押除け容積設定手段21が制御され
る。また、判別手段34,35により走行が判別されると、
走行制御手段29の作用の下で、重負荷に適した回転数の
指令およびパワーモード信号の出力に応答して重負荷に
適した回転数とパワーモード用最大押除け容積とが対応
づいて変更されるとともに、それ以外の条件下では軽負
荷に適した回転数とエコノミーモード用最大押除け容積
とが対応づいて変更されるように、それぞれ回転数設定
手段12,14,25a〜25dと最大押除け容積設定手段21とが制
御される。
第2の発明では、判別手段34,35により堀削が判別さ
れる場合、およびブレード作動信号が出力される場合
に、堀削/ブレード制御手段29の作用の下で、重負荷に
適した回転数の指令の有無およびモード選択状態に拘ら
ず、軽負荷に適した回転数とエコノミーモード用最大押
除け容積とが対応づいて変更されるように回転数設定手
段12,14,25a〜25dおよび最大押除け容積設定手段21が制
御される。判別手段34,35により走行が判別されると、
走行制御手段29の作用の下で、重負荷に適した回転数の
指令およびパワーモード信号の出力に応答して重負荷に
適した回転数とパワーモード用最大押除け容積とが対応
づいて変更されるとともに、それ以外の条件下では軽負
荷に適した回転数とエコノミーモード用最大押除け容積
とが対応づいて変更されるように、それぞれ回転数設定
手段12,14,25a〜25dと最大押除け容積設定手段21とが制
御される。
E.実施例 (第1の発明) 第1図は本発明の一実施例を示し、原動機を構成する
エンジン11により駆動される可変容量形油圧ポンプ13の
吐出ポートは、コントロールバルブ15を介して、走行油
圧モータ17と堀削用シリンダ(第7図の油圧シリンダ4
〜6)や旋回モータを含む堀削用アクチュエータ19とブ
レード用アクチュエータ20とに接続されている。コント
ロールバルブ15は、走行操作レバー(不図示),堀削操
作レバー(不図示),ブレード操作レバー(不図示)に
より切換制御される。なおこのブレード操作レバーは、
後述するブレード切換スイッチ36を操作したときに堀削
操作レバーのいずれかと兼用されるようになっている。
可変容量形油圧ポンプ13は、回路圧力によりその吐出
量を制御(例えば第5図のP−Q線図のように)するポ
ンプレギュレータ(不図示)を有しているが、そのレギ
ュレータと関連して最大押除け容積設定手段を構成する
最大傾転角制御装置21が設けられ、それは最大傾転角設
定用油圧シリンダ21aにより駆動制御され、これにより
ポンプ1回転あたりの最大押除け容積を2段階に切換制
御できる。この油圧シリンダ21aは電磁弁23を介して圧
力源24およびタンク26に接続されている。
また、エンジン11のカバナ(不図示)を操作してエン
ジン回転数を制御するエンジン回転数制御装置25が設け
られ、これによりエンジン11の回転数が後述のように制
御される。第2図(a)〜(c)を参照すると、回転数
制御装置25は、所定の部位に軸支されたレバー25aを有
し、そのレバー25aの中間点にはガバナに接続されたス
ロットルレバー12が接続されている。レバー25aの先端
にはばね25bが掛止され、ばね25bの他端は、所定の部位
に軸支されたレバー25cの一方の端部に掛止されてい
る。そのレバー25cの他方の端部は、例えばプッシュプ
ルケーブル14により運転席内のエンジンコントロールレ
バー25eと接続されている。このエンジンコントロール
レバー25eを操作することにより、エンジン回転数NE
下の領域においてエンジン回転をアイドルからNEまで連
続的に制御できる。また、回転数NEを指令するエンジン
コントロールレバー25eの位置を越えて操作可能であ
り、この位置に操作されているときにエンジン回転数指
令値がNEよりも大きい。
ここで、エンジン回転数NEは、ポンプの傾転角に対応
して必要最小馬力で平坦路走行時に35km/hが得られるよ
うに定められるもので、エンジンの軽負荷に最適な回転
数である。
更にこのエンジン回転数制御装置25は、レバー25aの
回動角を制御するアクチュエータ25dを有し、エンジン
回転数指令値がNEを越えるフルスロット位置にエンジン
コントロールレバー25eが操作されると、このアクチュ
エータ25dが付勢されて第2図(c)のようにレバー25a
を最大回動角に制御してエンジンを最高回転数NPで回転
させ得るようになっている。
ここで、エンジン最高回転数NPは、ポンプの傾転角に
対応して必要最小馬力で所望の勾配における登板路走行
時に35km/hが得られるように定められるもので、エンジ
ンの重負荷に最適な回転数である。
なお、第2図(a)はエンジンアイドル状態、第2図
(b)はエンジン回転数をエンジンコントロールレバー
25eにより所定値NEに制御した状態、第2図(c)はフ
ルスロットル(エンジン回転数指令値がNP)の状態を示
す。この実施例ではエンジンコントロールレバー25eを
一杯に引いたときにエンジン回転数指令値がNEを越え、
後述する所定の条件下でアクチュエータ25dが駆動する
とエンジン回転数がNPまで一気に上昇可能である。な
お、アクチュエータ25dが駆動されてもエンジンコント
ロールレバー25eは動かないようになっている。また、
第1図に示すように、アクチュエータ25dは電磁弁27を
介して圧力源24およびタンク26に接続されている。ここ
で、エンジンコントロールレバー25eが操作装置を、ス
ロットルレバー12、プッシュプルケーブル14、レバー25
a、ばね25b、レバー25c、およびアクチュエータ25dが回
転数設定装置を構成する。
再び第1図を参照するに、符号29は例えばマイクロコ
ンピュータで構成されるコントローラであり、その入力
ポートには、エンジンコントールレバー25eがエンジン
回転数指令値を越えたフルスロットル位置まで操作され
るとオンするエンジン回転数指令スイッチ31と、選択手
段を構成するモード切換スイッチ33と、走行検出センサ
34と、堀削検出センサ35とが接続されている。ここで、
センサ34,35により判別手段が構成される。モード切換
スイッチ33は、パワーモード位置(P)とエコノミーモ
ード位置(E)とに切換え可能なスイッチであり、例え
ばトグルスイッチを用いることができる。走行検出セン
サ34は、上部旋回体に設けられた走行操作レバー(不図
示)の操作の有無を検出するセンサであり、例えば走行
操作レバーに連動するオン・オフスイッチで構成でき
る。堀削検出センサ35は、上部旋回体に設けられた堀削
操作レバー(不図示)の操作の有無を検出するセンサで
あり、例えば堀削操作レバーに連動するオン・オフスイ
ッチで構成できる。なお、堀削操作レバーとは、ブー
ム,アーム,バケット操作レバーおよび旋回操作レバー
を含めた概念で用いる。
操作操作および堀削操作がいわゆる油圧パイロット方
式の場合には上記各検出センサ34および35を、操作用パ
イロット圧力に応答してオン・オフする圧力スイッチで
構成できる。
コントローラ29の出力ポートには、最大傾転角制御用
電磁弁23と、エンジン回転数制御用電磁弁27とが接続さ
れている。これら電磁弁23,27は後述する第3図のプロ
グラムに従って制御される。
次に、コントローラ29内のROMに予め格納されている
プログラムについて説明する。
第3図は上述した2つの電磁弁23および27を制御する
ためのプログラムの一例を示し、まず、ステップSIで、
エンジン回転数指令スイッチ31からの信号,走行検出セ
ンサ34からの信号,堀削検出センサ35からの信号および
モード切換スイッチ33からの信号に基づいて、エンジン
回転数指令値,作業状態および運転モードを読込む。ス
テップS3に進むと、上記センサ34,35の信号に基づいて
堀削か走行かを判定する。堀削作業と判定されるとステ
ップS6に進んで、電磁弁23および27をオフする。
ステップS2で走行と判定されるとステップS3に進み、
モード切換スイッチ33がいずれのモード位置に選択され
ているかを判定する。パワーモードが選択されている場
合にはステップS4に進み、エコノミモードが選択されて
いる場合にはステップS6に進む。ステップS4(走行パワ
ーモード)では、エンジン回転数指令スイッチ31がオン
しているか否かを判定する。すなわち、エンジンコント
ロールレバー25eの操作位置がエンジン回転数指令値NE
の位置を越えたフルスロットル位置にあるか否かを判定
する。フルスロットル位置ならばステップS5に進み、指
令値NEの位置ならばステップS6に進む。ステップS5で
は、電磁弁23,27を共にオンし、ステップNでは電磁弁2
3,27を共にオフする。電磁弁23がオンすれば最大押除け
容積qP、オフならば、qE(>qP)となり、電磁弁27がオ
ンすればエンジン回転数がNPまで上昇可能で、オフなら
ば、エンジンコントロールレバー25eの位置に応じアイ
ドル〜NEまでの範囲内で制御可能である。
このように構成された本実施例の動作を以下に説明す
る。
(1)パワーモード運転 本発明においては、パワーモードは走行時にのみ可能
となり、モード切換スイッチ33がパワーモード位置に切
換えられていても堀削作業が行なわれると自動的にエコ
ノミーモード、すなわちポンプ最大傾転角、すなわち最
大押除け容積が大きくなり(押除け容積qE)、エンジン
最高回転数がNEで制限される。従って、パワーモード運
転は、(イ)パワーモードが選択され、(ロ)走行操作
レバーが操作され、(ハ)エンジンコントロールレバー
25eがフルスロットル位置にありエンジン回転数指令値
がNPのときにのみ可能となる。この場合、上記ステップ
S5において電磁弁23,27が共にオンされ、アクチュエー
タ21aおよび25dが共に付勢される。従って、ポンプ最大
傾転角によって定められる最大押除け容積qP(<qE)相
当に設定されるとともに、第2図(c)に示すように、
エンジン回転数指令値は重負荷に最適な回転数Np、すな
わち搭載エンジンの最高回転数に制御される。この場
合、N−Q曲線は第4図の点Pで示され、P−Q線図は
第5図に実線Pで示すようになる。ここで、最大押除け
容積qE,qPおよびエンジン回転数NE,NPを定めるにあたっ
ては、 qE×NE=qP×NP 但し、qE>qP、NE<NP となるようにするものである。
(2)エコノミーモード運転 (a)モード切換スイッチ33によりエコノミーモードが
選択されると走行時であっても電磁弁23,27が共にオフ
され、ポンプ最大傾転角制御用アクチュエータ21aおよ
びエンジン回転数制御用アクチュエータ25dは共に削勢
される。従って、ポンプ最大傾転角によって定められる
最大押除け容積はその最大値qEに設定されるとともに、
エンジン回転数はNE以下の範囲内で運転席のエンジンコ
ントロールレバー25eの操作量に相応した値となる。こ
の場合のN−Q曲線は第4図に実線で示すようになり、
また、エンジン回転数がNEの場合にはそのP−Q線図は
第5図に一点鎖線Eで示すようになる。なお、本発明の
ような最大傾転角の切換制御を行なわない従来の油圧ポ
ンプにおけるP−Q線図の一例を第12図に示す。従来例
では、エンジン回転数をNo→No′に下げるとポンプ吐出
量もQo→Qo′に下がってしまい、作業速度を維持しつつ
燃費を良くすることができない。
(b)パワーモード運転時に堀削検出センサ35が働き堀
削作業が検出されると、(a)項で述べたと同様にして
エコノミーモード運転となる。
(c)パワーモード選択時であってエンジン回転数指令
値が軽負荷に最適な回転数NE以下の時、すなわち、エン
ジンコントロールレバー25eがフルスロットル位置にな
いとき。
このように本実施例においては、パワーモードが選択
されていれば、例えばホイール式油圧ショベルが登板を
開始する際にオペレータがエンジンコントロールレバー
25eをフルスロットル位置に操作してエンジン回転数指
令値をNPにすると、アクチュエータ25dが付勢されてエ
ンジンが噴き上がりその回転数がNP(エンジン負荷に応
じて変わる)となると共に、ポンプ最大傾転角が回転数
NE以下の場合の最大傾転角よりも小さくなり最大押除け
容積はqP相当になる。この結果、エンジン出力馬力およ
びポンプ吸収馬力が最大値となり、ホイール式油圧ショ
ベルは所望の速度、例えば35km/hを維持しつつ登板でき
ることになる。その反対に、エンジンコントロールレバ
ー25eがフルスロットル位置になくエンジン回転数指定
値がNE以下の場合には、パワーモードが選択されていて
も、ポンプ最大傾転角で定まる最大押除け容積がqEに設
定され、その結果、平坦路走行や軽堀削時のような軽負
荷作業に適したポンプ吸収馬力となり燃料削費率の有利
な領域でエンジンを運転することができる。
第11図のエンジン性能曲線により詳述すると、例えば
平坦路走行時の所要馬力をPS2′とすれば、エンジン回
転数がNEOでその馬力を得ることができ、また、堀削時
の所要馬力をPS3とすれば、エンジン回転数がNDOでその
馬力を得ることができるが、本実施例では、回転数指令
値がNE以下の領域においては、エンジン回転数指令値が
NEを越えた高馬力領域に比べてポンプの最大押除け容積
が大きくされているので、作業速度(走行速度)を犠牲
にすることなく低燃料消費率の領域で作業することが可
能となる。また、ある勾配における登板路走行時の所要
馬力をPS2とすれば、エンジン回転数N2においてその馬
力を得ることができるが、本実施例では、エンジン回転
数指令値がNEを越える領域(フルスロットル位置)で
は、上昇するエンジン回転数に応じた分だけポンプ最大
押除け容積が小さい値に設定されてポンプ吐出量は増加
しないから、そのままの状態で平坦路を走行しても走行
速度が法定速度を越えない。
第4図に示すように、本実施例では、エンジン回転数
指令値がNEのときポンプ最大吐出量QEと、エンジン回転
数指令値がNPのときのポンプ最大吐出量QPとが等しくな
るように各値を定めたので、ポンプ最大傾転角により定
まる最大押除け容積がqEからqPに切換わっても作業速度
や走行速度が変わらないので運転フィーリングの点でも
好ましい。なお、本発明においては、上述のポンプ吐出
量QEとQPとが必ずしも等しくなくてもよい。
(第2の発明) 第1の発明では、パワーモードで走行している際にエ
ンジン回転数指令値が転負荷に最適な回転数NEを越える
(重負荷に最適な回転数NP以上のとき)と、油圧ポンプ
の最大押除け容積をqE→qPに制御するとともに、エンジ
ン回転数をNPに一気に制御するようにしたが、第2の発
明は、ブレードの作動状態をも考慮して上述と同様な制
御を行うものである。
すなわち、第1図に2点鎖線で示すように、ブレード
10b(第7図)使用時にオンするブレード切換スイッチ3
6を設け、コントローラ29にブレード使用状態の信号を
入力する。
そして、第3図に示す処理手順に代え第6図に示す処
理手順に従ってポンプ最大傾転角とエンジン回転数制御
を行なう。まず、ステップS11において、第3図のステ
ップS1に加えてブレード切換スイッチ36からの信号をも
読み込む。ステップS12では、ブレード10bの使用状態を
判別し、ブレード10bが使用状態にあればステップS6に
進み、エコノミーモード運転を行なう。使用状態になけ
れば、ステップS2に進み、以後、第3図と全く同様に各
機器が制御される。
以上の構成によれば、ブレード使用時には必ずエコノ
ミーモード運転となるから、エンジン出力馬力が抑えら
れ、ブレード構造物の破損が防止される。また、走行し
つつブレード作業を行なう場合、第1の発明のままだと
エンジン回転数指令値の切換えによりモード切換えが行
なわれ、このエンジン回転数変動によりブレード作業の
操作性が悪いが、第2の発明では、このような不具合が
解削される。
以上の説明では、エンジン回転数の判定をコントロー
ラー29内のプログラムに沿って行なったが、プログラム
によらず比較器等を用いて判定してもよい。また、回転
数指令スイッチ31を運転席内のエンジンコントロールレ
バー25eの操作位置に応じてオン、オフさせたが、エン
ジン側のスロットルレバーがエンジン回転数指令置NE
越えた位置まで動いたときに切換わるスイッチにより回
転数検出手段を構成してもよい。また、エンジンの実回
転数を検出する回転数センサを設けてスイッチ31に代え
てもよい。この場合、実回転数を所定の指令値NEと比較
して、スイッチ31のオン・オフ信号に代える。また、エ
ンジン回転数を油圧シリンダ25dにより上昇させるよう
にしたが、電磁式のアクニュエータで行なってもよい。
また、最大傾転角の制御も同様に電磁式のアクチュエー
タで行なってもよい。
G.発明の効果 本発明は、以上のように構成したから、登板走行時の
ように大きなポンプ吸収馬力が要求される場合、パワー
モードに設定しておけば、軽負荷に適した回転数を越え
る高負荷に適した回転数を指令するだけで、原動機回転
数が高回転数となって高馬力側に設定されるとともにポ
ンプ押除容積がそれに応じて小さくされ、低燃料消費率
の運転状態で所望の速度にて登板走行できる。登板路走
行から平坦路走行になりポンプ吸収馬力が小さくてよい
場合には、パワーモードが選択されていても、高負荷に
適した回転数の指令がなくなると、原動機回転数が低回
転数となって低馬力側となって設定されるとともにポン
プ押除容積がそれに応じて大きくされ、低燃料消費率か
つ低騒音の運転状態で、かつ、所定の速度を越えない所
望の速度で平坦路走行できる。また、パワーモードが選
択されていても、走行に比べて小さなポンプ吸収馬力で
よい堀削作業が判別された場合には、原動機回転数は低
回転数とされて低馬力側に設定されるので、低燃料消費
率、低騒音にて作業が行なえる。
第2の発明によれば、これらの効果に加えて、走行に
比べて小さなポンプ吸収馬力でよいブレード作業が判別
されな場合には、堀削作業時と同様に原動機回転数は低
回転数とされて低馬力に設定されるので、ブレード構造
物の確損が防止されるとともに、ブレード作業を行なう
際に誤ってパワーモードを選択して高回転数指令が出力
しても、原動機回転数の変動がなく、したがって、不所
望な作業速度の変動が起きず作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第5図は第1の発明の一実施例を示すもので、
第1図が油圧回路と制御系を示すブロック図、第2図
(a)〜(c)が回転数制御装置の詳細図、第3図が処
理手順例を示すフローチャート、第4図が本実施例にお
けるエンジン回転数Nとポンプ吐出量Qとの関係を示す
グラフ、第5図が本実施例におけるポンプのP−Q線図
である。 第6図は第2の発明の一実施例におけるフローチャート
である。 第7図はホイール式油圧ショベルの一例を示す側面図、
第8図(a),(b)は従来のP−Q線図の2例を示す
図、第9図および第10図は従来のホイール式油圧ショベ
ルにおけるエンジン回転数Nとポンプ吐出流量Qとの関
係をそれぞれ示すグラフ、第11図はエンジン性能曲線を
示す図、第12図は従来のホイール式油圧ショベルのポン
プにおけるP−Q線図を示す図である。 11:エンジン、13:油圧ポンプ 17:油圧モータ 19:堀削用アクチュエータ 20:ブレード用アクチュエータ 21:傾転角制御用油圧シリンダ 25:エンジン回転数制御装置 31:回転数センサ 33:モード切換スイッチ 34:走行検出センサ、35:堀削検出センサ 36:ブレード切換スイッチ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木原 光男 土浦市神立町650番地 日立建機株式会 社土浦工場内 (56)参考文献 特開 昭62−58033(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原動機によって駆動される可変容量形油圧
    ポンプと、 当該可変容量形油圧ポンプからの吐出油により駆動され
    走行輪を駆動する走行用油圧モータと、 前記可変容量形油圧ポンプからの吐出油により駆動され
    る堀削用アクチュエータと、 前記原動機の回転数を指令するために操作される操作装
    置と、 前記油圧ショベルの運転状態が走行が堀削かを判別する
    判別手段と、 原動機の回転数が前記原動機の軽負荷に適した回転数を
    越えるよう前記操作装置で指令される場合に重負荷に適
    した回転数を指令する高回転数指定手段と、 パワーモードおよびエコノミーモードのいずれかを選択
    するために操作され、パワーモード選択時にパワーモー
    ド信号を出力し、エコノミーモード選択時にエコノミー
    モード信号を出力するモード選択手段と、 前記重負荷に適した回転数が指令されると、前記原動機
    の回転数を、前記操作装置で指令されている前記軽負荷
    に適した回転数よりも高い重負荷に適した回転数に設定
    するとともに、前記重負荷に適した回転数が指令されな
    いときは、前記原動機の回転数を前記操作装置で指令さ
    れる軽負荷に適した回転数に設定する回転数設定手段
    と、 前記油圧ポンプを、所定の吐出量が得られる範囲で、パ
    ワーモード用最大押除け容積と、それにより大きいエコ
    ノミーモード用最大押除け容積とに制御可能な最大押除
    け容積設定手段と、 前記判別手段により堀削が判別されると、前記重負荷に
    適した回転数の指令の有無および前記モード選択状態に
    拘らず、前記軽負荷に適した回転数と前記エコノミーモ
    ード量最大押除け容量とを対応づけて前記回転数設定手
    段および最大押除け容積設定手段を制御する堀削制御手
    段と、 前記判別手段により走行が判別されると、前記重負荷に
    適した回転数の指令およびパワーモード信号の出力に応
    答して前記重負荷に適した回転数とパワーモード用最大
    押除け容積とを対応づけるとともに、それ以外の条件下
    では前記軽負荷に適した回転数とエコノミーモード用最
    大押除け容積とを対応づけて、それぞれ前記回転設定手
    段と前記最大押除け容積設定手段とを制御する走行制御
    手段とを具備することを特徴とするホイール式油圧ショ
    ベルの油圧制御装置。
  2. 【請求項2】原動機によって駆動される可変容量形油圧
    ポンプと、 当該可変容量形油圧ポンプからの吐出油により駆動され
    走行輪を駆動する走行用油圧モータと、 前記可変容量形油圧ポンプからの吐出油により駆動され
    る堀削用アクチュエータと、 前記可変容量形油圧ポンプからの吐出油により駆動され
    るブレード用アクチュエータと、 前記原動機の回転数を指令するために操作される操作装
    置と、 前記油圧ショベルの運転状態が走行か堀削かを判別する
    判別手段と、 前記ブレード用アクチュエータを作動するために操作さ
    れるブレード作動信号を出力するブレード切換手段と、 原動機の回転数が前記原動機の軽負荷に適した回転数を
    越えるよう前記操作装置で指令される場合に重負荷に適
    した回転数を指令する高回転数指令手段と、 パワーモードおよびエコノミーモードのいずれかを選択
    するために操作され、パワーモード選択時にパワーモー
    ド信号を出力し、エコノミーモード選択時にはエコノミ
    ーモード信号を出力するモード選択手段と、 前記重負荷に適した回転数が指令されると、前記原動機
    の回転数を、前記操作装置で指令されている前記軽負荷
    に適した回転数よりも高い重負荷に適した回転数に設定
    するとともに、前記重負荷に適した回転数が指令されな
    いときは、前記原動機の回転数を前記操作装置で指令さ
    れる軽負荷に適した回転数に設定す回転数設定手段と、 前記油圧ポンプを、所定の吐出量が得られる範囲で、パ
    ワーモード用最大押除け容積と、それよりも大きいエコ
    ノミーモード用最大押除け容積とに制御可能な最大押除
    け容積設定手段と、 前記判別手段により堀削が判別される場合、および前記
    ブレード作動信号が出力される場合に、前記前記重負荷
    に適した回転数の指令の有無および前記モード選択状態
    に拘らず、前記軽負荷に適した回転数と前記エコノミー
    モード用最大押除け容積とを対応づけて前記回転数設定
    手段および最大押除け容積設定手段を制御する堀削/ブ
    レード制御手段と、 前記判別手段により走行が判別されると、前記重負荷に
    適した回転数の指令およびパワーモード信号の出力に応
    答して前記重負荷に適した回転数とパワーモード用最大
    押除け容積とを対応づけるとともに、それ以外の条件下
    では前記軽負荷に適した回転数と前記エコノミモード用
    最大押除け容積とを対応づけて、それぞれ前記回転数設
    定手段と前記最大押除け容積設定手段とを制御する走行
    制御手段とを具備することを特徴とするホイール式油圧
    ショベルの油圧制御装置。
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