JP2572245B2 - 導電膜の製造方法 - Google Patents

導電膜の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は電気伝導性被覆を有する導電膜の製造方法に
関する。
(従来の技術) 透明導電性のフィルムは電子写真記録のベース材料、
静電写真記録のベース材料、薄型液晶ディスプレイの透
明電極、分散型ELの透明電極、タッチパネルの透明電
極、クリーンルーム、メーター窓、VTRテープ等の帯電
防止膜、透明ヒーターなど、幅広い応用分野を有してい
る。
従来の透明導電性膜のうちで半導体薄膜タイプとして
はスズをドープした酸化インジウム膜(Indium Tin Oxi
de−ITO膜)、アンチモンをドープした酸化スズ膜、カ
ドミウム・スズ酸化物膜(Cadmium Tin Oxide−CTO
膜)、ヨウ化銅膜、酸化チタン膜および酸化ジルコニウ
ム膜などがある。この中でITO膜が透明性、導電性とも
に最も優れている。酸化スズ膜は、膜形成に高い基板温
度が必要であり、高分子フィルムへの適用は難しい。CT
O膜は酸化インジウム膜よりエネルギーギャップが小さ
く(吸収端が長波長側にあり)、膜厚が大きくなるとや
や黄味を帯びる。ヨウ化銅膜、酸化チタン膜、酸化ジル
コニウム膜はこれらに比較して透明性、導電性ともに劣
る。
またこれらの半導体薄膜銅電膜は、蒸着、その後の処
理工程において作成されるが、大型の製造設備が必要
で、そのため高価であった。
このような半導体薄膜を安価に形成される一方法とし
て高分子フィルムに予め下塗りを施し、その層表面に半
導体化合物を吸収させることにより透明性導電膜を作成
する方法が、支持体、上層への密着の改良法として記載
されている(特公昭48−9984号)。
(発明が解決しようとする問題点) 従来の下塗りは支持体に接着性を有する可膨潤性、電
気絶縁性重合体物質を用いて行われているがしかしこの
ような透明導電性フィルムは密着性、透明性などは優れ
ているが導電性はまだ十分とはいえなかった。
(問題点を解決するための手段) 本発明者らはこのような従来の透明導電性フィルムの
欠点を克服するため鋭意研究を重ねた結果、下塗層とし
て湿気硬化型ウレタン樹脂を塗布し、硬化することによ
り、その上に塗布した半導体化合物溶液の溶剤による膨
潤性が所定範囲に制御され、半導体化合物が支持体の反
対側の、下塗層中表面近くに最も高い濃度で存在してい
る導電層を形成しうることを見出し、この知見に基づき
本発明をなすに至った。
すなわち本発明は、支持体上に、多価アルコールに過
剰のジイソシアネートを反応させて末端に遊離イソシア
ネート基を残した湿気硬化型ウレタン樹脂を塗布して硬
化させて膨潤度T1/T0(T0は浸漬前の膜厚を、T1は半導
体化合物を溶解する揮発性有機溶剤に5分間浸漬後の膜
厚を示す。)が、T0が約10μの時、1.05〜2.5の範囲に
ある塗布層(以下、下塗層ということがある。)を形成
し、この塗布層上に半導体化合物を含有する揮発性有機
溶剤溶液を塗布することにより、前記塗布層中の上部に
半導体化合物を含有する導電層を形成することを特徴と
する導電膜の製造方法を提供するものである。
本発明において支持体としては従来公知のものを用い
ることができ、例えば、ポリエチレンテレフタレートな
どのポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレンな
どのポリオレフィン類、セルロースアセテートなどのセ
ルロース類、ポリメチルメタクリレート類、ナイロン6
などのポリアミド類、ポリイミド類、ポリカーボネート
類、ポリビニルアルコール類、塩化ビニル−酢酸ビニル
共重合体類、ガラス、前記ポリオレフィン類、ポリエス
テル類を被覆した被覆紙なども用いることができる。
本発明においてこのような支持体上に湿気硬化型ウレ
タン樹脂の下塗層を形成する。
本発明において使用する湿気硬化型ウレタン樹脂とは
一液型の硬化型ウレタン樹脂で、空気中の湿気を吸収し
て三次元的に架橋反応が進行して硬化する型の樹脂であ
る。このような湿気硬化型ウレタン樹脂は多価アルコー
ルに過剰のジイソシアネートを反応させて末端に遊離イ
ソシアネート基を残した樹脂で、湿気によりイソシアネ
ート基が反応し硬化する型の樹脂が一般的である。また
非黄変性のジイソシアネートを用いる場合は反応促進剤
としてジブチルチンジラウレートなどの触媒を用いるこ
ともある。
ここで使用される多価アルコールとしてはエチレング
リコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリ
コール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコー
ル、トリエチレングリコール、水素化ビスフェノール
A、ビスフェノールジヒドロキシプロピルエーテル、グ
リセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロ
パン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、ペンタエ
リトリット、ジペンタエリトリットが挙げられ、またジ
イソシアネートとしては2,4−トリレンジイソシアネー
ト、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニ
ルメタンジイソシアネート、パラキシリレンジイソシア
ネート、メタキシリレンジイソシアネート、ヘキサメチ
レンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、4,
4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネー
ト)、メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネー
ト、メチルシクロヘキサン−2,6−ジイソシアネート、
1,3−(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、イソ
ホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジ
イソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネートなどが挙
げられる。また、他の湿気硬化型ウレタン樹脂としては
トリフェニルメタントリイソシアナート、ナフチレン−
1,5−ジイソシアナート、ポリメチレンポリフェニルイ
ソシアナート等が挙げられる。他にフェノール、クレゾ
ール等のフェノール類、アルコール類でブロックしたブ
ロック型イソシアナートを用いることができるが特にこ
れらに限定されるものではない。
本発明の下塗層中には湿気硬化型ウレタン樹脂の他
に、これらの化合物と相溶性のよい他の樹脂を含有して
もよい。例えば、スチレン−ブタジエンコポリマー、ス
チレン樹脂、アルキツド樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル樹脂、ポリビニリデンクロライド樹
脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアセタール、ポリアク
リル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、イソブチ
レンポリマー、ポリエステル、ケトン樹脂、ポリアミド
類、ポリカーボネート類、ポリチオカーボネート類、ビ
ニルハロアリレート類のコポリマー、ビニルアセテート
等を挙げることができるが、特にこれらに限定されるも
のではない。
下塗層の厚さは特に制限はないが0.01〜100μ、好ま
しくは0.05〜10μとする。
本発明において下塗層は半導体化合物溶液の溶剤の塗
布処理中に膨潤して半導体化合物溶液を吸収するが溶解
しない(溶剤膨潤性を有する)。これは三次元網目構造
によるものと考えられる。またこの結果、下塗層の表面
近くに導電層が形成されることになる。
本発明において用いられる湿気硬化型ウレタン樹脂
は、膨潤度T1/T0(T0は浸漬前の膜厚を、T1は半導体化
合物を溶解する揮発性有機溶剤に5分間浸漬後の膜厚)
がT0が約10μmの時1.05〜2.5の範囲であり、好ましく
は1.05〜1.7である。
本発明の導電層を作るための好ましい方法は、揮発性
有機溶剤中に可溶化された半導体化合物を溶かした溶液
を適当な支持体上に形成した硬化された湿気硬化型ポリ
ウレタン樹脂の下塗層上に塗布し、下塗層中に塗布液を
吸収させ、その溶剤を蒸発させる方法である。
また本発明の導電性薄膜の導電層に用いられる半導体
化合物としては、好ましくは沃化第一銅及び沃化銀であ
るが他の金属含有半導体化合物、例えば他のハロゲン化
第一銅;ハロゲン化銀;ビスマス、金、インジウム、イ
リジウム、鉛、ニッケル、パラジウム、レニウム、錫、
テルリウム、及びタングステンのハライド;チオシアン
酸第一銅、第二銅及び銀;あるいはヨードマーキュレー
ト等も使用しうる。
金属含有半導体化合物は水とか多くの有機溶剤の如き
揮発性溶剤の殆どのものに易溶性ではない。従って半導
体のための可溶化剤としてその半導体と可溶性錯塩を生
成する化合物を使用することができる。
一般にアルカリ金属ハライド及びアンモニウムハライ
ドをハロゲン化銀、ハロゲン化第一銅、ハロゲン化第一
錫、ハロゲン化鉛その他の如き半導体ハロゲン化金属の
あるものとの錯化合剤として使用することができ、ケト
ン溶剤に易溶性の錯化合物を生成する。通常は、例えば
水で洗浄することによりその可溶化剤を取り除くのが好
ましいけれども、若干の具体例では、その錯塩自体が十
分な導電性を提供する。後者の場合、その錯化合物自体
が半導体化合物である。これらの錯化合物を溶かすのに
適した揮発性ケトン溶剤の例としてはアセトン、メチル
エチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−
ヘキサン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、メチルイ
ソプロピルケトン、エチルイソプロピルケトン、ジイソ
プロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−t
−ブチルケトン、ジアセチル、アセチルアセントン、ア
セトニルアセトンジアセトンアルコール、メシチルオキ
サイド、クロロアセトン、シクロペンタノン、シクロヘ
キサノン、アセトフェノンがある。ケトン溶剤の混合物
を用いることもでき、また場合によっては単一のケトン
溶剤を使用できる。ある場合においては、特に沃化リチ
ウム、沃化ナトリウムが錯塩化剤として使用される場
合、ケトン以外の溶剤の若干のものを沃化錯化合物を溶
かすため使用してもかまわない。メチルアセテート、エ
チルアセテート、n−プロピルアセテート、イソプロピ
ルアセテート、n−ブチルアセテート、イソ−アミルア
セテート、テトラヒドロフラン、ジメチルフォルムアミ
ド、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、
エチルアセテート及びその他のものが沃化錯化合物を溶
解するため有効に使用することができる。
沃化第一銅の溶剤としては沃化第一銅とアセトニトリ
ルが錯塩を作るため、アセトニトリルを使用することが
できる。
半導体化合物を濃度0.1〜50重量%溶液として用いる
のが好ましい。また、この溶液を半導体化合物が40〜20
00mg/m2の割合で塗布することが好ましく特に100〜1000
mg/m2の割合で塗布することが好ましい。
本発明の透明導電膜は支持体上に硬化された湿気硬化
型ウレタンの下塗層を形成させ、この上に半導体化合物
の溶液を塗布し、導電層を形成することにより得ること
ができる。硬化させる時間は特に制限はなく、硬化する
温度によっても異なる。
半導体化合物の溶液を塗布する方法は、例えば回転塗
布、浸液塗布、噴霧塗布、連続塗布機によるビード塗
布、連続的に移動するウィック法、ホッパーを用いる塗
布法などがあるが、特にこれに限定されるものではな
い。
このような導電層の形成方法自体は特公昭48−9984、
同46−34499号の方法により行うことができる。
(発明の効果) 本発明方法により得られた導電膜は透明性、及び導電
層の密着性が優れ、とりわけ、高い導電性を示す。この
透明導電性フィルムは電子写真記録のベース材料、静電
写真記録のベース材料、薄型液晶ディスプレイの透明電
極、分散型ELの透明電極、タッチパネルの透明電極、ク
リーンルーム、メーター窓、VTRテープ等の帯電防止
膜、透明ヒーターなど幅広く用いることができる。
(実施例) 以下に本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明す
る。
実施例1 厚さ100μのポリエチレンテレフタレートフィルムの
上にトリレンジイソシアナートのトリメチロールプロパ
ン付加体からなる湿気硬化型ウレタン樹脂5.0gをジクロ
ロメタン95.0gに溶解した溶液を押しだしホッパーで塗
布し、100℃で乾燥した。この下塗層の膜厚は約0.5μで
あった。この膜を50℃80%RHで1日間放置し硬化した。
こうして得られた下塗層としての膜の膨潤度T1/T0は1.3
であった。その後、この層の上に97gのアセトニトリル
中に3gのヨウ化第一銅を含む溶液を乾燥重量で0.3g/m2
の割合で塗布し、100℃で乾燥した。この溶液はバイン
ダーを含まないが、下塗層に吸収され、主に下塗層の上
層にCuIの微粒子層ができる(かれは以下の実施例でも
同様であった。)。この導電膜の表面抵抗をLoresta MC
P−TESTER(三菱油化社製)で測定した結果1.0×104Ω
/□であった。
実施例2 厚さ100μのポリエチレンテレフタレートフィルムの
上に湿気硬化型ウレタン樹脂;コロネートL(商品名、
日本ポリウレタン社製)4.0g、ポリエステル樹脂;ポリ
エステルアドヘシブ49000(商品名、デュポン社製)3.0
gをジクロロメタン93.0gに溶解した溶液を押しだしホッ
パーで塗布し、100℃で乾燥した。この下塗層の膜厚は
約0.3μであった。この膜を50℃80%RHで2日間放置し
硬化した。こうして得られた下塗層としての膜の膨潤度
T1/T0は1.7であった。この層の上に97gのアセトニトリ
ル中に3gのヨウ化第一銅を含む溶液を乾燥重量で0.3g/m
2の割合で塗布し100℃で乾燥した。この導電膜の表面抵
抗は1.0×104Ω/□であった。
実施例3 実施例2のポリエステルアドヘシブ49000 0.3gの代
わりに第1表に記載のポリマーを使用した以外は実施例
2を全く同様に実施した。得られた導電膜は何れも良好
な導電性を示した。
実施例4 実施例2のコロネートL4.0gの代わりに第2表に記載
の湿気硬化型ウレタン樹脂(ポリイソシアネート)を使
用した以外は実施例2を全く同様に実施した。何れも良
好な導電性を示した。
比較例1 厚さ100μのポリエチレンテレフタレートフィルムの
上にポリエステルアドヘシブ49000 5.0gをメチルエチ
ルケトン95.0gに溶解した溶液を押しだしホッパーで塗
布し、100℃で乾燥した。この下塗層の膜厚は約0.5μで
あった。この下塗層としての膜の膨潤度T1/T0は2.9であ
った。この層の上に97gのアセトニトリル中に3gのヨウ
化第一銅を含む溶液を乾燥重量で0.3g/m2の割合で塗布
し、100℃で乾燥させた。この導電膜の表面抵抗は5.0×
109Ω/□であった。
比較例2 比較例1の下塗層の代わりに塩化ビニリデン、アクリ
ロニトリル、アクリル酸を80:19:1(重量比)で共重合
させて調製した樹脂5.0gをジクロロメタン95.0gに溶解
した溶液を押しだしホッパーで塗布し、100℃で乾燥し
た。この層の膜厚は約0.5μであった。この下塗層とし
て膜の膨潤度T1/T0は2.8であった。その後実施例1と全
く同様にして導電膜を作成し表面抵抗を測定した結果3.
0×107Ω/□であった。
実施例5 厚さ100μのポリエチレンテレフタレートフィルム上
に実施例2と全く同様の操作により約0.3μの下塗層を
設けた。この膜を50℃80%RHで2日間放置して硬化した
後、この上にヨウ化銀776g、ヨウ化カリウム2.14gを2
−ブタン中に溶解した溶液を乾燥重量で0.6g/m2の割合
で塗布し100℃で乾燥した。なお、硬化した下塗層の膨
純度T1/T0は1.7であった。この導電膜の抵抗は3.0×106
Ω/□であった。
実施例1から4に示すように下塗層に湿気硬化型ポリ
ウレタン樹脂を用いた導電膜は比較例に比べ良好な導電
性を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C23C 26/00 C23C 26/00 C (56)参考文献 特開 昭60−150508(JP,A) 特開 昭60−140605(JP,A) 特公 昭48−9984(JP,B1) 特公 昭46−34499(JP,B1)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体上に、多価アルコールに過剰のジイ
    ソシアネートを反応させて末端に遊離イソシアネート基
    を残した湿気硬化型ウレタン樹脂を塗布して硬化させて
    膨潤度T1/T0(T0は浸漬前の膜厚を、T1は半導体化合物
    を溶解する揮発性有機溶剤に5分間浸漬後の膜厚を示
    す。)が、T0が約10μの時、1.05〜2.5の範囲にある塗
    布層を形成し、この塗布層上に半導体化合物を含有する
    揮発性有機溶剤溶液を塗布することにより、前記塗布層
    中の上部に半導体化合物を含有する導電層を形成するこ
    とを特徴とする導電膜の製造方法。
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