JP2571186B2 - 空気圧送式湿式吹付モルタル - Google Patents
空気圧送式湿式吹付モルタルInfo
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- JP2571186B2 JP2571186B2 JP5314023A JP31402393A JP2571186B2 JP 2571186 B2 JP2571186 B2 JP 2571186B2 JP 5314023 A JP5314023 A JP 5314023A JP 31402393 A JP31402393 A JP 31402393A JP 2571186 B2 JP2571186 B2 JP 2571186B2
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- Pit Excavations, Shoring, Fill Or Stabilisation Of Slopes (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は山間部の法面など工事が
困難な施工箇所に混練・空気圧送機を用いて、コンクリ
ート層或いはモルタル層を設ける工法に使用する空気圧
送式湿式吹付モルタルに関する。
困難な施工箇所に混練・空気圧送機を用いて、コンクリ
ート層或いはモルタル層を設ける工法に使用する空気圧
送式湿式吹付モルタルに関する。
【0002】
【従来の技術】山間部の崖面を保護し、崖崩れを防止す
るためには崖面に鉄筋コンクリートの擁壁を構築するこ
とが好ましいが、元来、足場の悪い場所であるため、こ
のような作業を行うための場所を確保することすら困難
であった。より場所を取らない方法として、セメント配
合物を予め混練し、圧送された空気によりこのセメント
配合物を直接崖面に吹付けて施工する方法が採用されて
いる。この吹付工法を利用した特殊法面工法としては、
鉄製、木製、樹脂製、布製又は紙製の枠体を前もって法
面に配置し、この枠体に混練した湿式モルタルを吹付け
ることにより実質的に鉄筋コンクリートに相当する強度
のコンクリート層で崖面を保護する工法がある。鉄製枠
体には種々の枠体があり、金網、コイル枠、パンチング
メタル、丸棒、角材、板材、H鋼等を単独で或いは2種
以上を組合わせて用いたものがある。
るためには崖面に鉄筋コンクリートの擁壁を構築するこ
とが好ましいが、元来、足場の悪い場所であるため、こ
のような作業を行うための場所を確保することすら困難
であった。より場所を取らない方法として、セメント配
合物を予め混練し、圧送された空気によりこのセメント
配合物を直接崖面に吹付けて施工する方法が採用されて
いる。この吹付工法を利用した特殊法面工法としては、
鉄製、木製、樹脂製、布製又は紙製の枠体を前もって法
面に配置し、この枠体に混練した湿式モルタルを吹付け
ることにより実質的に鉄筋コンクリートに相当する強度
のコンクリート層で崖面を保護する工法がある。鉄製枠
体には種々の枠体があり、金網、コイル枠、パンチング
メタル、丸棒、角材、板材、H鋼等を単独で或いは2種
以上を組合わせて用いたものがある。
【0003】この方法は例えば、図1に示すように、ホ
ッパーと駆動部と混練部と吐出口を有するガンと呼ばれ
る混練・空気圧送機を設置し、ガン1の吐出口とノズル
2をホース3で連結し、作業者が崖上からロープで身体
を保護しながら崖に上り、崖面4にコンクリートやモル
タルを吹付けるものである。5は骨材であり、計量器6
で計量しながら一定量をベルトコンベアでミキサー7に
送る。ミキサー7にセメント8を投入し、骨材とセメン
トを混合し、更にベルトコンベアでガン1のホッパーに
投入する。ガン1においては水槽9から一定量の水を加
え、骨材とセメントとの混合物に水を加えて混練する。
この混練物をコンプレッサー10から供給される圧搾空
気により吐出し、上記ホース3を介してノズル2から崖
面に噴射させて施工するものである。また、ミキサーを
使用することなく、ベルトコンベアーから直接ガン1に
原料を投入する方法も一般的である。
ッパーと駆動部と混練部と吐出口を有するガンと呼ばれ
る混練・空気圧送機を設置し、ガン1の吐出口とノズル
2をホース3で連結し、作業者が崖上からロープで身体
を保護しながら崖に上り、崖面4にコンクリートやモル
タルを吹付けるものである。5は骨材であり、計量器6
で計量しながら一定量をベルトコンベアでミキサー7に
送る。ミキサー7にセメント8を投入し、骨材とセメン
トを混合し、更にベルトコンベアでガン1のホッパーに
投入する。ガン1においては水槽9から一定量の水を加
え、骨材とセメントとの混合物に水を加えて混練する。
この混練物をコンプレッサー10から供給される圧搾空
気により吐出し、上記ホース3を介してノズル2から崖
面に噴射させて施工するものである。また、ミキサーを
使用することなく、ベルトコンベアーから直接ガン1に
原料を投入する方法も一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記工
法によっても吹付機械一式の重量は約4トンに達し、こ
の機械一式をセットするためにはある程度の広さの平坦
地を要する。また、少なくとも崖下から崖上に達するま
での長さのホースを必要とする。このホースは長ければ
長い程、一回の吹付機械のセットで施工できる面積が増
大し、作業性の面で好ましいものであり、吹付機械をセ
ットする場所も得難い作業現場であれば、無理をしてで
も長いホースで作業しなければならない実情にある。
法によっても吹付機械一式の重量は約4トンに達し、こ
の機械一式をセットするためにはある程度の広さの平坦
地を要する。また、少なくとも崖下から崖上に達するま
での長さのホースを必要とする。このホースは長ければ
長い程、一回の吹付機械のセットで施工できる面積が増
大し、作業性の面で好ましいものであり、吹付機械をセ
ットする場所も得難い作業現場であれば、無理をしてで
も長いホースで作業しなければならない実情にある。
【0005】しかし、現実にはホースが長すぎるとホー
ス内で材料の分離が生じ、ある部位では骨材が異常に多
い混練物を吐出し、或る部位ではセメント成分が異常に
多い混練物を吐出するといった現象が生じ、吹付物全体
の均一性が損なわれ品質、主に圧縮強度の低下が著し
い。更に、このように材料分離したセメント混練物では
ホースの脈動が生じる。内径42〜50mmのホースを使
用し、セメントや骨材を含有する成分を高圧空気で吹付
けているため、この脈動のエネルギーは大きく、人間が
吹き飛ばされる事故が発生することもある。
ス内で材料の分離が生じ、ある部位では骨材が異常に多
い混練物を吐出し、或る部位ではセメント成分が異常に
多い混練物を吐出するといった現象が生じ、吹付物全体
の均一性が損なわれ品質、主に圧縮強度の低下が著し
い。更に、このように材料分離したセメント混練物では
ホースの脈動が生じる。内径42〜50mmのホースを使
用し、セメントや骨材を含有する成分を高圧空気で吹付
けているため、この脈動のエネルギーは大きく、人間が
吹き飛ばされる事故が発生することもある。
【0006】吹付機械の設置場所が得られない場合に
は、上記の問題があっても長いホースを使用せざるを得
ず、作業能率向上のためにモルタル硬化後の品質を無視
して水を添加して水/セメント比を大きくしたり、細骨
材の量を増大させたり、比重が小さく明らかにモルタル
の品質、特に圧縮強度を低下させるような細骨材を使用
したりしている。
は、上記の問題があっても長いホースを使用せざるを得
ず、作業能率向上のためにモルタル硬化後の品質を無視
して水を添加して水/セメント比を大きくしたり、細骨
材の量を増大させたり、比重が小さく明らかにモルタル
の品質、特に圧縮強度を低下させるような細骨材を使用
したりしている。
【0007】コンクリートの強度は一般に水/セメント
比に比例するといわれ、55〜60%以下に維持する必
要がある。また、セメント:細骨材比も1:4程度に押
さえるべきであるが、材料分離に起因する脈動を避ける
ためには水セメント比が60%を越えるか、或いはセメ
ント:細骨材比が1:5〜1:7程度の吹付モルタルを
使用している現状である。このように、水や骨材の量を
増加させると当然に強度の低下が生じるが、機械設置場
所が確保できない現状から長すぎるホースを使用して作
業した部位は強度の不足したコンクリートで被覆されて
いることになる。一般に、充分な強度が得られるセメン
ト配合比の吹付モルタルを用いて使用できるホースの長
さの限界は100〜120m程度であった。
比に比例するといわれ、55〜60%以下に維持する必
要がある。また、セメント:細骨材比も1:4程度に押
さえるべきであるが、材料分離に起因する脈動を避ける
ためには水セメント比が60%を越えるか、或いはセメ
ント:細骨材比が1:5〜1:7程度の吹付モルタルを
使用している現状である。このように、水や骨材の量を
増加させると当然に強度の低下が生じるが、機械設置場
所が確保できない現状から長すぎるホースを使用して作
業した部位は強度の不足したコンクリートで被覆されて
いることになる。一般に、充分な強度が得られるセメン
ト配合比の吹付モルタルを用いて使用できるホースの長
さの限界は100〜120m程度であった。
【0008】本発明は、吹付機械から離れた部位であっ
ても、長いホースを用いて材料の分離や脈動を防止しな
がら作業することが可能であって、しかも充分な強度の
コンクリート、モルタル施工面が得られる空気圧送式湿
式吹付モルタルを提供することを目的とする。
ても、長いホースを用いて材料の分離や脈動を防止しな
がら作業することが可能であって、しかも充分な強度の
コンクリート、モルタル施工面が得られる空気圧送式湿
式吹付モルタルを提供することを目的とする。
【0009】本発明の構成は、セメント、骨材及び水を
配合混練してなる吹付モルタルを、ホースを介して空気
圧送してノズル先端から吹付け、施工面にモルタル層を
設ける工法に使用する吹付モルタルであって、上記吹付
モルタルがセメント100重量部に対し、オキシエチレ
ン基を有するポリカルボン酸系セメント減水剤成分、
0.01〜0.3重量部と超微粉2〜7重量部が配合さ
れていることを特徴とし、好ましくはオキシエチレン基
を有するポリカルボン酸系セメント減水剤成分の、オキ
シエチレン基含有量が50重量%以上であることを特徴
とする。
配合混練してなる吹付モルタルを、ホースを介して空気
圧送してノズル先端から吹付け、施工面にモルタル層を
設ける工法に使用する吹付モルタルであって、上記吹付
モルタルがセメント100重量部に対し、オキシエチレ
ン基を有するポリカルボン酸系セメント減水剤成分、
0.01〜0.3重量部と超微粉2〜7重量部が配合さ
れていることを特徴とし、好ましくはオキシエチレン基
を有するポリカルボン酸系セメント減水剤成分の、オキ
シエチレン基含有量が50重量%以上であることを特徴
とする。
【0010】本発明におけるセメントとは、ポルトラン
ドセメント、アルミナセメント、シリカセメント、スラ
グセメント、フライアッシュセメント、急硬性セメン
ト、膨張性セメントなど、水硬性物質といわれるもので
あり、ポルトランドセメントが一般的である。
ドセメント、アルミナセメント、シリカセメント、スラ
グセメント、フライアッシュセメント、急硬性セメン
ト、膨張性セメントなど、水硬性物質といわれるもので
あり、ポルトランドセメントが一般的である。
【0011】骨材としては、天然骨材、破砕骨材(砕
石、砕砂)、鉱さい、軽量骨材等一般に骨材といわれる
ものは使用できる。砂などの細骨材及びより大型の粗骨
材が使用されるが、空気圧送式の湿式吹付モルタルを使
用する本発明においては、ホースの内径は細骨材のみを
使用するモルタルではやや細く、直径42mm程度であ
り、細骨材と粗骨材を使用するコンクリートではやや太
く、50mm程度であり、この場合の粗骨材も径15mm以
下のものを配合することが好ましい。
石、砕砂)、鉱さい、軽量骨材等一般に骨材といわれる
ものは使用できる。砂などの細骨材及びより大型の粗骨
材が使用されるが、空気圧送式の湿式吹付モルタルを使
用する本発明においては、ホースの内径は細骨材のみを
使用するモルタルではやや細く、直径42mm程度であ
り、細骨材と粗骨材を使用するコンクリートではやや太
く、50mm程度であり、この場合の粗骨材も径15mm以
下のものを配合することが好ましい。
【0012】本発明における吹付モルタル或いはモルタ
ルの用語は単に細骨材のみを使用した狭義のモルタルに
限定せず、やや小さめの粗骨材を使用したコンクリート
も包含する広い概念である。また、本発明におけるノズ
ル先端からの吹付けとは、ノズル先端またはホースその
ものからの吹付けを包含する概念である。
ルの用語は単に細骨材のみを使用した狭義のモルタルに
限定せず、やや小さめの粗骨材を使用したコンクリート
も包含する広い概念である。また、本発明におけるノズ
ル先端からの吹付けとは、ノズル先端またはホースその
ものからの吹付けを包含する概念である。
【0013】本発明に使用する減水剤はポリカルボン酸
系セメント減水剤である。すなわちアクリル酸、メタク
リル酸、無水マレイン酸などの重合性カルボン酸と、こ
れと共重合できる他のモノマーとの共重合体であり、分
子中に多数のカルボキシル基を有するものである。重合
性カルボン酸としてはマレイン酸が好ましく使用され
る。遊離の酸として或いはアルカリ金属、アルカリ土類
金属などのカチオンの塩として使用される。本発明にお
いては、重合性カルボン酸と共重合できる他のモノマー
としてエチレンオキサイドを用いた減水剤を使用する。
必ずしも他のモノマーの全てがエチレンオキサイドであ
ることを必要としないが、重合体中のエチレンオキサイ
ド含有量が50重量%以上であることが好ましい。この
ような重合体としては、日本触媒化学(株)製のFC−
600S、竹本油脂(株)製のチューポールHP8など
の市販品を容易に入手することができる。
系セメント減水剤である。すなわちアクリル酸、メタク
リル酸、無水マレイン酸などの重合性カルボン酸と、こ
れと共重合できる他のモノマーとの共重合体であり、分
子中に多数のカルボキシル基を有するものである。重合
性カルボン酸としてはマレイン酸が好ましく使用され
る。遊離の酸として或いはアルカリ金属、アルカリ土類
金属などのカチオンの塩として使用される。本発明にお
いては、重合性カルボン酸と共重合できる他のモノマー
としてエチレンオキサイドを用いた減水剤を使用する。
必ずしも他のモノマーの全てがエチレンオキサイドであ
ることを必要としないが、重合体中のエチレンオキサイ
ド含有量が50重量%以上であることが好ましい。この
ような重合体としては、日本触媒化学(株)製のFC−
600S、竹本油脂(株)製のチューポールHP8など
の市販品を容易に入手することができる。
【0014】エチレンオキサイドを含有するポリカルボ
ン酸系セメント減水剤は少量で顕著な効果を有し、特に
優れた減水剤である。その使用量はセメント100重量
部に対し減水剤有効成分(上記市販品を使用する場合に
は固形分換算量と実質的に一致する)として0.01〜
1.0重量部であり、好ましくは0.04〜0.45重量部、
より好ましくは0.05〜0.25重量部である。
ン酸系セメント減水剤は少量で顕著な効果を有し、特に
優れた減水剤である。その使用量はセメント100重量
部に対し減水剤有効成分(上記市販品を使用する場合に
は固形分換算量と実質的に一致する)として0.01〜
1.0重量部であり、好ましくは0.04〜0.45重量部、
より好ましくは0.05〜0.25重量部である。
【0015】超微粉とは水に不溶性或いは難溶性の平均
粒径が5μ以下の粉体であり、シリカヒューム、フライ
アッシュ、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニ
ウムなどが挙げられるが、シリコン、含シリコン合金製
造の際に副生するシリカヒュームが特に好ましい。超微
粉はセメント粒子とセメント粒子との間隙に充填され、
セメント凝固体を緻密化し、その強度を増大させる。本
発明の高性能セメント減水剤と併用すると水/セメント
比が大きくても充分な強度を発現することができ、ホー
スの長さをより延長することができる。その使用量はセ
メント100重量部に対し2〜7重量部である。10重
量部を越えると作業性が低下し、2重量部未満では効果
が不充分である。超微粉は前もって20〜50重量%の
スラリー或いはペースト状にしたものを用いると取扱い
が容易である。
粒径が5μ以下の粉体であり、シリカヒューム、フライ
アッシュ、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニ
ウムなどが挙げられるが、シリコン、含シリコン合金製
造の際に副生するシリカヒュームが特に好ましい。超微
粉はセメント粒子とセメント粒子との間隙に充填され、
セメント凝固体を緻密化し、その強度を増大させる。本
発明の高性能セメント減水剤と併用すると水/セメント
比が大きくても充分な強度を発現することができ、ホー
スの長さをより延長することができる。その使用量はセ
メント100重量部に対し2〜7重量部である。10重
量部を越えると作業性が低下し、2重量部未満では効果
が不充分である。超微粉は前もって20〜50重量%の
スラリー或いはペースト状にしたものを用いると取扱い
が容易である。
【0016】本発明に使用する吹付機械は特に限定はな
く、一般に市販されているものを使用できる。すなわ
ち、セメントと骨材の混合物を投入できるホッパーと、
投入された混合物に減水剤、超微粉スラリーなどの混和
剤を配合した水或いは通常の水を加えて混合する撹拌機
と撹拌スペースと、撹拌のための駆動モーターと得られ
た吹付モルタルをコンプレッサーから送られる圧縮空気
と共に圧送する吐出口とを備えたものであればよい。
く、一般に市販されているものを使用できる。すなわ
ち、セメントと骨材の混合物を投入できるホッパーと、
投入された混合物に減水剤、超微粉スラリーなどの混和
剤を配合した水或いは通常の水を加えて混合する撹拌機
と撹拌スペースと、撹拌のための駆動モーターと得られ
た吹付モルタルをコンプレッサーから送られる圧縮空気
と共に圧送する吐出口とを備えたものであればよい。
【0017】
【作用】本発明は空気圧送機の設置場所にも苦労する山
間部の法面などにコンクリート層やモルタル層を打設す
るに際し、スラリー圧送用の長いホースの使用を可能に
するものである。長いホース内においてはセメントスラ
リーの分離、ホースへの粘着性などに起因してホースの
脈動により人命の危険が生じる。本発明は、従来使用で
きなかった或いはたとえ使用しても材料配合比を変えて
吹付けられたモルタルやコンクリートの強度を低下させ
ていた長いホースを、充分な強度を維持しつつ、脈動を
防止して使用可能にしたものである。
間部の法面などにコンクリート層やモルタル層を打設す
るに際し、スラリー圧送用の長いホースの使用を可能に
するものである。長いホース内においてはセメントスラ
リーの分離、ホースへの粘着性などに起因してホースの
脈動により人命の危険が生じる。本発明は、従来使用で
きなかった或いはたとえ使用しても材料配合比を変えて
吹付けられたモルタルやコンクリートの強度を低下させ
ていた長いホースを、充分な強度を維持しつつ、脈動を
防止して使用可能にしたものである。
【0018】すなわち、高性能セメント減水剤の中でも
オキシエチレン基を有するポリカルボン酸系セメント減
水剤が、特に有効であることを見出して完成したもので
ある。オキシエチレン基を有するポリカルボン酸系セメ
ント減水剤は、その減水性能のみをみれば、他のポリカ
ルボン酸系セメント減水剤との間に有意の差が認められ
ないが、本発明のような長いホースを用いた湿式吹付に
使用する場合には、ホース内における材料分離を防止す
る特有の効果を有する。
オキシエチレン基を有するポリカルボン酸系セメント減
水剤が、特に有効であることを見出して完成したもので
ある。オキシエチレン基を有するポリカルボン酸系セメ
ント減水剤は、その減水性能のみをみれば、他のポリカ
ルボン酸系セメント減水剤との間に有意の差が認められ
ないが、本発明のような長いホースを用いた湿式吹付に
使用する場合には、ホース内における材料分離を防止す
る特有の効果を有する。
【0019】本発明の高性能減水剤に超微粉を併用する
ことにより、更に長いホースによる吹付けが強度を低下
させることなく可能になり、水/セメント比やセメン
ト:骨材比を適正に保ちつつ250mにも達する長いホ
ースを用いた湿式吹付モルタルの施工法によって高強度
のモルタルやコンクリートを打設することが可能になっ
た。
ことにより、更に長いホースによる吹付けが強度を低下
させることなく可能になり、水/セメント比やセメン
ト:骨材比を適正に保ちつつ250mにも達する長いホ
ースを用いた湿式吹付モルタルの施工法によって高強度
のモルタルやコンクリートを打設することが可能になっ
た。
【0020】
【実施例】実施例1及び比較例1 普通ポルトランドセメント(比重3.15)、細骨材(山
形県長井市寺泉産の川砂(比重2.58)及び水道水を用
いて水/セメント比56%、セメント:細骨材比1:4
の吹付モルタルを調製した。これは従来から使用されて
いた吹付モルタルであり、これを比較例1とした。水道
水に、ポリカルボン酸系セメント減水剤(日本触媒化学
(株)製FC−600S)を配合した混練水を用い、比
較例1と同様の流動性が得られるように混練水量を増減
した以外は比較例1と同様にして表1に示す実験No.1
から実験No.8の吹付モルタルを調製した。
形県長井市寺泉産の川砂(比重2.58)及び水道水を用
いて水/セメント比56%、セメント:細骨材比1:4
の吹付モルタルを調製した。これは従来から使用されて
いた吹付モルタルであり、これを比較例1とした。水道
水に、ポリカルボン酸系セメント減水剤(日本触媒化学
(株)製FC−600S)を配合した混練水を用い、比
較例1と同様の流動性が得られるように混練水量を増減
した以外は比較例1と同様にして表1に示す実験No.1
から実験No.8の吹付モルタルを調製した。
【0021】混練・吹付機(ガン1)として、三和式S
4C−1T(空気圧送式)、容量17.0m3 /分のコン
プレッサー、電動計量機及び7mのベルトコンベアを用
い、これらを10KVAの発電機で駆動させた。先端に
ノズルを有する内径42mmのホースを用い、幅300m
m、高さ300mm、長さ1000mmの型枠をブルーシー
ト上に置き、各種配合のモルタルを上記ガンのノズル先
端より型枠が一杯になるまで吹付け、現場養生した。ホ
ースは長さ100mと160mの2種のホースを用い
た。
4C−1T(空気圧送式)、容量17.0m3 /分のコン
プレッサー、電動計量機及び7mのベルトコンベアを用
い、これらを10KVAの発電機で駆動させた。先端に
ノズルを有する内径42mmのホースを用い、幅300m
m、高さ300mm、長さ1000mmの型枠をブルーシー
ト上に置き、各種配合のモルタルを上記ガンのノズル先
端より型枠が一杯になるまで吹付け、現場養生した。ホ
ースは長さ100mと160mの2種のホースを用い
た。
【0022】吹付3日経過後に、吹付体の表面の長さ方
向中心線を中心にして等間隔に4個の直径100mmの円
筒状コアを表面から垂直に切り取り(長さ約300m
m)、翌日に両端を切断して長さ200mm、直径100m
mの供試体を得、この供試体について圧縮強度を測定
し、表1に併記した。1週間後の強度は現場養生であ
り、4週間後の強度は長さ200mm、直径100mmの供
試体を上記方法で得た後、水中に浸漬して以後水中養生
した供試体の圧縮強度である。
向中心線を中心にして等間隔に4個の直径100mmの円
筒状コアを表面から垂直に切り取り(長さ約300m
m)、翌日に両端を切断して長さ200mm、直径100m
mの供試体を得、この供試体について圧縮強度を測定
し、表1に併記した。1週間後の強度は現場養生であ
り、4週間後の強度は長さ200mm、直径100mmの供
試体を上記方法で得た後、水中に浸漬して以後水中養生
した供試体の圧縮強度である。
【0023】
【表1】
【0024】表1及び後述する表2、表3における分離
抵抗性はノズルから吐出したモルタルを吹付けてその均
一状態を目視して以下の基準で判定した。 ◎: きわめて均一な状態 ○: 均一な状態 △: 多少の分離がみられる状態 ×: 作業不可能なまでに分離している状態 また、作業性は次の基準で判定した。 ◎:ホースの脈動が全くなく、安心して作業ができる。 ○:わずかに脈動を感じるが作業に差支えない。 △:脈動はあるが、作業可能な程度である。 ×:作業不可能な程度に脈動がある。
抵抗性はノズルから吐出したモルタルを吹付けてその均
一状態を目視して以下の基準で判定した。 ◎: きわめて均一な状態 ○: 均一な状態 △: 多少の分離がみられる状態 ×: 作業不可能なまでに分離している状態 また、作業性は次の基準で判定した。 ◎:ホースの脈動が全くなく、安心して作業ができる。 ○:わずかに脈動を感じるが作業に差支えない。 △:脈動はあるが、作業可能な程度である。 ×:作業不可能な程度に脈動がある。
【0025】比較例2 ポリカルボン酸系高性能減水剤として日本ゼオン(株)
製、ワーク500(マレイン酸と炭素数5の不飽和炭化
水素との共重合体)をセメント100重量部に対し0.2
0重量部配合した以外は実施例1と同様に試験を行い、
その結果を比較例1、実施例1の実験No.5と共に表2
に記載した。
製、ワーク500(マレイン酸と炭素数5の不飽和炭化
水素との共重合体)をセメント100重量部に対し0.2
0重量部配合した以外は実施例1と同様に試験を行い、
その結果を比較例1、実施例1の実験No.5と共に表2
に記載した。
【0026】
【表2】
【0027】実施例2 超微粉としてシリカヒュームの20%スラリーを用い、
このスラリーをセメント100重量部に対し、表3に示
す割合で配合した以外は実施例1と同様にして吹付及び
試験を行い、その結果を表3に示した。
このスラリーをセメント100重量部に対し、表3に示
す割合で配合した以外は実施例1と同様にして吹付及び
試験を行い、その結果を表3に示した。
【0028】
【表3】
【0029】実施例3 ホースの長さを220mとした以外は実施例1と同様の
機械器具を用い、比較例1及び実施例1の実験No.5の
配合の吹付モルタルを吹付けて実施例1と同様にして試
験を行った。比較例1の場合には材料の分離及び脈動が
著しく作業不可能であった。実施例1の実験No.5の場
合には材料分離が少なく、脈動を感じるが作業には影響
のない程度であった。吹付けたモルタルの圧縮強度を実
施例1と同様にして測定したところ、4週後の圧縮強度
は336 kgf/cm2 であった。
機械器具を用い、比較例1及び実施例1の実験No.5の
配合の吹付モルタルを吹付けて実施例1と同様にして試
験を行った。比較例1の場合には材料の分離及び脈動が
著しく作業不可能であった。実施例1の実験No.5の場
合には材料分離が少なく、脈動を感じるが作業には影響
のない程度であった。吹付けたモルタルの圧縮強度を実
施例1と同様にして測定したところ、4週後の圧縮強度
は336 kgf/cm2 であった。
【0030】
【発明の効果】空気圧送式の湿式吹付モルタルにオキシ
エチレン基を有するポリカルボン酸系セメント減水剤を
配合する本発明により、長いホースを通過させても吹付
モルタルの均一性を維持できると共に、足場の悪い場所
においても安全に高強度のモルタルを吹付けることがで
きる。更に、超微粉を本発明のセメント減水剤と併用す
ることにより、より高強度のモルタルやコンクリート吹
付層を得ることができる。
エチレン基を有するポリカルボン酸系セメント減水剤を
配合する本発明により、長いホースを通過させても吹付
モルタルの均一性を維持できると共に、足場の悪い場所
においても安全に高強度のモルタルを吹付けることがで
きる。更に、超微粉を本発明のセメント減水剤と併用す
ることにより、より高強度のモルタルやコンクリート吹
付層を得ることができる。
【図1】図1は湿式吹付モルタルを用いた作業状態を示
す説明図である。
す説明図である。
1 ガン 2 ノズル 3 ホース 4 崖面 5 骨材 6 計量器 7 ミキサー 8 セメント 9 水槽 10 コンプレッサー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特公 平5−18972(JP,B2)
Claims (3)
- 【請求項1】 セメント、骨材及び水を配合混練してな
る吹付モルタルを、ホースを介して空気圧送してノズル
先端から吹付け、施工面にモルタル層を設ける工法に使
用する吹付モルタルであって、上記吹付モルタルがセメ
ント100重量部に対し、オキシエチレン基を有するポ
リカルボン酸系セメント減水剤成分が、0.01〜0.
3重量部配合されていることを特徴とする空気圧送式湿
式吹付モルタル。 - 【請求項2】 オキシエチレン基を有するポリカルボン
酸系セメント減水剤成分の、オキシエチレン基含有量が
50重量%以上であることを特徴とする請求項1記載の
空気圧送式湿式吹付モルタル。 - 【請求項3】 セメント、骨材及び水を配合混練してな
る吹付モルタルを、ホースを介して空気圧送してノズル
先端から吹付け、施工面にモルタル層を設ける工法に使
用する吹付モルタルであって、上記吹付モルタルがセメ
ント100重量部に対し、オキシエチレン基を有するポ
リカルボン酸系セメント減水剤成分、0.01〜1.0
重量部と超微粉2〜7重量部が配合されていることを特
徴とする空気圧送式湿式吹付モルタル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5314023A JP2571186B2 (ja) | 1993-11-22 | 1993-11-22 | 空気圧送式湿式吹付モルタル |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5314023A JP2571186B2 (ja) | 1993-11-22 | 1993-11-22 | 空気圧送式湿式吹付モルタル |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07138961A JPH07138961A (ja) | 1995-05-30 |
JP2571186B2 true JP2571186B2 (ja) | 1997-01-16 |
Family
ID=18048282
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5314023A Expired - Fee Related JP2571186B2 (ja) | 1993-11-22 | 1993-11-22 | 空気圧送式湿式吹付モルタル |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2571186B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
TWI448687B (zh) * | 2008-05-06 | 2014-08-11 | Colgate Palmolive Co | 測定化合物於細胞反應性氧物質製造之影響的方法 |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5955370A (ja) * | 1982-09-22 | 1984-03-30 | Gijutsu Shigen Kaihatsu Kk | コンクリ−ト等湿状資料の吹付け方法 |
JPS62119147A (ja) * | 1985-11-19 | 1987-05-30 | 株式会社日本触媒 | セメント分散剤 |
JPS62216950A (ja) * | 1986-03-16 | 1987-09-24 | 竹本油脂株式会社 | セメント用分散剤 |
JPS63206570A (ja) * | 1987-02-18 | 1988-08-25 | 東急建設株式会社 | 吹き付けコンクリ−トの製造装置 |
JPH0518972A (ja) * | 1991-07-12 | 1993-01-26 | Eiken Chem Co Ltd | 免疫学的測定用試薬の前処理方法 |
JPH0553743A (ja) * | 1991-08-28 | 1993-03-05 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | ガイダンス表示装置 |
-
1993
- 1993-11-22 JP JP5314023A patent/JP2571186B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07138961A (ja) | 1995-05-30 |
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Legal Events
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---|---|---|---|
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