JP2569341B2 - 電子波動リング - Google Patents
電子波動リングInfo
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- JP2569341B2 JP2569341B2 JP62253364A JP25336487A JP2569341B2 JP 2569341 B2 JP2569341 B2 JP 2569341B2 JP 62253364 A JP62253364 A JP 62253364A JP 25336487 A JP25336487 A JP 25336487A JP 2569341 B2 JP2569341 B2 JP 2569341B2
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Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、放射光を得るための電子蓄積リングに関
し、特にX線リソグラフィの光源に適した照射面積の広
い放射光を得るようにした電子波動リングに関する。
し、特にX線リソグラフィの光源に適した照射面積の広
い放射光を得るようにした電子波動リングに関する。
[従来の技術] 電子蓄積リング内における電子ビームの偏向に伴って
放射される放射光は、極めて強力でかつ指向特性が良好
なことから、微細パターンの焼き付けを行うX線リソグ
ラフィの露光光源に適している。しかし、焼き付け露光
に必要となる、大面積のX線放射光は得られないので、
従来より、電子蓄積リングにて広い照射面積の放射光を
得るのための研究がなされていて、例えば“X線発生装
置”(特願昭58−175517号)、“電子波動リング”(特
願昭58−178984号)、“シンクロトロン放射光取出方法
及びその方法を用いる電子波動リング”(特願昭60−27
9905号)や“電子波動リング”(特願昭60−39778号)
等に開示されており、ここで、“電子波動リング”(特
願昭58−178984号)を参考として以下に述べる。
放射される放射光は、極めて強力でかつ指向特性が良好
なことから、微細パターンの焼き付けを行うX線リソグ
ラフィの露光光源に適している。しかし、焼き付け露光
に必要となる、大面積のX線放射光は得られないので、
従来より、電子蓄積リングにて広い照射面積の放射光を
得るのための研究がなされていて、例えば“X線発生装
置”(特願昭58−175517号)、“電子波動リング”(特
願昭58−178984号)、“シンクロトロン放射光取出方法
及びその方法を用いる電子波動リング”(特願昭60−27
9905号)や“電子波動リング”(特願昭60−39778号)
等に開示されており、ここで、“電子波動リング”(特
願昭58−178984号)を参考として以下に述べる。
第2図において、1(B1〜B8)は、電子蓄積リング10
の4隅に2個づつ設けられた偏向電磁石であり、偏向角
度が45°,軌道半径が0.7mで縦方向の集束力を与えるよ
うに、端面が該リングの直線部と12°の角度をなし、か
つフィールドインデックスnが0.47となっている。2
は、電子ビーム入射用のセプタム電磁石であり、3は、
軌道修正用のキッカーコイルであり、4は、高周波加速
空洞であり、電子ビームの偏向によるシンクロトロン放
射の結果低下する運動エネルギーを補う。5は、水平方
向の集束力を持つ横集束4極電磁石であり、6は、垂直
方向の集束力を持つ縦集束4極電磁石であり、7は、水
平方向の磁場を発生する波動用電磁石である。
の4隅に2個づつ設けられた偏向電磁石であり、偏向角
度が45°,軌道半径が0.7mで縦方向の集束力を与えるよ
うに、端面が該リングの直線部と12°の角度をなし、か
つフィールドインデックスnが0.47となっている。2
は、電子ビーム入射用のセプタム電磁石であり、3は、
軌道修正用のキッカーコイルであり、4は、高周波加速
空洞であり、電子ビームの偏向によるシンクロトロン放
射の結果低下する運動エネルギーを補う。5は、水平方
向の集束力を持つ横集束4極電磁石であり、6は、垂直
方向の集束力を持つ縦集束4極電磁石であり、7は、水
平方向の磁場を発生する波動用電磁石である。
次に上記構成の電子蓄積リング10の動作を説明する。
入射用セプタム電磁石2に対して入射された電子は、
該セプタム電磁石2に印加されるパルス電流による発生
磁場により、所定のビーム軌道に偏向される。このと
き、キッカーコイル3にパルス電流を流し、電子ビーム
の軌道が所定のビーム軌道から逸脱しないように修正す
る。
該セプタム電磁石2に印加されるパルス電流による発生
磁場により、所定のビーム軌道に偏向される。このと
き、キッカーコイル3にパルス電流を流し、電子ビーム
の軌道が所定のビーム軌道から逸脱しないように修正す
る。
さて、リング10内を周回する電子ビームは、偏向電磁
石1の発生磁場により偏向され、その折りにX線放射光
が放射される。第3図に示すように、偏向する電子ビー
ムより放射されるシンクロトロン放射光の電子軌道面に
垂直な方向への発散角ψは、次式のごとく電子のエネル
ギーEに反比例する。
石1の発生磁場により偏向され、その折りにX線放射光
が放射される。第3図に示すように、偏向する電子ビー
ムより放射されるシンクロトロン放射光の電子軌道面に
垂直な方向への発散角ψは、次式のごとく電子のエネル
ギーEに反比例する。
ψ≒2γ-1=2m0C2/E ここでm0は電子の静止時の質量、Cは光速、m0C2は電子
の静止エネルギーを表す。
の静止エネルギーを表す。
これより、電子エネルギーが高くなるにつれて発散角
ψが小さくなり、つまり、放射光の照射領域は垂直方向
に狭くなるとがわかる。一方、上記波動用電磁石7によ
り水平方向の磁場を発生させれば、電子ビームは摂動を
受けて定常的に波打つ変形閉軌道となり、安定した波動
の節が生ずるようになる。この波動現象を用い、電子ビ
ームの波動最大箇所あるいは節から放射光を取り出すよ
うにすれば、得られる放射光の照射領域は上下方向に拡
大されるようになる。
ψが小さくなり、つまり、放射光の照射領域は垂直方向
に狭くなるとがわかる。一方、上記波動用電磁石7によ
り水平方向の磁場を発生させれば、電子ビームは摂動を
受けて定常的に波打つ変形閉軌道となり、安定した波動
の節が生ずるようになる。この波動現象を用い、電子ビ
ームの波動最大箇所あるいは節から放射光を取り出すよ
うにすれば、得られる放射光の照射領域は上下方向に拡
大されるようになる。
セプタム電磁石2が設置されているリング直線部の中
心をS=0mとし、ビーム軌跡上で電子の進行方向に沿っ
たS=3.7mの箇所に波動用電磁石7を配し、この電磁石
7により、電子ビームに対し1mradのキック角を与えた
とき、第4図に示すように、電子ビームの軌跡上のS=
0m及びS=7.5mの箇所に波動の節が生じる。この時の垂
直方向のベータトロン振動数νz=1.2である。前記キ
ック角は、波動用電磁石の励磁電流に比例し、蓄積電子
の安定軌道Q0からの変位Z及び、その変位の変化を示す
傾き角Z′(側方から見た図5に示すように、波動させ
た軌道Q1(Q2)の接線方向、つまり照射方向と、安定軌
道Q0を含む安定軌道面となす角度)は、キック角に比例
するので、励磁電流を増せば変位Z及び傾き角Z′の値
は増大し、つまり放射光の照射領域が大きくなる。よっ
て、この装置は、大面積露光を要するX線リソグラフィ
の光源に適していることがわかる。
心をS=0mとし、ビーム軌跡上で電子の進行方向に沿っ
たS=3.7mの箇所に波動用電磁石7を配し、この電磁石
7により、電子ビームに対し1mradのキック角を与えた
とき、第4図に示すように、電子ビームの軌跡上のS=
0m及びS=7.5mの箇所に波動の節が生じる。この時の垂
直方向のベータトロン振動数νz=1.2である。前記キ
ック角は、波動用電磁石の励磁電流に比例し、蓄積電子
の安定軌道Q0からの変位Z及び、その変位の変化を示す
傾き角Z′(側方から見た図5に示すように、波動させ
た軌道Q1(Q2)の接線方向、つまり照射方向と、安定軌
道Q0を含む安定軌道面となす角度)は、キック角に比例
するので、励磁電流を増せば変位Z及び傾き角Z′の値
は増大し、つまり放射光の照射領域が大きくなる。よっ
て、この装置は、大面積露光を要するX線リソグラフィ
の光源に適していることがわかる。
[発明が解決しようとする問題点] ところが、第4図より明らかなように、偏向電磁石に
設けられる各ビームラインで変位Z及び傾き角Z′のそ
れぞれ異なるシンクロトロン放射光が放射されることに
なるが、前記傾き角Z′が0でないならば、発光点(ビ
ーム)から離れるにつれて、放射光が照射される高さは
水平面(安定軌道面)から大きくずれる。従って照射高
さを同じにするには、傾き角Z′に応じて発光点から照
射位置までの距離(所望の照射領域を得るために設定さ
れるこの距離をビームライン長Lと呼ぶ)を変えなけれ
ばならならず、ビームライン長Lが一定では、有効に利
用できないビームラインも生じ得た。又、与えられたキ
ック角に対して変位Z及び傾き角Z′の変化が小さく、
波動用電磁石の負担が大きくなった。
設けられる各ビームラインで変位Z及び傾き角Z′のそ
れぞれ異なるシンクロトロン放射光が放射されることに
なるが、前記傾き角Z′が0でないならば、発光点(ビ
ーム)から離れるにつれて、放射光が照射される高さは
水平面(安定軌道面)から大きくずれる。従って照射高
さを同じにするには、傾き角Z′に応じて発光点から照
射位置までの距離(所望の照射領域を得るために設定さ
れるこの距離をビームライン長Lと呼ぶ)を変えなけれ
ばならならず、ビームライン長Lが一定では、有効に利
用できないビームラインも生じ得た。又、与えられたキ
ック角に対して変位Z及び傾き角Z′の変化が小さく、
波動用電磁石の負担が大きくなった。
この発明は、上述したような問題点をなくすためにな
されたものであり、各偏向電磁石より一定でかつ大面積
の放射光を得ることのできる電子波動リングを提供する
ことを目的とする。
されたものであり、各偏向電磁石より一定でかつ大面積
の放射光を得ることのできる電子波動リングを提供する
ことを目的とする。
[問題点を解決するための手段] この発明の電子波動リングは、偏向電磁石を電子軌道
上に所定数配し、これらの偏向電磁石の間に、電子を水
平方向,垂直方向に集束させるための所定数の4極電磁
石と、電子を加速するための高周波加速空洞と、水平方
向の磁場を発生る波動用電磁石とを設けた、電子の偏向
に伴って生じる放射光を得るための電子波動リングであ
って、前記波動用電磁石よりの発生磁場でもって電子に
垂直波動運動を起こさせた際に、前記偏向電磁石部にお
ける電子の変位及び傾き角が等しくなるように構成して
いる。
上に所定数配し、これらの偏向電磁石の間に、電子を水
平方向,垂直方向に集束させるための所定数の4極電磁
石と、電子を加速するための高周波加速空洞と、水平方
向の磁場を発生る波動用電磁石とを設けた、電子の偏向
に伴って生じる放射光を得るための電子波動リングであ
って、前記波動用電磁石よりの発生磁場でもって電子に
垂直波動運動を起こさせた際に、前記偏向電磁石部にお
ける電子の変位及び傾き角が等しくなるように構成して
いる。
[作用] リング中の蓄積電子の安定軌道を座標の原点にとり、
電子の進行方向に沿ったS1の位置に水平方向磁場を発生
する波動用電磁石を設置し、角度ψkのキック角を垂直
方向に与えた場合のS点における電子の安定軌道からの
変位Z(S)及び傾き角Z′(S)は、 で表される。ここで、βz(S)は垂直方向ベータトロ
ン関数、νzは垂直方向ベータトロン振動数、φz
(S)は、 φz(S)=▲∫S 0▼ds/βz(S) …… で示されるベータトロン振動の位相の進み、αzはαz
(S)=−β′(S)/2で示されるツイスパラメータで
ある。
電子の進行方向に沿ったS1の位置に水平方向磁場を発生
する波動用電磁石を設置し、角度ψkのキック角を垂直
方向に与えた場合のS点における電子の安定軌道からの
変位Z(S)及び傾き角Z′(S)は、 で表される。ここで、βz(S)は垂直方向ベータトロ
ン関数、νzは垂直方向ベータトロン振動数、φz
(S)は、 φz(S)=▲∫S 0▼ds/βz(S) …… で示されるベータトロン振動の位相の進み、αzはαz
(S)=−β′(S)/2で示されるツイスパラメータで
ある。
式より、垂直方向ベータトロン振動数νzが0.5<
νz<1.5(νz≠1)の範囲では波動の節が2箇所生
じ、1.5<νz<2.5(νz≠2)の範囲では、波動の節
が4箇所生じることがわかる。波動の節を4箇所で形成
する場合において、各偏向電磁石における変位Z及び傾
き角Z′を同じにするには、後で参照する第1図で示さ
れるように、リングの直線部の中央部で波動の節(極小
値)が生じ、かつ4隅に設置された一対の偏向電磁石
(5,6)の間の短い直線部で極大値が生じるような垂直
方向ベータトロン関数を選べばよいことがわかる。
νz<1.5(νz≠1)の範囲では波動の節が2箇所生
じ、1.5<νz<2.5(νz≠2)の範囲では、波動の節
が4箇所生じることがわかる。波動の節を4箇所で形成
する場合において、各偏向電磁石における変位Z及び傾
き角Z′を同じにするには、後で参照する第1図で示さ
れるように、リングの直線部の中央部で波動の節(極小
値)が生じ、かつ4隅に設置された一対の偏向電磁石
(5,6)の間の短い直線部で極大値が生じるような垂直
方向ベータトロン関数を選べばよいことがわかる。
ところで式より、ベータトロン関数βz(S)の大
きい所は“位相の進み”が小さく、逆に小さい所では位
相の進みが大きくなることから、その位相の進みを考慮
して、波動用電磁石7の設置場所を選定すれば、式の
cos関数が0になる節の位置をすべてリングの長直線部
の中央部に作り、かつ4隅に設置された一対の偏向電磁
石(5,6)の間の短い直線部で極大値を作ることができ
る。
きい所は“位相の進み”が小さく、逆に小さい所では位
相の進みが大きくなることから、その位相の進みを考慮
して、波動用電磁石7の設置場所を選定すれば、式の
cos関数が0になる節の位置をすべてリングの長直線部
の中央部に作り、かつ4隅に設置された一対の偏向電磁
石(5,6)の間の短い直線部で極大値を作ることができ
る。
このように構成された電子波動リングは、すべての偏
向電磁石における変位Z及び傾き角Z′を等しくするこ
とができる。
向電磁石における変位Z及び傾き角Z′を等しくするこ
とができる。
[実施例] 電子波動リングが産業用の放射光装置として普及して
ゆくためには、上述も問題点を解消し、利用に供し得る
ビームライン当たりの装置コストを低減するとともに、
各ビームラインでのリソグラフィ条件、例えば露光条件
等を一定にする必要がある。
ゆくためには、上述も問題点を解消し、利用に供し得る
ビームライン当たりの装置コストを低減するとともに、
各ビームラインでのリソグラフィ条件、例えば露光条件
等を一定にする必要がある。
従来例と同様の電子波動リングを用いているが、垂直
方向ベータトロン振動数νzを1.8としたとき(この値
は、横集束4極電磁石5及び縦集束4極電磁石6による
発生磁場を変化させることにより、可変である)、波動
用電磁石7をS=4.8mの箇所に設置し、1mradのキック
角を与えた場合の蓄積電子の安定軌道からの変位Z及び
傾き角Z′を第1図に示している。この第1図で注目す
べきことは、すべての偏向電磁石1(B1〜B8)における
変位Z及び傾き角Z′の絶対値がそれぞれほぼ等しくな
っていることである。ここで“絶対値”と述べたのは、
波動用電磁石7へは交流動作する励磁電流を流すためで
ある。この実施例のように、波動の節が4箇所生じる垂
直方向ベータトロン振動数νzの範囲(1.5<νz<2.
5、νz≠2)を選択し、そして、波動用電磁石7を適
した箇所に設置することにより、すべてのビームライン
において変位Z及び傾き角Z′を等しくできる。
方向ベータトロン振動数νzを1.8としたとき(この値
は、横集束4極電磁石5及び縦集束4極電磁石6による
発生磁場を変化させることにより、可変である)、波動
用電磁石7をS=4.8mの箇所に設置し、1mradのキック
角を与えた場合の蓄積電子の安定軌道からの変位Z及び
傾き角Z′を第1図に示している。この第1図で注目す
べきことは、すべての偏向電磁石1(B1〜B8)における
変位Z及び傾き角Z′の絶対値がそれぞれほぼ等しくな
っていることである。ここで“絶対値”と述べたのは、
波動用電磁石7へは交流動作する励磁電流を流すためで
ある。この実施例のように、波動の節が4箇所生じる垂
直方向ベータトロン振動数νzの範囲(1.5<νz<2.
5、νz≠2)を選択し、そして、波動用電磁石7を適
した箇所に設置することにより、すべてのビームライン
において変位Z及び傾き角Z′を等しくできる。
又、第6図に示されるように、所要の照射スキャン幅
Wを得るには、各偏向電磁石部における電子の変位Z及
び傾き角Z′が同符号の場合は、第6図の上図にあるよ
うに、ビームライン長L1であるのに対して、電子の変位
Z及び傾き角Z′が異符号の場合は、第6図の下図にあ
るように、ビームライン長L2となり、長くなる。
Wを得るには、各偏向電磁石部における電子の変位Z及
び傾き角Z′が同符号の場合は、第6図の上図にあるよ
うに、ビームライン長L1であるのに対して、電子の変位
Z及び傾き角Z′が異符号の場合は、第6図の下図にあ
るように、ビームライン長L2となり、長くなる。
又、図7に示すように、位置Z1からのP方向の放射光
は、1/γ(γはローレンツ因子)の大きさで拡がってい
るため、位置Z0(=0)からの水平方向の照射光と、位
置Z1からの放射光とが、照射面上において、E1で示す光
到達点の誤差があるのに対して、−Z1の位置からのP方
向の放射光では、E2(>E1)の誤差が生じる。ここで許
容される誤差Eに対応する変位Zを許容垂直ビームサイ
ズと呼ぶが、−Z1のように異符号の方が小さい許容垂直
ビームサイズが要求される。従って長いビームラインを
必要とする異符号の場合に対し、|Z(S)|と|Z′
(S)|とが各偏向電磁石で同程度ならば、許容垂直ビ
ームサイズを同符号の場合とほぼ一致させることができ
る。このことは、波動リングシステム上非常に好都合と
なる。
は、1/γ(γはローレンツ因子)の大きさで拡がってい
るため、位置Z0(=0)からの水平方向の照射光と、位
置Z1からの放射光とが、照射面上において、E1で示す光
到達点の誤差があるのに対して、−Z1の位置からのP方
向の放射光では、E2(>E1)の誤差が生じる。ここで許
容される誤差Eに対応する変位Zを許容垂直ビームサイ
ズと呼ぶが、−Z1のように異符号の方が小さい許容垂直
ビームサイズが要求される。従って長いビームラインを
必要とする異符号の場合に対し、|Z(S)|と|Z′
(S)|とが各偏向電磁石で同程度ならば、許容垂直ビ
ームサイズを同符号の場合とほぼ一致させることができ
る。このことは、波動リングシステム上非常に好都合と
なる。
更に、従来例と異なる電磁石配列、例えば、リング内
を周回する波動電子における周期数が偶数nで、かつ偏
向電磁石数を2nとしたリング構成で、垂直方向ベータト
ロン振動数νzが(n/2−1/2)<νz<(n/2+1/2)
(但しνz≠n/2)を満たすリングにおいても、変位Z
及び傾き角Z′を等しくすることができる。
を周回する波動電子における周期数が偶数nで、かつ偏
向電磁石数を2nとしたリング構成で、垂直方向ベータト
ロン振動数νzが(n/2−1/2)<νz<(n/2+1/2)
(但しνz≠n/2)を満たすリングにおいても、変位Z
及び傾き角Z′を等しくすることができる。
[発明の効果] この発明は、X線リソグラフィ光源として電子波動リ
ングを用いるときに、節がリング直線部波動の中央に生
じる垂直ベータトロン振動数とし、かつ、波動用電磁石
の設置位置を選ぶことにより、各偏向電磁石における蓄
積電子の変位及びその傾き角は等しくなり、それ故、す
べてのビームラインが有効に利用でき、また露光システ
ム構成が簡略化される。
ングを用いるときに、節がリング直線部波動の中央に生
じる垂直ベータトロン振動数とし、かつ、波動用電磁石
の設置位置を選ぶことにより、各偏向電磁石における蓄
積電子の変位及びその傾き角は等しくなり、それ故、す
べてのビームラインが有効に利用でき、また露光システ
ム構成が簡略化される。
第1図はこの発明の電子波動リングの1実施例を示す電
子の変位及び傾き角の図、第2図は、電子波動リングの
概略構成を示す平面図、第3図は、電子波動リングから
の放射光の放射角を示す図、第4図は、従来の電子波動
リングにおける電子の変位及び傾き角を示す図、第5図
は変位およびビームライン長の説明に用いた図、第6図
は、変位と傾き角とが同符号と異符号とでビームライン
長が異なることの説明に用いた図、第7図は、許容垂直
ビームサイズの説明に用いた図である。 1……偏向電磁石、2……セプタム電磁石、3……キッ
カーコイル、4……高周波加速空洞、5……横集束4極
電磁石、6……縦集束4極電磁石、7……波動用電磁
石、10……電子波動リング。
子の変位及び傾き角の図、第2図は、電子波動リングの
概略構成を示す平面図、第3図は、電子波動リングから
の放射光の放射角を示す図、第4図は、従来の電子波動
リングにおける電子の変位及び傾き角を示す図、第5図
は変位およびビームライン長の説明に用いた図、第6図
は、変位と傾き角とが同符号と異符号とでビームライン
長が異なることの説明に用いた図、第7図は、許容垂直
ビームサイズの説明に用いた図である。 1……偏向電磁石、2……セプタム電磁石、3……キッ
カーコイル、4……高周波加速空洞、5……横集束4極
電磁石、6……縦集束4極電磁石、7……波動用電磁
石、10……電子波動リング。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高田 博史 大阪府大阪市此花区島屋1丁目1番3号 住友電気工業株式会社大阪製作所内 審査官 江塚 政弘
Claims (8)
- 【請求項1】偏向電磁石を電子軌道上に所定数配し、こ
れらの偏向電磁石の間に、電子を水平方向,垂直方向に
集束させるための所定数の4極電磁石と、電子を加速す
るための高周波加速空洞と、水平方向の磁場を発生する
波動用電磁石とを設けた、電子の偏向に伴って生じる放
射光を得るための電子波動リングであって、前記波動用
電磁石よりの発生磁場でもって電子に垂直波動運動を起
こさせた際に、前記偏向電磁石部における電子の変位及
び傾き角が等しくなるように構成したことを特徴とする
電子波動リング。 - 【請求項2】1個の波動用電磁石が設けられ、該波動用
電磁石が正弦波,台形波もしくは3角波の電流で駆動さ
れる特許請求の範囲第1項記載の電子波動リング。 - 【請求項3】リング内を周回する波動電子における周期
数が偶数nで、かつ偏向電磁石数を2nとしたリング構成
で、垂直方向ベータトロン振動数νzが(n/2−1/2)<
νz<(n/2+1/2)(但しνz≠n/2)を満たす特許請
求の範囲第1項記載の電子波動リング。 - 【請求項4】リング直線部の中央に波動の節を生じさせ
る特許請求の範囲第1項記載の電子波動リング。 - 【請求項5】リング直線部の中央に波動の節を生じさせ
るために、位相進みの制御が容易な垂直ベータトロン関
数を持つ電流にて4極電磁石を駆動する特許請求の範囲
第4項記載の電子波動リング。 - 【請求項6】リング直線部の中央に波動の節を生じさせ
るよう、波動用電磁石の設置場所の最適化を図った特許
請求の範囲第4項記載の電子波動リング。 - 【請求項7】各偏向電磁石部における電子の変位及び傾
き角と、それらの積の符号とにより定まる、長さの異な
る2種類のビームラインで構成した特許請求の範囲第1
項記載の電子波動リング。 - 【請求項8】長さの異なる2種類のビームラインを具備
することにより、放射光による露光の際に生じるぼけの
影響をすべての露光システムで同程度とした特許請求の
範囲第7項記載の電子波動リング。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62253364A JP2569341B2 (ja) | 1987-10-06 | 1987-10-06 | 電子波動リング |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62253364A JP2569341B2 (ja) | 1987-10-06 | 1987-10-06 | 電子波動リング |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0195500A JPH0195500A (ja) | 1989-04-13 |
JP2569341B2 true JP2569341B2 (ja) | 1997-01-08 |
Family
ID=17250320
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62253364A Expired - Lifetime JP2569341B2 (ja) | 1987-10-06 | 1987-10-06 | 電子波動リング |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2569341B2 (ja) |
-
1987
- 1987-10-06 JP JP62253364A patent/JP2569341B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0195500A (ja) | 1989-04-13 |
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