JP2568657Y2 - 玉ねぎの根切断機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、玉ねぎの根切断機に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】収穫した玉ねぎは、所定期間乾燥させた
後、出荷時には根を切除する必要がある。又、玉ねぎの
出荷時期には、短期間のうちに大量の玉ねぎの根切り作
業を行う必要があり、根切り作業を行う場合には、１日
のうちでかなりの時間連続して行われる。

【０００３】従来では、玉ねぎの根切りに際して、該根
をハサミにより手作業で切り取っていた。

【０００４】ところで、乾燥させた玉ねぎの根は、乾燥
により硬くなっており、しかも不規則な方向に延びてい
る。従って、玉ねぎの根をハサミで切り取る場合には、
ハサミにかなりの力を入れる必要があり、しかも１個の
玉ねぎにつき根の延出方向にしたがって数回に分けて切
断する必要がある。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】ところが、従来では、
玉ねぎの根切りに際して、該根をハサミにより手作業で
切取っていたため、その根切り作業にかなりの力が必要
となり、しかもその根切り作業は長時間連続して行われ
るために手が疲れ、かなりの重労働であった。又、ハサ
ミによる根切り作業では、１個の玉ねぎにつき数回に分
けてハサミを入れなければならないため、その作業能率
が悪くなるとともに切断後の玉ねぎに残された根の長さ
が不揃いになって玉ねぎの見栄えが悪くなるという問題
があった。

【０００６】そこで、本考案は、玉ねぎの根切り作業を
簡単に且つ短時間で行えるようにし、しかも根切断後の
玉ねぎの見栄えを良くし得るようにした玉ねぎの根切断
機を提供することを目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本考案の玉ねぎの根切断
機は、本体ケースに、水平面内で並置された一対のブラ
シロールを有し且つ該両ブラシロール間に上方から玉ね
ぎの根を挟み込むことによって該根を下方に垂下げるこ
とができるようにした根垂下げ装置と、該根垂下げ装置
の出口側近傍にあって玉ねぎの根を切断するための一対
の円盤刃物を有する根切断装置と、前記各ブラシロール
を上面側が相互に内側に向けて回転する如く駆動させる
とともに前記各円盤刃物を回転せしめる動力装置とを備
えるとともに、前記根垂下げ装置の出口側近傍と前記根
切断装置との間に、該根垂下げ装置の出口と根切断装置
との間の隙間を塞ぎ且つ玉ねぎの根を通過させる根通路
を有しさらに玉ねぎの下面を前記各円盤刃物による切断
高さ位置よりやや上方位置で支持し得るようにした玉ね
ぎ支持台を設けたことを特徴としている。

【０００８】

【作用】本考案の玉ねぎの根切断機によれば、動力装置
を作動させると、該動力装置により、根垂下げ装置の各
ブラシロールがその上面側が相互に内側に向けて回転す
る如く駆動せしめられるとともに、根切断装置の各円盤
刃物が回転駆動せしめられる。そして、玉ねぎを手で持
ってその根付き部分を両ブラシロール間に軽く圧接させ
ると、各ブラシロールが相互に内側に向けて回転してい
ることにより、玉ねぎの根が両ブラシロール間において
下方に引き込まれ、該根がそれぞれ直線状に垂下せしめ
られるようになる。続いて、その玉ねぎをそのまま根切
断装置側に移動させると、該玉ねぎが玉ねぎ支持台上に
移乗された後（このとき垂下げられた根は玉ねぎ支持台
の根通路内を通過する）、各円盤刃物によって垂下させ
た根が切断されるようになる。

【０００９】ところで、根切断装置として一対の円盤刃
物を使用したものでは、該円盤刃物を根垂下げ装置の出
口に近接して設置した場合でも、該根垂下げ装置の出口
と各円盤刃物との間に隙間ができるようになるが、本考
案の玉ねぎの根切断機では、該隙間を玉ねぎ支持台で塞
いでいるので、玉ねぎが該隙間に入り込むことがなくな
る。又、玉ねぎ支持台は、玉ねぎの下面を円盤刃物によ
る切断高さ位置よりやや上方位置で支持し得るようにし
ているので、玉ねぎを玉ねぎ支持台側から円盤刃物側に
移動させたときに、該玉ねぎの根が根切断装置により所
望の小長さだけ残して切断されるようになる。

【００１０】

【考案の効果】従って、本考案の玉ねぎの根切断機によ
れば、玉ねぎを手に持ってその根付き部分を根垂下げ装
置の両ブラシロール間に載せた後、その玉ねぎを根切断
装置側に横移動させるだけで、まず玉ねぎの根を直線状
に垂下させ、続いて根切断装置により根を所望の小長さ
だけ残して切断できるようになっているので、玉ねぎの
根切り作業を簡単に且つ短時間で行うことができる。
又、根垂下げ装置の出口側近傍と根切断装置との間に玉
ねぎ支持台を設けて、根垂下げ装置側から根切断装置側
に移動される玉ねぎの高さを、根切りに適した所定高さ
位置で支持し得るようにしているので、根を所望の小長
さだけ残して正確に切断することができ、根切り後の玉
ねぎの見栄えを良好にし得るという効果がある。

【００１１】

【実施例】図１ないし図４を参照して本考案の実施例を
説明すると、この実施例の玉ねぎの根切断機Ｘは、本体
ケース１内に、玉ねぎＴの根Ｎを下方に垂下させるため
の左右一対のブラシロール１１,１１からなる根垂下げ
装置５と、玉ねぎの根Ｎを所望の小長さだけ残す如く切
断できるように玉ねぎＴを位置決めするための左右一対
の玉ねぎ支持台２０,２１と、玉ねぎＴの根Ｎを切断す
るための左右一対の円盤刃物３１,３１からなる根切断
装置１０とを備え、さらにブラシロール１１,１１と円
盤刃物３１,３１とをそれぞれ回転駆動せしめるための
動力装置４０を備えている。

【００１２】本体ケース１は、図１に示す如く、鋼板製
で矩形箱状に形成されていて、その前後方向(矢印Ａ−
Ｂ方向)の各端部にそれぞれ入口側側板３と出口側側板
４が設けられる一方、その左右方向の各端部にそれぞれ
左側側板７と右側側板８が設けられている。

【００１３】該本体ケース１は、図２に示す如く、入口
側側板３と出口側側板４との間に中間縦板１９が設けら
れており、該中間縦板１９により入口側スペース１７と
出口側スペース１８に区画されている。又、その入口側
スペース１７には動力装置４０のプーリやベルト等の根
垂下げ装置側動力伝達部材４３が収容される一方、その
出口側スペース１８には根垂下げ装置５、玉ねぎ支持台
２０,２１、根切断装置１０及び動力装置４０のプーリ
やベルト等の根切断装置側動力伝達部材４４がそれぞれ
収容されている。

【００１４】図１において符号１３は入口側スペース１
７を覆蓋するための前側カバー、１４は出口側スペース
１８のブラシロール１１の左側スペースを覆蓋するため
の中間カバー、１５は出口側スペース１８の円盤刃物３
１の左側スペースを覆蓋するための後側カバーである。

【００１５】中間カバー１４には、図４に示す如く、後
述する左右一対の玉ねぎ支持台２０,２１のうちの左側
の玉ねぎ支持台２０を取付けるための支持台用取付板２
９が取付けられている。この支持台用取付板２９は、金
属板で断面Ｌ字状に形成されており、その出口側先端部
に玉ねぎ支持台２０が取付けられている。

【００１６】後側カバー１５は、出口側スペース１８の
左側の約半分の面積を開閉し得る如く左側側板７にヒン
ジ結合して取付けられている。尚、この後側カバー１５
は、玉ねぎの根切り作業時には符号１５′で示すように
覆蓋される。

【００１７】根垂下げ装置５は、図２及び図３に示す如
く、玉ねぎの下端部分から延びている根Ｎを直線状に垂
下げる作用をする左右一対のブラシロール１１,１１が
使用されている。

【００１８】各ブラシロール１１,１１は、図３に示す
如く、芯材２６の周りに多数本のブラシ２７を放射状に
向けて植設して形成されている。該ブラシロール１１の
直径は、玉ねぎの根付き部分を両ブラシロール１１,１
１間の上面に載せたときに、玉ねぎの根Ｎを下方向に引
き込み得るような比較的小径(例えば直径が５〜７cm程
度)とされている。

【００１９】この各ブラシロール１１,１１は、前記出
口側スペース１８内における前側(矢印Ａ側)寄り位置に
おいて前後方向(矢印ＡーＢ方向)に向け且つ外面が相互
に近接又はほぼ接触する状態で横向きに並置されてい
る。又、この各ブラシロール１１,１１は、それぞれ本
体ケース１の入口側側板３と中間縦板１９に軸受された
各軸１６,１６によって片持ち支持されている。尚、ブ
ラシロール１１の芯材２６と軸１６とは固定されてい
る。

【００２０】根切断装置１０は、図２及び図４に示す如
く、玉ねぎＴの根Ｎを切断するための左右一対の円盤刃
物３１,３１を有している。

【００２１】各円盤刃物３１,３１は、ハイスピード鋼
等の鋼製で円盤状に形成されている。該各円盤刃物３
１,３１は、前記根垂下げ装置５の出口に近接した位置
でしかも根垂下げ装置５上に載せた玉ねぎの下面よりや
や低い位置に設置されている。又、この各円盤刃物３
１,３１は、それらの刃先部分が多少重合(例えば約１〜
３mm程度重合)する状態でそれぞれ軸３２,３２で支持さ
れている。この各軸３２,３２は、それぞれ上下一対の
軸受材３３,３４で支持されている。尚、上下各軸受材
３３,３４は、本体ケース１の右側側板８に固定されて
いる。

【００２２】左右一対の玉ねぎ支持台２０,２１は、図
２及び図４に示す如く、薄板状の金属板で断面Ｌ字状に
形成されており、その各横片２０Ａ,２１Ａでブラシロ
ール１１,１１側から横移動されてくる玉ねぎＴの下面
を支持し得るようになっている。該各玉ねぎ支持台２
０,２１は、各ブラシロール１１,１１の出口側端部と各
円盤刃物３１,３１との間に形成された隙間を埋めるよ
うにして、しかも各横片２０Ａ,２０Ｂの高さが円盤刃
物３１の設置高さよりやや上方(例えば符号Ｗ₁で示すよ
うに３〜１０mm程度)に位置するようにして設けられて
いる。

【００２３】又、該各玉ねぎ支持台２０,２１は、各横
片２０Ａ,２１Ａの相対向する先端部間に根Ｎを通過せ
しめるのに必要な間隔Ｗ₂(例えば１０〜１５mm程度の間
隔)を設けている。この間隔Ｗ₂は、両ブラシロール１
１,１１によって垂下された玉ねぎの根Ｎを円盤刃物３
１,３１側へ通過させるための根通路２５となる。この
根通路２５は、３０〜５０mm程度の長さを有しており、
ブラシロール１１,１１の出口部分から出てきた玉ねぎ
の根Ｎを両円盤刃物３１,３１間に案内するためのもの
である。

【００２４】この各玉ねぎ支持台２０,２１は、高さ調
節自在に取付けられている。即ち、図４に示す如く、左
側玉ねぎ支持台２０は、その縦片２０Ｂが前記支持台用
取付板２９にボルト３７Ａ,３７Ａとナット３８Ａ,３８
Ａによって取付けられており、右側玉ねぎ支持台２１
は、その縦片２１Ｂが前記本体ケース１の右側側板８に
ボルト３７Ｂ,３７Ｂとナット３８Ｂ,３８Ｂによって取
付けられている。又、該各縦片２０Ｂ,２１Ｂのボルト
挿入穴は上下に長穴２８,２８となっており、ボルト、
ナットを緩めれば各玉ねぎ支持台２０,２１の高さ調節
を行えるよになっている。尚、この玉ねぎ支持台２０,
２１の高さ調節は、処理すべき玉ねぎの大きさによって
行われる。例えば玉ねぎが小さい場合には、根通路２５
内に深く入り込んで根を深く切ってしまうために玉ねぎ
支持台を高く（例えば図４の符号２０′,２１′の位
置）設置し、逆に玉ねぎが大きい場合には、切断残りの
根が長くなるために玉ねぎ支持台を低く（例えば図４の
実線図示位置）設置する。

【００２５】動力装置４０は、図２に示す如く、モータ
４１と、該モータ４１からの動力を根垂下げ装置５に伝
達する根垂下げ装置側動力伝達部材(プーリ及びベルト)
４３と根切断装置１０に伝達する根切断装置側動力伝達
部材(プーリ及びベルト)４４を有している。そして、モ
ータ４１を駆動させると、根垂下げ装置側動力伝達部材
４３により各ブラシロール１１,１１をそれぞれ上面側
が相互に内側に向けて回転する如く駆動し、且つ根切断
装置側動力伝達部材４４により各円盤刃物３１,３１を
相互に外側に向けて回転する如く駆動するようになって
いる。

【００２６】モータ４０は、前記本体ケース１の出口側
側板４に取付けられており、スタートスイッチ４９によ
りＯＮ、ＯＦＦされるようになっている。

【００２７】この実施例の玉ねぎの根切断機Ｘの使用方
法並びに作用を説明すると、先ず、スタートスイッチ４
９をＯＮにして動力装置４０により根垂下げ装置５の各
ブラシロール１１,１１と根切断装置１０の各円盤刃物
３１,３１を回転させた状態で、図２及び図３に示す如
く、作業者が玉ねぎを手で持って根付き部分を回転して
いる各ブラシロール１１,１１間の谷溝内に載せる。こ
のとき、各ブラシロール１１,１１のブラシ２７,２７・
・が、玉ねぎの根Ｎを下方向に直線状に延ばして垂下さ
せるようになる。続いて、図２及び図４に示す如く、こ
の玉ねぎＴをブラシロール側から根切断装置１０側に移
動させると、玉ねぎＴの下面が玉ねぎ支持台２０,２１
上に移乗した後（そのとき根Ｎが根通路２５内を通過す
る）、該玉ねぎの根Ｎが根切断装置１０の各円盤刃物３
１,３１により切断されるようになる。このとき、玉ね
ぎの高さ位置が玉ねぎ支持台２０,２１によって決めら
れているので、根Ｎが所望の小長さだけ残して切断され
るようになる。このように、この実施例の玉ねぎの根切
断機Ｘでは、玉ねぎの根付き部分を根垂下げ装置５の両
ブラシロール１１,１１間の上部に載せた後、横移動さ
せるだけで玉ねぎの根Ｎを正確に所望の小長さだけ残し
た状態で根切り作業が行える。従って、その根切り作業
が極めて簡単となるとともに、その作業能率が大幅に向
上し、しかも根切断後の玉ねぎの見栄えを良くし得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例に係る玉ねぎの根切断機の全体
斜視図である。

【図２】図１の玉ねぎの根切断機の要部斜視図である。

【図３】図２のIII−III断面図である。

【図４】図１のIV−IV断面図である。

【符号の説明】

１は本体ケース、５は根垂下げ装置、１０は根切断装
置、１１はブラシロール、２０,２１は玉ねぎ支持台、
３１,３１は円盤刃物、４０は動力装置、Ｔは玉ねぎ、
Ｎは根である。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 本体ケース(１)に、水平面内で並置され
   た一対のブラシロール(１１,１１)を有し且つ該両ブラ
   シロール(１１,１１)間に上方から玉ねぎ(Ｔ)の根(Ｎ)
   を挟み込むことによって該根(Ｎ)を下方に垂下げること
   ができるようにした根垂下げ装置(５)と、該根垂下げ装
   置(５)の出口側近傍にあって玉ねぎの根(Ｎ)を切断する
   ための一対の円盤刃物(３１,３１)を有する根切断装置
   (１０)と、前記各ブラシロール(１１,１１)を上面側が
   相互に内側に向けて回転する如く駆動させるとともに前
   記各円盤刃物(３１,３１)を回転せしめる動力装置(４
   ０)とを備えるとともに、 前記根垂下げ装置(５)の出口側近傍と前記根切断装置
   (１０)との間に、該根垂下げ装置(５)の出口と根切断装
   置(１０)との間の隙間を塞ぎ且つ玉ねぎ(Ｔ)の根(Ｎ)を
   通過させる根通路(２５)を有しさらに玉ねぎ(Ｔ)の下面
   を前記各円盤刃物(３１,３１)による切断高さ位置より
   やや上方位置で支持し得るようにした玉ねぎ支持台(２
   ０,２１)を設けた、 ことを特徴とする玉ねぎの根切断機。