JP2567585B2 - 立体情報再生装置 - Google Patents

立体情報再生装置

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JP2567585B2
JP2567585B2 JP61040255A JP4025586A JP2567585B2 JP 2567585 B2 JP2567585 B2 JP 2567585B2 JP 61040255 A JP61040255 A JP 61040255A JP 4025586 A JP4025586 A JP 4025586A JP 2567585 B2 JP2567585 B2 JP 2567585B2
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    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04RLOUDSPEAKERS, MICROPHONES, GRAMOPHONE PICK-UPS OR LIKE ACOUSTIC ELECTROMECHANICAL TRANSDUCERS; DEAF-AID SETS; PUBLIC ADDRESS SYSTEMS
    • H04R5/00Stereophonic arrangements
    • H04R5/02Spatial or constructional arrangements of loudspeakers

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  • Acoustics & Sound (AREA)
  • Signal Processing (AREA)
  • Stereophonic Arrangements (AREA)
  • Soundproofing, Sound Blocking, And Sound Damping (AREA)
  • Circuit For Audible Band Transducer (AREA)
  • Stereophonic System (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、再生音場内の聴取者、あるいは、聴取者想
定位置の近接した位置で使用する立体情報再生装置に関
する。これにより、再生音が原音場と同様の音源方向、
つまり水平360°方向の定位、高さ、距離感、臨場感、
ならびに、聴覚器官に受けることのできる音圧量と体で
受けることのできる音圧量の比率をコントロールできる
ことによって得られる音圧感と音圧距離感、以上を再生
可能とし、特にバイノーラル・プログラムソースを用い
た再生音場で使用した場合は現実音と区別のつきがたい
再生が可能となる。
(従来の技術) 下記に示した〜の近い従来技術がある。
ステレオ信号源に含まれる定位情報のみを聴取者に
得られるよう試みた特公昭53-21841号。
顔頭部生体内組織に機械振動を与える試みをした特
開昭58-107794号。
椅子等の体に触れる物体を再生信号によって振動さ
せ、聴取者の体を物質伝導振動によって音圧感を、疑似
体験させる試みをした臨場感再現装置、実開昭52-10390
9号。
遮音板式スピーカ・バイノーラル。これは、近接ス
ピーカ再生、ヘッドフォン再生を除く、通常のステレオ
再生時、に専ら生じる、左右信号のクロストークの除去
として良く知られる方式で、左右スピーカの音が聴取者
付近まで相互に混ざらないように、正中面に遮蔽板を立
て、再生空間を2分する試みをしたものである。
(発明が解決しようとする問題点) 以上に示した従来の技術には、次の(a)〜(f)の
ような欠点がある。
(a) 聴覚器官に受ける音圧量と体の受ける音圧量の
バランス、音圧感バランスは、スピーカと聴取者との距
離で決定されてしまうため、至近距離、あるいは、近距
離のバランスにに固定される問題があり、従って、通常
の音楽鑑賞時での聴取者とステージの距離で得られるよ
うな音圧感バランスは得られず、スピーカを意識させる
再生音になっていた。
また、以上により、体が認知した情報と、耳が認知し
た情報とのギャップが生じ、このギャップが、再生音の
定位を全体的に上へシフトアップさせ、不自然に浮いた
定位に感じさせていた。また、地に着いた様な落ち付き
のある音像表現を不得手とさせていた。
(b) 左チャンネル、右チャンネルの独立した問題、
すなわち、スピーカ位置を認識することのできる頭部反
射情報の存在がある問題。
上記、存在のため、スピーカ位置と同じ実像以外の再
生においては耳が学習した任意の音源位置における音色
パターン認識とのずれを生じることになり、特に方向性
を持たない残響音等は上記、ずれが最大となり、スピー
カを認識させる、人工的な再生音となっていて、時に
は、頭部反射音によるピークが鋭すぎて、聞くに耐えな
い事態にも至る場合がある。また、バイノーラル信号の
定位情報を殺してもいた。
また、片耳効果によるスピーカ位置の認知を除去する
方式として、頭部反射による伝達特性変化を音響信号
に、上記、変化の打ち消し情報を混入することによって
得た、特公昭53-21841号が提唱されているが、頭の聞く
角度を筆頭に顔の形状から、スピーカの細かな特性まで
も限定しないと効果が得られないという大きな問題があ
った。
(c) スピーカ数、を増やせば増やすほど、遠距離の
音圧感バランスを再現可能になるが、同時にスピーカを
増やせば増やすほどスピーカ同士の相互干渉は多くな
り、歪みが多くなる問題が生じる。
また、上記歪みは、バイノーラルの持つ定位情報を消
してしまうので、定位悪化を来していた。
また、ヘッドフォン聴や、比較的近い距離のスピーカ
でも音圧感を得られるように試みた特開昭58-107794
号、実開昭52-103909号があるが、皮膚に直接振動を与
える手法を取っているので、基本的に音圧感に違和感を
生じていた。
(d) バイノーラル再生における正中面、正背後定位
の可能条件は、プログラムソース作成時に使用した疑似
人頭と、聴取者頭部の高度な類似条件を満たす必要があ
った。
また、上記条件は、平均的な疑似人頭は使えないこと
を意味し、これがプログラムソース製作側の大きな障害
になっていた。
(e) 定位の良いプログラムソースを作る上で、大き
な障害になっているのは、再生形態による表現のバラ付
である。
つまり、具体的に再生形態の種類とは、スピーカを取
り巻く音的環境、スピーカ同士の角度、聴取者とスピー
カの距離(極めて近いときがヘッドフォンである)、で
ある。
つぎにこれに伴う表現のバラ付とは、スピーカ位置に
定位が引っ張られる現象の有無とスピーカ位置のバラ
付、残響の違いによって多大にバラ付く左右間の相関
性、などである。
上記、種々のバラ付は、少なければ少ないほど良い
が、秀でるものがないため、解決に至ってない問題点が
あった。
(f) 両耳効果(ハース効果、左右音圧バランス)、
に依存度が極めて大きい現在のスピーカ再生方式は、片
耳効果(頭部反射音による定位効果)、でしか知覚でき
ない片耳聴取者にとっては、自然音聴では十分に認知で
きる程度の定位の動きも認知できないことが多かった。
(問題点を解決するための手段) 上記の目的を達成するために、この発明によれば音響
変換用のスピーカを含む少なくとも前方左右の再生用音
源を有するステレオ音響再生装置において、上記再生用
音源からの音を聴取する利用者の顔面側と後頭部側とを
音響的に分離して、上記再生用音源からの音を後頭部側
より利用者の外耳道へ導く導音装置を設けることを特徴
とする立体情報再生装置が提供される。
また本発明は、再生用音源からの音を聴取する利用者
の顔面側と後頭部側とを音響的に分離して、上記再生用
音源からの音を後頭部側より利用者の外耳道へ導く導音
装置と、利用者の前方に配置され視覚信号を発生する視
覚信号発生装置とを有することを特徴とする立体情報再
生装置が提供される。
さらに上記内容を捕捉的に説明すると、聴取想定位置
と発音体に挟まれる位置で、かつ、聴取想定位置に近接
したエリアを伝播エリアとし、上記、伝播エリアの中で
頭部付近にあたるエリアを頭部伝播エリアとし、上記、
頭部伝播エリアを除く伝播エリアを体部伝播エリアと
し、上記、頭部伝播エリアに支持可能ならしめる機能を
有する消音器具を頭部消音器具とし、上記、体部伝播エ
リアに支持可能ならしめる機能を有する消音器具を体部
消音器具とし、聴取者の聴覚器官で受けることのできる
音圧量と聴取者の体で受けることのできる音圧量との比
率が変化するように、上記、頭部消音器具と上記、体部
消音器具の量に差を付けて、あるいは、完全に一方のみ
とし、あるいは、少なくとも一方の消音器具の有する消
音効果を任意可変式にしたことによって、聴覚器官に受
けることのできる音圧量と体で受けることのできる音圧
量の比率が定量的にあるいは任意可変的に変化可能なら
しめたことによって得られる再生音場用消音器具。
または、聴取者頭部想定位置と発音体に挟まれる位置
で、かつ、聴取者頭部想定位置に近接したエリアを頭部
反射エリアとし、上記、頭部反射エリアに支持可能なら
しめる機能を有する消音器具によって、上記、頭部反射
エリアを通常の自由空間の伝播特性に対し、伝播ロスを
増大ならしめ、上記、伝播ロスによって、発音体から発
した音が聴取者頭部に当たった後に聴取者の聴覚器官へ
届く予定の頭部で専ら生じる音を聴取者の聴覚器官に届
き難くしたことによって得られる再生音場用消音器具が
提供される。
(実施例) 以下本発明の実施例を添付図面にもとづいて説明す
る。
第1図はこの発明の一実施例を示しており、スピーカ
87からの音を聴取者88が受け、その音は外耳道に直接入
ることのできる直接音82と顔や耳介で反射をして外耳道
に入る反射音83と主に顔表面で反射を起たして外耳道へ
入る反射音81と体に受ける音圧89から成り、この体に受
ける音圧89以外の外耳道に入るための音圧は、吸音在8
4,85,86にて減少させることが出来るように構成してあ
る。
上記、吸音材84,85,85によって外耳道での音圧を減少
させ、相対的に体に受ける音圧を大きく感じるように構
成している。
また、所望により、体を包囲可能ならしめる吸音効果
を有する器具を別途用意し、これにより、体に受ける音
圧89を減少コントロールもさせることができ、聴取者の
聴覚に受ける音量を、体に受ける音量に対して、相対的
に大きくするようにも可能である。
また、顔表面に当たった音が、聴取者の顔頭部生体内
組織を伝播して聴覚器官へ達する音も上記、吸音再84で
減少できる現象も認められる。
まず原音をコンサート・ホールやステージと客席との
関係に似た比較的距離のある、また残響のある拡散音場
とした場合、現実の聴取者は第2図のように音に包み込
まれるようにして体に音圧を受けながら、一方外耳道は
その音圧の一部の音を通している、外耳道に入る音はけ
っして体が音圧を受けるように全方向からのエネルギー
を万遍なく受ける訳はなく、頭部や耳介の遮蔽効果を主
な理由として、全方向からの音圧の一方向の音が主に外
耳道に入ることになる。
この体に受ける音圧感と、耳に受ける音圧感の相対バ
ランス(以下、音圧感バランス)を拡散音場において各
周波数ごとにどのような傾向を示すかを量的にグラフに
て表わしたのが第3図の傾向図である。また、どんな自
由音場でも拡散音場でも波長が長い場合、例えば50Hz以
下では、極至近音源聴は別として、体に受ける音圧感と
外耳道に入る音圧感は音場の拡散の度合いや残響の有無
に対して影響が少なくほぼ一定の関係になる。そのた
め、この周波数帯域にて体に受ける音圧感の測定地また
は外耳道における音圧感の測定値を同レベルの値として
第3図は作成してある。またこの図は理想的な拡散音場
を想定してあるため、体に受ける音圧感は、音の波長に
関係なくほぼ一定になる。
第3図から明らかな通り、体の受ける音圧感101は耳
に受ける音圧感102より斜線部103の面積分だけわずか多
くなっている、これが理想的な拡散音場における音圧感
バランスである。
また斜線部103がない状態が1つの基準と考えるのが
自然と思われるので、あえてその状態を考えてみると、
それはほどほどの拡散音場の時に生じると言えるが、し
かし、恐らく耳に受ける音圧感と、体に受ける音圧感は
絶対量よりも相対量、それよりも相対量の変動量、とい
う順に、人は強く感じ取るであろう事から、上記のわず
かな斜線部103の面積量は、理想的な拡散音源上におけ
る単なる基準と考えた方が良いものと認められる。
さて第3図に対して一般のモノーラル系の再生音によ
る関係は、第4図のようになり、この場合スピーカの条
件は聴取者の距離より2mぐらいの位置とし、歪増加を嫌
って部屋はデッドの状態と想定してある。
第4図は第3図の関係と大きく異なり、ブログラムン
ソースや、グラフィックコライザー等の補正に対しても
全く関係なく体に受ける音圧感と、耳に受ける音圧感の
相対関係は、第4図のような傾向になり、つまり、耳に
受ける音圧感が、体に受ける音圧感に対して斜線部113
の面積分だけ大きくなる関係となる。また、この関係
は、スピーカ再生に限らず、同距離にある音源の音を聴
くときにも生じている。
即ち理想的な拡散音と一般のモノーラル系の再生音の
ギャップは、斜線部103の面積と斜線部113の面積とを合
計した分だけの体に受ける音圧感が少なく、このギャッ
プを相対的に少なくする必要が出て来る、これは第1図
の吸音材85のようなもので外耳道に入る直接音を減少さ
せて効果を得る解決策がみだせる。
以上はスピーカが1個の場合についてであり、通常の
開き角60度に設定した2個のスピーカを使用したステレ
オ・フォニック系の再生の場合、上記の傾向がより顕著
になる。
第5図は聴取者1201の回りをピンクノイズを発音させ
ているスピーカ1202を全方向に渡って回転させ、そのと
きに聴取者の右耳および左耳に生じる音圧を図示した円
グラフである。また、この時聴取者の体に受ける音圧感
はスピーカがどんな角度にあっても一定であり、そのた
め、この円グラフで描かれる感度の高低は、体に受ける
音圧感と耳に受ける音圧感の相対関係も表わしているこ
とになる。
ライン1203は右耳の外耳道入口にて測定した音圧を表
わし、ライン1204は左耳の外耳道入口にて測定した音圧
を表わしている。
この円グラフの見方として、境界円1205と上記ライン
との放射方向における幅が各測定した値を示していて、
例えばスピーカ1202が左前方15度の所に位置したときの
各耳の測定結果は、右耳側の測定値は幅1206によりライ
ン1203が決定され、左耳側の測定値は幅1207によりライ
ン1204が決定されている。以下、同様にして全ての方向
の測定結果が境界円1205と上記ラインとの放射方向にお
ける幅の関係により表わされている。
基準線1208,1209は左右それぞれの正面における音圧
測定値を表わし、正面の音圧に対して測定結果が相対的
にどのようになっているかが一目で分かるように配慮し
たものである。
円グラフの下に示したグラフは上記円グラフを切り開
き線1210より直線状に開いて、見やすくした図である。
見方としては、例えばスピーカ1202が両方左15度の所
に位置したときの各耳の測定結果は、右耳側の音圧測定
値は幅1211により表わされ、従って任意の方向における
右耳の音圧測定結果はライン1214で表的されることにな
る。
そして、左耳側の測定値は、右耳側の測定値の幅1211
に加算されるように幅1212が上に乗り、従ってライン12
13はライン1214との縦軸方向の幅によって左側の任意の
方向における音圧測定結果を表わしていて、と同時に発
音体が1つ、あるいは単一方向の場合の両耳に受ける音
圧の合計も読み取ることができるようになっている。
さて、グラフの見方は以上の通りであり、それではな
ぜステレオ聴取時には上記指摘の音圧感バランスのアン
バランスがより悪化するのか、それについて以下に説明
をする。
まず条件として、発音体が1つ、あるいは単一方向の
場合とステレオ聴取の場合のどちらかにおいても再生し
ようとする定位を正面の場合に絞って比較することにす
る。これはステレオ聴取の側で、左右の音量の組み合わ
せの面まで問題にしてくると、説明に要領が得られない
恐れがあるために正面のみとした。
さて、ステレオ聴取は一般的に60度のスピーカの開き
角をもって聴いているので、その音の音圧は、右耳側は
幅1215により表わされ、左耳側は幅1216によって表わさ
れている。つまり、幅1215と幅1216の合計した音圧が、
両耳に与えられた音圧であり、これがステレオ聴取時の
耳への音圧感になる。
一方、発音体が1つ、あるいは単一方向の場合の状態
は、正面定位のときは右耳側の音圧は幅1217により表わ
され、左耳側の音圧は幅1218によって表わされている。
そして、幅1217と幅1218の合計した音圧が、両耳に与え
られた音圧であり、これがモノーラル時の耳への音圧感
になる。
以上により求められた正面定位時のそれぞれの方式に
おける耳への音圧感を比べてみると、明かにステレオ聴
取の方が、単一方向の音を聴いた場合に比べ、耳への音
圧感が大きい状態になっている。これはステレオ聴取の
場合は、両耳とも耳の感度の良い角度から音が入るため
と言える。
そのほか2チャンネルにおいて全方向定位を希望した
場合、借りに後方音の定位が可能になったとしても、音
圧感バランスは後方音における単一方向からのモノーラ
ル音源にて聴かれる音圧感は幅1219となり、いよいよス
テレオ聴取に比較して音圧感の相違が大きくなるのはグ
ラフより明らかである。
上記後方音と同様に様々な方向での音圧感の程度がラ
イン1213により知ることができ、これにより判明するこ
とは、拡散していない音源についてのみではあるが、例
えば正面の音を聴いているときの方が、斜め45度の方向
からの音に比べ、音圧感バランスは、体に受ける音圧の
方に片寄っている傾向などが分かり、この音圧感の傾向
を忠実に再度できればより様々な方向の定位の再現が、
本物に近くなると言うことも分かる。
さらにライン1213より判明することとして、ステレオ
聴取の2つのスピーカの音を聴取者がどのような方向で
聴こうとも、通常のステレオ感を感じる程度のスピーカ
聞き角を持たせた場合においては、スピーカが1つの時
のいずれの状態より、ステレオ聴取の方が耳に受ける音
圧感が、明らかに高い値になっている。
このように以上から、第2〜4図にて説明した耳にお
ける音圧感と体に受ける音圧感のアンバランスを完全に
バランスさせても、更にステレオ聴取としての第5図で
説明したアンバランスの問題が生じることが見いだせ
る、とくに後方音のプログラムソースに対してはこのギ
ャップが強く、この一番顕著な例の状態としては、拡散
状態の後方音を再生しようとした時だと言え、現実に従
来のいずれの再生手段をもっても、この音源を満足のい
くように再生することが困難であることが判明する。
さて、上記の再生を現実の音場に近ずけるためには更
に第1図における吸音材85の厚みを増す必要があり、場
合によっては他の遮音性の高い材料に変えてもよく、ま
た第5図で説明したアンバランスの理由は、耳介を含む
頭部反射音による影響が大きく関与しているといえ、こ
れにより、耳のみの音圧感を大きく上げていたといえ
る。この様子を示したのが第6図であり、スピーカと頭
の位置関係を通常、聴取者はあまり頭を動かさずに聴い
ているため、頭部反射による大きなピーク131は頭を動
かさない限り常に同じ周波数上に表われ、かつ再生しよ
うとしている音圧の全てが、この定まった2方向の音源
に集中しているため、このピークは極めて強く、耳のみ
に対する音圧感を異様に上げている。
以上のピークによるアンバランスは、第1図の吸音材
86および吸音材84によるピーク音防止および吸収によっ
て、耳に受ける音圧感と体に受ける音圧感のバランスを
取ることができる。従来このピークを、発音体の信号に
ピーク打ち消し音を混入して除去する手法としては、特
公昭53-21841号のものがあるが、この手法においてはピ
ーク音減少と共に体への音圧感も下がるので、ピークは
除去できるが音圧感バランスは取ることができないし、
上記手法は、理想的な実験雰囲気以外ではピーク打ち消
し効果は、発生しないと考えられる。
また、他に体への音圧感を空気を媒体とせずに、物体
を媒体とした直接的な振動で聴取者にサービスする従来
技術や、ヘッドフォン再生時に体への音圧サービス用の
スピーカを加える手法等が容易に考えられるが、前者の
直接体に振動を与える手法は、原音場の音圧感とは、も
ともと異なる刺激であるため、原音場と区別が付きにく
いほどの再生を求める本発明においては役に立たない、
また後者の場合においては、ヘッドフォンとスピーカ音
圧の時間ずれによる変調音が必ず生じ、ディレイを使用
したとしても頭を動かすと、そのディレイタイムは、微
妙にずれ、複雑なコーラス音を生じ、従って、以上のよ
うな極めて、微妙なディレイタイムを事細かに完全に制
御しない限り、人工感を多量に感じる再生となる。
第7図に示す実施例では、聴取者141の外耳道を除く
頭部全体を吸音材144を包むように構成している。また
斜線部145はスピーカ142から発した音が聴取者141の頭
部に当たった後に聴取者の聴覚器官へ届く予定の頭部が
再生音場に位置したことにより生じた音を減少できる範
囲を示していて、この範囲の伝播特性を吸音材144など
を用いてロスの多い状態にすることにより、上記、聴覚
器官へ届く予定の音を減少、あるいは、除去できるよう
になっている。また、吸音材144の中で役に立っている
所をその斜線部145は表わしているとも言え、従ってこ
の斜線部145は聴取者とスピーカの相対位置の変動に伴
って変化も当然する。
プログラムソースの種類には依存しない問題点は、ス
ピーカの低歪率化を突き詰めると必ず音源が小さくな
る、そうなると困ったことに、これに伴って聴取者の耳
に入る方向は限りなく単一方向になり、よって聴取者頭
部で生じる様々な反射音によって生じるピーク成分も1
つのパターンに限られて聞きずらい音となる。
またスプーカの歪率を無視した場合においては、スピ
ーカのバッフル反射、箱鳴り、部屋の残響などで様々な
方向より聴取者の耳に入るように構成可能なため、上記
ピーク成分も様々なパターンになり、生じるピーク成分
も鋭さをなくし、即ち聴きやすい音となる。つまりこの
状態が現在商業オーディオで行なっている中心的な音の
想定と考えられる訳だが、当然不特定の歪が生じオーデ
ィオの低歪率化の意味を損じていて、実現に聴いてみる
と、再現性の程度が低い、それは再生音を意識させない
域にはほとんど遠い次元である。
以上の相反する問題点を解決する手法には大まかに2
つ考えられ、1つは、理想的なスピーカを多数使用し、
これらの聴取者の外耳道にて位相を完全に合わせて再生
する手法がまず第1番目として考えられるが(一般に物
理音場と呼ばれる再生手法である)、聴取者の位置変動
や両耳に対する位相合わせ等の不可能に近い問題点があ
るため、この手法は取ることが出来ない、もう一つの手
法はこれから説明する本発明の実施例である。
まずその理想とする実施条件を総括してみると、 (イ) 歪の極力少ない音源を使用したい。
(ロ) 音源は一般家庭での再生を考えると理想的には
1点音源あるいは、単1方向の音源が望ましく、これの
使用を望む。
(ハ) 聴取者は再生するプログラムソースと同様の伝
送特性の良い、または、歪率の良い音を聴取者自身の耳
で感じたい。
(ニ) 聴取者は生きている以上、多少の動きは当然許
されるべきで、これを極力限定せずに高度な再生をした
い。
このような理想とする実施条件において全て満足させ
る手法は、第7図にて説明すると、理想的なスピーカ14
2で発した音を聴取者141の頭部にて生じる反射音を十分
に減少させて音が聴取者141の外耳道に届ければ良いこ
とになり、上記反射音の吸収は吸音材144にて行なうこ
とができる。また吸音材144が大き過ぎ、不便と感じる
ならば、聞く方向範囲を絞って吸音材を斜線部145のみ
としてもよい。ステレオの場合2方向からの吸音をする
ことになり、消音部材は複数になる。更に吸音材144、
を頭部より比較的大きな大きさにすることにより、従来
の電気的反射音キャンセル、特公昭53-21841号などの手
法とは比較にならない低歪率で、かつ、反射音吸収効果
の優れた、良い音で聴くことができる。
さて、聞き易さだけに着目した場合、例えば吸音材14
4の変わりに多数の反射板を複雑に組み合わせた状態の
物に変えても、聴取者頭部で専ら生じる頭部反射音は除
去可能であり、同程度の聞きやすさにさせる可能性もあ
る。しかしバイノーラル・プログラムソースを用いて、
その定位情報を殺さずに外耳道まで届けようという主旨
からは、全く役に立たない可能性が大である。
そこで、バイノーラル・プログラムソースを再生する
目的に限定してこの発明の実施例を考えると、吸音材14
4はバイノーラル定位情報をマスキングする再生時の聴
取者141の頭部に生じる伝送系の最後の強力なリアリテ
ィーを持った定位情報を十分に減少させる目的を有して
いて、消音部材の合計の大きさが、頭部大と同程度、あ
るいは、それ以上の大きさとすることによりそれを可能
にしている。
また、吸音材による音の減衰は、歪悪化を招きにくい
手法であるため、バイノーラル・プログラムソースの定
位情報は崩さずに外耳道まで届けられるようになってい
る。
以上の手法は、従来技術で近い考えの、発音体信号源
に頭部反射音キャンセル信号を入れる手法として特公昭
53-21841号などの手法に比べ、原理的により反射音を除
去することが出来、耳介の反射についても十分に減少す
ることが出来、なおかつ前述のキャンセル方式では、頭
部形状の個人差、頭部位置の変位によってキャンセルエ
ラーが頻繁に生じ、それに伴い、プログラムソース中に
も頭部反射音においても存在し得なかった新しい反射音
の出現とその障害による定位悪化の悩みが生じている
が、本発明では以上のような悩みは生じない。
本発明は以上の理由により、バイノーラル・プログラ
ムソースが聴取者頭部と十分同一性をもったダミーヘッ
ドで録音されたものであれば、従来困難とされていた前
方遠距離音源も十分に再生できるようになる。
次ぎに、聴取者の身体的条件が異なった場合の本発明
の使用を考察する。
従来、両耳聴取者の場合はシンクロナイズされた複数
音源から来る、自然界にない音源状態での聴感エラーと
ハース効果において主に形成された音場感の楽しみを感
じることができるが、片耳聴取者はその楽しみをほとん
ど感じることができない。またさらに、バイフォニック
を代表とするハイノーラルのスピーカ再生においても同
様で、やはりこの聴感エラーとハース効果の恩恵に頼っ
ているところが強い訳で、これも両耳聴取者のみの楽し
みになっていて(ただし、この楽しみは再生音としての
人工感を多分に伴っているが)、両耳聴取者のみに都合
の良い再生手法であったが、本発明は以上の問題点の原
因である聴感エラーとハース効果に頼らずに全方向定位
を可能にしたため、従来どのような再生手法でも得られ
なかった現実音と区別のつきがたい再生が聴取者の耳機
能に留意することなく得られている。
また、上記より本発明は、バイノーラル・プログラム
ソースを従来では考えられなかった程の聴取時の不特定
な条件(例えばヘッドフォンとスピーカと片耳聴取と両
耳聴取の全ての組み合わせ)を高度な再現性を以て全て
を満足させる初めての解決策といえ、プログラムソース
の混乱に歯止めをかけることにも役立つと確信する。
次ぎに、録音現場における耳への音圧感と体への音圧
感の比率(音圧感バランス)を忠実に再現し、更に原音
場と区別がつきにくい程の再生をしようとする場合につ
いて説明する。
至近距離音源については第1図〜第5図で述べた音圧
感バランスの条件では妥協的な定量的な音圧感バランス
表現しか望めなかった。
そこで、本発明の器具を音圧感バランスを可変的再生
に向くように構成した実施例を第8図に示す。
聴取者151は、第7図の説明で述べた吸音材144と同一
の効果を持たせた吸音材152を顔面にヘッドフォンの支
持部材と同様の考えのもので構成している(支持部材は
特に図示していない)、手にはコントロールボックス15
5を持ち、可変吸音材153は聴取者を挟むように位置し、
可変動力部154によって可変吸音材153が聴取者151とス
ピーカ156を結ぶ音の伝播路の遮る量を変化できるよう
に構成し、以上により、本発明を構成している。
一方オーディオ装置の方は、聴取者に対して一般的な
60度の開き角をもって設置したスピーカ156がアンプ157
と接続されていて、プログラムソース159および自動変
化イコライザー158を介してアンプ157に結線されてい
る。
以上のような実施例では、まず可変吸音材153の効果
で音圧感バランスの調節が出来、すなわち耳の近くに可
変吸音材153の薄い部分が来るように調節したときは耳
への音圧感が体への音圧感に比較して強くなり、至近音
源や上方音源の再現に近い音圧源バランスを表現し、こ
の逆に耳の近くに可変吸音材153の厚い部分が来るよう
に調節した場合は耳への音圧感は、体への音圧感に比較
して少なくなり、つまり遠距離音源や拡散音源を再現し
やすくしている。
以上の音圧感バランスのコントロールに伴って吸音材
の高域吸収量が大幅に変化するため、これを自動変化イ
コライザー158を変化させることにより伝送周波数特性
をつねに平坦にさせることができる。
また、上記、吸音材の位置変化の変わりに、スピーカ
を動かしても良い。
次にこれら音圧感バランスのコントロールをどのよう
な情報をもとに行なわせるかについて述べると、最も単
純で簡単な手法は、聴取者自らコントロールボックス15
5を動かし、これの指令信号1510によって行なう手法が
あり、知識として極めて判断のしやすい場合、例えば日
本間で演奏される和楽器の音や、教会で演奏されるパイ
プオルガンの音、などのように聴く前から大まかだが想
像にて調節できる例も少なくないと考えられ、この程度
のコントロールでも実用化の域に達していると思われ
る。
また、指令信号1510は、音圧感バランスの表現手段と
して人為的に勝手に作られた信号としたり、音圧感バラ
ンスを実測した信号を用いることも考えられ、更に上記
の音圧感バランスの測定を聴取者151にも聴取と同時に
行ない、目的の音圧感バランスが取れているか随時フィ
ードバックさせる手法も考えられる。
さて可変吸音材とその可変動力部は上記153や154の形
態のみではなく、他に様々なものが考えられ、例えば風
船の回りに吸音材をフレキシブルに設置し、これを可変
吸音材とし、この風船の膨らみを変えることにより目的
を得たり、また第14図で詳細に説明してある電気的な音
波打ち消し消音構造をここの可変吸音材とすれば、理論
上は、さらに理想的なコントロールができる。
また、ヘッドフォン聴に近い音圧感バランスをも表現
したい場合は、所望により、聴取者を包囲するような、
可変吸音材を別途用意し、可変吸音材153が極薄の位置
にて上記、別途用意した可変吸音材の吸音効力を発する
ことにより、更に体の音圧感を減衰することもできる。
次に第9図、第10図は聴取者頭部で専ら生じる伝送系
最後の強力なリアリティーを持った定位情報の減少作用
をさらに強めるように考えた本発明のための補助器具で
あり、これにより更に産業上利用しやすくしたものであ
る。
以下第9図を例に説明すると、網状ベルト2004は聴取
者2001が図のようにかぶることにより、張力を生じ耳介
2002を乳突部2003方向へ押しやり、変形させている。
これにより耳で生じるはずの特有な反射を耳の条件を
通常に対し異なる状態にすることにより、近似的になく
すことを可能とし、よってコンパクトにして同様の効果
が得られることになる。
また以上の状態において網状ベルトが耳の耳甲介に位
置するあたりに吸音材2005を取り付け、耳甲介の持つ収
音能力を減少させることも行ない、これと同時にこの網
状ベルトの位置ずれ防止の突起物としても役に立ってい
る。
以上の様に構成された本発明のための補助器具は、伝
送系の最後に来る非常にリアリティーの高い定位情報を
減少させる目的で考えられた第7図で示した吸音材144
を同一目的で補正させている。
つまり本発明のための補助器具は、他の吸音材と併用
して使用するように考えられており、そのパターンは頭
部反射除去用吸音材のデザイン、との組み合わせの分だ
けあり、非常に多くなるのでここではその詳細について
は省くが、この網状ベルトと同様に使用感に優れた実施
として、ヘッドフォンによく使用される耳への側圧印可
手法が上げられ、通常ヘッドフォンの発音体がある位置
に、張力を有する網状の物を位置させることにより、同
じ耳介の変形を可能に出来ることが考えられる(第10図
参照)。
次に第11図は音圧感バランスのコントロールと聴取者
頭部で専ら生じる伝送系最後の強力なリアリティーを持
った定位情報の減少作用の両方を簡易的に満足させる生
産性の優れたものを提供する実施例である。
まず理想的な頭部反射除去手法から再度述べる。
(a) 頭部反射音の減衰手段としては、第7図の吸音
材144を使用する。
(b) スピーカの発音方向はチャンネルあたり一方向
とする(この制約を崩すと位相がそろわず、干渉歪が必
ず生じる)。
(c) スピーカはバイノーラル・プログラムソースに
混入してある定位情報を、そのまま、崩さずに再生し、
聴取者の耳へ届ける必要があるため、物理特性は極めて
良い物を使用する。
(a)〜(c)の条件にて再生された音は聴取者の外
耳道において極めて忠実に聴くことが出来る。
ところが再生スピーカの有する特性は必ずしも満足の
行くものとは限らない訳で、そういった場合上記の理想
的な反射除去(a)は必ずしも必要なく、上記の再現度
を弱冠下回るが、ある程度の満足度で再生してくれる解
決策であれば、第7図の説明で述べた器具に少々手を加
えて使用することが出来る。
その器具とは吸音材144の変わりに多数の反射板を複
雑に組み合わせた状態の物を使用することを意味し、頭
部反射を不特定に出来るため聴取者頭部で専ら生じるピ
ークディップは無くなり、同程度の聞きやすさを可能と
する。
上記器具は、外耳道に入射する音の角度にバラエティ
ーを持たせ、あたかも音源が拡散状態である様に、頭部
の反射音を無くしている訳だが、もしその目的を貫くと
すると、上記反射板は、無数の組み合わせの物が欲しく
なる、そこで反射による手法ではなく、物の回折効果に
よる考えで、同じ効果を簡単に手に入れようと考えたの
が本実施例である。
さて、これから述べる、簡易型消音器具は低価格帯の
スピーカに合わせたものである点と、更にこの消音器具
が、音圧感バランスも、同時に近似的ではあるが、調節
できる点が、大きな特徴である。以下第11図にその1実
施例を示す。
(イ) ヘッドフォンと類似の支持部材を持つ、回折音
の生じやすい遮音部材2204を聴取者2201は調節可能に装
着し(支持部材は特に図示していない)、スピーカ2202
の音を聞いている。
(ロ) 消音部材はスピーカと外耳道2205を結ぶ音の伝
播路2203を遮る様に、調節されている。
(ハ) 遮音部材で生じた回折音2208が作る、回折音伝
播路2207は音の伝播路2203に対して、両耳を結ぶ方向22
09に近い角度をもって外耳道に到来する。
(ニ) 遮音部材の大きさは、頭部サイズの1回り大き
い程度を希望し、そうすれば遮音部材で妨げられる分だ
け、音圧感バランスの調節が可能になる。
(ホ) 頭部反射音の中で最も影響力の強い顔面による
反射音が、遮音部材2204を顔面にすきまなく取り付ける
ことにより、容易に消滅させることが出来る(吸音材14
5の様な大げさな物を使用しなくとも、再生の質的レベ
ルを下げればこんなに小さい物で代用がきいてしま
う)。ただし、顔面の反射音を利用した、前方定位の補
正は、遮音部材2204の顔に近い側を吸音材とし、その吸
音材の音漏れを利用したほうが、良い効果が得られる。
(ヘ) 回折音2208は周波数に応じて状態が七変化し、
回折音伝播路2207の方向も複雑に変化する。そのため、
多量の周波数成分で構成されているはずである通常の自
然音を発生した場合、聴取者は吸音材145を付けた時と
同様に、その再生しているスプーカの音その物の方向性
や、頭部で専ら生じるピーク音を感じないで済むように
なっている。
(イ)〜(ヘ)で明らかな通り、本実施例は簡易型の
スプーカを用いた再生の場合、第7図の吸音材144のよ
うな大きい物を必要とせず、第11図の遮音部材のような
比較的小さい物で代用させることができ、そのため、視
野に対して邪魔にならない効果もあり、低価格で使用感
の良いものを提供するものである。
第12図は、バイノーラル・プログラムソースにおける
優秀な前方定位の再生を得るための制約を少なくするた
めに考えられた実施例である。
上記制約とは、 (a) バイノーラル・プログラムソースが聴取者頭部
と十分同一性をもったダミーヘッドで録音されたもので
ないと、従来困難とされていた前方遠距離音源は十分に
再生できない。一般にダミーヘッドは、聴取者頭部とは
程度の違いさえあれ、完全な同一性はもたらすのが困難
である。つまり偶然に、使用するバイノーラル・プログ
ラムソースが聴取者頭部と十分同一性をもったダミーヘ
ッドで録音されたものであれば問題ないが、そうでない
場合は特別にライフヘッドを作り、それによって録音し
たものを使用しなくては十分な前方遠距離音源の再生が
できないことになる。
(b) 再生系に歪率特性や、伝送周波数特性、の十分
優れた装置を使用する必要がある。
(c) 音圧感バランスのコントロールに伴う伝送周波
数の補正も厳密に調整する必要がある。
以上の(a)〜(c)の制約を1つでも怠ると、前方
遠距離音源は十分に再生できないと言える。尚再生系の
制約は、努力すれば何とか対処することはできるが、プ
ログラムソース側の制約は、既に過去の物も多数あるの
で、何とかこの制約から逃れて再現できるものが望まれ
る。
その1つの回答として言えることとしては、不確実な
前方定位情報をプログラムソース側のみに頼らず多少疑
似的ではあるが、第7図の説明で述べたように完全に削
除しようと考えていた頭部反射音を、若干残すような構
成に本発明をすることにより、前方遠距離音源の定位を
可能できる(この残す量は、多すぎると、せっかくバイ
ノーラル信号に入っている定位信号がマスキングされる
ので、実際には効果の見いだせる範囲内で、極少量、前
方に設置したスピーカの定位情報を付加する程度を望ま
しい)。それでは次にその1実施例をあげる。
第12図において、この聴取者の試聴プログラムは、上
記の聴取者頭部との同一性は十分とは言えないダミーヘ
ッドで録音されたバイノーラル・プログラムソースを想
定してあり、尚かつ前方遠距離音源を再生しようとして
いる状態である。
聴取者は説明をしやすくするため、左側にのみ、第7
図で述べた吸音材144と同一目的でなる吸音材2004を装
着し、右側には何も付けていない状態になっている(本
来は左右に同様の吸音材を構成する)。そして音源は通
常の開き角60度の設定のスピーカとし、特に図示はして
ない、また右側の音の聞え具合を説明しているのが、右
の顔2301で、左側の聞え具合を説明しているのが、左の
顔2302で、断面図2303は、外耳道付近に音がどのように
入射しているのかを克明に表わすために耳付近を断面に
してある。
聴取者の耳に入って来る音は、主に直接音と頭部反射
音に大別され、その音は図中にて表わすと、直接音は、
2307,2309となり、両方音反射部2311にて生じた頭部反
射音は2306,2308になる。
尚、再生音ではなく、自然音源を聴いた場合、聴取者
が音の方向の特に前後感を感じる最も大きな原因は頭部
における反射音であり、その中でも当然前方の音を感じ
させる頭部反射音を作るのに役に立っているのが図中の
顔表面に点の曲線で囲んで示した前方音反射部2311と言
える。
さて、例えば、右の顔2301における聴取者の聴こえ方
を考えると、試聴用スピーカの存在している位置の情報
は、頭部に何も付けていない事から、少なくとも右耳で
感じ取れる頭部反射音についてはそのまま、スピーカの
存在する情報をはっきりと、捉えられているといえ、そ
のためプログラムソースに混入している定位情報は、ほ
とんどマスキングされ、受聴されていない状態になって
いる。
次に左の顔2302における聴取者の聴こえ方についても
考えてみると、左の顔2302および断面図2303より、試聴
用スピーカの音は直接音2307および前方音反射部2311で
反射を来してなる頭部反射音2306で表わされ、上記右耳
における聴こえ方の異なる要因は、吸音材2304の有無と
言え、これによって特に頭部反射音が主に減少させられ
ている状態になっている。ただし上記説明にあったよう
に、若干、頭部反射音を残している点が、この実施例の
特徴となっている。
さて以上のような消音器具にて受聴できる音は、プロ
グラムソースに混入している定位情報は、そのまま聴こ
え、尚かつもともと十分には再生できないはずの前方遠
距離音源の定位は、若干残しておいた前方音反射部で生
じた反射音によって前方に定位が引っぱられ、疑似的で
はあるが、大切な前方の定位感が、このようなプログラ
ムソースでも得ることができた。
また実施における簡単なノウハウとして厚み2305の調
節が上げられ、この厚みによって、頭部反射音、および
耳甲介反射音2310(これも頭部反射音2306ほどではない
が多少前方の定位に関係していると考えられる)、の減
少の程度が決定され、つまり前方の定位感とその他の定
位感との微妙なバランスがこの調節に強く依存されてい
ると言える。
このように第7図の説明においては、極めて有害と述
べた頭部反射音も、条件を限定していくと、バイノーラ
ル・プログラムソースの再生時に生じる、前方不確実定
位を除去するために極めて役に立つものになることがわ
かる。
第13図は、前項のバイノーラル・プログラムソースの
再生時に生じる、前方不確実定位の問題を更に無くすよ
うに考えられた実施例であり、以下説明する。
第13図において、聴取者2401は、前項の吸音材2304と
同じ吸音材2402を使用し、異なる点は、すきま2403を調
節自在に開けている点である。
このすきまは、設けない状態に比較して、前方音反射
部2405の自然な反射状態を保ことができ、尚かつ頭部反
射音2404の減衰もすきまの効果で、より効率良くこなす
点が特徴となっている。更にこのすきまは、聴取者の皮
膚に吸音材が触れないことにより、うっとうしさや、皮
膚の障害から逃れることができる点も見逃せない長所と
なっている。
第14図は、いままで述べた様々な吸音材を、電気的な
手法によってより優れた性質のものにする実施例を示す
ものであり、上記の全ての消音の効果をもつ部材を対象
に考えられたものであり、以下説明をする。
第14図より電気的音波打ち消し部材2501は、消音部材
の1つの形態であり、より細かい音のコントロールを機
敏に行ない、かつフィードバックによるコントロールを
可能にすることにより、様々な対応に答えられるように
したものである。
電気的音波打ち消し部材2501は、一言で言うとMFB
(モードショナルフィードバック)スピーカの構成を取
っていて、この場合は、説明を容易にするため、コンデ
ンサー型を例に取っている。
その構成要素は、お互いに絶縁体2505を介して、駆動
用電極2503およびセンサー用電極2504を、正確に平面状
に位置させ、これらの前に、平行にすきまを開けて振動
用電極2502を設け、かつアースする。
以上の基本構造の他に、電気系統として、センサー用
電極の信号が結線される位相補正部2506、それに直列に
設けたフィルター部2507、アンプ2508がある。
次に動作を説明する。再生音は耳元に入る間にこの装
置を通るようにし、そのためその音圧によって振動用電
極は震える。そうすると次にセンサー用電極に静電容量
の変化の情報が電気信号としてとらえられ、その信号を
アンプにて増幅し、駆動用電極に電圧変化が与えられ、
振動用電極が、エネルギーを受けて振動する。
このままでは、入射した音は、目的とする通過音の音
圧減衰も得られず、場合によってはかえって大きく励振
するとも限らない。そのために設けたのが位相補正部で
あり、ここを通過させることにより振動用電極を通過音
圧が打ち消すことの出来る位相状態にコントロールして
いる。
次に、通過音圧の打ち消しの量を周波数ごと、あるい
は全周波数において、コントロールする必要があり、そ
れを行なうのがフィルター部になる。また他の系統から
のコントロール信号を用いて、このフィルター部を制御
してもよい。
以上の構成の音圧減衰手法は、耳の付近のみと限定し
たような狭い領域においては、十分にその効果を発揮で
きると言え、これにより下記(イ)〜(ハ)の効果が得
られる。
(イ) 従来低域の周波数領域におけるコントロールは
使用する吸音材あるいは消音部材や、消音部材の大きさ
で決定され、第7図の説明に記述したままでは、0,1KHz
以下のコントロールは、難しい訳だがそれを、かなり低
い音域まで可能とする。
(ロ) 電気コントロールによって、耳へ達する音量の
変化、耳へ達する伝送周波数特性の変化を任意に選ぶこ
とができる。
(ハ) 音圧感バランス、頭部条件の個人差、バイノー
ラル・プログラムソースと聴取者の相性、等を電気的コ
ントロ−ルだけで簡単に解決させることが可能、更に以
上の組み合わせを同時に得ることも可能。
第15図、第16図は、2チャンネル以上の音源における
特有のクロスト−クによる諸問題を解決するための実施
例である。
上記問題点を以下に列記する。
(a) 頭部反射音徐去によって可能になるバイノ−ラ
ルの定位を十分に満足いく所まで突き詰めると、このク
ロストーク音の悪さが目立ってくる。従ってこれを除去
する必要が出てくる。
(b) クロストーク音除去に際して従来からある手法
である、遮音板式等では、視覚に対する配慮がなく、特
にこのままでは、ビジュアルとの融合に大きな支障を来
すことになる。
(c) クロストーク音除去に際して従来からある手法
である、遮音板式等があるが、視野の中心を塞がれて極
めて不快感が付きまとう。
(d) クロストーク音除去と視野の広角化は相反する
要因で、両方を満足する手法がない。
上記問題点(a),(b)は、第15図の実施例によっ
て解決し、以下その説明をする。
聴取者2601は、右スピーカ2605と左耳2602を結ぶ音の
伝播路を妨げるように位置させた右の映像機2607を見て
いて、同様に左スピーカ2604と右耳2603を結ぶ音の伝播
路を妨げるように位置させた左の映像機2606を見てい
る。
更に上記映像機には第1、7図中の吸音材84,144と同
効果の吸音材2608,2609が装着してある。
このように左右のクロストークを妨げるように映像機
を位置させると、本来視野の妨げになっていた、遮音板
が逆さまに視覚の楽しみに変わり、同時に視野の妨げを
気にせず、制約のない設計ができるため、クロストーク
に起因する音の問題を十分に除去できる、以上の構成全
体を本発明の1実施とする。
上記問題点の残り(c),(d)は、第16図の実施例
によって解決し、以下その説明をする。
第16図は、基本的に第15図の実施例のようなビジュア
ルを使用しない人のためにあり、頭部反射音を除去する
左右2つのグループに分けてある吸音材2701と2702を設
置し、尚かつ各吸音材を聴取者2701の視点を中心に放射
状に透き間を開けて2つの固定部材2703,2704により位
置させ、大量の吸音材を使用しても視野を極端には奪わ
れずにすむ手法を示している。
またもう少し省略した形を取りたい場合は、空間2705
を十分に開けた状態になるように、吸音材を左右に分け
ることによっても多少は視野の妨げによる不快感を除去
することができる。
次ぎに使用感をさらに良くする他の実施例を説明する
と、 聴取者の耳付近における細やかな調節をしたい場合に
は、その状態保持を強く求めると、必ず聴取者の体の動
きに制約が生じる。そこで、この相反する要因を解決す
るため第17図に示すように、耳甲介反射用吸音材2805を
付けた耳介の変形用の網2804と、この網より前方に、頭
部に対し比較的小さな小消音器具2802を設け、以上全体
をヘツドフォンと類似した頭部支持部2803によって聴取
者頭部にしっかりと固定支持できる構成にしている。更
に聴取者とは別の支持部による補助消音器具2806を装着
自由自在に設けている。
このようにしてなる実施例の使用では、一たび小型吸
音材および耳甲介反射用吸音材を調節してしまえば、以
上の実施をしていない状態から考えられるように、ちょ
っと体を動かすたびに状態が変化して、そん都度微調節
をするであろうその手間がなくなり、むりやりこの状態
をずらさない限り、長時間同条件で聴くことが出来る。
次に、バイノーラル音源を使用した場合における聴取
者頭部の回動に伴う聴取変化が、自然界の音を聴いた状
態にさらに近くなるように聴こえる実施例を第18図によ
り以下説明をする。
聴取者の聴く状態は、常に微妙に動いていると考えた
方が一般的と言え、そして聴感における方向感の中で
も、この動き、特に回動の動きに付随して得られる音圧
の変化の情報は、かなり重要になっていると言える。
そこで疑似的ではあるが、聴取者の頭の回動に対し自
然の音を聴いたように、定められた方向の定位が変化せ
ずに聴こえる実施例を以下第18図を例に述べる。
第18図における、消音器具と付帯装置は、聴取者2901
の頭部を回転可能に押さえる規制部材2905と、頭部反射
音除去用の吸音材2902,2903とこれら全体をスタンド290
4が支えている構造になっている。
スピーカ2906,2907の位置に対して、実線で描かれて
いる聴取者は左に顔を向けていて、点線で描かれた耳
は、正面を向いている時の耳の位置である。
これから述べる音の現象はプログラムソースにバイノ
ーラル信号の使用を前提として進めることにし、説明を
シンプルにするため録音内容は、前方中央と左後方の2
箇所、定位想定位置2918,2919とした。
それでは、なぜ聴取者の頭の動きを1つの中心軸をも
った回転運動に規制すると、新規性のある効果が生まれ
るのかを説明することにすると、聴取者の耳が点線で示
した耳位置2909,2910のとき、定位は2つの定位想定位
置2918および2919に聴こえるように全体を調節してい
る。このとき耳位置とスピーカ2906,2907の各々の距離
は、距離2915,2913となり、これは通常同距離としてあ
る。ここまでは、従来変わらず当然満足の行く再生がで
きる分けだが、聴取者が頭を実線で示したように左に振
ってしまった時、次のような問題点がでてくる。
(イ) 左の耳位置2911とスピーカ2906の距離は、距離
2916となり、正面を向いているときに比べ、距離2917だ
けスピーカに近くなっている、それに反して左の耳位置
2914とスピーカ2907の距離は、距離2914分だけ遠くな
り、まず時間的な問題としてハース効果により、左のス
ピーカ2906の方が大きく片寄って聴こえる条件になって
いる。
(ロ) 上記距離的条件および外耳道と耳介の向きの変
化により、特定の数値で特に示しはしないが、音量の片
寄り(右が強、左が弱)がかなりの量で生じているため
聴取者は定位想定位置2918,2919は、スピーカ2906側付
近へ、吸い寄せられるように聴こえてしまう。
さて上記(イ),(ロ)の理由による異常定位を少な
くする手段が第18図における聴取者の頭の動きの規制
と、その回転に関連して位置づけた吸音材2902,2903で
あり、この実施をしないときのように頭の動きを規制せ
ず、かつ頭部反射音除去用の吸音材の形状や、聴取者と
の位置づけにこれから説明するアイディアを盛り込まな
い場合は、頭部の動きに対して、定位の情報が大きく崩
れることになる。
そのアイディアとは、聴取者の耳位置が例えば2911の
ようになったとき、吸音材2902をその回転偏差の量に応
じ、外耳道と、スピーカを結ぶ音の伝播路がそれに連れ
て大きく隠れるように吸音材を構成させる。またその逆
に反対側の左の耳は、耳位置2909から2908に変化すると
共に吸音材2903によって音の伝播路の妨げていた量が少
なくなるように、吸音材2903を構成するように工夫す
る。
このようにして構成した実施例では、定位想定位置29
18のみならず、2919においても、聴取者の頭の回動条件
を決定することにより、聴取者のかってな頭の回転運動
に対して、疑似的ではあるが、自然界の音源を聴いてい
る様に、定められた音源方向が絶対位置(例えば地面)
に対して、変化せずに再生音を楽しむことができる。
第19図、第20図は、聴取者の聴取条件をより厳密に条
件設定し、それによって第18図で希望した、聴取方向の
自由化と再生音の忠実化の両立を妥協的ではなく、理想
的な手法で実現する手法の実施例を示したものである。
またその理想的な立体音響再生条件の概要を下記に列
記する。
(a) 聴取条件の厳密化と、使用感の向上の両立を図
るため、回転椅子に各装置を取り付けて使用することに
する。
(b) 方向を少しづつずらしてなる複数のダミーヘッ
ドマイクによる多チャンネル録音を採用し、再生スピー
カもそれに見合った複数の角度からの発音ができるよう
にする。
(c) 通常の多チャンネル再生と異なる点は、どんな
に多くのチャンネルで録音したプログラムソースの再生
においてもスピーカの実際の発音の方向は、チャンネル
あたり一方角にになるように制限している所が、従来の
多チャンネル再生手法(例えば物理音場再生手段)と異
なる点である。
(d) 録音時のマイク方向になかった角度に聴取者が
向いているときにどっちつかずの情報を合成して再生す
る、いわばチャンネル間のつなぎ用スピーカは(c)で
述べた制約から外れるが、例外として使用を認めること
にする。
(e) 聴取者がどの方向に向いているかを知る検出手
法は、一番安価なものとして回転椅子の支持軸の角度変
化をセレクターに連動して得る手法があり、この他ジャ
イロスコープの使用も信頼性は高くてよい。
(f) 第19図における実施例は、音圧感バランスのコ
ントロールは以前に十分説明してあるので、省略し、こ
こでは主に頭部反射音除去についての再生を中心に説明
する。
(g) 第19図の実施例は、スピーカおよびアンプの多
チャンネル化による一般性に疑問が生じるが、ただし録
音系にいたっては今日、多チャンネル録音の普及に伴い
比較的一般的なものになっているのでこれらの使用には
抵抗はないと考える。
そこで、上記スピーカ、およびアンプを通常の2チャ
ンネルあるいは4チャンネル程度に抑えることが、機能
を落とさずにできれば、ユーザーは大変助かることは、
明らかであり、その実施例も第20図に示す。
(h) 第20図の実施例の特徴は、多チャンネル・スピ
ーカ、多チャンネル・アンプの使用の代わりに、反射板
を回動させている点で、反射のクオリティーの問題が付
きまとう代わりに、回転に応じ多チャンネル間の節が、
再生側では生じない大きな利点がある。
以上(a)〜(f)の概要の実施例は第19図より、聴
取者はジャイロスコープ3002および、吸音材3009,3010
の付いた回転椅子3008に腰掛け、足を使用して、自由に
聴取方向を変えることができるようになっている。一方
プログラムソースは、ダミーヘッド群3004を録再系3006
にて多チャンネル録音したものを使用し、スピーカ群30
03は多チャンネル(ここでは10チャンネルとしている)
アンプ3005と録再系3006をジャイロスコープで得られた
任意の信号による指令信号指令信号を3007の点線のよう
な関係で連動させ、聴取者の回動に応じたスピーカの発
音を可能にしている。
上記指令信号の連動についてもうすこし詳しく述べる
と、図中のA〜Eの文字に着目すると、例えば聴取者が
正面を向いて聴いている時は、ダミーヘッドマイクは一
番上の信号Aを使用し、再生側は、スピーカ群中の両端
よりそれぞれAD,AE,と示してある三番目のスピーカが、
発音している状態になるように、ジャイロスコープから
来る信号に基づいて、指令信号3007が作用する。次ぎに
少々右に向きを変えた場合はダミーヘッドマイクは上か
ら三番目の信号Cを使用し、再生側は、スピーカ群中の
やはりCと示してあるスピーカを用いて発音するように
指令信号3007が作用する。以下A〜Eの示す文字の通
り、切り換えられて鳴る訳だが、スピーカの場合はA〜
Eの文字が複数示されている通り、組み合わせて利用で
きるので、スピーカの数を節約できる特徴がある。
次ぎに(h)の概要の実施例は第20図に示した通り
で、第19図との違いは、発音体が固定スピーカ3105,310
6の一組しかない点と、椅子の回動に伴って動く反射板3
107,3108がある点および、アンプのチャンネル数も2チ
ャンネルしかいらない点である。
動作の説明をしておくと、聴取者3101は、回転椅子31
02と一緒に動くように支持棒3109,3110にて接続された
反射板3107,3108を有した椅子に腰掛け、足で好みの回
転変化(回動角には制限がある)をさせられるように回
転椅子3102を構成している。また、この回動変化は、直
ちにジャイロスコープ3103にて、指令信号系3104の電気
信号に変えられ、これにより2チャンネルアンプ3111に
入る録再系3112からの信号を切り変ている状態になって
いる。またプログラムソースは第19図と同様に、5つか
らなるダミーヘッド群3113にて得られる信号を使用して
いる。
このように構成された第20図は、反射板の反射しうる
周波数と、忠実度さえ問題にしなければ、簡単な構造
で、多くのスピーカを使用した状態に近くなる。また固
定スピーカのセッティングの位置だが、聴取者の希望す
る回動角が大きい場合は、聴取者に直接音が行かないよ
うな配慮と共に、頭上あるいは足元のような、回転の中
心になるべく近づくようにするとよい。
最後にスピーカが軽くて満足がいくものがある場合
は、第20図の反射板の変わりに、スピーカを持って来る
のが一番理想的だと言える。
以上のような、種々の効果を発する実施は、椅子等の
人間支持物体に本発明を構成することがベースとして実
施されている。
第21図は、聴取者の頭部反射音除去用の吸音材、ある
いは、音圧感バランスを取るための吸音材の着脱時に生
じる音量についてのコントロールを簡単にし、使用感を
スムーズにするための実施例であり、以下に説明をす
る。
頭部反射音除去と、音圧感バランスの両方を満足させ
てくれる状態になると以上の目的の吸音材を付けている
時と、取り去った時の聴取者の感じる音量感は、極めて
大きい差があり、ピークでは、20〜30dBに達する周波数
帯も出て来る。
このような大きな音量差がある場合は、再生音量を変
化させずに吸音材の着脱をするのは、極めて聴取者当人
がうるさく感じ、着脱に伴って再生音の音量をそのつど
調節したくなる。そこでこの吸音材の着脱の行動を利用
して、上記音量変化を自動的にとってみようというのが
第21図に示した実施例であり、以下その説明をする。
吸音材3202と3203は、可変抵抗器3205を蝶番として角
度変化が付けられるように構成してあり、そしてこの2
つの吸音材の間隔によってスライドする可変抵抗器3204
も設け、更に聴取者3201がこの吸音材の所定の位置に来
たかどうかを、探る光センサーの役をする赤外線ランプ
3206、および受講部3207を設けている。
以上の3種類の情報の幾つかを利用して、再生用スピ
ーカの音量を、吸音材の装着時には、大きく、そして取
り去る時は、取り去りの速度や状態に応じて小さくなる
ように制御するのが的であり、この実施例で容易にそれ
が可能になることがわかる。
(発明の効果) 本発明は次の(a)〜(h)の効果を奏する。
(a) 聴覚器官に受ける音圧量と体の受ける音圧量の
バランス、音圧感バランスは、スピーカと聴取者との距
離で決定されてしまうため、至近距離、あるいは、近距
離のバランスに固定される問題があり、従って、通常の
音楽鑑賞時での聴取者とステージの距離で得られるよう
な音圧感バランスは得られず、スピーカを意識させる再
生音になっていた。
また、以上により、体が認知した情報と、耳が認知し
た情報とのギャップが生じ、このギャップが、再生音の
定位を全体的に上へシフトアップさせ、不自然に浮いた
定位に感じさせていた。また、地に着いた様な落ち付き
のある音像表現を不得手とさせていた。
本発明では、消音効果の可変可能な消音器具を聴取者
頭部付近に配置するような手法を取っているため、上
記、消音効果を大きくした時には、遠い、拡散した音に
近い、体側に偏っている音圧感バランスを受聴でき、ま
た、上記、消音効果を少なくした場合は、近い音を聞い
たのと同じ、耳側に偏っている音圧感バランスを受聴で
き、またさらに、極至近距離の音源を受聴したのと等価
の音圧感バランスを可能にしたい場合は、体を包むよう
に構成した消音器具を別途用意し、併用することにより
可能となる。
以上のように、プログラムソースのイメージに適応す
る音圧感が任意に表現可能にしたため、問題提起したシ
フト現像も除去でき、つまり、再生音独特の異常定位を
除去することができた。
また、このような音圧感変化をさせてもプログラムソ
ースには忠実で、歪み伝送周波数特性の問題のない、良
い音で聴取者は楽しめる。
(b) 左チャンネル、右チャンネルの独立した問題、
すなわち、スピーカ位置を認識することのできる頭部反
射情報の存在がある問題。
上記、存在のため、スピーカ位置と同じ実像以外の再
生においては耳が学習した任意の音源位置における音色
パターン認識とのずれを生じることになり、特に方向性
を持たない残響音等は上記、ずれが最大となり、スピー
カを認識させる、人工的な再生音となっていて、時に
は、頭部反射音によるピークが鋭すぎて、聞くに耐えな
い事態にも至る場合がある。また、バイノラール信号の
定位情報を殺してもいた。
また、片耳効果によるスピーカ位置の認知を除去する
方式として、頭部反射による伝達特性変化を音響信号が
上記変化の打ち消し情報を有することによって得た、特
公昭53-21841号が提唱されているが、頭の聞く角度を筆
頭に顔の形状から、スピーカの細かな特性までも限定し
ないと効果が得られないという大きな問題があった。
本発明では、第7図において、聴取者頭部で生じる発
音体の定位を知ることのできる反射音を吸音材144など
で除去できたため、バイノーラル特有のピーク成分と変
調歪の多い聴きずらい音を除去することができ、また、
これに伴い、バイノーラル定位情報を殺す、再生時の聴
取者頭部で専ら生じる反射音も除去されているので、前
方2チャンネルでも全方向の音(前後、左右、上下)の
定位を再生することができるようになり、原音場の音像
方向に極めて忠実な再生を実現可能とした。
また、従来技術で近い考えの、発音体信号原に頭部反
射音キャンセル信号を入れる考えの方法の、上記、特公
昭53-21841号などに比べ、原理的により反射音を除去す
ることができ、耳介の反射についても十分に減少する効
果があり、なお上記、キャンセル方式は、キャンセルエ
ラー発生に伴う、プログラムソースにも聴取者頭部にも
存在し得なかった新しい混入音の出現とその障害による
定位悪化、音質悪化を来していたが、本発明では上記問
題は、透過性質の良い吸音材を選ぶだけで避けることが
できた。
(c) スピーカ数、を増やせば増やすほど、遠距離の
音圧感バランスを再現可能になるが、同時にスピーカを
増やせば増やすほどスピーカ同士の相互干渉は多くな
り、歪みが多くなる問題が生じる。
また、上記歪みは、バイノーラルの持つ定位情報を消
してしまうので、定位悪化を来していた。
また、ヘッドフォン聴や、比較的近い距離のスピーカ
でも音圧感を得られるように試みた特開昭58-107794
号、実開昭52-103909号があるが、皮膚に直接振動を与
える手法を取っているので、基本的に音圧感に違和感を
生じていた。
本発明では、聴取者頭部で生じる反射音除去用の第7
図の吸音材144を用いることにより、音圧感バランス、
および、バイノーラル定位を可能にし、従来、多量のス
ピーカ使用でしか得られなかった音圧感を発音体をステ
レオとしては最小限度の2方向のスピーカで、解決する
ことができた。
また、音圧感を受け持つ音と、聴覚に与える音が同一
であるため、原理的に時間差が生ぜず、同一で無いタイ
プで生じていた相互干渉が無い抵歪率の音を楽しめるよ
うになった。また、体に与える振動が機械振動ではな
く、実際の音波によるものであるため、機械振動によっ
て得ていたもので生じていた違和感を除去できた。
(d) バイノーラル再生における正中面、正背後定位
の可能条件は、プログラムソース作成時に使用した疑似
入頭と、聴取者頭部の高度な類似条件を満たす必要があ
った。
また、上記条件は、平均的な疑似人頭は使えないこと
を意味し、これがプログラムソース制作側の大きな障害
になっていた。
本発明では、聴取者の頭部とダミーヘッド・マイクと
の同一性に疑いのあるプログラムソースを聴くとき、頭
部反射音の除去時に、第12図より、前方音反射部2311で
生じた反射音を若干残すように頭部反射音の除去用音部
材2304を構成したので、以上のようにして聴こえる音
は、プログラムソースに混入している定位情報は、その
まま聴こえ、尚かつ従来困難とされていた前方遠距離音
原の定位は、若干残しておいた前方音反射部で生じた反
射音によって前方に定位が引っぱられ、疑似的ではある
が、大切なこの前方の定位感が、このようなプログラム
ソースでも得ることができるようになった。
また、上記、前方音反射部で生じた反射板を崩さず減
少して耳元へ届けるために、前方音反射部(2311)と聴
取者の外耳道を最短距離で結ぶ空間が開くように消音器
具を構成させるようにも配慮している。
(e) 定位の良いプログラムソースを作る上で、大き
な障害になっているのは、再生形態による表現のバラ付
である。
つまり、具体的に再生形態の種類とは、スピーカを取
り巻く音的環境、スピーカ同士の角度、聴取者とスピー
カの距離(極めて近いときがヘッドフォンである)、で
ある。
つぎにこれに伴う表現のバラ付とは、スピーカ位置に
定位が引っ張られる現象の有無とスピーカ位置のバラ
付、残響の違いによって多大にバラ付く左右間の相関
性、などである。
上記、種々のバラ付は、少なければ少ないほど良い
が、秀でるものがないため、解決に至ってない問題点が
あった。
本発明は、スピーカと聴取者の距離がヘッドフォン聴
と比較して、大きく隔たっている条件においても、第7
図の吸音材144を用いることにより、頭部反射音が無い
聴取が、ヘッドフォン聴と同様に可能になっている。
また、上記に伴い部屋の残響の助けを借りずに豊かな
バイノーラルの残響音がスピーカ再生で再現できるよう
になったため、部屋の条件は、デッドの響きが最上とう
いう単純なものとなった。
また、スピーカ位置知覚も上記吸音材により大きく減
衰しているので、再生側でのスピーカ位置、角度のバラ
付 には、ほとんど影響されなくなった。
ヘッドフォン聴におけるプログラムソースは、バイノ
ーラルが最上であることは、異論がないところである。
本発明は、スピーカのバイノーラル再生で音質、定位、
ともにヘッドフォン聴と同様、あるいはそれ以上の再現
性を可能とした。
本発明は、ヘッドフォンとスピーカ再生双方の最上の
ソースがバイノーラル、と共通にできる効果も有してい
る。
以上、総括すると、本発明はプログラムソースの混乱
に歯止めをさせるほどの従来にない秀でた再生を提供で
きるものであると言える。
(f) 両耳効果(ハース効果、左右音圧バランス、に
依存度が極めて大きい現在のスピーカ再生方式は、片耳
効果(頭部反射音による定位効果)、でしか知覚できな
い片耳聴取者にとっては、自然音聴では十分に認知でき
る程度の定位の動きも認知できないことが多かった。
本発明を使用することによって、左右音圧バランスと
ハース効果に頼らずにも全方向定位受聴を可能にしたの
で、従来どのような再生手段でも得られなかった現実音
と区別のつきがたい再生が聴取者の耳機能に留意するこ
となく得られた。
(g) (b)の効果により、スプーカを聴取者に比較
的近いスピーカの使用にも使用でき、つまりスピーカが
聴取者の近くにあると都合の良い以下の効果が生じる。
(イ) スピーカが小さくても音量感が比較的大きく得
られるようになる。
(ロ) スピーカの音は相対的に小音量で済むため、騒
音を比較的出さずに済む。
(ハ) 椅子にスピーカを取りつける構成をとるとき、
例えば、第20図の反射板3107,3108の変わりに上記スピ
ーカを付けるときなど、小さくできるためにそれを容易
にしている。
(h) 消音部材を電気的に第14図に示した構成で制御
できるようにすると次のような効果が生じる。
(イ) 低域の周波数領域におけるコントロールは使用
する消音部材の大きさで決定され、第7図の説明に記述
したままでは長身より長い波長の音のコントロールは、
不可能であった訳だがそれを、可聴周波数内の低周波程
度なら、実現可能になった。
(ロ) 電気的コントロールによって耳へ達する音量の
変化、耳へ達する伝送周波数特性の変化を電気的に任意
に選ぶことができる。
(ハ) 音圧感バランス、頭部条件の個人差、バイノー
ラル・プログラムソースと聴取者の相性、等を電気的コ
ントロールだけで簡単に解決させることができ、更に以
上のコントロールを同時に得ることも可能になった。
【図面の簡単な説明】
第1図は聴取者頭部を断面とした水平方向から見た図で
ある。 第2図は拡散音場にて聴取者が音圧をどのように受けて
いるかを示す図である。 第3図は拡散音場における音圧感バランスの傾向を対周
波数で示した図である。 第4図は一般のモノーラル系の再生音場における音圧感
バランスの傾向を対周波数で示した図である。 第5図は音原の方向可変に対する耳の受ける音圧感を表
わした図である。 第6図はステレオ聴取どきに生じる頭部反射音が音圧感
バランスを顕著に崩していることを示す図である。 第7図は聴取者頭部を断面とした上視図である。 第8図は器具と装置を上方向から見た図である。 第9図は網状ベルトを利用して耳付近の反射状態を変え
ている様子を示す側面図である。 第10図はヘッドフォンの支持部を利用した耳介変形部材
を示した側面図である。 第11図は反射効果を利用して頭部反射音の除去をする本
発明を示す説明図である。 第12、13図は前方定位感を補正する本発明を示す説明図
である。 第14図は電気的音波打ち消し部材を説明する図である。 第15図チャンネル間のクロストークを映像機を利用して
除去した状態を示す上視図。 第16図は断面図である。 第17図は吸音材をセパレートすることにより使用感を向
上させた本発明を示す説明図である。 第18図は聴取者頭部の回動を規制することにより定位の
変動を抑える本発明を示す上視図である。 第19、20図は多チャンネル・プログラムソースを用いた
時の本発明の実施を説明する図である。 第21図は斜視図である。 図中、 81……反射音,82……直接音,83……反射音,84……85…
…86……吸音材,87……スピーカ,88……聴取者,89……
体に受ける音圧,101……体に受ける音圧感,102……耳に
受ける音圧感,103……斜線部,111……体の受ける音圧
感,112……耳のうける音圧感,113……斜線図,1201……
聴取者,1202……スピーカ,1203……1204……ライン,120
5……境界円,1206……1207……幅,1208……1209……基
準線,1210……切り開き線,1211……1212……幅,1213…
…1214……ライン,1215……1216……1217……1218……1
219……幅,131……ピーク,141……聴取者,142……スピ
ーカ,143……音の伝播路,144……吸音材,145……斜線
部,151……聴取者,152……吸音材,153……可変吸音材,1
54……可変動力部,155……コントロールボックス,156…
…スピーカ,157……アンプ,158……自動変化イコライザ
ー,159……プログラムソース,2001……聴取者,2002……
耳介,2003……乳突部,2004……網状ベルト,2005……吸
音材,2201……聴取者,2202……スピーカ,2203……音の
伝播路,2204……遮音部材,2205……外耳道,2206……耳
介,2207……回折音伝播路,2208……回折音,2209……方
向,2301……右の顔,2302……左の顔,2303……断面図,23
04……吸音部材,2305……厚み,2306……頭部反射音,230
7……耳甲介反射音,2308……頭部反射音,2309……直接
音,2310……耳甲介反射音、2311……前方音反射部,2401
……聴取者,2402……吸音材,2403……すきま,2404……
頭部反射音,2405……前方音反射部,2501……電気的音波
打ち消し部材,2502……信号用電極,2503……駆動用電
極,2504……センサー用電極,2505……絶縁体,2506……
位相補正部,2507……フィルター部,2508……アンプ,260
1……聴取者,2602……左耳,2603……右耳,2604……左ス
ピーカ,2605……右スピーカ,2606……左の映像機,2607
……右の映像機,2608……2609……2701……2702……吸
音材,2703……2704……固定部材,2705……空間,2801…
…聴取者,2802……小消音器具,2803……頭部支持部,280
4……網,2805……耳甲介反射用吸音材,2806……補助消
音器具,2901……聴取者,2902……2903……吸音材,2904
……スタンド,2905……規制部材,2906……2907……スピ
ーカ,2908……2909……2910……2911……耳位置,2912…
…2913……2914……2915……2916……2917……距離,291
8……2919……定位想定位置,3001……聴取者,3302……
ジャイロスコープ,3003……スピーカ群,3004……ダミー
ヘッド群,3005……アンプ,3006……録音系,3007……指
令信号,3008……回転椅子,3101……聴取者,3102……回
転椅子,3103……ジャイロスコープ,3104……指令信号,3
105……3106……固定スピーカ,3107……3108……反射
板,3109……3110……支持棒,3111……アンプ,3112……
録音系,3113……ダミーヘッド群,3201……聴取者,3202
……3203……吸音材,3204……3205……可変抵抗器,3206
……赤外線ランプ,3207……受光部。

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】音響変換用のスピーカを含む少なくとも前
    方左右の再生用音源を有するステレオ音響再生装置にお
    いて、上記再生用音源からの音を聴取する利用者の顔面
    側と後頭部側とを音響的に分離して、上記再生音源から
    顔面側に達する音を消音し、且つ、上記再生用音源から
    の音を後頭部側より利用者の外耳道へ導く導音装置を設
    けることを特徴とする立体情報再生装置。
  2. 【請求項2】上記導音装置の形状または厚みが調節可能
    であり、聴覚器官で受けることのできる音圧量と体で受
    けることのできる音圧量の比率を定量的にあるいは任意
    可変的に調節できるようにしたことを特徴とする特許請
    求の範囲第1項に記載の立体情報再生装置。
  3. 【請求項3】上記導音装置の形状または厚さを調節し
    て、上記再生用音源からの音を十分に後頭部側より外耳
    道へ導くとともに上記再生用音源からの音を僅かに顔面
    側より外耳道へ導くように構成した特許請求の範囲第1
    項に記載の立体情報再生装置。
  4. 【請求項4】上記導音装置を利用者の頭部に対して離し
    て設けた特許請求の範囲第1項に記載の立体情報再生装
    置。
  5. 【請求項5】上記導音装置を利用者の両耳を結ぶ方向に
    設け、上記再生用音源からの音が上記導音装置の後頭部
    側から回折して利用者の外耳道へ届くようにしたことを
    特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の立体情報再生
    装置。
  6. 【請求項6】上記導音装置が、再生用音源からの音圧を
    受けて振動する振動部材と、上記振動部材の振動を検出
    する検出部と、上記検出部の出力信号が入力され上記再
    生用音源からの音圧を打ち消すように入力信号の位相を
    補正する位相補正部と、上記位相補正部の出力信号を増
    幅する増幅部とから成り、上記増幅部から出力される信
    号により上記振動部材を駆動するように構成したことを
    特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の立体情報再生
    装置。
  7. 【請求項7】上記導音装置の少なくとも一部を風船で構
    成したことを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の
    立体情報再生装置。
  8. 【請求項8】上記導音装置を複数の部材で構成したこと
    を特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の立体状方再
    生装置。
  9. 【請求項9】上記導音装置が、利用者前方側において空
    間を有するように構成したことを特徴とする特許請求の
    範囲第1項に記載の立体情報再生装置。
  10. 【請求項10】上記空間が放射状であることを特徴とす
    る特許請求の範囲第9項に記載の立体情報再生装置。
  11. 【請求項11】再生用音源からの音を聴取する利用者の
    顔面側と後頭部側とを音響的に分離して、上記再生音源
    から顔面側に達する音を消音し、且つ、上記再生用音源
    からの音を後頭部側より利用者の外耳道へ導く導音装置
    と、利用者の前方に配置され視覚信号を発生する視覚信
    号発生装置とを有することを特徴とする立体情報再生装
    置。
  12. 【請求項12】上記視覚信号発生装置が上記導音装置の
    少なくとも一部に設けた利用者前方用の映像機であるこ
    とを特徴とする特許請求の範囲第11項に記載の立体情報
    再生装置。
  13. 【請求項13】上記映像機が、利用者の右目で見るため
    の映像機および利用者の左目で見るための映像機の双方
    により構成されていることを特徴とする特許請求の範囲
    第12項に記載の立体情報再生装置。
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