JP2566697C - - Google Patents

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JP2566697C
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インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレイション
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、ディジタル式ミュージック・シンセサイザの出力をフィルタするた
めのデイジタル・フィルタに係り、更に詳細に説明すれば、MIDIデータ・フ ァイルに保持されるMIDIノート番号及びプログラム制御指令(コマンド)に
より、中心周波数や、サンプリング速度や、フィルタQを動的に制御しつつ、デ
ィジタル式ミュージック・シンセサイザの出力をフィルタするためのディジタル
・フィルタに係る。 【0002】 【従来の技術】 ミュージック・シンセサイザは、当該技術分野では周知である。初期のアナロ
グ式シンセサイザは、鋸歯状波、三角波又は方形波を発生する励振波形発生器を
利用するのが普通であった。かかる励振波形発生器の出力周波数は、所望のピッ
チに応じて制御可能であり、またその出力波形にヴィブラート効果を与えること
ができるように、かかる励振波形発生器の出力に、低周波オシレータを接続する
ことが多かった。更に、励振波形発生器の選択可能な出力は、スピーカのような
音響出力装置へ接続する前に、フィルタ及び増幅器へ結合されるのが普通であっ
た。 【0003】 初期のミュージック・シンセサイザは、電圧制御式フィルタを使用するものが
多かった。アナログ・フィルタは電圧制御するのが難しく、そのためコンデンサ
又はインダクタの無効負荷を変化させて調整を行う、L−Cフィルタを利用して
構成するのが普通であった。その後、演算増幅器及びR−C能動フィルタが広範
に使用されるに従って、抵抗は微調整用に、コンデンサは他の目的に使用される
ようになった。 【0004】 フィルタのQ(ヘルツ数で表した帯域幅)は、フィルタの他の重要な特性であ
り、励振波形発生器によって生成された特定の音を強調するのに、この特性を利
用することができる。例えば、管楽器と弦楽器の音響の差を強調するため、帯域
フィルタの帯域幅を変化させることにより、増幅され且つスピーカに結合される
中心周波数の両側の音響エネルギを増減することができる。 【0005】 ミュージック・シンセサイザ分野の初期の研究者は、ADSR(Attack-Decay -Sustain-Release)回路により、適切なフィルタ及び電圧制御増幅器を、迅速に
調整できることを見い出した。ADSR回路の4つのセグメントの各出力を選択
的に調整すると、所望の楽器の音に近似するように、励振信号を変形及びフィル
タすることができる。 【0006】 勿論、最新の技術を利用するミュージック・シンセサイザが、従来よりも一層
広範囲の音や周波数を生成するようになったので、その出力をフィルタするとい
う作業が一層困難になってきた。 【0007】 一般に、最近のミュージック・シンセサイザは、MIDIを利用するものが多
い。MIDIとは、「ミュージカル・インストルメント・ディジタル・インター
フェース」の略称であって、異なる楽器間又はシーケンサ、コンピュータ、照明
コントローラ、ミキサ等の他の機器間で、ミュージカル・ノート(音符)や、プ
ログラム・チェンジや、エクスプレッション・コントロール等の情報交換を可能
にするための、ハードウェア及びソフトウェアの標準規格として定められた。最
初、かかるデータの送受能力は、ライブ・パフォーマンス(生演奏)を対象に考
えられていたが、その後の開発は、録音スタジオや、オーディオ及びビデオの製
造や、さらには作曲の環境にまで多大な影響を与えるようになった。 【0008】 MIDI製造者協会(MMA)と日本MIDI規格委員会(JMSC)の共同
の成果である、MIDIインターフェースの標準規格は、JMSCとMMAの間
の協定により将来変更される可能性を留保しつつ、1989年1月の「MIDI
1.0詳細仕様書、ドキュメント版4.1(the MIDI 1.0 Detailed Specification,
Document Version 4.1,January 1989)」として、一般に公表されている。 【0009】 MIDIインターフェースのハードウェア部分は、1スタート・ビット、8デ
ータ・ビット及び1ストップ・ビットで以て、31.25キロ・ボーの速度で非
同期的に動作する。すなわち、1直列バイト(10ビット)当たり、320マイ
クロ秒の期間を要する。スタート・ビットが論理0であるのに対し、ストップ・ ビットは論理1である。各データ・バイトを伝送するには、先ず最下位のビット
を送信する。データ・ビットは、5ミリ・アンペアの電流ループを利用して、M
IDIインターフェース中で伝送される。この電流ループにおいて、論理0は電
流がオンに転ずることによって表され、論理1は電流がオフに転ずることによっ
て表される。この電流ループの立ち上がり時間及び立ち下がり時間は、2マイク
ロ秒より小さくなければならない。この電流ループを接続するため、5個のピン
を有するDINコネクタが利用される。但し、そのうち2個のピンだけが、電流
ループの信号を伝送するのに利用される。MIDIフォーマットを利用して互い
に連結された機器間の分離を与えるには、オプト(光)アイソレータを用いるの
が普通である。 【0010】 MIDIインターフェースを利用する通信は、複数バイト「メッセージ」を介
して行われる。かかるメッセージは、1ステータス・バイト及びこれに続く1個
以上のデータ・バイトから成る。但し、この規則には幾つかの例外がある。MI
DIメッセージは、多種多様なパフォーマンス(演奏)情報のために利用可能な
16本のチャンネルの内の任意のものを介して送信される。MIDIメッセージ
には、チャンネル・ボイス、チャンネル・モード、システム・コモン、
システム・リアルタイム、 システム・エクスクルーシブ、という5つの主要
なタイプがある。一のMIDIイベント(事象)は、一のメッセージとして伝送
され、1個以上のバイトから成る。 【0011】 MIDIシステム中の各チャンネル・メッセージは、ステータス・バイト中の
4ビットを利用して当該メッセージを16本のMIDIチャンネルの内の特定の
チャンネルにアドレス指定するとともに、ステータス・バイト中の他の4ビット
を利用して当該メッセージを定義する。こうすることにより、ステータス・バイ
ト中で符号化されたチャンネル番号と一致するチャンネル番号を有するシステム
中のレシーバへ、チャンネル・メッセージが向けられるようになる。楽器等の機
器は、複数のチャンネルを介して一のMIDIメッセージを受信することもでき
る。どのプログラム番号をオンにすべきか、そしてどのモードに入るべきか、と いった機器に対する主要な命令を受信するチャンネルは、その機器の「基本チャ
ンネル」と呼ばれることが多い。チャンネル・メッセージには、ボイス・メッ
セージ、モード・メッセージ、という2つの基本タイプがある。ボイス・メッ
セージは、機器のボイスを制御するために利用され、ボイス・チャンネルを介し
て送信されるのが普通である。モード・メッセージは、ボイス・メッセージに対
する機器の応答を定義するために利用され、機器の基本チャンネルを介して送信
されるのが普通である。 【0012】 MIDIシステム中のシステム・メッセージは、コモン・メッセージ、リアル
タイム・メッセージ及びエクスクルーシブ・メッセージを含むことができる。コ
モン・メッセージは、レシーバに関連するチャンネルに拘わりなく、システム中
の全てのレシーバに向けられる。リアルタイム・メッセージは、同期化のために
利用され、システム中の全てのクロック制御式ユニットに向けられる。リアルタ
イム・メッセージは、ステータス・バイトのみを保持し、データ・バイトを一切
含まない。リアルタイム・メッセージは、任意の時間に送信することができ、例
えばメッセージ内の異なるステータスを有する複数バイトの間でさえ送信するこ
とができる。エクスクルーシブ・メッセージは、任意の数のデータ・バイトを保
持することができ、エンド・オブ・エクスクルーシブ(EOF)又は他の任意の
ステータス・バイト(但し、リアルタイム・メッセージを除く)によって終了さ
せることができる。各エクスクルーシブ・メッセージの終了時には、常にエンド
・オブ・エクスクルーシブ(EOF)を送信すべきである。エクスクルーシブ・
メッセージは、製造者の識別コードを含む。もし、レシーバがこの識別コードを
認識しなければ、このレシーバは当該識別コードに続くデータを無視することに
なる。 【0013】 かかるMIDI標準規格を利用すると、実質的に少ないデータで作曲内容を符
号化し、記憶し、送信することができる。すなわち、かかるMIDI標準規格に
よれば、「ノート・オン」及び「ノート・オフ」等のプログラム・ステータス・
メッセージ及びチャンネル・メッセージの順次リストを送信することができるか ら、アナログ音楽信号を直截的にディジタル化する場合よりも、符号化のために
必要なディジタル・データが実質的に少なくなるのである。 【0014】 【発明が解決しようとする課題】 前述の内容に照らして、MIDIシンセサイザによって生成されている音の特
定の音響特性を自動的に調節するように、MIDIデータ・ストリームに保持さ
れるデータによって、中心周波数、サンプリング速度及びフィルタQを動的に制
御可能なフィルタを提供することが望ましいことは明らかである。 【0015】 【0016】 【課題を解決するための手段】 従って、本発明の目的は、MIDIデータ・ファイルに保持されるMIDIノ
ート番号及びプログラム制御指令により、中心周波数、サンプリング速度及びフ
ィルタQを動的に制御しつつ、ディジタル式ミュージック・シンセサイザの出力
をフィルタするためのディジタル・フィルタを提供することにある。 【0017】 本発明の前記目的に従って、複数のフィルタ係数によって動的に制御可能なデ
ィジタル・フィルタが提供される。このディジタル・フィルタは、MIDIシン
セサイザ内の励振信号発生源の出力に結合されるのが好ましい。この励振信号発
生源は、一連のプログラム制御指令並びにノート・オン及びノート・オフ指令を
有するMIDIデータ・ファイルによって制御される。メモリに記憶された複数
のフィルタ係数因子は、前記プログラム制御指令並びにノート・オン及びノート
・オフ指令に応答して、周期的にアクセスされる。このようにして選択されたフ
ィルタ係数因子を利用して、適切なフィルタ係数を計算することにより、このデ
ィジタル・フィルタの中心周波数及びフィルタQを動的に且つ最適に制御するこ
とができる。本発明の好ましい実施例では、このディジタル・フィルタの出力を
最大レベルに制限するのに、一のフィルタ制御回路が利用される。こうすると、
このディジタル・フィルタの初期状態及びフィルタ係数には関係なく、出力の安
定性を常に維持することができる。 【0018】 【実施例】 図1は、本発明に従ったミュージック・シンセサイザを実現するのに使用する
ことができる、コンピュータ・システム10を示す。コンピュータ・システム1
0は、MIDIシンセサイザを実現するための適切なディジタル信号プロセッサ
を搭載した任意のコンピュータ・システム、例えばIBM社が提供するACPA
(Audio Capture & Playback Adapter)カードを搭載したPS/2型のコン
ピュータとすることができる。 【0019】 コンピュータ・システム10内のディスプレイ14は、本発明に従った音楽合
成の進行状況を視覚的に表示するのに利用したり、ユーザがコンピュータ・シス
テム10内に記憶された特定のMIDIデータ・ファイルを選択するのに利用す
ることができる。コンピュータ・システム10内のキーボード16は、コンピュ
ータ・システム10を利用して実現されるミュージック・シンセサイザの動作を
開始及び終了させたり、ユーザが、コンピュータ・システム10内に格納された
特定のMIDIデータ・ファイルを選択するのに利用することができる。 【0020】 図1のディジタル信号プロセッサ12の部分には、コンピュータ・システム1
0内のディジタル信号プロセッサを用いたMIDIシンセサイザの実現形態が例
示されている。図示のように、MIDIファイル18に保持されるデータは、イ
ンターフェース20に結合されている。インターフェース20は、MIDIプロ
トコル・ファイルのアクセスを可能とし且つこれらのファイルを適切なデバイス
・ドライバに結合することを可能にする、適切なオーディオ応用プログラム・イ
ンターフェースを利用して実現するのが好ましい。又、ソフトウェア形式で実現
するのが好ましいデバイス・ドライバ22は、MIDIファイル・データを利用
してミュージックを作り出すことを可能にするような態様で、かかるMIDIフ
ァイル・データを処理する。デバイス・ドライバ22の出力は、シンセサイザ2
4へ結合される。シンセサイザ24は、前出のACPAカードに搭載されている
テキサス・インストルメント社製の「TMS 320C25」のような適切なディジタル信 号プロセッサを利用して実現される、サブトラクティブ・シンセサイザであるの
が好ましい。シンセサイザ24の出力は、スピーカ26のような音響出力装置へ
結合される。 【0021】 かくて、図2に示すような態様で、ディジタル信号プロセッサを利用してMI
DIシンセサイザ24をエミュレートすることにより、コンピュータ・システム
10内のメモリに格納されたMIDIファイル18をアクセスして、当該MID
Iファイル内にディジタル形式で格納された作曲内容を生成又は再生することが
できるのである。 【0022】 図2は、本発明を実現するのに利用されるシンセサイザ装置の一層詳細なブロ
ック図を示す。図2のシンセサイザは、個別的な複数のブロックから成るものと
して示されているが、これを、前出のACPAカードに搭載されているテキサス
・インストルメント社製の「TMS 320C25」のような、単一のディジタル信号プロ
セッサを利用して実現することも可能である。 【0023】 図2に示す励振信号発生源30は、鋸歯状波発生器であることが好ましく、実
際には、一の信号で開始し且つその信号を(以前の値を記憶した後に)一定の値
ずつ増加させるような、ディジタル回路として簡単に且つ効率的に実現すること
ができる。励振信号発生源30の出力は、ディジタル・フィルタ38へ結合され
ている。ディジタル・フィルタ38は、後述するように、MIDIデータ・ファ
イルを利用して合成ミュージックを生成している間に、このMIDIデータ・フ
ァイルに保持される情報によって動的に制御されるという点で、本発明の重要な
特徴を表すものである。 【0024】 ディジタル・フィルタ38の出力は増幅器46へ結合され、そこから音響出力
装置50へ結合される。図示された本発明の実施例では、音響出力装置50は、
一のスピーカ又はステレオ・ミュージックの場合は1対のスピーカで構成するの
が好ましい。かくて、図2に示すような態様で、ディジタル的に合成されたミュ ージックを生成して、これを音響出力装置50へ結合することができる。 【0025】 図示のように、励振信号発生源30は、2つの独立した入力によって制御され
る。ノート番号及び音声割当て器34は、MIDIファイル18から読み出され
るか、又は電子音楽キーボードによって発生される「ノート番号」に従って、励
振信号発生源30からのピッチ又は基本周波数を制御するのに利用される。又、
同様な方法で励振信号発生源30の出力を制御するのに、音声割当て指令を利用
することもできる。 【0026】 励振信号発生源30の出力は、特定の楽器の合成を周知の様式で最適化するた
めに修正することができるが、そうするために、MIDIデータ・ファイルに保
持されるか、又は電子音楽キーボードにより発生される音声割当て指令を利用し
て特定の楽器を識別することが行われる。また、低周波オシレータ32が備えら
れ、その出力が付加ミキサ36においてノート番号及び音声割当て器34の出力
とミックスされて、励振信号発生源30の出力信号のピッチに低周波の振幅変動
を加えるので、これによりヴィブラート効果を与えることができる。 【0027】 図示のように、励振信号発生源30の出力[X(n)]は、ディジタル・フィ
ルタ38へ結合されている。ディジタル・フィルタ38は、二階方程式の無限長
インパルス応答(IIR)ディジタル・フィルタであることが好ましく、その時
間域における伝達関数は次式に示す通りである。 【0028】 【数1】 【0029】 かくて、フィルタ係数a0、b1、b2を、動的に更新して、制御回路40か
ら与えることができる。後述するように、制御回路40は、ノート番号及び音声
割当てを含むMIDIデータ・ストリームからの種々の指令を解析するとともに
、これらの因子を利用てフィルタ・ポール半径テーブル42内の値及び余弦テー
ブ ル44内の中心周数の余弦値をアクセスすることによって、前述のフィルタ係数
を導き出す。本発明の好ましい実施例では、これらのフィルタ係数は毎秒約30
0回更新されるので、ディジタル・フィルタ38は、励振信号発生源30の出力
に動的に追従するとともに、その出力を適切にフィルタすることができる。 【0030】 図示のように、ディジタル・フィルタ38の出力は、好ましくは制御回路48
によって制御される増幅器46へ結合されている。制御回路48は、当該技術分
野では周知のADSR回路のような、任意の増幅器制御回路を利用して実現する
ことができる。最後に、増幅器46の出力は音響出力装置50へ結合される。 【0031】 図3は、図2に示すディジタル・フィルタ38の一層詳細なブロック図である
。図示のように、入力信号は、総和回路62へ結合される前に、ポイント60で
ディジタル・フィルタ38へ結合され、利得係数a0によって乗算される。総和
回路62は、適切な利得係数によって乗算された入力信号と、ディジタル・フィ
ルタ38が先に出力した2つの信号値とを加算する。 【0032】 総和回路62の出力は、飽和回路64へ結合されている。本発明の重要な特徴
に従って、飽和回路64は、総和回路62の出力を制限して安定性を高めるのに
利用される。本発明の実施例では、総和回路62内のアキュムレータの計算を正
の最大又は負の最大の数に制限しているので、ディジタル・フィルタ38の以前
の出力に対する初期設定値にも拘らず、時間とともに変動する本発明のディジタ
ル・フィルタ38の出力の完全性を維持することができる。 【0033】 当業者には明らかなように、これらの初期値は任意のレベルに初期化すること
ができ、かくて総和回路62の出力を範囲外に駆動することがあり得る。飽和回
路64は、かかる現象がアナログ増幅回路における電圧レール(voltage rail)
と類似する態様で生ずるのを防止するのに利用することができる。 【0034】 音響波形の「クリッピング」は、非常に不快な音である奇数調波歪みを生じさ せることがある。しかしながら、この奇数調波歪みが生じている期間は、ディジ
タル・フィルタ38の変化速度に追従している。例えば、ディジタル・フィルタ
38の変化速度が遅い場合は歪みは殆ど生じないし、変化速度が速い場合は相当
な歪みが生じるが、聴覚的には殆ど感じられない。なぜなら、その時に生成され
ているミュージックのエネルギによって、歪みがマスクされるからである。 【0035】 このように、ディジタル・フィルタ38の出力を完全に制御することができる
ので、出力回路に聴覚的に無視できる非直線性の成分を生成するとしても、無条
件的な安定性を維持することができる。 【0036】 QUAN回路66は、飽和回路64の出力を32ビット値から16ビット値に
量子化するのに利用される。その後、その出力信号はディジタル・フィルタ38
の外のポイント68に結合される。 【0037】 これと同時に、ディジタル・フィルタ38の出力信号は、遅延回路70及び7
2へ直列的に結合される。各遅延回路の出力は、利得係数b1及びb2によって
それぞれ乗算された後、ライン74及び76を介して総和回路62へそれぞれ結
合される。当業者には明らかなように、図3のディジタル・フィルタ38は、時
間域において前述の数式1で記述した伝達関数を有するダイレクト形式の二階方
程式のディジタル・フィルタに相当する。 【0038】 最後の図4には、本発明の実施例に関連する高水準のフローチャートが示され
ている。図示のように、このプロセスはブロック80で始まり、次にフィルタ係
数サブルーチンの呼出しを行うブロック82に進む。本発明の実施例において、
ディジタル・フィルタ38の動的に制御可能なフィルタ係数は、MIDIシンセ
サイザを利用して生成されるシンセサイザ・ミュージックについてディジタル・
フィルタ38の特性を適切に制御するために、毎秒約300回再計算される。 【0039】 図4のプロセスを検討する前に、図3に示すディジタル・フィルタ38の数学 的な基礎を検討する。ディジタル・フィルタ38の構造を定義する最初のステッ
プでは、フィルタ・ポール(極)の半径と、各フィルタ・ポールによって定義さ
れる角度Φの余弦を求めることが必要である。フィルタ・ポールの半径を計算す
るには、最初にフィルタQを定義しなければならない。フィルタQは、次式のよ
うに記述することができる。 【0040】 【数2】 【0041】 ここで、Wcは中心周波数に等しく、Whiは中心周波数より高い周波数側の−
3dBポイントに等しく、Wlowは中心周波数より低い周波数側の最小の3dB
ポイントに等しい。 本明細書に開示されているようなサンプル・データ・システムでは、中心周波
数を、次式のように定義することができる。 【0042】 【数3】 【0043】 ここで、Wsはシステムのサンプル・データ速度である。 次に、−3dBポイントによって定義される角度φは、次式のように記述する
ことができる。 【0044】 【数4】 【0045】 半径rの単位円内にあるポールからその単位円の円周までの距離が単に(1−
r)であることに着目し、余弦法則を利用すると、次式を得ることができる。 【0046】 【数5】 【0047】 前式は、フィルタ値rと、制御変数Wc、Ws及びQとの間の、関係式である。
前式をディジタル信号プロセッサのプラットホーム上で実行可能にするには、前
式と、MIDIノート番号との間の、関係を確立しなければならない。 【0048】 前式から判ることは、余弦及び索引テーブルの引数を利用すると、適切なrの
値を選択することができる、ということである。しかしながら、この計算をディ
ジタル信号プロセッサのプラットホーム上でリアルタイムに実行するのは困難で
あり、特にWcがMIDIノート番号値によって表される場合は困難である。し
かしながら、MIDIノート番号とWcとの間の関係を、次式のように記述する
ことができる。 【0049】 【数6】 【0050】 ここでは相対的な処理能力に関心があるので、前式の余弦引数を、次式のよう
に表すことができる。 【0051】 【数7】 【0052】 ここで、Cは定数である。前式の対数を取ると、次式が得られる。 【0053】 【数8】 【0054】 所望の対数のステップ数を得るために、前式をさらには次の因数、 log[2(1/12)] で除算することができる。かかる因数によって除算された前式を、次式のように
記述することができる。 【0055】 【数9】 【0056】 ここで、Nは余弦項の対数の引数である。「NMIDI note」は、MIDIノー
ト番号で記述されるフィルタの所望の中心周波数である。「Nws」は、ノート番
号で記述されるサンプリング周波数であり、オクターブ当たりの周波数において
12個の対数ステップを与える。「NQ」は、ノート番号のコンテキストで記述
されるフィルタQであり、Qの倍数当たりのQにおいて12個の対数ステップを
与える。 【0057】 次に、rの値は、余弦項の対数の引数Nで、数式5を利用して作成されたテー ブルをアクセスして、決定することができる。このテーブルは、図2のフィルタ
・ポール半径テーブル42内に格納するのが好ましい。所望のフィルタ周波数の
余弦は、次式に従って作成される余弦テーブルをアクセスして、決定することが
できる。 【0058】 【数10】 【0059】 各余弦の値は、図2の余弦テーブル44内に格納するのが好ましい。その後、
励振信号発生源30の現在の音響出力について、ディジタル・フィルタ38を最
適化するのに必要な係数を、次式に従って計算することができる。 【0060】 【数11】 【0061】 再び、図4を参照するに、MIDIデータ・ストリームを解析して、フィルタ
係数計算サブルーチンが、ブロック84で始まる。このブロック84では、所望
のフィルタADSRのパラメータ、低周波オシレータのパラメータ、速度パラメ
ータ、所望のQ及びQパラメータを決定するために、MIDIデータ・ストリー
ムが調べられる。次のブロック86は、励振信号発生源30の出力のサンプル速
度を決定する。当業者には明らかなように、ディジタル・フィルタ38は、励振
信号発生源30と同じサンプル速度で動作することが必要である。しかしながら
、本発明に従って構成される動的に制御可能なフィルタを利用すると、励振信号
のサンプル速度の変動に適応させるように、このフィルタが利用するサンプル速
度を変えることが可能となる。 【0062】 次のブロック88では、前述のように動的なフィルタ周波数が計算される。そ
の後のブロック90では、所望のフィルタQが計算される。前述のように、ディ
ジタル・フィルタ38の所望のフィルタQは、合成中の音声又は楽器のタイプに
応じて、変化させることができる。勿論、フィルタQは固定された値であっても
よく、或いは種々の特殊効果を生ぜしめるために、低周波オシレータを利用して
時間とともに変動させるようにしてもよい。 【0063】 次のブロック92では、テジタル・フィルタ38のフィルタ・ポールの半径が
計算される。この計算を行うため、数式9の対数の引数Nを持つ、数式5を利用
して作成されたテーブルがアクセスされる。次のブロック94では、数式10に
従って作成されたテーブルを利用することによって、動的なフィルタ周波数の余
弦が決定される。 【0064】 次のブロック96では、数式11を利用することによって、フィルタ係数a0
、b1及びb2が決定される。最後のブロック98では、これらのフィルタ係数
がディジタル・フィルタ38へ結合される。その後、このプロセスはブロック8
2に戻り、かくてフィルタ係数が毎秒約300回の速度で再計算される。 【0065】 【発明の効果】 以上のように、本発明に従ったディジタル・フィルタを、MIDIデータ・フ
ァイルによって制御されるミュージック・シンセサイザで利用すると、MIDI
データ・ファイルに保持される指令及びメッセージを利用する手段によって、デ
ィジタル・フィルタの中心周波数、サンプリング速度及びフィルタQを最適に制
御することができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明に従ったミュージック・シンセサイザを実現するのに利用される、コン
ピュータ・システムを示すブロック図である。 【図2】 本発明を実現するのに利用される、シンセサイザ装置の一層詳細なブロック図
である。 【図3】 本発明を実現するのに利用される、図2のディジタル・フィルタの一層詳細な
ブロック図である。 【図4】 本発明の実施例に関連する高水準のフローチャートである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 一連のプログラム制御指令並びにノート・オン及びノート・オフ指令を含む、
    MIDIデータ・ファイルによって制御される励振信号発生源を有する、ディジ
    タル式ミュージック・シンセサイザ用のディジタル・フィルタであって、 選択可能な中心周波数を有し、複数のフィルタ係数によって制御されるディジ
    タル・フィルタ手段から成る帯域フィルタ手段と、 前記帯域フィルタ手段及び前記MIDIデータ・ファイルへ結合され、前記ノ
    ート・オン及びノート・オフ指令に応答して前記選択可能な中心周波数を変更さ
    せるための制御手段とを有し、 前記制御手段が、前記中心周波数の余弦値を含む複数のフィルタ係数因子を格
    納するメモリ手段と、前記ノート・オン及びノート・オフ指令に応答して対応す
    るフィルタ係数因子をアクセスする手段と、アクセスされたフィルタ係数因子か
    ら前記複数のフィルタ係数を計算する手段と、計算したフィルタ係数を利用して
    前記帯域フィルタ手段を制御する手段とを含む、 ディジタル式ミュージック・シンセサイザ用のディジタル・フィルタ。 【請求項2】 前記制御手段が、前記MIDIデータ・ファイル内の前記プログラム制御指令
    に応答して前記帯域フィルタ手段のQを変更させる、請求項1記載のディジタル
    式ミュージック・シンセサイザ用のディジタル・フィルタ。

Family

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