JP2565551Y2 - 振動篩装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、鉄鉱石、石炭、コー
クス等の粒状物を篩い分けるための振動篩装置に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】鉄鉱石、石炭、コークス等の粒状物を篩
い分ける振動篩装置は、焼結プラントや高炉プラント等
の、上記粒状物を取り扱うプラントにとっては、運転コ
スト、品質確保等の諸条件を最も良好な状態に保つため
に重要な装置の一つである。

【０００３】この振動篩装置の主要部分を構成する篩面
は、振動篩装置の頻繁な稼働によって、篩面の構成素材
が磨耗し、これにより、篩目のサイズが変動し、篩い分
けるべき粒状物の分級粒度に変動を及ぼすという不都合
がある。

【０００４】このように、粒状物の分級粒度が変動する
と、運転コストおよび品質を確保する上において、非常
に大きな悪影響を及ぼし、プラント全体の定期修理サイ
クルを決定する大きな要因となっている。

【０００５】ここで、従来、振動篩装置に用いられる篩
面としては、たとえば、織網、ワイヤおよびロッドによ
って構成されたスリット網等の篩面がある。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】ところが、これらの篩
面は、いずれも磨耗が著しく速いことから、篩面の取替
が煩雑となり、ひいては、定期修理サイクルの短縮化、
コークス等の粒度変動による焼結燃料原単位の悪化等の
原因となっていた。

【０００７】また、比較的目詰まりの少ない粒状物を篩
い分けるための篩面としては、たとえば、耐磨耗性のあ
る高クロム鋳鋼製の網を用いたり、あるいは鉄板に穴を
あけたパンチングメタル等が一般に使用されている。

【０００８】しかし、上記高クロム鋳鋼製の網の篩面で
は、篩面積に対する篩目の開口面積の比（開孔率）が小
さく、しかも網自体の厚みが厚いため、粒状物が水分を
保有していたり、あるいは粒状物の粒度が細かく、付着
性が高い場合には、その粒状物が篩目を通過する途中
で、篩目に引っ掛かり、目詰まりが発生していた。

【０００９】したがって、この点を解消するため、篩面
に対して付着性が高く、目詰まりを起こしやすい粒状物
を篩い分けるための篩面としては、鋼線で構成した織網
や、ワイヤやロッド等によって構成したスリット網を使
用することで、開孔率を向上させ、かつ、粒状物が篩目
を通過する距離を短くしていた。

【００１０】しかしながら、上記した織網や、ワイヤ，
ロッド等で構成したスリット網を振動篩装置の構成要素
として使用する場合には、振動によって破損しないよう
に、織網やスリット網の構成素材として圧延鋼材を使用
しなければならず、鋳物と同等以上の耐磨耗性を保持さ
せることが困難であった。

【００１１】また、織網や、ワイヤ，ロッド等でスリッ
ト網を構成する場合、目詰まり防止を目的とするために
は、通常、篩面の構成素材の線径を小さくする必要があ
り、前記と同様、鋳物等の耐磨耗性のある硬い材質にす
るには、実際の製作上も困難であった。

【００１２】この考案にかかる振動篩装置は、焼結プラ
ント、高炉プラント等の、上記粒状物を取り扱うプラン
トにおいて鉱石，コークス等の粒状物を所定の等級に分
級するものであって、高寿命の振動篩を備えた振動篩装
置を提供することを目的とする。

【００１３】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、この考案にかかる振動篩装置は、所定間隔をおいて
配設した挟持部材と、これらの挟持部材間に張設した複
数のワイヤ又は棒状部材と、隣接するワイヤ又は棒状部
材間に形成されたスリットとから構成された篩面を備え
た振動篩装置において、上記ワイヤ又は棒状部材は、耐
磨耗性もしくは耐付着性に優れ、最外層を形成するため
のセラミックスリーブと、このセラミックスリーブ内に
配装された心棒と、上記セラミックスリーブと心棒との
間に介装されたセラミックスリーブと略同じ長さの緩衝
用スリーブとで構成されると共に、ワイヤ又は棒状部材
の両端部にはクッションゴムスリーブを被覆し、上記緩
衝用スリーブは少なくとも片端に、一体成形した鍔を備
えたことを特徴としている。

【００１４】

【作用】しかして、この考案によれば、篩い分け時、粒
状物が接触する最外層は耐磨耗性もしくは耐付着性に優
れたセラミックスリーブで構成されているので、粒状物
が付着したり、あるいは粒状物が接触してもセラミック
スリーブが磨耗にしにくい。

【００１５】また、セラミックスリーブの内部には、心
棒が配装され、この心棒により、セラミックスリーブが
安定して整列されるので、篩面が常時、平面状態にあ
り、十分な篩い分け作業がおこなえる。

【００１６】さらに、最外層のセラミックスリーブと心
棒との間、及び隣合うセラミックスリーブ間には、緩衝
用スリーブが介装されているので、篩面に大きな衝撃が
加わった場合にも、この衝撃を上記緩衝用スリーブによ
って吸収緩和でき、セラミックスリーブの破損というお
それもない。したがって、篩面の寿命の延長が図られ、
篩面の交換サイクルも長くなるという利点がある。さら
にまた、長時間の使用により、たとえ、セラミックスリ
ーブの磨耗、破損が生じても、心棒が傷むこともなく、
セラミックスリーブの取替だけで済み、容易にその補修
ができる。

【００１７】

【実施例】以下、この考案の一実施例を図１〜図４によ
り説明する。図１は、この考案にかかる振動篩装置の篩
面を構成するワイヤ又は棒状部材を構成する各構成要素
の分解斜視図、図２は、この考案にかかる振動篩装置の
篩面を構成するワイヤ又は棒状部材の一部拡大断面図、
図３は、ワイヤ又は棒状部材を一対の挟持部材間に取り
付けた状態を示す断面図、図４は、複数本のワイヤ又は
棒状部材を挟持部材間に取り付けた篩面の斜視図であ
る。

【００１８】これらの図面において、１は振動篩を構成
する一本のワイヤ又は棒状部材（以下、単に、ワイヤ部
材と称する）を示し、このワイヤ部材１は、篩に必要な
線径と同等の外径を持ち、最外層を形成するためのセラ
ミックスリーブ２と、このセラミックスリーブ２内に、
ワイヤ部材全体を直線状に維持するために配装された心
棒４と、上記セラミックスリーブ１と心棒４との間に介
装されたセラミックスリーブ１と略同じ長さの緩衝用ス
リーブ３とで構成されている。

【００１９】上記セラミックスリーブ２は、耐磨耗性も
しくは耐付着性に優れたセラミックで形成し、また、緩
衝用スリーブ３は、たとえば片端に鍔を設け、クッショ
ンゴムなどで一体的に形成されており、篩が振動する
際、衝撃に弱く割れやすい上記セラミックスリーブ２
が、心棒４や隣接するセラミックスリーブ２と直接接触
しないように、緩衝の目的で挿入されるものであり、心
棒４は、篩網を両サイドから適宜に緊張させるのに必要
な強度を持つ断面積を有している。

【００２０】また、セラミックスリーブ２を製作する
際、焼成過程で寸法収縮の現象が起きるため、セラミッ
クスリーブ２の内径Ｄ₁ は寸法誤差が大きく、心棒４へ
挿入するには、この寸法誤差を吸収する必要がある。し
たがって、上記緩衝用スリーブ３は、この寸法誤差を吸
収することも目的としている。

【００２１】さらに、セラミックスリーブ２が磨耗減肉
した際に、取替部品点数の削減のため、緩衝用スリーブ
３の内径Ｄ₂ と心棒４の外径Ｄ₃ は、締まりばめの嵌め
合いとし、緩衝用スリーブ３の外径Ｄ₄ とセラミックス
リーブ２の内径Ｄ₁ も締まりばめの嵌め合いとすること
により、上記心棒４と緩衝用スリーブ３及び緩衝用スリ
ーブ３とセラミックスリーブ２の接合は、いずれも接着
剤の使用によることなく、嵌め合いのみで、互いの位置
関係を隙間を生じずに保つことができる。

【００２２】したがって、セラミックスリーブ２が磨耗
減肉した場合は、簡単に、心棒４、緩衝用スリーブ３、
セラミックスリーブ２を分解することができ、磨耗した
セラミックスリーブ２のみを新しいものと交換すること
ができる。

【００２３】上記のようにして、この考案にかかる振動
篩装置の篩面を構成する各ワイヤ部材１は構成される
が、このワイヤ部材１は所定間隔をもって配設された一
対の挟持部材である振動篩フレーム５，５の間に一定の
テンションを付与しつつ、隣接するワイヤ部材１，１間
に所定幅のスリット６が多数、形成されるように、たと
えば、取付具７などによって取り付けられる。

【００２４】特に、振動篩フレーム５付近については、
セラミックスリーブ２が心棒４とずれることを防止する
目的で、クッションゴムスリーブ８をセラミックスリー
ブ２の両端部に被覆している。ここで、心棒４として
は、金属製の中空，中実の棒、あるいは細線を撚ったワ
イヤ等がある。

【００２５】なお、最外周のセラミックスリーブは、耐
磨耗性、耐付着性に優れたセラミック以外に、たとえ
ば、耐磨耗鋳鋼製スリーブ等の他の材質でも可能であ
る。

【００２６】上記構成にかかる振動篩を、焼結用粉コー
クス篩として適用し、その寿命試験を行った結果、従来
のワイヤ式で篩面を構成していた場合には、２０日間程
度の使用でワイヤが断線し、取り替えを余儀なくされて
いたのに対して、この考案による振動篩を使用した場合
には、１年以上の寿命を達成した。なお、試験に供した
振動篩の寸法は、ワイヤ部材の径（セラミックスリーブ
の外径）：Ｄ＝１２ｍｍ、セラミックスリーブの内径：
Ｄ₁ ＝８ｍｍ、心棒の外径：Ｄ₃ ＝６ｍｍ、振動篩の幅
Ｌ₁ ＝１．５ｍｍおよび長さＬ₂ ＝１．５ｍｍである。

【００２７】なお、上記で説明したこの考案にかかる振
動篩装置に用いる振動篩は、単に、振動篩としての使用
にとどまらず、耐磨耗性が要求され、かつ、柔軟性や延
性、靱性の要求されるロッド状の部分、または線材や棒
状材を組み合わせて構成される上記要求条件の部分にも
応用可能である。

【００２８】

【考案の効果】以上説明したように、この考案にかかる
振動篩装置によれば、部品数の少ない簡単な構成で、篩
面の寿命延長が図られ、補修ピッチの延長やプラントの
燃料原単位等の改善及び品質の安定化が図られ、総合的
なコストメリットが非常に大きいという効果がある。加
えて、部品が磨耗等した場合、その取替も短時間でかつ
容易に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案にかかる振動篩装置の篩面を構成する
ワイヤ部材を構成する各構成要素の分解斜視図である。

【図２】この考案にかかる振動篩装置の篩面を構成する
ワイヤ部材の一部拡大断面図である。

【図３】ワイヤ部材を一対の挟持部材間に取り付けた篩
面の断面図である。

【図４】複数本のワイヤ部材を挟持部材間に取り付けた
篩面の斜視図である。

【符号の説明】

１ ワイヤ部材 ２ セラミックスリーブ ３ 緩衝用スリーブ ４ 心棒 ５ 振動篩フレーム ６ スリット

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 所定間隔をおいて配設した挟持部材と、
   これらの挟持部材間に張設した複数のワイヤ又は棒状部
   材と、隣接するワイヤ又は棒状部材間に形成されたスリ
   ットとから構成された篩面を備えた、粒状物を篩い分け
   るための振動篩装置において、上記ワイヤ又は棒状部材
   は、耐磨耗性もしくは耐付着性に優れ、最外層を形成す
   るためのセラミックスリーブと、このセラミックスリー
   ブ内に配装された心棒と、上記セラミックスリーブと心
   棒との間に介装されたセラミックスリーブと略同じ長さ
   の緩衝用スリーブとで構成されると共に、ワイヤ又は棒
   状部材の両端部にはクッションゴムスリーブを被覆し、
   上記緩衝用スリーブは少なくとも片端に、一体成形した
   鍔を備えたことを特徴とする振動篩装置。