JP2565011B2 - ゆらぎ信号発生装置 - Google Patents

ゆらぎ信号発生装置

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JP2565011B2 JP3072189A JP7218991A JP2565011B2 JP 2565011 B2 JP2565011 B2 JP 2565011B2 JP 3072189 A JP3072189 A JP 3072189A JP 7218991 A JP7218991 A JP 7218991A JP 2565011 B2 JP2565011 B2 JP 2565011B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、電子楽器その他の楽
音合成装置で使用することができるゆらぎ信号発生装置
に関し、特に相関ノイズ発生方式を用いたものの改良に
関する。
【0002】
【従来の技術】電子楽器あるいはコンピュータを使用し
た楽音合成装置等において、発生楽音のピッチや音量振
幅などに「ゆらぎ」を与えることにより、該楽音に自然
性を付与することが行われている。「ゆらぎ」を与える
ためには、ゆらぎ信号を発生し、このゆらぎ信号によっ
てピッチや音量振幅などを変調することが行われる。ゆ
らぎ信号を発生するために、1/fノイズ発生器や相関
ノイズ発生器などを使用することが考えられている。
【0003】相関ノイズ発生方式の従来技術としては、
雑誌「Computer Music Journal, Vol. 5, No. 4,Winte
r 1981」に掲載された論文「Dreamsong: The Compositi
on」(著者:Michael McNabb)に示されたものが知られ
ている。これは、出力ノイズ信号の前回サンプル値を所
定のノイズ信号源からの入力ノイズ信号に従って所定の
変化許容範囲内でランダムに変化させ、これを該出力ノ
イズ信号の今回サンプル値として発生するものである。
これにより、ノイズ信号源からの入力ノイズ信号の持つ
ランダム性とは異なる、いわばブラウン運動のようなゆ
らぎを持つ動きが出力ノイズ信号に与えられ、結果とし
て、相関性を持った出力ノイズ信号を得ることができ
る。このような相関性を持ったノイズ信号がゆらぎ信号
として使用される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の相関
ノイズ発生方式によって発生されるゆらぎ信号は、図6
に示すように、ゆらぎ信号の前回サンプル値S1を基準
にして、所定の変化許容範囲が上下に等間隔±kで定ま
り、この範囲S1±k内でランダムに今回サンプル値が
決定される。
【0005】そのようにして発生される従来のゆらぎ信
号の波形例を示すと図7のようである。同図において縦
軸はゆらぎ信号の瞬時値、横軸は時間であり、(a),
(b),(c),(d)は時間的に順次つながるもので
ある。ゆらぎ信号は中心値0を中心にして正負にランダ
ムに揺れ動く波形信号である。ところで、図7の(a)
の波形例のように、中心値0を中心に正負に比較的バラ
ンス良くランダムに揺れ動く場合は問題ないが、
(b),(c),(d)の波形例のように、正または負
に一方的に偏った場合は、楽音制御上好ましくない。つ
まり、このゆらぎ信号により楽音のピッチや振幅を制御
する場合、中心値0では本来のピッチ又は振幅であり、
正の領域ではその値に応じた分だけではピッチや振幅が
上に偏り、反対に負の領域ではその値に応じた分だけで
はピッチや振幅が下に偏る。そのため、図7の(b),
(c),(d)の波形例のように、正または負に比較的
長い時間一方的に偏った場合は、制御される楽音のピッ
チや振幅に比較的目立った偏りが生じ、不自然さを感じ
させる場合が生ずる。
【0006】このような偏りが生じる原因は、前回サン
プル値を変調して今回サンプル値を生じさせるノイズ信
号それ自体が、一時的であるにせよ偏って発生すること
が有り得るためであり、また、前回サンプル値それ自体
が中心値0より正又は負に偏倚するため、そのとき該サ
ンプル値のレベルS1を基準に上下に等間隔±kで変化
許容範囲を設定すると、いかにランダムに変調するとは
言え、前回サンプル値の近くに偏る確率が高まるからで
ある。従って、図7の(a)に示すように始めは問題な
くても、図7の(b)のように一旦偏ると、引き続く
(c),(d)のように偏りが大きく続く傾向があっ
た。
【0007】この発明は上述の点に鑑みてなされたもの
で、ゆらぎ信号が正負一方の振幅領域に偏って発生され
る現象をできるだけ改善することができるようにしたゆ
らぎ信号発生装置を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明に係るゆらぎ信
号発生装置は、ノイズ信号を発生するノイズ信号発生源
と、発生すべきゆらぎ信号の変化許容範囲を指定する変
化許容範囲指定手段と、ゆらぎ信号の過去のサンプル値
を前記ノイズ信号に従って前記変化許容範囲内でランダ
ムに変化させ、これを該ゆらぎ信号の新たなサンプル値
として出力する演算手段と、所定の中心値に対する上記
過去のサンプル値のずれに応じて、該ずれを減らす方向
に上記変化許容範囲の上限と下限を修正することによ
り、求心傾向をもたせる変化許容範囲修正手段とを具え
たものである。
【0009】
【作用】相関ノイズ方式であるから、基本的には、従来
と同様に、ノイズ信号を発生する所定のノイズ信号発生
源を有し、演算手段では、出力ゆらぎ信号の過去のサン
プル値をこのノイズ信号発生源からのノイズ信号に従っ
て変化許容範囲内でランダムに変化させ、これを該ゆら
ぎ信号の新たなサンプル値として出力する。つまり、出
力ゆらぎ信号の過去のサンプル値に相関させながら、し
かしランダムに、新たなサンプル値を決定するわけであ
る。この発明では、このような従来の構成を改良するた
めに、変化許容範囲修正手段を具備している。
【0010】変化許容範囲修正手段による修正作用につ
いて図2により説明する。以下、過去のサンプル値を前
回サンプル値、新たなサンプル値を今回サンプル値とい
う。ゆらぎ信号の前回サンプル値S01が所定の中心値0
に対して正側にずれていれば、そのずれに応じて、該ず
れを減らす方向に変化許容範囲の上限と下限を修正す
る。例えば、前回サンプル値S01に対する基準の変化許
容範囲が±kであるとすると、上記ずれに応じて上限を
+k−αのように減少方向に修正し、下限を−(k+
β)のように増加方向に修正する。修正値はα=βであ
ってもよいし、α≠βであってもよい。これにより、変
化許容範囲+k−α〜−(k+β)が中心値0寄りにシ
フトされ、この範囲でランダムに今回サンプル値が決定
される。従って、今回サンプル値が中心値0寄りになる
(場合によっては中心値0を越えて負側に行く)確率が
高くなる。
【0011】ゆらぎ信号の前回サンプル値S02が所定の
中心値0に対して負側にずれている場合も同様であり、
そのずれに応じて、該ずれを減らす方向に変化許容範囲
の上限と下限を修正する。従って、修正方向は正側にず
れている場合とは逆になる。例えば、前回サンプル値S
02に対する基準の変化許容範囲が±kであるとすると、
上記ずれに応じて上限を+k+γのように増加方向に修
正し、下限を−(k−δ)のように減少方向に修正す
る。修正値はγ=δであってもよいし、γ≠δであって
もよい。これにより、変化許容範囲+k+γ〜−(k−
δ)が中心値0寄りにシフトされ、この範囲でランダム
に今回サンプル値が決定される。従って、今回サンプル
値が中心値0寄りになる(場合によっては中心値0を越
えて正側に行く)確率が高くなる。
【0012】こうして、相関ノイズ方式によるゆらぎ信
号の発生にあたって、求心傾向をもたせる修正が働くの
で、ゆらぎ信号が正負一方の振幅領域に偏って発生され
るような現象が生じるのをできるだけふせぐことができ
るようになる。これにより、このゆらぎ信号により楽音
のピッチや振幅を制御する場合、ピッチや振幅の基準値
からの目立った偏りが生じるのを防止することができ、
不自然さを感じさせることのない楽音等の制御が可能に
なる。
【0013】
【実施例】以下、添付図面を参照してこの発明の一実施
例を詳細に説明しよう。図1において、所定のノイズ信
号を発生するノイズ信号発生源として、ホワイトノイズ
信号を発生するホワイトノイズ発生器1が設けられてい
る。係数発生部2から発生される係数CF1は、発生す
べきゆらぎ信号の基準の変化許容範囲を指定するための
ものである。
【0014】演算部3は、ゆらぎ信号の前回サンプル値
を前記ホワイトノイズ信号に従って前記係数CF1によ
って指定される変化許容範囲内でランダムに変化させ、
これを該ゆらぎ信号の今回サンプル値として出力する演
算手段としての機能、及び所定の中心値に対する上記前
回サンプル値のずれに応じて、該ずれを減らす方向に上
記変化許容範囲の上限と下限を修正することにより、求
心傾向をもたせる変化許容範囲修正手段としての機能、
を果たすものである。前者の演算手段としての機能係数
CF1によって指定される変化許容範囲内でに対応する
ものは、概ね、遅延回路4、加算器5,6、引算器7,
8、乗算器9の部分である。後者の変化許容範囲修正手
段としての機能に対応するものは、概ね、乗算器10,
11,12、引算器13、加算器14の部分である。
【0015】遅延回路4は、演算部3から出力したゆら
ぎ信号を1サンプルタイム遅延して該ゆらぎ信号の前回
サンプル値データOLDとして該演算部3内の所要の回
路にフィードバックするものである。図示していない
が、遅延回路4に所定のサンプリングクロック信号が印
加され、これに従って、遅延制御を行う。演算部3はデ
ィジタル演算を行うものであるが、アナログ演算を行う
タイプのものを発明の範囲から排除する意図はない。
【0016】遅延回路4から出力された前回サンプル値
データOLDは、加算器5及び引算器7に入力される。
加算器5及び引算器7の他の入力には、乗算器10,1
1を経由して、変化許容範囲を指定する基準の係数CF
1が入力される。乗算器10,11は、この変化許容範
囲の上限と下限を修正するために、該基準の係数CF1
を修正するものである。乗算器10は変化許容範囲の上
限を設定するデータUを出力し、乗算器11は下限を設
定するデータLを出力する。すなわち、乗算器10の出
力データUは加算器5に与えられ、前回サンプル値デー
タOLDに加算され、OLD+Uを得る。また、乗算器
11の出力データLは引算器7のマイナス入力に与えら
れ、前回サンプル値データOLDから引算され、OLD
−Lを得る。加算器5及び引算器7の出力は、前回サン
プル値データOLDを基準にして上限設定データUと下
限設定データLによって定まる変化許容範囲の上限絶対
値OLD+Uと下限絶対値OLD−Lを示している。
【0017】加算器5及び引算器7の出力は引算器8に
入力され、引算(OLD+U)−(OLD−L)が実行
される。これにより、上限絶対値OLD+Uと下限絶対
値OLD−Lとによって特定される変化許容範囲に対応
する相対的な変化幅が求められる。この変化幅データは
乗算器9に入力され、ホワイトノイズ発生器1から発生
されるホワイトノイズ信号の現在値WNと乗算される。
乗算器9の出力は加算器6に与えられ、引算器7から与
えられる下限絶対値OLD−Lに加算される。加算器6
の出力がゆらぎ信号として出力される。つまり、加算器
6の出力がゆらぎ信号の今回サンプル値を示す。
【0018】一例として、ホワイトノイズ信号の値は
0.0から1.0の範囲で任意の値をランダムにとり、
上記引算器8から与えられる変化幅データ(OLD+
U)−(OLD−L)に対する変調係数として作用す
る。例えば、ホワイトノイズ信号の現在値WNが最大値
1.0のとき、乗算器9の出力は、引算器8からの変化
幅データに等しく、加算器6の出力は上限絶対値OLD
+Uに等しい。また、ホワイトノイズ信号の現在値WN
が最小値0.0のとき、乗算器9の出力は、0であり、
加算器6の出力は下限絶対値OLD+Lに等しい。一般
的には、乗算器9の出力は、WN・{(OLD+U)−
(OLD−L)}であり、変化幅データ(OLD+U)
−(OLD−L)をホワイトノイズ信号の現在値WNに
よってスケーリングしたものである。従って、加算器6
から出力される今回サンプル値は、前回サンプル値OL
Dをホワイトノイズ信号の現在値WNに従って変化許容
範囲(OLD+UからOLD−Lの範囲)内でランダム
に変化させたものとなる。
【0019】容易に理解できるように、基準の係数CF
1が乗算器10,11で修正されない場合は、CF1=U
=Dであり、前回サンプル値OLDを基準にして変化許
容範囲が上下に等間隔で定まる。しかし、以下述べるよ
うに、所定の中心値に対する前回サンプル値OLDのず
れに応じて、該ずれを減らす方向に変化許容範囲の上限
と下限が修正されることにより、前回サンプル値OLD
を基準にした変化許容範囲が上下に不等間隔となる。こ
の修正のために、修正感度を設定する修正係数CF2が
係数発生部2から与えられる。
【0020】遅延回路4から出力された前回サンプル値
OLDが乗算器12に入力され、上記修正係数CF2が
乗算される。この乗算器12の出力は引算器13のマイ
ナス入力され、かつ加算器14にも入力される。引算器
13及び加算器14の他の入力には、所定値1.0が入
力される。引算器13の出力は乗算器10に与えられ、
上限設定データUを修正するために利用される。加算器
14の出力は乗算器11に与えられ、下限設定データL
を修正するために利用される。従って、上限設定データ
U及び下限設定データLは次のように定まる。 U=(1−CF2・OLD)・CF1 L=(1+CF2・OLD)・CF1
【0021】ここで、ゆらぎ信号は中心値0を中心にし
て正負にランダムに揺れ動く波形信号である。従って、
前回サンプル値OLDが中心値0に一致している場合
は、上記式からU=D=CF1である。前回サンプル値
OLDが中心値0よりも正側にずれている場合は、(1
−CF2・OLD)は1よりも小であり、従って、上限
設定データUは相対的に小となり、反対に、(1+CF
2・OLD)は1よりも大であり、従って、下限設定デ
ータLは相対的に大となる。これは図2における前回サ
ンプル値S01のときの修正状態に対応している。図2に
おいて、kをCF1に、+k−αを(1−CF2・OL
D)・CF1に、−(k+β)を(1+CF2・OLD)
・CF1に、それぞれ置き換えて参照すればよい。他
方、前回サンプル値OLDが中心値0よりも負側にずれ
ている場合は、(1−CF2・OLD)は1よりも大で
あり、従って、上限設定データUは相対的に大となり、
反対に、(1+CF2・OLD)は1よりも小であり、
従って、下限設定データLは相対的に小となる。これは
図2における前回サンプル値S02のときの修正状態に対
応している。図2において、kをCF1に、+k+γを
(1−CF2・OLD)・CF1に、−(k−δ)を(1
+CF2・OLD)・CF1に、それぞれ置き換えて参照
すればよい。
【0022】OLDが正負どちらの場合であっても、C
F2・OLDはそのときのOLDの値に応じた大きさ
(OLDを修正係数CF2によってスケーリングした
値)を持つので、修正量はOLDの値の中心値0からの
ずれが大きくなるほど大きくなり、求心傾向が増す。こ
うして、所定の中心値0に対する前回サンプル値OLD
のずれに応じて、該ずれを減らす方向に変化許容範囲の
上限と下限が修正される。従って、最終的に得られるゆ
らぎ信号はランダムな信号でありながら「ゆらぎ」に求
心傾向をもたせることができる。
【0023】図1における各信号の取りうる数値範囲の
一例を示すと、基準の変化許容範囲を指定するための基
準係数CF1は1.0〜0.0の範囲の可変数値であ
り、この値は手動設定操作子によって任意に設定できる
ようになっていたり、音色等の選択に連動して選定され
るようになっていたり、発生楽音の音高やタッチなどに
連動して設定されるようになっていたりしていてよい。
勿論、所定値に固定されていてもよい。修正係数CF2
も0.0〜1.0の範囲の可変数値であり、上記と同様
に任意に可変設定できるようになっていてもよく、また
固定であってもよい。ホワイトノイズ信号の値WNも前
述のように0.0〜1.0の範囲で任意の値をランダム
にとる。また、出力ゆらぎ信号は、−1.0〜+1.0
の範囲で変化する信号である。いずれの数値も小数部を
含んでいる。演算処理の過程で、演算結果が予定した範
囲を越えた場合は、適当なリミット処理を施すとよい
が、その点は詳しく説明しない。例えば、1.0〜0.
0の範囲の基準係数CF1によって定義される変化許容
範囲の最大は−1.0〜+1.0であるから、加算器5
の出力が+1.0よりも大きくならないように、及び引
算器7の出力が−1.0よりも小さくならないように、
それぞれの出力に対して適当なリミット処理を施すのが
よい。また、出力ゆらぎ信号が−1.0〜+1.0の範
囲を越えないように加算器6の出力に対して適当なリミ
ット処理を施すのがよい。
【0024】上記実施例によって発生されるゆらぎ信号
の波形例を示すと図3のようである。同図において縦軸
はゆらぎ信号の瞬時値、横軸は時間であり、(a),
(b),(c),(d)は時間的に順次つながるものである。
この例では、CF1=0.01,CF2=0.1に設定し
た。どの部分でもゆらぎ信号に偏りが生じていず、バラ
ンスよく正負にランダムに揺れ動いていることが理解で
きる。
【0025】図3の波形をスペクル分析した図が図4で
ある。また、図5はCF1=0.01,CF2=0.5に
設定したときに得られるゆらぎ信号波形をスペクル分析
した図である。スペクル分析では、偏りは直流成分若し
くは周波数0に近い成分として認識できる。ゆらぎ信号
であるから必然的に周波数0に近い成分を含有している
が、他の周波数成分との相対的なレベルの差が極端に大
きくないことがこれらの図から理解できる。また、図4
と図5の比較からは、修正係数CF2を大きくするほど
周波数0に近い成分と他の周波数成分との相対的なレベ
ルの差が小さくなることが理解できる。
【0026】ゆらぎ信号の前回サンプル値を前記ノイズ
信号に従って前記変化許容範囲内でランダムに変化させ
る演算手段の実施態様は、上記実施例によれば次のよう
である。 (a)この演算手段は、変化許容範囲修正手段によって
修正された変化許容範囲に対応する変化幅データをノイ
ズ信号の現在値によって変調し、このノイズ変調された
変化幅データによってゆらぎ信号の前回サンプル値を変
調する演算を行うことにより、該ゆらぎ信号の今回サン
プル値を求めるものである請求項1に記載のゆらぎ信号
発生装置。変化幅データをノイズ信号の現在値によって
変調することは、乗算器8によって行っているから、こ
れは見方を変えれば、ノイズ信号の現在値を変化幅デー
タによって変調することと等価である。従って、そのよ
うな変更も本発明の実施態様の範ちゅうに入る。
【0027】上記演算手段としては、上記実施例に示し
た構成(回路4,5,6,7,8,9等)に限らず、適
宜変更してよい。また、変化許容範囲修正手段も、上記
実施例に示した構成(回路10,11,12,13,1
4等)に限らず、適宜変更してよい。所定の中心値を0
ではなく、別の適宜の値とした場合は、この中心値に対
する前回サンプル値のずれを比較・演算し、該ずれに対
して修正係数CF2を演算する、などの適切な変更を行
うのは勿論である。また、ノイズ信号発生源は、ホワイ
トノイズ信号発生器に限らず、その他のノイズ信号発生
器あるいはランダムデータ発生器を適宜使用してよい。
また、遅延回路4の遅延サンプルタイム数は1サンプル
タイムに限らず、その他複数サンプルタイムでもよい。
その場合は、例えば、複数サンプルタイムについて加算
器5,引算器7の出力が変化せず、ノイズ信号の現在値
WNがランダムに変化することになる。また、この発明
のゆらぎ信号発生装置は楽音信号制御用のゆらぎ信号の
発生に限らず、その他の用途にも使用できるのは勿論で
ある。
【0028】
【発明の効果】以上の通り、この発明によれば、相関ノ
イズ方式によるゆらぎ信号の発生にあたって、求心傾向
をもたせる修正が働くので、ゆらぎ信号が正負一方の振
幅領域に偏って発生されるような現象が生じるのをでき
るだけふせぐことができるようになる。これにより、こ
のゆらぎ信号により楽音のピッチや振幅を制御する場
合、ピッチや振幅の基準値からの目立った偏りが生じる
のを防止することができ、このゆらぎ信号による制御が
不自然さを感じさせることがないものとすることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示すブロック図。
【図2】この発明による作用を説明する図。
【図3】図1に示す実施例により発生されるゆらぎ信号
の一例を示す波形図。
【図4】同実施例により発生されるゆらぎ信号のスペク
トル例を示す図。
【図5】同実施例により発生されるゆらぎ信号の別のス
ペクトル例を示す図。
【図6】従来の相関ノイズ発生方式の原理を説明する
図。
【図7】従来の相関ノイズ発生方式により発生される波
形例を示す波形図。
【符号の説明】
1…ホワイトノイズ発生器、2…係数発生部、3…演算
部、4…遅延回路、5,6,14…加算器、7,8,1
3…引算器、9,10,11,12…乗算器。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノイズ信号を発生するノイズ信号発生源
    と、発生すべきゆらぎ信号の変化許容範囲を指定する変
    化許容範囲指定手段と、ゆらぎ信号の過去のサンプル値
    を前記ノイズ信号に従って前記変化許容範囲内でランダ
    ムに変化させ、これを該ゆらぎ信号の新たなサンプル値
    として出力する演算手段と、所定の中心値に対する上記
    過去のサンプル値のずれに応じて、該ずれを減らす方向
    に上記変化許容範囲の上限と下限を修正することによ
    り、求心傾向をもたせる変化許容範囲修正手段とを具え
    たゆらぎ信号発生装置。
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