JP2564576Y2 - ケーシング押込み式掘削機におけるハンマーロッド支持装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本案は、ケーシングを地中に押込
みつつ該ケーシング内を掘削していくケーシング押込み
式掘削機における硬質地盤掘削用ハンマーロッドの支持
装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、岩盤等の硬質層を含む地盤の掘削
に使用されるケーシング押込み式大口径掘削機として、
ケーシングチャック手段、ケーシング回転駆動手段及び
ケーシング押込み油圧シリンダを有する地上に設置され
たケーシング回転押込み装置と、掘削バケットと、ダウ
ンホールハンマーとを備えたものが知られており、使用
においては上記ケーシング回転押込み装置によりケーシ
ングを把持して回転させつつ押込み油圧シリンダにより
１ストローク分づつ間欠的に地中に押込んでいくと共
に、上記掘削バケットにより上記ケーシング内の土砂を
地上に排出していき、そして岩盤等の硬質地盤に至った
とき、上記掘削バケットに代え、下端にダウンホールハ
ンマーを接続したロッドをケーシング内に挿入し、その
際上記ハンマーロッドは、上記ケーシング上端に固定さ
れた支持装置に、該ケーシング軸心に対する偏心位置で
支承してあり、硬質地盤掘削においては、上記ハンマー
による連続打撃により第一小竪孔を掘削したらケーシン
グを若干回転させてハンマーにより第二小竪孔を掘削
し、以下同一円上に多数小竪孔を掘削する方法を行って
いる。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかし、上記のような
従来のケーシング押込み式大口径掘削機による硬質地盤
掘削では、ケーシング内においてハンマーにより一円弧
上に小竪孔を掘削するのみであるから、さらに大径のケ
ーシングを用いた大口径掘削の場合は、それに応じて大
径のハンマーを別途準備しなければならないばかりでな
く、それに伴うクレーン装置、エアコンプレッサー等の
諸設備の大型化も必要であった。

【０００４】本案は、ハンマー及び諸設備を大型化する
ことなしに大口径掘削を可能にすることを課題とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決する手段
として、本案は、ケーシングを回転させつつ地中に押込
むケーシング回転押込み装置と、硬質地盤掘削用ハンマ
ーを下端に接続されたハンマーロッドとを有するケーシ
ング押込み式掘削機において、上記ケーシングの上端面
に移動案内部材を着脱自在に取付け、該移動案内部材
に、支承部材を上記ケーシング半径方向へ移動自在に支
持させると共に、該支承部材に、上記ケーシング内に挿
入されたハンマーロッドをケーシング軸方向に摺動自在
に支承させ、上記支承部材をケーシング半径方向へ往復
移動させる駆動手段を設けた、ケーシング押込み式掘削
機におけるハンマーロッド支持装置を提案する。

【０００６】本案における上記「ケーシングを回転させ
る」ケーシング回転押込み装置には、ケーシングを一方
向に回転させるもの、及び往復回転させるものを含む。

【０００７】また、上記「ハンマー」には、圧搾空気に
より連続的にハンマーを昇降させるダウンホールハンマ
ーのほか、エンジン、モーター等の駆動部によりハンマ
ーを駆動させるもの等も含まれる。以下図面を参照して
本案の実施例について説明する。

【０００８】

【実施例】図１において、クローラ（１）の前端部に支
持されたケーシング回転押込み装置（２）に、開口下端
縁に掘削ビットを突設された継足し式の大口径鋼管ケー
シング（３）を垂直に抱持させ、該ケーシング（３）の
開口上端にハンマーロッド支持装置（４）を着脱自在に
取付け、この支持装置（４）に、下端にダウンホールハ
ンマー（５）を接続された継足し式ハンマーロッド
（６）を、そのハンマー（５）を上記ケーシング（３）
内でほぼケーシング下端まで垂下させた状態で、支持さ
せると共に、該ハンマーロッド（６）の上端をクレーン
（７）によりワイヤ（８）で吊支してある。

【０００９】まず、ケーシング回転押込み装置（２）は
次のようである。図６において、枠形ベース台（９）上
に４本のケーシング押込みジャッキ（１０）…を垂直に
突設し、該ジャッキ（１０）…は、上記ベース台（９）
に固定された内筒に外筒を摺動自在に差し合わせてなる
伸縮筒（１１）に油圧シリンダを内装してなり、これら
ジャッキ（１０）…の各外筒下端部に中空環状ギヤケー
ス（１２）を水平に固定し、該ギヤケース（１２）の外
側面に突設されたブラケット（１３）…にチャック駆動
用油圧シリンダ（１４）…を連結すると共に各シリンダ
のラム（１５）…の上端に環状昇降フレーム（１６）を
ブラケット（１７）…を介して連結し、この昇降フレー
ム（１６）と上記ギヤケース（１２）に短円筒状の上部
及び下部支持環（１８）、（１９）をそれぞれベアリン
グ（２０）、（２１）を介して回転自在に支持させると
共に支持環（１８）、（１９）同志を同心的上下位置関
係におき、これら上部及び下部支持環（１８）、（１
９）の上下対向面に、互に同一母線上で上下対をなす押
圧傾斜面を有するチャック押圧板（２２）、（２２’）
を、本例では等間隔をあけて６対固定し、これら各対の
押圧板（２２）、（２２’）、…の押圧傾斜面にダブル
楔形チャックピース（２３）…をスライド溝係合により
それぞれ係合させてある。

【００１０】従って、上記チャック駆動用油圧シリンダ
（１４）…の進退により上記昇降フレーム（１６）を昇
降させると、各上下対のチャック押圧板（２２）（２
２’）、…が上下に接近または離反して各チャックピー
ス（２３）…をケーシング（３）外周面に接離させるべ
く半径方向へ同期的に移動させる。

【００１１】ケーシング回転機構としては、上記ギヤケ
ース（１２）内において上記下部支持環（１９）の外周
面に環状大歯車（２４）を固定し、一方、ギヤケース
（１２）の一側部上にケーシング回転用モータ（２５）
を設置し、該モータのギヤケース（１２）内出力軸（２
６）に小歯車（２７）を固着し、該小歯車（２７）を上
記大歯車（２４）にかみ合わせてある。（２８）…は上
記ベース台（９）に４個取付けられたアウトリガー油圧
ジャッキである。

【００１２】次に、ハンマーロッド支持装置（４）につ
いて説明する。まず、上記ケーシング（３）の各継足し
単体は、その上端に図３、４に示すように複数のメネジ
（３０）…を有する接続用オス部（２９）を、下端に該
オス部（２９）が嵌入されるべき複数のネジ通し孔を有
するメス部（図示略）をそれぞれ取付けたものであり、
また上記ハンマーロッド（６）は断面中空円形のロッド
の母線上に１本のスプラインを有するものである。

【００１３】図２、３、４、５において、支持枠（３
１）は、上記ケーシング（３）の直径よりも適宜長い左
右枠材（３２）、（３２）と、ケーシング直径よりも短
い前後枠材（３３）、（３３）からなる、上記ケーシン
グ（３）上端面に載置可能の長方形枠体で、その左右枠
材（３２）、（３２）の各外側面中央部から水平に、つ
いで垂直下方に屈曲するアーム（３４）、（３４）を突
出し、両アームの垂直部に設けた複数の通し孔に通した
ボルト（３５）、（３５）を上記ケーシングオス部（２
９）のメネジ（３０）、（３０）に螺入することによ
り、上記支持枠（３１）をケーシング（３）上端面に載
置状態に取付け可能である。

【００１４】上記支持枠（３１）の左右枠材（３２）、
（３２）上には対をなす断面コ字状のスライド案内枠
（３６）、（３６）を水平に敷設し、両案内枠（３
６）、（３６）に、ほぼ扁平箱状のギヤケース（３７）
を、その左右側面に突設されたスライド片（３８）、
（３８）を介して摺動自在に支持させ、該ギヤケース
（３７）は、その上面に長い軸受筒（３９）を、下面に
短い軸受筒（４０）を同心的に有し、両軸受筒（３
９）、（４０）内に支承筒（４１）をベアリング（４
２）、（４３）を介して回転自在に支承させると共に、
該支承筒（４１）の上下両端部内に、上記ハンマーロッ
ド（６）の断面形状に対応する支承孔を有する支承ブロ
ック（４４）、（４５）を固着し、両支承ブロック（４
４）、（４５）内にハンマーロッド（６）を回転不能且
上下摺動自在に支承させてある。

【００１５】上記ハンマーロッド（６）を回転させる駆
動手段としては、上記ギヤケース（３７）内において、
上記支承筒（４１）の外周面に大歯車（４６）を固着
し、一方ギヤケース（３７）の一側上面にハンマー回転
用油圧モータ（４７）を設置し、該モータ（４７）のギ
ヤケース内出力軸に小歯車（４８）を固着し、該小歯車
（４８）を上記大歯車（４６）にかみ合わせてある。

【００１６】上記ギヤケース（３７）をハンマーロッド
（６）と共に案内枠（３６）、（３６）に沿って摺動さ
せる駆動手段として、上記支持枠（３１）の後部一側に
張設された上板（４９）上のブラケット（５０）、（５
０）にハンマー移動用油圧シリンダ（５１）、（５１）
の一端部を連結して他端を案内枠（３６）、（３６）と
平行にギヤケース（３７）上に延長し、両シリンダのラ
ム（５２）、（５２）先端部をブラケット（５３）、
（５３）を介してギヤケース（３７）に連結してある。
従って、上記油圧シリンダ（５１）、（５１）の進退駆
動により上記ギヤケース（３７）を摺動させれば、支承
ブロック（４４）、（４５）に支承されたハンマーロッ
ド（６）が、本例ではケーシング（３）の軸心位置から
ケーシング（３）内周面近くまで、半径方向に往復移動
することとなる。

【００１７】なお、ハンマーロッド（６）の単体継足し
作業に使用されるロッド吊支手段として、上記軸受筒
（３９）の外周面一側に突設されたブラケット（５４）
に支柱（５５）を起立し、該支柱（５５）に、一対のチ
ャックレバー（５６）、（５６）を、軸受筒（３９）上
位において水平面で開閉するようにレバー一端部におい
てピン（５７）により軸支し、両チャックレバー（５
６）、（５６）の中間部相対する面にチャックピース
（５８）、（５８）を固定すると共に、両レバー（５
６）、（５６）先端間においてチャック開閉用油圧シリ
ンダ（５９）の一端を一方のレバー（５６）に、該シリ
ンダ（５９）のラム（６０）先端を他方のレバー（５
６）にそれぞれ連結してある。（６１）、（６１）は、
上記チャックピース（５８）、（５８）を下から摺動自
在に受支する受け台で、上記軸受筒（３９）に突設され
たブラケット（６２）、（６２）に取付けられている。

【００１８】上例の作用を次に説明する。通常地盤の下
に硬質地盤が存在する地盤での掘削についてみる。ま
ず、ケーシング（３）をケーシング回転押込み装置
（２）内に抱持させ、該装置（２）において、チャック
駆動用油圧シリンダ（１４）…の駆動によりチャックピ
ース（２３）…でケーシング（３）の外周面を把持し、
ついでモータ（２５）の始動によりケーシング（３）を
回転させつつケーシング押込みジャッキ（１０）…の縮
小駆動によりケーシング（３）を地中に押込んでいく。
上記ジャッキ（１０）…の１ストローク分ケーシングを
押込んだら押込みを中止し、ついで掘削バケットをケー
シング（３）内に挿入してケーシング（３）内の土砂を
かき取って外部へ排出する。次に、チャックピース（２
３）…を開き、押込みジャッキ（１０）…の伸長により
チャックピース（２３）…を上昇させ、その位置で再び
ケーシングを把持してケーシング（３）の回転押込みを
再開し、以下これを繰返してケーシング（３）を押込み
つつケーシングの土砂を排出していく。

【００１９】ケーシング（３）が硬質地盤に達したら、
まず上記回転押込み装置（２）により前記と同様にケー
シング（３）の回転押込みを硬質地盤中に継続し、所要
深さにケーシング（３）を押しこんだらケーシングの回
転押込みを停止する。次に、ハンマーロッド支持装置
（４）を上記ケーシング（３）の上端にのせ、そのアー
ム（３４）、（３４）の通し孔から上記ケーシングオス
部（２９）のメネジ（３０）、（３０）にボルト（３
５）、（３５）を螺入して支持装置（４）をケーシング
上端に固定する。ついでダウンホールハンマー（５）つ
きロッド（６）を上方から支承ブロック（４４）、（４
５）の各支承孔に挿通しつつケーシング（３）内へ垂下
させ、ロッド（６）上端はクレーン（７）のワイヤ
（８）で吊支する。上記ハンマーロッド（６）のケーシ
ング（３）内への挿入は一定長のロッド単体を順次継足
しながら行うことになるが、それは、先行のロッド単体
の上端部を支持装置（４）から突出させた状態で、チャ
ック開閉用油圧シリンダ（５９）の縮小駆動によりチャ
ックピース（５８）、（５８）で上記ロッド上端部を把
持し、その状態で次の継足すべきロッド単体をクレーン
により先行ロッド単体の上に搬送して継足しを行い、以
下同様の作業によりロッド単体を順次継足す作業とな
る。

【００２０】ハンマーによる掘削の一例として、まず、
ハンマー移動用油圧シリンダ（５１）、（５１）の伸長
駆動によりギヤケース（３７）をスライド案内枠（３
６）、（３６）に沿って放射方向へ移動させ、支承する
ハンマーロッド（６）を図７においてケーシング（３）
の内周面に近い実線で示す位置におく。その位置でロッ
ド（６）を通じてダウンホールハンマー（５）に圧搾空
気を送ってハンマーによる連続打撃を開始すると共に、
上記ハンマー回転用油圧モータ（４７）の始動によりそ
の回転を小歯車（４８）、大歯車（４６）、支承筒（４
１）を経てハンマーロッド（６）に伝達してハンマー
（５）を自転させ、それにより上記ハンマー（５）の径
に相当する径でケーシング（３）の下端に至る第一小竪
孔を掘削する。次に、上記ケーシング回転押込み装置
（２）により上記ケーシング（３）を若干回転させ、そ
れに伴ってハンマーロッド（６）を上記第一小竪孔を通
る円弧上でハンマー（５）の直径より若干広い間隔だけ
公転させ、その位置で図７点線で示すように上記と同様
に第二小竪孔を掘削し、以下同様に同一円弧上に第三、
第四…の小竪孔を小間隔をあけて掘削する。

【００２１】最外側の円弧上多数小竪孔掘削が完了した
ら、ハンマー移動用油圧シリンダ（５１）、（５１）の
駆動によりハンマーロッド（６）をケーシング中心方向
にハンマー（５）の直径より若干広い距離移動させ、そ
こで上記最外側円の内側の二重目の同心円上に同様に多
数小竪孔掘削を行い、次にハンマーロッド（６）をケー
シグ中心位置に移動させて掘削を行う。

【００２２】上記のようなケーシング下端までの多重同
心円上掘削を行ったら、上記ハンマーロッド（６）及び
ハンマーロッド支持装置（４）をケーシング（３）から
外し、代って掘削バケットをケーシング（３）内に挿入
して掘り残し地盤及び掘削土砂をかき取ってケーシング
外に排出し、次に上記回転押込み装置（２）によりケー
シング（３）を所要深さ押込み、そこで２回目の多重同
心円上掘削を上記と同様に行い、以下これを繰返して硬
質地盤に所望深さの竪孔を形成する。

【００２３】

【考案の効果】本案のケーシング押込み式掘削機におけ
るハンマーロッド支持装置によれば、ハンマーロッドを
支承する支承部材を移動案内部材に沿ってケーシング半
径方向に移動させることにより、ケーシング内において
１つのハンマーで二重、三重…の同心円上に掘削を行う
ことができ、それにより小型のハンマーをもって大口径
掘削を実現することができるのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】ケーシング押込み式掘削機の一部切欠正面図で
ある。

【図２】ハンマーロッド支持装置部分の拡大平面図であ
る。

【図３】同上拡大正面図である。

【図４】同上拡大一部切欠側面図である。

【図５】図２のＶ−Ｖ線断面図である。

【図６】図１のＶＩ−ＶＩ線断面図である。

【図７】ハンマーによる掘削方式を示す説明図である。

【符号の説明】

２ ケーシング回転押込み装置 ３ ケーシング ５ ダウンホールハンマー ６ ハンマーロッド ３６ スライド案内枠 ４１ 支承筒 ４４、４５ 支承ブロック ５１ ハンマー移動用油圧シリンダ

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ケーシングを回転させつつ地中に押込む
   ケーシング回転押込み装置と、硬質地盤掘削用ハンマー
   を下端に接続されたハンマーロッドとを有するケーシン
   グ押込み式掘削機において、 上記ケーシングの上端面に移動案内部材を着脱自在に取
   付け、該移動案内部材に、支承部材を上記ケーシング半
   径方向へ移動自在に支持させると共に、該支承部材に、
   上記ケーシング内に挿入されたハンマーロッドをケーシ
   ング軸方向に摺動自在に支承させ、 上記支承部材をケーシング半径方向へ往復移動させる駆
   動手段を設けた、 ケーシング押込み式掘削機におけるハンマーロッド支持
   装置。