JP2564246Y2 - 射出成形用金型 - Google Patents

射出成形用金型

Info

Publication number
JP2564246Y2
JP2564246Y2 JP3781992U JP3781992U JP2564246Y2 JP 2564246 Y2 JP2564246 Y2 JP 2564246Y2 JP 3781992 U JP3781992 U JP 3781992U JP 3781992 U JP3781992 U JP 3781992U JP 2564246 Y2 JP2564246 Y2 JP 2564246Y2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mold
resin
cavity
runner
sprue
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP3781992U
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0595718U (ja
Inventor
保二 金光
龍一 岩崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP3781992U priority Critical patent/JP2564246Y2/ja
Publication of JPH0595718U publication Critical patent/JPH0595718U/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2564246Y2 publication Critical patent/JP2564246Y2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、成形品を多数取り成形
するための射出成形用金型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】減圧採血管等の細長い有底筒状容器を製
造する場合、射出成形機のノズルからスプルーを経てキ
ャビティに向かって少なくとも2箇所以上の分岐点にて
分岐されたコールドランナーが設けられ、そのランナー
から各キャビティに連通する樹脂注入用ゲートが設けた
射出成形用金型を用いて、射出成形により多数個取りを
行うことが知られている。
【0003】この場合、各キャビティ毎に成形される成
形品の製品重量、品質にバラツキが生じるという問題点
があった。
【0004】この点を改善するため、従来、例えば、実
開平1─99609号公報に記載の如く、多数個取り成
形において、各キャビティへの流れを均一化するため、
樹脂圧力センサーからの信号により、流量調節弁の開量
を調節することにより、ゲート、ランナーの寸法変更を
行わずに、各キャビティへの樹脂充填量を均一化する多
数個取り射出成形用金型が提案されている。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
如き従来の場合には、樹脂圧力センサー及び流量調整
弁が各キャビティ毎に必要であり、金型構造が複雑にな
り、金型コストが高くなり、圧力センサーからの信号
により流量調整弁の作動をするまでには時間の遅れがあ
り、樹脂注入時間の短い射出成形プロセスでは適用して
も効果がなく、流量調整弁はその機能として溶融樹脂
の流動を妨げるため、溶融樹脂が滞留し、分解したり劣
化が発生したりして成形品の品質が低下するという問題
点がある。
【0006】しかして、金型の中心部分に設けたキャビ
ティより成形した成形品に外観不良が発生し易いという
現象をつかみ、その原因を基本的に解明するために、多
数個取り金型のランナー内を流れる溶融樹脂の流動状態
を解析したところ、次の点が判明した。
【0007】即ち、コールドランナー内を流動する溶融
樹脂は、スプルーからキャビティまでの樹脂流路が長い
ほど早く冷却され、流速が遅くなる。
【0008】従って、図16(a)に示す如く、スプル
ーxから供給されコールドランナーy内を流動する溶融
樹脂は、第1の分岐点において、内廻りの溶融樹脂a,
a′の方が外廻りの溶融樹脂b,b′よりも短い樹脂流
路を形成し、樹脂温度も高く流速も速い。
【0009】又、図16(b)に示す如く、第2の分岐
点において、ランナーy内を流動する溶融樹脂は、内廻
りの溶融樹脂c,c′の方が外廻りの溶融樹脂d,d′
よりも短い樹脂流路を形成し、樹脂温度も高く流速も速
い。又、同じ内廻りの溶融樹脂c,c′間でも、溶融樹
脂cは第1の分岐点における内廻りの溶融樹脂aが主流
をなし、溶融樹脂c′は第1の分岐点における外廻りの
溶融樹脂bが主流をなしているので、溶融樹脂cの方が
溶融樹脂c′よりも短い樹脂流路を形成し、樹脂温度も
高く流速も速い。
【0010】又、図16(c)に示す如く、第3の分岐
点において、ランナーy内を流動する溶融樹脂は、内廻
りの溶融樹脂e,e′の方が外廻りの溶融樹脂f,f′
よりも短い樹脂流路を形成し、樹脂温度も高く流速も速
い。又、同じ内廻りの溶融樹脂e,e′間でも、溶融樹
脂eは第2の分岐点における内廻りの溶融樹脂cが主流
をなし、溶融樹脂e′は第2の分岐点における外廻りの
溶融樹脂dが主流をなしているので、溶融樹脂eの方が
溶融樹脂e′よりも短い樹脂流路を形成し、樹脂温度も
高く流速も速い。
【0011】これにより、図16(c)に示す如く、最
短の樹脂流路が形成されるランナーに連通されたキャビ
ティ16Kに溶融樹脂が最も早く充填される。そして、
順次、短い樹脂流路が形成されるランナーに連通される
キャビティ16L及び16O、16Pの順に溶融樹脂が
充填されていく。
【0012】この際、最も早く充填されたキャビティ1
K内の成形品には、表面に凹部が発生するヒケ現象に伴
ういわゆるメラの発生が、例えば、図17(a)に示す
如く、成形品の先端部外周面(図中矢印にて示す)や、
図17(b)に示す如く、成形品の先端部内周面(図中
矢印にて示す)に起こり易い。このようなヒケ現象に伴
ういわゆるメラは、短い樹脂流路が形成されたランナー
に連通するキャビティより得られる成形品ほど激しく発
生する。
【0013】そして、スプルーに近い位置に配置された
樹脂注入用ゲートに連通するランナーの末端部ほど短い
樹脂流路が形成される。通常は、スプルーは金型の中心
に設けられるので、短い樹脂流路が形成されたランナー
に連通するキャビティの樹脂注用ゲートは、金型の中
心に近い部分に存在する。
【0014】本考案は、上記の点に鑑み、従来の問題点
を解消し、品質むらのない成形品を多数個取りにて簡単
に製造することができる射出成形用金型を提供すること
を目的としてなされたものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本願の請求項1の考案
は、固定側型板と可動型とランナーストリッパープレー
トとを備えた金型の、固定側型板と可動型との間に、成
形すべき成形品の形状に対応する内面形状を備えた4個
以上のキャビティが形成され、固定側型板には、スプル
ーを経て各キャビティの樹脂注入ゲートに向かって少な
くとも2箇所以上の分岐点にて分岐されたコールドラン
ナーが設けられ、スプルーから各キャビティに連通する
樹脂注入用ゲートまでのランナー長が略等しくされた射
出成形用金型において、スプルーに近い位置に配置され
た樹脂注入用ゲートに連通するランナーの末端部が、他
のランナーの末端部より、その断面積が小さくされてい
る射出成形用金型である。
【0016】本願の請求項2の考案は、固定側型板と可
動型とランナーストリッパープレートとを備えた金型
の、固定側型板と可動型との間に、成形すべき成形品の
形状に対応する内面形状を備えた4個以上のキャビティ
が形成され、固定側型板には、スプルーを経て各キャビ
ティの樹脂注入ゲートに向かって少なくとも2箇所以上
の分岐点にて分岐されたコールドランナーが設けられ、
スプルーから各キャビティに連通する樹脂注入用ゲート
までのランナー長が略等しくされた射出成形用金型にお
いて、スプルーに近い位置に配置された樹脂注入用ゲー
トに連通するランナーの末端部の周囲部分が、他のラン
ナーの末端部の周囲部分より、その熱伝導率が高い材質
とされている射出成形用金型である。
【0017】 本願の請求項の考案は、固定側型板と可
動型とランナーストリッパープレートとを備えた金型
の、固定側型板と可動型との間に、成形すべき成形品の
形状に対応する内面形状を備えた4個以上のキャビティ
が形成され、固定側型板には、スプルーを経て各キャビ
ティの樹脂注入ゲートに向かって少なくとも2箇所以上
の分岐点にて分岐されたコールドランナーが設けられ、
スプルーから各キャビティに連通する樹脂注入用ゲート
までのランナー長が略等しくされた射出成形用金型にお
いて、スプルーに近い位置に配置された樹脂注入用ゲー
トに連通するキャビティの末端内に、樹脂流動制御部材
が入出自在に設けられ、その樹脂流動制御部材が押圧部
材に連結されて、そのキャビティ内に溶融樹脂が充填さ
れる際に、樹脂流動制御部材がそのキャビティの末端内
に入った状態とされて押圧部材により圧力がかけられ、
そのキャビティ内の末端に溶融樹脂が充填するのを阻止
しつつ、他のキャビティ内に溶融樹脂が充填するのを助
ける機構とされている射出成形用金型である。
【0018】 本考案において、成形品としては、例え
ば、肉厚が0.5〜2mm、全長が200mm以下の、
減圧採血管、容器、カバー、ハウジング、引出し、箱等
が挙げられる。
【0019】 本考案において、樹脂としては、射出成形
に用いられる樹脂が全て使用可能であり、例えば、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチ
レン、アクリロニトリル─ブタジエン─スチレン共重合
体、ポリメチルメタクリレート、ナイロン、ポリオキシ
メチレン等が使用される。
【0020】 本考案において、金型の材質としては、鉄
又は合金が使用されるが、熱伝導率が0.05〜0.5
0cal/cm・sec・℃のものが好適に使用され
る。金型の熱伝導率が0.05cal/cm・sec・
℃未満の場合には、ランナーの冷却に時間がかかり、シ
ョット時間が長くなってしまい、逆に、0.50cal
/cm・sec・℃を超える場合には、ランナーの冷却
が早すぎて、溶融樹脂を充填しにくくなり易い。
【0021】 まず、本考案における、射出成形用金型の
全体の構造の一例を図面を参照して説明する。
【0022】 図1は、本考案の射出成形用金型の一例の
全体を示す一部切り欠き縦断面図である。1は成形品で
ある採血管を製造するための射出成形用金型であって、
可動型11と固定側型板12とを備えている。
【0023】 可動型11はコア111と受け板112と
突出し用ストリッパープレート113とからなる。尚、
コア111と受け板112とは一体構造であってもよ
い。
【0024】 コア111は先端部分と中央部分は細長い
円柱とされ、先端部分は成形すべき成形品の内表面を形
成する部分とされ、その頂部は半球の凸球面とされてい
る。尚、コアー111の先端部分は、その外表面が頂部
にいくにつれて次第にすぼまる10/1000以下の抜
きテーパー面とされていてもよい。コア111の中央部
は、突出し用ストリッパープレート113に穿設された
穴113a中に挿通されている。コア111の基端部
は、先端部分及び中央部分より大径とされ、受け板11
2に穿設された穴112a中に嵌合固定されている。コ
ア111は受け板112を介して可動型取付け板15に
固着されている。
【0025】 固定側型板12には、成形すべき成形品の
外周面を形成する貫通孔121が設けられている。固定
側型板12には、コア111の頂部の凸球面の最頂部に
対応する位置にゲート122が設けられている。
【0026】 固定側型板12と固定側型板取付け板16
との間には、ランナーストリッパープレート18とラン
ナー・ゲートつなぎ板19が設けられている。
【0027】 ランナーストリッパープレート18には、
ランナー181及びスプルー182が設けられている。
ランナー・ゲートつなぎ板19には、ランナー181と
ゲート122をつなぐランナー191が設けられてい
る。
【0028】 しかして、型開き時、コア111と固定側
型板12間、コア111と突出し用ストリッパープレー
ト113間、固定側型板12とランナー・ゲートつなぎ
板19間、ランナー・ゲートつなぎ板19とランナース
トリッパープレート18間が開き、ランナーストリッパ
ープレート18と固定側型板取付け板16間は圧力が解
除され、フリー状態とされる。
【0029】 しかして、型締め時、コア111の先端部
の外周面、突出し用ストリッパープレート113、及び
固定側型板12の貫通孔121の壁面により、成形すべ
き成形品を形成するキャビティ20が形成される。そし
て、ゲート122から、図示しない射出成形機より、ス
プルー182及びランナー181,191を通して供給
される溶融樹脂をキャビティ20内に注入して、成形品
を成形する。
【0030】 本願の請求項1の考案において、スプルー
に近い位置に配置された樹脂注入用ゲートに連通するラ
ンナーの末端部が、他のランナーの末端部より、その断
面積が小さくされている。ランナーの末端部の断面積
は、例えば、次のようにして決定される。即ち、金型の
中心にスプルーが設けられた場合を想定すると、上記の
図16を参照して説明した如く、スプルーxが設けられ
た金型の中心に近い位置に配置されたキャビティ16K
の樹脂注入用ゲートほど、より短い樹脂流路が形成され
るランナーに連通されている。
【0031】 そこで、キャビティに連通するランナーの
最末端部の断面積Sとし、金型の中心からキャビティの
樹脂注入用ゲートまでの距離をRとし、金型中心から最
も離れたキャビティの樹脂注入用ゲートに連通するラン
ナーの最末端部の断面積S=1とする。このとき、金型
中心から最も離れたキャビティの樹脂注入用ゲートまで
の距離R=1としたとき、例えば、Rが0.7以上の場
合の範囲ではS=1、Rが0.5以上0.7未満の範囲
ではS=2/3、Rが0.3以上0.5未満の範囲では
S=1/2、Rが0.3未満の範囲ではS=1/3を目
安とする。
【0032】 尚、上記の場合には、便宜上、ランナーの
最末端部の断面積を調節するようにしたが、ランナーが
分岐点で分岐される毎に、短い樹脂流路が形成されるラ
ンナーの程度に応じて、より細かく断面積を調節するよ
うにしてもよい。
【0033】 以下、本願の請求項1の考案の射出成形用
金型の例を図面を参照して説明する。図2は、図3に示
す如き薄肉角筒状容器を製造するための射出成形用金型
の一例の、スプルー、ランナー及びキャビティの部分を
示す模式図である。
【0034】 金型のランナーストリッパープレート18
(図1参照)には、中心にスプルー182が設けられ、
そのスプルー182から8個のキャビティ2A〜2Hに
向かってコールドランナー181が設けられている。そ
のランナー181は、第1の分岐点にて2本に分岐さ
れ、第2の分岐点にて更に2本に分岐され、各キャビテ
ィに連通する樹脂注入用ゲート(図示せず)に連通され
ている。
【0035】 金型1の中心に設けられたスプルー182
から最も離れたキャビティ2A,2B,2G,2Hの樹
脂注入用ゲートまでの距離R=1とし、キャビティ2
A,2B,2G,2Hに連通するランナーの最末端部の
断面積S=1とする。
【0036】 このとき、スプルー182に近いキャビテ
ィ2C,2D,2E,2Fの樹脂注入用ゲートまでの距
離R=0.5であるので、キャビティ2C,2D,2
E,2Fに連通するランナーの最末端部の断面積S=2
/3とする。尚、上記以外のスプルーの断面積S=1と
する。
【0037】 図4は、図5に示す如き薄肉円筒状容器を
製造するための射出成形用金型の別の例の、スプルー、
ランナー及びキャビティの部分を示す模式図である。
【0038】 金型1の固定側型板には、中心にスプルー
182が設けられ、そのスプルー182から16個のキ
ャビティ4A〜4Pに向かってコールドランナー181
が設けられている。そのランナー181は、第1の分岐
点にて2本に分岐され、第2の分岐点にて更に4本に分
岐され、各キャビティに連通する樹脂注入用ゲート(図
示せず)に連通されている。
【0039】 金型1の中心に設けられたスプルー182
から最も離れたキャビティ4A,4D,4M,4Pの樹
脂注入用ゲートまでの距離R=1とし、キャビティ4
A,4D,4M,4Pに連通するランナーの最末端部の
断面積S=1とする。
【0040】 このとき、スプルー182に最も近いキャ
ビティ4F,4G,4J,4Kの樹脂注入用ゲートまで
の距離R=0.4であるので、キャビティ4F,4G,
4J,4Kに連通するランナーの最末端部の断面積S=
1/2とする。
【0041】 又、スプルー182に次に近いキャビティ
4B,4C,4E,4H,4I,4L,4N,4Oの樹
脂注入用ゲートまでの距離R=0.8であるので、キャ
ビティ4B,4C,4E,4H,4I,4L,4N,4
Oに連通するランナーの最末端部の断面積S=1とす
る。尚、上記以外のランナーの断面積S=1とする。
【0042】 図6は、図7に示す如き薄肉円筒状容器を
製造するための射出成形用金型の別の例の、スプルー、
ランナー及びキャビティの部分を示す模式図である。
【0043】 金型1の固定側型板には、中心にスプルー
182が設けられ、そのスプルー182から16個のキ
ャビティ6A〜6Pに向かってコールドランナー181
が設けられている。そのランナー181は、第1の分岐
点にて2本に分岐され、第2の分岐点にて更に2本に分
岐され、第3の分岐点にて更に2本に分岐され、各キャ
ビティに連通する樹脂注入用ゲート(図示せず)に連通
されている。
【0044】 金型1の中心に設けられたスプルー182
から最も離れたキャビティ6A,6D,6M,6Pの樹
脂注入用ゲートまでの距離R=1とし、キャビティ6
A,6D,6M,6Pに連通するランナーの最末端部の
断面積S=1とする。
【0045】 このとき、スプルー182に最も近いキャ
ビティ6F,6G,6J,6Kの樹脂注入用ゲートまで
の距離R=0.50であるので、キャビティ6F,6
G,6J,6Kに連通するランナーの最末端部の断面積
S=2/3とする。
【0046】 又、スプルー182に次に近いキャビティ
6B,6C,6E,6H,6I,6L,6N,6Oの樹
脂注入用ゲートまでの距離R=0.79であるので、キ
ャビティ6B,6C,6E,6H,6I,6L,6N,
6Oに連通するランナーの最末端部の断面積S=1とす
る。尚、上記以外のランナーの断面積S=1とする。
【0047】 図8は、図9に示す如き薄肉円筒状容器を
製造するための射出成形用金型の一例の、スプルー、ラ
ンナー及びキャビティの部分を示す模式図である。
【0048】 金型1の固定側型板には、中心にスプルー
182が設けられ、射出成形機のノズルからスプルー1
82を経て24個のキャビティ8A〜8Xに向かってコ
ールドランナー181が設けられている。そのランナー
181は、第1の分岐点にて2本に分岐され、第2の分
岐点にて更に2本に分岐され、第3の分岐点にて更に3
本に分岐され、各キャビティに連通する樹脂注入用ゲー
ト(図示せず)が設けられている。
【0049】 金型1の中心に設けられたスプルー182
から最も離れたキャビティ8A,8D,8U,8Xの樹
脂注入用ゲートまでの距離R=1とし、キャビティ8
A,8D,8U,8Xに連通するランナーの最末端部の
断面積S=1とする。
【0050】 このとき、スプルー182に最も近いキャ
ビティ8J,8K,8N,8Oの樹脂注入用ゲートまで
の距離R=0.39であるので、スプルー182に近い
キャビティ8J,8K,8N,8Oに連通するランナー
の最末端部の断面積S=1/2とする。
【0051】 又、スプルー182に次に近いキャビティ
8F,8G,8I,8L,8M,8P,8R,8Sの樹
脂注入用ゲートまでの距離R=0.61であるので、キ
ャビティ8F,8G,8I,8L,8M,8P,8R,
8Sに連通するランナーの最末端部の断面積S=2/3
とする。
【0052】 又、スプルー182に次に近いキャビティ
8E,8H,8Q,8Tの樹脂注入用ゲートまでの距離
R=0.78であるので、キャビティ8E,8H,8
Q,8Tに連通するランナーの最末端部の断面積S=1
とする。
【0053】 又、スプルー182に次に近いキャビティ
8B,8C,8V,8Wの樹脂注入用ゲートまでの距離
R=0.87であるので、キャビティ8B,8C,8
V,8Wに連通するランナーの最末端部の断面積S=1
とする。尚、上記以外のランナーの断面積S=1とす
る。
【0054】 本願の請求項2の考案においては、スプル
ーに近い位置に配置された樹脂注入用ゲートに連通する
ランナーの末端部の周囲部分が、他のランナーの末端部
分より、その熱伝導率が高い材質とされている。
【0055】 熱伝導率の高い材質からなる部分は、例え
ば、金型本体に入れ子方式で形成する。金型本体と熱伝
導率の高い材質からなる入れ子との間には、両者間に熱
伝導を防止するため、シールゴム等が介在されてもよ
い。
【0056】 本考案において、金型は熱伝導率が0.0
5〜0.50cal/cm・sec・℃の材料が好適に
使用されるが、この範囲内において、上記の金型本体の
熱伝導率に対する、熱伝導率が高い材質からなる部分の
熱伝導率の比は、1.5〜10とするのが好適である。
この比が1.5未満の場合には、短い樹脂流路が形成さ
れるランナーに連通するキャビティから得られた成形品
にヒケ現象に伴ういわゆるメラが発生し易く、逆に10
を超える場合には、金型の強度が低下して耐久性に問題
が生じ易い。
【0057】 金型のランナーの末端部の周囲部分の材質
の決定は、例えば、次のようにして行われる。即ち、金
型の中心にスプルーが設けられた場合を想定すると、上
記の図16を参照して説明した如く、スプルーから、よ
り短い樹脂流路が形成されるランナーに連結されたキャ
ビティの樹脂注入用ゲートの位置ほど、スプルーが設け
られた金型の中心に近い位置に配置されている。
【0058】 そこで、金型の中心からキャビティの樹脂
注入用ゲートまでの距離をRとし、金型中心から最も離
れたキャビティの樹脂注入用ゲートまでの距離をR=1
としたとき、例えば、Rが0.7未満の範囲内のキャビ
ティに連通するランナーの最末端部の周囲部分の金型材
質は、金型中心から最も離れたキャビティに連通するラ
ンナーの周囲部分の金型材質よりも熱伝導率が高い材質
とする。又、Rが0.7以上の範囲内のキャビティに連
通するランナーの最末端部の周囲部分の金型材質は、金
型中心から最も離れたキャビティに連通するランナーの
周囲部分の金型材質と同一にする。
【0059】 尚、上記の図16を参照して説明した如
く、最も短い樹脂流路が形成されるのは、図16中、ス
プルー182からa−c−eの流路を経てキャビティ1
6Kに至るものである。このa−c−eの流路に面する
ランナー面に対応する部分の周囲部分の金型材質を熱伝
導率の高い材質としてもよい。
【0060】 以下、本願の請求項2の考案の射出成形用
金型の例を図面を参照して説明する。図10は、図11
に示す薄肉矩形板を製造するための射出成形用金型の一
例の、スプルー、ランナー及びキャビティの部分を示す
模式図である。
【0061】 金型1の固定側型板には、中心にスプルー
182が設けられ、そのスプルー182から16個のキ
ャビティ10A〜10Pに向かってランナー181が設
けられている。そのランナー181は、第1の分岐点に
て2本に分岐され、第2の分岐点にて2本に分岐され、
各キャビティに連通する樹脂注入用ゲート(図示せず)
に連通されている。
【0062】 金型1の中心に設けられたスプルー182
から最も離れたキャビティ10A,10D,10M,1
0Pの樹脂注入用ゲートまでの距離R=1とし、キャビ
ティ10A,10D,10M,10Pに連通するランナ
ーの周囲部分の金型材質を熱伝導率が低い材質とする。
【0063】 このとき、スプルー182に最も近いキャ
ビティ10F,10G,10J,10Kの樹脂注入用ゲ
ートまでの距離R=0.50であるので、キャビティ1
0F,10G,10J,10Kに連通するランナーの最
末端部の周囲部分に熱伝導率の高い材質からなる入れ子
30を設ける。
【0064】 尚、この際、より効果を発揮させるため
に、図16におけるa−c−eの流路に面するランナー
面に対応する部分の周囲部分にも熱伝導率の高い材質か
らなる入れ子30を延長して設ける。
【0065】 又、スプルー182に次に近いキャビティ
10B,10C,10E,10H,10I,10L,1
0N,10Oの樹脂注入用ゲートまでの距離R=0.7
9であるので、キャビティ10B,10C,10E,1
0H,10I,10L,10N,10Oに連通するラン
ナーの最末端部の周囲部分の金型材質を熱伝導率の低い
材質とする。尚、上記以外のランナーの周囲部分の金型
材質を熱伝導率の低い材質とする。
【0066】 本願の請求項の考案は、スプルーに近い
位置に配置された樹脂注入用ゲートに連通するキャビテ
ィの末端内に、樹脂流動制御部材が入自在に設けら
れ、その樹脂流動制御部材が押圧部材に連結されて、そ
のキャビティ内に溶融樹脂が充填される際に、樹脂流動
制御部材がそのキャビティの末端内に入った状態とされ
て押圧部材により圧力がかけられ、そのキャビティ内の
末端に溶融樹脂が充填するのを阻止しつつ、他のキャビ
ティ内に溶融樹脂が充填するのを助ける機構とされてい
る。
【0067】 以下、本願の請求項の考案の射出成形用
金型を図面を参照して説明する。図15(a)は本考案
の金型の一例である。スプルーからキャビティまで短い
樹脂流路が形成されるキャビティ、即ち、スプルーに近
い位置に配置された樹脂注入用ゲートに連通するキャビ
ティ20の末端内に、キャビティの末端部の内面形状に
対応する外面形状を有する樹脂流動制御部材113bが
入出自在に設けられている。
【0068】 この樹脂流動制御部材113bには、受け
板113aを介して油圧シリンダーからなる押圧部材1
13cが連結され、押圧部材113cは突出し用ストリ
ッパープレート113に固定されている。そして、押圧
部材113cにより樹脂流動制御部材113bに圧力を
かけられるようにされている。
【0069】 押圧部材113cにより樹脂流動制御部材
113bに5〜20kg/cm2 の圧力がかけられるよ
うにされている。
【0070】 尚、油圧シリンダーの代わりに空気圧シリ
ンダーやバネ等を用いてもよいが、油圧シリンダーや空
気圧シリンダーが好適に使用される。
【0071】 樹脂流動制御部材113bの材質は、金型
用の材料であれば適宜使用することができるが、金型本
体の材料より硬度が高い方が好ましい。
【0072】 キャビティの末端部の内周面と、樹脂流動
制御部材113bの外周面との隙間は、10〜30μm
の範囲が好ましい。10μm未満の場合には、キャビテ
ィの末端部の内周面又は樹脂流動制御部材113bの外
周面に傷が付き易く、逆に30μmを超える場合には、
キャビティの末端部の内周面と、樹脂流動制御部材11
3bの外周面との間に溶融樹脂が入り易くなる。
【0073】 そして、図15(a)に示す如く、短い樹
脂経路が形成されるランナーに連結するキャビティ20
の末端内に、樹脂流動制御部材113bが挿入され、そ
のキャビティ内に短い樹脂流路を経て供給された溶融樹
脂が充填されそうになった際に、押圧部材113cによ
り圧力をかけた状態で溶融樹脂の先端を押圧し、溶融樹
脂が他のキャビティ内に充填するのを助け、他のキャビ
ティ内への溶融樹脂の充填状態が均一になるまで樹脂流
動制御部材113bに圧力がかけられる。
【0074】 樹脂流動制御部材113bにかける圧力
は、樹脂圧力未満であってもよいし、又樹脂圧力以上で
あってもよい。樹脂流動制御部材113bにかける圧力
が樹脂圧力未満の場合には、樹脂流動制御部材113b
は樹脂の圧力により後退するが、この間、溶融樹脂は他
のキャビティに流れ易くなる。樹脂流動制御部材113
bにかける圧力が樹脂以上の場合には、樹脂流動制御部
材113bは押圧部材113cにより伸ばされた位置に
て停止し、この間、溶融樹脂は他のキャビティにより流
れ易くする。
【0075】 その後圧力は開放されて、図15(b)に
示す如く、樹脂流動制御部材113bの先端面がキャビ
ティ20の末端縁まで後退して、キャビティ20内への
溶融樹脂の充填が完了する。この際、他のキャビティ内
においても同時に溶融樹脂の充填が完了する。
【0076】 樹脂流動制御部材113bが設けられるキ
ャビティは、例えば、次のようにして決定される。即
ち、金型の中心にスプルーが設けられた場合を想定する
と、上記の図1を参照して説明した如く、スプルーから
キャビティまでより短い樹脂流路が形成されるランナー
に連通されたキャビティの樹脂注入用ゲートの位置ほ
ど、スプルーが設けられた金型の中心に位置されてい
る。
【0077】 そこで、金型の中心からキャビティの樹脂
注入用ゲートまでの距離をRとし、金型中心から最も離
れたキャビティの樹脂注入用ゲートまでの距離をR=1
としたとき、例えば、Rが0.7未満の範囲内のキャビ
ティの末端内に樹脂流動制御部材113bを設ける。
【0078】 図12は、図3に示すのと同様の薄肉角筒
状容器を製造するための射成形用金型の一例の、スプ
ルー、ランナー及びキャビティの部分を示す模式図であ
る。 金型1の固定側型板には、中心にスプルー182が
設けられ、そのスプルー182から8個のキャビティ1
2A〜12Hに向かってランナー181が設けられてい
る。そのランナー181は、第1の分岐点にて2本に分
岐され、第2の分岐点にて2本に分岐され、各キャビテ
ィに連通する樹脂注入用ゲート(図示せず)に連通され
ている。金型1の中心に設けられたスプルー182から
最も離れたキャビティ12A,12B,12G,12H
の樹脂注入用ゲートまでの距離R=1とする。このキャ
ビティ12A,12B,12G,12H内には、樹脂流
動制御部材113bを設けない。
【0079】 このとき、スプルー182に近いキャビテ
ィ12C,12D,12E,12Fの樹脂注入用ゲート
までの距離R=0.5であるので、このキャビティ12
C,12D,12E,12Fの末端内に樹脂流動制御部
材113bを設ける。
【0080】 図13は、図5に示すのと同様の薄肉円筒
状容器(外径20mm、長さ100mm、肉厚1.3m
m)を製造するための射出成形用金型の別の例の、スプ
ルー、ランナー及びキャビティの部分を示す模式図であ
る。 金型1の固定側型板には、中心にスプルー182が
設けられ、そのスプルー182から16個のキャビティ
13A〜13Pに向かってランナー181が設けられて
いる。そのランナー181は第1の分岐点にて2本に分
岐され、第2の分岐点にて4本に分岐され、各キャビテ
ィに連通する樹脂注入用ゲート(図示せず)に連通され
ている。
【0081】 金型1の中心に設けられたスプルー182
から最も離れたキャビティ13A,13D,13M,1
3Pの樹脂注入用ゲートまでの距離R=1とする。この
キャビティ13A,13D,13M,13P内には樹脂
流動制御部材113bを設けない。
【0082】 このとき、スプルー182に最も近いキャ
ビティ13F,13G,13J,13Kの樹脂注入用ゲ
ートまでの距離R=0.4であるので、キャビティ13
F,13G,13J,13Kの末端内に樹脂流動制御部
材113bを設ける。
【0083】 又、スプルー182に次に近いキャビティ
13B,13C,13E,13H,13I,13L,1
3N,13Oの樹脂注入用ゲートまでの距離R=0.8
であるので、キャビティ13B,13C,13E,13
H,13I,13L,13N,13Oには樹脂流動制御
部材113bを設けない。
【0084】 図14は、図7に示す如き薄肉円筒状容器
を製造するための射出成形用金型の別の例の、スプル
ー、ランナー及びキャビティの部分を示す模式図であ
る。 金型1の固定側型板には、中心にスプルー182が
設けられ、そのスプルー182から16個のキャビティ
14A〜14Pに向かってランナー181 が設けられて
いる。そのランナー181は第1の分岐点にて2本に分
岐され、第2の分岐点にて2本に分岐され、第3の分岐
点にて2本に分岐され、各キャビティに連通する樹脂注
入用ゲート(図示せず)に連通されている。
【0085】 金型1の固定側型板には、中央部にはスプ
ルー182が設けられ、そのスプルー182から16個
のキャビティ14A〜14Pに向かってランナー181
が設けられている。そのランナー181は第1の分岐点
にて2本に分岐され、第2の分岐点にて4本に分岐さ
れ、各キャビティに連通する樹脂注入用ゲート(図示せ
ず)に連通されている。
【0086】 金型1の中心に設けられたスプルー182
から最も離れたキャビティ14A,14D,14M,1
4Pの樹脂注入用ゲートまでの距離R=1とする。この
キャビティ14A,14D,14M,14P内には樹脂
流動制御部材113bを設けない。
【0087】 このとき、スプルー182に最も近いキャ
ビティ14F,14G,14J,14Kの樹脂注入用ゲ
ートまでの距離R=0.4であるので、キャビティ14
F,14G,14J,14Kの末端内に樹脂流動制御部
材113bを設ける。
【0088】 又、スプルー182に次に近いキャビティ
14B,14C,14E,14H,14I,14L,1
4N,14Oの樹脂注入用ゲートまでの距離R=0.8
であるので、キャビティ14B,14C,14E,14
H,14I,14L,14N,14Oには樹脂流動制御
部材113bを設けない。
【0089】
【作用】本願の請求項1及び請求項の考案は、スプル
ーに近い位置に配置された樹脂注入用ゲートに連通する
ランナーの末端部が、他のランナー末端部より、その断
面積が小さくされているか、スプルーに近い位置に配置
された樹脂注入用ゲートに連通するランナーの末端部の
周囲部分が、他のランナーの末端部分の周囲部分より、
その熱伝導率が高い材質とされていることにより、スプ
ルーに近い位置に配置された樹脂注入用ゲートに連通す
るキャビティ内ほど溶融樹脂が早く充填されることがな
く、各キャビティ内に溶融樹脂が充填されるタイミング
が均一になるので、品質むらのない薄肉成形品を多数個
取りにて簡単に製造することができ、しかも、この金型
の改造はランナーストッパープレートのランナーの断面
積を変更するだけですむので、金型起工後の改造が容易
であり、改造のコストが安い。
【0090】 本願の請求項の考案は、スプルーに近い
位置に配置された樹脂注入用ゲートに連通するキャビテ
ィの末端内に、樹脂流動制御部材が入出自在に設けら
れ、その樹脂流動制御部材が押圧部材に連結されて、そ
のキャビティ内に溶融樹脂が充填される際に、樹脂流動
制御部材がそのキャビティの末端内に入った状態とされ
て押圧部材により圧力がかけられ、そのキャビティ内の
末端に溶融樹脂が充填するのを阻止しつつ、他のキャビ
ティ内に溶融樹脂が充填するのを助ける機構とされてい
ることにより、スプルーに近い位置に配置された樹脂注
入用ゲートに連通するキャビティ内ほど溶融樹脂が早く
充填されることがなく、各キャビティ内に溶融樹脂が充
填されるタイミングが均一になるので、品質むらのない
薄肉成形品を多数個取りにて簡単に製造することができ
る。
【0091】
【実施例】実施例1 図2に示す金型を用い、東芝機械社製100トン射出成
形機を用い、樹脂としてポリカーボネート(PC)(帝
人化成社製:商品名「L−1250」)を用い、射出圧
力1200kg/cm2 、金型温度80℃、樹脂温度2
95℃、射出時間1.8秒の成形条件にて、図3に示す
如き薄肉角筒状容器(外径20mm、長さ40mm、肉
厚2mm)の8個取り製造を行った。その結果、8個の
キャビティから得られた薄肉角筒状容器の外観はいずれ
も良好であった。
【0092】 比較例1 ランナー全部の断面積S=1からなること以外は図2に
示すのと同じ金型を用い、実施例1と同様にして薄肉角
筒状容器の8個取り製造を行った。その結果、8個のキ
ャビティから得られた薄肉角筒状容器の外観は、スプル
ー182に最も近いキャビティ2C,2D,2E,2F
に対応するキャビティから得られた薄肉角筒状容器の表
面にヒケの発生が見られた。尚、その他のキャビティか
ら得られた薄肉角筒状容器の表面にヒケの発生が見られ
なかった。
【0093】 実施例2 図4に示す金型を用い、日本製鋼所社製J−220E射
出成形機を用い、樹脂としてポリエチレンテレフタレー
ト(PET)(三井石油化学社製:商品名「ペットJ─
001」)を用い、射出圧力1400kg/cm2 、金
型温度15℃、樹脂温度305℃、射出時間2.5秒の
成形条件にて、図5に示す如き薄肉円筒状容器(外径2
0mm、長さ100mm、肉厚1.5mm)の16個取
り製造を行った。その結果、16個のキャビティから得
られた薄肉円筒状容器の外観はいずれも良好であった。
【0094】 比較例2 ランナー全部の断面積S=1からなること以外は図4に
示すのと同じ金型を用い、実施例2と同様にして薄肉円
筒状容器の16個取り製造を行った。その結果、16個
のキャビティから得られた薄肉円筒状容器の外観は、ス
プルー182に最も近いキャビティ4F,4G,4J,
4Kに対応するキャビティから得られた薄肉円筒状容器
の表面にヒケの発生が見られた。尚、その他のキャビテ
ィから得られた薄肉円筒状容器の表面にヒケの発生が見
られなかった。
【0095】 実施例3 図8に示す金型を用い、日本製鋼所社製J─150E射
出成形機を用い、樹脂としてPET(三菱レーヨン社
製:商品名「MA580」)を用い、射出圧力1300
kg/cm2 、金型温度15℃、樹脂温度295℃、射
出時間3.0秒の成形条件にて、図9に示す如き薄肉円
筒状容器(外径16mm、長さ75mm、肉厚1.3m
m)の24個取り製造を行った。その結果、24個のキ
ャビティから得られた薄肉円筒状容器の外観はいずれも
良好であった。
【0096】 比較例3 ランナー全部の断面積S=1からなること以外は図8に
示すのと同じ金型を用い、実施例3と同様にして薄肉円
筒状容器の24個取り製造を行った。その結果、24個
のキャビティから得られた薄肉円筒状容器の外観は、ス
プルー182に最も近いキャビティ8J,8K,8N,
8Oに対応するキャビティから得られた薄肉円筒状容器
の表面にヒケの発生が見られた。尚、その他のキャビテ
ィから得られた薄肉円筒状容器の表面にヒケの発生が見
られなかった。
【0097】 実施例4 金型本体が熱伝導率0.05cal/cm・sec・℃
を有する材料(SUS420)からなり、高い熱伝導率
を有する金型部分30が熱伝導率0.31cal/cm
・sec・℃を有する材料(神戸製鋼社製:商品名「H
R750」)からなる図10に示す金型を用い、日本製
鋼所社製J─150Eを用い、樹脂としてPET(コダ
ック社製:商品名「CODAPACK7352」)を用
い、射出圧力1600kg/cm2 、金型温度15℃、
樹脂温度300℃、射出時間2.4秒の成形条件にて、
図13に示す如き薄肉板(横20mm、縦50mm、肉
厚3mm)の16個取り製造を行った。16個のキャビ
ティから得られた薄肉板について、その中央部分の最も
ヒケの多い部分のヒケ量の測定をJIS B0601に
準拠して行った。その結果を表1に示す。尚、ヒケ量
は、最大高さRmaxで示す。
【0098】 実施例5 高い熱伝導率を有する金型部分30が熱伝導率0.14
cal/cm・sec・℃を有する材料(神戸製鋼社
製:商品名「HR30P」)からなる図10に示すのと
同様の金型を用いたこと以外は実施例4と同様にして、
実施例4と同様の薄肉板の16個取りを行った。16個
のキャビティから得られた薄肉板について、実施例4と
同様にしてヒケ量の測定を行った。その結果を表1に示
す。
【0099】 実施例6 高い熱伝導率を有する金型部分30が熱伝導率0.11
cal/cm・sec・℃を有する材料(神戸製鋼社
製:商品名「HR40P」)からなる金型を用いたこと
以外は実施例4と同様にして、実施例4と同様の薄肉板
の16個取りを行った。16個のキャビティから得られ
た薄肉板について、実施例4と同様にしてヒケ量の測定
を行った。その結果を表1に示す。
【0100】 比較例4 高い熱伝導率を有する金型部分30の代わりに、熱伝導
率0.06cal/cm・sec・℃を有する材料(神
戸製鋼社製:商品名「KSTM420」)からなる金型
部分からなる金型を用いたこと以外は実施例4と同様に
して、実施例4と同様の薄肉板の16個取りを行った。
16個のキャビティから得られた薄肉板について、実施
例4と同様にしてヒケ量の測定を行った。その結果を表
1に示す。
【0101】
【表1】
【0102】 実施例7 中央部に配置するキャビティ12C,12D,12E,
12Fの末端内に図15に示す如き樹脂流量調節部材1
13bを設け、それ以外のキャビティの末端内には樹脂
流量調節部材113bを設けない図12と同様のスプル
ー、ランナー及びキャビティの配置の金型を用い、日本
製鋼所社製J─100E射出成形機を用い、樹脂として
PET(三菱レーヨン社製:商品名「MA580」)を
用い、射出圧力1200kg/cm2 、金型温度15
℃、樹脂温度290℃、射出時間0.7秒、樹脂流量調
節部材に押圧部材により射出開始から0.7秒間4kg
/cm2 の圧力をかけた後に0とする成形条件にて、図
3に示す如き薄肉角筒状容器(外径20mm、長さ40
mm、肉厚2mm)の8個取り製造を行った。その結
果、8個のキャビティから得られた薄肉角筒状容器の外
観はいずれも良好であった。
【0103】 比較例5 全部のキャビティの末端内に樹脂流量調節部材113b
を設けなかったこと以外は実施例と同様にして、実施
と同様の薄肉角筒状容器の8個取り製造を行った。
その結果、8個のキャビティから得られた薄肉角筒状容
器の外観は、スプルー182に最も近いキャビティ12
C,12D,12E,12Fに対応するキャビティから
得られた薄肉角筒状容器の表面にヒケの発生が見られ
た。尚、その他のキャビティから得られた薄肉角筒状容
器の表面にヒケの発生が見られなかった。
【0104】 実施例8 中央部に配置するキャビティ13F,13G,13J,
13Kの末端内に図15に示す如き樹脂流量調節部材1
13bを設け、それ以外のキャビティの末端内には樹脂
流量調節部材113bを設けない図13と同様のスプル
ー、ランナー及びキャビティの配置の金型を用い、東芝
機械社製150トン射出成形機を用い、樹脂としてPE
T(帝人社製:商品名「L1250」)を用い、射出圧
力1200kg/cm2 、金型温度100℃、樹脂温度
290℃、射出時間1.5秒、樹脂流量調節部材に押圧
部材により射出開始から1.5秒間7kg/cm2 の圧
力をかけた後に0とする成形条件にて、図5に示す如き
薄肉円筒状容器(外径20mm、長さ100mm、肉厚
1.3mm)の16個取り製造を行った。その結果、1
6個のキャビティから得られた薄肉円筒状容器の外観は
いずれも良好であった。
【0105】 比較例6 全部のキャビティの末端内に樹脂流量調節部材113b
を設けなかったこと以外は実施例と同様にして、実施
と同様の薄肉円筒状容器の16個取り製造を行っ
た。その結果、16個のキャビティから得られた薄肉円
筒状容器の外観は、スプルー182に最も近いキャビテ
ィ13F,13G,13J,13Kに対応するキャビテ
ィから得られた薄肉円筒状容器の表面にヒケの発生が見
られた。尚、その他のキャビティから得られた薄肉円筒
状容器の表面にヒケの発生が見られなかった。
【0106】 実施例9 中心部に配置するキャビティ14F,14G,14J,
14Kの末端内に図15に示す如き樹脂流量調節部材1
13bを設け、それ以外のキャビティの末端内には樹脂
流量調節部材113bを設けない図14と同様のスプル
ー、ランナー及びキャビティの配置の金型を用い、日本
製鋼所社製J─150E射出成形機を用い、樹脂として
PET(コダック社製:商品名「9921」)を用い、
射出圧力1300kg/cm2 、金型温度15℃、樹脂
温度300℃、射出時間1秒、樹脂流量調節部材に押圧
部材により射出開始から1秒間5kg/cm2 の圧力を
かけた後に0とする成形条件にて、図7に示す如き薄肉
円筒状容器(外径25mm、長さ75mm、肉厚1.5
mm)の16個取り製造を行った。その結果、16個の
キャビティから得られた薄肉円筒状容器の外観はいずれ
も良好であった。
【0107】 比較例7 全部のキャビティの末端内に樹脂流量調節部材113b
を設けなかったこと以外は実施例と同様にして、実施
と同様の薄肉角筒状容器の16個取り製造を行っ
た。その結果、16個のキャビティから得られた薄肉角
筒状容器の外観は、スプルー182に最も近いキャビテ
ィ14F,14G,14J,14Kに対応するキャビテ
ィから得られた薄肉円筒状容器の表面にヒケの発生が見
られた。尚、その他のキャビティから得られた薄肉円筒
状容器の表面にヒケの発生が見られなかった。
【0108】
【効果】本願の請求項1及び請求項の考案は、上記の
如き構成とされているので、スプルーに近い位置に配置
された樹脂注入用ゲートに連通するキャビティ内ほど溶
融樹脂が早く充填されることがなく、各キャビティ内に
溶融樹脂が充填されるタイミングが均一になるので、品
質むらのない薄肉成形品を多数個取りにて簡単に製造す
ることができ、しかも、この金型の改造はランナースト
ッパープレートのランナーの断面積を変更するだけです
むので、金型起工後の改造が容易であり、改造のコスト
が安い。本願の請求項の考案は、上記の如き構成とさ
れているので、スプルーに近い位置に配置された樹脂注
入用ゲートに連通するキャビティ内ほど溶融樹脂が早く
充填されることがなく、各キャビティ内に溶融樹脂が充
填されるタイミングが均一になるので、品質むらのない
薄肉成形品を多数個取りにて簡単に製造することができ
る。
【0109】
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の射出成形用金型の全体の例を示す断面
図である。
【図2】本願の請求項1の考案の射出成形用金型の一例
の、スプルー、ランナー及びキャビティの部分を示す模
式図である。
【図3】図2の金型より製造した薄肉角筒状容器を示す
断面図である。
【図4】本願の請求項1の考案の射出成形用金型の別の
例の、スプルー、ランナー及びキャビティの部分を示す
模式図である。
【図5】図4の金型より製造した薄肉円筒状容器を示す
断面図である。
【図6】本願の請求項1の考案の射出成形用金型の別の
例の、スプルー、ランナー及びキャビティの部分を示す
模式図である。
【図7】図6の金型より製造した薄肉円筒状容器を示す
断面図である。
【図8】本願の請求項1の考案の射出成形用金型の別の
例の、スプルー、ランナー及びキャビティの部分を示す
模式図である。
【図9】図8の金型より製造した薄肉円筒状容器を示す
断面図である。
【図10】本願の請求項2の考案の射出成形用金型の一
例の、スプルー、ランナー及びキャビティの部分を示す
模式図である。
【図11】図10の金型より製造した薄肉板を示す斜視
図である。
【図12】本願の請求項3の考案の射出成形用金型の一
例の、スプルー、ランナー及びキャビティの部分を示す
模式図である。
【図13】本願の請求項3の考案の射出成形用金型の別
の例の、スプルー、ランナー及びキャビティの部分を示
す模式図である。
【図14】本願の請求項3の考案の射出成形用金型の別
の例の、スプルー、ランナー及びキャビティの部分を示
す模式図である。
【図15】本願の請求項3の考案の射出成形用金型にお
ける、キャビティの末端内の樹脂流動制御部材による樹
脂の充填を制御する状態を示す断面図であり、図15
(a)はキャビティの末端内に挿入された樹脂充填制御
部材に圧力をかけて樹脂の充填を制御している状態を示
す断面図、図15(b)は樹脂充填制御部材の圧力を開
放してキャビティの末端内より退出させた状態を示す断
面図である。
【図16】従来の金型のランナー内を流れる樹脂流路を
説明する模式図であり、図16(a)は第1の分岐点に
おける樹脂流路を説明する模式図、図16(b)は第2
の分岐点における樹脂流路を説明する模式図、図16
(c)は第3の分岐点における樹脂流路及びキャビティ
内への溶融樹脂の充填状態を説明する模式図である。
【図17】従来の成形品を示す断面図である。
【符号の説明】
1 金型 11 可動型 12 固定側型板 15 可動型取付け板 16 固定側型板取付け板 18 ランナーストリッパープレート 19 ランナー・ゲートつなぎ板 30 高い熱伝導率の金型部分 111 コア 112 受け板 113 突出し用ストリッパープレート 113b 樹脂流量調節部材

Claims (3)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定側型板と可動型とランナーストリッ
    パープレートとを備えた金型の、固定側型板と可動型と
    の間に、成形すべき成形品の形状に対応する内面形状を
    備えた4個以上のキャビティが形成され、固定側型板に
    は、スプルーを経て各キャビティの樹脂注入ゲートに向
    かって少なくとも2箇所以上の分岐点にて分岐されたコ
    ールドランナーが設けられ、スプルーから各キャビティ
    に連通する樹脂注入用ゲートまでのランナー長が略等し
    くされた射出成形用金型において、スプルーに近い位置
    に配置された樹脂注入用ゲートに連通するランナーの末
    端部が、他のランナーの末端部より、その断面積が小さ
    くされていることを特徴とする射出成形用金型。
  2. 【請求項2】 固定側型板と可動型とランナーストリッ
    パープレートとを備えた金型の、固定側型板と可動型と
    の間に、成形すべき成形品の形状に対応する内面形状を
    備えた4個以上のキャビティが形成され、固定側型板に
    は、スプルーを経て各キャビティの樹脂注入ゲートに向
    かって少なくとも2箇所以上の分岐点にて分岐されたコ
    ールドランナーが設けられ、スプルーから各キャビティ
    に連通する樹脂注入用ゲートまでのランナー長が略等し
    くされた射出成形用金型において、スプルーに近い位置
    に配置された樹脂注入用ゲートに連通するランナーの末
    端部の周囲部分が、他のランナーの末端部の周囲部分よ
    り、その熱伝導率が高い材質とされていることを特徴と
    する射出成形用金型。
  3. 【請求項3】 固定側型板と可動型とランナーストリッ
    パープレートとを備えた金型の、固定側型板と可動型と
    の間に、成形すべき成形品の形状に対応する内面形状を
    備えた4個以上のキャビティが形成され、固定側型板に
    は、スプルーを経て各キャビティの樹脂注入ゲートに向
    かって少なくとも2箇所以上の分岐点にて分岐されたコ
    ールドランナーが設けられ、スプルーから各キャビティ
    に連通する樹脂注入用ゲートまでのランナー長が略等し
    くされた射出成形用金型において、スプルーに近い位置
    に配置された樹脂注入用ゲートに連通するキャビティの
    末端内に、樹脂流動制御部材が入出自在に設けられ、そ
    の樹脂流動制御部材が押圧部材に連結されて、そのキャ
    ビティ内に溶融樹脂が充填される際に、樹脂流動制御部
    材がそのキャビティの末端内に入った状態とされて押圧
    部材により圧力がかけられ、そのキャビティ内の末端に
    溶融樹脂が充填するのを阻止しつつ、他のキャビティ内
    に溶融樹脂が充填するのを助ける機構とされていること
    を特徴とする射出成形用金型。
JP3781992U 1992-06-04 1992-06-04 射出成形用金型 Expired - Lifetime JP2564246Y2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3781992U JP2564246Y2 (ja) 1992-06-04 1992-06-04 射出成形用金型

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3781992U JP2564246Y2 (ja) 1992-06-04 1992-06-04 射出成形用金型

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0595718U JPH0595718U (ja) 1993-12-27
JP2564246Y2 true JP2564246Y2 (ja) 1998-03-04

Family

ID=12508134

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3781992U Expired - Lifetime JP2564246Y2 (ja) 1992-06-04 1992-06-04 射出成形用金型

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2564246Y2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8609012B2 (en) * 2010-06-29 2013-12-17 The Procter & Gamble Company Scalable injection molding systems
KR101578276B1 (ko) * 2011-05-20 2015-12-16 임플럭스 인코포레이티드 사출 성형 장치를 위한 비-자연적으로 균형화된 공급 시스템
CN111186095A (zh) * 2020-03-04 2020-05-22 金发科技股份有限公司 一种超多模穴产品用模具浇注系统

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0595718U (ja) 1993-12-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4508676A (en) Core stabilization by sequential injections
JPH0238377B2 (ja)
US4880587A (en) Process for production of an injected molded part
JPS6349606B2 (ja)
JP2564246Y2 (ja) 射出成形用金型
US4427618A (en) Inclined insulated runner multicavity injection molding
CN113021773B (zh) 一种塑料壳体一模两腔多次分型注塑模具的成型方法
JP3515563B2 (ja) 合成樹脂製の多層中空体の射出成形方法
US5336078A (en) Injection mold having a vented core
JP3859037B2 (ja) 中空製品用射出成形金型
JP2976264B2 (ja) 三層構造成形品の射出成形方法およびその金型
US5789053A (en) Bonded disc and an apparatus for manufacturing the same and the manufacturing method thereof
JP3047213B2 (ja) 中空成形品の成形方法および中空成形品の成形用金型
JPH11314148A (ja) ホットランナ金型装置を用いた金属材料の射出成形方法及びそのためのホットランナ金型装置
JPH09155921A (ja) 接合部を有する成形品の成形方法および成形用金型
JP3897455B2 (ja) 射出成形金型
JP2000025077A (ja) 射出成形金型
JPS62101410A (ja) 多層樹脂成形品の圧縮成形方法
JPH0788900A (ja) 成形用金型装置
JP3383362B2 (ja) ホットランナー式合成樹脂金型のヒーターポット
JP4070833B2 (ja) 中空成形品の射出成形方法および射出成形用金型
JPS641054Y2 (ja)
JPH06328511A (ja) 成形用金型
JP2001321887A (ja) 成形方法および成形装置
JPS58145428A (ja) プラスチツクの射出成形方法