JP2562619Y2 - 鍛造用プレスのリテーナ捩り戻し機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、一体型クランク軸の製
作に使用する鍛造用プレスであって、かつ、捩り工程と
整形工程を同時に行えるプレスに設置される捩り型を保
持するリテーナの捩り戻し機構に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一体型クランク軸を鍛造によって製作す
るに際し、従来は捩り工程と整形工程を夫々別個の鍛造
プレスを用いて行っていたため、設備が２台分必要で、
設備費が嵩むばかりか、工程の増加によって製作費が高
くなる等の欠点があった。

【０００３】そこで、本出願人はこのような問題を解決
すべく、捩り工程と整形工程を一つの設備で同時に行え
る鍛造方法を特願平２−３９３４９号明細書及び図面で
提案し、またその鍛造用プレスにおける捩り工程と整形
工程を同時に行うための機構も併せて開示した。

【０００４】本出願人が特願平２−３９３４９号明細書
及び図面において開示した構成の機構を用いて捩り工程
と整形工程を同時に行った後、捩り型を元の位置に復帰
させるためのリテーナ捩り戻し機構は、先の特願平２−
３９３４９号では省略したが、シリンダーのロッドの出
退動（直線運動）を、レバーを介して前記ロッド端に連
接する引き戻しレバーの回転運動に変換することによっ
て行っている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
たようなリテーナ捩り戻し機構では、段取替の際に、引
き戻しレバーを取り外す必要があり、捩り戻し角度の調
整を行うための調整代を人為的作業に依存しているとい
う問題があった。

【０００６】本考案は、上記した問題点を解消できる鍛
造用プレスのリテーナ捩り戻し機構を提供することを目
的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本考案に係る鍛造用プレスのリテーナ捩り戻し機構
は、捩り工程と整形工程を同時に行える鍛造用プレスに
おける、捩り加工後の捩り型を元の位置に復帰させるた
めのリテーナ捩り戻し機構であって、ガイドローラで回
動自在に支持された下型のリテーナの下面Ｒ部にラック
を設け、下型リテーナの捩り戻し時に下型リテーナを所
要角度回動させるべく前記ラックに噛合するギアを、ボ
ルスター上に回転自在に支承されたスプライン軸に、そ
の長手方向への移動可能に取付けると共に、スプライン
軸の一端には、スプライン軸の正逆回動用駆動源及びそ
の動力伝達手段を設けたこととしているのであり、更に
必要に応じて、前記スプライン軸の他端に戻し角度調整
用のセンサーを取付けているのである。

【０００８】

【作用】本考案に係る鍛造用プレスのリテーナ捩り戻し
機構では、先ず、ギアをラックに噛合させるべくスプラ
イン軸上を移動させて所定位置に位置決めしておく。そ
して、この状態で整形加工と捩り加工を施した後は、捩
り型を構成する所定の可動型を捩り方向と逆方向に捩り
戻すべく駆動源を作動させる。これによって駆動源から
動力伝達機構、スプライン軸、ギア、ラックを介して前
記可動型を保持する下型リテーナが元の位置に復帰する
べく回動し、捩り戻しが完了する。なお、この捩り戻し
の角度は、スプライン軸の他端に取付けた戻し角度調整
用センサーによって測定され、駆動源に出力して捩り戻
し角度を制御している。

【０００９】

【実施例】以下、本考案を添付図面に示す一実施例に基
づいて説明する。図１は本考案に係るリテーナ捩り戻し
機構の要部を示す概略図、図２は本考案に係るリテーナ
捩り戻し機構の平面図、図３は図２のＡ−Ａ矢視断面図
である。

【００１０】図１〜図３において、１は捩り型を下方か
ら保持する下型リテーナであり、可動型と固定型に分割
構成された捩り型に合わせて同様に分割構成されてい
る。この下型リテーナ１はサブホルダー２に設置したリ
テーナ受け３に回転自在に軸支されているガイドローラ
４上に載置されており、従って、このガイドローラ４に
よって下型リテーナ１も回動自在と成っている。

【００１１】ところで本考案では、前記した可動型を保
持する下型リテーナ１の下面Ｒ部にラック５を設けると
共に、このラック５に噛合するギア６を、前記リテーナ
受け３の側方に横設したスプライン軸７に移動可能に外
嵌装している。このスプライン軸７はサブホルダー２に
立設した架台８にベアリング９を介して回転自在に支承
され、またこのスプライン軸７の一端に例えば傘歯車１
０を取付け、この傘歯車１０に噛合する傘歯車１１を架
台８に設置した例えば油圧モータ１２の出力軸に取付け
ている。

【００１２】すなわち、油圧モータ１２の正逆回転によ
り、傘歯車１１及び１２、スプライン軸７、ギア６、ラ
ック５を介して前記下型リテーナ１を所要角度回転させ
るのである。

【００１３】また、スプライン軸７の他端には戻し角度
調整用のセンサー１３が設置され、下型リテーナ１の正
逆回動量、すなわち戻し量を測定してこの測定値に基づ
いて油圧モータ１２に出力し、戻し量の設定を行うよう
になっている。

【００１４】なお、前記スプライン軸７は下型リテーナ
１の両側方に横設し、同方向に戻り加工を施す可動型を
保持する下型リテーナ１は同一のスプライン軸７に外嵌
装するギア６によってその捩り戻しを行うものである。
また、本実施例では駆動源として油圧モータ１２を、動
力伝達手段として傘歯車１０・１１を用いたものを開示
したが、これに限らないことは勿論である。更に、本実
施例では、本考案リテーナの捩り戻し機構をサブホルダ
ー２上に設けたものを示したが、直接ボルスター上に設
けても良い。

【００１５】上記した構成の本考案に係るリテーナ捩り
戻し機構を用いて捩り加工した後の可動型を捩り方向と
逆方向に捩り戻す場合には、夫々の油圧モータ１２を所
定方向に回動させるだけで、傘歯車１０・１１、スプラ
イン軸７、ギア６、ラック５を介して可動型を下方から
保持する各下型リテーナ１が戻り方向と逆方向に回動
し、可動型を元の位置迄捩り戻すことができる。なお、
ギア６の位置は、各下型リテーナ１に合わせて予めスプ
ライン軸７上を移動させて固定しておく。

【００１６】

【考案の効果】以上説明したように、本考案に係るリテ
ーナ捩り戻し機構は、駆動源を含めて全てボルスター上
に設置できるため、型替の際にも出し入れが容易であ
る。また捩り戻し量の設定も機械的に行えるので、人為
的作業を必要としない等、従来のリテーナ捩り戻し機構
にあった問題を全て解決できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るリテーナ捩り戻し機構の要部を示
す概略図である。

【図２】本考案に係るリテーナ捩り戻し機構の平面図で
ある。

【図３】図２のＡ−Ａ矢視断面図である。

【符号の説明】

１ 下型リテーナ ４ ガイドローラ ５ ラック ６ ギア ７ スプライン軸 １０、１１ 傘歯車 １２ 油圧モータ １３ センサー

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 捩り工程と整形工程を同時に行える鍛造
   用プレスにおける、捩り加工後の捩り型を元の位置に復
   帰させるためのリテーナ捩り戻し機構であって、ガイド
   ローラで回動自在に支持された下型のリテーナの下面Ｒ
   部にラックを設け、下型リテーナの捩り戻し時に下型リ
   テーナを所要角度回動させるべく前記ラックに噛合する
   ギアを、ボルスター上に回転自在に支承されたスプライ
   ン軸に、その長手方向への移動可能に取付けると共に、
   スプライン軸の一端には、スプライン軸の正逆回動用駆
   動源及びその動力伝達手段を設けたことを特徴とする鍛
   造用プレスのリテーナ捩り戻し機構。
2. 【請求項２】 前記スプライン軸の他端に戻し角度調整
   用のセンサーを取付けたことを特徴とする請求項１記載
   の鍛造用プレスのリテーナ捩り戻し機構。