JP2562143B2 - シンクロナイザリングの特性測定装置 - Google Patents

シンクロナイザリングの特性測定装置

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JP2562143B2
JP2562143B2 JP62095758A JP9575887A JP2562143B2 JP 2562143 B2 JP2562143 B2 JP 2562143B2 JP 62095758 A JP62095758 A JP 62095758A JP 9575887 A JP9575887 A JP 9575887A JP 2562143 B2 JP2562143 B2 JP 2562143B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は自動車のトランスミッション内に配設されて
いてシフト操作時に回転差のある歯車同志を同期させる
シンクロナイザリングについて、その同期特性を測定す
るシンクロナイザリングの特性測定装置に関する。
(従来の技術) 自動車のシンクロナイザリングによる歯車の同期作用
の原理については、周知で種々の文献に述べられてい
る。シンクロナイザリングの同期特性はそのシンクロナ
イザリングの内面のテーパー面と外周の歯部に設けられ
たチャンファ面の各摩擦係数を変化させることにより変
化できることが経験的に知られている。しかしながら、
従来、テーパー面のみの摩擦について定量的に測定する
ことは行われているが、シンクロナイザリングのチャン
ファ面の摩擦特性を測定する方法については知られてい
ない。
(発明が解決しようとする問題点) そこで、従来、例えば、シンクロナイザリングの材質
を変更したりしようとする場合には、テーパー面の角度
とか接触面積を変化させたもの、或いは外周の歯部のチ
ャンファ面のチャンファ角を異ならせたものを予め多数
製作しておいて、実際に自動車のトランスミッションに
組込んで実車試験を繰返して予め多数製作された仕様の
異なったシンクロナイザリングから最適なものを捜すよ
うにしていた。このような従来の方法では、シンクロナ
イザリングの最適な仕様を見出すために長時間の実車試
験が必要で非常に面倒であった。
そこで、本発明の目的は、シンクロナイザリング外周
のチャンファ面の摩擦特性を比較的簡単な装置によって
定量的に求めることができて、シンクロナイザリングの
仕様変更等を従来の方法に比べて著しく簡単に行うこと
ができるようにしたシンクロナイザリングの特性測定装
置を提供するにある。
[発明の構成] (問題点を解決するための手段) 本発明はシンクロナイザリングのテーパー面と嵌合す
るテーパーコーンを有する回転体を設け、前記シンクロ
ナイザリングの外周の歯部のチャンファ面に対応するチ
ャンファ面が端面に形成された歯部を内周に有するスリ
ーブを設け、このスリーブのチャンファ面を前記シンク
ロナイザリングのチャンファ面に圧接するように押付力
を与えて該シンクロナイザリングと前記回転体とに一方
向への回転力を作用させる押付装置を設け、前記回転体
に作用する一方向への回転力に抗するように該回転体に
他方向への回転力を付与する回転力付与部材を設け、前
記押付装置を作用させた時の押付力と前記スリーブに生
ずる回転トルクとを測定する測定器を設けたことを特徴
とするものである。
(作用) 上記手段によれば、シンクロナイザリング外周の歯部
に設けられたチャンファ面の摩擦特性を定量的に計測可
能で、シンクロナイザリングの仕様変更等の作業を著し
く簡単になし得る。
(実施例) 以下本発明の一実施例について図面を参照して説明す
る。1は台板で、これの両端に支柱2,2が設立され、こ
れらの上端間に2個の回り止め板3,3が所定の間隙4を
介して橋設され、その回り止め板3,3の両端はボルト5,5
にて支柱2に夫々固着されている。台板1の上面中央部
には円柱状の支持部6を有する台座7が固着され、この
台座7にラジアル軸受8及びスラスト軸受9を介して上
端にテーパーコーン10を有する回転体としてのギア11が
回転自在に支持されている。このギア11にはテーパーコ
ーン10に隣接させてスプライン部12が形成され、このス
プライン部12に隣接させてはす歯の歯車部13が形成され
ている。14はこのギア11に溶接等で固着された長さ0.2m
のアームで、台板1の上面には、このアーム14の回転範
囲を規制する2個のストッパ15及び16が設けられてい
る。このアーム14の先端部と台板1との間には回転力付
与部材としての引張コイルばね17が張設されていて、そ
のばね力が例えば50Kgに設定されている。ギア11のテー
パーコーン10の外周には、シンクロナイザリング18が嵌
合されている。このシンクロナイザリング18の内周はテ
ーパーコーン10と等しい角度のテーパー面19が形成され
ていて、そこに油切用の縦溝19aと所定ピッチの螺旋溝1
9bとが設けられている。また、シンクロナイザリング18
の外周にはスプライン部12と同数の歯部20が設けられて
おり、この歯部20に角度θのチャンファ角を有する山形
のチャンファ面20a,20aが形成されている。このチャン
ファ面20a,20aの稜線20bには、角度βの後退角が設けら
れている。21は内周にスプライン部12が噛合う歯部とし
てのスプライン部22が形成された短円筒状のスリーブ
で、これのスプライン部22の各端面にはシンクロナイザ
リング18の歯部20と等しい角度即ち角度θのチャンファ
角を有する山形のチャンファ面22a,22aが形成され、そ
のチャンファ面22a,22aの稜線22bにはシンクロナイザリ
ング18の稜線20bと等しい角度βの後退角が設けられて
いる。スリーブ21の上端にはスリーブ案内治具23が溶接
等で固着され、これに設けた案内孔24が支持部6の外周
に摺動及び回動可能に挿入されている。スリーブ案内治
具23の上端には長円形のリング体25,軸体26及び板材27
が順に夫々溶接によって固着され、板材27が回り止め板
3,3間に回転方向にがたなく上下に摺動できるように支
持されている。28は板材27に押下力を与える押付装置と
しての油圧シリンダである。29はリング体25に貼付され
てスリーブ21に作用する押付力を測定する測定器たる第
1のセンサであり、30は軸体26に貼付されてスリーブ21
に作用する回転トルクを測定する測定器たる第2のセン
サである。
次に上記構成の作用について説明する。
アーム14がストッパ15に当接した状態でギア11のテー
パーコーン10にシンクロナイザリング18を嵌合させ、次
に、油圧シリンダ28のピストンロッド28aを伸長させ、
スリーブ21のスプライン部22のチャンファ面22aとシン
クロナイザリング18のチャンファ面20aとが第7図に示
す位置関係にて圧接するようにする。この位置関係はシ
ンクロナイザリング18をギア11のテーパーコーン10に嵌
合させる時に該シンクロナイザリング18の向きを加減し
て行うもので、自動車の変速機に組込まれた実車の場合
には、シフトレバーが僅かにシフト方向に揺動されてシ
ンクロナイザリングによる同期作用が行われる時に生ず
る状態である。この状態で油圧シリンダ28に与える作動
油の圧力を徐々に増加させるとスリーブ21に押付力Fが
作用し、これに伴ってシンクロナイザリング18に一方向
(矢印A方向)に向かう回転トルクTAが作用する。この
とき、シンクロナイザリング18はスリーブ21を介して上
記押付力Fを受ける。この押付力Fにより、シンクロナ
イザリング18の内周面であるテーパー面19がテーパーコ
ーン10の外周面に圧接し、その圧接に基づく摩擦力によ
ってシンクロナイザリング18とテーパーコーン10(ギア
11)とが一体的に回転する連結状態となる。そして、上
記の回転トルクTAが引張コイルばね17のばね力よりも小
さい状態では該シンクロナイザリング18及びギア11は第
2図における矢印A方向には回動せず、シンクロナイザ
リング18に作用する回転トルクTAと向きが反対で大きさ
が等しい回転トルクTBがスリーブ21に作用する。スリー
ブ21に作用する押付力Fと回転トルクTBは、第1のセン
サ29及び第2のセンサ30によって測定される。第8図は
押付力Fの増加に基いて増加される回転トルクTBとスリ
ーブ21の変異量xとを、横軸に時間t(秒)を取り、縦
軸に押付力F(Kgf・m)及び回転トルクTB(Kgf)並び
に変位量x(mm)を取って示す特性の一例である。この
特性はシンクロナイザリング18の材質,テーパー面19の
角度,縦溝19a及び螺旋溝19bの数又は幅寸法,チャンフ
ァ面20aのチャンファ角θ及び後退角β等の仕様を変化
させると、それに応じて変化するものである。而して、
特性図から明らかなように時刻t0になると、スリーブ21
に作用する回転トルクTBが所定値に達して引張コイルば
ね17のばね力に釣合うようになって歯部20のチャンファ
面20aがスプライン部22のチャンファ面22aに対して滑り
を生じ、これによりギヤ11が矢印Aに方向に回動されて
シンクロナイザリング18の歯部20がスプライン部22の間
隔間に噛合うようになる。
すると、スリーブ21のスプライン部22のチャンファ面
22aがシンクロナイザリング18の歯部20のチャンフア面2
0aから外れることから、それまでシンクロナイザリング
18に作用していた押付力Fが無くなるため、テーパーコ
ーン10の外周面に対するテーパー面19の圧接が解除さ
れ、シンクロナイザリング18とテーパーコーン10(ギア
11)とは互いに自由に回転し得る非連結状態となる。こ
の結果、ギヤ11は、シンクロナイザリング18を残して、
引張コイルばね17のばね力によりアーム14がストッパ15
に当接するまで矢印Aとは反対方向に回動する。従っ
て、第8図に示すように、スリーブ21に作用する押付力
F及び回転トルクTBはt0以後ほぼ0となるのである。
この測定装置を用いるようにすれば、例えば材質とか
寸法が異なる2種のシンクロナイザリングの同期特性を
実車試験を行わずに定量的に求めることができる。例え
ば、実車試験で良好であるとか相当数の販売実績のある
シンクロナイザリングをモデルとしてその材質を変更し
たい場合に、材質のみを変更した状態で、この装置によ
って同期特性の違いを測定し、その測定結果に基いて各
部の寸法を変化したものを製作してこの装置によって同
期特性を求めるようにし、実車試験を行わずに最もモデ
ルに近い特性のものを見出すことができる。即ち、従来
は上記したように材質を変更したい場合には、仕様の異
なるシンクロナイザリングを実車に組込んで試験するた
めに、試験に長い時間と面倒な組立分解作業を要した
が、上記した測定装置を用いることにより、短時間で極
めて簡単にモデルに近い特性のものを見出すことができ
る。
[発明の効果] 本発明は以上の説明から明らかなように、シンクロナ
イザリングの内周のテーパー面と嵌合するテーパーコー
ンを有する回転体を設け、前記シンクロナイザリングの
外周の歯部のチャンファ面に対応するチャンファ面が端
面に形成された歯部を内周に有するスリーブを設け、こ
のスリーブのチャンファ面を前記シンクロナイザリング
のチャンファ面に圧接するように押付力を与えて該シン
クロナイザリングと前記回転体とに一方向への回転力を
作用させる押付装置を設け、前記回転体に作用する一方
向への回転力に抗するように該回転体に他方向への回転
力を付与する回転力付与部材を設け、前記押付装置を作
用させた時の押付力と前記スリーブに生ずる回転トルク
とを測定する測定器を設けたことを特徴とするものであ
るから、シンクロナイザリング外周の歯部に設けられた
チャンファ面の摩擦特性を比較的簡単な装置によって、
定量的に計測可能で、シンクロナイザリングの仕様変更
等の作業を著しく簡単になし得るという優れた効果を奏
する。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の一実施例を示すもので、第1図は縦断面
図、第2図は上面図、第3図はシンクロナイザリングの
上面図、第4図はシンクロナイザリングの縦断面図、第
5図はシンクロナイザリングの部分的な拡大断面図、第
6図は第5図のVI方向から見た拡大側面図、第7図は作
用を説明するための側面図、第8図は特性図である。 図面中、1は台板、7は台座、10はテーパーコーン、11
はギア(回転体)、14はアーム、17は引張コイルばね
(回転力付与部材)、18はシンクロナイザリング、19は
テーパー面、20は歯部、20aはチャンファ面、21はスリ
ーブ、22はスプライン部(歯部)、22aはチャンファ
面、28は油圧シリンダ部(押圧装置)、29は第1のセン
サ(測定器)、30は第2のセンサ(測定器)である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シンクロナイザリングの内周のテーパー面
    と嵌合するテーパーコーンを有する回転体と、前記シン
    クロナイザリングの外周の歯部のチャンファ面に対応す
    るチャンファ面が端面に形成された歯部を内周に有する
    スリーブと、このスリーブのチャンファ面を前記シンク
    ロナイザリングのチャンファ面に圧接するように押付力
    を与えて該シンクロナイザリングと前記回転体とに一方
    向への回転力を作用させる押付装置と、前記回転体に作
    用する一方向への回転力に抗するように該回転体に他方
    向への回転力を付与する回転力付与部材と、前記押付装
    置を作用させた時の押付力と前記スリーブに生ずる回転
    トルクとを測定する測定器とを具備してなるシンクロナ
    イザリングの特性測定装置。
JP62095758A 1987-04-17 1987-04-17 シンクロナイザリングの特性測定装置 Expired - Lifetime JP2562143B2 (ja)

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