JP2562018B2 - 合成樹脂製プ−リ - Google Patents

合成樹脂製プ−リ

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JP2562018B2 JP61274735A JP27473586A JP2562018B2 JP 2562018 B2 JP2562018 B2 JP 2562018B2 JP 61274735 A JP61274735 A JP 61274735A JP 27473586 A JP27473586 A JP 27473586A JP 2562018 B2 JP2562018 B2 JP 2562018B2
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信夫 池田
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は、合成樹脂製プーリ、さらに詳しくは、た
とえば自動車や農機などのエンジン周辺部のベルトの張
力を調整するために使用されるテンションプーリなどの
ように、軸受外輪に合成樹脂製のプーリ本体が成形され
たプーリに関する。
従来の技術とその問題点 従来の代表的なテンションプーリとして、たとえば第
6図に示すように、金属製のテンションプーリ本体
(1)を備えたものが知られている。このテンションプ
ーリ本体(1)は、薄鋼板から断面略コ字形にプレス成
形された2つの環状フランジ(2)(3)が中間の軸線
と直角をなす面同志を背中合わせにしてリベット(4)
で一体化されたものであり、本体(1)の内筒部(1a)
が玉軸受(5)の外輪(5a)に固定されている。
ところが、このようなテンションプーリでは、テンシ
ョンプーリ本体(1)が金属製であることから、軽量化
に限界がある。さらに、構成部品点数が多いことと、構
造が複雑であるために生産性が悪いことからも、コスト
アップを余儀なくされている。また、その製造上におい
ても、プレス加工、リベット止め作業など加工が複雑で
あるとともに、特殊な形状のものが得られず応用性が低
いというような問題がある。
テンションプーリの軽量化を図るため、たとえば第7
図に示すように、合成樹脂製のテンションプーリ本体
(6)をインサート成形により玉軸受(5)の外輪(5
a)に固着したものが提案されている。
このような合成樹脂製のテンションプーリ本体(6)
を製作するにあたって、表面光沢、形状精度、寸法精度
を良くするために、高圧、高速で成形する方が望ましい
が、その場合には、玉軸受(5)の外輪(5a)が大きく
歪むという問題がある。この玉軸受(5)の外輪(5a)
の歪を抑えるためには、成形圧力、速度を下げる必要が
あるが、これにより、成形条件の選択幅が限定されるこ
とになり、しかも低圧、低速条件では、樹脂成形におい
て周知のように、成形品すなわちテンションプーリ本体
(6)の外観(光沢など)が悪くなったり、ショートシ
ョットなどのトラブルを生じる。また、テンションプー
リ本体(6)には強度確保のため一定の厚さが必要であ
るが、この厚さが不均一なことから、その外周面(ベル
ト転送面)に第8図に符号(A)で示すような樹脂成形
特有のひけが生じて、形状精度(たとえば真円度、円筒
度など)が悪くなってしまう。そして、このままでは、
使用時に、回転が不円滑になり、張力を調整すべきベル
トに対して振動などを与えるため、製品としての信頼性
が得られない。このため、現状では、テンションプーリ
本体(6)を低圧、低速で成形したのちに、その外周面
を切削仕上げするなど成形加工とは全く別種の二次加工
を施して、所定の形状精度を得ている。
このように、従来の合成樹脂製テンションプーリにお
いては、合成樹脂製のテンションプーリ本体の成形時に
種々の制約を受けるという問題があるとともに、製品と
しての形状精度を得るためには製作工程が複雑になるな
どの問題がある。しかも、製作上の問題点より歩留りの
低下や生産性の低減を招来することから、コストアップ
を余儀なくされている。
テンションプーリ以外のプーリの場合にも、同様の問
題がある。
この発明の目的は、上記の問題を全て解決し、軽量化
および構造の簡素化が図れ、かつ形状精度の良い低価格
の合成樹脂製プーリを提供することにある。
問題点を解決するための手段 この発明による合成樹脂製プーリは、軸受外輪に、前
記軸受外輪の外周部に嵌着される略円筒状の内筒部とベ
ルトに接する略円筒状の外筒部とがこれらの軸方向ほぼ
中央部において前記内筒部および外筒部より幅狭の環状
の連結部により一体に連結された合成樹脂製のプーリ本
体が射出成形されている合成樹脂製プーリにおいて、前
記プーリ本体に充填されるべき合成樹脂が、前記連結部
に対応する前記外筒部の軸方向ほぼ中央部においてそれ
以外の前記外筒部の部分の径方向厚さとほぼ均一になる
ように、前記軸受外輪外周の少なくとも前記連結部内の
軸方向ほぼ中央部に金属製または合成樹脂製のリングが
配置されていることを特徴とするものである。
作用 プーリ本体が合成樹脂製であるから、従来の金属製の
ものに比較して、軽量であり、しかも構造が簡単で、構
成部品点数も少ない。また、プーリ本体の連結部内の軸
方向ほぼ中央部に配置されたリングによりプーリ本体の
外筒部の肉厚の均一化が図られ、成形時のひけの発生が
非常に少なくなり、形状精度が良くなる。
実 施 例 以下、図面を参照して、この発明をテンションプーリ
に適用した実施例を説明する 第1図および第2図は、第1実施例を示す。
テンションプーリは、玉軸受(10)の外輪(10a)に
合成樹脂製のテンションプーリ本体(12)が射出成形さ
れているものであり、外輪(10a)外周のテンションプ
ーリ本体(12)内に金属製または合成樹脂製のリング
(11)が配置されている。
テンションプーリ本体(12)は、外輪(10a)の外周
部にこれを両側から挾むように嵌着された断面略逆U形
の内筒部(12a)とベルト(図示略)に接する外筒部(1
2b)とがこれらの中央部において内筒部(12a)および
外筒部(12b)より幅狭の環状の連結部(12c)により一
体に連結されたものであり、連結部(12c)の両側の内
筒部(12a)と外筒部(12b)の間の複数の補強リム(12
d)が円周方向に等間隔をおいて一体に形成されてい
る。外筒部(12b)の外周面は、ストレートである。テ
ンションプーリ本体(12)を構成する合成樹脂として
は、強度、耐油性および耐熱性を兼ね備えたものたとえ
ばポリアミド樹脂またはポリアセタール樹脂などが挙げ
られる。
リング(11)の断面形状は長方形であり、その幅はテ
ンションプーリ本体(12)の連結部(12c)の幅より小
さい。また、リング(11)の外径はテンションプーリ本
体(12)の外筒部(12b)の内径とほぼ等しい。リング
(11)は外輪(10a)の外周面の中央部にはめられて、
テンションプーリ本体(12)の内筒部(12a)および連
結部(12c)の中央部内に埋め込まれている。そして、
テンションプーリ本体(12)の外筒部(12b)におい
て、連結部(12c)に対応する中央部の径方向厚さが、
それ以外の両端側の部分の径方向厚さとほぼ均一になっ
ている。リング(11)の内周面には、軸線方向の複数の
みぞ(13)が円周方向に等間隔をおいて形成されてお
り、テンションプーリ本体(12)の内筒部(12a)のリ
ング(11)の両側の合成樹脂がこれらのみぞ(13)を通
して軸線方向に連結しているため、軸線方向の引張り力
に抵抗する作用があり、強度保持に効果がある。リング
(11)を金属で構成する場合、たとえば鋼などが使用さ
れる。リング(11)を合成樹脂で構成する場合、テンシ
ョンプーリ本体(12)と同じようなものを使用すること
ができる。なお、この場合、テンションプーリ本体(1
2)とリング(11)の両者を同一材料にするかまたは異
なる材料にするかは任意である。
次に、第3図を参照して、上記のテンションプーリの
製造方法の1例を説明する。
まず、玉軸受(10)の外輪(10a)の外周面にリング
(11)を嵌着する。このとき、リング(11)の内周面に
複数のみぞ(13)が形成されているので、嵌着作業が容
易である。次に、この外輪(10a)を複数の環状の部品
(14a)(14b)(14c)(14d)(14e)(14f)よりなる
金型(14)に装着し、外輪(10a)の外側に環状のキャ
ビティ(15)を形成する。このとき、1対の内側金型部
品(14a)(14b)の端部に形成された環状段部(16)
(17)に外輪(10a)の内周両端部をはめ、外輪(10a)
の内周側の部分を両側面から挾んで支持するとともに、
外輪(10a)の内周面の両端寄りの部分を内側から支持
する。また、リング(11)の軸方向位置決めを容易にす
るために、金型部品(14c)(14d)にそれぞれ中央方向
に対向する爪部(14g)(14h)が周方向に適当数設けら
れている。そして、このような状態で、キャビティ(1
5)内に合成樹脂を射出して、テンションプーリ本体(1
2)を形成する。
このとき、上記のように外輪(10a)が金型部品(14
a)(14b)により支持されているので、高圧、高速でテ
ンションプーリ本体(12)を成形しても、外輪(10a)
の歪は小さい。また、リング(11)があるので、テンシ
ョンプーリ本体(12)の外筒部(12b)の径方向厚さが
均一化され、このため、成形時のひけの発生が非常に少
なく、形状精度が良い。したがって、成形後にテンショ
ンプーリ本体(12)の外周面を切削仕上げする必要がな
く、1回の射出成形でテンションプーリを完成すること
ができる。
第4図は第2実施例を示し、第1実施例のものと同じ
部分には同一の符号を付している。
第2実施例の場合、テンションプーリ本体(12)の外
周面は中央部が高い円弧状をなす。このため、成形時の
ひけの発生がさらに少なくなる。また、リング(11)に
は、第1実施例のみぞ(13)のかわりに、これを軸線方
向に貫通する複数の穴(18)が形成されている。
第5図は第3実施例を示し、第1実施例と同じ部分に
は同一の符号を付している。
第3実施例の場合、テンションプーリ本体(12)は第
2図実施例のものと同様である。リング(11)は断面T
形をなし、テンションプーリ本体(12)の内筒部(12
a)、外筒部(12b)および連結部(12c)の全体にわた
っている。
合成樹脂製のテンションプーリ本体(12)に補強リム
(12d)が設けられている場合、その外周面にリム(12
d)の数に相当する円周方向の凹凸が生じ、多角形状に
なって、真円度が悪くなる。これが問題になる場合に
は、第3実施例のようにする。このようにすると、断面
T形のリング(11)の外側円筒部(11a)がテンション
プーリ本体(12)の外筒部(12b)内に位置しているこ
とにより、リム(12d)による凹凸が小さくなり、真円
度が良くなる。
この発明は、テンションプーリ以外の合成樹脂製プー
リにも適用できる。
発明の効果 この発明による合成樹脂製プーリは、上述の構成を有
するので、次の効果を奏する。
まず、従来の金属製のテンションプーリ本体のものに
比較して、軽量化が図れる。さらに、構造が簡単で、か
つ構成部品点数が少ない上、加工工数が削減されるた
め、コストダウンが図れる。
従来の合成樹脂製のテンションプーリ本体のものに比
較して、成形時のひけの発生が非常に少なく、形状精度
が良くなる。このため、回転が円滑になり、振動発生が
防止されて、軸受性能が向上する。
生産性の面からは、樹脂成形によってプーリ本体が成
形されるので、金属製のものに比べて工程が簡略化でき
る。また、1回の成形で形状精度の良いものが得られ、
樹脂成形後の切削仕上げなどの二次加工を必要としな
い。このため、生産性が向上し、コストダウンが図れ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の第1実施例を示すテンションプーリ
の主要部の縦断面図、第2図は第1図II−II線の断面
図、第3図はテンションプーリ製造時の状態を示す玉軸
受および金型の主要部の縦断面図、第4図は第2実施例
を示す第1図相当の図面、第5図は第3実施例を示す第
1図相当の図面、第6図は従来の金属製のテンションプ
ーリ本体を備えたテンションプーリを示す主要部の縦断
面図、第7図は従来の合成樹脂製のテンションプーリ本
体を備えたテンションプーリを示す主要部の縦断面図、
第8図は合成樹脂製のテンションプーリ本体に発生する
ひけを示す主要部の拡大断面図である。 (10)……玉軸受、(10a)……外輪、(11)……リン
グ、(12)……テンションプーリ本体、(12a)……内
筒部、(12b)……外筒部、(12c)……連結部。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】軸受外輪に、前記軸受外輪の外周部に嵌着
    される略円筒状の内筒部とベルトに接する略円筒状の外
    筒部とがこれらの軸方向ほぼ中央部において前記内筒部
    および外筒部より幅狭の環状の連結部により一体に連結
    された合成樹脂製のプーリ本体が射出成形されている合
    成樹脂製プーリにおいて、 前記プーリ本体に充填されるべき合成樹脂が、前記連結
    部に対応する前記外筒部の軸方向ほぼ中央部においてそ
    れ以外の前記外筒部の部分の径方向厚さとほぼ均一にな
    るように、前記軸受外輪外周の少なくとも前記連結部内
    の軸方向ほぼ中央部に金属製または合成樹脂製のリング
    が配置されていることを特徴とする合成樹脂製プーリ。
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