JP2560583B2 - パネル用バックライト - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、透過型又は、半透過型
パネルを背面より照射するパネル用バックライトに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】近時、ラップトップ型又は、ノ−トブッ
ク型のワ−ドプロセッサ−やコンピュ−タ等の表示装置
として、薄型でしかも見易いバックライト機構を有する
液晶表示装置が用いられている。このようなバックライ
トには、図１に示すように透光性の導光板の一端部に、
蛍光管のような線状光源を併設する１灯型エッジライト
方式、図３に示すように透光性の導光板の対向する二端
部に、蛍光管のような線状光源を併設する２灯型エッジ
ライト方式、がよく用いられる。このエッジライト方式
の場合、図２又は図４に示すように、導光板の一方の面
に光を拡散させる機能を有する光拡散エレメント（例え
ば、この導光板材料よりも屈折率が大きい光拡散物質を
部分的に被覆するか、導光板表面を粗面化するか、導光
板に穴を開ける）を形成し、前記導光板の面状発光させ
る出光面に光拡散板を配し、前記導光板の出光面と対向
する面を光反射板で覆うように配置されたものが多い。

【０００３】このようなバックライトは導光板に導光板
とバックライトの構成部品（例えば、光拡散板、光反射
板、など）、及び／又は透過型又は半透過型パネルの基
板とを固定するための孔、又は接（溶）着部を有するの
が常である。

【０００４】特に近時、ラップトップ型又はノ−トブッ
ク型パソコンやワ−プロの小型軽量化（例えば一辺が１
ｍｍでも小さくする）が著しく、これらの構成要素であ
るバックライトの小形軽量化が切望されており、導光板
の大きさを、面状発光させる範囲（光拡散エレメントが
導光板上に形成されている範囲で以下、発光エリアと記
す）ぎりぎりまで小さくされることが提案されている。

【０００５】しかし、導光板の線状光源側の無発光部
（光拡散エレメントが形成されていない部分）には、前
記導光板を固定するためのネジまたはリベット等を挿入
するための孔を有するのが常であり、この孔で線状光源
から導光板へ入光した光の進行が妨げられるために、導
光板を小さくすることによって孔が発光域に接近した状
態では、発光域中、孔の周囲が線状光源からの距離方向
に尾を引くように暗くなるという問題があり、発光域は
孔から離す（例えば１５ｍｍ以上）必要があった。その
ため、バックライトの小形軽量化にも限界があった。

【０００６】また、導光板を固定するための手段を孔で
はなく接着あるいは溶着等の方法をとることが考えられ
るが、接着剤あるいは溶着物の屈折率が空気の屈折率よ
りも大きいために、線状光源から導光板へ入光した光が
接着あるいは溶着した部分では全反射せずに抜け出し
て、その部分が異常発光し輝点となるばかりでなく、発
光域中、接着あるいは溶着した部分の周囲が線状光源か
らの距離方向に尾を引くように暗くなり、輝度の均一性
を欠くばかりでなく、更に発光効率の低下を招くという
問題があった。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上述の
問題点につき種々の検討を行った結果、導光板に導光板
を固定するための孔、接（溶）着部を有するエッジライ
ト方式のバックライトにおいて、これらの近傍の光拡散
機能をある条件で変化させることにより、発光域が孔、
接（溶）着部に接近しても、発光域全体の輝度分布が均
一なパネル用バックライトとすることが可能なことを見
出した。

【０００８】即ち本発明は、透光性材料からなる導光板
の側面端部の一方又は両方に、これに近接して線状光源
を有し、かつ、前記導光板の一方の面に光を拡散させる
機能を有する光拡散エレメントを、その光拡散エレメン
トの光を拡散させる機能が線状光源からの距離が大にな
るにつれて大となるように形成し、前記導光板の出光面
に光拡散板を配し、前記導光板の、出光面と対向する面
側に光反射板を配した、パネル用バックライトにおい
て、導光板に形成された孔、接着部、溶着部の一種以上
からなる光学的異質部の近傍の光拡散エレメントの光を
拡散させる機能が、その周囲近傍に比べて大となるよう
に形成したパネル用バックライトに関するものである。

【０００９】次に本発明を図面に基づいて更に詳述す
る。図５は、導光板の一端部に光源を持つエッジライト
方式の一実施態様の斜視図であり、図６はその断面図で
ある。同様に図７は、導光板の二端部に光源を持つエッ
ジライト方式の一実施態様の斜視図であり、図８はその
断面図である。図中１は導光板であり、光を効率よく通
過させる物質であればよく、石英、ガラス、透光性の天
然又は合成樹脂、例えばアクリル系樹脂等である。

【００１０】本発明で言う光拡散エレメントは光拡散機
能を持つ要素を意味し、例えば光拡散エレメントを形成
した導光板のヘ−ズ値が前記光拡散エレメントを形成し
ない同一の導光板のヘ−ズ値よりも大きくなる状態とす
る要素を意味する。尚、ここで言うヘ−ズ値はＪＩＳ−
Ｋ７１０５に準拠して測定したときの値を言う。

【００１１】光拡散エレメントを形成する方法は、導光
板面上に直接ドット状に光拡散物質を印刷するか、導光
板面上を粗面化するか、又、導光板面に小穴を多数設け
るなどで光拡散機能を形成したものを言い、図中６に示
したように、導光板に、光散乱物質を用いて光拡散機能
を持たせる場合は、例えば、導光板の材質に比較して高
屈折率を持ち、かつ拡散反射率が大きい顔料（例えばチ
タニア）を含んだ塗料、印刷インキ等を用いる。これら
をスクリ−ン印刷等の方法で導光板面上にドット状に印
刷する。

【００１２】鏡面ないし光拡散反射板（図中３）は導光
板の出光面と対向する面（出光面の反対側の面）のほぼ
全面を覆うように配置するが、更に導光板の線状光源を
近接させていない残りの端面部のほぼ全面もを覆うよう
に配置すると光の利用効率及び均一な面状発光を得る点
で更に良い。

【００１３】２は光拡散板で、導光板面より出光した光
を散乱させて通過させるものであり、本発明ではこの光
拡散板を１枚又は複数枚用る。

【００１４】４は線状光源で、好ましい態様としては、
導光板の端部に光が入光するための間隙（スリット）を
有する光反射器５で、線状光源の光源面とある幅の間隙
をもたせた状態で覆われており、導光板の少なくとも一
端面部に近接してその中心軸が導光板の端面とほぼ平行
となるように設置される。前記線状光源は、蛍光管、タ
ングステン白熱管、オプティカルロッド、ＬＥＤを配列
した物等があるが、蛍光管が好ましく、省電力の面か
ら、電極部を除く均一発光部の長さが、近接する導光板
の端部の長さとほぼ等しいことが好ましい。

【００１５】図９は線状光源を近接させた導光板の光拡
散エレメントの光拡散機能を示す一例の概略図であり、
図中７は孔又は接（溶）着部を、８は発光エリアを示
し、本例では、９に示した範囲で光拡散機能を他の部分
と変化させている。即ち、その周囲近傍に比べて光拡散
機能が大となるようにしている。その目安は、（周辺部
の輝度値／暗部の輝度値）×暗部のヘーズ値を基に適宜
求められる。

【００１６】本発明で言う光学的異質部とは、前記した
ように、例えば、導光板の孔の周囲の部分や、又は、接
（溶）着物の屈折率が空気の屈折率よりも大きいため
に、その部分では光が全反射せずに抜け出して、その部
分が異常発光し輝点となる部分を言う。

【００１７】導光板における光学的異質部近傍での、他
の部分に比べて光拡散機能を大とする方法は、例えば次
の方法である。

【００１８】光学的異質部の近傍の光拡散エレメントの
光を拡散させる機能が、更にその周囲近傍に比べて大と
なる部分の範囲が、前記孔又は接（溶）着部が近接して
いる部分の光拡散エレメントから前記線状光源からの距
離方向に、光学的異質部が孔の場合、その孔径の１０倍
以内、又は異質部の中心から１ｍｍ以上、３０ｍｍ以下
の長さの範囲で、更に、線状光源を近接させた前記導光
板の側面端部と平行な方向に、前記線状光源からの距離
が大になるに従って前記平行な方向には小となる範囲
を、更に説明すれば、前記光学的異質部を中心とした辺
を底辺として、線状光源からの距離が大になる方向に頂
きを持つように形成された山形の内側部分を、ドット状
に光拡散物質を印刷するか導光板面上を粗面化する方法
である。

【００１９】即ち、ドット状に光拡散物質を印刷する場
合は、その単位当たりの被覆率を大にすること、又、粗
面化する方法であればその粗面化の割合を大にすること
である。

【００２０】このように、本発明の特徴は、導光板上の
孔又は接（溶）着部の周囲の光拡散エレメントの光拡散
機能が、更にその周囲近傍に比べて大となるように前記
光拡散エレメントを形成したことにあり、このように光
拡散エレメントの光拡散機能を形成することにより、発
光エリアが導光板上の孔又は接（溶）着部に接近して
も、発光エリア中、孔又は接（溶）着部の周囲が線状光
源からの距離方向に尾を引くように暗くなることがな
く、従って極めて小型軽量で尚かつ均一な面状発光が得
られるバックライトが得られる。

【００２１】本発明は、光拡散板の上面に液晶パネルな
どの透過型又は半透過型表示パネルを設置して使用され
る。

【００２２】

【発明の効果】本発明は、導光板の発光面側の面積に比
較して極めて大きな均一な発光エリアを得られるので、
小型軽量で均一な面状発光が得られるバックライトとし
て使用できる。

【００２３】

【実施例】次に比較例及び実施例で本発明を更に詳述す
る。図５に示すような厚さ２．０ｍｍの長方形導光板
（２２５ｍｍ×１２７ｍｍ）の短手の端部に、直径４．
８ｍｍの太さの冷陰極蛍光管（ハリソン電機株式会社製
ノ−マル管）を配置し、導光板に接する部分に２ｍｍの
スリットを持つ筒型アルミ反射器の内面に光拡散フィル
ムをラミネ−トしたもので覆い、スリットから出光した
光が導光板の端部から導光板に入光するように配置し
た。

【００２４】一方、導光板面上に被覆する光拡散物質
（チタンホワイトを含む塗料）は、円形のドットパタ−
ンをスクリ−ン印刷したものであり下記の条件で作成し
て用いた。光拡散物質の被覆率が、最小の地点で６％
（ヘ−ズ値で１．８％）、最大の地点で８０％（ヘ−ズ
値で５８％）、その中間ではこれらの比率を順次増加し
た値となるように作図した。発光域の大きさは２１０ｍ
ｍ×１２６ｍｍである。

【００２５】さらに、導光板の出光面側に光拡散フィル
ム（辻本電機製作所Ｄ−２０４）を１枚配置した。導光
板の入光面と出光面以外の面は光拡散反射板を配置し
た。前記導光板の線状光源を近接させた無発光部には、
図１０に示したように前記導光板を固定するためのネジ
を挿入するための直径３ｍｍの孔が開けられており、導
光板、筒型アルミ反射器、光拡散フィルム、光拡散反射
板を固定するためのネジを挿入した。ネジと発光エリア
との距離は５ｍｍまで接近させた。冷陰極管に、インバ
−タより３０ＫＨｚの交番電圧をかけて一定電流で駆動
させたときの面輝度を、輝度計（トプコンＢＭ−８）に
より視野角０．２度、出光面に降ろした法線方向に対し
て、出光面から輝度計（アタッチメントレンズ先端）ま
での距離１２ｍｍで図１０中１０方向及び１１方向へ測
定した結果を図１１（ａ）に示した。このときの面状発
光の状態は目視で図１０中１２の範囲がその回り（図中
８）に比べて暗く見えた（比較例）。

【００２６】図１０中１２の範囲の光拡散機能が、更に
その周囲近傍に比べて大となるように（この場合は、導
光板面上に被覆する光拡散物質のドットの直径を１０〜
１００μｍの範囲で大きくした）以外は比較例１と同一
の装置、条件で操作し、測定した結果を図１１（ｂ）に
示した。尚、このときの面状発光の状態は目視で均一な
面状発光の状態だった（実施例）。

【図面の簡単な説明】

【図１】１灯型エッジライト方式のバックライトの１例
を示す斜視図

【図２】１灯型エッジライト方式のバックライトの１例
を示す断面図

【図３】２灯型エッジライト方式のバックライトの１例
を示す斜視図

【図４】２灯型エッジライト方式のバックライトの１例
を示す断面図

【図５】本発明の一実施態様のバックライトの図

【図６】本発明の一実施態様のバックライトの図

【図７】本発明の一実施態様のバックライトの図

【図８】本発明の一実施態様のバックライトの図

【図９】本発明の一実施態様のバックライトの拡大図

【図１０】本発明の一実施態様のバックライトの拡大図

【図１１】距離による出射光輝度の変化を示す図

【符号の説明】

１：導光板 ２：光拡散板 ３：光反射板 ４：線状光源 ５：光反射器 ６：光拡散エレメント ７：孔又は接（溶）着部 ８：発光エリア ９：光拡散機能がその周囲近傍に比べて大とした範囲 １０：輝度測定方向 １１：輝度測定方向 １２：暗く見える範囲

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】透光性材料からなる導光板の側面端部の一
   方又は両方に、これに近接して線状光源を有し、かつ、
   前記導光板の一方の面に光を拡散させる機能を有する光
   拡散エレメントを、その光拡散エレメントの光を拡散さ
   せる機能が線状光源からの距離が大になるにつれて大と
   なるように形成し、前記導光板の出光面に光拡散板を配
   し、前記導光板の、出光面と対向する面側に光反射板を
   配した、パネル用バックライトにおいて、導光板に形成
   された孔、接着部、溶着部の一種以上からなる光学的異
   質部の近傍の光拡散エレメントの光を拡散させる機能
   が、その周囲近傍に比べて大となるように形成したパネ
   ル用バックライト。
2. 【請求項２】光拡散エレメントが、光拡散性を持つドッ
   ト状物、粗面、小孔から選ばれるものである請求項１記
   載のバックライト。