JP2560457B2 - セラミック溶射シリンダヘッド - Google Patents
セラミック溶射シリンダヘッドInfo
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- JP2560457B2 JP2560457B2 JP28657388A JP28657388A JP2560457B2 JP 2560457 B2 JP2560457 B2 JP 2560457B2 JP 28657388 A JP28657388 A JP 28657388A JP 28657388 A JP28657388 A JP 28657388A JP 2560457 B2 JP2560457 B2 JP 2560457B2
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- Japan
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- cylinder head
- ceramic
- ceramic sprayed
- chamber hole
- sprayed coating
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- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F02—COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
- F02F—CYLINDERS, PISTONS OR CASINGS, FOR COMBUSTION ENGINES; ARRANGEMENTS OF SEALINGS IN COMBUSTION ENGINES
- F02F7/00—Casings, e.g. crankcases or frames
- F02F7/0085—Materials for constructing engines or their parts
- F02F7/0087—Ceramic materials
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F02—COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
- F02B—INTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
- F02B3/00—Engines characterised by air compression and subsequent fuel addition
- F02B3/06—Engines characterised by air compression and subsequent fuel addition with compression ignition
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- Engineering & Computer Science (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Ceramic Engineering (AREA)
- Combustion & Propulsion (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Cylinder Crankcases Of Internal Combustion Engines (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は自動車用ディーゼルエンジンの如く副燃焼
室を備えたシリンダヘッドに関し、特に内壁面に遮熱用
セラミック溶射層を形成したシリンダヘッドに関するも
のである。
室を備えたシリンダヘッドに関し、特に内壁面に遮熱用
セラミック溶射層を形成したシリンダヘッドに関するも
のである。
従来の技術 近年、自動車用エンジンに対する要求性能はますます
高度なものとなっており、そのためエンジンの運転条件
も材料にとって著しく苛酷なものとなりつつある。特に
ディーゼルエンジンは、作動時の燃焼温度が高く、その
シリンダヘッド内壁面は著しい高温に曝される。
高度なものとなっており、そのためエンジンの運転条件
も材料にとって著しく苛酷なものとなりつつある。特に
ディーゼルエンジンは、作動時の燃焼温度が高く、その
シリンダヘッド内壁面は著しい高温に曝される。
ところでシリンダヘッドのうち、吸気弁と排気弁との
間の部分(弁間部)や、吸気弁と副燃焼室のチャンバー
穴との間の部分、あるいは排気弁と副燃焼室のチャンバ
ー穴との間の部分は、燃焼時に特に高温に曝される部分
であり、しかもこれらの部分は他の部位より比較的肉薄
とされているため、これらの部分には燃焼による熱応力
に起因して亀裂が発生し易い問題がある。
間の部分(弁間部)や、吸気弁と副燃焼室のチャンバー
穴との間の部分、あるいは排気弁と副燃焼室のチャンバ
ー穴との間の部分は、燃焼時に特に高温に曝される部分
であり、しかもこれらの部分は他の部位より比較的肉薄
とされているため、これらの部分には燃焼による熱応力
に起因して亀裂が発生し易い問題がある。
そこで既にアルミニウム合金製のシリンダヘッドに関
しては、特願昭61−242544号(特開昭63−97858号)に
おいて、前述のような弁間部や各弁とチャンバー穴との
間の部分を含みかつそれより広い領域にわたって、母材
アルミニウム合金よりも熱伝導率が高い材料からなる溶
射層を形成したシリンダヘッドを提案している。この提
案のシリンダヘッドは、熱伝導率の高い溶射層により熱
を拡散させてから母材Al合金に熱伝達させることにより
熱の集中を防止して、熱応力による亀裂の発生を防止し
ている。確かにこの方法はAl合金製のシリンダヘッドに
ついては有効であるが、鋳鉄製シリンダヘッドの場合
は、Al合金よりもさらに熱伝導率が低く、そのため前述
のような溶射層を形成しておいても逆にその内側の母材
が熱だまりとなるため、熱応力により亀裂が発生するこ
とを充分に防止することは困難であった。
しては、特願昭61−242544号(特開昭63−97858号)に
おいて、前述のような弁間部や各弁とチャンバー穴との
間の部分を含みかつそれより広い領域にわたって、母材
アルミニウム合金よりも熱伝導率が高い材料からなる溶
射層を形成したシリンダヘッドを提案している。この提
案のシリンダヘッドは、熱伝導率の高い溶射層により熱
を拡散させてから母材Al合金に熱伝達させることにより
熱の集中を防止して、熱応力による亀裂の発生を防止し
ている。確かにこの方法はAl合金製のシリンダヘッドに
ついては有効であるが、鋳鉄製シリンダヘッドの場合
は、Al合金よりもさらに熱伝導率が低く、そのため前述
のような溶射層を形成しておいても逆にその内側の母材
が熱だまりとなるため、熱応力により亀裂が発生するこ
とを充分に防止することは困難であった。
一方、本願発明者等は、前述のような問題に対処する
手段の一つとして、鋳鉄製シリンダヘッドの燃焼室内壁
面に、前記提案とは逆に熱伝導率が著しく低いセラミッ
クを一定の厚さで溶射被覆しておき、燃焼時の高温のガ
スから鋳鉄製シリンダヘッド本体への熱伝達を抑制する
方法を考えている。すなわちこの方法は、シリンダヘッ
ドにおける高温に曝される部位を遮熱してシリンダヘッ
ド本体の温度を低下させ、これによりシリンダヘッドに
生じる熱応力を小さくして亀裂の発生を防止しようとす
るものであり、この方法は比較的熱伝導率の低い鋳鉄製
シリンダヘッドにおいて有効と考えられる。
手段の一つとして、鋳鉄製シリンダヘッドの燃焼室内壁
面に、前記提案とは逆に熱伝導率が著しく低いセラミッ
クを一定の厚さで溶射被覆しておき、燃焼時の高温のガ
スから鋳鉄製シリンダヘッド本体への熱伝達を抑制する
方法を考えている。すなわちこの方法は、シリンダヘッ
ドにおける高温に曝される部位を遮熱してシリンダヘッ
ド本体の温度を低下させ、これによりシリンダヘッドに
生じる熱応力を小さくして亀裂の発生を防止しようとす
るものであり、この方法は比較的熱伝導率の低い鋳鉄製
シリンダヘッドにおいて有効と考えられる。
発明が解決しようとする課題 前述のように鋳鉄製シリンダヘッドにおいて燃焼室の
内壁面に熱伝導率の低いセラミックを溶射してシリンダ
ヘッド本体を遮熱する方法について、本発明者等がさら
に実用化のための実験を進めたところ、次のような問題
があることが判明した。
内壁面に熱伝導率の低いセラミックを溶射してシリンダ
ヘッド本体を遮熱する方法について、本発明者等がさら
に実用化のための実験を進めたところ、次のような問題
があることが判明した。
すなわち、鋳鉄製シリンダヘッド本体の燃焼室内壁面
をセラミック溶射皮膜によって遮熱する場合、その内壁
面のうち最も高温となる部位にセラミック溶射皮膜を形
成することが有効であると考えられ、したがって第13図
および第14図に示すように、鋳鉄製シリンダヘッド本体
1の内壁面のうち、吸気孔と排気孔3との間の部分(弁
間部)、副燃焼室のチャンバー穴4と吸気孔2、排気孔
3との間の部分を含む領域にセラミック溶射皮膜5を形
成するのが常識的である。なお第13図および第14図に示
されているシリンダヘッド本体1は、吸気孔2と排気孔
3との間の部分に座ぐり部(凹部)6を形成してその部
分のシリンダヘッド本体の肉厚を薄くし、裏側に位置す
る冷却通路による冷却効果を高めるように構成されてい
る。
をセラミック溶射皮膜によって遮熱する場合、その内壁
面のうち最も高温となる部位にセラミック溶射皮膜を形
成することが有効であると考えられ、したがって第13図
および第14図に示すように、鋳鉄製シリンダヘッド本体
1の内壁面のうち、吸気孔と排気孔3との間の部分(弁
間部)、副燃焼室のチャンバー穴4と吸気孔2、排気孔
3との間の部分を含む領域にセラミック溶射皮膜5を形
成するのが常識的である。なお第13図および第14図に示
されているシリンダヘッド本体1は、吸気孔2と排気孔
3との間の部分に座ぐり部(凹部)6を形成してその部
分のシリンダヘッド本体の肉厚を薄くし、裏側に位置す
る冷却通路による冷却効果を高めるように構成されてい
る。
このようにセラミック溶射皮膜5を形成した鋳鉄製シ
リンダヘッドについて、実際にディーゼルエンジンに組
込んで実機耐久試験を行なったところ、第14図中に示し
ているように、副燃焼室のチャンバー穴4の周縁部4Aに
おいて、セラミック溶射皮膜5に亀裂(クラック)7が
生じ、これが進展して最終的には皮膜剥離に至ることが
判明した。また前述のように座ぐり部6を形成した鋳鉄
製シリンダヘッドでは、座ぐり部6の端部6Aにおける凸
部となった部分においても、セラミック溶射皮膜5に亀
裂8が発生し、この亀裂も皮膜剥離に至らしめることが
判明した。
リンダヘッドについて、実際にディーゼルエンジンに組
込んで実機耐久試験を行なったところ、第14図中に示し
ているように、副燃焼室のチャンバー穴4の周縁部4Aに
おいて、セラミック溶射皮膜5に亀裂(クラック)7が
生じ、これが進展して最終的には皮膜剥離に至ることが
判明した。また前述のように座ぐり部6を形成した鋳鉄
製シリンダヘッドでは、座ぐり部6の端部6Aにおける凸
部となった部分においても、セラミック溶射皮膜5に亀
裂8が発生し、この亀裂も皮膜剥離に至らしめることが
判明した。
これらの亀裂のうち、チャンバー穴4の周縁部におけ
る亀裂7の発生原因については、次のような2つの理由
が考えられる。
る亀裂7の発生原因については、次のような2つの理由
が考えられる。
すなわち、チャンバー穴4および吸気孔2、排気孔3
の付近における実機作動時の温度分布について、2400cc
ターボチャージャー付ディーゼルエンジンで調べたとこ
ろ、第15図、第16図に示すように、チャンバー穴4の周
縁部、特に弁間部側の周縁部が最も高温となって600℃
以上に達することが判明した。一方、溶射皮膜に用いて
いるセラミックとシリンダヘッド本体の鋳鉄とはその熱
膨張係数の差が大きく、代表的なセラミックであるZrO2
・8%Y2O3の熱膨張係数が9.5×10-6/℃であるのに対し
鋳鉄の熱膨張係数は13.4×10-6/℃程度である。そのた
め、最も高温となるチャンバー穴4の周縁部ではセラミ
ック溶射皮膜と母材鋳鉄との熱膨張差が最も大きくな
り、しかもチャンバー穴4の側の溶射皮膜端面では切欠
効果にる応力集中を受け易いから、その溶射皮膜の端面
から亀裂が発生し、これが進展して皮膜の剥離に至ると
考えられる。
の付近における実機作動時の温度分布について、2400cc
ターボチャージャー付ディーゼルエンジンで調べたとこ
ろ、第15図、第16図に示すように、チャンバー穴4の周
縁部、特に弁間部側の周縁部が最も高温となって600℃
以上に達することが判明した。一方、溶射皮膜に用いて
いるセラミックとシリンダヘッド本体の鋳鉄とはその熱
膨張係数の差が大きく、代表的なセラミックであるZrO2
・8%Y2O3の熱膨張係数が9.5×10-6/℃であるのに対し
鋳鉄の熱膨張係数は13.4×10-6/℃程度である。そのた
め、最も高温となるチャンバー穴4の周縁部ではセラミ
ック溶射皮膜と母材鋳鉄との熱膨張差が最も大きくな
り、しかもチャンバー穴4の側の溶射皮膜端面では切欠
効果にる応力集中を受け易いから、その溶射皮膜の端面
から亀裂が発生し、これが進展して皮膜の剥離に至ると
考えられる。
また、チャンバー穴4の周縁部、特にチャンバー穴の
端面から1mm以内の箇所では前述のように600℃以上の高
温となるが、このような高温ではセラミックの強度が著
しく低下する。すなわち代表的なセラミックであるZrO2
・8%Y2O3の場合、第17図に示すように600℃以上で強
度が急激に低下して常温強度の1/3以下となってしま
う。そしてこのように600℃以上の高温で強度が下がっ
た状態のセラミックに対して熱応力が負荷されれば、セ
ラミック層内に破壊が生じて亀裂発生を招き、これが進
展して皮膜剥離に至ると考えられる。
端面から1mm以内の箇所では前述のように600℃以上の高
温となるが、このような高温ではセラミックの強度が著
しく低下する。すなわち代表的なセラミックであるZrO2
・8%Y2O3の場合、第17図に示すように600℃以上で強
度が急激に低下して常温強度の1/3以下となってしま
う。そしてこのように600℃以上の高温で強度が下がっ
た状態のセラミックに対して熱応力が負荷されれば、セ
ラミック層内に破壊が生じて亀裂発生を招き、これが進
展して皮膜剥離に至ると考えられる。
一方、第13図、第14図における吸気孔2と排気孔3と
の間の座ぐり部6の端部6Aの凸部分における亀裂8の発
生原因については次のように考えられる。
の間の座ぐり部6の端部6Aの凸部分における亀裂8の発
生原因については次のように考えられる。
すなわち、チャンバー穴から噴出してきた高温ガス
は、燃焼室内の凸部分に直接衝突するが、凸部分は他の
平面部分と比較して熱拡散し難く、その部分だけ特に高
温となりやすい。したがって前述のような座ぐり部6の
端部6Aの凸部分も局部的に高温となりやすいから、その
部分のセラミック溶射皮膜には熱衝撃または母材との熱
膨張差による熱応力によって亀裂が生じやすく、皮膜剥
離に至りやすいと考えられる。
は、燃焼室内の凸部分に直接衝突するが、凸部分は他の
平面部分と比較して熱拡散し難く、その部分だけ特に高
温となりやすい。したがって前述のような座ぐり部6の
端部6Aの凸部分も局部的に高温となりやすいから、その
部分のセラミック溶射皮膜には熱衝撃または母材との熱
膨張差による熱応力によって亀裂が生じやすく、皮膜剥
離に至りやすいと考えられる。
なお、前述のようにセラミック溶射皮膜5に生じる亀
裂7,8のうち、座ぐり部6の端部6Aの凸部分に生じる亀
裂8は、座ぐり部6を形成したシリンダヘッドに特有の
問題であり、座ぐり部6のないシリンダヘッドでは問題
とならない。一方チャンバー穴4の周縁部における亀裂
7は、副燃焼室を備えたシリンダヘッドにおいて共通に
生じる問題であり、したがってチャンバー穴4の周縁部
の亀裂発生の方が基本的に重要な問題であるから、この
発明ではチャンバー穴4の周縁部における亀裂発生を基
本的な解決課題としている。
裂7,8のうち、座ぐり部6の端部6Aの凸部分に生じる亀
裂8は、座ぐり部6を形成したシリンダヘッドに特有の
問題であり、座ぐり部6のないシリンダヘッドでは問題
とならない。一方チャンバー穴4の周縁部における亀裂
7は、副燃焼室を備えたシリンダヘッドにおいて共通に
生じる問題であり、したがってチャンバー穴4の周縁部
の亀裂発生の方が基本的に重要な問題であるから、この
発明ではチャンバー穴4の周縁部における亀裂発生を基
本的な解決課題としている。
この発明は以上のような事情を背景としてなされたも
ので、副燃焼室を備えた鋳鉄製シリンダヘッド本体にお
ける燃焼室内壁面に遮熱のためのセラミック溶射皮膜を
形成したシリンダヘッドとして、そのセラミック溶射皮
膜の亀裂発生、特に副燃焼室のチャンバー穴の周縁部で
の亀裂発生を防止し、ひいては皮膜剥離を防止して、皮
膜の耐久性を改善したシリンダヘッドを提供することを
目的とするものである。
ので、副燃焼室を備えた鋳鉄製シリンダヘッド本体にお
ける燃焼室内壁面に遮熱のためのセラミック溶射皮膜を
形成したシリンダヘッドとして、そのセラミック溶射皮
膜の亀裂発生、特に副燃焼室のチャンバー穴の周縁部で
の亀裂発生を防止し、ひいては皮膜剥離を防止して、皮
膜の耐久性を改善したシリンダヘッドを提供することを
目的とするものである。
課題を解決するための手段 この発明は、副燃焼室を備えたディーゼルエンジン用
の鋳鉄製シリンダヘッドであってかつ内壁面のうち少な
くとも弁間部から副燃焼室のチャンバー穴付近に至る領
域に遮熱用のセラミック溶射皮膜が形成されているセラ
ミック溶射シリンダヘッドにおいて、前記セラミック溶
射皮膜が、弁間部の側から、チャンバー穴の縁に対し1
〜5mmの範囲内の位置まで形成され、その位置からチャ
ンバー穴の縁まではシリンダヘッド本体の鋳鉄が露呈し
ており、しかもセラミック溶射皮膜のチャンバー穴側の
端部表面は、鋳鉄製シリンダヘッド本体のチャンバー穴
周縁部の露呈部分表面と実質的に面一とされていること
を特徴とするものである。
の鋳鉄製シリンダヘッドであってかつ内壁面のうち少な
くとも弁間部から副燃焼室のチャンバー穴付近に至る領
域に遮熱用のセラミック溶射皮膜が形成されているセラ
ミック溶射シリンダヘッドにおいて、前記セラミック溶
射皮膜が、弁間部の側から、チャンバー穴の縁に対し1
〜5mmの範囲内の位置まで形成され、その位置からチャ
ンバー穴の縁まではシリンダヘッド本体の鋳鉄が露呈し
ており、しかもセラミック溶射皮膜のチャンバー穴側の
端部表面は、鋳鉄製シリンダヘッド本体のチャンバー穴
周縁部の露呈部分表面と実質的に面一とされていること
を特徴とするものである。
作用 第1図〜第4図にこの発明のセラミック溶射シリンダ
ヘッドの代表的な例を示し、第1図〜第4図を参照して
この発明の作用を説明する。
ヘッドの代表的な例を示し、第1図〜第4図を参照して
この発明の作用を説明する。
第1図〜第4図において、遮熱用のセラミック溶射皮
膜5は鋳鉄製シリンダヘッド本体1における吸気孔2、
排気孔3、チャンバー穴4の間の部分を含む領域に形成
されており、かつそのセラミック溶射皮膜5は、弁間部
の側からチャンバー穴4の縁に対し距離l(l=1〜5m
m)だけ離れた位置まで形成されており、その位置から
チャンバー穴4の縁に至る部分(チャンバー穴周縁部)
11は、シリンダヘッド本体1を構成している母材の鋳鉄
が露呈している。
膜5は鋳鉄製シリンダヘッド本体1における吸気孔2、
排気孔3、チャンバー穴4の間の部分を含む領域に形成
されており、かつそのセラミック溶射皮膜5は、弁間部
の側からチャンバー穴4の縁に対し距離l(l=1〜5m
m)だけ離れた位置まで形成されており、その位置から
チャンバー穴4の縁に至る部分(チャンバー穴周縁部)
11は、シリンダヘッド本体1を構成している母材の鋳鉄
が露呈している。
このようにチャンバー穴4の縁に対し1〜5mmの距離
lだけ離れた位置にセラミック溶射皮膜5の端部が位置
していることによって、そのセラミック溶射皮膜5は、
600〜800℃の高温となるチャンバー穴4の縁やその近傍
の領域(特にチャンバー穴4の縁から1mm未満の周縁部1
1)に接することがないため、セラミックの強度が600℃
以上の高温によって低下することが防止される。
lだけ離れた位置にセラミック溶射皮膜5の端部が位置
していることによって、そのセラミック溶射皮膜5は、
600〜800℃の高温となるチャンバー穴4の縁やその近傍
の領域(特にチャンバー穴4の縁から1mm未満の周縁部1
1)に接することがないため、セラミックの強度が600℃
以上の高温によって低下することが防止される。
さらに第2図、第3図に示すように、セラミック溶射
皮膜5のチャンバー穴4の側の端部は、その表面が鋳鉄
製シリンダヘッド本体1のチャンバー穴周縁部11の露呈
部分表面と実質的に面一とされている。したがってセラ
ミック溶射皮膜端部の切欠効果による応力集中を防止す
ることができ、かつまたそのセラミック溶射皮膜端部の
温度も前述のように600℃以上の高温とならないため、
セラミックと母材鋳鉄との熱膨張差による応力も少なく
なる。したがってこれらが総合的に作用して、セラミッ
ク溶射皮膜5のチャンバー穴4側の端部から亀裂が発生
することを有効に防止することができる。
皮膜5のチャンバー穴4の側の端部は、その表面が鋳鉄
製シリンダヘッド本体1のチャンバー穴周縁部11の露呈
部分表面と実質的に面一とされている。したがってセラ
ミック溶射皮膜端部の切欠効果による応力集中を防止す
ることができ、かつまたそのセラミック溶射皮膜端部の
温度も前述のように600℃以上の高温とならないため、
セラミックと母材鋳鉄との熱膨張差による応力も少なく
なる。したがってこれらが総合的に作用して、セラミッ
ク溶射皮膜5のチャンバー穴4側の端部から亀裂が発生
することを有効に防止することができる。
ここで、セラミック溶射皮膜5のチャンバー穴4側の
端部の位置を、チャンバー穴4の縁から1〜5mmの距離
lの位置と規定した理由は次の通りである。
端部の位置を、チャンバー穴4の縁から1〜5mmの距離
lの位置と規定した理由は次の通りである。
すなわち、上記距離lが5mmを越えた場合、鋳鉄製シ
リンダヘッド本体1の弁間部付近を覆うセラミック溶射
皮膜5の面積が少なくなり、シリンダヘッド本体1に対
する遮熱効果が少なくなってシリンダヘッド本体1の温
度が上昇し、弁間部付近でシリンダヘッド本体1に熱応
力による亀裂が発生するおそれがある。換言すれば、5m
mを越えればセラミック溶射皮膜5を形成した本来の目
的(遮熱)が充分に達成されなくなる。一方前記距離l
が1mm未満では、600℃を越えるチャンバー穴4の縁の近
傍の高温部分にセラミック溶射皮膜5が接することにな
るため、セラミック溶射皮膜5の端部での亀裂発生を防
止できなくなる。
リンダヘッド本体1の弁間部付近を覆うセラミック溶射
皮膜5の面積が少なくなり、シリンダヘッド本体1に対
する遮熱効果が少なくなってシリンダヘッド本体1の温
度が上昇し、弁間部付近でシリンダヘッド本体1に熱応
力による亀裂が発生するおそれがある。換言すれば、5m
mを越えればセラミック溶射皮膜5を形成した本来の目
的(遮熱)が充分に達成されなくなる。一方前記距離l
が1mm未満では、600℃を越えるチャンバー穴4の縁の近
傍の高温部分にセラミック溶射皮膜5が接することにな
るため、セラミック溶射皮膜5の端部での亀裂発生を防
止できなくなる。
なお上述のように前記距離が5mmを越える場合にセラ
ミック溶射皮膜による本来の遮熱効果が得られなくなる
ことは、次のような実験結果により確認された。すなわ
ち、第1図に示したように鋳鉄製シリンダヘッド本体1
における吸気孔2、排気孔3およびチャンバー穴4に挟
まれる部分を含む領域にZrO2・8%Y2O3からなるセラミ
ック溶射皮膜5を形成し、かつそのセラミック溶射皮膜
5のチャンバー穴4側の端部とチャンバー穴4の縁との
間の距離lを0mm、1mm、2mm、5mm、10mmと種々の値とし
たシリンダヘッドを作成した。なおセラミック溶射皮膜
5の厚みは約0.5mmであり、その下地溶射層として予め
0.1mm厚のNi−Cr−Al合金溶射層が形成されている。各
シリンダヘッドについて、下地溶射層の直下の燃焼時の
温度を吸気孔2、排気孔3、チャンバー穴4に挟まれる
中央の位置(第1図中の点P)において熱電対により測
定した測温結果を第5図に示す。第5図中に示すよう
に、距離lが大きくなるほど測温箇所Pでのシリンダヘ
ッド本体の温度が上昇し、特にlが5mmを越えれば急激
に温度上昇して、lが10mmの場合には弁間部付近で亀裂
が発生した。したがってlの上限は5mmとした。
ミック溶射皮膜による本来の遮熱効果が得られなくなる
ことは、次のような実験結果により確認された。すなわ
ち、第1図に示したように鋳鉄製シリンダヘッド本体1
における吸気孔2、排気孔3およびチャンバー穴4に挟
まれる部分を含む領域にZrO2・8%Y2O3からなるセラミ
ック溶射皮膜5を形成し、かつそのセラミック溶射皮膜
5のチャンバー穴4側の端部とチャンバー穴4の縁との
間の距離lを0mm、1mm、2mm、5mm、10mmと種々の値とし
たシリンダヘッドを作成した。なおセラミック溶射皮膜
5の厚みは約0.5mmであり、その下地溶射層として予め
0.1mm厚のNi−Cr−Al合金溶射層が形成されている。各
シリンダヘッドについて、下地溶射層の直下の燃焼時の
温度を吸気孔2、排気孔3、チャンバー穴4に挟まれる
中央の位置(第1図中の点P)において熱電対により測
定した測温結果を第5図に示す。第5図中に示すよう
に、距離lが大きくなるほど測温箇所Pでのシリンダヘ
ッド本体の温度が上昇し、特にlが5mmを越えれば急激
に温度上昇して、lが10mmの場合には弁間部付近で亀裂
が発生した。したがってlの上限は5mmとした。
発明の実施のための望ましい態様 この発明のセラミック溶射シリンダヘッドにおいて
は、前述のような構成とするほか、さらに次のような構
成を適用することが望ましい。
は、前述のような構成とするほか、さらに次のような構
成を適用することが望ましい。
すなわち、先ず第3図において、セラミック溶射皮膜
のチャンバー穴4側の端部における鋳鉄製シリンダヘッ
ド本体1の立ち上がり角度θ1は、120゜以上の角度と
することが望ましい。すなわち、本発明者等が種々の立
ち上がり角度θ1を有するテストピースについて、ZrO2
・8%Y2O3セラミックを溶射する実験を行なったとこ
ろ、立ち上がり角度θ1が120゜未満の場合には、第6
図に示しているようにその立ち上がり部分の隅において
セラミック溶射皮膜5が充填されない空洞部12が生じ易
くなり、そのためその部分からセラミック溶射皮膜剥離
が生じ易くなって耐久性に問題が生じることが判明し
た。したがって充分な耐久性を与えるためには、立ち上
がり角度θ1を120゜以上とすることが望ましい。
のチャンバー穴4側の端部における鋳鉄製シリンダヘッ
ド本体1の立ち上がり角度θ1は、120゜以上の角度と
することが望ましい。すなわち、本発明者等が種々の立
ち上がり角度θ1を有するテストピースについて、ZrO2
・8%Y2O3セラミックを溶射する実験を行なったとこ
ろ、立ち上がり角度θ1が120゜未満の場合には、第6
図に示しているようにその立ち上がり部分の隅において
セラミック溶射皮膜5が充填されない空洞部12が生じ易
くなり、そのためその部分からセラミック溶射皮膜剥離
が生じ易くなって耐久性に問題が生じることが判明し
た。したがって充分な耐久性を与えるためには、立ち上
がり角度θ1を120゜以上とすることが望ましい。
また第1図〜第4図の例では、吸気孔2と排気孔3と
の間の部分に座ぐり部6を形成したシリンダヘッド本体
1について示しているが、このように座ぐり部6を形成
した場合には、第4図に示すように座ぐり部6の両端部
におけるシリンダヘッド本体1の凸部分13にR形状を設
けることが望ましい。すなわち、凸部分13の表面を湾曲
面形状とすることが望ましい。このようにシリンダヘッ
ド本体1の凸部分13の表面を湾曲面形状とすることによ
って、その部分を覆うセラミック溶射皮膜1の凸部分表
面も湾曲面形状となるから、チャンバー穴4から噴出し
てきた高温ガスが直接衝突しにくくなるとともに、熱拡
散も容易となり、そのため熱応力も小さくなってその部
分から溶射皮膜に亀裂が発生することを防止できる。な
おこのようにシリンダヘッド本体1における座ぐり部6
の両端の凸部分13にR形状を設ける場合、その曲率半径
ρは10mm以上とすることが望ましい。またそのR形状を
なす凸部分13の全体的な立ち下がり角度θ2(第4図参
照)は、150゜以上とすることが望ましい。これらの
ρ,θ2の値が望ましいことは、次のような実験結果に
基づく。
の間の部分に座ぐり部6を形成したシリンダヘッド本体
1について示しているが、このように座ぐり部6を形成
した場合には、第4図に示すように座ぐり部6の両端部
におけるシリンダヘッド本体1の凸部分13にR形状を設
けることが望ましい。すなわち、凸部分13の表面を湾曲
面形状とすることが望ましい。このようにシリンダヘッ
ド本体1の凸部分13の表面を湾曲面形状とすることによ
って、その部分を覆うセラミック溶射皮膜1の凸部分表
面も湾曲面形状となるから、チャンバー穴4から噴出し
てきた高温ガスが直接衝突しにくくなるとともに、熱拡
散も容易となり、そのため熱応力も小さくなってその部
分から溶射皮膜に亀裂が発生することを防止できる。な
おこのようにシリンダヘッド本体1における座ぐり部6
の両端の凸部分13にR形状を設ける場合、その曲率半径
ρは10mm以上とすることが望ましい。またそのR形状を
なす凸部分13の全体的な立ち下がり角度θ2(第4図参
照)は、150゜以上とすることが望ましい。これらの
ρ,θ2の値が望ましいことは、次のような実験結果に
基づく。
すなわち、第7図に示すような形状のJIS FC23鋳鉄か
らなる基材14にZrO2・8%Y2O3セラミックを溶射してテ
ストピースを作成し、セラミック溶射皮膜5の表面をC2
H2−O2ガスバーナ15で繰返し加熱−冷却する実験を行な
った。ここでセラミック溶射皮膜5は厚み0.5mmとし、
予め基材表面に下地溶射層としてNi−Cr−Al合金を0.1m
m溶射しておいてからセラミック溶射皮膜5を形成し
た。またバーナ15による繰返し加熱−冷却は、下地溶射
層直下の温度で50℃360℃、300サイクルの条件で行な
った。曲率半径ρおよび角度θ2を種々変化させた場合
のセラミック溶射皮膜5の亀裂発生状況、剥離状況を調
べた結果を第1表に示す。
らなる基材14にZrO2・8%Y2O3セラミックを溶射してテ
ストピースを作成し、セラミック溶射皮膜5の表面をC2
H2−O2ガスバーナ15で繰返し加熱−冷却する実験を行な
った。ここでセラミック溶射皮膜5は厚み0.5mmとし、
予め基材表面に下地溶射層としてNi−Cr−Al合金を0.1m
m溶射しておいてからセラミック溶射皮膜5を形成し
た。またバーナ15による繰返し加熱−冷却は、下地溶射
層直下の温度で50℃360℃、300サイクルの条件で行な
った。曲率半径ρおよび角度θ2を種々変化させた場合
のセラミック溶射皮膜5の亀裂発生状況、剥離状況を調
べた結果を第1表に示す。
第1表に示すように、角度θ2が150゜以上でしかも
曲率半径ρが10mm以上では、セラミック溶射皮膜に剥離
や亀裂が生じないことが判明した。したがって座ぐり部
6の両端部分でのセラミック溶射皮膜の亀裂発生、剥離
を確実に防止するためには、その部分のシリンダヘッド
本体1における曲率半径ρを10mm以上とし、また立ち下
がり角度θ2を150゜以上とすることが望ましい。
曲率半径ρが10mm以上では、セラミック溶射皮膜に剥離
や亀裂が生じないことが判明した。したがって座ぐり部
6の両端部分でのセラミック溶射皮膜の亀裂発生、剥離
を確実に防止するためには、その部分のシリンダヘッド
本体1における曲率半径ρを10mm以上とし、また立ち下
がり角度θ2を150゜以上とすることが望ましい。
実 施 例 この発明を、2.4ターボチャージャー付4気筒ディ
ーゼルエンジンのシリンダヘッドに適用した実施例を以
下に示す。
ーゼルエンジンのシリンダヘッドに適用した実施例を以
下に示す。
JIS FC23からなる鋳鉄製シリンダヘッド本体1に対し
て、各気筒の溶射部位16に第8図、第9図に示すような
前加工を施した。前加工後の各部の寸法、角度は第9図
に示す通りである。次いでシリンダヘッド本体1をトリ
クレンにより洗浄し、前加工による機械油の除去を行な
った。その後溶射部位にショットブラスト処理を施し
て、表面あらさ40μmRzとした。次いでプラズマ溶射ガ
ンによりシリンダヘッド本体1の温度が150℃となるま
で予熱した。続いて下地溶射層として94wt%(Ni−20wt
%Cr)−6wt%AlからなるNi−Cr−Al合金を0.1mm厚で溶
射し、続いてZrO2・8%Y2O3を遮熱用セラミック溶射皮
膜として0.5mm以上の厚みでプラズマ溶射した。溶射完
了後、表面研削グラインダーにより第9図のS面に沿っ
てセラミック溶射皮膜の表面研磨を行ない、第1図〜第
4図に示したようなこの発明によるセラミック溶射シリ
ンダヘッドを完成した。
て、各気筒の溶射部位16に第8図、第9図に示すような
前加工を施した。前加工後の各部の寸法、角度は第9図
に示す通りである。次いでシリンダヘッド本体1をトリ
クレンにより洗浄し、前加工による機械油の除去を行な
った。その後溶射部位にショットブラスト処理を施し
て、表面あらさ40μmRzとした。次いでプラズマ溶射ガ
ンによりシリンダヘッド本体1の温度が150℃となるま
で予熱した。続いて下地溶射層として94wt%(Ni−20wt
%Cr)−6wt%AlからなるNi−Cr−Al合金を0.1mm厚で溶
射し、続いてZrO2・8%Y2O3を遮熱用セラミック溶射皮
膜として0.5mm以上の厚みでプラズマ溶射した。溶射完
了後、表面研削グラインダーにより第9図のS面に沿っ
てセラミック溶射皮膜の表面研磨を行ない、第1図〜第
4図に示したようなこの発明によるセラミック溶射シリ
ンダヘッドを完成した。
以上のようなこの発明の実施例のセラミック溶射シリ
ンダヘッドと、第13図、第14図に示すような従来のセラ
ミック溶射シリンダヘッド、すなわちセラミック溶射皮
膜5がチャンバー穴4の縁まで達しておりかつ座ぐり部
6の端部の凸部にR形状が形成されていない従来のセラ
ミック溶射シリンダヘッドについて、ディーゼルエンジ
ン実機に組込んで300時間の耐久試験を行なった。なお
従来例のセラミック溶射シリンダヘッドにおける各材料
や溶射条件等は前述の実施例と同じである。また耐久試
験の1サイクルは第10図に示す通りである。
ンダヘッドと、第13図、第14図に示すような従来のセラ
ミック溶射シリンダヘッド、すなわちセラミック溶射皮
膜5がチャンバー穴4の縁まで達しておりかつ座ぐり部
6の端部の凸部にR形状が形成されていない従来のセラ
ミック溶射シリンダヘッドについて、ディーゼルエンジ
ン実機に組込んで300時間の耐久試験を行なった。なお
従来例のセラミック溶射シリンダヘッドにおける各材料
や溶射条件等は前述の実施例と同じである。また耐久試
験の1サイクルは第10図に示す通りである。
第10図に示すサイクルを4500回繰返した合計300時間
の試験の後、それぞれのシリンダヘッドにおける各気筒
でのセラミック溶射皮膜の損傷の有無を調べた。その結
果を第2表に示す。
の試験の後、それぞれのシリンダヘッドにおける各気筒
でのセラミック溶射皮膜の損傷の有無を調べた。その結
果を第2表に示す。
第2表に示すように、この発明の実施例のセラミック
溶射シリンダヘッドにおいては、従来例のセラミック溶
射シリンダヘッドでセラミック溶射皮膜に生じたような
亀裂、剥離の発生を招くことなく、セラミック溶射皮膜
の耐久性が格段に向上していることが明らかである。
溶射シリンダヘッドにおいては、従来例のセラミック溶
射シリンダヘッドでセラミック溶射皮膜に生じたような
亀裂、剥離の発生を招くことなく、セラミック溶射皮膜
の耐久性が格段に向上していることが明らかである。
第11図(A),(B)に上述の耐久試験後のこの発明
の実施例のセラミック溶射シリンダヘッドにおけるセラ
ミック溶射皮膜の組織写真を、また第12図(A),
(B)に同じく上述の耐久試験後の従来例のセラミック
溶射シリンダヘッドにおけるセラミック溶射皮膜の組織
写真を示す。ここで、第11図(A)、第12図(A)はい
ずれもチャンバー穴の周縁部におけるセラミック溶射皮
膜の端部の状況を示し、また第11図(B)、第12図
(B)はいずれも座ぐり部の端部付近におけるセラミッ
ク溶射皮膜の状況を示す。
の実施例のセラミック溶射シリンダヘッドにおけるセラ
ミック溶射皮膜の組織写真を、また第12図(A),
(B)に同じく上述の耐久試験後の従来例のセラミック
溶射シリンダヘッドにおけるセラミック溶射皮膜の組織
写真を示す。ここで、第11図(A)、第12図(A)はい
ずれもチャンバー穴の周縁部におけるセラミック溶射皮
膜の端部の状況を示し、また第11図(B)、第12図
(B)はいずれも座ぐり部の端部付近におけるセラミッ
ク溶射皮膜の状況を示す。
第12図(A),(B)に示すように従来例のセラミッ
ク溶射シリンダヘッドでは、チャンバー穴周縁部(第12
図(A))および座ぐり部の端部付近(第12図(B))
においてセラミック溶射皮膜に亀裂が生じてしまった
が、この発明の実施例のセラミック溶射シリンダヘッド
では第11図(A),(B)に示すようにいずれの箇所で
もセラミック溶射皮膜に亀裂が生じていないことが判
る。
ク溶射シリンダヘッドでは、チャンバー穴周縁部(第12
図(A))および座ぐり部の端部付近(第12図(B))
においてセラミック溶射皮膜に亀裂が生じてしまった
が、この発明の実施例のセラミック溶射シリンダヘッド
では第11図(A),(B)に示すようにいずれの箇所で
もセラミック溶射皮膜に亀裂が生じていないことが判
る。
なお以上の実施例では、セラミック溶射皮膜としてZr
O2・8%Y2O3を用いた例について示したが、遮熱用のセ
ラミック皮膜として他のセラミック材料を用いた場合に
も同様の効果が得られることはもちろんである。
O2・8%Y2O3を用いた例について示したが、遮熱用のセ
ラミック皮膜として他のセラミック材料を用いた場合に
も同様の効果が得られることはもちろんである。
発明の効果 この発明のセラミック溶射シリンダヘッドにおいて
は、遮熱用のセラミック溶射皮膜が、弁間部の側からチ
ャンバー穴の縁に対し1〜5mmの範囲内の位置まで形成
されており、その位置からチャンバー穴の縁まではシリ
ンダヘッド本体の鋳鉄が露呈しており、しかもセラミッ
ク溶射皮膜のチャンバー穴側の端部表面は鋳鉄製シリン
ダヘッド本体のチンャンバー穴周縁部の露呈部分表面と
実質的に面一とされており、したがってこの発明のセラ
ミック溶射シリンダーヘッドのセラミック溶射皮膜の端
部は、チャンバー穴周縁部の600℃以上もの著しく高温
の部分に接することがなく、したがってその部分で高温
によりセラミックの強度が低下することが防止されると
ともに母材鋳鉄との熱膨張差が著しく大きくなることも
防止され、しかもセラミック溶射皮膜の端部に切欠効果
による応力集中が生じることも防止され、その結果従来
のようにチャンバー穴側のセラミック溶射皮膜の端部に
亀裂が生じて剥離に至ることが有効に防止され、セラミ
ック溶射皮膜の耐久性を従来よりも格段に向上させるこ
とができる。
は、遮熱用のセラミック溶射皮膜が、弁間部の側からチ
ャンバー穴の縁に対し1〜5mmの範囲内の位置まで形成
されており、その位置からチャンバー穴の縁まではシリ
ンダヘッド本体の鋳鉄が露呈しており、しかもセラミッ
ク溶射皮膜のチャンバー穴側の端部表面は鋳鉄製シリン
ダヘッド本体のチンャンバー穴周縁部の露呈部分表面と
実質的に面一とされており、したがってこの発明のセラ
ミック溶射シリンダーヘッドのセラミック溶射皮膜の端
部は、チャンバー穴周縁部の600℃以上もの著しく高温
の部分に接することがなく、したがってその部分で高温
によりセラミックの強度が低下することが防止されると
ともに母材鋳鉄との熱膨張差が著しく大きくなることも
防止され、しかもセラミック溶射皮膜の端部に切欠効果
による応力集中が生じることも防止され、その結果従来
のようにチャンバー穴側のセラミック溶射皮膜の端部に
亀裂が生じて剥離に至ることが有効に防止され、セラミ
ック溶射皮膜の耐久性を従来よりも格段に向上させるこ
とができる。
第1図はこの発明のセラミック溶射シリンダヘッドの一
例の要部を燃焼室側から示す平面図、第2図は第1図の
II−II線における縦断面図、第3図は第2図の部分III
の拡大断面図、第4図は第2図の部分IVの拡大断面図、
第5図は第3図中に示す距離lの値と溶射皮膜直下の温
度との関係を示すグラフ、第6図は第3図中に示す角度
θ1が120゜より小さい場合におけるセラミック溶射後
の状況を示す模式的な拡大断面図、第7図はセラミック
溶射皮膜に対するバーナ熱サイクル試験状況を示す略解
的な斜視図、第8図は実施例における鋳鉄製シリンダヘ
ッド本体の燃焼室側からの平面図、第9図は第8図のIX
−IX線における拡大断面図、第10図は実施例によるセラ
ミック溶射シリンダヘッドの実機耐久試験における試験
条件を示す線図、第11図(A)は実施例によるセラミッ
ク溶射シリンダヘッドにおけるチャンバー穴周縁部の耐
久試験後の状況を示す組織写真、同図(B)は実施例に
よるセラミック溶射シリンダヘッドにおける座ぐり部の
端部付近の耐久試験後の状況を示す組織写真、第12図
(A)は従来例のシリンダヘッドにおけるチャンバー穴
周縁部の耐久試験後の状況を示す組織写真、同図(B)
は従来例のシリンダヘッドにおける座ぐり部の端部付近
の耐久試験後の状況を示す組織写真、第13図は従来のセ
ラミック溶射シリンダヘッドの要部を燃焼室側から示す
平面図、第14図は第13図のXIV−XIV線における縦断面
図、第15図は鋳鉄製シリンダヘッドにおける燃焼室側内
壁面の温度分布を示す略解図、第16図は第15図の部分XV
Iにおける温度分布を拡大して示す略解図、第17図はセ
ラミック溶射皮膜に用いられるZrO2・8%Y2O3の温度と
引張強さとの関係を示すグラフである。 1……シリンダヘッド本体、2……吸気孔、3……排気
孔、4……チャンバー穴、5……セラミック溶射皮膜。
例の要部を燃焼室側から示す平面図、第2図は第1図の
II−II線における縦断面図、第3図は第2図の部分III
の拡大断面図、第4図は第2図の部分IVの拡大断面図、
第5図は第3図中に示す距離lの値と溶射皮膜直下の温
度との関係を示すグラフ、第6図は第3図中に示す角度
θ1が120゜より小さい場合におけるセラミック溶射後
の状況を示す模式的な拡大断面図、第7図はセラミック
溶射皮膜に対するバーナ熱サイクル試験状況を示す略解
的な斜視図、第8図は実施例における鋳鉄製シリンダヘ
ッド本体の燃焼室側からの平面図、第9図は第8図のIX
−IX線における拡大断面図、第10図は実施例によるセラ
ミック溶射シリンダヘッドの実機耐久試験における試験
条件を示す線図、第11図(A)は実施例によるセラミッ
ク溶射シリンダヘッドにおけるチャンバー穴周縁部の耐
久試験後の状況を示す組織写真、同図(B)は実施例に
よるセラミック溶射シリンダヘッドにおける座ぐり部の
端部付近の耐久試験後の状況を示す組織写真、第12図
(A)は従来例のシリンダヘッドにおけるチャンバー穴
周縁部の耐久試験後の状況を示す組織写真、同図(B)
は従来例のシリンダヘッドにおける座ぐり部の端部付近
の耐久試験後の状況を示す組織写真、第13図は従来のセ
ラミック溶射シリンダヘッドの要部を燃焼室側から示す
平面図、第14図は第13図のXIV−XIV線における縦断面
図、第15図は鋳鉄製シリンダヘッドにおける燃焼室側内
壁面の温度分布を示す略解図、第16図は第15図の部分XV
Iにおける温度分布を拡大して示す略解図、第17図はセ
ラミック溶射皮膜に用いられるZrO2・8%Y2O3の温度と
引張強さとの関係を示すグラフである。 1……シリンダヘッド本体、2……吸気孔、3……排気
孔、4……チャンバー穴、5……セラミック溶射皮膜。
Claims (1)
- 【請求項1】副燃焼室を備えたディーゼルエンジン用の
鋳鉄製シリンダヘッドであってかつ内壁面のうち少なく
とも弁間部から副燃焼室のチャンバー穴付近に至る領域
に遮熱用のセラミック溶射皮膜が形成されているセラミ
ック溶射シリンダヘッドにおいて、 前記セラミック溶射皮膜が、弁間部の側から、チャンバ
ー穴の縁に対し1〜5mmの範囲内の位置まで形成され、
その位置からチャンバー穴の縁まではシリンダヘッド本
体の鋳鉄が露呈しており、しかもセラミック溶射皮膜の
チャンバー穴側の端部表面は、鋳鉄製シリンダヘッド本
体のチャンバー穴周縁部の露呈部分表面と実質的に面一
とされていることを特徴とするセラミック溶射シリンダ
ヘッド。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28657388A JP2560457B2 (ja) | 1988-11-12 | 1988-11-12 | セラミック溶射シリンダヘッド |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28657388A JP2560457B2 (ja) | 1988-11-12 | 1988-11-12 | セラミック溶射シリンダヘッド |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH02136553A JPH02136553A (ja) | 1990-05-25 |
JP2560457B2 true JP2560457B2 (ja) | 1996-12-04 |
Family
ID=17706163
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28657388A Expired - Lifetime JP2560457B2 (ja) | 1988-11-12 | 1988-11-12 | セラミック溶射シリンダヘッド |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2560457B2 (ja) |
-
1988
- 1988-11-12 JP JP28657388A patent/JP2560457B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH02136553A (ja) | 1990-05-25 |
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