JP2560405B2 - 高発泡ポリエチレン絶縁電線の製造方法 - Google Patents

高発泡ポリエチレン絶縁電線の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、高発泡度のポリエチレン絶縁電線の製造
方法に関する。
[従来の技術] コンピュータ,電話通信等の高速情報回路において
は、絶縁体に低誘電率の電線が必要とされており、発泡
ポリオレフィン絶縁電線が多用されるようになってきて
いる。
発泡ポリエチレン絶縁電線の製造方法としては、化学
発泡剤を含むポリエチレンを押出機に供給して発泡剤の
分解温度以上の温度をもって溶融混練し、導体外周に押
出被覆する方法が一般に知られている。この方法では、
発泡剤の分解ガスが飛散しやすく、50%以上の高発泡度
を得るには種々の工夫を必要とする。例えば、発泡剤を
含むプラスチックの混和物を架橋し、続いて加熱発泡さ
せる方法が提案されている。この方法によれば70%以上
の高発泡度を容易に実現できる。
[発明が解決しようとする課題] 近年、電線の細径化および情報の高速伝送のため外径
が0.9mmφ以下、発泡度70%以上という細径高発泡絶縁
電線が要求されるようになってきた。
しかし、このような細径の高発泡絶縁電線を実現する
のには次のような問題がある。
まず、発泡倍率が極めて高いため、発泡前の絶縁体の
微小な変形,傷,偏肉,外径変動等が発泡後に拡大され
るため、均一性が著しく損なわれることである。次に、
高発泡体となるため機械的強度が低下し、電線の撚り合
せ,ジャケット被覆の工程で圧縮されて外径が変化して
しまう。この外径の変化は電線のインピーダンスに直接
関係するため、致命的な欠点となる。
この発明は、このような従来技術の欠点を解消し、外
径が0.9mm以下で且つ発泡度が70%以上の発泡絶縁体を
有する極細の超高発泡絶縁電線の製造方法を提供するこ
とを目的とする。
[課題を解決するための手段] この発明では、密度0.924以上の高圧法ポリエチレン1
00重量部に対して、アゾジカルボンアミド0.5〜20重量
部を含有するコンパウンドをアゾジカルボンアミドの分
解温度以下の温度で導体外周に押出被覆してから、電離
性放射線の照射により架橋させ、この後にアゾジカルボ
ンアミドの分解温度以上に加熱して外径が0.9mm以下で
且つ発泡度が70%以上の発泡絶縁体を形成する細径高発
泡ポリエチレン絶縁電線の製造方法である。
[実 施 例] 絶縁体の密度が0.924以上あれば発泡体の機械的強度
が高く電線の撚り合せ,ジャケット被覆工程に受ける圧
縮に耐えることができる。また発泡前に傷や変形を受け
にくい。したがって密度が高い方が好ましい。密度0.92
4未満では最終的に均一な高発泡電線を得ることは困難
となる。このため、高圧法ポリエチレンは高発泡度を得
るために必要な条件である。
ポリエチレンとしては重合法による分類では低圧法ポ
リエチレン,中圧法ポリエチレン,高圧法ポリエチレン
が知られている。これらのポリエチレンについて種々検
討した結果、高圧法ポリエチレンのみが高発泡度が得ら
れた。この理由は明らかではないが発泡剤(アゾジカル
ボンアミド)の分散性に優れていること、架橋構造が均
一に分布すること、押出成形時の外観が優れているこ
と、押出成形時の外径変動が少ないこと等が結果として
高発泡度の電線を与えているものと考えられている。
アゾジカルボンアミドは0.5重量部以下では十分な発
泡が得られず20重量部以上では発泡度のコントロールが
難しくなる。以下、具体的な実施例を比較例とともに説
明する。
実施例1 高圧法ポリエチレン LクスロンM−14(日本石油化
学(株)製 d=0.925,MI=0.25)にアゾジカルボンア
ミドを4重量部添加しバンバリミキサ(神戸製鋼所製)
で温度150℃で6分混練し、均一なコンパウンドとし
た。これを28mm押出機により温度150℃で0.2mmφのスズ
メッキ銅線上に絶縁圧0.06mmtに押出被覆した。押出外
観は良好であった。次に、電子線加速器で2Mradの照射
により絶縁体を架橋し、続いて温度300℃の筒型電気炉
(炉長3m)にこの電線を通過させて発泡絶縁電線とし
た。この発泡電線の外径は0.65mmφの極細でありながら
発泡度は83.7%と極めて高い値であった。また、この電
線を対撚りして40mm押出機により肉厚0.5mmtのポリ塩化
ビニルジャケットを被覆した。発泡絶縁電線の径の変化
はほとんど認められず、問題なく製造が行なえた。
実施例2 高圧法ポリエチレン ペトロセン219(東洋曹達
(株)製 d=0.932,MI=3)にアゾジカルボンアミド
5重量部を添加して、電子線加速器による照射量を4Mra
dとした以外は実施例1と同様にして発泡絶縁電線を製
造した。押出外観も良好で、対撚り,ポリ塩化ビニルジ
ャケット被覆工程も問題なく行ことができた。発泡絶縁
体の外径は0.75mmφと極細でありながら発泡度88%と驚
異的な値を達成した。
実施例3 高圧法ポリエチレン UBEC−180(宇部興産(株)製
d=0.924,MI=0.25)にアゾジカルボンアミド5重量
部を添加して実施例1と同様に発泡絶縁電線を製造し
た。押出外観も良好で、対撚り,ポリ塩化ビニルジャケ
ット被覆工程も問題なく行うことができた。発泡絶縁体
の外径は0.63mmφ,発泡度82.5%であった。
実施例4 高圧法ポリエチレン ミラソンC−260−4P(三井石
油化学(株)製 d=0.932,MI=2.5)にアゾジカルボ
ンアミド4重量部を添加して、電子線加速器による照射
量を4Mradとした以外は実施例1と同様にして発泡絶縁
電線を製造した。この発泡絶縁体の外径は0.7mmφと極
細で発泡度86%と高い値を得ることができた。
比較例1 、中・低圧法ポリエチレン ショウレックスS4002(昭
和電工(株)製 d=0.934,MI=0.30)にアゾジカルボ
ンアミド4重量部を添加して実施例1と同様にして発泡
絶縁電線の製造を試みた。しかし、押出段階で外観が荒
れてしまい均一な発泡電線の製造は困難であった。発泡
度の最大値も68%と低く実用できない。ただし、機械的
強度は十分であった。
比較例2 中・低圧法ポリエチレン ショウレックスC−4309
(昭和電工(株)製 d=0.942,MI=0.9)にアゾジカ
ルボンアミド4重量部を添加して実施例1と同様にして
発泡絶縁電線を製造した。しかし、比較例1と同様に均
一な発泡絶縁電線は得られなかった。発泡度も70%であ
った。
比較例3 中・低圧ポリエチレン リニレックスAF−3720(日本
石油化学(株)製 d=0.935,MI=2.0)にアゾジカル
ボンアミド4重量部を添加して実施例1と同様にして発
泡絶縁電線を製造した。比較的均一な押出外観を得た。
また、機械的強度も十分であったが発泡度は71%と低く
目標に遠く及ばなかった。
比較例4 高圧法ポリエチレン UBEC−150(宇部興産(株)製
d=0.919,M=0.25)を用いて実施例1と同様にして
発泡絶縁電線を製造した。発泡度78%と高発泡度の均一
電線を得たが、撚合わせ,ジャケット被覆により外径が
7%も減少してしまい実用できなかった。
比較例5 中・低圧法ポリエチレン リンレックスAMO710(d=
0.935,MI=0.3)リンレックスAF−3310(d=0.922,MI
=2.0)およびウルトゼックス3520L三井石油化学(株)
製(d=0.935,MI=2.6)の各ポリエチレンについてAF
−3310と3520Lについては電子線を4Mrad照射した以外は
実施例1と同様にしてそれぞれ発泡絶縁電線を製造し
た。しかし、発泡度も65〜72%であり外径の変動も大き
な電線しか得られなかった。
[発明の効果] 以上説明したとおり、この発明によれば、細径で超高
発泡の絶縁電線を製造することが可能となる。そのため
電子機器などての電線の占有体積が著しく減少して機器
をコンパクトにすることができる。また情報信号の伝達
速度が速くなる等多大の利益をもたらすものとなる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大窪 裕寿 茨城県日立市日高町5丁目1番1号 日 立電線株式会社電線研究所内 (72)発明者 浅井 孝康 茨城県日立市日高町5丁目1番1号 日 立電線株式会社日▲高▼工場内 (72)発明者 小田 和秀 茨城県日立市日高町5丁目1番1号 日 立電線株式会社日▲高▼工場内 (56)参考文献 特開 昭48−22559(JP,A) 特開 昭50−10866(JP,A) 特開 昭58−175218(JP,A) 「高子分子材料」,(株)オーム社刊 第1版70ページ

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】密度が0.924以上の高圧法ポリエチレン100
    重量部に対して、アゾジカルボンアミド0.5〜20重量部
    含有するコンパウンドを上記アゾジカルボンアミドの分
    解温度以下の温度で導体外周に押出被覆してから電離性
    放射線の照射により架橋させ、この後にアゾジカルボン
    アミドの分解温度以上に加熱して外径が0.9mm以下で且
    つ発泡度が70%以上の発泡絶縁体を形成することを特徴
    とする高発泡ポリエチレン絶縁電線の製造方法。
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「高子分子材料」,(株)オーム社刊第1版70ページ

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