JP2560221B2 - 紫外線吸収性を有するリグノセルロース膜 - Google Patents

紫外線吸収性を有するリグノセルロース膜

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、例えば紫外線吸収性の機能性包装資材、農
業用資材として有用な膜、具体的には紫外線吸収性を有
するリグノセルロース膜に関するものである。
(発明の背景) ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ
エステル、ポリカーボネートなど、石油を原料とする合
成プラスチックが大量に消費され、自然環境に莫大な量
が放棄され、これらが微生物の働きで分解されないため
に、地球環境の破壊や汚染、野生生物の殺傷などを来し
ており、近年世界的に大きな問題となっていることは良
く知られている。
このため、当面の対策として、このような合成プラス
チックに生分解性の高分子をブレンドすることによっ
て、その生分解性の分が崩壊して成形物としての形がな
くなるプラスチックが開発されているが、これでは目に
見えない形となってもプラスチックそのものの非生分解
性や毒性はそのまま残るため、かえって深刻な環境破壊
をもたらす危険性がある。
また微生物の生産するバイオプラスチックスが、生分
解によって最終的には炭酸ガスと水に分解されるため、
環境を破壊する心配がなく、理想的なプラスチックとし
ての性質を有しており、近年、その研究開発が意欲的に
進められている。しかしかかるものも、プラスチックと
しての性能とコスト及び量的な供給の面で実用化はまだ
かなり先のことと考えられる。
これらに対し、セルロースは地球上でもっとも大量に
存在し、再生産可能であり、しかも生物分解するもので
あるため、環境汚染や環境破壊の問題を起こさない物質
であるということができる。このセルロースを原料とし
て製造されるセロファンは、当初上記のような長所を意
識して考案されたものではないが、透明で美しい光沢が
あり、強度も比較的大きいことから、包装材料、セロフ
ァンテープなどに広く活用されている。
このセロファンは、近年では合成プラスチックに押さ
れてその需要が低下してきているが、上記のような合成
プラスチックによる環境破壊等が世界的に問題となって
きた現在では、このような生分解性のある天然高分子材
料の良さがあらためて見直されてきている。
(従来の技術) ところで、合成プラスチック等のフィルムが大量に使
用されている用途である包装材料については、例えば加
工食品の需要増加や拡大、食品流通の合理化、食品鮮度
の長期保存等の必要性の高まりから、機能性包装材料に
対する期待が増大し、例えば紫外線吸収性を付与するこ
とが考えられている。
しかし一方において、例えば食品包装材料の場合は、
消費者側から見れば中身の見えることが望まれるので、
例えば上記紫外線吸収性等の光から食品鮮度を守るとい
う要求を満足し、かつ中身が見えるという二律背反的な
要求を同時に満足するために、合成プラスチックフィル
ムに紫外線吸収剤を練り込むような技術が開発されてい
る。
しかしこのような紫外線吸収剤を含有する包装フィル
ムを使用した場合には、それの食品への転入のおそれが
否定できないことから、このような用途で使用できる紫
外線吸収剤としては、厚生省434号、FDA認可済の極少数
のものに限定され、機能性フィルムは高価なものとなっ
ている。
(発明が解決しようとする課題) 本発明者等は、以上のような包装用材料等の膜材料、
特に食品包装用材料において求められている現状と従来
技術に鑑み、自然界の微生物による生分解性を有する天
然物原料に基づいて製造することができ、しかも特に食
品包装用材料として有用な紫外線吸収性を有する機能性
フィルムであって、量的にも大量の需要に対応すること
ができる新規な機能性フィルムの開発につき鋭意研究を
重ねた。
本発明者等は、まず紫外線吸収性を有するリグニンと
いう天然資源に注目した。
従来のセロファンは、純度の高いα−セルロース(溶
解パルプ)を原料として、いわゆるビスコース法により
製造されている。その他、セルロース溶媒を用いて再生
セルロース膜を製造する方法も検討され、例えば銅アン
モニア法は工業的にも実用化された方法である。また近
年これに替わる方法として種々のセルロース溶媒法が検
討されてきたが、溶媒が高価である、回収が困難であ
る、有毒である、爆発性がある等々の理由でいずれも実
用化されるには至っていない。現在実用化されているビ
スコース法にしても銅アンモニア法にしても、原料とし
て用いる木材パルプに種々の不純物が含まれていること
は、セロファンの製造工程上好ましくなく、また得られ
た製品の機械的強度が低下するために、出来るだけ純度
の高いα−セルロース(溶解パルプ)を用いている。
本発明者が注目したリグニンは、紫外線吸収性を有す
ることが知られ、上記セロファンの原料である木材パル
プにこのリグニンが含有されているのに、従来、このリ
グニンを用いて紫外線吸収性の機能膜についての提案が
全くされていないのは一見奇異に見られるが、上述した
紫外線吸収性の機能性膜が必要とされる要望は比較的新
しいことや、リグニンを原料として、包装材料として必
要な機械的強度を有した透明膜を製造することは困難で
あることによる。例えば上述したセロファンにおいて
も、製品に必要な機械的強度を確保するためや、製造時
においてセルロースの溶解性を低下させる不純物をでき
るだけ除く必要性から、原料として高純度のα−セルロ
ースが用いられている。
しかし、リグニンはフェニルプロパンを基本単位構造
とする重合体であることから、セルロースにはない性質
や、機能、例えばセルロースが親水性で紫外線を吸収し
ないのに対し、リグニンは疎水性で紫外線を吸収する機
能を有する。したがって、リグニンを含有する膜を製造
することができれば、普通のセロファンには期待できな
い用途、すなわち紫外線吸収材料であり、特に紫外線吸
収機能食品包装材料、農業用シート等への適用に有益で
ある。
本発明はこのような観点からリグニンを原料として用
いて紫外線吸収性の機能膜を製造し、提供することを目
的として鋭意研究を進め、セルロースとリグニンを原料
として用いることにより、かかる有用な紫外線吸収性の
機能膜を製造できることを見い出し本発明をなすに至っ
たものである。
本発明で提供される膜は、従来にない新規なものであ
り、その膜名称としては未だ確定したものではないが、
本発明者はこの膜を構成する物質にちなんでこれを「リ
グノセルロース膜、あるいはリグノセロファン」と称す
るものとしたので、以下本明細書においては「リグノセ
ルロース膜」と称する。
(課題を解決するための手段及び作用) 本発明はリグニンとセルロースの相互溶解物を固化製
膜した紫外線吸収性を有するリグノセルロース膜である
ことを特徴の一つとし、このリグノセルロース膜は、特
に限定されるものではないが食品包装用材料、農業用シ
ートとして有用である。
本発明の紫外線吸収性を有するリグノセルロース膜
は、セルロースとリグニンを、紫外線吸収性、及び例え
ば包装用材料として必要な機械的強度を満足する範囲
で、所定の含有率一般的にはリグノセルロース膜に対し
0.1wt%〜50wt%の範囲で含有することができるが、紫
外線吸収性は、リグニンの含有率と膜の厚みをパラメー
タとするものであるため、遮断を目的とする光の波長に
応じリグニンの含有率を決めることができる。具体的に
は、例えば膜厚を11μmとした場合を基準として言え
ば、例えば光の波長200nm〜300nmの範囲で1%以下であ
りかつ400nmで40%以下の光透過率をもつ紫外線吸収リ
グノセルロース膜としては、リグノセルロース膜に対し
て3wt%〜6wt%のリグニンを含有させたものが適当であ
り、光の波長200nm〜350nmの範囲で1%以下でありかつ
400nmで15%以下の光透過率をもつ紫外線吸収リグノセ
ルロース膜としては、リグノセルロース膜に対して6wt
%〜9wt%のリグニンを含有させたものが適当であり、
更に、光の波長200nm〜400nmの範囲で0%の光透過率を
もつ紫外線吸収リグノセルロース膜としては、リグノセ
ルロース膜に対して9wt%〜20wt%のリグニンを含有さ
せたものが適当である。
本発明の紫外吸収性を有するリグノセルロース膜は、
包装用材料等として十分な強度を有するという機械的特
性、紫外線領域の光を吸収するという光学的特性、微生
物によって分解されるという生化学的特性を有する。
本発明のリグノセルロース膜は、代表的には例えば次
のようにして製造することができる。例えば広葉樹材チ
ップ(シラカバ、ブナなどのチップ)を蒸煮・爆砕(水
蒸気圧10〜30kg/cm2、蒸煮時間2〜20分)し、リファイ
ナー等で解繊するか、爆砕することによって繊維化した
後、その繊維を冷水または温水(10〜90℃)で抽出し、
ヘミセルロース由来の糖類を分離する。さらに、抽出残
渣を脱水後、稀アルカリ水溶液(例えば0.5〜3%の水
酸化ナトリウム水溶液)または有機溶媒(例えばメタノ
ール)で比較的低分子の溶解性のリグニンを抽出する
と、セルロースと高分子リグニンからなるリグノセルロ
ース繊維が残る。次にこのリグノセルロース繊維を濃厚
アルカリ水溶液(例えば10〜40%の水酸化ナトリウム水
溶液)に浸漬(10〜30℃にて15分〜1日)後、リグノセ
ルロース繊維を細かく砕いた後、これを反応容器に入
れ、二硫化炭素を加えて密栓し、よく振とうしながら、
反応温度10〜30℃、6時間〜2日間キサントゲン化す
る。未反応の二硫化炭素を減圧で除いた後、ゼリー化し
たキサントゲン化リグノセルロースを水または稀アルカ
リ水溶液(0.5〜2%水酸化ナトリウム水溶液)に加
え、乳鉢またはスーパーディスパーザーなどの湿式粉砕
機で強力に粉砕して溶解を促進することによりビスコー
ス溶液を調整する。次に必要であればこのビスコース溶
液を加圧ろ過または遠心分離機にかけ(例えば8000rpm
で10〜20分)不溶部を分離して除去する。かかる方法で
得られたビスコース液を必要であればビスコースの5〜
10倍量のメタノールに投入してビスコースを沈澱して精
製後、水に再溶解して精製ビスコースを得る。これ以後
の凝固・再生工程は従来のセロファンの連続製造工程を
適用することができる。
流延法による小規模な製造法では次の方法でリグノセ
ルロース膜を製造できる。即ちビスコース溶液を所定の
濃度に調整し(0.5〜3%)、水平に設置した樹脂板
(例えばアクリル樹脂、塩化ビニル樹脂などで、寸法は
任意だが、通常、縦15〜30cm、横15〜30cm、厚み1cm)
に所定量(樹脂板の寸法とビスコース溶液の濃度を考慮
して、任意に設定する。例えば膜厚が約10μmでは、ビ
スコース溶液の濃度が0.5%、樹脂板の寸法が20×20×1
cmの場合は、約150gのビスコース溶液を)流延し、低温
で除湿乾燥(温度10〜40℃、湿度5〜65%の範囲で、望
ましくは一定温度一定湿度で、例えば温度20℃、湿度30
%)し、水分を蒸発乾固したリグノセルロースザンテー
ト膜を形成後、硫酸を含む有機溶媒、例えば10%の硫酸
を含むメタノール溶液で、そのリグノセルロースザンテ
ート膜を処理してリグノセルロース膜に再生し、水洗、
乾燥後、樹脂板から剥離する。
以上の工程で遠心分離を行わないビスコース溶液を用
いた場合は、セルロースとリグニンが均一に相互溶解し
固化した中に、不溶性リグニン微粒子が分散した状態の
不透明リグノセルロース膜が得られる。一方、ビスコー
ス溶液を遠心分離し、溶液部を用いた場合は、透明のリ
グノセルロース膜が得られる。
本発明において、セルロースとリグニンを相互溶解し
て、固化製膜してリグノセロファンを得る方法は、ビス
コース法に限らない。即ち有機系のセルロース溶剤、例
えばアミンオキシド系溶剤、塩化リチウム系溶剤、アル
デヒド系溶剤、SO2−アミン系溶剤、ニトロシル化合物
系溶剤などにリグノセルロースを溶解し、固化製膜する
ことができる。
本発明のリグノセルロース膜は、その製造工程におい
て他の材料とのブレンドや積層などの手法を使って複合
化リグノセルロース膜とすることが可能である。ここで
複合化する他の材料としては、例えば水ガラスなどの無
機材料、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールな
どの有機高分子材料、キチン・キトサンなどバイオポリ
マー等、広範囲の材料を用いることができる。
本発明よりなるリグノセルロース膜は、既製のセロフ
ァンの用途、例えば包装材料に使用されることは勿論の
こと、既製のセロファンと異なる紫外線を吸収する機能
を持つため、包装の内容物を紫外線から保護するための
紫外線吸収性の包装材料として用いることができ、しか
もリグニンが天然高分子の紫外線吸収剤であるために人
体に対して安全であり、使用後に廃棄されても、生物分
解性であるため環境を破壊することがない機能性包装材
料を提供できる。
(実 施 例) 以下本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明が
これらの実施例に限定されるものではない。
実施例 1 シラカバチップを15kg/cm2のスチームで15分間処理
し、温水およびメタノールで逐次抽出した乾燥残渣繊維
(10g)を25℃にて、20%水酸化ナトリウム水溶液(20g
の水酸化ナトリウムを水に溶解し、全量100gとしたも
の)に浸漬して1時間静置した後、このアルカリ化繊維
中の余分の水酸化ナトリウム水溶液を減圧濾過で除い
て、もとの乾燥繊維重量の4倍量に搾り、繊維を細かく
砕いて、これを広口瓶(200ml)に入れ、更に二硫化炭
素(5ml)を加えて栓をし、よく振とうして25℃にて20
時間キサントゲン化した。
次に未反応の二硫化炭素を減圧留去(30分)して、0.
1N−NaOH(200ml)を加えて乳鉢を用いて1時間粉砕
し、さらに水を加えて全量1kgの溶液とし、ポリアクリ
ル樹脂板(縦15cm×横15cm)に流延し(200g)、風乾し
て樹脂板上にキサントゲン化リグノセルロース膜を形成
せしめた。この膜を10%の硫酸を含むメタノールで処理
し、水でよく洗浄、風乾後、樹脂板から剥し、リグノセ
ルロース膜(膜厚55μm)を得た。本実施例の出発原料
及びリグノセルロース膜の化学組成を表1に示す 実施例 2 実施例1で用いた乾燥残渣繊維(10g)を20℃にて17.
5%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して30分間静置後、
減圧濾過で36gに搾り、繊維を細かく砕いて、これを広
口瓶(200ml)に入れ、20℃にて24時間老成後、二硫化
炭素(5ml)を加えて栓をし、20℃にて24時間キサント
ゲン化した。
次に未反応の二硫化炭素を減圧留去して(30分)、1
%水酸化ナトリウム水溶液(500ml)を加えて乳鉢を用
いて粉砕しながらキサントゲン化リグノセルロースを溶
解してリグノセルロースビスコース液を調製した。この
ビスコース液を遠心分離機に掛けて溶解部分と不溶部分
を分離した。その溶解部分をメタノール(200ml)に投
入してキサントゲン化リグノセルロースを沈澱させ、そ
の沈澱を遠心分離機で分離回収し、水に溶解して全量1k
gの溶液を調製した。この溶液(850g)を7枚のアクリ
ル樹脂板(縦20cm、横20cm、厚み1cm)に流延し、温度2
0℃、湿度65%にて除湿乾燥し(2日間)、10%の硫酸
を含むメタノール液(100ml)で処理し、水洗して、除
湿乾燥(20℃、65%)して7枚の透明なリグノセルロー
ス膜(膜厚11μm)を得た(収率57%対原料)。
実施例 3 実施例1で用いた乾燥残渣繊維(9.25g)を温度20℃
にて、17.5%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して30分間
静置後、減圧濾過で35gに搾り、繊維を細かく砕いてこ
れを広口瓶(200ml)に入れ、老成をせずに直ちに二硫
化炭素(5ml)を加えて栓をし、温度20℃、45時間キサ
ントゲン化した。次に未反応の二硫化炭素を減圧留去
(60分)、1%水酸化ナトリウム水溶液(500ml)に乳
鉢1で時間粉砕しながら溶解した。この溶液を遠心分離
機に掛けて、溶解部分と不溶部分を分離した。溶解部分
をメタノール(2000ml)に投入してキサントゲン化リグ
ノセルロースを沈澱させ、その沈澱を遠心分離で回収し
て、水に溶解し全量1kgのリグノセルロースビスコース
液を調製した。この溶液(850g)を7枚のアクリル樹脂
板(縦20cm、横20cm、厚み1cm)に流延し、温度20℃、
湿度65%で除湿乾燥(2日間)、キサントゲン化リグノ
セルロース膜を樹脂板上に形成させ、この膜を10%の硫
酸を含むメタノール溶液(50ml)で処理し、水洗、除湿
乾燥して7枚の透明なリグノセルロース膜(膜厚10μ
m)を得た(収率52%対原料)。
実施例 4 実施例1で用いた乾燥残渣繊維(9.25g)を温度20℃
にて、17.5%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して30分間
静置後、減圧濾過で35gに搾り、繊維を細かく砕いてこ
れを広口瓶(200ml)に入れ、老成をせずに直ちに二硫
化炭素(5ml)を加えて栓をし、温度20℃、18時間キサ
ントゲン化した。次に未反応の二硫化炭素を減圧留去
(30分)、1%水酸化ナトリウム水溶液(500ml)に2
分間スーパーディスパーザーで粉砕して溶解し、遠心分
離して溶解部分と不溶部分を分離した。溶解部分をメタ
ノール(2000ml)に投入してキサントゲン化リグノセル
ロースを沈澱させ、その沈澱を遠心分離で回収して、水
に溶解し全量1kgのリグノセルロースビスコース液を調
製した。この溶液(850g)を3枚のアクリル樹脂板(縦
30cm、横30cm、厚み1cm)を流延し、温度30℃、湿度35
%で低温除湿乾燥(15時間)、キサントゲン化リグノセ
ルロース膜を樹脂板上に形成させ、この膜を10%の硫酸
を含むメタノール溶液(100ml)で処理し、水洗、低温
除湿乾燥して3枚の透明なリグノセルロース膜(膜厚11
μm)を得た(収率60%対原料)。
同様にして膜厚3μmのリグノセルロース膜を得た。
実施例 5 実施例1で用いた乾燥残渣繊維(9.25g)を温度20℃
にて、17.5%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して30分間
静置後、減圧濾過で35gに搾り、繊維を細かく砕いてこ
れを広口瓶(200ml)に入れ、老成をせずに直ちに二硫
化炭素(5ml)を加えて栓をし、温度20℃、18時間キサ
ントゲン化した。次に未反応の二硫化炭素を減圧留去
(30分)、1%水酸化ナトリウム水溶液(500ml)に2
分間スーパーディスパーザーで粉砕して溶解し、更に1
%水酸化ナトリウム水溶液を加えて全量1kgのリグノセ
ルロースビスコース液を調製した。この溶液(850g)を
3枚のアクリル樹脂板(縦30cm、横30cm、厚み1cm)に
流延し、温度30℃、湿度35%で低温除湿乾燥(15時
間)、キサントゲン化リグノセルロース膜を樹脂板上に
形成させ、この膜を10%の硫酸を含むメタノール溶液
(100ml)で処理し、水洗、低温除湿乾燥して3枚のリ
グノセルロース膜(膜厚20μm)を得た(収率80%対原
料)。
実施例2から5のリグノセルロース膜の性質を表2に
示す 引張り強さ試験はJIS Z−1521によるリグニンの定量
はクラーソン(Klason)法による。
実施例 6 実施例2,4で製造したリグノセルロース膜の紫外線透
過率のスペクトルを紫外可視分光光度計((株)島津製
作所製)で測定した。その結果を第1図及び第2図に示
した。また比較のために既存のセロファンの光透過スペ
クトルを第3図に示した。
実施例 7 実施例4で製造したリグノセルース膜と塩化ビニリデ
ンフィルムの2層フィルム、緑茶(50g)を一つは含気
包装法、他方は窒素ガス置換包装法でヒートシールで密
封し、常温で25日間太陽光を照射した。包装内の香気成
分をガスクロマトグラフィーで分析した。対照(コント
ロール)として、塩化ビニルデンを2枚重ねたフィルム
による内装について同様にテストを行った。その結果表
3に示すように不快臭気の原因となる1−ペンテン−3
−オールとボボライドの生成はリグノセルロース膜包装
では含気包装法、窒素ガス置換包装法ともに顕著に少な
く、光による茶の変質が少ないことが分かった。
(発明の効果) 本発明によれば、高機能性膜素材として優れた性質を
持つリグノセルロース膜を容易に低コストで提供でき、
既成のセロファンの用途、例えば包装材料に使用できる
ことは勿論、さらに本発明のリグノセルロース膜は既成
のセロファンと異なり紫外線を吸収する機能を持つた
め、包装の内容物を紫外線から保護するための紫外線カ
ット包装材料として用いることができるという効果があ
る。
またリグニンが天然高分子の紫外線吸収剤であるため
に人体に対して安全であり、使用後に廃棄されても生物
分解されるので自然環境を破壊することのない機能性包
装材料を提供できるという効果があり、従って、近年国
際的な課題となっている地球環境保全に対して貢献する
ことができる。
更にまたリグノセルロースがこの分野に利用されるこ
とによって、森林資源の高度利用にも貢献できるという
効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例2,4のリグノセルロース膜の紫外線透過
率のスペクトルを紫外線分光光度計で測定した結果を示
した図、第2図は実施例4の厚み3μmの膜の紫外線透
過率のスペクトルを同様に示した図、第3図は既存のセ
ロファンの光透過スペクトル(膜厚20μm)を示した図
である。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】リグニンとセルロースの相互溶解物を固化
    製膜したリグノセルロース膜であって、この膜のリグニ
    ン含有率を9〜20wt%として、200nm〜400nmの範囲の波
    長光の光透過率を0%としたことを特徴とする紫外線吸
    収性を有するリグノセルロース膜。
  2. 【請求項2】リグニンとセルロースの相互溶解物を固化
    製膜したリグノセルロース膜であって、この膜のリグニ
    ン含有率を6〜9wt%として、200nm〜350nmの範囲の波
    長光の光透過率が1%以下、かつ波長400nmの光の光透
    過率を14%以下としたことを特徴とする紫外線吸収性を
    有するリグノセルロース膜。
  3. 【請求項3】リグニンとセルロースの相互溶解物を固化
    製膜したリグノセルロース膜であって、この膜のリグニ
    ン含有率を3〜6wt%として、200nm〜350nmの範囲の波
    長光の光透過率が1%以下、かつ波長400nmの光の光透
    過率を40%以下としたことを特徴とする紫外線吸収性を
    有するリグノセルロース膜。
  4. 【請求項4】請求項1乃至3のいずれか一項に記載の膜
    よりなり、紫外線、可視光線、酸素に暴露されることに
    よって変質する性質のある食品を包装するために用いら
    れることを特徴とするリグノセルロース膜。
JP2138916A 1990-05-29 1990-05-29 紫外線吸収性を有するリグノセルロース膜 Expired - Lifetime JP2560221B2 (ja)

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