JPH09241615A - 紫外線吸収性を有する組成物とその製造法 - Google Patents

紫外線吸収性を有する組成物とその製造法

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JPH09241615A
JPH09241615A JP8207496A JP8207496A JPH09241615A JP H09241615 A JPH09241615 A JP H09241615A JP 8207496 A JP8207496 A JP 8207496A JP 8207496 A JP8207496 A JP 8207496A JP H09241615 A JPH09241615 A JP H09241615A
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lignin
organic solvent
cellulose derivative
film
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JP8207496A
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Yasuhiko Hirabayashi
靖彦 平林
Motomasa Kouga
元正 高賀
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RINYACHO SHINRIN SOGO KENKYUSHO
SHOKUBUTSU EKOROJII KENKYUSHO KK
Original Assignee
RINYACHO SHINRIN SOGO KENKYUSHO
SHOKUBUTSU EKOROJII KENKYUSHO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】フィルムや成型物に適用できる紫外線吸収性を
有する組成物とその製造法を提供する。特に、フィルム
の場合には、既存のセロファン製造プロセスに容易に応
用可能で工業的な量産を可能とする紫外線吸収性を有す
る組成物とその製造法を提供する。 【解決手段】本組成物は、有機溶媒溶解性のリグニンの
溶解物とセルロース誘導体の溶解物とを混合・固化して
成る。また、その製造法は、有機溶媒溶解性のリグニン
と有機溶媒溶解性のセルロース誘導体とを有機溶媒を助
剤として混合した後、上記溶媒を蒸発させて固化させる
ものである。いずれも上記組成物にはフィルム膜と成型
物とが含まれる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紫外線を吸収する
組成物とその製造法に関するものである。
【0002】
【従来技術】1985年に南極上空のオゾン層にオゾン
ホールが発見されて以来、紫外線による悪影響を回避す
る種々の技術が開発されている。酸化チタンの粉末を混
入した紫外線反射材はその一例であるが、出願人は、先
に特開平4−33986号において、生分解性を有する
天然高分子材料を利用した紫外線吸収材としてのリグノ
セルロース膜を提案した。
【0003】この発明は、リグニンとセルロースの相互
溶解物を固化製膜して成る。具体的には、木材チップを
蒸着・爆砕して繊維化させ、水抽出とアルカリあるいは
有機酸抽出とを行ってリグノセルロース繊維を得た後、
これを例えばビスコース法によって精製ビスコースと
し、従来のセロファンの連続製造工程を経て紫外線吸収
性を有する機能膜とするものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記リグノ
セルロース膜は、セルロースの溶解効率が悪いために製
膜の生成効率が低い。また、リグノセルロース膜は、製
造に際し、既存のセロファン製造工程にのりにくく工業
化が困難である。更には、フィルム膜として食品の包装
資材分野には活用できるものの、成型物一般にまでその
適用を図ることはできず、活用範囲に限界を生じるもの
であった。
【0005】本発明の目的は、こうした従来技術の抱え
る問題点に鑑み、フィルムにもあるいは成型物にも適用
でき、しかもフィルムの場合には既存のセロファン製造
プロセスに容易に応用でき、工業的な量産を可能とす
る、エコロジカルな紫外線吸収性を有する組成物とその
製造法を提供することにある。
【0006】
【課題を達成するための手段】本発明の特徴は、上記し
た目的を達成するために次の構成を備えた点にある。す
なわち、本発明に係る組成物は、有機溶媒溶解性のリグ
ニンの溶解物とセルロース誘導体の溶解物とを混合・固
化して成る。
【0007】本発明に係る組成物の製造法は、有機溶媒
溶解性のリグニンと有機溶媒溶解性のセルロース誘導体
とを有機溶媒を助剤として混合した後、上記溶媒を蒸発
させて固化させるものである。いずれも上記組成物には
フィルム膜と成型物とが含まれる。
【0008】有機溶媒溶解性のリグニンとして、例えば
有機酸蒸解リグニン、蒸煮・爆砕リグニン、オルガノソ
ルブリグニンなどがある。
【0009】有機酸蒸解リグニンは、木材チップを塩酸
を含む有機酸で蒸解パルプ化するときに抽出されるリグ
ニンで、比較的に小規模のプラントで製造できる。ま
た、原料として、木材繊維が切断されて製紙には不向き
となった木粉を使用できるので、杉や桧の間伐材を有効
利用できる。
【0010】蒸煮・爆砕リグニンは、木材チップを高温
高圧の水蒸気で数分間蒸煮し、高温高圧を保ったまま大
気圧中に一気に放出することによって繊維状にパルプ化
した蒸煮・爆砕パルプから抽出される。蒸煮・爆砕時
に、木材チップは物理的に繊維状に崩壊するばかりでな
く、成分(ヘミセルロース、リグニン、セルロース)も
化学的に分解される。したがって、ヘミセルロースは水
溶性になって、蒸煮・爆砕パルプから水で容易に抽出除
去される。リグニンは希アルカリやアセトン、メタノー
ル、ジオキサンなどの有機溶媒によって蒸煮・爆砕パル
プより抽出される。杉や桧などの針葉樹のリグニンは蒸
煮・爆砕によって崩壊しにくく、一方、広葉樹のリグニ
ンは蒸煮・爆砕によって崩壊し易い。なお、蒸煮・爆砕
によってセルロースを取り囲んでいたヘミセルロースと
リグニンとが崩壊するため、セルロースは消化性が向上
して牛などの粗飼料としての利用が可能となる。
【0011】オルガノソルブリグニンは、エタノールや
フェノールに少量の水や触媒を加えて高温高圧環境下で
木材チップを蒸煮したときに抽出されるリグニンであ
る。
【0012】セルロース誘導体としては有機酸エステル
系のセルロース誘導体が用いられる。有機酸をセルロー
スに結合させたもののうち、特に酢酸セルロース系プラ
スチックが望ましい。酢酸セルロース系プラスチックは
耐衝撃性、透明性、耐油性に優れ、着色も自由に行える
利点がある。具体的には二酢酸セルロース、三酢酸セル
ロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロ
ースなどが有効である。
【0013】有機溶媒溶解性リグニンとセルロース誘導
体によって形成される組成物には、前記先行発明のフィ
ルム膜に限られず成型物も含まれる。フィルム膜の場合
には、有機溶媒溶解性リグニンの溶解液とセルロース誘
導体との混合液をガラスあるいはステンレス板等の板材
の表面に塗布して固化乾燥させた後、剥離するか、ある
いは上記混合液をセロファン等のフィルム状シート材の
表面に塗布して固化乾燥させることによって得られる。
また、成型物の場合には、セルロース誘導体に可塑剤等
の添加剤と溶媒を加えて攪拌し、これに有機溶媒溶解性
のリグニンを有機溶媒に溶かした溶液を混合した後、上
記溶媒を蒸発させることによって得られる。
【0014】フィルム膜の場合に、セルロース誘導体に
添加される有機溶媒溶解性のリグニンの量は、紫外線吸
収効果が必要十分発揮され、フィルムの透明性や色が損
なわれない範囲で適宜選択される。通常は、セルロース
誘導体100重量部に対して有機溶媒溶解性リグニンを
0.1〜10重量部、望ましくは0.5〜3.0重量部
に調節するのが良い。0.1以下の場合には十分な紫外
線吸収効果が期待できず、また10重量部以上では膜の
機械的強度が低下する。
【0015】フィルム膜を製造するには、具体的には例
えば、先ず、木粉を有機酸処理してリグニンを抽出す
る。次いで、この有機溶媒溶解性リグニンと、例えば二
酢酸セルロースとを有機溶媒を助剤として混合する。そ
して、キャスト法により、助剤として使用した有機溶媒
を蒸発させ、得られたリグニン・酢酸セルロースを現行
のビスコース法等のセロファン製造プロセスにしたがっ
てフィルム膜とする。フィルム膜は、上記したようにプ
レート材の表面に剥離可能な状態で形成することも、あ
るいはセロファン等の生分解性のフィルムにコーティン
グすることにより形成することもできる。例えば、セロ
ファンに防湿樹脂をコーティングする既存の防湿セロフ
ァン製造工程を利用する場合、キャスト法によって助剤
として使用した有機溶媒を蒸発させ、セロファン等の生
分解性フィルムにコーティングして形成される。
【0016】成型物の場合、セルロース誘導体に、通
常、熱安定化剤、抗酸化剤、可塑剤、紫外線阻止剤、着
色剤などの添加剤を添加する。有機溶媒溶解性のリグニ
ンは抗酸化剤、可塑剤あるいは紫外線阻止剤としての機
能をも有する。したがって、セルロース誘導体と有機溶
媒溶解性のリグニンの混合比率は、成型物の物性や成型
方法あるいは紫外線吸収能などを考慮して適宜の比率が
選択される。成型にあたっては圧縮成型や射出成型ある
いは押出し成型など一般的な合成樹脂成型の成型法がそ
のまま適用される。圧縮成型では、例えば、酢酸プロピ
オン酸セルロースに可塑剤と溶剤とを加え、ニーダーで
攪拌して柔らかなあめ状にしたものに、溶剤に高濃度に
溶かした蒸煮・爆砕リグニンを添加し、溶剤を蒸発して
ペレットを形成する。そして、このペレットを圧縮成型
機にかけてシートを製造する。また、射出成型の場合に
は、例えば酢酸酪酸セルロースに可塑剤と溶剤とを加
え、ニーダーで攪拌して柔らかいあめ状にしたものに、
溶剤に酪酸蒸解リグニンを高濃度に溶かしたものを添加
し、更にニーダーで攪拌して溶剤を蒸発させペレットを
形成する。そして、このペレットを射出成型機にかけて
曲面成型物を製造する。
【0017】
【実施の最良の形態】以下、本発明の具体的な実施例を
説明する。 実施例1 スギ木粉(20〜40メッシュ)と95w/w%酢酸
(0.1%塩酸含有)とを22重量部対200重量部の
割合で混合し、この混合物を115℃で60分間還流加
熱した後、濾過し、更に酢酸100重量部で2回洗浄濾
過を繰り返した。その後、全濾液を合体し、水中に投
じ、水中の沈澱物を遠心分離で集め、水洗、乾固して3
部のリグニンを得た。次に、アセトン100重量部にこ
の酢酸蒸解スギリグニン0.3重量部と二酢酸セルロー
ス10重量部とを溶解した溶液をステンレス板にキャス
トし、アセトン溶媒を蒸発してステンレス板上に乾燥フ
ィルムを形成した。この乾燥フィルムをステンレス板か
ら剥離したところ、酢酸蒸解スギリグニンを含有する透
明な酢酸セルロースフィルム膜を得ることができた。
【0018】実施例2 ブナ木粉(20〜40メッシュ)110重量部と95w
/w%酢酸(0.1%塩酸含有)500重量部の混合物
を110℃で225分間還流加熱した後、濾過し、更に
90%酢酸1000重量部で2回洗浄濾過を繰り返し
た。この洗浄濾過後、全濾液を合体し、ロータリーエバ
ポレーターで約200重量部に濃縮した。この濃縮液を
水中に投じ、リグニンを沈澱させた。水中の沈澱物(リ
グニン)を濾別し、水洗、乾固して9.7重量部のリグ
ニンを得た。次いで、アセトン100重量部に上記操作
によって得た酢酸蒸解ブナリグニン0.3重量部と二酢
酸セルロース10重量部とを溶解した溶液をステンレス
板にキャストし、アセトン溶媒を蒸発させてステンレス
板上に乾燥フィルムを形成させた。その後、乾燥フィル
ムをステンレス板から剥離したところ、酢酸蒸解ブナリ
グニンを含有する透明な酢酸セルロースフィルム膜を得
ることができた。
【0019】実施例3 スギ木粉(20〜40メッシュ)22重量部と95w/
w%プロピオン酸(0.1%塩酸含有)200重量部の
混合物を115℃で60分間還流加熱した後、濾過し、
更にプロピオン酸100重量部で2回洗浄濾過を繰り返
した。この洗浄濾過後、全濾液を合体し、水中に投じ
た。水中の沈澱物を遠心分離で集め、水洗、乾固して4
重量部のリグニンを得た。次いで、アセトン100重量
部に上記操作によって得たプロピオン酸蒸解スギリグニ
ン0.3重量部と二酢酸セルロース10重量部とを溶解
した溶液をステンレス板にキャストし、アセトン溶媒を
蒸発させてステンレス板上に乾燥フィルムを形成させ
た。その後、乾燥フィルムをステンレス板から剥離した
ところ、プロピオン酸蒸解スギリグニンを含有する透明
な酢酸セルロースフィルム膜を得ることができた。
【0020】実施例4 ブナ木粉(20〜40メッシュ)22重量部と95w/
w%プロピオン酸(0.1%塩酸含有)200重量部の
混合物を115℃で90分間還流加熱した後、濾過し、
更にプロピオン酸100重量部で2回洗浄濾過を繰り返
した。その後、全濾液を合体し、水中に投じた。水中の
沈澱物を遠心分離で集め、水洗、乾固して4重量部のリ
グニンを得た。次いで、アセトン100重量部に上記操
作によって得たプロピオン酸蒸解ブナリグニン0.3重
量部と二酢酸セルロース10重量部とを溶解した溶液を
ステンレス板にキャストし、アセトン溶媒を蒸発させて
ステンレス板上に乾燥フィルムを形成させた。乾燥フィ
ルムをステンレス板から剥離してプロピオン酸蒸解ブナ
リグニンを含有する透明な酢酸セルロースフィルム膜を
得る。
【0021】実施例5 スギ木粉(20〜40メッシュ)22重量部と95w/
w%酢酸(0.1%塩酸含有)200重量部の混合物を
115℃で90分間還流加熱した後、濾過し、更に酢酸
100重量部で2回洗浄濾過を繰り返した。洗浄濾過
後、全濾液を合体し、水中に投じた。水中の沈澱物を遠
心分離で集め、水洗、乾固して3.7重量部のリグニン
を得た。上記操作により得たスギ酢酸蒸解リグニン3重
量部を100重量部のアセトンに溶解した溶液と、二酢
酸セルロース100重量部を900重量部のアセトンに
溶解した溶液とを合体、混合し均一な溶液とした。この
溶液をセロファンにコーティングし、アセトン溶媒を蒸
発させたところ、セロファン上にスギ酢酸蒸解リグニン
を含有する二酢酸セルロースの被膜が形成された。
【0022】実施例6 ブナ木粉(20〜40メッシュ)110重量部と95w
/w%酢酸(0.1%塩酸含有)500重量部の混合物
を110℃で5時間還流加熱した後、濾過し、更に90
%酢酸1000重量部で2回洗浄濾過を繰り返した。洗
浄濾過後、全濾液を合体し、ロータリーエバポレーター
で約200重量部に濃縮した。この濃縮液を水中に投じ
リグニンを沈澱させた。水中の沈澱物を濾別し、水洗、
乾固して20重量部のリグニンを得た。次いで、上記操
作によって得たブナ酢酸蒸解リグニン3重量部を100
重量部のアセトンに溶解した溶液と、二酢酸セルロース
100重量部を900重量部のアセトンに溶解した溶液
とを合体、混合し、均一な溶液とした。この溶液をセロ
ファンにコーティングし、アセトン溶媒を蒸発させたと
ころ、セロファン上にブナ酢酸蒸解リグニンを含有する
二酢酸セルロースの被膜が形成された。
【0023】実施例7 スギ木粉(20〜40メッシュ)22重量部と95w/
w%プロピオン酸(0.1%塩酸含有)200重量部の
混合物を115℃で60分間還流加熱した後、濾過し、
更にプロピオン酸100重量部で2回洗浄濾過を繰り返
した。この洗浄濾過後、全濾液を合体し、水中に投じ
た。水中の沈澱物を遠心分離で集め、水洗、乾固して4
重量部のリグニンを得た。次いで、上記操作により得た
スギプロピオン酸蒸解リグニン3重量部を100重量部
のアセトンに溶解した溶液と、二酢酸セルロース100
重量部を900重量部のアセトンに溶解した溶液とを合
体、混合し、均一な溶液とした。この溶液をセロファン
にコーティングし、アセトン溶媒を蒸発させたところ、
セロファン上にスギプロピオン酸蒸解リグニンを含有す
る二酢酸セルロースの被膜が形成された。
【0024】実施例8 ブナ木粉(20〜40メッシュ)22重量部と95w/
w%プロピオン酸(0.1%塩酸含有)200重量部の
混合物を115℃で90分間還流加熱した後、濾過し、
更にプロピオン酸100重量部で2回洗浄濾過を繰り返
した。その後、全濾液を合体し、水中に投じた。水中の
沈澱物を遠心分離で集め、水洗、乾固して4重量部のリ
グニンを得た。次いで、上記操作により得たブナプロピ
オン酸蒸解リグニン3重量部を100重量部のアセトン
に溶解した溶液と、二酢酸セルロース100重量部を9
00重量部のアセトンに溶解した溶液とを合体、混合
し、均一な溶液とした。この溶液をセロファンにコーテ
ィングし、アセトン溶媒を蒸発させたところ、セロファ
ン上にブナプロピオン酸蒸解リグニンを含有する二酢酸
セルロースの被膜が形成された。
【0025】実施例9 220℃の水蒸気で6分間蒸煮し、爆砕したブナ木粉5
0重量部をアセトン300重量部で3回抽出し、全抽出
液を合体した後、アセトンを蒸発させ、リグニンを乾固
して6重量部のリグニンを得た。次いで、上記操作によ
って得た蒸煮・爆砕ブナリグニン3重量部を100重量
部のアセトンに溶解した溶液と、二酢酸セルロース10
0重量部を900重量部のアセトンに溶解した溶液とを
合体、混合して均一な溶液とした。この溶液をセロファ
ンにコーティングし、アセトン溶媒を蒸発させたとこ
ろ、セロファン上に蒸煮・爆砕ブナリグニンを含有する
二酢酸セルロースの被膜が形成された。
【0026】表1は、実施例1〜実施例9で得られた紫
外線吸収性セルロース系フィルム膜による植物染色織物
の紫外線による退色防止性能を調べたものである。被検
体フィルムをアカネ染色した織物の上に置き、波長25
3nmの紫外線を3時間照射したときの退色の有無を視
角で評価した。対照として、フィルムを置かないで織物
に直接紫外線を同時間照射したものと、市販セロファン
を織物の上に置いて紫外線を同時間照射したものと、織
物の上にサランラップを敷いたものに紫外線を同時間照
射したものとを用いた。
【0027】
【表1】
【0028】この表から明らかなように、対照区では織
物は全て完全脱色されたが、本発明に係る実施例1〜9
のフィルム膜をかけたものではいずれも織物の脱色が認
められず、これはこれらフィルム膜の紫外線吸収能を示
すものである。なお、成型物においても上記フィルム膜
とその組成が基本的に異なるものではないことから、同
様な紫外線吸収性を備えていることが理解できる。
【0029】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、有機
溶媒溶解性のリグニンの溶解物とセルロース誘導体とを
混合・固化して成るので、フィルムにもまた成型物とし
ても成形でき、幅広い用途に応用でき、特に有効濃度の
リグニンを含有するため紫外線吸収性能を有するフィル
ムを確実に成形できるものである。また、製造方法も上
記リグニンとセルロース誘導体とを有機溶媒を助剤とし
て混合した後、上記溶媒を蒸発させて固化させるもので
あるから、フィルムの場合には既存のセロファン製造プ
ロセスに容易に応用でき、工業的な量産が可能となる。
しかも、本発明によれば、杉や桧などの間伐材を原料と
して使用できるから、製紙に不向きな木粉の有効利用が
可能となり、廃木材のリサイクルにも寄与できるもので
ある。

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有機溶媒溶解性のリグニンの溶解物と有機
    溶媒溶解性のセルロース誘導体とを混合・固化して成
    る、紫外線吸収性を有する組成物。
  2. 【請求項2】前記組成物がフィルム膜である、 ことを特徴とする請求項1に記載の紫外線吸収性を有す
    る組成物。
  3. 【請求項3】前記組成物が成型物である、 ことを特徴とする請求項1に記載の紫外線吸収性を有す
    る組成物。
  4. 【請求項4】前記リグニンが、木材チップもしくは木粉
    を有機溶媒で蒸解して抽出したものである、 ことを特徴とする請求項1に記載の紫外線吸収性を有す
    る組成物。
  5. 【請求項5】前記リグニンが、木材チップを蒸煮、爆砕
    して得られたパルプを有機溶媒で抽出したものである、 ことを特徴とする請求項1に記載の紫外線吸収性を有す
    る組成物。
  6. 【請求項6】前記セルロース誘導体が酢酸系セルロース
    等の有機酸エステル系のセルロース誘導体である、 ことを特徴とする請求項1に記載の紫外線吸収性を有す
    る組成物。
  7. 【請求項7】前記セルロース誘導体が二酢酸セルロース
    等の有機酸混合エステル系のセルロース誘導体である、 ことを特徴とする請求項6に記載の紫外線吸収性を有す
    る組成物。
  8. 【請求項8】有機溶媒溶解性のリグニンとセルロース誘
    導体とを有機溶媒を助剤として混合した後、上記溶媒を
    蒸発させて固化させる、 ことを特徴とする紫外線吸収性を持つ組成物の製造法。
  9. 【請求項9】有機溶媒溶解性のリグニンとセルロース誘
    導体とを有機溶媒を助剤として混合した液をガラスある
    いはステンレス板等の板材の表面に塗布して固化乾燥さ
    せた後、剥離してフィルム膜を得る、 ことを特徴とする請求項8に記載の紫外線吸収性を有す
    る組成物の製造法。
  10. 【請求項10】有機溶媒溶解性のリグニンとセルロース
    誘導体とを有機溶媒を助剤として混合した液をセロファ
    ン等のフィルム状シート材の表面に塗布して固化乾燥さ
    せることによりフィルム膜を形成する、 ことを特徴とする請求項8に記載の紫外線吸収性を有す
    る組成物の製造法。
  11. 【請求項11】前記セルロース誘導体100重量部に対
    して前記有機溶媒溶解性のリグニンを0.1〜10重量
    部添加する、 ことを特徴とする請求項9もしくは請求項10記載の紫
    外線吸収性を有する組成物の製造法。
  12. 【請求項12】セルロース誘導体に可塑剤等の添加剤と
    溶媒とを加えて攪拌し、これに有機溶媒溶解性のリグニ
    ンの溶解物を混合した後、上記溶媒を蒸発させて成型物
    を得る、 ことを特徴とする請求項8に記載の紫外線吸収性を持つ
    組成物の製造法。
  13. 【請求項13】前記リグニンが、木材チップもしくは木
    粉を有機溶媒で蒸解して抽出したものである、 ことを特徴とする請求項8に記載の紫外線吸収性を有す
    る組成物の製造法。
  14. 【請求項14】前記リグニンが、木材チップを蒸煮、爆
    砕して得られたパルプを有機溶媒で抽出したものであ
    る、 ことを特徴とする請求項8に記載の紫外線吸収性を有す
    る組成物の製造法。
  15. 【請求項15】前記セルロース誘導体が酢酸系セルロー
    ス等の有機酸エステル系のセルロース誘導体である、 ことを特徴とする請求項8に記載の紫外線吸収性を有す
    る組成物の製造法。
  16. 【請求項16】前記セルロース誘導体が二酢酸セルロー
    ス等の有機酸混合エステル系のセルロース誘導体であ
    る、 ことを特徴とする請求項8に記載の紫外線吸収性を有す
    る組成物の製造法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011042168A (ja) * 2009-08-06 2011-03-03 J Linhardt Robert 合成木材複合材
JP2011219716A (ja) * 2010-02-10 2011-11-04 Hitachi Chem Co Ltd 抗菌性樹脂組成物
JP2012158707A (ja) * 2011-02-02 2012-08-23 Hitachi Chemical Co Ltd 樹脂組成物及びシート
JP2015006997A (ja) * 2013-06-24 2015-01-15 花王株式会社 紫外線吸収剤
JP2022121550A (ja) * 2018-05-28 2022-08-19 ピアソン キャピタル エンバイロメンタル (ベイジン) リミテッド 植物材料の有機酸前処理から生成物を回収するための効率的な方法および組成物

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