JP2560183B2 - 潤滑剤およびそれを利用した磁気記録媒体 - Google Patents

潤滑剤およびそれを利用した磁気記録媒体

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JP2560183B2
JP2560183B2 JP29826092A JP29826092A JP2560183B2 JP 2560183 B2 JP2560183 B2 JP 2560183B2 JP 29826092 A JP29826092 A JP 29826092A JP 29826092 A JP29826092 A JP 29826092A JP 2560183 B2 JP2560183 B2 JP 2560183B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、無極性あるいは極性が
小さい材質のものに対しても吸着力が大きく、かつ優れ
た潤滑性を有する潤滑剤に関する。特に、磁気ディスク
あるいは磁気テープなどの磁気記録媒体の潤滑層を形成
すると、潤滑層に優れた特性を付与することができる潤
滑剤に関する。また、別の本発明は、本発明によるイミ
ド化合物の層を磁気ヘッドに直接に対向する面に設けた
磁気ディスクあるいは磁気テープなどの磁気記録媒体に
関する。
【0002】
【従来の技術】磁気ディスクなどの磁気記録媒体では、
記録あるいは再生に際しての走行の反復が数万回にも及
び、しかもその都度それらの面上を磁気ヘッドが摺動し
て走行するので、磁気ディスクなどには磁気ヘッドに直
接に対向する面上に潤滑層が設けられている。
【0003】その潤滑層は、磁気ディスクの高速回転に
際しても飛散せず、磁気ヘッド(通常は浮動ヘッドが用
いられる)に優れた摺動性を与える潤滑性、耐摩耗性お
よび強度などの特性を有していることが必要であり、し
かも、それらの特性を単分子あるいは数分子の厚さの膜
で実現できることが要求される。
【0004】一般的には、潤滑層の厚さを数10オング
ストロームあるいはそれ以下にしないと、スペーシング
ロスにより電磁変換特性が低下するといわれている。
【0005】具体的には、磁気ディスク面上の潤滑層
は、記録あるいは再生の際、スプリグの力(例えば、1
0gf)で磁気ディスク表面に押しつけられた浮動ヘッ
ドを高速で円滑に滑走させて浮上させる能力と、磁気デ
ィスクの回転停止時に浮動ヘッドを磁気ディスク面上に
着陸させる際に受ける衝撃にも十分に耐える強度とを備
えているこことが必要である。
【0006】なお、磁気ディスクにおける回転の起動時
および停止時の運動を、以下コンタクト/スタート/ス
トップ運動ということがある。
【0007】しかも、磁気ディスクは、記録および再生
に際して、コンタクト/スタート/ストップ運動と高速
回転とが数万回も反復して行われる。
【0008】そのために、磁気ディスク面上の潤滑層
は、そのような反復使用を通じて、飛散せずに磁気ディ
スク面上に吸着していて、かつ、低摩擦係数を維持し
て、浮動ヘッドからの衝撃にも耐えることが要求され
る。
【0009】一方、磁気層は、磁性金属薄膜(例えば、
蒸着で形成するものには約0.08ミクロン程度の極く
薄いものがある)で形成されるのが、一般化してきてい
るのか実情である。しかも、磁気層が磁性金属薄膜で形
成される場合、保護層をスパッタリングなどの方法によ
り石英ガラス、セラミックスなどの極性が小さいかある
いは極性がない膜にして磁性金属薄膜上に形成する場合
には、潤滑層をそのような保護層上に吸着させること自
体が極めて困難となっている。
【0010】そして、潤滑層用の化合物が数多く提案さ
れてるいるが、工業的に使用しうるものは、ごく限られ
た種類の化合物にすぎないのが実情であった。
【0011】しかも、磁気層に磁性金属薄膜が用いられ
るようになり、それに適した保護膜として石英ガラス、
セラミックスあるいはカーボンなどの膜が用いられるよ
うになっているが、それらは無極性あるいは極性が著し
く小さいものである。
【0012】すなわち、潤滑層を吸着させるのが著しく
困難なものである。一方、潤滑層の形成に工業的に使用
可能な潤滑性物質として提案されているのが、フロロカ
ーボン鎖を有する化合物(例えば、特開昭61−107
527号公報、特開昭61−107528号公報、特開
昭61−107529号公報,特開昭62−92225
号公報、特開昭62−92226号公報、特開昭62−
92227号公報など)とペルフルオロアルキルポリエ
ーテル鎖を有する化合物である。
【0013】しかし、フロロカーボン鎖を有する化合物
の潤滑層は、低摩擦で潤滑性を有するが、石英ガラス、
カーボンあるいはセラミックスなどの保護層に対する吸
着能力が不十分であった。
【0014】そのために、フロロカーボン鎖で構成され
る基と極性を有する基とを結合した分子構造の化合物に
して、カーボンなどの保護層に対する吸着能力を向上さ
せることが提案されている。しかし、潤滑性と吸着能力
の点で満足できるものが提案されていないのが実情であ
る。
【0015】また、ペルフルオロアルキルポリエーテル
鎖を有する化合物は、優れた潤滑性、熱安定性および酸
化安定性などの性質を有する高品質の潤滑剤として、他
の分野で従来から用いられているものである。
【0016】なお、ペルフルオロアルキルポリエーテル
鎖を有する化合物として、ペルフルオロポリオキシアル
キレンの単独重合体の製造法が1965年に発表されて
いる。
【0017】しかし、その単独重合体は、大きな化学的
安定性を有しているので、石英ガラス、カーボンあるい
はセラミックスなどの保護膜上にその単独重合体の単分
子あるいは数分子の厚さの膜を形成しても、その膜が保
護膜に強固に吸着せず、そのために磁気ディスクを高速
で回転すると膜が磁気ディスク面上を移動あるいは面上
から飛散してしまっていた。
【0018】そのために、ペルフルオロアルキルポリエ
ーテル鎖を有する化合物についても、ペルフルオロアル
キルポリエーテル鎖と極性を有する基とを結合した分子
構造の化合物にすることが種々提案されている。その提
案の化合物には、例えば、ペルフルオロアルキルポリエ
ーテル鎖末端を2,4,6−トリアミノ−1,3,5−
トリアジンによりアミド化したものなどがある。
【0019】しかし、このアミド化したものは、それに
よって形成した潤滑層が低摩擦係数で、優れた繰り返し
走行性を有しているが、保護膜に対する吸着性が不十分
であるので、磁気ディスクの高速回転で潤滑膜が磁気デ
ィスク面上を移動あるいは面上から飛散してしまうとい
う問題点は解決されていなかった。なお、前述の従来の
殆どの提案では、潤滑層が保護層にとどまっている現象
を「吸着」あるいは「付着」の用語を使用(多くの場
合、「吸着」の用語を使用)して説明しているが、どの
ような意味でそれらの用語を使用しているのか明確でな
い。
【0020】このように、従来は、潤滑層を無極性ある
いは極性が著しく小さい保護層上に1分子〜数分子の厚
さに形成して、その潤滑層を強固に保護層に吸着させ、
かつ、その潤滑層に潤滑性および対摩耗性を付与するこ
とができる化合物がないというのが実状であった。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】磁気層の磁性金属薄膜
化が進んで記録容量が著しく増大し、記録および再生の
際の回転が高速化するするなどして磁気記録媒体に関連
する技術が急激に進歩しているが、前述の潤滑層に関す
る問題点が解決されていないのが実情であった。そこ
で、本発明はそれらの問題点を解決し、ガラス、カーボ
ンあるいはセラミックスの薄膜などの無極性あるいは極
性をほとんど有しない保護膜、または極性において同様
である磁性金属薄膜に対する吸着能力が大きく、膜にし
た場合の摩擦係数が低く、記録および再生で繰り返し高
速回転(磁気ディスクの場合)しても飛散することがな
い潤滑層を与える潤滑剤を提供すること、を主目的とす
る。また、本発明は、磁気記録媒体以外のものに用いる
材料であって、無極性あるいは極性をほとんど有しない
材料に対しても吸着能力が大きく、かつその材料に優れ
た潤滑性を与える潤滑剤を提供すること、をも目的とす
る。
【0022】さらに、本発明は、そのような特性を有す
る潤滑層を磁気ヘッドと直接に対向する面に設けた磁気
記録媒体を提供すること、を目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明による潤滑剤は、
下記一般式〔1〕で表されるイミド化合物からなるもの
であること、を特徴とする。
【化5】 ただし、RおよびRfは下記の意味を表す。Rは下記一
般式〔2〕〜〔6〕のいずれかの基である。
【化6】 Rfは下記一般式
〔9〕あるいは〔10〕に記載のいず
れかの基であり、複数あるRfは同一でも異なっていて
もよい。 X−(CO)−CFYO− ……………………………
〔9〕 X−(CO)−CFYO− …………………………… 〔10〕 一般式
〔9〕あるいは〔10〕の X、Yおよびmは、
それぞれ下記に表すものである。 X=H−、Cl−、F−、CF−、C−、C
−、CFO−、CO−あるいはC
−、 Y=F−、CF−、CF−、C−あるいはC
−、 m=3〜60のいずれかの整数である。
【0024】また、本発明による磁気記録媒体は、その
一般式〔1〕で表されるイミド化合物からなる層あるい
はそのイミド化合物を含んでなる層を磁気ヘッドと直接
に対向する面に設けてなるものであること、を特徴とす
る。
【0025】〔発明の具体的説明〕 本発明は、前記一般式〔1〕で表されるイミド化合物か
らなる潤滑剤、およびその潤滑剤を用いた潤滑層を磁気
ヘッドと直接に対向する面に設けた磁気記録媒体であ
る。フロロカーボン鎖あるいはペルフルオロアルキルポ
リエーテル鎖を有する化合物に極性基を結合して吸着力
を大きくすることについては、その吸着力がマイクロト
ライポロジーという領域に属する現象であって、その現
象を解析することは著しく困難を伴うということであっ
て、吸着力を大きくするという提案で著しい効果を挙げ
ているものがなかった。
【0026】ペルフルオロポリオキシアルキレン鎖を置
換基にしてジイミド化合物の各イミド基を置換するとい
うことについては、全くといっていい程に試みられてい
なかった。それは、ペルフルオロポリオキシアルキレン
鎖をアミド基に結合した化合物の吸着力がそれほどに改
善されていないいうことと、ジイミド化合物の各イミド
基を置換基で置換すること自体著しく困難なことである
とされていたからである。これに対して、ジイミド化合
物の各イミド基にペルフルオロポリオキシアルキレン鎖
の置換基を結合することが本発明者により検討された。
【0027】そして、特定のジイミド化合物の各イミド
基を特定のペルフルオロポリオキシアルキレン鎖で置換
できること、その置換ジイミド化合物がペルフルオロポ
リオキシアルキレン鎖由来の潤滑性を有して、かつ無極
性あるいは極性が著しく小さい材質のものに優れた吸着
力を有することが本発明で見いだされた。なお、本発明
の説明において使用する「吸着」という用語は、従来の
ラングミュア、およびフロイントリッヒなどにより理論
ずけられた現象を表す吸着の意味に限定されるものでは
なく、本発明のイミド化合物あるいはそのイミド化合物
を含んでなる潤滑層が対象物に固定あるいは固着するな
どしてとどまっている現象を包括的に表す意味で用いて
いる。
【0028】また、本発明の説明において使用する「吸
着力」という用語は、本発明のイミド化合物あるいはそ
のイミド化合物を含んでなる潤滑層が対象物にとどまる
ことができる力の意味で用いている。したがって、「吸
着力」は、強固な結合力をも含んだ意味で用いている。
本発明のイミド化合物あるいはそのイミド化合物からな
る潤滑層が対象物にとどまるには、従来吸着という用語
で説明されている現象以外の種々の力(例えば、強固な
結合力)が働いている可能性があることが、本発明者に
より見いだされている。 〈潤滑剤〉 本発明による潤滑剤は、一般式〔1〕のイミド化合物か
らなるものである。本発明の潤滑剤は、極性を有する材
質に対する潤滑剤として用いることができるのは勿論の
ことであるが、無極性あるいは極性が著しく小さい材質
対する潤滑剤として用いると、そのような極性の材質に
長時間の優れ潤滑性を与え得ることができるものであ
る。ただし、本発明の潤滑剤の利点を最も享受できるの
は、本発明の潤滑剤により磁気記録媒体の潤滑層あるい
は潤滑の役割を要求される層を形成した場合である。
【0029】なお、本発明の潤滑剤は、一般式〔1〕の
イミド化合物からなるものであるが、一般式〔1〕のイ
ミド化合物と他の潤滑剤とから潤滑剤にすること、ある
いは潤滑剤以外の物質とから潤滑剤にすることも可能で
ある。ただし、他の潤滑剤および潤滑剤以外の物質は、
それらを併用することが、一般式〔1〕のイミド化合物
の利点を損なわないことが必要である。イミド化合物 本発明の潤滑剤を与えるイミド化合物は、一般式〔1〕
で表されるものである。
【0030】
【化7】 そして、一般式〔1〕において、Rは下記一般式〔2〕
〜〔6〕のいずれかの基である。
【化8】
【0031】また、Rfは、一般式
〔9〕あるいは〔1
0〕に記載のいずれかの基であり、複数あるRfは同一
でも異なっていてもよい。 X−(CO)−CFYO− ……………………………
〔9〕 X−(CO)−CFYO− …………………………… 〔10〕 一般式
〔9〕あるいは〔10〕の X、Yおよびmは、
それぞれ下記に表すものである。 X=H−、Cl−、F−、CF−、C−、C
−、CFO−、CO−あるいはC
−、 Y=F−、CF−、CF−、C−あるいはC
−、 m=3〜60のいずれかの整数である。
【0032】Rfで表されれる基は、一般式〔1〕のR
で表される基との関係において、本発明のイミド化合物
を液状のものにして、イミド化合物に潤滑性を付与する
とともに、そのイミド化合物により磁気記録媒体の潤滑
層を形成した場合に種々の優れた特性を付与することが
本発明で見いだされた。そして、Rfのペルフルオロポ
リオキシアルキレン鎖の繰り返し単位数のmは3〜60
の整数の範囲で、好ましくは4〜25の整数の範囲であ
る。
【0033】この好ましいmの範囲であれば、より一般
式〔1〕のイミド化合物の特性(すなわち一般式〔1〕
のイミド化合物の潤滑剤により得られる効果)をより発
揮することができる。また、Rfのnは、好ましくは2
〜15の整数の範囲であると、一般式〔1〕のイミド化
合物の特性をより発揮することができる。
【0034】なお、Rfの基において、ペルフルオロと
いうのは、完全にフッ素によって置換されたもののみな
らず、若干の水素または/および塩を含んでいてもよい
意味である。完全にフッ素化するのは、工業的に困難を
伴うでので、若干の水素または/および塩を含んでいて
も、工業的にはペルフルオロと称されれことがしばしば
あるからである。イミド化合物の合成 一般式〔1〕のイミド化合物は、一般式〔1〕のRで表
される基を有する化合物(代表的なものは一般式〔1〕
のRで表される基を構成要素として含むジイミド化合
物)と、一般式〔1〕のRfで表されれる基を有する化
合物(代表的なものは一般式〔1〕のRfで表される基
を含む有機酸)とを反応させて得られる。Rとして好ま
しいものとして、先に例示した基を与えるジイミド化合
物を挙げると下記のものがある。ピロメリティックジイ
ミド(pyromellitic diimide)
(下記〔13〕に式を示す)、4,4’−ビフタリック
ジイミド(4,4’−Biphthalic diim
ide)(下記〔14〕に式を示す)、4,4’−ビフ
タリックスルホンジイミド(4,4’−Biphtha
licsulufon diimide)(下記〔1
5〕に式を示す)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノ
ンジイミド(3,3’4,4’−Benzopheno
n diimide)(下記〔16〕に式を示す)、
1,4,5,8−ナフタリンテトラカルボキシジイミド
(1,4,5,8−naphthalen tetra
carboxylic diimide)(下記〔1
7〕に式を示す)、3,4,9,10−perylen
tetracarboxylicdiimide)(下
記〔18〕に式を示す)およびマレイン化メチルシクロ
ヘキセンジイミド(下記〔19〕に式を示す)。
【0035】
【化9】 〈磁気記録媒体〉 本発明の磁気記録媒体は、前述の一般式〔1〕で表され
るイミド化合物からなる層あるいはそのイミド化合物を
含んでなる層を磁気ヘッドと直接に対向する面に設けた
ものである。
【0036】磁気記録媒体の最表層(すなわち、磁気ヘ
ッドと直接に対向する面)は、一般的には潤滑層であ
る。したがって、本発明の磁気記録媒体の代表的なもの
は、一般式〔1〕のイミド化合物からなる潤滑層あるい
はそのイミド化合物を含んでなる潤滑層を最表層として
有する磁気記録媒体である。次に、本発明の磁気記録媒
体では、一般式〔1〕で表されるイミド化合物を含む保
護層を最表層を形成すること、あるいは一般式〔1〕で
表されるイミド化合物を含む層により保護層と潤滑層の
両方の役割を有する最表層を形成することが可能にな
る。潤滑層 本発明による磁気記録媒体では、一般式〔1〕のイミド
化合物からあるいはそれを含んでなる潤滑層を形成する
手段は任意である。通常の潤滑層形成手段によって容易
に潤滑層を形成することができる。代表的な方法は、デ
ップ法およびスプレイ法などの化合物を溶解した溶液に
より潤滑層を形成する方法である。
【0037】一般式〔1〕のイミド化合物を含んでなる
潤滑層というのは、一般式〔1〕のイミド化合物と他の
潤滑剤あるいは他の物質とからなる潤滑層である。しか
も、本発明の一般式〔1〕で表されるイミド化合物は、
環境保護の観点から使用が制約されるフロン系溶媒に代
替しうる溶媒などにも溶解させることができる。したが
って、フロン系溶媒に代替しうる溶媒を用いて、本発明
の一般式〔1〕で表されるイミド化合物により潤滑層を
形成することが可能となる。
【0038】そのような溶媒を例示すれば、フッ化炭化
水素、イソプロピルアルコールあるいはフッ化炭化水素
とイソプロピルアルコールとの混合溶媒などがある。一
般式〔1〕のイミド化合物により形成された潤滑層は、
従来の潤滑層形成手段あるいはフロン系溶媒の代替溶媒
の使用による潤滑層形成手段により保護層上に強固に吸
着した潤滑層となる。しかも、その潤滑層は、磁気ディ
スクの高速回転においても保護層上から飛散することが
なく、長期にわたる磁気ディスクの使用を可能にすると
いうことが本発明で見いだされている。
【0039】そして、潤滑層は、読み取りヘッド部の材
質に対して優れた潤滑性を有することが本発明で見いだ
されている。読み取りヘッド部の材質には、ヘッドコア
チップ材としてマンガン亜鉛フェライトなどが用いら
れ、スライダー材としてチタン酸カルシウムおよびアル
ミナ炭化チタンなどが用いられている。潤滑性保護層 従来は、保護層と潤滑層とは別の役割を有する層とされ
ており、磁気記録媒体の最表層は、潤滑層で形成するの
が一般的である。しかし、一般式〔1〕のイミド化合物
を含有する保護層により、潤滑層の役割をも有する潤滑
性保護層の形成が可能になることが、本発明者により見
いだされている。
【0040】すなわち、潤滑性保護層を磁気記録媒体の
最表層に形成することで、特に潤滑層を設けることな
く、磁気記録媒体の表層(磁気ヘッドに直接に対向する
面)に潤滑性を付与することができる。また、潤滑性保
護層の潤滑性を大きくすることにより、保護層と潤滑層
のそれぞれの役割を合わせ持った従来にない新たな層を
磁気記録媒体の最表層に形成することが可能になる。
【0041】それらの層は、例えば、一般式〔1〕のイ
ミド化合物と溶剤可溶性あるいは溶剤分散性のフッ素樹
脂(詳細後記)とから形成することにより可能である。磁気記録媒体 本発明による[磁気記録媒体]は、磁気ヘッドと直接に
対向する面が、一般式〔1〕で表されるイミド化合物か
らなる層、あるいはそのイミド化合物を含んでなる層で
あること以外は、構成において任意である。なお、本発
明では、[磁気記録媒体]の用語を非磁性支持体から磁
気ヘッドと直接に対向する面に形成されている潤滑層ま
でを含んだものの意味で用いている。本発明による磁気
記録媒体を例示すると、非磁性支持体に磁気層と保護層
と潤滑層とが積層されたもの、および非磁性支持体に磁
気層と潤滑層とが積層されたものが代表的である。
【0042】しかも、本発明の磁気記録媒体はそれらに
とどまらず、非磁性支持体に積層した磁気層上に潤滑性
を有する保護層(最表層)が積層したもの、非磁性支持
体に積層した磁気層上に保護層を積層し、さらにその上
に潤滑性を有する保護層(最表層)が積層したもの、非
磁性支持体に積層した磁気層に保護層と潤滑層との役割
を併有する層(最表層)が積層したもの、あるいは非磁
性支持体に積層した磁気層に保護層を積層し、さらにそ
の上に保護層と潤滑層との役割を併有する層(最表層)
が積層したものなどの各種の磁気記録媒体を含む。磁気
記録媒体の具体例としては、磁気ディスクあるいは磁気
テープが代表的であるが、それら以外の各種のものをも
含む。
【0043】例えば、磁気シート、磁気フィルム、磁気
カードあるいは磁気ドラムなどである。
【0044】ただし、本発明では、[磁気記録媒体]が
磁気ディスクである場合に本発明の効果を最も享受する
ことができる。磁気層 本発明の[磁気記録媒体]における磁気層は、任意の種
類あるいは厚みのものを用いることができるが、本発明
の効果を最も享受しうるのは、磁気層が磁性金属薄膜で
ある場合である。磁気層としては、例えば、コバルト、
コバルト−ニッケル合金、コバルト−ニッケル−クロム
合金、コバルト−ニッケル−白金合金、コバルト−ニッ
ケル−リン合金およびコバルト−白金合金などがある。
なお、磁気層の[磁気記録媒体]での構成上の位置につ
いては任意であり、磁気層を積層する手段についても任
意である。磁性金属薄膜は、長手記録方式用では真空蒸
着法によるCo−Niが、垂直記録方式用ではスパッタ
リグ法によるCo−Crの薄膜が、代表的である。
【0045】また、磁性金属薄膜の形成法については特
に制約がなく、各種の方法により形成することができ
る。形成法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリ
グ法(特に高周波スパッタリグ法)、エピタキシャル
法、イオンプレーティング法、CVD法およびメッキ法
(電気メッキ法あるいは無電解メッキ法など)などがあ
る。保護層 本発明の[磁気記録媒体]における保護層は、磁気記録
媒体で用いられている保護層あるいは用いることができ
る保護層であればいずれも用いることができる。しか
し、一般式〔1〕で表されるイミド化合物を含んでなる
潤滑層は、無極性あるいは極性が小さい保護層の上に形
成する場合に、本発明の効果を最も享受することができ
る。
【0046】磁気層が磁性金属薄膜であるば場合は、保
護層は一般的に無極性あるいは極性が小さい材質の層で
形成されている。そのような保護層を例示すると、ガラ
ス(特に石英ガラス)、カーボン、セラミックスあるい
はフッ素樹脂からなる層がある。ガラスは、磁気記録媒
体の保護層を形成しうるものであれば、いずれも使用す
ることができる。具体例を挙げると下記のものがある。
【0047】石英ガラス、ケイ酸塩ガラス、ホウ酸塩ガ
ラスあるいはチタン酸塩およびニオブ酸塩のようなガラ
スセラミックス。このうちでは、特に石英ガラスが好ま
しい。カーボンは、結晶質あるいは非晶質のいずれのも
のでもよい。ただし、非晶質カーボンが硬度が大きいの
で望ましい。また、カーボンは付加物であってもよい。
本発明の「カーボン」という用語は、カーボン付加物も
含む意味で用いている。カーボンの付加物には、例え
ば、フッ化カーボンがある。また、本発明に用いるセラ
ミックスは、硬度が大きく、磁気記録媒体の使用温度よ
りも高い温度に耐える固体の非金属無機材料であればよ
い。
【0048】したがって、セラミックスからなる保護層
は、結晶質あるいは非晶質を問わず、硬度が大きく磁気
記録媒体の使用温度よりも高い温度に耐える固体の非金
属無機材料であって、磁気記録媒体の保護層に用いうる
材料から薄膜を形成すればよい。保護層に使用可能なセ
ラミックスを例示すると下記のものがある。アルミナ、
炭化ケイ素、ジルコニア、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、
窒化チタン、窒化ホウ素、チタン酸バリウムおよびダイ
ヤモンドなど。
【0049】ダイヤモンドとしては、例えば、薄膜ダイ
ヤモンドがある。薄膜ダイヤモンドはその製造法に制約
されることがない。フッ素樹脂は、重合体中にフッ素−
炭素結合を少なくとも重合体中に有するもものであっ
て、単独重合体あるいは共重合体のいずれであってもよ
い。。フッ素樹脂は、汎用性のもの(ポリテトラフルオ
ロエチレンが代表的)であってもよいが、溶剤に溶解性
あるいは分散性があるものが特に適している。
【0050】後者の例には、ポリペルフルオロ−2,3
−ジメチルオキソラン、ポリペルフルオロ−4,5−ジ
メチルオキソラン、あるいはテトラフルオロエチレンと
ペルフルオロ2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール
との共重合体がある。非磁性支持体 非磁性支持体は、一般に非磁性の板あるいはフィルムな
どが用いられる。本発明の[磁気記録媒体]では、その
最下層が非磁性支持体で構成されているが、各種の磁気
記録媒体において非磁性支持体として用いられているも
の、若しくは非磁性支持体として用いることができるも
のは、いずれも使用することができて、特に制約がな
い。非磁性支持体としては、例えば、磁気ディスクの基
板、磁気フィルムのベースフィルムなどがある。
【0051】非磁性支持体を例示すれば下記のものがあ
る。 (a)ガラス、セラミックスなどの無機質材料の板ある
いはフィルム、 (b)アルミニウム、チタニゥムまたはそれらの合金な
どの金属の板あるいはフィルム、 (c)ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリイ
ミド−ポリアミド共重合体、ポリカーボネート、ポリア
クリレートなどの合成樹脂の板あるいはフィルム。
【0052】なお、ポリエステルとしては、例えば、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート
あるいはポリブチレンテレフタレートなどがある。非磁
性支持体は、その表面(磁気層を設ける面)に磁気層の
固着をよくするなどの種々の目的で、コーティングする
あるいは突起を設けるなどの種々の表面処理を施すこと
があるが、表面処理の種類あるいは方法については任意
である。
【0053】例えば、磁気ディスクの基板には、アルミ
ニウム、アルミニウム合金、セラミックスあるいはガラ
スなどが一般に用いられるが、それらの基板上には、必
要に応じてクロム、ニッケル−リン合金、ニッケル−銅
−リン合金あるいはアルマイトなどの硬質皮膜を形成す
るとよい。
【0054】以下に本発明を実施例により具体的に説明
するが、実施例は例示であって本発明を制約するもので
はない。
【0055】
【実施例】以下、実施例1〜3には、本発明による潤滑
剤の合成例を挙げ、実施例4〜6には、実施例1〜3で
合成された潤滑剤を用いた磁気記録媒体を挙げる。 〈実施例1〉 150mlのHCFC−225に溶解したペルフルオロ
ポリイソプロポキシトリフルオロメチルフルオロ酢酸2
00g(0.120モル)と、1,3−ジメチル−2−
イミダリジノン100mlに溶解したピロメリテックジ
イミド13g(0.060モル)と、ジメチルアミノピ
リジン2.5g(0.020モル)とを500mlの四
ッ口フラスコ(還流冷却器、温度計および攪拌機を備え
ている)に入れてそれらからなる溶液を調製し、乾燥窒
素ガスで四ッ口フラスコをシールして0〜5℃の温度で
冷却保持した。
【0056】次に、その溶液を攪拌しながら、N、N’
−ジシクロヘキシルカルボジイミド26g(0.126
モル)にHCFC−225を50ml溶解した溶液を分
液ロートを用いて攪拌中の溶液に30分間で徐々に全量
滴下した。その後、N、N’−ジシクロヘキシルカルボ
ジイミドが加えられた溶液を10℃以下の温度で攪拌し
ながら48時間反応させた。
【0057】反応後、溶液中に生成した尿素化合物を1
ミクロンのメンブランフイルターでろ過して、残った溶
液から他低沸点の溶剤を蒸溜により溜出させてから分液
ロートに移した。
【0058】分液ロート中の溶液にペルフルオロノルマ
ルヘキサン200mlを加え、蒸留水で5回洗浄して、
1,3−ジメチル−2−イミダリジノン、ジメチルアミ
ノピリジンを除去した。
【0059】次に、アセトンとテトラヒドロフランの
1:1混合溶液で2回ろ別洗浄して、微量の残留尿素化
合物を除去した。残留液状化合物にペルフルオロヘキサ
ン100mlを更に加えたものを0.2ミクロンのメン
ブランフイルターでろ過して、ろ液を120℃、3mm
Hgの減圧下で蒸溜して、溶媒と未反応のペルフルオロ
ポリイソプロポキシトリフルオロメチルフルオロ酢酸を
溜出させて、淡褐色の液状化合物を収率75%で得た。
【0060】その液状化合物について、粘度、全酸価お
よび赤外線スペクトルの測定、および元素の分析を行っ
た。粘度は、125mm/S(40℃)(測定はJI
SK2283による)、全酸価は、0.8mgKOH/
g(測定はJISK2501に準拠した方法による)で
あった。
【0061】赤外線スペクトルの分析の結果、1770
cm−1のカルボン酸のC=Oの伸縮振動が若干ずれ
て、フタロイミドの特徴であるC=Oの伸縮振動が17
90cm−1と690cm−1に吸収帯が現れ、110
0cm−1〜1320cm−1にCFとC−O−Cの結
合である吸収が大きく現れた。元素分析によれば、炭素
(C)24.8%、窒素(N)0.9%であった。
【0062】それら数値は、下式〔20〕に示す化合物
の炭素および窒素の含有比率(%)に極めて近似してい
た。
【0063】なお、赤外線スペクトルの測定は、日本分
光工業株式会社製のIR810型の装置で行った。元素
分析は、ヤナコ分析工業株式会社製のCHNコーダーM
T5型の装置で行った。これらの結果から、生成物は、
下式〔20〕に示すピロメリテックジイミド化合物であ
った。
【0064】
【化10】 この実施例で使用した化合物の詳細を下記に示す。HCFC−225 化学式〔CHCl〕、沸点 53.8℃、密度
1.559g/ml(25℃)。ペルフルオロポリイソプロポキシトリフルオロメチルフ
ルオロ酢酸 化学式〔F−(CF(CF)CFO)−CF(C
)COOH〕、平均分子量 1658(核磁気共鳴
により測定)、強酸価 32mgKOH/g、粘度45
mm/S(38℃)。1,3−ジメチル−2−イミダリジノン 化学式〔C10O〕、分子量 114.14、
沸点 225.5℃、融点8.20℃。ピロメリティックジイミド 化学式〔C10)、分子量 216.1
5、融点>320℃。ジメチルアミノピリジン 化学式〔C10〕、分子量 122.7、融点
112〜113℃。N、N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド 化学式〔C1322〕、分子量 206.3、凝
固点 29〜32℃。なお、以下の実施例において、同
じ名称の化合物を使用している場合は、同じ物性の化合
物を使用している。 〈実施例2〉 150mlのHCFC−225に溶解したペルフルオロ
ポリイソプロポキシトリフルオロメチルフルオロ酢酸2
00g(0.120モル)と、1,3−ジメチル−2−
イミダリジノン100mlに溶解した4、4’−ジフタ
リックジイミド18g(0.061モル)と、ジメチル
アミノピリジン2.5g(0.020モル)とを500
mlの四ッ口フラスコ(実施例1で使用したのと同様)
に入れてそれらからなる溶液を調製し、乾燥窒素ガスで
四ッ口フラスコをシールして0〜5℃の温度で冷却保持
した。
【0065】次に、その溶液を攪拌しながら、N、N’
−ジシクロヘキシルカルボジイミド27g(0.130
モル)を50mlのHCFC−225に溶解した溶液を
分液ロートを用いて攪拌中の溶液に30分間で徐々に全
量滴下した。
【0066】全量滴下後、N、N’−ジシクロヘキシル
カルボジイミドを加えた溶液を10℃以下の温度で攪拌
しながら48時間反応させた。反応後は、実施例1と同
様の操作を行って、褐色の液状化合物を収率73%で得
た。
【0067】その液状化合物について、粘度、全酸価お
よび赤外線スペクトルの測定、および元素の分析を行っ
た。粘度は、155mm/S(40℃)(実施例1と
同じ測定法による)、全酸価は、0.7mgKOH/g
(実施例1と同じ測定法による)であった。赤外線スペ
クトル分析の結果、1770cm−1のカルボン酸のC
=Oの伸縮振動が若干ずれて、フタロイミドの特徴であ
るC=Oの伸縮振動が1790cm−1と1690cm
−1に吸収帯が現れ、1100cm−1〜1320cm
−1にCFとC−O−Cの結合の吸収が大きく現れた。
元素分析をしたところ、炭素(C)26.0%、窒素
(N)0.8%であった。それら数値は、下式〔21〕
に示す化合物の炭素および窒素の含有比率(%)に極め
て近似していた。
【0068】これらの結果から、生成物は、下式〔2
1〕に示すジフタリックイミド化合物であった。なお、
赤外線スペクトルの測定および元素の分析は、実施例1
と同じ装置より行った。
【0069】
【化10】 〈実施例3〉 150mlのHCFC−225に溶解したペルフルオロ
ポリイソプロポキシトリフルオロメチルフルオロ酢酸2
00g(0.120モル)と、1、3−ジメチル−2−
イミダリジノン100mlに溶解した4、4’−ジフタ
リックスルホンジイミド22g(0.061モル)と、
ジメチルアミノピリジン2.5g(0.020モル)と
を500mlの四ッ口フラスコ(実施例1で使用したの
と同様)に入れて、それらからなる溶液を調製して、乾
燥窒素ガスで四ッ口フラスコをシールして0〜5℃の温
度で冷却保持した。
【0070】この溶液を攪拌しながら、N、N’−ジシ
クロヘキシルカルボジイミド27g(0.130モル)
gを50mlのHCFC−225に溶解した溶液を分液
ロートを用いて攪拌中の溶液に30分間で徐々に全量滴
下した。全量滴下後、N、N’−ジシクロヘキシルカル
ボジイミドを加えた溶液を10℃以下の温度で攪拌しな
がら48時間反応させた。反応後は、実施例1と同様の
操作を行って、褐色の液状化合物を収率70%で得た。
液状化合物について、粘度、全酸価および赤外線スペク
トルの測定および元素の分析を行った。
【0071】粘度は、140mm/S(40℃)(実
施例1と同じ測定法による)、全酸価は、0.8mgK
OH/g(実施例1と同じ測定法による)であった。赤
外線スペクトル分析の結果、1770cm−1のカルボ
ン酸のC=Oの伸縮振動が若干ずれて、フタロイミドの
特徴であるC=Oの伸縮振動の吸収帯が1790cm
−1と1690cm−10に現れ、1100cm−1
1320cm−1にCFおよびC−O−Cの結合の吸収
が大きく現れた。元素分析をしたところ、炭素(C)2
5.07%、窒素(N)0.8%であった。
【0072】それら数値は、下式〔22〕に示す化合物
の炭素および窒素の含有比率(%)に極めて近似してい
た。なお、赤外線スペクトルの測定および元素の分析
は、実施例1と同じ装置より行った。これらの結果か
ら、生成物は、下式〔22〕に示すジフタリックスルホ
ンイミド化合物であった。
【0073】
【化11】 実施例4〉磁気ディスクの作成 ニッケル−リンをメッキで付けたアルミニウム基板をポ
リッシュテクスチャー処理して、面の平均粗さがRa=
0.02μmになった基板上に窒素を含むアルゴン雰囲
気中でCo−Ni−Cr合金(Ni13%、Cr3%お
よび残部Co)のスパッター膜を1ミクロン(μm)の
厚さに形成した。その上に炭素保護膜をDCスパッター
により0.2ミクロンの厚さに形成した。その後、34
0℃で2時間真空中で熱処理して、直径65mmのアル
ミニウム基板に薄膜の磁気層上に炭素保護膜を形成した
ディスクを作成した。その炭素保護膜上に実施例1で得
られたピロメリテックジイミド化合物をHCFC−22
5に0.025容積%の濃度に希釈した溶液をスピンコ
ート法により均一に塗布し、130℃で30分アニーリ
ング処理して潤滑膜を形成してスパッタディスク(スパ
ッタ法により磁気層を形成した磁気ディスク)にした。磁気ディスクの試験 作成した磁気ディスクは、ウオッシュオフテスト、スピ
ンオフテストおよびコンタクト・スタート・ストップテ
スト(以下、CSSテストという)を行って、潤滑膜の
膜厚の変化および潤滑膜の耐久性を調べた。 (a)ウオッシュオフテスト スパッタディスクの潤滑膜の厚みを測定して、0.03
ミクロン(30オングストローム)の測定値を得た。測
定値は、パーキンエルマー社製のフーリエ変換赤外分光
光度計FTIRシステム2000(ハードディスクチェ
ッカー付き)により潤滑膜の中心から半径方向30mm
の位置の潤滑膜の厚みを測定して得たものである。
【0074】次に、湿度50%、温度20〜23℃にコ
ントロールしたクリーンルーム内において、スパッタデ
ィスクの潤滑膜をHCFC−225およびペルフルオロ
n−ヘキサンの各溶剤により洗浄して、洗浄後の潤滑膜
の膜厚分布を測定して、あらかじめ測定しておいた洗浄
前の膜厚分布と比較することで、膜厚を比較した。洗浄
は、超音波洗浄装置(日本精機製作所製NS100型)
を用いて1分間洗浄を行った。 (b)スピンオフテスト スパッタディスクを3600rpmの回転速度で500
時間連続回転して、連続回転後の潤滑膜の膜厚を前記パ
ーキンエルマー社製の測定装置により測定して、あらか
じめ測定しておいた連続回転前の膜厚と比較した。膜厚
は、磁気ディスクの中心から半径30mmの円の軌跡の
数点の厚みを測定した。
【0075】スパッタディスクの連続回転には、クボタ
コンプス社製のハードディスク耐久試験機を使用した。 (c)CSSテスト CSSテストには、クボタコンプス社製のハードディス
ク耐久試験機を使用した。
【0076】薄膜ヘッドとして、Al・TiC製
のマイクロスライダー(米国リードライト社製)を用い
た。テストの条件は、荷重6.5gf、hf=0.3μ
m、ディスク回転速度=3600rpm、6秒オン・6
秒オフのサイクルで行った。テストは、薄膜ヘッドがス
ティッキングあるいはヘッドクラッシュを起こすまで行
って、磁気ディスクの中心から半径30mmの円の軌跡
の数点の位置における膜潤滑膜のCSS特性を調べた。 〈実施例5および6〉磁気ディスクの作成 実施例5は、実施例2で得たジフタリックイミド化合物
を用いて潤滑膜を形成し、実施例6は実施例3で得たジ
フタリックスルホンイミド化合物を用いて形成した。
【0077】潤滑膜を形成した化合物が異なる以外は、
すべて実施例4と同様にした。磁気ディスクの試験 すべて実施例4と同様にした。 〈比較例1〜3〉磁気ディスクの作成 比較例1は下式〔23〕に示すジペルフルオロイソプロ
ポキシプロピオニルジフェニルエーテルを用いて潤滑膜
を形成し、比較例2は下式〔24〕に示すジベルフルオ
ロポリイソプロポキシプロピオニルジフェニルスルホン
を用いて潤滑膜を形成し、比較例3はクライトックス1
57FS−M〔米国デユポン社製で、F−(C
O)23−CCOOHの化学式を有し、平均分
子量4000を有する潤滑剤〕を用いてそれぞれ潤滑膜
を形成した。
【0078】潤滑膜に用いた化合物が異なっていること
以外は、すべて実施例4と同様にした。
【化12】 磁気ディスクの試験 すべて実施例4と同様にした。なお、実施例4〜6およ
び比較例1〜3の磁気ディスクの試験の結果について
は、表1に示す。この表1に示す結果によれば、実施例
4〜6と比較例1〜3との間には、著し差が認められ
た。
【0079】
【表1】
【0080】
【発明の効果】本発明の目的が、達成される。すなわ
ち、本発明の潤滑剤によれば下記の効果が得られる。 (a)本発明の潤滑剤により、一般的な潤滑膜(潤滑
層)形成手段により、1分子〜数分子の潤滑膜(潤滑
層)を保護膜(保護層)に形成することができる。
【0081】すなわち、電磁変換特性においても優れた
潤滑膜(潤滑層)が得られる。 (b)本発明の潤滑剤により形成された1分子〜数分子
の潤滑膜(潤滑層)は、ガラス、セラミック、カーボン
あるいはフッ素樹脂などの無極性あるいは極性をほとん
ど有しない保護膜、あるいは極性において同様である磁
性金属薄膜などに強固に吸着して、長時間の使用に耐え
ることができる。 (c)本発明の潤滑剤により、潤滑膜(潤滑層)に優れ
た潤滑性と対摩耗性が付与される。また、本発明の磁気
記録媒体により、そのような優れた潤滑膜(潤滑層)を
磁気ヘッドに対向する面に有する磁気記録媒体を提供す
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C10N 30:06 40:18 50:02

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式〔1〕で表されるイミド化合物
    からなる潤滑剤。 【化1】 ただし、RおよびRfは下記の意味を表す。Rは下記
    〔2〕〜〔6〕のいずれかの基である。 【化2】 Rfは下記一般式〔9〕あるいは〔10〕に記載のいず
    れかの基であり、複数あるRfは同一でも異なっていて
    もよい。 X−(CO)−CFYO− …………………………… 〔9〕 X−(CO)−CFYO− …………………………… 〔10〕 一般式〔9〕あるいは〔10〕の X、Yおよびmは、
    それぞれ下記に表すものである。 X=H−、Cl−、F−、CF−、C−、C
    −、CFO−、CO−あるいはC
    −、 Y=F−、CF−、CF−、C−あるいはC
    −、 m=3〜60のいずれかの整数である。
  2. 【請求項2】下記一般式〔1〕で表されるイミド化合物
    からなる層あるいは該イミド化合物を含んでなる層を磁
    気ヘッドと直接に対向する面に設けてなる磁気記録媒
    体。 【化3】 ただし、RおよびRfは下記の意味を表す。Rは下記
    〔2〕〜〔6〕に記載のいずれかの基である。 【化4】 Rfは下記一般式〔9〕あるいは〔10〕に記載のいず
    れかの基であり、複数あるRfは同一でも異なっていて
    もよい。 X−(CO)−CFYO− …………………………… 〔9〕 X−(CO)−CFYO− …………………………… 〔10〕 ただし、一般式〔9〕あるいは〔10〕の X、Yおよ
    びmは、それぞれ下記に表すものである。 X=H−、Cl−、F−、CF−、C−、C
    −、CFO−、 CO−あるいはCO−、 Y=F−、CF−、CF−、C−あるいはC
    −、 m=3〜60のいずれかの整数である。
  3. 【請求項3】前記層が、無極性あるいは極性が小さい保
    護層あるいは磁気層の上に設けられていることを特徴と
    する、請求項2に記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】前記層が、薄膜金属の磁性層上に設けられ
    ていることを特徴とする、請求項2に記載の磁気記録媒
    体。
  5. 【請求項5】保護層が、ガラス、カーボン、セラミック
    スあるいはフッ素樹脂の薄膜からなるものであることを
    特徴とする、請求項3に記載の磁気記録媒体。
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