JP2559577B2 - 燃料電池 - Google Patents

燃料電池

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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は燃料電池に関するものである。
〔従来技術〕
燃料電池には、メタノール等の燃料と水とを改質器で
反応させて水素を発生させ、この水素を電池セルにおい
てリン酸等の電解液を介して空気(酸素)と反応させ、
蒸気状の水と電気エネルギとを発生させるようにしたも
のである。このような燃料電池の電池セルで発生した蒸
気状の水は、一般にはそのまま廃棄される場合が多かっ
た。
そのため、この水を有効活用するため、改質器の水供
給源(水タンク)へ還流させるようにする提案がある。
しかしながら、電池セルで発生した蒸気状の水は未反応
ガスを含んでいたりするため、従来提案のシステムで
は、水タンクに還流させるまでの間に凝縮器及び/又は
水蒸気セパレータなどを介在させ、その凝縮器で凝縮さ
せたり、或いは水蒸気セパレータで水分だけを分離させ
たりしていた。
このように電池セルと水タンクとの間に凝縮器及び/
又は水蒸気セパレータが介在するため、これらの機器の
存在が燃料電池を小型化したり、車両などで運搬できる
可搬型にしたりする用途には障害にならざるを得なくな
る。
〔発明の目的〕
本発明の目的は、コンパクトな構成にしながら電池セ
ルで発生する水を有効に活用できるようにした燃料電池
を提供することにある。
〔発明の構成〕
上記目的を達成する本発明は、メタノールを貯蔵した
燃料タンクと水を貯溜した水タンクからそれぞれ燃料と
水とを改質器に供給し、この改質器の反応部でバーナ加
熱により発生した水素を電池セルの陰極側に供給する一
方、空気を電池セルの陽極側に供給して電池セル内にお
ける電気化学反応により蒸気状の水と電気エネルギとを
発生する燃料電池において、前記バーナに前記燃料タン
クから燃料を供給すると共に、前記バーナにブロアを接
続して外部の燃焼用空気を供給し、該バーナによりその
上部の反応部を加熱する一方、前記電池セルの陽極側の
一端にブロワを接続して、該陽極側に外部の空気を供給
するように構成し、前記水タンクを外部の空気に晒され
た状態に配置すると共に、該水タンクと前記電池セルの
陽極側の他端との間を外部の空気に晒された状態で配置
した還流管で接続して、該陽極側で発生した蒸気状の水
を水タンクの水中に直接還流する構成にする一方、前記
水タンクの上端に未反応ガスを外部に排出する排気管を
接続し、前記燃料タンクと水タンクとからそれぞれ液体
状態で供給される燃料と水とを同じ供給管を介して該燃
料と水とを混合した状態で前記改質器に供給する構成に
し、車両により運搬可能な可搬型にしたことを特徴とす
るものである。
〔実施例〕
図において、1は改質器、2は電池セル、3は直流−
交流インバータである。改質器1は下部にバーナ4を有
し、上部に触媒層からなる反応部5を有する構成になっ
ている。また、電池セル2は陽極6と陰極7との間にリ
ン酸などの電解液を含浸した電解質マトリックス8を介
在させた構成になっている。その陽極6側の一端には、
空気供給源であるブロワ9が接続されており、また陰極
7側には供給管20を介して上記改質器1の反応部5の出
口側が接続されている。
10はメタノールを貯溜した燃料タンクであり、11は水
を貯溜した水タンクである。燃料タンク10には2個のポ
ンプ12,13が並列に設けられ、その一方のポンプ13は燃
料(メタノール)を供給管22へ取り出し、それの水タン
ク11からポンプ14によって供給管23へ引き出された水と
混合させ、同じ供給管24を経て改質器1のバーナ4へ供
給するようになっている。また、他方のポンプ12は燃料
(メタノール)を供給管21へ取り出してバーナ4へ供給
するようになっている。このバーナ4には外部の燃焼用
空気を供給するブロワ15が接続されており、また電池セ
ル2の陰極7側で未反応のまま排出された水素を供給管
25により還流するようになっている。
改質器1のバーナ4は、上記供給管24から供給された
燃料と水との混合体を加熱して気化させ、さらに反応部
5へ送られた気化ガスの加熱を行うことによって反応を
促進させ水素ガスを発生させる。この水素ガスは供給管
20を介して電池セル2の陰極7側へ供給される。
この電池セル2の陽極6側にはブロワ9から外部の空
気が供給されているので、この空気中の酸素と上記水素
とは電解質マトリックス8の電解液を介して電気化学反
応を行い、未反応ガスを含んだ蒸気状の水と電気エネル
ギとを発生する。電気エネルギは直流のまま使用しても
よいが、また必要により直流−交流インバータ3により
交流に変換して負荷へ供給するようにしてもよい。
一方、陽極6側に発生した蒸気状の水と未反応ガスと
は、陽極6側の他端と水タンク11との間に接続された還
流管26を介して水タンク11に直接戻されるようになって
いる。水タンク11と還流管26は外に熱を逃がし易いよう
に外部の空気に晒された状態に配置され、その還流管26
では、一部の蒸気が自然冷却により凝縮した水となって
水タンク11に流入する一方、水タンク11では、残りの蒸
気状の水が凝縮されて液化、即ち、水タンク11内の水中
に導かれ、その水によって蒸気状の水が冷却されて凝縮
液化し、また水に溶けない未反応ガスは水タンク11の上
端に接続された排気管27から外部に排気される。反応部
5に供給される燃料と燃焼のバランスを取ることで、水
タンク11内に貯留された水は、蒸気状の水を冷却した際
に吸収する熱により加熱されて蒸気化するようなことは
ない。水タンク11内で液化した水は、再びポンプ14によ
り改質器1へ供給されるようになっている。
上述した燃料電池では、電池セル2の陽極6側に発生
した蒸気状の水が、還流管26により水タンク11へ還流さ
れるため、それが再び水素ガス生成用に活用されるよう
になっているが、その還流管26の途中には凝縮器や水蒸
気セパレータは設けられていない。すなわち、この燃料
電池では、外に熱を逃がし易いように外部の空気に晒さ
れた状態に配置された水タンク11と還流管26が凝縮器お
よび水蒸気セパレータの機能を直接兼ねている。
したがって、これら凝縮器や水蒸気セパレータを設置
するスペースは不要であり、装置全体をコンパクトにす
ることができる。そのため、小型化して車両で運搬可能
な可搬型の燃料電池にする場合に有効である。
また、本発明では、陽極6側にブロワを介して空気を
供給するようにしているため、陽極6側で発生した蒸気
状の水が還流管26を経て速やかに水タンク11に導かれ
る。そのため、蒸気状の水が陽極6側に滞留したことに
起因した発電効率の低下を招くことがない。
また、バーナ4に燃料タンク10から燃料を供給すると
共にブロア15を介して外部の燃焼用空気を供給し、また
バーナ4によりその上部に配置した反応部5を加熱する
構成にする一方、電池セル2の陽極6側にブロア9によ
り外部の空気を直接供給し、更に、還流管26や水タンク
11に特別な部材を追加することなくそのまま外部の空気
に晒された状態に配置等するため、燃料電池を運搬に適
したよりコンパクトな配置にすることができる。
〔発明の効果〕
上述したように本発明は、水タンクと電池セルの陽極
側との間を還流管で接続して、陽極側で発生した蒸気状
の水を水タンクの水中に直接還流する構成にすると共
に、その水タンクと還流管とを外部の空気に晒された状
態で配置し、また、水タンクの上端に未反応ガスを外部
に排出する排気管を接続するため、還流管内で一部の蒸
気状の水が自然冷却により凝縮した水となって水タンク
に戻る一方、水タンクでは、加熱された未反応ガスを効
果的に外部に排出すると共に水タンクにおける熱を外部
に有効に逃がしながら、水タンク内の水により残りの蒸
気状の水を冷却して凝縮液化させることができ、水タン
クと還流管を凝縮器及び/又は水蒸気セパレータとして
直接機能させることにより、それら機器の設置スペース
を不要にし、それによって、燃料電池を車両により運搬
可能な可搬型のコンパクトなものにしながら、電池セル
で発生する水を有効に活用することができる。反応部に
供給される燃料と燃焼のバランスを取ることで、水タン
ク内に貯溜された水が、蒸気状の水を冷却した際に吸収
する熱により加熱されて蒸気化するようなことはない。
また、バーナに燃料タンクから燃料を供給すると共に
ブロアを介して外部の燃焼用空気を供給し、バーナによ
りその上部に配置した反応部を加熱する構成にする一
方、電池セルの陽極側にブロワにより外部の空気を供給
し、更に、水タンク及び還流管に特別な部材を付加する
ことなくそのまま外部の空気に晒された状態に配置等す
るため、燃料電池を車両により運搬可能な可搬型にしな
がら、よりコンパクトな配置にすることが可能となる。
その上、電池セルの陽極側の一端にブロワを接続する
一方、陽極側の他端に還流管を接続し、該ブロワにより
陽極側に空気を供給するようにしたので、陽極側で発生
した蒸気状の水を他端の還流管を介して速やかに水タン
クに送ることができ、その結果、陽極側で発生した蒸気
状の水の滞溜による発電効率の低下を防ぐことができ
る。
【図面の簡単な説明】
図は本発明の実施例からなる燃料電池のシステム図であ
る。 1……改質器、2……電池セル、4……バーナ、5……
反応部、6……陽極、7……陰極、8……電解質マトリ
ックス、9……ブロワ、10……燃料タンク、11……水タ
ンク、24……供給管、26……還流管。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】メタノールを貯蔵した燃料タンクと水を貯
    溜した水タンクからそれぞれ燃料と水とを改質器に供給
    し、この改質器の反応部でバーナ加熱により発生した水
    素を電池セルの陰極側に供給する一方、空気を電池セル
    の陽極側に供給して電池セル内における電気化学反応に
    より蒸気状の水と電気エネルギとを発生する燃料電池に
    おいて、 前記バーナに前記燃料タンクから燃料を供給すると共
    に、前記バーナにブロアを接続して外部の燃焼用空気を
    供給し、該バーナによりその上部の反応部を加熱する一
    方、前記電池セルの陽極側の一端にブロワを接続して、
    該陽極側に外部の空気を供給するように構成し、前記水
    タンクを外部の空気に晒された状態に配置すると共に、
    該水タンクと前記電池セルの陽極側の他端との間を外部
    の空気に晒された状態で配置した還流管で接続して、該
    陽極側で発生した蒸気状の水を水タンクの水中に直接還
    流する構成にする一方、前記水タンクの上端に未反応ガ
    スを外部に排出する排気管を接続し、前記燃料タンクと
    水タンクとからそれぞれ液体状態で供給される燃料と水
    とを同じ供給管を介して該燃料と水とを混合した状態で
    前記改質器に供給する構成にし、車両により運搬可能な
    可搬型にしたことを特徴とする燃料電池。
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