JP2559049Y2 - 使い捨て衛生吸収物品 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、おむつ、幼児用トレ
ニングパンツ、失禁パッドなどの使い捨て衛生吸収物品
に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の物品において、着用者の
臀部が位置する領域に大便保持部を設けたものが幾つか
知られている。前記公知の大便保持部は、物品の吸液性
パネルに凹部を設け、該凹部の開口面を物品の透液性表
面シートで平面的に被覆するか、又は該凹部の内面に沿
って該表面シートを凹ませてある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかし、一般に前記表
面シートとしては、大便液状分は透過するが、大便固形
分が透過しない不織布を用いるため、前記凹部の開口面
を表面シートで平面的に被覆したものは、前記凹部に大
便固形分が流入せず、前記凹部を設けた効果がえられな
い。また、前記凹部の内面に沿って前記表面シートを凹
ませたものは、前記凹部に大便固形分が流入するが、着
用者の動きや体圧によって排泄固形分が前記表面シート
の上面へ容易に逆流して拡散し着用者の肌を汚す。この
汚れは物品の取り換えの手間を増すばかりでなく、皮膚
病の原因ともなる。

【０００４】この考案の課題は、前述のような欠点のな
い大便保持部を極めて簡単な手段によって解決すること
にある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】透液性表面シートと不透
液性裏面シートとの間に介在させた吸液性パネルとから
物品本体を形成し、着用者の臀部が当接する領域の該本
体に大便保持部を設けてある使い捨て着用吸収物品を前
提とし、次の点を特徴とする。

【０００６】即ち、前記保持部は、前記表面シートが接
する前記パネルの上面から前記パネルの底面方向へ延在
させた凹部と、該凹部の開口面に位置する前記表面シー
トに該凹部の開口よりも小さく形成した開孔部と、該凹
部の開口縁から該凹部の開口中心方向へ前記表面シート
部分を延在させて形成した弁部とから構成してあり、前
記凹部はその開口面からその底面へテーパー状に拡大さ
せてある。

【０００７】

【作用】排泄された大便は前記保持部の前記弁部を押し
退けて前記凹部へ流入する。このとき、前記弁部が前記
凹部の底面側へ傾斜し大便を凹部へ導入させる。また、
前記弁部は、これを大便が通過した後、大便の性状にも
よるが、大便が乳幼児などの軟かいものであれば、復元
性向を示し、前記凹部に滞留した大便が前記表面シート
の上面へ逆流するのを極力抑制する。

【０００８】

【実施例】図面を参照して、この考案に係る物品の実施
例を使い捨ておむつを例にとって説明すると、以下のと
おりである。

【０００９】図１において、おむつは、透液性表面シー
ト１と、不透液性裏面シート２と、表裏面シート１，２
の間に介在させた吸液性パネル３と、両側の表裏面シー
ト１，２の間に介在させた脚回り弾性部材４と、腰回り
締結片５とからなる。

【００１０】おむつを着用したとき、着用者の臀部が当
接する領域、更に具体的には、肛門が対向する領域に大
便保持部６を設けてある。

【００１１】図２（Ａ），（Ｂ）において、大便保持部
６は、パネル３に形成した凹部７と、凹部７の開口面に
位置する表面シート１に形成した開孔部８と、弁部９と
から構成してある。

【００１２】凹部７は、その開口面からその底面へテー
パー状に拡大させてある。ただし、場合によっては、開
口が底面と同じ大きさでも底面よりも大きくてもよい。
凹部７の空間体積は、１００ｇ／ｃｍ²以下の加圧下に
おいて、１００〜１００００ｍｍ³であることが好まし
い。こうした凹部７は、パネル３の一部をその厚さ方向
へ圧搾するか、除去することなどによって形成すること
ができる。

【００１３】開孔部８は、凹部７の開口よりも小さく形
成してある。弁部９は、凹部７の開口縁の周り方向へ複
数に分割してある。こうした開孔部８及び弁部９は、表
面シート１をメルトブロー法による不織布から作る場
合、そのとき同時にモールド賦形してうることができる
が、該不織布又はその他の不織布を製造後に加工してう
ることもできる。

【００１４】図３（Ａ），（Ｂ）において、大便保持部
６の別の実施例を示してある。この場合の開孔部８ａ
は、先の開孔部８よりも大きく楕円形に形成し、かつ、
弁部９ａは、先の弁部９とは異なり、凹部７の開口縁の
周り方向へ連続的に形成してある。

【００１５】表面シート１には不織布、裏面シート２に
はプラスチックシート、パネルにはフラッフパルプと熱
可塑性繊維と高吸収性ポリマーとの混合物を加熱下に圧
縮成形したものを用いることができる。

【００１６】なお、弁部９，９ａは、図上、傾斜させて
示してあるが、大便がそれを通過する前の状態では、作
為的にそのように傾斜させておく必要はない、換言する
と、自重でそのように傾斜する場合は別として、表面シ
ート１の他の部分と実質的に同平面にあるようにしてあ
ってもよい。

【００１７】

【考案の効果】以上の構成を有するこの考案に係る物品
によれば、大便保持部を構成する弁部が大便に押し退け
られて大便保持部を構成する凹部の底面側へ傾斜するか
ら、前記弁部が漏斗状機能を果し、大便を円滑かつ迅速
に前記凹部へ導入させることができる。また、比較的軟
かい大便が前記弁部を経て前記凹部に滞留した後は、前
記弁部が復元性向を示すから、その滞留した大便が表面
シートの上面へ逆流して拡散するようなことが少ない。

【００１８】前記凹部がその開口面からその底面へテー
パー状に拡大させてあるから、前記逆流の防止がより効
果的になる。

【００１９】前記弁部が複数に分割してある場合には、
前記傾斜がそれだけ容易である。

【図面の簡単な説明】

【図１】使い捨ておむつを展開しその一部を切欠した斜
視図。

【図２】Ａは大便保持部の平面図、Ｂは大便保持部の断
面図。

【図３】Ａは別の実施例を示す大便保持部の平面図、Ｂ
は大便保持部の断面図。

【符号の説明】

１ 表面シート ２ 裏面シート ３ パネル ６ 大便保持部 ７ 凹部 ８，８ａ 開孔部 ９，９ａ 弁部

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】透液性表面シートと不透液性裏面シートと
   の間に介在させた吸液性パネルとから物品本体を形成
   し、着用者の臀部が当接する領域の該本体に大便保持部
   を設けてある使い捨て衛生吸収物品において、 前記保持部は、前記表面シートが接する前記パネルの上
   面から前記パネルの底面方向へ延在させた凹部と、該凹
   部の開口面に位置する前記表面シートに該凹部の開口よ
   りも小さく形成した開孔部と、該凹部の開口縁から該凹
   部の開口中心方向へ前記表面シート部分を延在させて形
   成した弁部とから構成してあり、かつ、前記凹部はその
   開口面からその底面へテーパー状に拡大させてあること
   を特徴とする前記物品。
2. 【請求項２】前記弁部は前記凹部の開口縁の周り方向へ
   複数に分割してある請求項１に記載の物品。