JP2558964Y2 - 樹脂成形用金型 - Google Patents

樹脂成形用金型

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JP2558964Y2
JP2558964Y2 JP1995000454U JP45495U JP2558964Y2 JP 2558964 Y2 JP2558964 Y2 JP 2558964Y2 JP 1995000454 U JP1995000454 U JP 1995000454U JP 45495 U JP45495 U JP 45495U JP 2558964 Y2 JP2558964 Y2 JP 2558964Y2
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英三 前島
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株式会社板屋製作所
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29KINDEXING SCHEME ASSOCIATED WITH SUBCLASSES B29B, B29C OR B29D, RELATING TO MOULDING MATERIALS OR TO MATERIALS FOR MOULDS, REINFORCEMENTS, FILLERS OR PREFORMED PARTS, e.g. INSERTS
    • B29K2101/00Use of unspecified macromolecular compounds as moulding material
    • B29K2101/12Thermoplastic materials

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  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は樹脂成形用金型に係り、
特に極めて薄い成形品を安定的且つ効率良く成形できる
よう構成された樹脂成形用金型に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に熱可塑性樹脂材を溶融して所定形
状の成形品を制作する場合には、射出成形機のヒータに
より加熱して溶融された流動状態の溶融樹脂を樹脂成形
用金型に注入して成形する射出成形法が用いられる。こ
の種の射出成形法では、溶融樹脂(ポリマー溶融体)を
比較的高圧、高速で樹脂成形用金型内に注入して所定の
成形品を得るプロセスが重要である。
【0003】熱可塑性樹脂材は、あらゆる分野で広く使
用されている高分子物質であり、およそ160〜300
°C程度に加熱されると、軟化(可塑化)して粘弾性流
動体となり、溶融状態であるが粘度は極めて高い。従っ
て、成形時には、熱可塑性樹脂材を加熱して粘弾性流動
体とすると共に、高い圧力(およそ700〜2000Kg
f/cm2 程度)を加えて金型内に注入する。
【0004】射出成形機のホッパに投入された熱可塑性
樹脂材は、射出成形機のヒータにより粘弾性を有する流
動状態に溶融されながら、更に射出成形機のスクリュウ
の回転により溶融混練される。そして、射出成形機のシ
リンダ前部に所定量計量された溶融樹脂は、スクリュウ
の前進により加圧されて樹脂成形用金型内に注入され
る。そして、射出成形機から注入された溶融樹脂(粘弾
性流動体)は、スプルー,ランナー,ゲート等の金型内
に形成された通路を通過してキャビティ内に充填され
る。
【0005】金型の温度は、溶融状態とされた粘弾性流
動体の温度に較べると温度差が大きく、かなり低い温度
に維持されている。そのため、金型内のキャビティに充
填された溶融樹脂が金型により冷却されて固化された
後、成形品が金型から取り出される。このように流動状
態とされた溶融樹脂が注入される過程では、上記通路に
おける樹脂量をできるだけ少なくして無駄を減らすこと
により製造コストを下げることが要望されている。
【0006】ところが、上記通路を狭くして通路の容積
を小さくすると、通路を通過する溶融樹脂の供給量が絞
られてキャビティ内に充填することが難しくなる。その
主な理由は、金型温度にある。一般に、射出成形機の装
着される金型の温度は、加熱された溶融樹脂の溶融温度
に対して極めて低い温度に設定されている。この金型温
度は、熱可塑性樹脂材を成形する金型の場合、溶融樹脂
の金型内における流動性を高めるためのものではなく、
溶融樹脂が充填された後の冷却時間を短縮するために溶
融温度よりもかなり低い温度に維持されている。
【0007】図6は上記金型内に形成された通路内を溶
融樹脂が流れる様子を拡大して示す断面図である。その
ため、樹脂溶融温度と金型温度との差により金型31の
通路内壁に接した溶融樹脂が急速に固化してスキン層
(固化層)32が形成され、スキン層32とならない中
間の流動層33によって粘弾性を有する溶融樹脂がキャ
ビティの末端部分まで充填されることになる。
【0008】従って、溶融樹脂が金型内に注入される際
の特性を考慮すると、樹脂充填時の金型温度はできるだ
け樹脂温度近くまで上昇させることにより、通路におけ
る溶融樹脂の供給が容易になるとともに、キャビティ内
に充填された溶融樹脂が固化された成形品の内部応力が
減少する。さらに、溶融樹脂の充填完了と同時にできる
だけ短時間で金型温度を低下させて冷却時間を短縮する
ことが望ましい。
【0009】
【考案が解決しようとする課題】ところが、上記射出成
形法では、溶融樹脂をキャビティに注入する過程で通路
における金型温度と樹脂溶融温度との温度差により形成
されたスキン層32と流動層33との間に流動抵抗によ
る剪断応力が発生し、残留内部応力が成形品の物性低
下,変形等の原因となるばかりか次のような問題が生ず
る。
【0010】 ヒータ等により金型温度を樹脂溶融温
度との差が小さくなるように加熱すると、成形品の物
性,外観,金型表面の再現性等が改善される反面、溶融
樹脂注入後の冷却時間が長くかかり、結果的に溶融樹脂
を注入してから成形品を金型から取り出せるようになる
までの成形時間が長くなり、採算性が悪化するといった
問題が生ずる。
【0011】 従来は、上記のように溶融樹脂がスキ
ン層32を形成しながら樹脂成形用金型に充填されるた
め、現状では問題なく量産できる成形品の最小肉厚値は
1〜2mmであるが、成形品の肉厚が0.5mm以下になれ
ば流動層が流れる隙間がほとんどなくなり成形不可能と
なるといった問題が生ずる。 肉厚が極めて薄い成形品を成形する場合、流動抵抗
が大きいためキャビティの末端部分まで溶融樹脂の注入
圧力がかからず充填不足となるか、あるいは充填不足と
ならないように極端に高い圧力,速度をかけると金型間
の隙間まで溶融樹脂が進入してバリが発生してしまう。
【0012】 熱可塑性樹脂を加熱して溶融状態とさ
れた溶融樹脂は、粘弾性を有する流動体であり、ニュー
トン流体とは異なり剪断応力が変化すると粘度が変化す
るため、圧力が高くなれば剪断応力も大きくなって粘度
が減少して流動性が高まり、その圧力変化に応じて数1
00倍の流出量となる。即ち、比較的流動抵抗を受けな
いような肉厚の場合は、金型内の溶融樹脂の流動が層流
となり、成形品の品質が良好になるが、肉厚が薄い場合
は、金型内に溶融樹脂が注入された際、樹脂温度の急速
な低下、流動抵抗により溶融樹脂の流動が行われない。
従って、射出圧力は設定圧力近くまで上昇するため、圧
力上昇により流動抵抗が小さくなり、流動を開始するよ
うな状態となり、流れは乱流、即ち弾性乱流となり、こ
のような流動状況の成形品の諸物性が正常な層流で成形
されたものに比較して劣ってしまうといった問題が生ず
る。
【0013】また、従来の樹脂成形用金型としては、例
えば(イ)特開平 2-111516 号公報あるいは(ロ)実開
昭 62-85409 号公報にみられるようなものがある。上記
(イ)の公報では、キャビティ構成部の表面に金型の耐
磨耗性を高めて長寿命化を図るためのセラミックス薄膜
を形成した成形用金型が開示されている。また、(ロ)
の公報では、スプルーの長寿命化を図るため金属外筒の
内側に耐磨耗性、耐腐食性、耐熱性を有するセラミック
内筒を嵌合させた成形用金型が開示されている。
【0014】しかしながら、上記(イ)(ロ)の公報に
記載されたものは、いずれも金型の耐磨耗性、耐腐食性
を高めて長寿命化を図ることを目的としているだけであ
り、金型に注入された溶融樹脂にスキン層が形成される
ことを防止できず、溶融樹脂の流動性を高めることがで
きなかった。特に薄い成形品を成形する場合、(イ)
(ロ)の公報に記載されているようにセラミックス薄膜
あるいはセラミック内筒を設けてもキャビティ内の空間
も狭いため、スキン層が形成されやすく、キャビティの
末端部分まで十分に溶融樹脂を充填することが難しいの
で成形品の不良率を下げることができなかった。
【0015】そこで、本考案は上記問題を解決した樹脂
成形用金型を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本考案は、熱可塑性樹脂
材を加熱して流動状態とされた溶融樹脂が金型内部に形
成された樹脂注入用の通路を介してキャビティ内に注入
される樹脂成形用金型において、前記通路の内壁に前記
溶融樹脂の注入に伴って前記溶融樹脂からの熱を吸収す
ることにより遠赤外線を放射する遠赤外線放射膜を被覆
形成すると共に、前記キャビティの内壁に前記遠赤外線
放射膜を被覆形成してなること特徴とするものである。
【0017】
【作用】本考案によれば、以下の作用を有する。 (I) 溶融樹脂が充填されるキャビティの内壁及び溶融
樹脂をキャビティに供給する通路に溶融樹脂からの熱を
吸収することにより遠赤外線を放射する遠赤外線放射膜
を被覆形成することにより、流動性を有する溶融樹脂の
流動温度の低下を抑えることができ、そのためキャビテ
ィ及び溶融樹脂をキャビティに供給する通路において注
入された溶融樹脂の金型に接する部分にスキン層が形成
されることを防止できる。
【0018】これにより、金型に注入された溶融樹脂の
流動抵抗が減少するため、キャビティに連通された通路
において、溶融樹脂が流れやすくなるとともに、キャビ
ティ内においても溶融樹脂が流れやすくなってキャビテ
ィの末端部分まで溶融樹脂を充填することが可能とな
る。 (II) さらに、キャビティの内壁及びキャビティに連通
する通路の内壁に接する溶融樹脂にスキン層がほとんど
発生しないので、狭い通路でも溶融樹脂の流動抵抗が高
くならず、その分溶融樹脂注入圧力が低くて済む。
【0019】そのため、高射出圧力でないと充填不可能
であった薄い成形品でも低射出圧力で成形可能になる。
その結果、キャビティ内に充填された溶融樹脂での残留
内部応力が減少し、成形品の成形精度を向上させること
ができる。 また、低射出圧力で溶融樹脂を金型に注入す
ることができるので、金型間の隙間に溶融樹脂がはみ出
すことが抑制されてバリ発生を防止できる。 (III) さらに、従来成形不可能な肉厚の薄い成形品、例
えば0.5mm程度の薄板状の成形品を成形する場合でも
溶融樹脂が層流状態でキャビティの末端部分まで充填さ
れるため、薄い成形品の不良率を下げることができ、一
般には成形が難しいとされている薄い成形品を安定的且
つ高精度に成形できる。
【0020】
【実施例】図1乃至図3に本考案になる樹脂成形用金型
の一実施例を示す。各図中、樹脂成形用金型1は、大
略、固定側取付板2と、ランナーストリッパプレート3
と、キャビティ背板4と、キャビティプレート5と、ス
トリッパプレート6と、コアプレート7と、可動側取付
板(背板)8とを組み合わせてなる。
【0021】ランナーストリッパプレート3の下面には
キャビティ背板4に穿設されたガイド孔4aに嵌合する
ガイドピン10が突出している。また、コアプレート7
の上面にはキャビティプレート5及びストリッパプレー
ト6に嵌合するガイドピン11が突出している。さら
に、固定側取付板2の上面中央に穿設されたスプルーブ
ッシュ取付孔2aには、スプルーブッシュ12、成形機
取付時の位置決め用リング13が嵌合する。上記キャビ
ティプレート5は、後述するようにキャビティ25を形
成するためのプレートで、上面にはキャビティ背板4が
一体に固着されている。また、キャビティプレート5及
びキャビティ背板4は、固定側取付板2に植設されたガ
イドピン10により摺動自在に支持されており、樹脂充
填時は図1に示すようにランナーストリッパプレート3
とストリッパプレート6との間で挟持される。
【0022】15は制限ピンで、一端(上端)がランナ
ーストリッパプレート3にネジ止めされ、他端(下端)
がキャビティプレート5の孔5aに嵌合し型開時(図2
)キャビティプレート5の摺動位置を規制する。1
6はストリッパプレート引っ張りピンで、上端にねじ込
まれた上端ナット16aがキャビティプレート5の孔5
b及びキャビティ背板4の孔4bに嵌合し、下端にねじ
込まれた下端ナット16bがストリッパプレート6の孔
6a,コアプレート7のガイド孔7a及び可動側取付板
(背板)8の孔8aに嵌合している。
【0023】従って、型開時は図2に示すように離型抵
抗の最も小さいランナーストリッパプレート3とキャビ
ティプレート5に固着されたキャビティ背板4との間が
開きストリッパプレート引っ張りピン16によってラン
ナーストリッパプレート3が固定側取付板2より離れ、
ランナーロックピン17より抜けたランナー18及びス
プルーゲート19に充填された樹脂29が落下する。更
に、ランナーストリッパプレート制限ピン15及びスト
リッパプレート引っ張りピン16によりストリッパプレ
ート6がコアプレート7より離れ、コア22より成形品
23を離型させる。
【0024】また、ランナーストリッパプレート3はス
プルーブッシュ12の先端が嵌合するテーパ状の取付孔
3aが穿設され、ランナーストリッパプレート3の下面
3bとキャビティ背板4の上面に設けられた細長形状の
溝4aとの間にはランナー18が形成されている。24
はキャビティブロックで、キャビティプレート5の取付
孔5cに嵌合しキャビティ背板4との間で挟持されてい
る。また、キャビティブロック24の上部にはスプルー
ブッシュ21が設けられている。
【0025】コア22は、コアプレート7の取付孔7b
に嵌合し、可動側取付板8との間で挟持されている。
尚、コア22は、キャビティブロック24に対応する形
状に形成されている。本実施例では、キャビティブロッ
ク24が凹部24aを有する雌型で、コア22が凸部2
2aを有する雄型である。図4に示すように、上記下部
コア22とキャビティブロック24との間に形成される
空間が、成形品23が成形されるキャビティ25とな
り、上記スプルーゲート19を有するスプルーブッシュ
21に連通している。さらに、コア22の内部及びキャ
ビティブロック24の周囲には、複数の流路26,27
が設けられている。
【0026】複数の流路26,27には温度調節器(図
示せず)により所定温度の流体が供給される。本実施例
では、成形時は連続して金型を所定温度にする流体が複
数の流路26,27に供給される。金型の温度調節の主
目的は、成形時に金型温度を一定に保ち、成形品の品質
を安定させることであるが、射出完了後の冷却時間を短
縮させるためには、金型温度は低温であることが望まし
い。
【0027】しかし、従来の金型による射出成形におい
ては、金型内の溶融樹脂の流動状況、残留応力、金型表
面の再現性等を考慮した上で金型温度を設定せざるを得
ない。本実施例では、後述する如く遠赤外線による加熱
効果のため、金型温度は従来(一例として約30〜40
°C)より低温度(例えば5〜10°C)の設定が可能
になる。
【0028】上記スプルーブッシュ12の内壁12a,
ランナ18,スプルーブッシュ21の内壁21a,キャ
ビティブロック24の凹部24a及びコア22の凸部2
2aの表面に、遠赤外線放射体が被覆されて遠赤外線放
射膜28(28a〜28e)が形成されている。この遠
赤外線放射膜28(28a〜28e)は、外部からヒー
タ等により加熱して遠赤外線を放射させて溶融樹脂の流
動性を確保するのではなく、溶融樹脂の充填に伴って溶
融樹脂からの熱を吸収することにより遠赤外線を放射す
るものであり、射出成形機により加熱された溶融樹脂か
らの熱を利用して溶融樹脂を周囲から加熱することがで
きる。
【0029】この遠赤外線放射膜28(28a〜28
e)は、例えばプラズマ溶射により遠赤外線セラミック
スを上記溶融樹脂が流れる通路(スプルーブッシュ1
2,ランナ18,スプルーブッシュ21)及びキャビテ
ィ25の表面にコーティング(被覆)された薄膜であ
り、特に精密加工された凹部21a及び凸部22aの許
容誤差範囲内の膜厚に形成されている。また、遠赤外線
セラミックスの素材としては、例えばアルミナ(Al2
3 ),シリカ(SiO2 ),チタニア(TiO2 )等
が使用される。
【0030】プラズマ溶射の場合、プラズマジェットの
中に上記のような遠赤外線セラミックスの粉末を吹き付
けて溶解した遠赤外線セラミックス粒子を上記通路に吹
き付けるため、溶射時間を調整することにより遠赤外線
放射膜28を所望とする膜厚に形成でき、上記溶融樹脂
が流れる通路の表面に均一な膜厚でコーティングでき
る。
【0031】また、遠赤外線放射膜28に遠赤外線セラ
ミックスを使用することにより、後述するようにキャビ
ティ25の末端まで溶融樹脂を充填することができる。
上記遠赤外線放射膜28の形成方法としては、プラズマ
溶射に限らず、例えば蒸着法,イオンプレーティング
法,スパッタ法,CVD( Chemical Vapor Deposition
)等の薄膜形成技術を用いても良い。
【0032】上記構成になる樹脂成形用金型1により成
形を行う場合、上記樹脂成形用金型1は射出成形機(図
示せず)に取り付けられ、スプルーブッシュ12には溶
融樹脂注入用ノズル(図示せず)が挿入される。また、
可動側取付板9は型開時又は型締時に駆動される駆動機
構のロッド(図示せず)に連結される。そして、図1に
示すように、上記樹脂成形用金型1が閉じた状態(型締
時)で溶融樹脂注入用ノズルから約150〜300°C
の温度に加熱された熱可塑性樹脂材の溶融樹脂がスプル
ーブッシュ12に注入されると、溶融樹脂は射出成形機
のスクリュウ(図示せず)により加圧されているので、
一瞬のうちにランナ18,スプルーゲート19を通過し
てキャビティ25内に充填される。
【0033】このようにして溶融樹脂が充填される過程
において、遠赤外線放射膜28は溶融樹脂の充填に伴っ
て溶融樹脂からの熱を吸収することにより遠赤外線を放
射する。この遠赤外線の放射は、熱効果の大きい波長域
の電磁波が空間(本実施例では溶融樹脂が流れる通路)
に伝播していく現象であり、遠赤外線が放射されるのは
遠赤外線セラミックスの分子運動に依存する電磁力線の
振動波である。
【0034】また、赤外線放射はケルビン零度(絶対温
度の零度K)でない限りどんな材質からも放射されてお
り、温度が低ければ長波長の赤外線が弱く、高ければ短
波長の赤外線が強く放射されるとともに、各遠赤外線セ
ラミックスによって固有の赤外線放射のプロファイルを
有し、熱放射に伴う波長の電磁波の強度分布は温度と関
係が深いことが知られている。
【0035】図5(A)(B)(C)はチタン酸アルミ
ニウム(TiO2 ・Al2 3 )よりなる遠赤外線セラ
ミックスの200°C,350°C,500°Cにおけ
る分光赤外線放射率と波長との関係を示す。同図より、
200°Cの比較的低い温度でも500°Cの高い温度
でも各スペクトルはほとんど差がないことが分かる。即
ち、チタン酸アルミニウム(TiO2 ・Al2 3 )よ
りなる遠赤外線セラミックスのように温度の高低によっ
て相の変化や組織・構造の大きな変化がないようなと
き、分光赤外線放射曲線は温度が何度であってもほぼ同
じ曲線となる。
【0036】前述したように、スプルーブッシュ12の
内壁12a,ランナ18,スプルーブッシュ21の内壁
21a,キャビティブロック24の凹部24a及びコア
22の凸部22aの表面には、遠赤外線放射膜28(2
8a〜28e)がコーティングされているため、射出成
形機により加熱された溶融樹脂がスプルーブッシュ12
に注入されて遠赤外線放射膜28の表面に接すると、遠
赤外線放射膜28は溶融樹脂からの熱を吸収して遠赤外
線を放射する。そのため、注入された溶融樹脂は遠赤外
線放射膜28から放射された遠赤外線により加熱され、
金型温度に冷却されることが防止される。
【0037】従って、樹脂成形用金型1に注入された溶
融樹脂には、前述したようなスキン層(固化層)が形成
されにくい。即ち、樹脂成形用金型1内の各通路を通過
する溶融樹脂は、遠赤外線放射膜28の表面に接する部
分でも流動層のままとなり、層流状態のままスプルーブ
ッシュ12,ランナ18,スプルーゲート19を通過し
てキャビティ25内に充填される。
【0038】キャビティ25はキャビティブロック24
の凹部24aとコア22の凸部22aとが僅かな隙間を
介して近接しているが、溶融樹脂は遠赤外線放射膜28
からの熱放射により流動体のままキャビティ25の末端
部分まで充填される。この場合、スキン層がほとんど発
生しないので、溶融樹脂の流動抵抗が高くならず、その
分溶融樹脂注入圧力が低くて済む。
【0039】従って、高射出圧力でないと充填不可能な
成形品でも低射出圧力でも成形可能になり、充填後の残
留内部応力が減少して成形品の成形精度が向上するとと
もにバリ発生を防止できる。しかも、従来成形不可能な
肉厚の薄い成形品、例えば0.5mm程度の薄板状の成形
も溶融樹脂が層流状態でキャビティ25の末端部分まで
充填されるため、安定的且つ高精度に成形できる。さら
に、溶融樹脂充填時の金型温度と溶融樹脂を生成するシ
リンダ温度との差が小さいので、従来のようにこの温度
差により溶融樹脂の流動速度が変動して成形品のひけ、
そり等が発生することを防止でき、不良率を下げること
ができる。
【0040】次に溶融樹脂の充填が完了すると、前述し
た複数の流路26,27に供給された流体によりキャビ
ティブロック24及びコア22が冷却される。本実施例
の樹脂成形用金型1では、遠赤外線放射膜28が溶融樹
脂からの熱を吸収して遠赤外線を放射して溶融樹脂を加
熱するため、ヒータ等により加熱する必要がない。その
ため、溶融樹脂充填後のキャビティブロック24及びコ
ア22を冷却する時間が短縮され、キャビティ25に充
填された溶融樹脂も急速に冷却されるため、遠赤外線の
放射が止まるとともにキャビティ25内に充填された溶
融樹脂は短時間で固化する。
【0041】キャビティ25内の溶融樹脂が固化した時
点で、図2に示すように可動側取付板8及びコアプレー
ト7,ストリッパプレート6がA方向に摺動することに
よりキャビティプレート5,キャビティ背板4がランナ
ーストリッパプレート3から離間するとともに、ストリ
ッパプレート6がキャビティプレート5から離間する。
これでキャビティブロック24とコア22とが離間して
樹脂成形用金型1が開いた型開状態となり、続いてスト
リッパプレート6がB方向に摺動して成形品23をコア
22から離間させて成形品23の取り出しを容易にす
る。
【0042】このように、樹脂成形用金型1への溶融樹
脂充填及び溶融樹脂冷却が短時間で行えるので、溶融樹
脂注入開始から成形品23が取り出されるまでの成形時
間が短縮され、成形サイクルが向上する。尚、遠赤外線
放射膜28としては、上記実施例で説明した遠赤外線セ
ラミックスに限らないのは勿論であり、要は溶融樹脂の
充填時に溶融樹脂からの熱を吸収して遠赤外線を放射す
る遠赤外線放射体が金型の内壁に被覆してあれば良い。
【0043】また、上記実施例では、射出成形機に使用
される金型を一例として説明したが、是以外の形式の成
形機に使用される金型にも適用できるのは勿論である。
【0044】
【考案の効果】上述の如く、本考案になる樹脂成形用金
型は、次に挙げる特長を有する。 加熱された溶融樹脂が注入される通路内壁に溶融樹
脂からの熱を吸収することにより遠赤外線を放射する遠
赤外線放射膜を被覆形成したため、溶融樹脂が注入され
ると通路内壁の遠赤外線放射膜が溶融樹脂からの熱を吸
収することにより遠赤外線を放射して通路内壁付近を流
れる溶融樹脂を加熱し、流動性を有する溶融樹脂の流動
温度の低下を抑えることができ、そのため樹脂溶融温度
と金型温度との温度差によりスキン層が形成されること
を抑制して溶融樹脂の流動性を確保することができる。 さらに、上記通路に連通するキャビティ内壁にも遠
赤外線放射膜を被覆形成したため、キャビティ内におい
ても溶融樹脂の流動性を確保して溶融樹脂が流れやすく
なると共に、キャビティ内の狭い部分やキャビティの末
端部分まで溶融樹脂を充填することができる。 また、ヒータにより金型を加熱する構成ではないた
め、樹脂充填後の冷却時間が短縮され、生産性を高める
ことができる。 金型の通路及び通路に連通するキャビティの内壁近
傍の溶融樹脂にスキン層がほとんど発生しないので、溶
融樹脂の流動抵抗が高くならず、その分溶融樹脂注入圧
力が低くて済み高射出圧力でないと充填不可能な成形品
でも低射出圧力で成形可能になる。その結果、キャビテ
ィ内に充填された溶融樹脂での残留内部応力が減少し、
成形品の成形精度を向上させることができる。
【0045】また、低射出圧力で溶融樹脂を金型に注入
することができるので、金型間の隙間に溶融樹脂がはみ
出すことが抑制されてバリ発生を防止できる。 しかも、従来成形不可能な肉厚の薄い成形品、例え
ば0.5mm程度の薄板状の成形する場合でも溶融樹脂が
層流状態でキャビティの末端部分まで充填されるため、
一般には成形が難しいとされている薄い成形品を安定的
且つ高精度に成形できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案になる樹脂成形用金型の一実施例の縦断
面図である。
【図2】樹脂成形用金型の型開時の縦断面図である。
【図3】樹脂成形用金型の分解斜視図である。
【図4】スプルーブッシュ,ランナ,ゲート,キャビテ
ィを拡大して示す縦断面図である。
【図5】セラミックスの各温度における分光赤外線放射
率と波長との関係を示す線図である。
【図6】従来の樹脂成形用金型におけるスキン層の生成
状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 樹脂成形用金型 2 固定側取付板 3 ランナストリッパプレート 4 キャビティ背板 5 キャビティプレート 6 ストリッパプレート 7 コアプレート 8 可動側取付板 12 スプルーブッシュ 18 ランナ 19 ゲート 21 スプルーブッシュ 22 コア 23 キャビティ 24 キャビティブロック 26,27 流路 28(28a〜28e) 遠赤外線放射膜

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂材を加熱して流動状態とさ
    れた溶融樹脂が金型内部に形成された樹脂注入用の通路
    を介してキャビティ内に注入される樹脂成形用金型にお
    いて、 前記通路の内壁に前記溶融樹脂の注入に伴って前記溶融
    樹脂からの熱を吸収することにより遠赤外線を放射する
    遠赤外線放射膜を被覆形成すると共に、前記キャビティ
    の内壁に前記遠赤外線放射膜を被覆形成してなること特
    徴とする樹脂成形用金型。
JP1995000454U 1995-02-08 1995-02-08 樹脂成形用金型 Expired - Lifetime JP2558964Y2 (ja)

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