JP2558763Y2 - 磁気テープカセット用収納ケース - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は磁気テープカセット用収
納ケースに関し、特にオーディオ用磁気テープカセット
を保管する際に用いられる磁気テープカセット用収納ケ
ースの改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】オーデイオ等に用いられる磁気テープカ
セットは、通常その保管時において、プラスチックから
なる磁気テープカセット用収納ケース（以下、単に収納
ケースという場合もある）に収納される。前記磁気テー
プカセット（以下、単にカセットという場合もある）
は、周知のように記録再生装置に装填された際に磁気ヘ
ッド等が挿入されるカセット前方開口部を備え、この前
方開口部を横切るようにして磁気テープが走行するよう
に構成されている。

【０００３】このような構成から、前記カセットは前記
前方開口部からカセット内に塵埃等の異物が侵入しやす
いものである。前記磁気テープに塵埃が付着すると信号
のドロップアウトが生じ、良好な記録・再生を阻害する
もとになる。また、前記カセットのケース本体は上下ハ
ーフケースを重ねた構成で、かつ合成樹脂を用いて成形
したものであり、例えば落下等の比較的強い衝撃に対し
ては充分な強度でなく壊れることもあった。そこで、前
記磁気テープへの塵埃の付着防止及びカセット全体を保
護するために、前記収納ケースに収納しているのが一般
的である。

【０００４】前記収納ケースの基本的な構成を述べる
と、該収納ケースは前記カセットの一端が収納されるポ
ケットを備えた蓋部材と、該蓋部材に枢着され扉の如く
開閉できるケーシング部材とからなり、前記蓋部材及び
前記ケーシング部材は合成樹脂により一体成形されたも
のである。

【０００５】そして、前記収納ケースを成形する合成樹
脂としては、透明度が高く、しかも安価な一般用ポリス
チレン（ＧＰＰＳ）が多用されていた。即ち、前記収納
ケースに収納したカセットのデザインをケース外から目
視したり、前記カセットと共に収納されるインデックス
カードの記載事項を確認する必要から透明度の高い合成
樹脂が多用されていたものである。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、従来よ
り多用されているＧＰＰＳにより成形された前記収納ケ
ースはハイインパクトポリスチレン（ＨＩＰＳ）等の合
成樹脂を用いた場合に比べて、比較的安価でかつ透明度
が高いという利点を有してはいるが、硬度が低く表面強
度が弱いという性質を有している。このため、前記収納
ケースの製造時において、ケース外表面にキズが生じた
り、あるいは長期使用に伴って外表面にキズが付いて好
ましくない。ここで云う製造時におけるキズは、ケース
成形後における搬送速度等を上げることにより生じ易く
なる。すなわち、成形後における成形品の払い出し等に
おける例えばシュートをすべる速度等を速くすることに
より成形品外面に発生する擦りキズの発生率は高まるた
めに、生産性を上げることは不良率の増加を伴ってい
た。

【０００７】一方、前記収納ケースは透明度が高いこと
によって１つの問題点が生じてきている。それは、近年
にあっては、前記カセットを屋外にて使用する機会が増
加してきており、前記収納ケースに直射日光が当たるこ
とが多くなって来たことから、直射日光によってインデ
ックスカードが劣化したり、このインデックスカードを
使用しないときにはカセットの劣化が促進される問題が
発生して来た。特に光透過性の樹脂により形成されたカ
セットにあっては、その劣化はカセット内部にまで発生
し、例えば熱による変形等によりテープ走行性等が低下
して記録再生特性が劣化するなど好ましくなかった。

【０００８】このようなことから、本考案の目的は上記
課題を解消することにあり、収納したカセットあるいは
インデックスカードを目視し得ると共に、キズの発生に
よる外観不良を防止し、かつ日光による収納物の劣化の
発生を低減し得るようにした収納ケースを提供すること
にある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本考案に係る上記目的
は、磁気テープカセットの一端部を収容するためのポケ
ットを有する蓋部材と回転防止突起を有するケーシング
部材とが回転自在に枢着された磁気テープカセット用収
納ケースにおいて、少なくとも前記蓋部材は透明樹脂で
形成され、前記蓋部材と前記ケーシング部材の外表面
は、段差のない平面として形成されており、少なくとも
前記蓋部材の外表面はシボ加工面に形成されたことを特
徴とする磁気テープカセット用収納ケースによって達成
される。

【００１０】

【実施態様】以下、添付図面を参照して本考案の一実施
態様を詳細に説明する。なお、図１は磁気テープカセッ
ト用収納ケース及び磁気テープカセットの斜視図であ
る。磁気テープカセット用収納ケース１は、ポケット４
を有する蓋部材２と、一対の回転防止突起５を有するケ
ーシング部材３とからなっており、前記ケーシング部材
３の左右側壁部３ａの内側に突設された支軸６と前記ポ
ケット４の左右側壁部４ａに透設された嵌合孔（図示せ
ず）とが嵌合されていることにより、前記蓋部材２と前
記ケーシング部材３が扉の如く開閉できる。

【００１１】前記ポケット４は、磁気テープカセット１
１の厚み増大部１２を収納するものであり、前記一対の
回転防止突起５は前記カセット１１のシャフト挿通孔１
３を挿通してハブ１４に係合し、磁気テープのたるみ等
を防止するものである。また、前記左右側壁部４ａには
突起７が形成され、該突起７に対応する前記左右側壁部
３ａには係合凹部８が形成されている。そこで、前記蓋
部材２と前記ケーシング部材３とを閉じた時、前記突起
７に前記係合凹部８が係合し、前記蓋部材２と前記ケー
シング部材３とを閉じ状態に保持する。

【００１２】更に、前記磁気テープカセット１１の上下
面に対向する前記蓋部材２及び前記ケーシング部材３さ
らにはポケット４の各ケース外表面（ポケットの左右側
壁部４ａの外表面を除く）はその全面にわたって、シボ
加工が施されている。なお前記ポケット４の背面壁４ｂ
もシボ加工が施されている。また、前記収納ケース１は
透明なＧＰＰＳ樹脂によって成形されている。なお、ケ
ース外表面は実線の斜線にて示し、ケース内面側からシ
ボ加工面を示した部分については、一点鎖線の斜線にて
示す。なお、前記ポケット４の左右側壁部４ａにシボ加
工が施されないのは、ケース収納の開閉操作のときの前
記蓋部材２と前記ケーシング部材３との擦れを考慮した
ものであって、当然、該左右側壁４ａにもシボ加工を施
してもよい。

【００１３】即ち、ＧＰＰＳ樹脂により形成したことに
より、成形性もよくかつ廉価であり、さらにケース外表
面にシボ加工が施されているので、成形の際や使用に伴
う擦りキズが目立ちにくくなり、又、透明なので収納し
た前記磁気テープカセット１１のラベル１５やポケット
内に入る部分がコ字状に折り曲げられたインデックスカ
ード２０の記載を目視することができる。しかも、シボ
加工が施されたことによって乱反射を生じさせてケース
内への直射日光の侵入をかなり少なくすることができ、
前記カセット１１やインデックスカード２０（図１にお
いてはインデックスカードが蓋部材２から取り出された
状態を示す）の劣化を防止できる。

【００１４】なお、図１に示した収納ケース１において
は、前記ケーシング部材３も透明な素材にて成形して全
体を光透過性のものにて製造したが、必要に応じて前記
ケーシング部材３を不透明なもので成形してもよく、こ
の場合において、ケーシング部材３の外表面にシボ加工
を施す否かは任意である。また、このシボ加工面は単に
細かい凹凸形状を施した構成のほかに、例えば擬革、布
目模様等の適当な模様を施してもよい。このシボ加工面
の形成には、当然、上記凹凸形状や模様に対応した表面
のを有する金型により成形するが、この金型の凹凸形状
はサンドブラスト法や化学エッチング法などの周知の加
工法により適宜形成できる。

【００１５】次に、図２を参照して本考案の他の実施態
様を説明する。なお、本実施態様は、最近非常に多く流
通している磁気テープカセット用薄型収納ケース（以
下、薄型収納ケースという）２１への適用例を示すもの
である。また、該薄型収納ケース２１に収納する磁気テ
ープカセットについては図２には図示しないが、図１に
示した前記磁気テープカセット１１をその前後を逆にし
てポケットに収納する。前記薄型収納ケース２１を構成
する蓋部材２２には、ポケット２３が形成されている
が、該薄型収納ケース２１においては前記厚み増大部１
２が収納されるのではなく、前記磁気テープカセット１
１の後端部が収納される。そして、前記蓋部材２２の開
放側端部に前記厚み増大部１２を受容するための台形凹
部２４が形成されている。

【００１６】一方、ケーシング部材２５には、一対の回
転防止突起２６が形成され、更に該ケーシング部材２５
を前記蓋部材２１に合わせた時、前記台形凹部２４に対
向する位置に台形凹部２７が形成されている。そこで、
前記薄型収納ケース２１に前記磁気テープカセット１１
を収納し、前記蓋部材２２と前記ケーシング部材２５と
を閉じると、前記厚み増大部１２が前記台形凹部２４，
２７に受容される。従って、図１に示した構造のものに
比較してケース厚みが大幅に縮小されている。

【００１７】また、前記蓋部材２２と前記ケーシング部
材２５も支軸２８により開閉自在に軸支されると共に、
前記ポケット２３の左右側壁部２３ａには突起２９が形
成され、該突起２９に対応する前記ケーシング部材２５
の左右側壁部２５ａには係合凹部３０が形成されてい
る。そこで、前記蓋部材２２と前記ケーシング部材２３
とを閉じた時、前記突起２９に前記係合凹部３０が係合
し、前記蓋部材２２と前記ケーシング部材２３とを閉じ
状態に保持する。

【００１８】更に、前記薄型収納ケース２１において
も、前記磁気テープカセット１１の上下面に対向する前
記蓋部材２２、前記ケーシング部材２５及び前記ポケッ
ト２３の各外表面にシボ加工が施されている。従って、
本実施態様においても、上記実施態様と同様の効果を奏
することができる。尚、本考案は上記各実施態様の形状
に限定されるものではなく、複数個の磁気テープカセッ
トをその厚み方向に重ねて収納するように構成した収納
ケースや横に並べて収納するようにした各収納ケース等
の他の各種収納ケースにも適用できるものである。

【００１９】

【考案の効果】以上述べたように、本考案の磁気テープ
カセット用収納ケースは、少なくとも蓋部材は透明樹脂
で形成され、前記蓋部材とケーシング部材の外表面は、
段差のない平面として形成されており、少なくとも前記
蓋部材の外表面はシボ加工面に形成された構成であるの
で、成形の際や使用に伴う擦りキズが目立ちにくくな
り、キズが比較的発生し易いＧＰＰＳ樹脂により形成で
きて成形性もよくかつ廉価で製造できるだけでなく、さ
らに透明な部分にシボ加工が施されたことによって乱反
射を生じさせてケース内への直射日光の侵入をかなり少
なくしてカセットやインデックスカードの劣化を防止で
きると共に、適度の透明性が保たれているので収納され
たカセットのラベルやインデックスカードの記載を目視
することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に基づく磁気テープカセット用収納ケー
スの一実施態様を説明するための斜視図である。

【図２】本考案に基づく磁気テープカセット用収納ケー
スの他の実施態様を示す斜視図である。

【符号の説明】

１ 磁気テープカセット用収納ケース ２ 蓋部材 ３ ケーシング部材 ３ａ 左右側壁部 ４ ポケット ４ａ 左右側壁部 ４ｂ，２３ｂ ポケットの背面壁 ５ 回転防止突起 ６ 支軸 ７ 突起 ８ 係合凹部 １１ 磁気テープカセット １２ 厚み増大部 １３ シャフト挿通孔 １４ ハブ １５ ラベル ２０ インデックスカード ２１ 磁気テープカセット用収納ケース ２２ 蓋部材 ２３ ポケット ２３ａ 左右側壁部 ２４ 台形凹部 ２５ ケーシング部材 ２５ａ 左右側壁部 ２６ 回転防止突起 ２７ 台形凹部 ２８ 支軸 ２９ 突起 ３０ 係合凹部

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 磁気テープカセットの一端部を収容する
   ためのポケットを有する蓋部材と回転防止突起を有する
   ケーシング部材とが回転自在に枢着された磁気テープカ
   セット用収納ケースにおいて、少なくとも前記蓋部材は
   透明樹脂で形成され、前記蓋部材と前記ケーシング部材
   の外表面は、段差のない平面として形成されており、少
   なくとも前記蓋部材の外表面はシボ加工面に形成された
   ことを特徴とする磁気テープカセット用収納ケース。