JP2558342B2 - マーキング付き歯列矯正補助具とその製造方法 - Google Patents

マーキング付き歯列矯正補助具とその製造方法

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JP2558342B2 JP63506206A JP50620688A JP2558342B2 JP 2558342 B2 JP2558342 B2 JP 2558342B2 JP 63506206 A JP63506206 A JP 63506206A JP 50620688 A JP50620688 A JP 50620688A JP 2558342 B2 JP2558342 B2 JP 2558342B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は視覚的に視認可能なマーキング領域を持つ金
属製歯列矯正補助具に関する。
また、本発明は視覚的に視認可能なマーキング領域を
金属製歯列矯正補助具に適用する方法にも関する。
例えば、ブラケット、帯環、腔管等の金属製歯列矯正
補助具の場合では、個々の歯のタイプについてその向き
および配列を確認しておくためにマーキングを施すこと
が必要である。
従来、例えば、マーキング領域となる箇所に適用され
た着色層あるいは該箇所に形成された機械的な印例えば
刻印によって、歯列矯正補助具のマーキングを行うこと
はよく知られている。
歯列矯正補助具は一旦使用された後にリサイクル処理
によって再使用され得る。このようなリサイクル処理で
は、先ず、歯列矯正補助具を歯に固定させていた接着剤
が例えば熱分解的に焼失させられ、次いでその歯列矯正
補助具の全体には本来の光沢表面を得るべく例えば電解
表面処理が施される。
着色マーキングを行った歯列矯正補助具がかかるリサ
イクル処理を受けると、該着色マーキングは消えてその
後視認することはできない。これは歯列矯正補助具にリ
サイクル処理が施されたという証明にはなるが、しかし
そこにはどのような印も付されていないこととなり、そ
の結果歯列矯正補助具の向きおよび配列についての確認
は最早行うことはできない。
刻印等の機械的な印によるマーキングは一回ないし数
回のリサイクル処理に耐え得るが、このようなマーキン
グからは歯列矯正補助具がリサイクル処理を施されたか
否かの確証を得ることはできない。
更に、機械的な印によるマーキングには着色マーキン
グに比べて機械加工費が高く付くという不利点がある。
したがって、本発明の目的は上述したようなタイプの
歯列矯正補助具を改良して、マーキングを容易に施し得
ると共にリサイクル処理の限界回数まで該マーキングを
視認し得るようにすることである。
本発明によれば、かかる目的は冒頭で述べたようなタ
イプの歯列矯正補助具のマーキング領域面を付加的に生
じさせた溶融組織層とすることによって達成される。
本発明において、溶融組織層という意味は鋳造、成形
あるいはその他の方法で作製された金属製歯列矯正補助
具の表面領域を溶融させた該金属製歯列矯正補助具の金
属組織層であって、それを金属製歯列矯正補助具の元来
の金属組織層とは異ならせたものとして理解されるべき
である。
かかる溶融組織層はリサイクル処理の度毎に剥がれる
ということはなく、また金属製歯列矯正補助具のその他
の表面部分と実質的に同じような度合いで消耗し得ると
いう利点を持つ。一方、溶融組織層は所定の厚みで得る
ことが可能であるので、その厚みによって溶融組織層が
耐えられるリサイクル処理の回数が決定され得ることに
なる。
特に、製造の簡素化に関連して言えば、溶融組織層を
歯列矯正補助具の金属材料から形成することが有利であ
り、この場合には付加的な金属材料が必要とされず、歯
列矯正補助具それ自体を溶融すればよいことになる。
歯列矯正補助具のその他の表面から視覚的に識別させ
るために、溶融組織層の表面を荒く、詳しくはクレータ
状表面に加工することが有用であることが分かった。
また、歯列矯正補助具の溶融組織層とその他の表面領
域との視覚的な識別については、溶融組織層が金属材料
と雰囲気媒体との反応生成物となることによって得られ
る。最も単純な場合としては、かかる反応生成物は溶融
組織層を空気の存在下で得られるということから金属酸
化物となる。しかしながら、溶融金属層を他の雰囲気媒
体の存在下で得ることも可能であり、それぞれの反応生
成物によって溶融組織層は焼きなまし色となる。
先に述べたように、溶融金属層の厚みを変化させるこ
とによって、そのマーキングが耐え得るリサイクル処理
の回数を決定し得ることになる。
したがって、最も単純な場合としては、歯列矯正補助
具のそれぞれの表面領域には溶融組織層が一定の厚さす
なわち一定の浸透深さで設けられる。この場合、その厚
さによって、溶融組織層が消耗した際のリサイクル処理
回数が決定され得る。
しかしながら、溶融組織層の厚さを所定の異なった可
変厚さとすることも可能であり、この場合には、例え
ば、各リサイクル処理が施される度毎にマーキング領域
が溶融組織層の消耗のために次第に小さくなり、その結
果歯列矯正補助具に施されたリサイクル処理回数が明ら
かとなる。
更に、溶融組織層に段階状に変化する厚みを与えるこ
とも可能であり、この場合には、例えば、リサイクル処
理が一回行われる度毎にマーキング領域が予め決められ
た領域分だけ小さくされることになる。
上述したような溶融組織層の厚さに関する実施例のす
べてにおいて、本発明の範囲内で該厚さは一回のリサイ
クル処理によって消耗される材料層の倍数特に整数倍と
される。
本発明の更に別の目的は視覚的に視認可能なマーキン
グ領域をできるだけ簡単に適用する方法を提供すること
である。
本発明によれば、かかる目的は、冒頭で述べたような
タイプの方法において、マーキング領域に溶融組織層を
生じさせることによって達成される。
例えば、そのような溶融組織層については、溶融加工
前に付加的な材料を適用し、次いでその材料を溶融手段
でもって歯列矯正補助具の表面に一体化することによっ
て得ることができる。しかしながら、もっと簡単な方法
として、付加的な材料を適用せずに歯列矯正補助具の表
面を溶融することによって該溶融組織層を得ることも可
能であり、この場合には例えば研磨表面を持つ歯列矯正
補助具のマーキング領域だけが溶融されることになる。
特に、歯列矯正補助具の溶融組織層をその他の領域か
ら視覚的に明確に識別し得るようにするためには、溶融
組織層を生じさせる際に個々の点で溶融程度を異ならせ
て溶融面の粗面化を増大させることが有利である。
本発明による方法において、溶融組織層をレーザビー
ム、電子ビームあるいはマイクロプラズマ等によって生
じさせることが特に有利であることが明らかにされた。
というのは、それら手段を用いることによって、ありと
あらゆる形態の溶融組織層をマーキングとして簡単に施
し得るからであり、またかかる手段が溶融組織層を所定
の厚さで生じさせるのに最も適しているからである。
歯列矯正補助具の研磨面と溶融組織層とをできるだけ
明確に視覚的に識別させ得るようにするためには、金属
材料と反応する媒体の存在下で溶融組織層を生じさせ、
しかも該媒体の種類を適当に選択することによって該溶
融組織層に特定の色を与えることが有利である。この最
も単純な方法としては、空気の存在下で溶融組織層を生
じさせて、その金属材料を空気と反応させることであ
り、この場合その反応生成物は赤熱によって得られる典
型的な焼きなまし色を示すことになる。
本発明による方法の利点と関連して既に述べたよう
に、本発明によれば、歯列矯正補助具のマーキング領域
として、リサイクル処理の度毎にその他の領域よりも消
耗し易いということのないマーキング領域が得られる。
このため本発明の範囲内で溶融組織層の厚さを一回のリ
サイクル処理によって消耗される材料層の倍数特に整数
倍とすることが有利である。発明の更に別の目的は視覚
的に視認可能なマーキング領域をできるだけ簡単に適用
する方法を提供することである。
その結果、例えば、溶融組織層に適当に選択された一
定厚さを与えて、該溶融組織層を一回あるいは数回のリ
サイクル処理後に完全に消耗させて視認し得ないように
することが可能となる。
しかしながら、可変厚さを持つ溶融組織層の場合に
は、各リサイクル処理後にマーキング領域のサイズを減
少させることによって、該溶融組織層の完全に消耗され
た部分に応じて個々のリサイクル処理が明らかにされ得
ることになる。これに関連して、溶融組織層の厚さを段
階状に増大し得るようにすることが特に有利であり、こ
の場合各段部の厚さ変化を一回のリサイクル処理によっ
て消耗される溶融組織層部分に対応させて、マーキング
領域が各リサイクル処理の度毎に段状の小さくされるよ
うにする。
しかしながら、本発明による方法は、また、歯列矯正
補助具の寿命期間内に亘って施され得る全リサイクル処
理に対して耐えることが可能なマーキングを形成する場
合にも有利に利用することができる。この場合、所定厚
さの溶融組織層を形成し得るという本発明の利点は積極
的に生かされることになる。というのは、かかる場合、
溶融組織層の厚さについては、歯列矯正補助具の寿命期
間内に亘る何回かのリサイクル処理によって消耗される
層厚さよりも大きくなるように選択され、その結果マー
キング領域は各リサイクル処理後も同じサイズを持ち続
けることになるからである。
本発明のその他の特徴ならびに利点については、以下
の実施例の記載および添付図面によって明らかにされ
る。
第1図は本発明による歯列矯正補助具の第1の実施例
を示す斜視図; 第2図は第1図の2−2線に沿う断面図; 第3図は第2図と同様な断面図であって、本発明の第
2の実施例を示す図である。
本発明による歯列矯正補助具の全体構成は第1図では
10で示され、それはブラケット11からなり、その底部は
保持ベース12に溶接される。ブラケット11の輪郭形状は
通常のものであり、第1図に見られるようなその輪郭形
状は典型的なものである。一般的には、そのようなブラ
ケットの輪郭形状では長手方向溝部16および横断方向溝
部18が設けられる。その結果、ベース部14から離れて向
かい合う小さな領域のフロント面20,22が得られ、そこ
にはマーキング24,26が施される。同様に横断方向溝部1
8の領域にもマーキングを施し得る。
スポット状となったマーキング24および26のそれぞれ
は第2図に断面で示すように溶融組織層28および30とさ
れ、これら溶融組織層のそれぞれはフロント面20および
22の表面32および34からベース部14に向かってブラケッ
ト11内に厚さdで延びる。溶融組織層28および30のそれ
ぞれの領域では、ブラケット11を形成している金属材料
がレーザビームによって溶融点以上まで加熱され、例え
ば空気中で加熱された場合には該溶融組織層は赤熱する
まで加熱された金属に特有な焼きなまし色を呈し、それ
は溶融点以上まで加熱された金属と空気との化学反応の
結果として得られる。また、溶融組織層28および30の表
面36および38のそれぞれ最早フロント面20および22の表
面32および34のように滑らかな光沢を帯びることはなく
粗面とされ、このような粗面については、例えば溶融組
織層28および30の形成時にレーザビームを表面上で格子
状に走行させることによって得ることができる。
溶融組織層28および30の厚さdのそれぞれはレーザビ
ームの照射によってスポット状の表面領域に与えられる
エネルギに依存する。したがって、レーザビームのエネ
ルギが大きければ大きい程あるいはそれぞれのスポット
領域でのレーザビームの滞留時間が長ければ長い程、溶
融組織層の厚さdは大きくなり、その結果該溶融組織層
はそれぞれのブラケット側面16および18内部に一層深く
延びることになる。
第2図に示す実施例では、厚さdは溶融組織層28およ
び30の全体に亘って一定となるようにされ、このためリ
サイクル処理の度毎に溶融組織層28および30の消耗面が
現れるとき、それぞれのマーキング24および26について
視認し得る表面36および38の領域は変化しない。
これとは反対に第3図に示す第2の実施例では、マー
キング26′は段状となった横断面を持つ溶融組織層30′
とされる。このような溶融組織層30′は厚さd1の外側領
域30a′と厚さd2の内側領域30b′とに分けられるような
構成とされ、この場合厚さd2は例えば厚さd1の倍数とさ
れる。
このような実施例では、溶融組織層30′が例えば数回
のリサイクル処理によって層厚d1だけ消耗するとする
と、層表面38′のサイズが変化することになる。という
のは、かかる消耗により該溶融組織層の外側領域30a′
は消失するが、層厚d2から層厚d1を差し引いた厚さの内
側領域30b′だけが残されることになるからである。か
くして、マーキング26′は依然として存在するけれど
も、その表面は内側領域30b′に対応する小さなものと
なる。
溶融組織層30′の厚さd1については、例えば二回のリ
サイクル処理によって消耗し得るようにされ、これによ
りブラケットのそれぞれが受けたリサイクル処理の回数
を表面38′のサイズから直ちに読み取ることができる。
本発明によれば、溶融組織層30,30′の厚さd,d1およ
びd2は約0.1μmないし0.5μmの範囲内で選択される。
一般的に、0.1μmの厚さd,d1およびd2を持つ溶融組織
層30,30′については概ね一回のリサイクル処理に耐え
て、そのリサイクル処理後に消耗させられる。これに対
して、0.5μmの厚さd,d1およびd2を持つ溶融組織層30,
30′についてはリサイクル処理に対して耐久性を持ちう
るものと言うことができる。というのは、そのような溶
融組織層は約5回のリサイクル処理後に消耗させられる
ことになるが、一般的に、ブラケットにリサイクル処理
を5回も施すことは考えられないからである。
ブラケットのマーキングについて以上に述べた事柄は
帯環、腔管等にも同様に当てはまる。

Claims (17)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マーキング領域を持つ金属製歯列矯正補助
    具において、前記マーキング領域が付加的に形成された
    溶融組織層(26,28,30)の表面(36,38)とされること
    を特徴とする金属製歯列矯正補助具。
  2. 【請求項2】請求の範囲第1項に記載の金属製歯列矯正
    補助具において、前記溶融組織層(28,30)が金属製歯
    列矯正補助具の材料からなることを特徴とする金属製歯
    列矯正補助具。
  3. 【請求項3】請求の範囲第1項または第2項に記載の金
    属製歯列矯正補助具において、前記溶融組織層(28,3
    0)の表面が粗面とされることを特徴とする金属製歯列
    矯正補助具。
  4. 【請求項4】上述の請求の範囲いずれか1項に記載の金
    属製歯列矯正補助具において、前記溶融組織層(28,3
    0)がその材料と形成時の雰囲気媒体と反応生成物から
    なることを特徴とする金属製歯列矯正補助具。
  5. 【請求項5】上述の請求の範囲のいずれか1項に記載の
    金属製歯列矯正補助具において、前記溶融組織層(28,3
    0)が一定厚さ(d)を持つことを特徴とする金属製歯
    列矯正補助具。
  6. 【請求項6】請求の範囲第1項から第4項までのいずれ
    か1項に記載の金属製歯列矯正補助具において、前記溶
    融組織層(30′)が可変厚さ(d1,d2)を持つことを特
    徴とする金属製歯列矯正補助具。
  7. 【請求項7】請求の範囲第6項に記載の金属製歯列矯正
    補助具において、前記溶融組織層(30′)が段階状に変
    化する厚さ(d1,d2)を持つことを特徴とする金属製歯
    列矯正補助具。
  8. 【請求項8】金属製歯列矯正補助具に視覚的に視認可能
    な表面マーキング領域を形成して、特に請求の範囲第1
    項から第7項までのいずれか1項に記載の金属製歯列矯
    正補助具を製造する方法において、前記マーキング領域
    に溶融組織層を形成することを特徴とする方法。
  9. 【請求項9】請求の範囲第8項に記載の方法において、
    前記溶融組織層が歯列矯正補助具の溶融表面によって形
    成されることを特徴とする方法。
  10. 【請求項10】請求の範囲第8項または第9項に記載の
    方法において、前記溶融組織層が各点で溶融程度を異な
    らすことによって形成されることを特徴とする方法。
  11. 【請求項11】請求の範囲第8項から第10項までのいず
    れか1項に記載の方法において、前記溶融組織層がレー
    ザビームによって形成されることを特徴とする方法。
  12. 【請求項12】請求の範囲第8項から第10項までのいず
    れか1項に記載の方法において、前記溶融組織層が電子
    ビームによって形成されることを特徴とする方法。
  13. 【請求項13】請求の範囲第8項から第10項までのいず
    れか1項に記載の方法において、前記溶融組織層がマイ
    クロプラズマによって形成されることを特徴とする方
    法。
  14. 【請求項14】請求の範囲第8項から第13項までのいず
    れか1項に記載の方法において、前記溶融組織層がその
    金属と反応する媒体の存在下で形成されることを特徴と
    する方法。
  15. 【請求項15】請求の範囲第8項から第14項までのいず
    れか1項に記載の方法において、前記溶融組織層が一定
    厚さを持って形成されることを特徴とする方法。
  16. 【請求項16】請求の範囲第8項から第14項までのいず
    れか1項に記載の方法において、前記溶融組織層が可変
    厚さを持って形成されることを特徴とする方法。
  17. 【請求項17】請求の範囲第8項から第14項までのいず
    れか1項に記載の方法において、前記溶融組織層がその
    断面で段階状に変化する厚さを持って形成されることを
    特徴とする方法。
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