JP2558182B2 - 耐衝撃性、耐候性および成形性に優れる熱可塑性樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

耐衝撃性、耐候性および成形性に優れる熱可塑性樹脂組成物の製造方法

Info

Publication number
JP2558182B2
JP2558182B2 JP3001951A JP195191A JP2558182B2 JP 2558182 B2 JP2558182 B2 JP 2558182B2 JP 3001951 A JP3001951 A JP 3001951A JP 195191 A JP195191 A JP 195191A JP 2558182 B2 JP2558182 B2 JP 2558182B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
weight
parts
latex
rubber
resin composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP3001951A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH03247612A (ja
Inventor
一夫 岸田
豊 豊岡
春義 北原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from JP61024533A external-priority patent/JPS62181312A/ja
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp, Mitsubishi Rayon Co Ltd filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP3001951A priority Critical patent/JP2558182B2/ja
Publication of JPH03247612A publication Critical patent/JPH03247612A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2558182B2 publication Critical patent/JP2558182B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れた耐衝撃性、耐候
性および成形性を有する熱可塑性樹脂組成物の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】耐衝撃性樹脂として、樹脂−ゴム二相系
からなるABS樹脂がある。しかし、このABS樹脂
は、耐衝撃性を付与するためのゴム成分であるブタジエ
ン系重合体がその主鎖中に化学的に不安定な二重結合を
多く有しているため、紫外線などによって劣化しやす
く、耐候性に劣ることが良く知られている。このABS
樹脂の耐候性を改良する方法として、主鎖中に二重結合
を殆ど有さない飽和ゴム状重合体を使用する方法が提案
されており、その代表的なものにアクリル酸エステル系
ゴムを使用したものが知られている。この飽和ゴムは紫
外線に対しては安定である反面、架橋やグラフト活性点
を有していないため、樹脂−ゴム二相系樹脂での必須条
件であるゴム架橋やグラフト構造をとりにくく、ジエン
系ゴムを用いたものに比べると、軟らかく、弾性率が低
く、弾性回復が遅いという欠点を有している。そのため
このような飽和ゴムを用いたABS樹脂に類似した樹脂
組成物を成形材料として用いて射出成形を行うと、ゴム
粒子の配向が著しく、成形物の表面の全領域あるいは一
定流動方向に真珠様光沢が発現する。また、顔料などで
着色された場合に、更にこの傾向が強調されるため商品
価値が低下するという欠点があった。この欠点を改良す
るために架橋剤の種類を選定して共重合する方法、過酸
化物架橋などによる方法、ジエン系ゴムを粒子内部に含
む多重構造架橋アクリルゴムを使用する特公昭47−4
7863号公報、特開昭56−86918号公報、特開
昭56−133311号公報、特開昭57−16730
8号公報、特開昭58−120663号公報等に開示さ
れた方法等が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、従来提案さ
れている熱可塑性樹脂では、これを高温成形した際の成
形品の光沢と耐衝撃性のバランスが必ずしも満足された
ものではない。すなわち低温から高温の広範囲にわたる
成形温度領域で成形した際に成形品の高光沢を維持でき
ない欠点があり、目的とする優れた耐衝撃性、耐候性お
よび成形性を有する熱可塑性樹脂が未だ得られていない
のが現状である。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこのような
現状に鑑み、低温から高温での成形条件下での耐衝撃性
−光沢のバランスの改良を目的として鋭意検討した結
果、特定の方法で製造した小粒子径ジエン系ゴムラテッ
クスを酸基含有共重合体ラテックスで肥大化したジエン
系ゴムを粒子内部に含み、グラフト交叉剤と架橋剤を併
用することにより得たアクリル酸エステルを主成分とす
る架橋アクリル酸エステル系重合体がその外層部を構成
してなる多重構造アクリル系ゴムを含むラテックスの存
在下に、芳香族ビニル化合物およびエチレン性不飽和化
合物からなる群より選ばれた少なくとも一種の単量体を
重合させてグラフト共重合体樹脂を製造することによ
り、上記問題点が解決され、耐衝撃性、耐候性および成
形性の全てに優れた熱可塑性樹脂組成物が得られること
を見い出し本発明に到達した。
【0005】すなわち本発明の耐衝撃性、耐候性および
成形性に優れる熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、酸基
含有単量体とアクリル酸アルキルエステルとを構成成分
とする酸基含有共重合体ラテックスで肥大化したジエン
系ゴム(i)2〜80重量%を粒子内部に含み、グラフ
ト交叉剤と架橋剤を併用して得たアクリル酸エステルを
主成分とする架橋アクリル酸エステル系重合体(ii)2
0〜98重量%がその外層部を構成してなる多重構造架
橋アクリル系ゴム(1)のラテックス5〜90重量部
(固形分として)の存在下に、芳香族ビニル化合物およ
び一般式 CH2 =CRX (式中、RはHまたはCH3 を、XはCNまたはCOO
1 を表わす。但し、R1 は炭素数1〜8のアルキル基
である。)で表わされるエチレン性不飽和化合物からな
る群より選ばれた少なくとも一種の単量体(2)95〜
10重量部((1)と(2)の合計量100重量部)を
重合して得たグラフト共重合体樹脂(3)と硬質の熱可
塑性樹脂(4)とを全樹脂組成物((3)と(4)の合
計)中での多重構造架橋アクリル系ゴム(1)の割合が
5〜80重量%となるような割合で混合することを特徴
とする。
【0006】本発明において、多重構造架橋アクリル系
ゴム(1)の粒子内層を構成する肥大化ジエン系ゴム
(i)は、1,3−ブタジエン100〜50重量%およ
びこれと共重合可能なCH2 =C<基を有する単量体0
〜50重量%(合計100重量%)とから構成されるも
のであり、1,3−ポリブタジエンホモポリマーまたは
1,3−ブタジエン単位50重量%以上から構成される
共重合体である。該共重合体の例としては、例えばブタ
ジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−ビニルトルエ
ン共重合体などのようなブタジエン−芳香族ビニル化合
物共重合体;ブタジエン−アクリロニトリル共重合体:
ブタジエン−メタクリロニトリル共重合体;ブタジエン
−アクリル酸メチル共重合体、ブタジエン−アクリル酸
エチル共重合体、ブタジエン−アクリル酸ブチル共重合
体、ブタジエン−アクリル酸2−エチルヘキシル共重合
体などのようなブタジエン−アクリル酸アルキルエステ
ル共重合体;ブタジエン−メタクリル酸メチル共重合
体、ブタジエン−メタクリル酸エチル共重合体などのよ
うなブタジエン−メタクリル酸アルキルエステル共重合
体;などを含み、更に1,3−ブタジエン単位50重量
%以上から構成される三元共重体も含む。これらは、通
常、公知の乳化重合によって容易に製造することができ
る。また、このジエン系ゴムの製造に使用する触媒、乳
化剤等は特に制限なく各種のものが使用できるが、この
ゴムの粒子径は0.04〜0.2μm のものが好まし
い。
【0007】本発明においては、上記ジエン系ゴムのラ
テックスを肥大化するために酸基含有共重合体ラテック
スを使用する。この酸基含有共重合体ラテックスは、酸
基含有単量体とアクリル酸アルキルエステルとを構成成
分とすることが不可欠の条件である。酸基含有単量体と
してはアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸およびク
ロトン酸等が挙げられる。またアクリル酸アルキルエス
テルとしては、アルキル基の炭素数が1〜12のアクリ
ル酸アルキルエステルの少なくとも一種が選ばれる。
【0008】アクリル酸アルキルエステルの代りに、例
えばメタクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリ
ル等の単量体を用いても全く肥大化効果は見られない。
しかし、アクリル酸アルキルエステルの半量以下を上記
他の単量体等で置換することは可能である。
【0009】酸基含有単量体は、酸基含有共重合体の構
成モノマーの3〜10重量%となる範囲で使用される。
3重量%未満では肥大化能力が小さく、また、30重量
%を超えると逆に肥大化能力が強すぎて、1μm を超え
る過大な粒子を生成させる傾向になりあまり好ましくな
い。また、酸基含有単量体の最適構成量は、用いるアク
リル酸エルキルエステルの親水性の度合によっても変化
する。アクリル酸アルキルエステルの親水性が高い場合
には、酸基含有単量体の量が少ない領域で肥大化の効果
が発揮されるが、酸基含有単量体の量が多くなるとラテ
ックスが破壊されるため好ましくない。逆にアクリル酸
アルキルエステルの親水性が低い場合には、酸基含有単
量体の量の低い領域では肥大化効果が少なく、酸基含有
単量体の量がある程度より多くならないと効果が発揮で
きない。例えば親水性の高いアクリル酸アルキルエステ
ルであるアクリル酸メチルやアクリル酸エチルの場合に
は、酸基含有単量体の量が5〜10重量%のときが最適
であるのに対し、アルキル基の炭素数が4以上の疎水性
アクリル酸アルキルエステルであるアクリル酸ブチルや
アクリル酸2−エチルヘキシルの場合には、酸基含有単
量体の量が13〜20重量%の場合に最適となる。なお
親水性の高いアクリル酸アルキルエステルを用いると、
酸基含有単量体の量が5〜10重量%の場合であっても
系が不安定になりやすく、そのためにカレット(粗大粒
子)が生じやすいという難点があるのに対し、疎水性ア
ルリル酸アルキルエステルを用いれば、系が不安定にな
ることもなく、均一な肥大化粒子が得られることが多
い。
【0010】酸基含有単量体としては、前記単量体の他
に、桂皮酸、無水マレイン酸、ブテントリカルボン酸等
があるが、これらは肥大化能力が小さいので実用的でな
い。
【0011】この酸基含有共重合体はラテックスの形で
使用されるが、その粒子の大きさは肥大化能力に大きな
影響を与え、好ましい平均粒子径は0.05〜0.2μ
m の範囲である。0.05μm より小さい場合はその肥
大化能力は著しく低下し、また0.2μm より大きい場
合には、肥大化後のゴム粒子径が大きくなり過ぎるの
で、引続いてグラフト重合を行なったりする場合に不安
定となり凝集しやすくなる。
【0012】ジエン系ゴムの肥大化は、0.04〜0.
2μm のような小粒子系のジエン系ゴムラテックスに酸
基含有共重合体ラテックスを添加することにより行われ
る。酸基含有共重合体ラテックスの添加量は基体ジエン
系ゴムラテックス100重量部(固形分として)に対し
て0.1〜10重量部(固形分として)であり、特に好
ましくは、0.5〜5重量部である。このような添加量
で肥大化ジエン系ゴム(i)のラテックスの粒子径は、
0.15〜1μm に調整され、このゴムを内部に含有す
る架橋アクリル酸エステル系重合体のラテックスの粒子
径が成形物の外観上好ましい0.18〜3μm の範囲に
なる。
【0013】本発明において、ジエン系ゴムの肥大化処
理を行う場合、基体ジエン系ゴムラテックスのpHは7
以上に保っておくことが好ましい。pH値が酸性側にあ
る場合には、酸基含有共重合体ラテックスを添加しても
肥大化効果が低く、本発明の目的とする樹脂組成物を有
利に製造することが困難である。この基体ジエン系ゴム
ラテックスのpHを7以上にするのは、この基体ジエン
系ゴムの重合中に調節しても良いし、また肥大化処理の
前に別に行っても良い。
【0014】本発明におけるゴム粒子外層を構成する架
橋アクリル酸エステル系重合体(iiはグラフト交叉剤と
架橋剤を併用して得たものであり、この重合体(ii)の
主成分(50重量%以上)であるアクリル酸エステルと
しては、例えばエステル部分がメチル、エチル、n−プ
ロピル、n−ブチル、2−エチルヘキシル、n−ラウリ
ルなど炭素数1〜12のアルキルエステル;アクリル酸
クロルエチルのようなハロアルキルエステル;アルリル
酸ベンジルまたはフェネチルなどの芳香族エステル;な
どが用いられる。
【0015】これらアクリル酸エステルと共重合可能な
単量体としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブ
チルのようなメタクリル酸エステル;アクリロニトリ
ル;スチレンなどが挙げられ、これらは該重合体(ii)
の構成単位50重量%以下で所望により用いられる。
【0016】ところで、このアクリル酸エステル系重合
体が架橋構造を形成するためには、前記アクリル酸エス
テルを主成分とする単量体または単量体混合物にグラフ
ト交叉剤もしくは架橋剤をそれぞれ単独添加して重合す
る方法が一般的である。しかしながら本発明において
は、このアクリル酸エステル系重合体に架橋構造を形成
する際にグラフト交叉剤と架橋剤を組合せて併用するこ
とにより、従来のグラフト交叉剤もしくは架橋剤の単独
使用による架橋構造では得られなかった成形性の問題点
を解決し得た点が最大の特徴である。
【0017】本発明におけるグラフト交叉剤としてはア
クリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、シア
ヌル酸、イソシアヌル酸などのアリルエステルなどが挙
げられる。また架橋剤としてはポリアルキレングリコー
ルのジアクリレートもしくはジメタクリレート、ジビニ
ルベンゼンなどが挙げられる。
【0018】本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造に際
し、架橋アクリル酸エステル系重合体(ii) の粒子内部
に肥大化ジエン系ゴム(i)を含ませる方法としては次
のような方法がある。
【0019】まず、肥大化ジエン系ゴム(i)を、ジエ
ン系ゴムの乳化重合とそれに引き続き酸基含有共重合体
ラテックスの添加による肥大化処理により調整する。次
に肥大化ジエン系ゴムラテックス2〜80重量%、好ま
しくは5〜50重量%(固形分として)の存在下で、架
橋アクリル酸エステル系共重合体構成単量体混合物20
〜98重量%、好ましくは95〜50重量%を重合させ
るいわゆるシード重合を実施する。このようにして重合
された多重構造架橋アクリル系ゴム(1)の膨潤度(メ
チルエチルケトン中、30℃、24時間浸漬静置後の膨
潤重量と絶乾重量との比)は、成形物の外観衝撃強度な
どの樹脂特性バランスを考慮すると4〜16、好ましく
は6〜9であることが望ましい。膨潤度をこの範囲に調
節するためには、前記グラフト交叉剤と架橋剤の合計量
がアクリル酸エステル系重合体構成単量体に対し0.1
〜10重量%となるよう添加することが好ましい。グラ
フト交叉剤と架橋剤の合計量が0.1重量%未満である
と膨潤度が上記範囲外になり、成形物の外観上好ましく
なく、10重量%を超えると添加量では衝撃強度が低下
する傾向となる。また、このようなシード重合は架橋ア
クリル系ゴムが肥大化ジエン系ゴムを完全に被覆するよ
うに行わないと目的とする外観、耐候性の優れた樹脂は
得られない。
【0020】次いで、このようにして得られた多重構造
架橋アクリル系ゴム(1)のラテックス5〜90重量部
(固形分として)の存在下に、芳香族ビニル単量体及び
一般式 CH2 =CRX(式中、RはHまたはCH3
を、XはCNまたはCOOR1 を表わす。但し、R1
炭素数1〜8のアルキル基である。)で表わされるエチ
レン性不飽和化合物からなる群より選ばれた少なくとも
一種の単量体(2)95〜10重量部((1)と(2)
の合計量100重量部)を、ラジカル開始剤の存在下
に、単量体(2)の全量を一時にあるいは分割もしくは
連続的にラテックス中に添加して重合を行う。添加する
単量体の量が多い場合には、生成する重合物の溶融流動
性の保持およびグラフト重合体の生成を助長するために
連続注入法が望ましい。
【0021】前記芳香族ビニル化合物としては、スチレ
ン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等が代表的な
ものとして挙げられる。また一般式 CH2 =CRX
で表わされるエチレン性不飽和化合物としてはアクリロ
ニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸またはメタ
クリル酸のメチル、エチル、プロピル、ブチルエステル
等が代表的なものとして挙げられる。
【0022】こうして得られたグラフト共重合体樹脂
(3)はそのまま本発明の熱可塑性樹脂組成物として用
いることができるが、別途製造された硬質の熱可塑性樹
脂(4)を全樹脂組成物((3)と(4)の合計)中で
の多重構造架橋アクリル系ゴム(1)が5〜80重量%
になるような割合でグラフト共重合体樹脂(3)と混合
して樹脂組成物として使用することもできる。上記硬質
の熱可塑性樹脂(4)としては、常温で硬質のものであ
れば特に制限なく使用することができるが、芳香族ビニ
ル化合物−アクリロニトリル共重合体、芳香族ビニル化
合物−アクリロニトリル−メタクリル酸メチル三元共重
合体、芳香族ビニル化合物−アクリロニトリル−低級ア
ルキルアクリレート三元共重合体、アクリロニトリル−
低級アルキルアクリレート共重合体およびポリカーボネ
ート、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−
スチレン−マレイミド共重合体及びABS樹脂等が好適
なものとして例示される。
【0023】本発明の方法により得られた耐衝撃性、耐
候性および成形性に優れる熱可塑性樹脂組成物は、必要
に応じて染顔料などの各種着色剤、光または熱に対する
安定剤類、無機または有機の粒状、粒状または繊維状の
充填剤、発泡剤等を添加することができる。また、この
組成物は射出成形、押出成形などの各種加工法により成
形され耐衝撃性および耐候性の優れた各種成形物とし
て、またラミネート構造物の構成要素、例えば太陽光に
曝される最外層としても利用することができる。
【0024】
【実施例】以下、実施例により、本発明を更に具体的に
説明する。実施例中、%、部はそれぞれ重量%、重量部
を表わし、粒子径はゴム、樹脂ラテックスに関して電顕
法で求めた粒子径と、そのラテックスの稀釈溶液(0.
15g/l)の波長700nmにおける吸光度との関係か
ら検量線を作成し、ラテックスの吸光度を測定して検量
線から求めたものである。
【0025】実施例1〜7 (I)肥大化ジエン系ゴム(A)の合成 1)肥大化ジエン系ゴム(A−1)の合成 基体ゴム(a−1)の合成 1,3−ブタジエン 66部 n−ブチルアクリレート(BuA) 9部 スチレン(ST) 25部 ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド 0.2部 オレイン酸カリウム 1.0部 不均化ロジン酸カリウム 1.0部 ピロリン酸ソーダ 0.5部 硫酸第一鉄 0.005部 デキストローズ 0.3部 無水硫酸ナトリウム 0.3部 イオン交換水 200部
【0026】上記の組成物を100lのオートクレーブ
中で50℃で重合した。9時間でほぼ重合は完了し、転
化率97%、粒子径0.08μm 、pH9.0のゴムラ
テックスが得られた。次いで、肥大化用の酸基含有共重
合体(B)ラテックスを下記のようにして合成した。 n−ブチルアクリレート(BuA) 85部 メタクリル酸(MAA) 15部 オレイン酸カリウム 2部 ジオクチルスルホコハク酸ソーダ 1部 クメンヒドロパーオキサイド 0.4部 ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.3部 イオン交換水 200部
【0027】上記組成物を別の重合装置で70℃で4時
間重合させた。転化率は98%であり、平均粒子径0.
08μm のラテックスが得られた。基体ゴム(a−1)
ラテックス100部(固形分)に上記酸基含有共重合体
(B)ラテックス2部(固形分)を撹拌しながら添加
し、更に30分間撹拌を続け、平均粒子径0.27μm
の肥大化ジエン径ゴムラテックス(A−1)を得た。
【0028】2)肥大化ジエン径ゴム(A−2)の合成 基体ゴム(a−2)の合成 1.3−ブタジエン 100部 ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド 0.2部 t−ドデシルメルカプタン 0.5部 オレイン酸カリウム 1.0部 不均化ロジン酸カリウム 1.0部 ピロリン酸ソーダ 0.5部 硫酸第一鉄 0.005部 デキストローズ 0.3部 無水硫酸ナトリウム 0.4部 イオン交換水 200部
【0029】上記の組成物を100lのオートクレーブ
中で50℃で重合した。9時間でほぼ重合は完了し、転
化率96%、粒子径0.08μm 、pH8.8の基本ゴ
ムラテックス(a−2)が得られた。このゴムラテック
ス100部(固形分)に前記酸基含有共重合体(B)ラ
テックス2部(固形分)を撹拌しながら添加し、30分
間撹拌を続け、平均粒子径0.28μm の肥大化ジエン
系ゴムラテックス(A−2)を得た。
【0030】(II) 多重構造架橋アクリル系ゴム(C)
の製造 肥大化ジエン系ゴムラテックス(A−1)20部(固形
分)を反応釜に移し、不均化ロジン酸カリウム1部、イ
オン交換水150部を加え、窒素置換を行い、70℃
(内温)に昇温した。これに10部のイオン交換水に
0.12部の過硫酸カリウム(KPS)を溶解した溶液
を加え、下記の窒素置換された単量体混合物を2時間に
亘って連続的に滴下した。 BuA 80部 メタクリル酸アリル(AMA) 0.32部 エチレングリコールジメタクリレート(EDMA) 0.16部 滴下終了と同時に内温の上昇はなくなるが、更に80℃
に昇温し1時間反応を続けると、重合率は98.8%に
達し、肥大化ジエン系ゴムを内部に含む多重構造架橋ア
クリル系ゴム(C−1)を得た。この多重構造架橋アク
リル系ゴムの膨潤度は6.4、ゲル含有量は93.0
%、粒子径は0.28μm であった。
【0031】以下同様にして、肥大化ジエン系ゴムラテ
ックスの種類、使用量ならびに架橋アクリル酸エステル
系重合体用の単量体の種類、使用量を第1表に示すよう
に代えた以外は上記と全く同じ条件で多重構造架橋アク
リル系ゴムC−2、C−3およびC−4のラテックスを
製造した。それらの結果を第1表に示した。
【0032】
【表1】
【0033】(III) グラフト共重合体(D)ラテック
スの製造 多重構造架橋アクリル系ゴム(C−1)ラテックス30
部(固形分)を反応釜にとりイオン交換水140部を加
え希釈し、70℃に昇温した、別にアクリロニトリル
(AN)/ST=29/71%から成るグラフト重合用
単量体混合物を70部調整し、ベンゾイルパーオキサイ
ド(EPO)0.35部を溶解した後、窒素置換した。
この単量体混合物を15部/hrの速度で定量ポンプを使
用し、上記反応系内に加えた。全単量体混合物の注入の
終了後、系内温度を80℃に昇温し、30分撹拌を続
け、グラフト共重合体ラテックス(D−1)を得た。重
合率は99%であった。D−1の一部に希硫酸を加えて
凝固乾燥した粉末をメチルエチルケトン還流下で直抽出
を行い、抽出部のηsp/Cをジメチルホルムアミド(D
MF)を溶媒として25℃で測定したところ、0.67
であった。
【0034】また、多重構造架橋アクリル系ゴムラテッ
クスの種類、使用量およびグラフト重合用の単量体の種
類、使用量を第2表に示すように代えた以外は上記と同
じように全く同じ条件でグラフト共重合体D−2〜D−
5の重合を行った。
【0035】
【表2】
【0036】(IV) 重合体の塩析およびペレット化 上記のようにして製造したラテックスD−1〜D−5
を、全ラテックスの3倍量の塩化アルミニウム(AlC
3 ・6H2 O)0.15%水溶液(90℃)中に撹拌
しながら投入し凝固させた。全ラテックスの添加終了
後、凝固槽内の温度を93℃に昇温し、このまま5分間
放置させた。これを冷却後、遠心脱水機により脱液、洗
浄を行い乾燥した。これらグラフト共重合体の乾燥粉末
D−1〜D−4のそれぞれ100部に、ステアリン酸バ
リウム1部、アンテージW−300(商品名、川口化学
(株)製、フェノール系酸化防止剤)0.1部、チヌビ
ン−P(商品名、チバカイギー社製、紫外線吸収剤)
0.5部を加え、ヘンシェルミキサーで2000rp
m、5分間混合した後、40mmφ押出機によりシリンダ
ー温度220℃でペレット化した。
【0037】このようにしてグラフト共重合体D−1〜
D−4からそれぞれペレットE−1〜E−4を得た。ま
た、グラフト共重合体D−5の粉末と、ポリカーボネー
ト(ユーピロンS−2000、商品名、三菱瓦斯化学
(株)製)粉末、市販AB樹脂粉末(AN/ST=26
/74(重量比)、ηsp/C=0.65)または市販の
アクリロニトリル−α−メチルスチレン(αMS)共重
合体樹脂(AN/αMS=20/80(重量比)、ηsp
/C=0.45)とを各々43:57(重量比)でブレ
ンドして同様にして押出し、それぞれペレットE−5、
E−6およびE−7を得た。
【0038】比較例1〜2 上記実施例2および4の多重構造架橋アクリル系ゴム
(C−2)および(C−4)の製造の際にEDMAを併
用せずにAMAのみをそれぞれ単独に0.48部および
0.3部使用する以外は、実施例2のC−2、D−2、
E−2および実施例4のC−4、D−4、E−4の製造
と全く同様にしてそれぞれペレットE−8およびE−9
を得た。
【0039】比較例3〜4 上記実施例2および3の多重構造架橋アクリル系ゴム
(C−2)および(C−3)の製造の際にAMAを併用
せずにEDMAおよびDVBのみをそれぞれ単独に0.
48部使用する以外は、実施例2のC−2、D−2、E
−2および実施例3のC−3、D−3、E−3の製造と
全く同様にそれぞれペレットE−10およびE−11を
得た。
【0040】評価法 E−1〜E−11および市販ABS樹脂、ABS樹脂お
よびAES樹脂のペレットを射出成形機(山城精機
(株)製、SAV−30A型スクリュータイプ)によ
り、次の2条件で成形した。
【表3】
【0041】評価は以下に示す方法により実施した。ま
た評価結果は第3表に示した。 (1)耐候性 スガ試験機(株)製、ウエザーメータWE−DCH型に
より、ブラックパネル83℃、スプレーサイクル18分
/120分の条件で光沢の変化を測定した。 (2)光沢 スガ試験機(株)製、デジタル変角光沢計(入射角:6
0゜)により測定した。 (3)アイゾット衝撃強度 ASTMD−256による測定した。 (4)メルトフローインデックス(MI) 東洋ボールドウイン(株)製、メルトインデクサーによ
りASTMD−1238(200℃、5kg) により測定
した。
【0042】
【表4】
【0043】
【表5】
【0044】
【発明の効果】以上の結果から、本発明の熱可塑性樹脂
組成物の製造において、アクリル酸エステル系重合体が
架橋構造を形成する際、グラフト交叉剤と架橋剤を同時
に併用することにより、優れた成形外観、耐候性を有し
ながら低温〜高温の広域にわたっての成形物光沢と耐衝
撃性のバランスが向上することが明らかである。すなわ
ち、例えばE−2とE−8、E−4とE−9との比較に
より、グラフト交叉剤と架橋剤の併用系がグラフト交叉
剤の単独使用系よりも優れ、またE−2とE−10、E
−3とE−11との比較により、前例と同様にここでも
グラフト交叉剤と架橋剤の併用系が架橋剤の単独使用系
よりも優位性が認められることがわかる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸基含有単量体とアクリル酸アルキルエス
    テルとを構成成分とする酸基含有共重合体ラテックスで
    肥大化したジエン系ゴム(i)2〜80重量%を粒子内
    部に含み、グラフト交叉剤と架橋剤を併用して得たアク
    リル酸エステルを主成分とする架橋アクリル酸エステル
    系重合体(ii)20〜98重量%がその外層部を構成し
    てなる多重構造架橋アクリル系ゴム(1)のラテックス
    5〜90重量部(固形分として)の存在下に、芳香族ビ
    ニル化合物および一般式 CH2 =CRX (式中、RはHまたはCH3 を、XはCNまたはCOO
    1 を表わす。但し、R1 は炭素数1〜8のアルキル基
    である。)で表わされるエチレン性不飽和化合物からな
    る群より選ばれた少なくとも一種の単量体(2)95〜
    10重量部((1)と(2)の合計量100重量部)を
    重合して得たグラフト共重合体樹脂(3)と、硬質の熱
    可塑性樹脂(4)とを全樹脂組成物((3)と(4)の
    合計)中での多重構造架橋アクリル系ゴム(1)の割合
    が5〜80重量%となるような割合で混合することを特
    徴とする耐衝撃性、耐候性および成形性に優れる熱可塑
    性樹脂組成物の製造方法。
JP3001951A 1986-02-06 1991-01-11 耐衝撃性、耐候性および成形性に優れる熱可塑性樹脂組成物の製造方法 Expired - Lifetime JP2558182B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3001951A JP2558182B2 (ja) 1986-02-06 1991-01-11 耐衝撃性、耐候性および成形性に優れる熱可塑性樹脂組成物の製造方法

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP61024533A JPS62181312A (ja) 1986-02-06 1986-02-06 耐衝撃性、耐候性および成形性に優れるグラフト共重合体樹脂の製造方法
JP3001951A JP2558182B2 (ja) 1986-02-06 1991-01-11 耐衝撃性、耐候性および成形性に優れる熱可塑性樹脂組成物の製造方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP61024533A Division JPS62181312A (ja) 1986-02-06 1986-02-06 耐衝撃性、耐候性および成形性に優れるグラフト共重合体樹脂の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH03247612A JPH03247612A (ja) 1991-11-05
JP2558182B2 true JP2558182B2 (ja) 1996-11-27

Family

ID=26335251

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3001951A Expired - Lifetime JP2558182B2 (ja) 1986-02-06 1991-01-11 耐衝撃性、耐候性および成形性に優れる熱可塑性樹脂組成物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2558182B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH03247612A (ja) 1991-11-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5064906A (en) Thermoplastic resin compositions having excellent impact resistance, weather resistance and moldability, and process for preparing the same
KR960005080B1 (ko) 저광택, 내후성 및 내충격성 수지
JP2921612B2 (ja) 粒子状グラフトポリマー及びそれよりなる成形材料
JPH0725973B2 (ja) 耐衝撃性熱可塑性樹脂組成物
US5204406A (en) Impact-resistant thermoplastic resin composition
EP0128780B1 (en) Thermoplastic composition of copolymers
EP0264721A2 (en) Thermoplastic resin composition
JPH0632961A (ja) 耐衝撃性、耐候性、成形性及び外観に優れる熱可塑性樹脂組成物の製造方法
JP2501015B2 (ja) 耐衝撃性、耐候性、熱可塑性樹脂組成物
JP2558182B2 (ja) 耐衝撃性、耐候性および成形性に優れる熱可塑性樹脂組成物の製造方法
EP0129376A1 (en) Thermoplastic composition of copolymers
JPS59202213A (ja) 耐衝撃性アクリル系重合体の製造方法
JPS59108056A (ja) 耐衝撃性の優れた熱可塑性樹脂組成物
JP2969462B2 (ja) 耐衝撃性、耐侯性及び成形性に優れる熱可塑性樹脂組成物
JP3625566B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH0645663B2 (ja) 耐衝撃性、耐候性、熱可塑性樹脂の製造方法
JPH0331352A (ja) 耐衝撃性、耐候性及び成形性に優れる熱可塑性樹脂組成物
JP3340631B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH04220452A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH0632962A (ja) 耐衝撃性、耐候性、成形性及び外観に優れる熱可塑性樹脂組成物の製造方法
JPH0350212A (ja) 耐候性及び耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂組成物
JP3862452B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH0415255B2 (ja)
JPH0539427A (ja) 樹脂組成物
JPS62235349A (ja) 熱可塑性樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
EXPY Cancellation because of completion of term