JP2557882Y2 - 冷凍サイクルの膨張弁 - Google Patents

冷凍サイクルの膨張弁

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JP2557882Y2 JP10625591U JP10625591U JP2557882Y2 JP 2557882 Y2 JP2557882 Y2 JP 2557882Y2 JP 10625591 U JP10625591 U JP 10625591U JP 10625591 U JP10625591 U JP 10625591U JP 2557882 Y2 JP2557882 Y2 JP 2557882Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この考案は、自動車用冷房装置な
どに用いられて、蒸発器に入る冷媒の流量を制御するた
めの冷凍サイクルの膨張弁に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の冷凍サイクルの膨張弁では一般
に、蒸発器の出口側冷媒流路と連通する低圧室と、蒸発
器から送り出される冷媒の温度を感知してその温度にし
たがって内部圧力が変化する高圧室とを設けて、その両
室の間をダイアフラムで仕切り、そのダイアフラムの変
位によって弁機構を駆動して、蒸発器に送り込まれる冷
媒の流量を制御している。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】しかし、夏場、特に路
上放置後の起動時などに生じる高負荷時には、例えば軽
自動車などのように冷房装置の圧縮機を駆動するエンジ
ンの能力に余力がないケースでは、車の発進時にエンス
トを起こしたり、加速の鈍化等走行性能の著しい低下が
起きてしまう。
【0004】また、膨張弁の感知速度は感温より感圧が
早いので、高速運転起動時には膨張弁が全開になって冷
媒の流量が最大になってしまい、感温が追従できるまで
の間は、いわゆる液圧縮や液ハンマ等が発生して圧縮機
を破損させてしまうことがある。
【0005】そこでこの考案は、起動時などの高負荷時
に、圧縮機を駆動する駆動源に過大な負荷を与えず、ま
た圧縮機を破損させることのないようにした冷凍サイク
ルの膨張弁を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本考案の冷凍サイクルの膨張弁は、蒸発器の出口側
冷媒流路と連通する低圧室と、上記蒸発器から送り出さ
れる冷媒の温度を感知してその温度にしたがって内部圧
力が変化する高圧室と、上記低圧室と上記高圧室との間
を仕切って上記低圧室内と上記高圧室内の圧力差に追随
して変位するダイアフラムと、上記ダイアフラムの変位
によって駆動されて上記蒸発器に送り込まれる冷媒の流
量を制御する弁機構と、上記低圧室内と上記高圧室内と
の圧力差が一定以上大きくなったら反転して上記冷媒の
流量が減る側に上記弁機構を駆動する反転板バネを設け
たことを特徴とする。
【0007】
【作用】熱負荷が増大して低圧室内と高圧室内との圧力
差が一定以上大きくなると、反転板バネが反転して、冷
媒の流量が減る側に弁機構を駆動する。
【0008】
【実施例】図面を参照して実施例を説明する。図2は自
動車の冷房装置などに用いられる冷凍サイクルを示して
おり、エンジンによって駆動される圧縮機1で高圧に圧
縮された冷媒は凝縮器2で熱を放出して液化され、液状
状態になった冷媒(冷媒液)は受液器3に一時的に貯留
される。
【0009】そして、受液器3から出た冷媒液は膨張弁
10で断熱膨張して蒸発器5に入り、そこで熱を吸収し
て気化され、圧縮機1へ戻される。6は、膨張弁10の
動作を制御するための感温筒である。
【0010】図1は膨張弁10を示しており、14は弁
ボディー、11は、受液器3に接続されて高圧の液体冷
媒が供給される冷媒入口、12は、蒸発器5の入口に接
続される冷媒出口である。
【0011】冷媒入口11と冷媒出口12との間の絞り
部17の入口側口元は弁座になっていて、そこにボール
状の弁体21が、圧縮コイルバネ22によって押し付け
られて絞り部17を閉じている。23は、圧縮コイルバ
ネ22のばね圧を調整するための調整ナット。20は、
弁体21と圧縮コイルバネ22との間に介装されたばね
受けである。
【0012】弁ボディー14の上端部には、面と垂直方
向に変位自在な可撓性薄膜からなるダイアフラム25で
二つに仕切られたダイアフラム室26が形成されてい
る。そして、ダイアフラム室26の高圧室27は、蒸発
器5の出口側に設けられた感温筒6に、キャピラリチュ
ーブ28によって接続されている。感温筒6は、蒸発器
5を出る冷媒ガスの温度を感知するものであり、キャピ
ラリチューブ28内には少量の冷媒が封入されている。
したがって、蒸発器5を出る冷媒ガスの温度の変動(過
熱度によって生じる)にしたがってダイアフラム室26
の高圧室27内の圧力が変化する。
【0013】一方、ダイアフラム室26の低圧室29
は、蒸発器5の出口側と連通しており、低圧室29内
は、蒸発器5を出る冷媒ガスの圧力と等圧になってい
る。その結果、ダイアフラム25は、高圧室27と低圧
室29との圧力差によって変位する。
【0014】ダイアフラム25の下面には、大きな皿状
のダイアフラム受け24が当接して配置されており、そ
のダイアフラム受け24の裏側には、皿バネ状の反転板
バネ35が配置されている。
【0015】反転板バネ35は、図1に示されるよう
に、中央部分に平らな部分35aを有し、その外側がハ
の字状に形成されて、周縁部がダイアフラム受け24側
に当接している。35bはそのハの字状の斜面である。
また、弁ボディー14の頂部には、反転板バネ35の斜
面35bの途中に向かって小さな突起36が突設されて
いる。
【0016】30は、ダイアフラム25の動きを弁体2
1に伝達する作動棒である。作動棒30は、絞り部17
に向かって形成された受け孔31内を通って、その上端
は反転板バネ35の下面に当接し、下端は、絞り部17
内を通って弁体21の上面に当接している。33は、シ
ール用のOリングであり、小さな圧縮コイルバネ34で
付勢されて取り付けられている。
【0017】このような構成により、作動棒30を介し
て、ダイアフラム25の変位にしたがって弁体21が変
位し、それによって絞り部17の開口面積が変化して、
蒸発器5に送り込まれる冷媒の量が制御される。
【0018】図3は、上記実施例の膨張弁10による、
低圧室29内と高圧室27内との圧力差(以下、単に
「圧力差」という)の変化に対する冷媒流量の変化を示
している。
【0019】熱負荷が非常に小さいときには、圧力差が
小さくてダイアフラム25は変位せず、絞り部17は弁
体21によって完全に閉じられていて、冷媒の流量はゼ
ロである。
【0020】しかし、熱負荷が少し大きくなると、それ
につれて大きくなる圧力差によってダイアフラム25が
下方に変位して、弁体21が絞り部17から離され、冷
媒が蒸発器5に流入する。そして、圧力差が増大するの
に伴って弁体21が絞り部17から離されて、冷媒の流
量が大きくなる。
【0021】しかし、圧力差が所定差圧(例えば通常で
の使用頻度の最も多い熱負荷状態における差圧)Aに達
すると、図4に示されるように、ダイアフラム受け24
の裏面の突起36が反転板バネ35にぶつかって、ダイ
アフラム25がそれ以上変位できなくなる。
【0022】反転板バネ35は、弁ボディー14頂部の
突起36側から所定以下の力が加わってもほとんど変形
しない。したがって、熱負荷がある程度増加して圧力差
がAより増加しても、ダイアフラム25の変位が阻止さ
れ、図4の状態が維持されて冷媒の流量がほぼ一定流量
Cに維持される。
【0023】しかし、反転板バネ35に対して弁ボディ
ー14頂部の突起36側から加わる力が一定以上に大き
くなると、図5に示されるように、反転板バネ35は瞬
間的に反転する。
【0024】したがって、使用頻度の最も多い熱負荷状
態からさらに熱負荷が一定以上増大して、圧力差が所定
の圧力差Bに達すると、そこで反転板バネ35が反転し
て、作動棒30がダイアフラム受け24に接近する方向
に移動し、それによって弁体21が絞り部17に近づく
閉じ方向に移動させられて、冷媒の流量が急速に減少す
る。
【0025】なお、そのような高負荷状態から熱負荷が
減小する際には、反転板バネ35の持つ特性によって、
図3に示されるように、熱負荷上昇時とは少しずれたヒ
ステリシス状の特性線図となる。
【0026】
【考案の効果】本考案の冷凍サイクルの膨張弁によれ
ば、起動時などに生じる一定限度を越えた高負荷時に
は、反転板バネが反転して冷媒の流量が減少するので、
起動時などの高負荷時においても、圧縮機を駆動する駆
動源に過大な負荷を与えず、またいわゆる液圧縮や液ハ
ンマ等による圧縮機の破損を未然に防止することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の膨張弁の断面図である。
【図2】実施例の冷凍サイクルの略示図である。
【図3】実施例の冷媒流量特性を示す線図である。
【図4】実施例の膨張弁の動作を示す部分断面図であ
る。
【図5】実施例の膨張弁の動作を示す部分断面図であ
る。
【符号の説明】
5 蒸発器 21 弁体 25 ダイアフラム 27 高圧室 29 低圧室 30 作動棒 35 反転板バネ

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】蒸発器の出口側冷媒流路と連通する低圧室
    と、 上記蒸発器から送り出される冷媒の温度を感知してその
    温度にしたがって内部圧力が変化する高圧室と、 上記低圧室と上記高圧室との間を仕切って上記低圧室内
    と上記高圧室内の圧力差に追随して変位するダイアフラ
    ムと、 上記ダイアフラムの変位によって駆動されて上記蒸発器
    に送り込まれる冷媒の流量を制御する弁機構と、 上記低圧室内と上記高圧室内との圧力差が一定以上大き
    くなったら反転して上記冷媒の流量が減る側に上記弁機
    構を駆動する反転板バネを設けたことを特徴とする冷凍
    サイクルの膨張弁。
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