JP2556773Y2 - 円筒基体の保持機構 - Google Patents

円筒基体の保持機構

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JP2556773Y2 JP7758191U JP7758191U JP2556773Y2 JP 2556773 Y2 JP2556773 Y2 JP 2556773Y2 JP 7758191 U JP7758191 U JP 7758191U JP 7758191 U JP7758191 U JP 7758191U JP 2556773 Y2 JP2556773 Y2 JP 2556773Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の利用分野】この考案は、旋盤や研削盤、マシ−
ニングセンター等で円筒基体を加工する際に用いる、円
筒基体の保持機構に関する。
【0002】
【従来技術】円筒基体の外周面に蒸着、CVD等にて薄
膜をつける場合、基体外周面の清浄度や傷、スクラッチ
が膜の特性を左右する。このため基体の外周面を精密研
削して表面を鏡面化するとともに、外周面に傷やスクラ
ッチを発生させないようにする必要がある。外周面の加
工後に精密洗浄を行う場合、洗浄効果がより良好に現れ
るように、加工後は外周面に触れないことが必要であ
る。また加工後に外周面に触れることは、傷、スクラッ
チ等の原因となり、出来る限り避けなければならない。
基体の外周面に成膜せず加工面のままで使用する場合で
も、洗浄効果を高め、面を傷つけないために、加工後は
外周面に触れないことが好ましい。これらのために、加
工後は外周面に触れずに円筒基体を取出すことが必要と
なる。
【0003】このような問題は、外周面の鏡面精密加工
が要求される、a−Si感光ドラムの円筒基体の外周面
加工で特に重要である。即ちa−Si感光ドラムの製造
では、アルミニウムパイプ等の円筒基体を粗加工から精
密加工まで数回に渡って表面研削し、鏡面状で傷やスク
ラッチのない外周面を得た後に、CVD等でa−Si膜
を成膜する。
【0004】加工後の円筒基体の取出しの従来例を、図
9に示す。図において、2はアルミニウム等からなる円
筒基体、01は一対のカサセンター、02はカサセンタ
ー01のテーパー面に設けた切欠部である。基体2の外
周面研削加工を終了すると、切欠部02からL金具等の
針金03を左右から人手で差し込み、基体2を保持した
後に芯押台を後退させ、基体2を針金03でつり上げて
取出す。
【0005】この方法で針金03を切欠部02に差し込
む作業は、基体2の外周面を傷付け易く、作業性が低
い。また基体2の重量が例えば20kgと大きい場合
は、つり上げること自体が困難である。針金03を頑丈
なものにしても、基体2の重量が大きい場合、自重によ
るぶれで針金03がはずれないように力を加える必要が
あり、取出しが困難である。切欠部02は回転停止後一
定位置には停止しないため、ロボット等の爪を切欠部0
2に差し込む時は、この切欠部02の停止位置を見定め
た後、切欠部02から針金を差込むことになり、位置探
しが必要で注意を要し手間がかかる。従って、作業能率
が低い。
【0006】
【考案の課題】この考案の課題は、 (1) 円筒基体の表面に傷をつけないで容易に取出せる
ようにし、 (2) 重い円筒基体でも、安定して取出せるようにし、 (3) (1),(2)により、取出しの自動化を容易にする、 ことにある。
【0007】
【考案の構成】この考案は、円筒基体の外周面を加工す
るに際して、該基体を保持するための機構であって、芯
押台と、該芯押台の前後進により基体の左右両端に当
接、非当接となる一対のセンターと、基体の内周面にほ
ぼ密着する治具と、一対のセンターの相対する面又は治
具の両端に、伸縮部材を介して取着した保持具とから成
り、芯押台を前進させ一対のセンターを基体の両端に当
接させた際に、基体を一対のセンターで保持し、芯押台
を後進させ、一対のセンターを基体の両端に対し非当接
とした際に、保持具を伸縮部材の伸張力によって、治具
の両端又は一対のセンターの相対する面に設けた挿入穴
に嵌合させ、基体の保持が一対のセンターに保持具を介
して保持された治具により維持されるようにしたことを
特徴とする、円筒基体の保持機構にある。
【0008】
【考案の作用】基体の加工終了後にセンターを基体から
後進させたときに、保持具の伸縮部材が伸長して基体を
保持する。センターが後退して基体との間に隙間が生じ
るため、基体を取り出すための爪を容易に基体に係止す
ることができる。このため、基体に傷をつけることなく
取出すことができ、また切欠部の停止位置を探すことが
不要となる。その結果、基体取出しの自動化が可能とな
り、能率が向上し、丈夫な爪を用いることができるの
で、重量基体でも取出しが容易となる。
【0009】
【実施例】図1〜図4に、実施例の保持機構を示す。図
1において、2は円筒基体で、例えば電子写真に用い
る、アモルファス−シリコン感光ドラムのアルミニウム
基体とする。実施例では、外周面の面精度が特に要求さ
れるアモルファス−シリコン感光ドラム基体2を例とす
るが、これに限るものではなく、一般の円筒基体でも良
い。3は芯押台であり、その反対側には図示しない主軸
台がある。4,5は一対のカサセンターで、加工時に基
体2の内周面や内周面に設けたテーパ部を保持する。カ
サセンター4を芯押台3側に、カサセンター5を主軸台
側に設ける。カサセンター4,5に変えて、他のセンタ
ーを用いても、あるいはチャックを閉じて用いてもよ
い。
【0010】6は、基体2の内周面にほぼ密着するよう
に収容した治具であり、例えばプラスチックを用いる。
治具6が基体2にほぼ密着するようにとしたのは、基体
2の加工時に、基体2の回転がスムースに伝わるように
するためである。また基体2が軽量のときは治具6を例
えば金属製として重量化し、この重量により切削等加工
時の振動を防止する。8は、保持具の突起を挿入するた
めの挿入穴で、ここでは貫通穴とし、治具6の中心に軸
方向に設ける。挿入穴8は貫通穴に限らず、治具6の左
右に設けた一対の孔でも良い。
【0011】9はカサセンター4,5の先端に設けた孔
で、孔9には保持具10を設ける。12は保持具10に
取付けたバネ、14はバネ基部で孔9の底に固着する。
保持具10、バネ12、バネ基部14には例えば金属を
用いる。16は保持具10の先端に設けた突起で、使用
時に挿入穴8と嵌合させる。
【0012】次に、実施例の保持機構の動作を示す。先
ず、図1に示すように、治具6を収容した基体2を主軸
台側のカサセンター5の保持具10に近づけ、突起16
を挿入穴8に嵌合させ、カサセンター5のテーパー部を
基体2の内周面に当接させる。次に図2に示すように、
芯押台3を前進させ、カサセンター4側の突起16を挿
入穴8に嵌合させ、カサセンター4のテーパー部を基体
2の内周面に当接させる。この結果基体2は内周面をカ
サセンター4,5で保持され、加工が可能になる。バネ
12,12は、このときに圧縮状態になるようにバネ長
を定め、加工は例えばバイト17で基体2を鏡面加工す
るものとする。
【0013】加工終了後は図3に示すように、芯押台3
を後退させる。このときバネ12,12が伸び、突起1
6,16が挿入穴8に嵌合したまま、カサセンター4,
5が基体2から離れる。即ちセンター4,5が離れて
も、保持具10,10で基体2が保持される。バネ12
のバネ長を充分にとれば、基体2とセンター4,5との
間に充分な間隔を設けることができる。そしてこの広い
隙間から、L金具等の針金を用いた爪18,18を、基
体2の内周面に係止する。次いで図4に示すように、爪
18,18を係止した状態で芯押台3をさらに後退さ
せ、基体2を搬送する。
【0014】なお突起16と挿入穴8の直径はほぼ等し
くし、バネ12,12の強さは突起16で基体2を支承
できる程度の強さとする。カサセンター4,5や保持具
10は、基体2の大きさが変わっても同じ物で良く、治
具6の直径や長さを基体2に応じて変更すれば良い。実
施例では、カサセンター01に設けた切欠部02を探す
必要がなく、基体2のどこにでも爪18,18をかける
ことができるので、爪18,18による係止が容易で、
基体2の内周面や外周面を傷つけずに基体2を取出せ
る。爪18,18の係止が容易なため、より硬く強い爪
を用いることができ、重い基体2でも容易かつ安全に取
出し、搬送できる。充分な間隔が有り、位置探しが不要
なため、爪18,18をトランスファーマシンやロボッ
ト等に取付ければ、基体2の取出しと搬送が自動化でき
る。人力では取出しが難しい重量の大きい基体2も、ロ
ボット等で容易に取出すことができる。また自動化によ
り作業能率を向上させることもできる。保持具10を伸
縮させるのにバネ12を用いたのは、構造が簡単で取付
けが容易であり、安価かつ修理交換が容易なためであ
る。
【0015】図5に、保持具10の伸縮に空気圧を用い
た、実施例を示す。図において、20は孔9に設けた金
属のエアシリンダ、22は金属ピストンロッドで、カサ
センター4,5の内部に図示しない空気圧パイプを設
け、そこから空気を供給して動作させる。基体2の加工
時には、ピストンロッド22,22は圧縮されて、エア
シリンダ20,20に収容される。基体2の加工終了後
に芯押台3が後退すると、空気圧でピストンロッド2
2,22を伸ばして、保持具10,10で治具6を保持
し、カサセンター4,5を基体2から遠ざける。そして
この状態で、爪18,18を基体2にかけ、基体2の取
出す。この実施例で空気圧を用いたのは、バネ12の場
合のようにバネ疲労やバネ圧のムラ等がなく、保持具1
0の伸縮のストロークを容易に調整できるためである。
他の点では、図5の実施例は図1の実施例と同様であ
る。
【0016】図6に、治具6の両端に保持具を設けた実
施例を示す。図において、30はカサセンター4,5の
先端に設けた挿入孔、32は例えば金属製の保持具、3
4は治具6の両端に設けた孔である。保持具32はバネ
12により孔34に収容する。この実施例では、治具6
に設けた保持具32をカサセンター4,5に設けた挿入
孔30に嵌合させて、基体2を保持する。他の点では、
図1の実施例と同様である。
【0017】図7,図8に変形例を示す。図7の変形例
では、カサセンター4,5の代わりに表面が階段状のセ
ンター40、41を用いる。図8の変形例では、両端に
突起46,46を設けた治具44を用い、突起46,4
6を爪42,42で係止する。このようにセンターの種
類は任意であり、カサセンター4,5を用いたのはセン
ターのテーパー部で基体2の内周面を容易に保持するた
めである。
【0018】
【考案の効果】この考案では、以下の効果が得られる。 (1) 簡単な構成の保持具等で、基体表面に傷をつけず
取出せる。 (2) センターに切欠部を設ける必要がないので、切欠
部の位置を探したり、ここから爪を入れる操作が不要に
なり、簡単に基体を取出せる。 (3) 基体の大きさの変更があっても、保持具はそのま
まで治具のみを変えれば よく、対応が容易である。 (4) (1)、(2)の結果、基体取出しの自動化が図れ、加工
能率が向上する。 (5) 重い基体でも安定して容易に取出せる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 最初の実施例の断面図
【図2】 最初の実施例の断面図
【図3】 最初の実施例の断面図
【図4】 最初の実施例の断面図
【図5】 第2の実施例の断面図
【図6】 第3の実施例の断面図
【図7】 変形例の断面図
【図8】 変形例の断面図
【図9】 従来例の断面図
【符号の説明】
2 基体 4,5 カサセンター 6 治具 8 挿入穴 10 保持具 12 バネ 16 突起 18 爪 20 エアシリンダ 22 ピストンロッド 30 挿入穴 32 保持具 40,41 センター 42 爪 44 治具

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円筒基体の外周面を加工するに際して、
    該基体を保持するための機構であって、 芯押台と、該芯押台の前後進により基体の左右両端に当
    接、非当接となる一対のセンターと、基体の内周面にほ
    ぼ密着する治具と、一対のセンターの相対する面又は治
    具の両端に、伸縮部材を介して取着した保持具とから成
    り、 芯押台を前進させ一対のセンターを基体の両端に当接さ
    せた際に、基体を一対のセンターで保持し、 芯押台を後進させ、一対のセンターを基体の両端に対し
    非当接とした際に、保持具を伸縮部材の伸張力によっ
    て、治具の両端又は一対のセンターの相対する面に設け
    た挿入穴に嵌合させ、基体の保持が一対のセンターに保
    持具を介して保持された治具により維持されるようにし
    たことを特徴とする、円筒基体の保持機構。
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JP5926227B2 (ja) * 2013-10-23 2016-05-25 ジヤトコ株式会社 センター出し治具

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