JP2555898B2 - ダイヤモンド薄膜へのメタライズ方法およびパターン形成方法 - Google Patents

ダイヤモンド薄膜へのメタライズ方法およびパターン形成方法

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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、高絶縁性、高熱伝導性の材料として期待さ
れているダイヤモンド薄膜のメタライズに関する。
(従来の技術) ダイヤモンドをヒートシンクとして用いることが考え
だされたのは、1967年頃に化合物半導体レーザーの連続
発振を目指した研究においてであり、GaAsレーザーのヒ
ートシンクを従来の銅からダイヤモンドに置き換えたの
が最初である。ヒートシンクは冷却すべき素子に接し
て、素子の発生する熱を速やかに拡散させる役目を果た
すものである。ダイヤモンドは90K〜1200Kでは物質中で
最高の熱伝導率をもつ高抵抗絶縁体であることが知られ
ている。また熱膨張係数も比較的小さく誘電率も低い。
これらの性質はダイヤモンドがヒートシンク材料として
優れている点である。ダイヤモンドヒートシンクは銅の
ヒートシンクに比べて熱伝導率が3倍以上もよく、素子
の熱抵抗を下げることができる。
素子の実装において、ヒートシンクのメタライズは必
須である。これは素子との接着、電極の取り付けあるい
は回路の形成のためである。せっかく高熱伝導性のダイ
ヤモンドを用いても、素子との接合層の熱抵抗が大きい
と意味をなさない。このため接着強度が高く、かつ素子
との接合が容易で高熱伝導性を維持したメタライズ層の
形成が必要である。従来の代表的なダイヤモンドヒート
シンクの断面図を第2図に示す。最下層には、密着度を
良くするために高真空の状態で、チタン(Ti)やクロム
(Cr)等の炭化物形成金属層5を真空蒸着法等により形
成している。最表面層7には通常金(Au)を用いる。チ
タンと金が合金を作り、熱抵抗の増加や密着度の低下を
起こさないために、中間層6として白金(Pt)をコート
してある。このようなヒートシンクがダイオード等に使
用されている。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、従来のメタライズ層では最上層が金で
あるために耐熱性に乏しく、メタライズ層の上に加工を
施したり、メタライズ層の上にさらにダイヤモンドを成
長させること等を考えた場合、不都合な点が多い。ま
た、チタン、白金、金はダイヤモンドとの熱膨張係数の
差が大きく、メタライズ層間およびICチップ等との熱膨
張係数の整合性の面で対応しきれなくなっている。
本発明はダイヤモンド薄膜の表面に耐熱性に優れ、応
用範囲の広いメタライズ層を充分な密着強度で形成する
ことを目的とする。
(課題を解決するための手段) 上記問題点は、ダイヤモンド薄膜の表面にシリンコ
(Si)層を形成し、このシリコン薄膜層の上に耐熱性金
属層を堆積し、これらを非酸化性雰囲気中で熱処理し、
続いてニッケル(Ni)層を堆積することを特徴とするダ
イヤモンド薄膜へのメタライズ方法と、前記薄膜を非酸
化性または還元性の雰囲気中において300〜500℃の温度
範囲で熱処理を行い、その後メタライズ層を選択的に除
去して所望の形状にパターニングし、その後前記熱処理
より高温で熱処理を行うことを特徴とするダイヤモンド
薄膜へのバターン形成方法によって解決できる。
(作用) ダイヤモンド薄膜の上にシリンコ(Si)薄膜層を形成
した後、さらにシリコン薄膜層の上に耐熱性金属層とし
て例えばタングステン(W)あるいはモリブデン(Mo)
薄膜層を形成する。その後、非酸化性雰囲気中で熱処理
することにより、ダイヤモンド−シリコン薄膜層間に反
応層炭化シリンコ(SixC)を、シリコン−タングステン
(あるいはモリブデン)薄膜層間に反応層タングステン
シリサイド(不定比化合物WxSi)あるいは、モリブデン
シリサイド(不定比化合物MoxSi)を生成させる。この
ことにより耐熱性に優れ、従来構造と比べ熱膨張係数を
ゆるやかに変化させたメタライズ層が実現される。熱膨
張係数の値を第1表に示す。参考のため従来品に用いら
れているメタライズ層の熱膨張係数の値も示す。
また最上層にニッケル層を堆積するか、これはダイヤ
モンド薄膜を半田あるいは銀ペースト等を用いて他の金
属部材に蝋付けするために必要な層である。タングステ
ンあるいはモリブデン等からなる耐熱性金属層は非酸化
性雰囲気中における熱処理、あるいは、メタライズ層と
他部材とを銀ペーストを用いて蝋付けする場合の比較的
高温の熱処理においてシリコン薄膜層とニッケル層との
相互拡散を防止する役割もある。すなわち、シリコン薄
膜層とニッケル層とが相互拡散してしまうと炭化シリコ
ン(SixC)中間層が形成されず、密着強度 の大きなメタライズ層を得ることができないからであ
る。
第2の発明では、低温熱処理によりダイヤモンド薄膜
にシリコン薄膜層がある程度拡散し、両者の間に強い結
合が生じるので、この段階でパターニングを行い、その
後で高温熱処理を行う。最初から約800℃で高温熱処理
を行うと、ダイヤモンド薄膜とシリコン薄膜層との間に
反応層炭化シリコン(SixC)が生成し、これが弗硝酸か
らなるエッチング液に対してエッチング速度が遅いため
に、長時間のエッチングを必要とし、その結果、上層の
メタライズ層がオーバーエッチングされて密着強度が低
下する。従って、パターニング前には高温熱処理を避け
る必要がある。
(実施例) 第1図は本発明におけるダイヤモンド薄膜表面上に形
成されたメタライズ層の断面図であり、以下に本発明の
実施例を第1図を参照して説明する。
第1図において、ダイヤモンド薄膜1の上に表面に真
空蒸着あるいはスパッタリング等の公知の方法を用い
て、シリコン薄膜層2を形成する。シリコン薄膜層2の
厚さはダイヤモンド薄膜の表面の微小な凹凸を覆うため
に、少なくとも0.1μm必要で、一般に0.5μmが望まし
い。上記シリコン薄膜層2の形成は室温〜300℃の温度
範囲で行った。
次いで、シリコン薄膜層2の上に、真空蒸着あるいは
スパッタリング等の公知の方法を用いて、厚さ1〜5μ
mのタングステン(W)もしくはモリブデン(Mo)等の
耐熱性金属層3、および厚さ0.5〜2.0μmのニッケル
(Ni)層4を順次形成する。
また、ニッケル層4を形成する前に非酸化性の、望ま
しくは、水素ガスのような還元性の雰囲気中で加熱す
る。このときの加熱条件は300℃〜800℃の温度範囲で約
40分である。このようにして、ダイヤモンド薄膜上に、
シリコン薄膜層2、耐熱性金属層3およびニッケル層4
の三層から成るメタライズ層が形成される。ダイヤモン
ド薄膜とシリコン薄膜層2の界面には炭化シリコン(Si
xC)が生成しているものと考えられる。
第2の発明では、三層のメタライズ層を積層した後、
ダイヤモンド薄膜1に、上記と同様の非酸化性または還
元性の雰囲気中で300℃〜500℃の温度範囲で低温熱処理
を行う。そして前記メタライズ層のパターニングを行う
ためにまず最表面層のニッケル層にフォトレジストを塗
布する。これを露光した後、弗酸−硝酸の混酸からなる
公知のエッチング液を用いてパターニングを行う。その
後上記と同様にして約800℃で高温熱処理を施す。
このようにダイヤモンド薄膜にシリコンおよび耐熱性
金属層を堆積し、さらに熱処理により層間に反応層(シ
リサイド)を形成することによって、高熱伝導性で熱膨
張係数の整合性の良いメタライズ層をダイヤモンド薄膜
上に密着性良く形成することができた。またこのメタラ
イズ層を所望の形状にエッチングすることにより、半導
体集積回路用の構成部材として実用の可能性を示した。
(発明の効果) 本発明によれば、低熱膨張・高熱伝導の特徴を有する
ダイヤモンド薄膜を半導体集積回路用のヒートシンク等
の電子装置の構成部材として実用可能とする効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例によるダイヤモンド薄膜上に
形成されたメタライズ層の断面図、第2図は従来の代表
的なダイヤモンドヒートシンクのメタライズ層の断面図
である。 図において、 1……ダイヤモンド薄膜層、2……シリコン(Si)薄膜
層、3……タングステン(W)あるいモリブデン(Mo)
薄膜層、4……ニッケル(Ni)薄膜層、5……チタン
(Ti)薄膜層あるいはクロム(Cr)薄膜層、6……白金
(Pt)薄膜層、7……金(Au)薄膜層

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ダイヤモンド薄膜の表面にシリコン(Si)
    層を形成し、このシリコン薄膜層の上に耐熱性金属層を
    堆積し、これらを非酸化性雰囲気中で熱処理し、続いて
    ニッケル(Ni)層を堆積することを特徴とするダイヤモ
    ンド薄膜へのメタライズ方法。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第1項記載のダイヤモンド
    薄膜を非酸化性または還元性の雰囲気中において300〜5
    00℃の温度範囲で熱処理を行い、その後メタライズ層を
    選択的に除去して所望の形状にパターニングし、その後
    前記熱処理より高温で熱処理を行うことを特徴とするダ
    イヤモンド薄膜へのパターン形成方法。
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