JP2554638Y2 - 押出機におけるダイス交換装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、アルミニウム等の金
属製押出材成形用押出機において、コンテナの前端部に
隣接して配設されるダイス交換装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】例えばアルミニウム製押出材の押出機に
は、成形しようとする押出材の設計変更等に応じて容易
にダイス交換を行うことができるよう、従来より、例え
ば第１１図に示されるようなダイス交換装置（51）が備
えられている。

【０００３】このダイス交換装置（51）は、ダイスライ
ドタイプの交換装置で、上面に、ダイスを収容する左右
一対の第１及び第２凹部（52a ）（52b ）が設けられた
ダイスライド（52）が、コンテナ（53）の前端部位置
に、左右方向移動自在に配設されたものとなされてい
る。

【０００４】このダイス交換装置（51）では、使用済ダ
イス（Ｄ₁ ）を交換用ダイス（Ｄ₂）と交換する場合、
交換用ダイス（Ｄ₂ ）を、コンテナ（53）の側方に突出
して位置するダイスライド（52）の第２収容凹部（52b
）の上方所定高さ位置に搬送した後、下降せしめて、
同凹部（52b ）内に収容し、そして、ダイスライド（5
2）を同図右方に移行せしめて交換用ダイス（Ｄ₂ ）を
コンテナ（53）と同軸の押出位置に位置せしめるという
ように行われる。一方、ダイスライド（52）のこの移行
により、使用済ダイス（Ｄ₁ ）はコンテナ（53）の側方
に移行され、その後収容部（52a ）の上方へと吊り上げ
られて取り出される。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来のダイス交換装置（51）では、押出設備の構
造上の都合等により、ダイスライド（52）の上方に、ダ
イス（Ｄ₁ ）（Ｄ₂ ）を搬送ないしは吊り上げる余裕あ
るスペースを確保することができないような場合、例え
ば旧式の押出設備の場合等には、このダイス交換装置
（51）を使用することができないという欠点があった。

【０００６】この考案は、かかる従来の欠点を解消し、
ダイスライドの下方にダイスの搬送スペースを確保でき
れば、そのスペースを利用してダイスの交換を行うこと
ができるダイス交換装置を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的において、この
考案は、上面に水平なダイス支承面を有し、該支承面が
コンテナとエンドプラテンとの間であってコンテナの軸
芯位置よりも所定距離下方の位置において左右方向に延
ばされる態様に、固定状態に設置されたダイス支承体
と、下面側にダイス収容用凹部を有すると共に、該下面
が前記ダイス支承体のダイス支承面に隣接状態に沿わさ
れ、かつダイス収容用凹部がダイス支承体のダイス支承
面上の押出位置と、ダイス支承体の側端部外方位置との
間で位置変更される態様において左右方向に移動される
ダイスライドと、上面に水平なダイス支承面を有し、前
記ダイス支承体の側端部外方隣接位置に配設されて、該
ダイス支承面がダイス支承体の支承面の高さ位置と下方
の所定高さ位置との間で上下される態様において昇降作
動される昇降作動体とを有することを特徴とする、押出
機におけるダイス交換装置を要旨とする。

【０００８】

【作用】上記装置では、昇降作動体のダイス支承面をダ
イス支承体のダイス支承面高さ位置に位置保持した状態
で、ダイスライドを移動せしめてその収容用凹部を昇降
作動体のダイス支承面の直上に移行し、そして、昇降作
動体を下降することにより、使用済ダイスの取出しが達
せられる。

【０００９】また、ダイスライドのダイス収容用凹部を
ダイス支承体の側端部外方位置に位置保持した状態で、
昇降作動体を所定の下方待機位置から上昇してそのダイ
ス支承面をダイス支承体の支承面高さ位置に位置せし
め、そして、その状態で、ダイスライドを移動し、収容
用凹部を押出位置に位置せしめることにより、交換用ダ
イスの設置が達せられる。

【００１０】

【実施例】次に、本考案の一実施例を説明する。

【００１１】第１図ないし第３図はダイス交換装置の全
体構成を示すもので、（１）はダイス交換装置、（２）
は押出機コンテナ、（３）はエンドプラテンである。

【００１２】ダイス交換装置（１）において、（５）は
ダイス支承体、（６）はダイスライド、（７）は第１シ
リンダー、（８）は第２シリンダー、（９）は第３シリ
ンダーである。

【００１３】ダイス支承体（５）は、第３図に示される
ように、コンテナ（２）とエンドプラテン（３）との間
の位置に固定状態に設置され、その上面は、水平で平坦
なダイス支承面（5a）に形成されている。このダイス支
承面（5a）は、第１図に示されるように、コンテナ
（２）の軸芯位置よりも所定距離下方の位置において、
左右方向に延ばされたものとなされている。

【００１４】ダイスライド（６）には、その下面に、ト
ンネル形状のダイス収容用凹部（10）が設けられてい
る。このダイスライド（６）は、その下面が水平で平坦
に形成されて、ダイス支承体（５）の支承面（5a）に沿
わせた状態に配設され、そして、図示しない駆動装置に
より、ダイス支承体（５）の支承面（5a）に沿って、ダ
イス収容用凹部（10）がダイス支承体（５）上の押出位
置と、ダイス支承体（５）の側端部（5b）の外方位置と
の間で左右方向に移動されるものとなされている。

【００１５】第１シリンダー（７）は、ダイスを昇降さ
せるもので、ダイス支承体（５）の側端部（5b）の外方
隣接位置の直下床面（Ｆ）下に上下方向に向けられた状
態に配設されている。そして、このシリンダー（７）の
ロッドの先端に、上面を水平で平坦なダイス支承面（11
a ）とする昇降作動体（11）が設けられ、第１シリンダ
ー（７）の駆動により、該昇降作動体（11）が昇降さ
れ、そのダイス支承面（11a ）が、床面（Ｆ）の高さ位
置と、ダイス支承体（５）の支承面（5a）の高さ位置と
の間で上下されるものとなされている。なお、昇降作動
体（11）は、第４図に示されるように、その支承面（11
a ）がダイス支承体（５）の支承面（ 5a）の高さ位置
に上昇配置された状態において、ダイス支承体（５）と
隣接状態となり、両ダイス支承面（5a）（11a ）が少な
い隙間をおいて、あるいは隙間がほとんどない状態にお
いて実質的に面一となるものとなされている。なお、
（ 13）は、床面（Ｆ）に設けられた開口であり、該開
口（13）は、昇降作動体（ 11）の外周形状に略適合す
る形状・サイズに形成されている。

【００１６】第２シリンダー（８）は、下方待機状態の
昇降作動体（11）上にのせられた使用済ダイスを突押し
し、該ダイスを、押出方向における後方、即ちコンテナ
（２）側に払い出すものであり、ロッドの先端部には突
押し作動体（15）が設けられており、前後方向に向けら
れて床面（Ｆ）上の所定位置に水平状態に配設されてい
る。

【００１７】第３シリンダー（９）は、交換用ダイスを
下方待機状態の昇降作動体（11）上に移すもので、ロッ
ドの先端部に突押し作動体（16）が設けられており、左
右方向に向けられて床面（Ｆ）上の所定位置に水平状態
に配設されている。

【００１８】次に、上記構成の交換装置（１）を、使用
済ダイス（Ｄ₁ ）と交換用ダイス（Ｄ₂ ）との交換に用
いた場合の作動例を説明する。

【００１９】なお、本実施例では、図示のように、円柱
形状のダイスを交換の対象としているため、本装置作動
中の不本意なダイス回転を防止する目的において、下面
が平坦なダイストレー（Ｔ）にダイスを支承せしめた状
態において、その取扱いを行うものとしている。しか
し、ダイスがその下面において平坦部を有するような場
合にはトレー（Ｔ）の使用は排除されてよい。

【００２０】ダイス交換に際しては、第４図に示される
ように、まず、第１シリンダー（７）を駆動して、昇降
作動体（11）のダイス支承面（11a ）をダイス支承体
（５）の支承面（5a）の高さ位置まで上昇せしめる。

【００２１】その状態で、第５図に示されるように、ダ
イスライド（６）を同図左方に移動し、その収容用凹部
（10）を昇降作動体（11）のダイス支承面（11a ）上に
位置せしめる。これにより、使用済ダイス（Ｄ₁ ）とダ
イストレー（Ｔ）は、ダイスライド（５）の動作に従わ
され、支承体（５）の支承面（5a）上をスライド移行
し、昇降作動体（11）の支承面（11a ）上に移される。
昇降作動体（11）の支承面（11a ）と支承体（５）の支
承面（5a）とは同じ高さ位置に定められかつ互いに隣接
した状態に保持されているから、この移行過程におい
て、ダイス（Ｄ₁ ）とダイストレー（Ｔ）は、支承体
（５）の支承面（5a）上から昇降作動体（11）の支承面
（11a ）上に支障なくスムーズに移行される。

【００２２】次いで、第６図に示されるように、第１シ
リンダー（７）を駆動して昇降作動体（11）を下降し、
使用済ダイス（Ｄ₁ ）を床面高さ位置に移行せしめる。

【００２３】次いで、第２シリンダー（８）を駆動し、
その突押し体（15）にて、第７図に示されるように、使
用済ダイス（Ｄ₁ ）を、昇降作動体（11）上から側方床
面（Ｆ）上に払い出す。払い出した使用済ダイス
（Ｄ₁ ）は適宜、ダイス工場に搬出される。

【００２４】そして、第２シリンダー（８）を後退駆動
せしめた後、第８図に示されるように、今度は、第３シ
リンダー（９）を駆動し、その突押し体（16）にて、交
換用ダイス（Ｄ₂ ）を、昇降作動体（11）の支承面（11
a ）上に移行せしめる。

【００２５】しかるのち、第９図に示されるように、第
１シリンダー（７）を駆動して、昇降作動体（11）を上
昇せしめて、交換用ダイス（Ｄ₂ ）とダイストレー
（Ｔ）とをダイスライド（６）の収容用凹部（10）内に
収容せしめる。

【００２６】そして、第１０図に示されるように、ダイ
スライド（６）を同図右方に移動せしめると、該交換用
ダイス（Ｄ₂ ）とダイストレー（Ｔ）は、支承体（５）
の支承面（5a）上をスライドしていき、コンテナ（２）
の前端部軸芯位置にダイス（Ｄ₂ ）は配置される。以上
によりダイスの交換が終了する。

【００２７】なお、本考案におけるダイス交換装置は、
ダイス交換のためのみに用途が限定されるものではな
く、ダイスを単独でコンテナ（２）の前端部に設置する
目的において、あるいはコンテナ（２）の前端部に設置
されているダイスを取り出すだけの目的において使用さ
れうるものであることはいうまでもない。

【００２８】

【考案の効果】上述の次第で、この考案のダイス交換装
置は、上記のような構成を有するものとなされているか
ら、ダイスライド下方の空スペースを利用してダイスの
交換を容易に行うことができる。従って、例えばダイス
ライドの上方にダイス交換のための空スペースが確保で
きないような押出設備等に、有効的に本考案のダイス交
換装置を適用することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】ダイス交換装置の全体構成を示す斜視図であ
る。

【図２】図１のＩＩ−ＩＩ線断面矢視図である。

【図３】図１のＩＩＩ−ＩＩＩ線断面矢視図である。

【図４】使用済ダイスの取出し工程の一つを示す部分断
面背面図である。

【図５】使用済ダイスの取出し工程の一つを示す部分断
面背面図である。

【図６】図（イ）は使用済ダイスの取出し工程の一つを
示す部分断面背面図、図（ロ）は図（イ）のＶＩ−ＶＩ
線断面矢視図である。

【図７】使用済ダイスの払出し工程を示す部分断面側面
図である。

【図８】交換用ダイスの組込み工程の一つを示す部分断
面背面図である。

【図９】交換用ダイスの組込み工程の一つを示す部分断
面背面図である。

【図１０】交換用ダイスの組込み工程の一つを示す部分
断面背面図である。

【図１１】従来のダイス交換装置を示す背面図である。

【符号の説明】

１…ダイス交換装置 ２…コンテナ ３…エンドプラテン ５…ダイス支承体 ５ａ…ダイス支承面 ６…ダイスライド １０…ダイス収容用凹部 １１…昇降作動体 １１ａ…ダイス支承面

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 上面に水平なダイス支承面を有し、該支
   承面がコンテナとエンドプラテンとの間であってコンテ
   ナの軸芯位置よりも所定距離下方の位置において左右方
   向に延ばされる態様に、固定状態に設置されたダイス支
   承体と、 下面側にダイス収容用凹部を有すると共に、該下面が前
   記ダイス支承体のダイス支承面に隣接状態に沿わされ、
   かつダイス収容用凹部がダイス支承体のダイス支承面上
   の押出位置と、ダイス支承体の側端部外方位置との間で
   位置変更される態様において左右方向に移動されるダイ
   スライドと、 上面に水平なダイス支承面を有し、前記ダイス支承体の
   側端部外方隣接位置に配設されて、該ダイス支承面がダ
   イス支承体の支承面の高さ位置と下方の所定高さ位置と
   の間で上下される態様において昇降作動される昇降作動
   体とを有することを特徴とする、押出機におけるダイス
   交換装置。