JP2551794B2 - 電気泳動表示装置及びその製造法 - Google Patents

電気泳動表示装置及びその製造法

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高志 森
修 井上
孝寿 赤塚
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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、電気泳動粒子を利用した表示装置に関し、
更に具体的に云えば、表示制御用電極間に弾性部材から
なる有孔性シートを介装する構造並びに構成部材を分散
系液中で仮組立する手法を採用することによって分散系
封入処理を簡易化できるようにした電気泳動表示装置に
関する。
「従来技術とその問題点」 この種の電気泳動表示装置は、少なくとも一方が透明
な対向配置した一組の電極板間に液体分散媒に電気泳動
粒子を分散させた分散系を封入し、上記電極板の極性に
応じて分散媒中の電気泳動粒子を透明電極板側に吸着又
は離反させる得るように該極性を制御することによっ
て、所望の文字、記号或いは図形等を表示するように構
成したものである。分散系に使用される液体分散媒は一
般的に公知であって、これには例えばアルコール系溶
媒、各種エステル類、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水
素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素又はその他の
種々の油等を単独又は適宜混合したものに界面活性剤な
どを適量添加したものを使用できる。
また、電気泳動粒子としては、カーボンブラック、紺
青又はフタロシアニングリーン等が一般的なものとして
知られている。
第3図は、斯かる電気泳動表示装置の概念的な要部断
面構成図であって、1及び2はガラス板等の透明部材と
その一方面に所要のパターンで形成された透明電極を示
し、対向配置されたこれらの一組の透明電極2の間に
は、電気泳動粒子5Aを含む分散系5を封入してあり、7
は両透明電極2を所要の間隙に保持する為に必要なスペ
ーサを兼ねる端部封止材である。
このような電気泳動表示装置に於いて、装置の端部に
のみスペーサ乃至は封止材7を配設することによって分
散系5を両電極2間に単に封入する構造の場合には、電
気泳動粒子5Aの凝集或いは付着現象によって表示ムラを
発生する恐れがあるため、斯かる事態を防止する手段と
して、図示しないが、両電極2間にメッシュ状或いは多
孔質状の有孔性スペーサを配置して分散系5を不連続に
分割し、このような有孔性スペーサによって表示動作の
安定化を確保する構造も提案されている。
しかしながら、上記のような有孔性スペーサを使用す
る電気泳動表示装置は、電気泳動粒子5Aの濃度を均一に
保持することは容易である一方、有孔性スペーサに形成
された小区域の多数の各透孔に対して分散系5を一様に
封入する処理は極めて困難となる。
「発明の目的及び構成」 本発明は、分散系を不連続に分割する為の有孔性スペ
ーサを使用した場合に問題となる上記の如き分散系封入
処理の困難性を好適に解消することの可能な電気泳動表
示装置とその製造法を提供することを主要な目的とする
ものである。
本発明に係る電気泳動表示装置は、上記目的を達成す
る為の手段として、少なくとも一方が透明な一組の対向
電極板間に電気泳動粒子を含む分散系を封入し、該電極
間に印加した表示制御用電圧の作用下に分散系内の電気
泳動粒子の分布状態を変えることによって光学的反射特
性に変化を与えて所要の表示動作を行わせるようにした
電気泳動表示装置に於いて、上記電極板間に弾性部材か
らなる有孔性シートを介装し、この弾性質有孔性シート
により上記分散系を不連続に分散できるように構成した
構造が提供される。
また、上記構造を得るために本発明によれば、少なく
とも一方が透明な一組の対向電極板の一方に弾性部材か
らなる有孔性シートを設けたものを用意し、これを電気
泳動粒子を分散させた分散系の液中に浸漬しながら上記
弾性質有孔性シートの各孔に上記分散系を充たして他方
の電極板と共に両電極板をクランプしたのち、全体を分
散系液から取出して外周端の接着封止処理を施し、最後
に上記クランプを除去する製造手法が提供される。
「実 施 例」 以下、図示の実施例を参照しながら本発明を更に詳述
すると、第1図に於いて、一組のガラス板等からなる透
明部材1の各対向面には表示制御用電圧を印加する為の
透明電極2が酸化スズ、酸化インジウム・スズ等からな
る透明導電部材で適宜形成されており、この両透明電極
2は端部近傍に配設されたスペーサ3と本発明で採用し
た弾性質部材からなる有孔性シート4によって所要の間
隔を保持するように対向配置される。そして、これらの
両透明電極2の間に介装された弾性質有孔性シート4の
各孔には、電気泳動粒子5Aを分散媒中に分散させた分散
系5を充たして第2図の如くこの分散系5を最終的には
不連続に分割できるように封入される。第2図に於い
て、6は外周部位に設けた接着封止材である。
弾性質有孔性シート4の材料としては、スチレン−ブ
タジエン系、イソプレン系、エチレン−プロピレン系、
アクリロニトリロ−ブタジエン系、クロロプレン系の如
き合成ゴムや天然ゴム等を用いることが出来、このよう
な部材を用いて形成される弾性質有孔性シート4に対し
ては、図示しないが、角状又はスリット状等の他、円状
或いは長方形状など任意形状で多数の透孔を規則的若し
くは不規則的に打ち抜き加工やドリル加工の手段で適宜
設けるか、若しくは一方の透明電極2上にスクリーン印
刷手段又はスプレー手段等により上記態様で直接形成す
ることも可能であり、そのいずれの手法でも弾性質有孔
性シート4の成形状態に於ける厚さがスペーサ3の厚さ
より適宜大となるように熱プレス等で成形し得る。端部
近傍に設けるスペーサ3は、ポリエチレンテレフタレー
トやポリイミド等の適宜なフィルムで形成できる。
分散系5を構成する電気泳動粒子5Aとしては、酸化チ
タン等が代表的であるが、周知のコロイド粒子の他、種
々の有機・無気質顔料、染料、金属粉、ガラス或いは樹
脂等の微粉末などを適宜使用できる。また、そのための
分散媒には、水、アルコール類、炭化水素、ハロゲン化
炭化水素等の他、天然又は合成の各種油などを任意に使
用し得る。なお、斯かる分散系5中には、必要に応じて
電解質や界面活性剤、金属石けん、樹脂、ゴム、油、ワ
ニス又はコンパウンドなどの粒子からなる荷電制御剤に
加えて分散剤、潤滑剤、安定化剤等を適宜添加できる。
更に、電気泳動粒子4の荷電を正又は負に統一したり、
ゼータ電位を高める為の手段や分散を均一安定化するこ
との他、該粒子5Aの透明電極2に対する吸着性や分散媒
の粘度等の調整を任意に行い得る。
上記の如き電気泳動表示装置を製作する手法として
は、第1図のように、一方の透明電極2上に端部のスペ
ーサ3及び上記弾性質有孔性シート4を設けたものを分
散系液に浸漬して弾性質有孔性シート4の各孔に分散系
5を充満させ、その浸漬状態で他方の透明電極2をスペ
ーサ3及び有孔性シート4上に重ね合せ、この仮組立状
態を保持できるように両透明部材1を機械的にクランプ
する。次いでこれを分散系液から取り出して第2図のよ
うに外周端に接着封止材6を塗布し乾燥後、最後にクラ
ンプを除去することにより、両透明電極2の対向間隙内
に充満した分散系5は、弾性質有孔性シート4により多
数の小区域に不連続に分割されることとなり、分散系5
の確実な封入処理を施した製品を得ることが出来る。斯
かる弾性質有孔性シート4を用いた分散系5の小区域の
不連続な分割形態では、電気泳動粒子5Aの透明電極2と
平行方向への移動を実質的に阻止して表示ムラの発生を
抑制できるので製品寿命を高め得る。
「発明の効果」 以上のとおり、本発明による電気泳動表示装置及びそ
の製造手法によれば、透明電極間に分散系を小区域に不
連続に分割して封入する為の手段として、弾性質有孔性
シートを上記電極間に介装する構造を備え、その有孔性
シートの各孔に対する分散系の封入処理は分散系液に浸
漬した状態での仮組立中に同時に行えるように構成した
もので、少なくとも次の効果を奏する。
分散系を不連続な小区域に分割する手段としての弾性
質有孔性シートの各孔には分散系液に浸漬した状態で一
括的に分散系を充満させ得るので、分散系の迅速且つ容
易確実な封入処理が可能であって、分散系封入処理の簡
便化を図りながら分散系の不連続な分割手段として極め
て有利である。
弾性質有孔性シートは、両対向電極の間隔を所要値に
保持して装置の機械的強度を補強するように作用するの
で、表示面積の大きなタイプなどにも好適に対応でき
る。
従って、製造する上で格段に有利な構造であって、表
示ムラ等の発生を抑制して優れた表示特性を備えた電気
泳動表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例に従って構成された弾性質有
孔性シートを具備する電気泳動表示装置の組立中の概念
的要部断面構成図、 第2図は組立完了状態の電気泳動表示装置の概念的要部
断面構成図、そして、 第3図は従来構造の電気泳動表示装置の問題点を説明す
るための断面説明図である。 1:透明部材 2:透明電極 3:端部のスペーサ 4:弾性質有孔性シート 5:分散系 5A:電気泳動粒子 6:接着封止材

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも一方が透明な一組の対向電極板
    間に電気泳動粒子を含む分散系を封入し、該電極間に印
    加した表示制御用電圧の作用下に分散系内の電気泳動粒
    子の分布状態を変えることによって光学的反射特性に変
    化を与えて所要の表示動作を行わせるようにした電気泳
    動表示装置に於いて、上記電極板間に弾性部材で形成さ
    れた有孔性シートを介装し、該弾性質有孔性シートによ
    り上記分散系を不連続に分散できるように構成したこと
    を特徴とする電気泳動表示装置。
  2. 【請求項2】少なくとも一方が透明な一組の対向電極板
    の一方に弾性部材からなる有孔性シートを設けたものを
    用意し、これを電気泳動粒子を分散させた分散系液中に
    浸漬しながら上記弾性質有孔性シートの各孔に上記分散
    系を充たして他方の電極板と共に両電極板をクランプし
    たのち、全体を分散系液から取出して外周端の接着封止
    処理を施し、最後に上記クランプを除去することを特徴
    とする電気泳動表示装置の製造法。
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