JP2551424B2 - TGF−β制御糖タンパク質サブユニツト - Google Patents
TGF−β制御糖タンパク質サブユニツトInfo
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Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、癌化成長因子β(Transforming Growth
Factor−β(TGF−β)と可逆的に結合してTGF−βの活
性を阻害する、新規な制御糖タンパク質のサブユニット
に関する。この新規物質は、(1)TGF−β過剰産生腫
瘍に対する制癌剤、(2)創傷並びに肝炎の治療剤、
(3)血中及び組織中のTGF−β濃度の高感度測定法に
用いる試薬としての用途を有する。
Factor−β(TGF−β)と可逆的に結合してTGF−βの活
性を阻害する、新規な制御糖タンパク質のサブユニット
に関する。この新規物質は、(1)TGF−β過剰産生腫
瘍に対する制癌剤、(2)創傷並びに肝炎の治療剤、
(3)血中及び組織中のTGF−β濃度の高感度測定法に
用いる試薬としての用途を有する。
[従来の技術] TGF−βは外傷の修復や肝細胞の再生に関係する因子
であって、血小板中に蓄積されている。TGF−βは血小
板をトロンビンで処理すると潜在型(latent form)の
状態で血小板から分泌される。(Nakamura,T.,Teramoto
H.,Tomita,Y. & Ichihara,A.,Biochem.Biophys.Res.C
ommun.134,755−763(1986))TGF−βは多くの肝異機
能を有する成熟ラット初代培養肝細胞の増殖を阻害する
(Nakamura,T.,Tomita,Y.,Hirai,R.,Yamaoka,K.,Kaji
K. & Ichihara,A.,Biochem.Biophys.Res.Commun.133,p
p.1042−1050(1985);Hayashi,I. & Carl,B.I.J.Cel
l.Physiol.125,pp.82−91(1985))。TGF−βはTGF−
α又は表皮成長因子(EGF)の存在下で、軟寒天中でNRK
49F繊維芽細胞及びAKR−2B細胞の付着非依存性成長を促
進し(Roberts,A.B.,Frolik,C.A.,Anzano,M.A. & Spor
n,M.B.Fed.Proc.42,pp.2621−2626(1983);Assoian,R.
K.,Komoriya,A.,Meyers,C.A.,Miller,D. M.& Sporn,M.
B.,J.Biol.Chem.258,pp.7155−7160(1983))、多くの
細胞系の単層培養における付着依存性成長を阻害する
(Tucker,R.F.,Shipley,G.D.,Moses,H.L. & Holley,R.
W.,Science226,pp.705−707(1984);Roberts,A.B.,Anz
ano,M.A.,Wakefield,L.M.,Roche,N.S.,Stern,D.F. & S
porn,M.B.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.82,pp.119−123
(1985))。
であって、血小板中に蓄積されている。TGF−βは血小
板をトロンビンで処理すると潜在型(latent form)の
状態で血小板から分泌される。(Nakamura,T.,Teramoto
H.,Tomita,Y. & Ichihara,A.,Biochem.Biophys.Res.C
ommun.134,755−763(1986))TGF−βは多くの肝異機
能を有する成熟ラット初代培養肝細胞の増殖を阻害する
(Nakamura,T.,Tomita,Y.,Hirai,R.,Yamaoka,K.,Kaji
K. & Ichihara,A.,Biochem.Biophys.Res.Commun.133,p
p.1042−1050(1985);Hayashi,I. & Carl,B.I.J.Cel
l.Physiol.125,pp.82−91(1985))。TGF−βはTGF−
α又は表皮成長因子(EGF)の存在下で、軟寒天中でNRK
49F繊維芽細胞及びAKR−2B細胞の付着非依存性成長を促
進し(Roberts,A.B.,Frolik,C.A.,Anzano,M.A. & Spor
n,M.B.Fed.Proc.42,pp.2621−2626(1983);Assoian,R.
K.,Komoriya,A.,Meyers,C.A.,Miller,D. M.& Sporn,M.
B.,J.Biol.Chem.258,pp.7155−7160(1983))、多くの
細胞系の単層培養における付着依存性成長を阻害する
(Tucker,R.F.,Shipley,G.D.,Moses,H.L. & Holley,R.
W.,Science226,pp.705−707(1984);Roberts,A.B.,Anz
ano,M.A.,Wakefield,L.M.,Roche,N.S.,Stern,D.F. & S
porn,M.B.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.82,pp.119−123
(1985))。
[発明の概要] 本願発明者らは、4個以上の分子が会合してTGF−β
と可逆的に結合し、TGF−βと結合している状態ではTGF
−βの活性を阻害してこれを潜在型とするTGF−βの制
御糖タンパク質サブユニットを見出し、これを単離する
ことに成功し本願発明を完成した。
と可逆的に結合し、TGF−βと結合している状態ではTGF
−βの活性を阻害してこれを潜在型とするTGF−βの制
御糖タンパク質サブユニットを見出し、これを単離する
ことに成功し本願発明を完成した。
すなわち、この発明は、血小板中に存在し、4個以上
の分子が会合したものがTGF−βと可逆的に結合してTGF
−βの活性を阻害し、熱及び酸に対して安定であり、ジ
チオスレイトール又はトリプシンで処理するとそのTGF
−β阻害活性が失われる分子量約46kdの糖タンパク質サ
ブユニットを提供する。
の分子が会合したものがTGF−βと可逆的に結合してTGF
−βの活性を阻害し、熱及び酸に対して安定であり、ジ
チオスレイトール又はトリプシンで処理するとそのTGF
−β阻害活性が失われる分子量約46kdの糖タンパク質サ
ブユニットを提供する。
[発明の効果] この発明により、TGF−βの活性を制御する新規な糖
タンパク質サブユニットが提供された。この発明のサブ
ユニットを会合させた糖タンパク質により、TGF−βの
高感度微量定量が可能となり、血中TGF−βと種々の疾
病との相関が明らかにできる。また、TGF−βを産生し
てオートクリン機構で自律的増殖を行なう腫瘍の成長を
阻害する制癌剤として利用できる。さらに、肝炎などの
種々の炎症に対する抗炎症剤として利用することも可能
である。
タンパク質サブユニットが提供された。この発明のサブ
ユニットを会合させた糖タンパク質により、TGF−βの
高感度微量定量が可能となり、血中TGF−βと種々の疾
病との相関が明らかにできる。また、TGF−βを産生し
てオートクリン機構で自律的増殖を行なう腫瘍の成長を
阻害する制癌剤として利用できる。さらに、肝炎などの
種々の炎症に対する抗炎症剤として利用することも可能
である。
[発明の具体的説明] この発明の糖タンパク質サブユニットは以下のように
して単離、精製することができる。
して単離、精製することができる。
まず、従来から知られている方法により、血小板から
潜在型のTGF−βを分泌させる。これは、全血から遠心
により血小板を分離し、これを例えば2U/mlのトロンビ
ンを含むバッファーに懸濁し、例えば室温で10分間放置
することによって行うことができる。遠心により血小板
を除いた上清中に潜在型TGF−βが含まれており、以下
の操作においてこれを出発物質とする。
潜在型のTGF−βを分泌させる。これは、全血から遠心
により血小板を分離し、これを例えば2U/mlのトロンビ
ンを含むバッファーに懸濁し、例えば室温で10分間放置
することによって行うことができる。遠心により血小板
を除いた上清中に潜在型TGF−βが含まれており、以下
の操作においてこれを出発物質とする。
次に、この潜在型TGF−β(TGF−βに制御糖タンパク
質が結合したもの)から糖タンパク質サブユニットの会
合体を解離する。これは、上記上清を100℃の水中で5
分間処理することによって、又は上記上清を6M尿素若し
くは1N酢酸で処理することによって行うことができる。
6M尿素又は1N酢酸による処理は、これらを含むリン酸バ
ッファーに対して一夜透析することによって行うことが
できる。なお、これらの処理を行う前に、例えばMono−
Sカラム(ファルマシア社製)のような高性能陰イオン
交換クロマトグラフィーによって肝細胞増殖因子(HG
F)を除去し、さらに限外ろ過によって滅菌することが
好ましい。潜在型TGF−βを含む分画は、上記Mono−S
カラムを素通りする。
質が結合したもの)から糖タンパク質サブユニットの会
合体を解離する。これは、上記上清を100℃の水中で5
分間処理することによって、又は上記上清を6M尿素若し
くは1N酢酸で処理することによって行うことができる。
6M尿素又は1N酢酸による処理は、これらを含むリン酸バ
ッファーに対して一夜透析することによって行うことが
できる。なお、これらの処理を行う前に、例えばMono−
Sカラム(ファルマシア社製)のような高性能陰イオン
交換クロマトグラフィーによって肝細胞増殖因子(HG
F)を除去し、さらに限外ろ過によって滅菌することが
好ましい。潜在型TGF−βを含む分画は、上記Mono−S
カラムを素通りする。
上記操作により解離したTGF−βとその制御糖タンパ
ク質を次に、6M尿素とバッファーとで平衡化した例えば
Mono−Qカラム(ファルマシア社製)のような高性能陰
イオン交換クロマトグラフィーに架ける。同一バッファ
ーで洗浄後、NaCl濃度勾配で溶出する。後述する実施例
で明らかになるように、制御糖タンパク質は0.4M NaCl
により溶出されるので、NaCl勾配は0.4Mを挟んで行う必
要がある。精製を確実に行うために、この陰イオン交換
クロマトグラフィーは少なくとも2回行うことが好まし
い。
ク質を次に、6M尿素とバッファーとで平衡化した例えば
Mono−Qカラム(ファルマシア社製)のような高性能陰
イオン交換クロマトグラフィーに架ける。同一バッファ
ーで洗浄後、NaCl濃度勾配で溶出する。後述する実施例
で明らかになるように、制御糖タンパク質は0.4M NaCl
により溶出されるので、NaCl勾配は0.4Mを挟んで行う必
要がある。精製を確実に行うために、この陰イオン交換
クロマトグラフィーは少なくとも2回行うことが好まし
い。
制御糖タンパク質活性分画を次に6M尿素とバッファー
で平衡化した例えばセファクリルS−300(ファルマシ
ア社製)のようなゲルろ過クロマトグラフィーに架けて
さらに精製する。なお、ゲルろ過に架ける前に、上記活
性分画を限外ろ過にて濃縮しておくことが好ましい。こ
のゲルろ過クロマトグラフィーにおいて、この発明のサ
ブユニットの会合体である糖タンパク質が500から600kd
の分画に溶出する。
で平衡化した例えばセファクリルS−300(ファルマシ
ア社製)のようなゲルろ過クロマトグラフィーに架けて
さらに精製する。なお、ゲルろ過に架ける前に、上記活
性分画を限外ろ過にて濃縮しておくことが好ましい。こ
のゲルろ過クロマトグラフィーにおいて、この発明のサ
ブユニットの会合体である糖タンパク質が500から600kd
の分画に溶出する。
次に制御糖タンパク質活性分画を0.05%トリフルオロ
酢酸(TFA)に対して透析し、0.05%TFAで平衡化した例
えばBio Rad C4カラムに架けて逆相高速液体クロマトグ
ラフィーを行う。溶出は、例えば30〜45%のアセトニト
リル勾配により行うことができる。この発明の制御糖タ
ンパク質サブユニットはアセトニトリル濃度39%の位置
に溶出する。
酢酸(TFA)に対して透析し、0.05%TFAで平衡化した例
えばBio Rad C4カラムに架けて逆相高速液体クロマトグ
ラフィーを行う。溶出は、例えば30〜45%のアセトニト
リル勾配により行うことができる。この発明の制御糖タ
ンパク質サブユニットはアセトニトリル濃度39%の位置
に溶出する。
上記操作により、この発明の糖タンパク質サブユニッ
トは単離、精製される。還元条件下のSDS−ポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)により調べたとこ
ろ、この発明の糖タンパク質サブユニットは、分子量約
46kdの位置に単一のバンドとして現れた。従って、この
発明の糖タンパク質サブユニットの分子量は約46kdであ
る。
トは単離、精製される。還元条件下のSDS−ポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)により調べたとこ
ろ、この発明の糖タンパク質サブユニットは、分子量約
46kdの位置に単一のバンドとして現れた。従って、この
発明の糖タンパク質サブユニットの分子量は約46kdであ
る。
TGF−βの制御糖タンパク質の分子量は中性条件下の
上記セファクリルS−300ゲルろ過クロマトグラフィー
では500から600kdの大分子量を示し、還元条件下のSDS
−PAGEでは46kdを示すことから、制御糖タンパク質は、
この発明のサブユニットから成るホモオリゴマーである
ことがわかった。ところが、非還元条件下のSDS−PAGE
では制御糖タンパク質はいずれの位置にも明確なバンド
を示さない。そこで上記のようにして精製した制御糖タ
ンパク質サブユニットを2%SDSで37℃、15時間処理
後、5%ゲルを用いたSDS−PAGEを行い、2mm幅でゲルを
スライスして、各スライスから制御糖タンパク質をリン
酸バッファーで一昼夜抽出して制御糖タンパク質活性を
測定した。その結果、制御糖タンパク質活性は分子量約
180kdと約220kdの位置に二本のピークとして検出され
た。この結果、制御糖タンパク質活性を示す最低分子量
が約180kdであることを示し、これは46kdのサブユニッ
ト4個に相当する。また、制御糖タンパク質活性は後述
するようにメルカプトエタノールやジチオスレイトール
で還元すると失活することより、サブユニットの単量体
では活性がない。従って、この発明のサブユニットは4
個以上会合して活性なTGF−βの制御糖タンパク質とし
て機能することがわかった。
上記セファクリルS−300ゲルろ過クロマトグラフィー
では500から600kdの大分子量を示し、還元条件下のSDS
−PAGEでは46kdを示すことから、制御糖タンパク質は、
この発明のサブユニットから成るホモオリゴマーである
ことがわかった。ところが、非還元条件下のSDS−PAGE
では制御糖タンパク質はいずれの位置にも明確なバンド
を示さない。そこで上記のようにして精製した制御糖タ
ンパク質サブユニットを2%SDSで37℃、15時間処理
後、5%ゲルを用いたSDS−PAGEを行い、2mm幅でゲルを
スライスして、各スライスから制御糖タンパク質をリン
酸バッファーで一昼夜抽出して制御糖タンパク質活性を
測定した。その結果、制御糖タンパク質活性は分子量約
180kdと約220kdの位置に二本のピークとして検出され
た。この結果、制御糖タンパク質活性を示す最低分子量
が約180kdであることを示し、これは46kdのサブユニッ
ト4個に相当する。また、制御糖タンパク質活性は後述
するようにメルカプトエタノールやジチオスレイトール
で還元すると失活することより、サブユニットの単量体
では活性がない。従って、この発明のサブユニットは4
個以上会合して活性なTGF−βの制御糖タンパク質とし
て機能することがわかった。
この発明のサブユニットが4個以上会合して成る糖タ
ンパク質は、上述のように処理するとTGF−βから解離
するが、TGF−βと共に中性条件で数分間インキュベー
トすると、再びTGF−βと結合してTGF−βの活性を阻害
する。しかも、TGF−β活性の阻害はこの発明の糖タン
パク質サブユニットの濃度に依存して変化する。
ンパク質は、上述のように処理するとTGF−βから解離
するが、TGF−βと共に中性条件で数分間インキュベー
トすると、再びTGF−βと結合してTGF−βの活性を阻害
する。しかも、TGF−β活性の阻害はこの発明の糖タン
パク質サブユニットの濃度に依存して変化する。
この発明のサブユニットから成る糖タンパク質は、10
0℃、3分間の加熱によってそのTGF−β阻害活性が全く
減少せず、1M酢酸で25℃、2時間処理してもそのTGF−
β阻害活性が20%しか落ちないので、熱及び酸に対して
安定であるということが言える。一方、50mMのジチオス
レイトールで37℃、2時間処理、又は濃度10μg/mlのト
リプシンで37℃、2時間処理することによってTGF−β
阻害活性が実質的に失われる。
0℃、3分間の加熱によってそのTGF−β阻害活性が全く
減少せず、1M酢酸で25℃、2時間処理してもそのTGF−
β阻害活性が20%しか落ちないので、熱及び酸に対して
安定であるということが言える。一方、50mMのジチオス
レイトールで37℃、2時間処理、又は濃度10μg/mlのト
リプシンで37℃、2時間処理することによってTGF−β
阻害活性が実質的に失われる。
この発明の新規物質は、コンカナバリンAに対して高
い親和性を有し、α−メチルマンノシドによってコンカ
ナバリンAから解離するので、糖タンパク質であること
がわかった。
い親和性を有し、α−メチルマンノシドによってコンカ
ナバリンAから解離するので、糖タンパク質であること
がわかった。
また、この発明のTGF−β制御糖タンパク質サブユニ
ットは、ヒトを含む哺乳動物に広く存在するものであ
る。
ットは、ヒトを含む哺乳動物に広く存在するものであ
る。
[実施例] この実施例において、成熟ラット肝細胞の単離及び培
養のために用いた材料はTanaka,K.Sato,M.,Tomita,Y &
Ichihara,A.(1978)J.Biochem.84,937−946に記載さ
れたものと同じものを用いた。組換えヒトEGFは赤穂市
のアース製薬社製、インシュリン、アプロチニン及び子
ウシ血漿からの純粋トロンビンはシグマ化学社製、セフ
ァクリルS−300、Mono−S及びMono−Qカラムはファ
ルマシア社製、[メチル−3H]チミジン(52.4Ci/mmo
l)はニュー・イングランド・ヌクリア社製、ヒトTGF−
βはバイオメディカル・テクノロジー社製のものを用い
た。
養のために用いた材料はTanaka,K.Sato,M.,Tomita,Y &
Ichihara,A.(1978)J.Biochem.84,937−946に記載さ
れたものと同じものを用いた。組換えヒトEGFは赤穂市
のアース製薬社製、インシュリン、アプロチニン及び子
ウシ血漿からの純粋トロンビンはシグマ化学社製、セフ
ァクリルS−300、Mono−S及びMono−Qカラムはファ
ルマシア社製、[メチル−3H]チミジン(52.4Ci/mmo
l)はニュー・イングランド・ヌクリア社製、ヒトTGF−
βはバイオメディカル・テクノロジー社製のものを用い
た。
TGF−β及びTGF−β制御糖タンパク質の活性測定法 以下の実施例において、各分画のTGF−β活性は以下
に述べる2つの全く独立した方法の両方又は一方により
行なった。1つの方法では、成熟ラット初代培養肝細胞
のDNA合成のTGF−βによる阻害を調べた。成熟ラット肝
細胞は、Nakamura,T.,Tomita,Y & Ichihara,A.,J.Bioc
hem.94,1029−1035(1983)に記載した方法により単離
し単層培養した。インシュリン(10-7M)、EGF(20ng/m
l)、TGF−βを培養20時間後に加え、15時間後に[3H]
チミジン(2.5μCi/ml,0.3μCi/mmol)をアフィジコリ
ン(10μg/ml)と共に又はアフィジコリンを加えること
なく加えた。24時間後、[3H]チミジンの取り込みをNa
kamura,T.,Tomita,Y & Ichihara,A.(1983)J.Bioche
m.94,1029−1035に記載した方法により測定した。TGF−
βはこのDNA合成を阻害するので、その取り込み量が少
ないほどTGF−βの活性が高いことになる。もう1つの
方法では、軟寒天中でのNRK49F細胞のコロニー形成を調
べた。アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション
から得たNRK49F細胞を、5%ウシ胎児血清を含むダルベ
ッコの修飾培地に維持した。軟寒天中でのコロニーの形
成は、Nakamura,T.,Tomita,Y.,Hirai,R.,Yamaoka,K.,Ka
ji K. & Ichihara,A.,Biochem.Biophys.Res.Commun.13
3,1042−1050(1985)に記載した方法に従い、2ng/mlの
EGFの存在下で行なった。
に述べる2つの全く独立した方法の両方又は一方により
行なった。1つの方法では、成熟ラット初代培養肝細胞
のDNA合成のTGF−βによる阻害を調べた。成熟ラット肝
細胞は、Nakamura,T.,Tomita,Y & Ichihara,A.,J.Bioc
hem.94,1029−1035(1983)に記載した方法により単離
し単層培養した。インシュリン(10-7M)、EGF(20ng/m
l)、TGF−βを培養20時間後に加え、15時間後に[3H]
チミジン(2.5μCi/ml,0.3μCi/mmol)をアフィジコリ
ン(10μg/ml)と共に又はアフィジコリンを加えること
なく加えた。24時間後、[3H]チミジンの取り込みをNa
kamura,T.,Tomita,Y & Ichihara,A.(1983)J.Bioche
m.94,1029−1035に記載した方法により測定した。TGF−
βはこのDNA合成を阻害するので、その取り込み量が少
ないほどTGF−βの活性が高いことになる。もう1つの
方法では、軟寒天中でのNRK49F細胞のコロニー形成を調
べた。アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション
から得たNRK49F細胞を、5%ウシ胎児血清を含むダルベ
ッコの修飾培地に維持した。軟寒天中でのコロニーの形
成は、Nakamura,T.,Tomita,Y.,Hirai,R.,Yamaoka,K.,Ka
ji K. & Ichihara,A.,Biochem.Biophys.Res.Commun.13
3,1042−1050(1985)に記載した方法に従い、2ng/mlの
EGFの存在下で行なった。
一方、TGF−β制御糖タンパク質の活性は次のように
して測定した。2.5mg/mlのウシ血清アルブミンと2ng/ml
のラット又はヒトTGF−β(最大有効量)を含む50μl
のリン酸バッファー中で被検試料を室温で5分間インキ
ュベートした。得られた混合物のTGF−β活性を上記と
同様に肝細胞のDNA合成の阻害又はNRK49F細胞のコロニ
ー形成の促進を測定することによって測定した。この発
明の糖タンパク質の活性の1ユニットは、初代培養肝細
胞のDNA合成を完全に阻害する状態から50%回復させる
量を意味する。比活性はタンパク質1mg当りのユニット
で表わし、タンパク質の測定はローリーらの方法(Lowr
y,O.H.,Rosebrough,N.J.,Farr,A.L. & RANDALL,R.J.
(1951)J.Biol.Chem.193,265−275)に従って行なっ
た。
して測定した。2.5mg/mlのウシ血清アルブミンと2ng/ml
のラット又はヒトTGF−β(最大有効量)を含む50μl
のリン酸バッファー中で被検試料を室温で5分間インキ
ュベートした。得られた混合物のTGF−β活性を上記と
同様に肝細胞のDNA合成の阻害又はNRK49F細胞のコロニ
ー形成の促進を測定することによって測定した。この発
明の糖タンパク質の活性の1ユニットは、初代培養肝細
胞のDNA合成を完全に阻害する状態から50%回復させる
量を意味する。比活性はタンパク質1mg当りのユニット
で表わし、タンパク質の測定はローリーらの方法(Lowr
y,O.H.,Rosebrough,N.J.,Farr,A.L. & RANDALL,R.J.
(1951)J.Biol.Chem.193,265−275)に従って行なっ
た。
TGF−β制御糖タンパク質サブユニットの単離精製 成熟ラットの血液を、抗凝固剤として0.1倍体積の0.1
5M NaCl−77mM EDTA(pH7.4)を含む注射筒に集めた。
これを200xgで15分間遠心し、得られた上澄を2500xgで1
5分間遠心して血小板を沈殿させた。沈殿をリン酸バッ
ファーに懸濁して遠心する操作を2回行なって洗浄し
た。顕微鏡で判定したところ99%以上の純度の血小板沈
殿が得られる。2U/mlのトロンビンを含むリン酸バッフ
ァー中に血小板を懸濁し、室温で10分間放置し、次に血
小板の凝集物を2500xgで15分間遠心して沈殿させた。得
られた上清を、この発明の糖タンパク質精製の出発物質
として用いた。
5M NaCl−77mM EDTA(pH7.4)を含む注射筒に集めた。
これを200xgで15分間遠心し、得られた上澄を2500xgで1
5分間遠心して血小板を沈殿させた。沈殿をリン酸バッ
ファーに懸濁して遠心する操作を2回行なって洗浄し
た。顕微鏡で判定したところ99%以上の純度の血小板沈
殿が得られる。2U/mlのトロンビンを含むリン酸バッフ
ァー中に血小板を懸濁し、室温で10分間放置し、次に血
小板の凝集物を2500xgで15分間遠心して沈殿させた。得
られた上清を、この発明の糖タンパク質精製の出発物質
として用いた。
上記血小板抽出物を、0.15M NaCl、10mM Hepes及び2m
M CaCl2を含む50mMのトリス塩酸バッファー(pH8.5)で
平衡化したMono−Sカラム(1x10cm)にかけて肝細胞増
殖因子(HGF)を除去した。素通り分画(420ml)をプー
ルし、PM10膜(アミコン社製)を用いて限外ろ過し、5
倍に濃縮した。このようにして濃縮した材料(4.3ml,1.
77mgタンパク質)を、6Mの尿素を含む25mMトリスバッフ
ァー(pH8.5)に対して一夜透析し、この発明のサブユ
ニットから成る糖タンパク質をTGF−βとを複合体から
解離させた。
M CaCl2を含む50mMのトリス塩酸バッファー(pH8.5)で
平衡化したMono−Sカラム(1x10cm)にかけて肝細胞増
殖因子(HGF)を除去した。素通り分画(420ml)をプー
ルし、PM10膜(アミコン社製)を用いて限外ろ過し、5
倍に濃縮した。このようにして濃縮した材料(4.3ml,1.
77mgタンパク質)を、6Mの尿素を含む25mMトリスバッフ
ァー(pH8.5)に対して一夜透析し、この発明のサブユ
ニットから成る糖タンパク質をTGF−βとを複合体から
解離させた。
透析後の試料(147mgタンパク質)を上記トリスバッ
ファー(pH8.5)/6M尿素で十分平衡化したMono−Qカラ
ム(ファルマシア社製)(1x10cm)に架けた。同一バッ
ファーでカラムを洗浄後、流速120ml/時間で3段階のNa
Cl濃度勾配溶出を行なった。先ず、0−0.25M NaClまで
を10分間で上昇させ、さらに10分間、0.25M NaClを流し
続け、Mono−Qカラムに吸着した大部分の夾雑タンパク
質を洗い流した。次に、0.25−0.55Mまでを60分間の勾
配で流し、TGF−βと制御糖タンパク質を溶出した。最
後に、0.55M−1.0Mまで10分間で急上昇させ、カラムを
洗った。このクロマトグラフィーの結果が第1図に示さ
れている。第1図中、黒丸は制御糖タンパク質活性、白
丸は成熟ラット初代培養肝細胞のDNA合成抑制能にて測
定したTGF−β活性、実線は280nmでの吸光度又はNaClの
濃度勾配を示す。第1図から、TGF−β活性は0.25M NaC
lで、TGF−β制御糖タンパク質は0.4M NaClでそれぞれ
溶出され、両者は完全に分離したことがわかる。
ファー(pH8.5)/6M尿素で十分平衡化したMono−Qカラ
ム(ファルマシア社製)(1x10cm)に架けた。同一バッ
ファーでカラムを洗浄後、流速120ml/時間で3段階のNa
Cl濃度勾配溶出を行なった。先ず、0−0.25M NaClまで
を10分間で上昇させ、さらに10分間、0.25M NaClを流し
続け、Mono−Qカラムに吸着した大部分の夾雑タンパク
質を洗い流した。次に、0.25−0.55Mまでを60分間の勾
配で流し、TGF−βと制御糖タンパク質を溶出した。最
後に、0.55M−1.0Mまで10分間で急上昇させ、カラムを
洗った。このクロマトグラフィーの結果が第1図に示さ
れている。第1図中、黒丸は制御糖タンパク質活性、白
丸は成熟ラット初代培養肝細胞のDNA合成抑制能にて測
定したTGF−β活性、実線は280nmでの吸光度又はNaClの
濃度勾配を示す。第1図から、TGF−β活性は0.25M NaC
lで、TGF−β制御糖タンパク質は0.4M NaClでそれぞれ
溶出され、両者は完全に分離したことがわかる。
上記Mono−Qカラムによる陰イオン交換クロマトグラ
フィーを再び行った。その結果を第2図に示す。この再
クロマトグラフィーにより制御糖タンパク質は高度に精
製されることがわかる。
フィーを再び行った。その結果を第2図に示す。この再
クロマトグラフィーにより制御糖タンパク質は高度に精
製されることがわかる。
次に、上記Mono−Qカラムによる再クロマトグラフィ
ーの活性画分を集め、PM10の限外ろ過で1.1mlに濃縮
後、リン酸バッファー/6M尿素で平衡化したセファクリ
ルS−300(ファルマシア社製、1.6cm×75cm)に架け、
10ml/時間の流速で溶出した。このゲルろ過でTGF−β制
御糖タンパク質活性はV0より少し遅れた位置に溶出さ
れ、分子量400kd以下の夾雑タンパク質と分離された。
このゲルろ過クロマトグラフィーの結果を第3図に示
す。
ーの活性画分を集め、PM10の限外ろ過で1.1mlに濃縮
後、リン酸バッファー/6M尿素で平衡化したセファクリ
ルS−300(ファルマシア社製、1.6cm×75cm)に架け、
10ml/時間の流速で溶出した。このゲルろ過でTGF−β制
御糖タンパク質活性はV0より少し遅れた位置に溶出さ
れ、分子量400kd以下の夾雑タンパク質と分離された。
このゲルろ過クロマトグラフィーの結果を第3図に示
す。
上記ゲルろ過の活性画分(9ml)を0.05%TFAに対して
透析し、TFAで平衡化後、Bio Rad C4カラム(バイオラ
ド社製、4.6mm×250mm)に架け、30−45%の間でゆるや
かなアセトニトリル濃度勾配により、制御糖タンパク質
を溶出した。制御糖タンパク質活性はアセトニトリル濃
度39%の位置に溶出されるタンパク質のピークに一致し
て認められた。この逆相高速液体クロマトグラフィー
(HPLC)の結果を第4図に示す。
透析し、TFAで平衡化後、Bio Rad C4カラム(バイオラ
ド社製、4.6mm×250mm)に架け、30−45%の間でゆるや
かなアセトニトリル濃度勾配により、制御糖タンパク質
を溶出した。制御糖タンパク質活性はアセトニトリル濃
度39%の位置に溶出されるタンパク質のピークに一致し
て認められた。この逆相高速液体クロマトグラフィー
(HPLC)の結果を第4図に示す。
以上の精製過程を第1表に要約した。第1表に示され
るように、逆相HPLCで精製された制御糖タンパク質の比
活性は、2727x103単位/mgタンパク質で、Mono−S素通
り画分から約1286倍に精製され、その回収率は7%であ
った。
るように、逆相HPLCで精製された制御糖タンパク質の比
活性は、2727x103単位/mgタンパク質で、Mono−S素通
り画分から約1286倍に精製され、その回収率は7%であ
った。
次に、逆相クロマトグラフィーにより得られた活性画
分をメルカプトエタノール存在下で処理し、SDS−PAGE
を行い、銀染色によってタンパク質を染色した。
分をメルカプトエタノール存在下で処理し、SDS−PAGE
を行い、銀染色によってタンパク質を染色した。
結果を第5図に示す。第5図に示されるように、この
発明の制御糖タンパク質サブユニットは分子量約46kdの
単一のバンドとして得られ、実質的に均一標品であるこ
とがわかった。
発明の制御糖タンパク質サブユニットは分子量約46kdの
単一のバンドとして得られ、実質的に均一標品であるこ
とがわかった。
TGF−β制御糖タンパク質の諸性質 一方、メルカプトエタノール非存在下(非還元条件
下)でのSDS−PAGEによっては、制御糖タンパク質はい
ずれの位置にも明確なバンドを示さなかった。そこで、
上記逆相HPLCにより得られた活性画分を2%SDSで37
℃、15時間処理後、5%ゲルを用いたSDS−PAGEを行
い、2mm幅でゲルをスライスして各スライスから制御糖
タンパク質をリン酸バッファーで一昼抽出してその活性
を測定した。
下)でのSDS−PAGEによっては、制御糖タンパク質はい
ずれの位置にも明確なバンドを示さなかった。そこで、
上記逆相HPLCにより得られた活性画分を2%SDSで37
℃、15時間処理後、5%ゲルを用いたSDS−PAGEを行
い、2mm幅でゲルをスライスして各スライスから制御糖
タンパク質をリン酸バッファーで一昼抽出してその活性
を測定した。
結果を第6図に示す。第6図に示すように、制御糖タ
ンパク質活性は分子量約180kdと約220kdの位置に2本の
ピークとして検出された。この結果はTGF−β制御糖タ
ンパク質活性を示す最低分子量が180kdであることを示
し、これは46kdのこの発明のサブユニット4個に相当
し、制御糖タンパク質は少なくともテトラマー以上の分
子会合体であることがわかった。後述するように、制御
糖タンパク質活性はメルカプトエタノールやジチオスレ
イトールで還元すると失活することから、46kdのサブユ
ニット単量体では活性がない。
ンパク質活性は分子量約180kdと約220kdの位置に2本の
ピークとして検出された。この結果はTGF−β制御糖タ
ンパク質活性を示す最低分子量が180kdであることを示
し、これは46kdのこの発明のサブユニット4個に相当
し、制御糖タンパク質は少なくともテトラマー以上の分
子会合体であることがわかった。後述するように、制御
糖タンパク質活性はメルカプトエタノールやジチオスレ
イトールで還元すると失活することから、46kdのサブユ
ニット単量体では活性がない。
次に、この発明のサブユニットから成る制御糖タンパ
ク質が、TGF−βと結合してその活性を量に依存して阻
害することを示す実験を行なった。上記のように精製し
たこの発明のサブユニットから成る糖タンパク質を、子
ウシ血清アルブミン溶液(2.5mg/ml)で希釈し、限外ろ
過により滅菌した。TGF−βの活性を、種々の糖タンパ
ク質濃度において調べた。
ク質が、TGF−βと結合してその活性を量に依存して阻
害することを示す実験を行なった。上記のように精製し
たこの発明のサブユニットから成る糖タンパク質を、子
ウシ血清アルブミン溶液(2.5mg/ml)で希釈し、限外ろ
過により滅菌した。TGF−βの活性を、種々の糖タンパ
ク質濃度において調べた。
結果を第7図に示す。第7図中、破線はTGF−βを加
えることなくインシュリンとEGFのみを加えた場合の肝
細胞のDNA合成を示す。第7図から明らかなように、こ
の発明のサブユニットから成る制御糖タンパク質は、TG
F−βと再び結合してTGF−βによる肝細胞DNA合成の阻
害を中和することがわかる。しかも、その中和の程度が
制御糖タンパク質の量に依存して変化することがわか
る。
えることなくインシュリンとEGFのみを加えた場合の肝
細胞のDNA合成を示す。第7図から明らかなように、こ
の発明のサブユニットから成る制御糖タンパク質は、TG
F−βと再び結合してTGF−βによる肝細胞DNA合成の阻
害を中和することがわかる。しかも、その中和の程度が
制御糖タンパク質の量に依存して変化することがわか
る。
次に、上記のようにして精製したこの発明の制御糖タ
ンパク質の50μl(0.2μgタンパク質)をトリプシン
(10μg/ml、37℃、2時間)、ジチオスレイトール(50
mM、25℃、2時間)、1N酢酸(25℃、2時間)、又は加
熱(沸騰水、3分間)処理した。トリプシンによる消化
は2時間インキュベート後、終濃度1mMのフェニルメチ
ルスルフォニルフロリドを加えることによって反応停止
を行なった。これらの処理の後、試料にウシ血清アルブ
ミン溶液(2.5mg/ml)を加え、リン酸バッファーに対し
て一夜透析し、その活性を上記方法に従って測定した。
ンパク質の50μl(0.2μgタンパク質)をトリプシン
(10μg/ml、37℃、2時間)、ジチオスレイトール(50
mM、25℃、2時間)、1N酢酸(25℃、2時間)、又は加
熱(沸騰水、3分間)処理した。トリプシンによる消化
は2時間インキュベート後、終濃度1mMのフェニルメチ
ルスルフォニルフロリドを加えることによって反応停止
を行なった。これらの処理の後、試料にウシ血清アルブ
ミン溶液(2.5mg/ml)を加え、リン酸バッファーに対し
て一夜透析し、その活性を上記方法に従って測定した。
結果を第2表に示す。第2表より、この発明の糖タン
パク質は100℃、3分間の加熱でその活性が全く減少せ
ず、上記酢酸処理によっても活性を80%維持しているこ
とがわかる。従って、この発明の制御糖タンパク質は熱
及び酸に対して安定であると言える。一方、上記ジチオ
スレイトールによる処理で活性が完全になくなるので、
活性を発揮するためにはジスルフィド結合が必要である
ことがわかる。また、上記トリプシン処理によっても活
性が完全になくなるので、活性を発揮するためにはタン
パク質構造が必要であることがわかる。
パク質は100℃、3分間の加熱でその活性が全く減少せ
ず、上記酢酸処理によっても活性を80%維持しているこ
とがわかる。従って、この発明の制御糖タンパク質は熱
及び酸に対して安定であると言える。一方、上記ジチオ
スレイトールによる処理で活性が完全になくなるので、
活性を発揮するためにはジスルフィド結合が必要である
ことがわかる。また、上記トリプシン処理によっても活
性が完全になくなるので、活性を発揮するためにはタン
パク質構造が必要であることがわかる。
この発明のサブユニットの本質が糖タンパク質である
ことは、コンカナバリンAへの高い親和性とα−メチル
マンノシドによる解離によって示された。この実験は具
体的には以下のようにして行なった。すなわち、ゲルろ
過により部分精製した制御糖タンパク質を0.5M NaClを
含む25mMトリス塩酸バッファー(pH7.5)で平衡下した
コンカナバリンAセファロースカラム(0.5cm×2cm)に
かけ、同一バッファーでカラムを十分洗浄後、α−メチ
ルマンノシドを上記バッファーに溶解させ、第8図に示
す各濃度で段階的に溶出した。
ことは、コンカナバリンAへの高い親和性とα−メチル
マンノシドによる解離によって示された。この実験は具
体的には以下のようにして行なった。すなわち、ゲルろ
過により部分精製した制御糖タンパク質を0.5M NaClを
含む25mMトリス塩酸バッファー(pH7.5)で平衡下した
コンカナバリンAセファロースカラム(0.5cm×2cm)に
かけ、同一バッファーでカラムを十分洗浄後、α−メチ
ルマンノシドを上記バッファーに溶解させ、第8図に示
す各濃度で段階的に溶出した。
結果を第8図に示す。第8図から制御糖タンパク質は
コンカナバリンAセファロースに吸着し、0.01〜0.1Mα
−メチルマンノシドにより特異的に溶出されることがわ
かる。
コンカナバリンAセファロースに吸着し、0.01〜0.1Mα
−メチルマンノシドにより特異的に溶出されることがわ
かる。
さらに、この発明の制御糖糖タンパク質をノイラミニ
ダーゼ、エンドグリコシダーゼD、エンドグリコシダー
ゼH又はα−マンノシダーゼ(いずれも50mU)で処理し
てその活性を調べた。
ダーゼ、エンドグリコシダーゼD、エンドグリコシダー
ゼH又はα−マンノシダーゼ(いずれも50mU)で処理し
てその活性を調べた。
結果を第3表に示す。第3表より、この発明の制御糖
タンパク質はノイラミニダーゼ、エンドグリコシダーゼ
D、α−マンノシダーゼに対しては比較的安定である
が、エンドグリコシダーゼHに対しては不安定であり、
このことから制御糖タンパク質は高マンノース糖鎖の基
部のN−アセチルグリコサミン結合を切断するとその活
性を失うことがわかる。すなわち、制御糖タンパク質の
活性には高マンノース糖鎖が必須であることがわかる。
タンパク質はノイラミニダーゼ、エンドグリコシダーゼ
D、α−マンノシダーゼに対しては比較的安定である
が、エンドグリコシダーゼHに対しては不安定であり、
このことから制御糖タンパク質は高マンノース糖鎖の基
部のN−アセチルグリコサミン結合を切断するとその活
性を失うことがわかる。すなわち、制御糖タンパク質の
活性には高マンノース糖鎖が必須であることがわかる。
第1図は、この発明のTGF−β制御糖タンパク質サブユ
ニットの精製工程における第1回目の陰イオン交換クロ
マトグラフィーの結果を示す図、 第2図は同じく第2回目の陰イオン交換クロマトグラフ
ィーの結果を示す図、 第3図は同精製工程におけるゲルろ過クロマトグラフィ
ーの結果を示す図、 第4図は同精製工程における逆相高速液体クロマトグラ
フィーの結果を示す図、 第5図は精製されたこの発明のTGF−β制御糖タンパク
質サブユニットの還元条件下でのSDS−PAGEの結果を示
す図、 第6図は非還元条件下でのTGF−β制御糖タンパク質のS
DS−PAGEの各ゲルスライス中の制御糖タンパク質活性を
示す図、 第7図は、この発明のサブユニットから成る糖タンパク
質によるTGF−βの活性阻害の濃度依存性を示す図、 第8図は、この発明のサブユニットから成る糖タンパク
質のコンカナバリンAへの結合及び解離の状態を示す図
である。
ニットの精製工程における第1回目の陰イオン交換クロ
マトグラフィーの結果を示す図、 第2図は同じく第2回目の陰イオン交換クロマトグラフ
ィーの結果を示す図、 第3図は同精製工程におけるゲルろ過クロマトグラフィ
ーの結果を示す図、 第4図は同精製工程における逆相高速液体クロマトグラ
フィーの結果を示す図、 第5図は精製されたこの発明のTGF−β制御糖タンパク
質サブユニットの還元条件下でのSDS−PAGEの結果を示
す図、 第6図は非還元条件下でのTGF−β制御糖タンパク質のS
DS−PAGEの各ゲルスライス中の制御糖タンパク質活性を
示す図、 第7図は、この発明のサブユニットから成る糖タンパク
質によるTGF−βの活性阻害の濃度依存性を示す図、 第8図は、この発明のサブユニットから成る糖タンパク
質のコンカナバリンAへの結合及び解離の状態を示す図
である。
Claims (1)
- 【請求項1】血小板中に存在し、4個以上の分子が会合
したものがTGF−βと可逆的に結合してTGF−βの活性を
阻害し、熱及び酸に対して安定であり、ジチオスレイト
ール又はトリプシンで処理するとそのTGF−β阻害活性
が失われる分子量約46kdの糖タンパク質サブユニット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62032197A JP2551424B2 (ja) | 1987-02-14 | 1987-02-14 | TGF−β制御糖タンパク質サブユニツト |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62032197A JP2551424B2 (ja) | 1987-02-14 | 1987-02-14 | TGF−β制御糖タンパク質サブユニツト |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS63201200A JPS63201200A (ja) | 1988-08-19 |
JP2551424B2 true JP2551424B2 (ja) | 1996-11-06 |
Family
ID=12352180
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62032197A Expired - Lifetime JP2551424B2 (ja) | 1987-02-14 | 1987-02-14 | TGF−β制御糖タンパク質サブユニツト |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2551424B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105385674A (zh) * | 2015-11-25 | 2016-03-09 | 青岛康原药业有限公司 | 一种从草鱼中提取纯化胰蛋白酶的方法 |
-
1987
- 1987-02-14 JP JP62032197A patent/JP2551424B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS63201200A (ja) | 1988-08-19 |
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