JP2550999Y2 - 試料液の減圧装置 - Google Patents

試料液の減圧装置

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JP2550999Y2 JP1991003123U JP312391U JP2550999Y2 JP 2550999 Y2 JP2550999 Y2 JP 2550999Y2 JP 1991003123 U JP1991003123 U JP 1991003123U JP 312391 U JP312391 U JP 312391U JP 2550999 Y2 JP2550999 Y2 JP 2550999Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、試料液の減圧装置に関
し、更に詳述すると、例えば火力発電所や原子力発電所
の高圧ボイラー水を一定圧力に減圧して分析装置に導入
する場合などに好適に使用される減圧装置に関する。
【0002】
【従来の技術】火力発電所や原子力発電所の高圧ボイラ
ー水配管から直接試料水をサンプリングしてその水質を
分析する場合、高圧の試料水を一定圧力に減圧してから
分析装置に導入することが行なわれているが、このとき
高圧の試料水を減圧するための装置として、試料水を流
す細管の中に芯線を入れ、細管の内壁と芯線との間隙に
試料水を通すことにより、管摩擦抵抗によって減圧を行
なう減圧装置が使用されている。
【0003】この場合、高圧側の試料水の圧力が一定で
あるときには、細管中の挿入芯線長を固定しておいても
常に試料水を一定圧力に減圧することができるが、電力
供給量の切りかえ等によって高圧側の圧力が変動する場
合には、芯線の挿入長さを容易に変更できる装置でない
と試料液を常時一定圧力に減圧することができず、その
結果分析装置への必要流量が確保できなくなる。
【0004】従来、細管中に挿入する芯線の長さを変え
ることにより細管中での圧力損失を変えることができ、
従って高圧試料水の減圧量を任意に変更できる管摩擦抵
抗型の減圧装置として、例えば図8に示す構成のものが
提案されている(特開平1-299437号公報)。
【0005】即ち、図8の装置は、一対の平行な圧力調
整孔a,bを穿設し、一端部に外部配管と接続するため
の前記圧力調整孔a,bと連通するコネクタc,dをそ
れぞれ設け、他端部より前記圧力調整孔a,b内に芯線
e,fを進退可能に挿通してなる第1の圧力調整管g
と、前記第1の圧力調整管gの他端部に締結具hを介し
て液密に結合し、一端部に前記芯線e,fを着脱自在に
取付けた結合部材iを設けた摺動杆jを挿通配置すると
共に該摺動杆jの他端部側をグランドパッキンkで軸封
してなる第2の圧力調整管lと、前記摺動杆jと平行に
ラック杆mを配置し、このラック杆mの一端部と前記摺
動杆jの先端部とを連結部材nにより結合し、前記ラッ
ク杆mをモータ駆動して往復移動させることにより前記
摺動杆jを介して芯線e,fの圧力調整孔a,b内にお
ける位置調整を行なう制御手段とを有するものである。
【0006】図8の装置を用いて高圧試料水の減圧を行
なう場合、第1の圧力調整管gに設けたコネクタc,d
にそれぞれ入口配管と出口配管とを接続し、入口配管か
ら芯線e,fが挿通された圧力調整孔a,bを通して出
口配管に試料水を流すもので、高圧試料水が圧力調整孔
a,bを通る間に管摩擦抵抗によって所定圧力に減圧さ
れるものである。この場合、芯線e,fの位置調整は、
芯線a,bの一端を支持した摺動杆jにこれと平行に移
動するラック杆mを取り付け、これら両杆j,mをモー
タoの作動で平行に移動させることによって行なう。ま
た、芯線a,bの前進限と後退限の位置決めは、リミッ
トスイッチp,qによって行なう。
【0007】
【考案が解決しようとする課題】図8の装置は、試料水
の一次側圧力(減圧前の圧力)が50〜310kg/c
2 程度のボイラーの一般的運転条件下においては、二
次側圧力(減圧後の圧力)を一定の圧力に調整すること
ができる。しかし、ボイラースタート時や発電所の変圧
運転時のように、一次側圧力が5〜50kg/cm2
度の低圧になる場合には、二次側圧力を一定に保持する
ことができなくなる。即ち、図8の装置では最小減圧時
でも芯線の一部が圧力調整孔に挿入されたままであるた
め、一次側圧力が低くなったときには試料水が圧力調整
管を通るときに必要以上に減圧されてしまい、このため
二次側圧力が低くなりすぎて分析に必要な流量の試料水
を確保できなくなる。
【0008】そこで、従来この種の減圧装置において
は、一次側圧力が5〜50kg/cm2 程度の低圧にな
ったときに二次側圧力を確保するための手段として、下
記〜に示す方法が提案されている。 減圧装置に対して高圧用自動弁を並列接続し、一次側
圧力の低下又は流量の低下を検知して自動弁を開く。 減圧装置の二次側流路の絞り弁にバイパスを並列に設
置すると共に、このバイパスに電磁弁と絞りを設け、二
次側圧力の低下を検出してバイパスの電磁弁を開く(特
開平1-299439号)。 圧力調整用の芯線の先端部内に互いに連通した縦孔と
横孔とからなるバイパス通路を形成し、一次側圧力が低
くなったときには上記バイパス通路内を試料水が流れる
ように芯線の挿入長さを調整する。
【0009】しかし、上記又はの手段を用いた場
合、装置が複雑になり、価格も高くなる。また、の手
段は芯線の内部にバイパス通路を形成するための加工が
難しい上、芯線をあまり細くすることができないため、
小流量の試料液の制御には適さない。更に、上記〜
の手段は、一次側が低圧になったときの減圧量を連続的
に変化させることができず、精度の良い制御を行なうこ
とが困難である。本考案は、上記事情に鑑みなされたも
ので、一次側圧力が低圧になったときでも、簡単な機構
によって二次側圧力を精密に一定に保持することが可能
な試料液の減圧装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本考案は、上記目的を達
成するため、内部に試料液の流通路が形成された圧力調
整管と、上記流通路に進退可能に挿入された芯線とを有
し、試料液を上記圧力調整管の流通路に流すことにより
試料液の減圧を行なう装置において、上記芯線の先端部
に、先方に向うにしたがい断面積が平均値として0.7
〜7%/mmの割合で減少するテーパ部を設けたことを
特徴とする試料液の減圧装置を提供する。
【0011】本考案の減圧装置は、圧力調整管の試料液
流通路入口に一次側の試料液が流れる配管(プロセス側
配管)を接続し、流通路出口に二次側の配管(分析装置
側の配管)を接続すると共に、上記流通路への芯線の挿
入長さを減圧量に応じた所望の長さに調整する。そし
て、この状態で試料液を一次側の配管から流通路を通し
て二次側の配管に流すもので、これにより試料液が流通
路を通過するときに管摩擦抵抗によって芯線の挿入長さ
に応じて減圧され、一定圧力,一定流量の試料液を二次
側の配管に流すことができる。
【0012】また、一次側の圧力が低くなった場合に
は、芯線の先端部のみを流通路内に挿入し、かつ先端テ
ーパ部の挿入長さを適宜調整することにより、芯線と流
通路周壁部との間隙を大きくすることができ、しかもこ
の間隙の大きさを連続的に変化させることができる。従
って、流通路内における圧力損失を小さくすることがで
きると共に、この圧力損失の量を任意に調節することが
できる。このため、本考案の装置では、一次側圧力が低
くなった場合でも、試料液を必要以上に減圧することを
避けることができ、分析に必要な二次側圧力,流量を確
保することができる。
【0013】この場合、テーパ部の形状に特に制限はな
いが、図1及び図2に示す形状を好ましく採用すること
ができる。即ち、図1に示すテーパ部Aは、芯線Bの先
端両側部を平面状にカットしたへら状のテーパ部であ
る。また、図2に示すテーパ部Aは、芯線Bの先端部を
円錐台状とした鉛筆状のテーパ部である。図1及び図2
に示したテーパ部のうちでは、図1のへら状のものが下
記イ〜ハの理由により特に好ましい。 イ.断面積の変化が図2の鉛筆状のものより直線的であ
るため、より精度の高い圧力制御を行なうことができ
る。 ロ.図1(a)からわかるように、テーパ部Aに芯線の
基部と同じ幅を有する部分が残っているため、この部分
の両側面c,cが芯線進退時に流通路周壁部に対するガ
イド面となる。このため、芯線先端部のブレが少なく、
精密な圧力制御を行なうことが可能になると共に、流通
路周壁部が傷つきにくい。 ハ.テーパ部の加工が容易である。
【0014】本考案においては、上記テーパ部を、先方
に向こうにしたがい断面積が0.7〜7%/mmの割合
で減少するように形成する。即ち、図2の例で説明する
と、芯線Bの基部の断面積をxmm2 ,テーパ部Aのあ
る箇所における断面積をymm2 ,テーパ部の開始箇所
からyの箇所までの長さをlmmとした場合、下記式 (1) Z=(x−y)/(l・x)×100 …(1) で求められる断面積変化率Zを平均値として0.7〜7
%/mmとする。断面積変化率が0.7%/mm未満の
場合及び7%/mmを超える場合は、いずれも一次側圧
力が低くなったときの圧力制御が良好に行なわれなくな
る。なお、より好ましい断面積変化率Z(平均値)は
1.4〜2.8%/mm、特に1.8〜2.2%/mm
である。
【0015】
【実施例】次に、実施例によって本考案を具体的に示す
が、本考案は下記実施例に限定されるものではない。図
3及び図4は本考案の一実施例に係る試料液の減圧装置
を示すもので、図3は最大減圧状態、図4は最小減圧状
態を示す。図中1は下端部が固定板2に固定された圧力
調整管で、この調整管1は円柱状基体3の内部に軸方向
に沿って細径の試料液の流入路4及び流出路5(流通
路)をそれぞれ穿設したもので、上記流入路4の出口4
a及び流出路5の入口5aはいずれも基体3の先端面に
設けられている。
【0016】また、図中6はシリンダ体である。このシ
リンダ体6は、上記圧力調整管1の外側に軸方向に沿っ
て進退可能に配設された圧力調整管1より大径の略円筒
状の外筒7と、この外筒7の基端部に開口部7aを覆っ
てねじ等により着脱可能に取り付けられた円形の閉塞板
8と、基端部が上記閉塞板8の内面にそれぞれ着脱可能
に取り付けられ、先端側が上記流入路4及び流出路5に
それぞれ進退可能に挿入された一対の芯線9,10と、
外筒7の先端部内面と圧力調整管1の外周面との間を液
密にシールするグランドパッキン(シール部材)11と
から構成されている。
【0017】本装置においては、芯線9,10の先端部
に図1に示したへら状のテーパ部が形成されている、こ
の場合、芯線9,10の基部の断面積は7.1mm2
テーパ部Aの先端面の面積は3.0mm2 ,テーパ部A
の長さは30mmに形成されており、断面積変化率Zは
平均値として約2%である。なお、テーパ部Aの角度θ
(図1参照)は約1.8度に形成されている。更に、図
中12は外筒7の外面に軸方向に沿って取り付けられた
ラック、13はこのラック12と噛合するウォーム減速
付きのピニオン、14はこのピニオン13の回転モー
タ、15,15は外筒7に取り付けられたリニヤベアリ
ング、16はこのリニヤベアリングが走行するリニヤガ
イドであり、これらによって駆動機構が構成されてい
る。
【0018】本装置を用いて例えば火力・原子力発電所
の高圧ボイラー水をサンプリングする場合、ボイラー側
の配管を圧力調整管1の流入路4の入口4bに接続し、
分析装置側の配管を流出路5の出口5bに接続すると共
に、モータ14を作動させてシリンダ体6を進退させる
ことにより芯線9,10の流入路4、流出路5への挿入
長さを調節する。この場合、芯線9,10の挿入長さ
は、ボイラー側の配管を流れる試料水の圧力を予め測定
しておき、この圧力をどの程度減圧するかによって適宜
決定する。そして、ボイラー側の配管から流入路4に試
料水を導入するものであるが、この試料水は流入路4、
圧力調整管1とシリンダ体6との間隙部、流出路5を順
次流れ、この間に予め設定した圧力に減圧されるもので
ある。この場合、ボイラー側の配管を流れる試料水の圧
力が低くなったとき(5〜50kg/cm2 程度になっ
たとき)には、図5に示すように芯線9,10の先端部
のみを流入部4,流出路5に挿入し、テーパ部A,Aの
挿入長さを適宜調節する。これにより、流入路4,流出
路5内における圧力損失を任意に小さくすることがで
き、分析に必要な二次側圧力、流量を確保することがで
きる。
【0019】ここで、本実施例の装置で試料液の減圧を
行なった結果を図6に、芯線9,10の先端部にテーパ
部を設けない以外は本実施例と同じ装置を用いて試料液
の減圧を行なった結果を図7に示す。なお、図6,7
は、二次側圧力を3.00kg/cm2 、流量を500
ml/minに設定して減圧を行なった結果である。図
6,7の結果より、芯線にテーパ部を設けない場合には
一次側圧力が50kg/cm2 より低くなると二次側圧
力,流量が設定値よりも著しく低下するのに対し、本実
施例の装置ではこのような場合でも設定値を確保できる
ことがわかる。従って、本実施例の装置によれば、簡単
な構造によって、ボイラースタート時等のように一次側
圧力が低いときでも二次側圧力,流量を確保することが
でき、一次側圧力が例えば5〜310kg/cm2 とい
う広い範囲で変化するような場合でもボイラー水を安定
にサンプリングすることができるうえ、一次側が低圧に
なったときの減圧を精度良く行なうことができる。
【0020】また、本実施例の減圧装置は、装置本体が
圧力調整管、シリンダ体によって構成されているので、
部材数が少なく、構造が簡単で、製造、組立て、所用箇
所のシールが容易であると共に、内部に圧力調整管が挿
入されたシリンダ体を進退させることにより芯線の流入
路、流出路への挿入長さを調節するようにしているの
で、装置全体の長さが最大減圧時に圧力調整管の長さと
ほぼ同じ、最小限圧時でも圧力調整管とシリンダ体の合
計長さとほぼ同じであり、従って図8の装置に比べて著
しくコンパクトになり、設置スペースを大幅に縮小する
ことができる。しかも、芯線を交換する場合にはシリン
ダ体の外筒から小型の閉塞板を取り外すだけでよく、操
作が簡便である。さらに、装置の内部を点検する場合で
もシリンダ体から圧力調整管を取り外すだけでよく、従
って芯線の交換や装置の点検を行なう場合に装置の大が
かりな分解を行なう必要がなく、メンテナンスを極めて
簡単に行なうことができる。なお、上記実施例では装置
本体を圧力調整管及びシリンダ体によって構成したが、
他の構成、例えば図8に示すような構成にしてもよい。
【0021】
【考案の効果】以上説明したように、本考案の減圧装置
によれば、試料液の一次側圧力が低くなったときでも必
要な二次側圧力,流量を確保することができ、従って一
次側圧力が幅広く変動する場合でも二次側圧力,流量を
確実に設定値に保持することができるものである。
【0022】
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案減圧装置で用いる芯線のテーパ部の一例
を示すもので、(a)は正面図,(b)は側面図,
(c)は底面図である。
【図2】本考案減圧装置で用いる芯線のテーパ部の他の
例を示すもので、(a)は正面図、(b)は底面図であ
る。
【図3】本考案減圧装置の一実施例を示す一部断面図で
ある。
【図4】本考案減圧装置の一実施例を示す一部断面図で
ある。
【図5】芯線のテーパ部を試料流通路に挿入している状
態を示す断面図である。
【図6】実施例の減圧装置を用いて試料液の減圧を行な
った結果を示すグラフである。
【図7】テーパ部のない芯線を有する減圧装置を用いて
試料液の減圧を行なった結果を示すグラフである。
【図8】従来の減圧装置の一例を示す一部断面図であ
る。
【符号の説明】
1…圧力調整管 4…流入路 5…流出路 9,10…芯線 A…テーパ部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−299437(JP,A) 特開 平2−267608(JP,A) 特開 昭51−134435(JP,A) 実開 昭60−179841(JP,U) 実開 昭63−3576(JP,U)

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に試料液の流通路が形成された圧力
    調整管と、上記流通路に進退可能に挿入された芯線とを
    有し、試料液を上記圧力調整管の流通路に流すことによ
    り試料液の減圧を行なう装置において、上記芯線の先端
    部に、先方に向うにしたがい断面積が平均値として0.
    7〜7%/mmの割合で減少するテーパ部を設けたこと
    を特徴とする試料液の減圧装置。
JP1991003123U 1991-01-09 1991-01-09 試料液の減圧装置 Expired - Fee Related JP2550999Y2 (ja)

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