JP2550388B2 - 足踏み式パーキングブレーキ装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、足踏み式パーキングブレーキ装置の改良に
関する。

「従来の技術」 従来の足踏み式パーキングブレーキ装置では、爪車と
爪部材との噛合を解除するために解除力を伝えるリリー
スケーブルの力線方向と、解除アームの揺動中心である
枢支軸との距離は解除開始時と解除完了時とではほとん
ど一定であり、したがって、解除操作力もほぼ一定のも
のが一般的であった。

「発明が解決しようとする課題」 しかしながらこのような従来の足踏み式パーキングブ
レーキ装置では、大きな解除力を必要とする解除始め
と、小さい解除力でもよい解除完了近くとで前記距離が
かわらず、解除始めの解除力を軽減するために前記距離
を大きくするとリリースケーブルを引く引き付け距離が
長くなり、逆にリリースケーブルの引き付け距離を短く
しようとすると前記距離を小さくせざるを得ず、解除力
が大きくなってブレーキの解除が困難になるという解決
を要する課題があった。

ブレーキ解除の始めと完了時とでは前者において解除
力が大きく、以後徐々に小さくてもよいことの理由を第
３図を援用して以下に示す。

図において、 θ：爪部材作動角 P:解除抵抗力 F:足踏みレバーにかかる踏力 L2:足踏みレバー枢支軸からペダル（着力点）までの距
離 W:ブレーキ対応力（爪部材の爪先端にかかる抗力） μ：摩擦係数 とすれば、解除抵抗力Ｐとブレーキ対応力Ｗとの関係は
次の式で示される。

上記解析結果は、第４図に例示してある。なお、同図
上解除抵抗力Ｐは無次元化してP1としてある。

同図に示されるように爪部材の作動角θの増大に従っ
て解除抵抗力Ｐは減少し、一方、リリースケーブルの引
き付け距離Ｓ（図中ではリリースケーブル後端に設けら
れるノブの作動ストロークと表示）は漸増している。

本発明は、このような従来の技術の問題点に着目して
なされたもので、大きな解除力を要するブレーキ解除初
期においても小さな解除力でブレーキ解除が出来、しか
もリリースケーブルの引き付け距離が小さいブレーキ解
除機構を有する足踏み式パーキングブレーキ装置を提供
することを目的としている。

「課題を解決するための手段」 かかる目的を達成するための本発明の要旨とするとこ
ろは、 自動車の床近傍に固設される支持ブラケットに枢支さ
れた足踏みレバーと、 一端を前記足踏みレバーに止結されてブレーキ力を伝
えるコントロールケーブルと、 前記足踏みレバーの枢支軸に同心にかつ該足踏みレバ
ーに固結して設けられ、多数の係止歯を刻設された爪車
と、 前記支持ブラケットに揺動可能に枢支され、前記爪車
に噛合して足踏みレバーを係止する爪部材と、 前記爪部材の揺動端に係合する押圧子を有し、前記支
持ブラケットに揺動可能に枢支される解除アームと、 前記解除アームの揺動部位の止結点に固結され、解除
力を伝えるリリースケーブルとを備えて成る足踏み式パ
ーキングブレーキ装置において、 前記解除アームの揺動部位の前記止結点にリリースケ
ーブルの始端を置き、リリースケーブルを該解除アーム
の枢支軸から遠ざかる方向に案内する案内面を有するリ
リースケーブル案内部を設け、前記リリースケーブルを
該リリースケーブル案内部に沿って巻装したことを特徴
とする足踏み式パーキングブレーキ装置に存する。

「作用」 ブレーキを解除するためリリースケーブルを引き寄せ
ると、解除アームはその枢支軸を中心に回動しようとす
る。

リリースケーブルは前記解除アームの揺動部位に設け
られたリリースケーブル案内部に沿って巻装されてい
て、該リリースケーブル案内部は、リリースケーブルと
解除アームとの止結点である始端から、リリースケーブ
ルの巻装方向に向って該解除アームの枢支軸から遠ざか
る方向に案内面を有するから、リリースケーブルの引き
始めでは解除力力線と解除アームの枢支軸との距離は大
きく、小さな解除力でおおきな解除回転力を得ることが
できる。

リリースケーブルに引かれて解除アームは徐々に回動
し、尾端に固設されている押圧子は爪部材の尾端を押圧
して爪部材を回動させる。

解除ドラム上の前記リリースケーブルの案内面は解除
ドラムの回動に連れて漸次リリースケーブルの止結点に
近づいていき、連れてリリースケーブルの解除力線と解
除アームの枢支軸との距離は小さくなり、解除アームに
かかる解除回転力は減少する。

一方、爪車の係止歯と爪部材の爪との噛合部に生じて
いる解除抵抗力は完全な噛合状態のときに最も大きく、
爪部材の回動に連れて漸次小さくなるから、解除アーム
の解除回転力が小さくなっても前記解除抵抗力に抗して
噛合状態を解除するのに差支えない。

「実施例」 以下、図面に基づき本発明の一実施例を説明する。

足踏み式パーキングブレーキ装置10は車両の床近傍に
取付けボルト12によって固設された支持ブラケット11に
回動可能に枢支された足踏みレバー13と、該足踏みレバ
ー13に固設して設けられている爪車15の係止歯15aに噛
合してブレーキ力を保持する爪部材17と、尾部に該爪部
材17の揺動端17bを押圧する押圧子34を備え先端近傍に
リリースケーブル40を止結する解除アーム30と、後端部
を足踏みレバー13に係着され、足踏みレバー13に固設さ
れたコントロールケーブル案内部材24に巻回され、ブレ
ーキ力を伝えるコントロールケーブル25とから成ってい
る。

足踏みレバー13の先端部には操作者の脚方向に踏面14
aを向けたペダル14が固設されており、枢支軸16を取り
巻くようにしてコントロールケーブル案内部材24が固設
されており、同様に枢支軸16を中心として爪車15の係止
歯15aが刻設されている。

爪車15に係止する爪18を有する爪部材17は爪部材の枢
支軸19に回動可能に枢支されており、長く延びたアーム
17aの揺動端17bを解除アーム30の押圧子34が臨んでい
る。また爪部材の前記アーム17aの反対側に端部17cには
該爪部材17の爪18を常に爪車15の係止歯15aに噛合する
側に付勢するばね20が取付けられている。

解除アーム30は解除アームの枢支軸35に揺動可能に枢
支され、揺動尾端33に押圧子34が固設されており、枢支
軸35を挟んで押圧子34とは反対の位置にリリースケーブ
ル40の先端部が止結されている。

そして解除アーム30の揺動部位には第２図に示すよう
に始端がリリースケーブル40との止結点32近傍に始ま
り、解除アームの枢支軸35から遠ざかるような案内面31
aを有するリリースケーブル案内部31が設けられてい
る。

リリースケーブル40は止結点32で解除アーム30と結ば
れ、リリースケーブル案内部31に沿って巻装されてお
り、末端には図示省略したリリースノブが備えられてい
る。

コントロールケーブル25は足踏みレバー13に一端を止
結され、コントロールケーブル案内部材24に沿って巻装
され、車体に沿って延設されており、足踏みレバー13の
踏みこみ量に対応したブレーキ力を伝えている。

次に作用を説明する。

ペダル14を踏み込むと足踏みレバー13は枢支軸16を中
心に第１図において時計方向に回動し、踏みこみ量に対
応したブレーキ力をコントロールケーブル25に伝えてい
る。一方、爪部材17は常に爪車15側に付勢されているか
ら、ペダル14から足を離すと該位置で爪車15の係止歯15
aと爪部材17の爪18とは噛合して足踏みレバーの復帰を
阻止し、ブレーキ状態となる。

ブレーキ状態では爪部材の爪18の先端にはブレーキ力
に対応した一定比率のブレーキ対応力Ｗが掛っている。

ブレーキ状態を解除するためリリースケーブル40の末
端に備えられているリリースノブを引くと、引き始めで
はリリースケーブル40の引っ張り方向と、解除アームの
枢支軸35との距離は第２図に示すようにH1となってい
る。

リリースケーブル40を引き続けると解除アーム30は押
圧子34を介して爪部材17を反時計方向に回動させながら
自らも反時計方向に回動し、リリースケーブル案内部31
の案内面31aに沿って巻装されているリリースケーブル4
0は第２図において徐々に上方に移動し、リリースケー
ブル40の方向と解除アームの枢支軸35との距離H2はH1よ
り小さくなっている。

したがって、解除アーム30に同じ大きさの解除力を加
えたとすると解除アームの枢支軸35まわりに働く解除回
転力は解除始めに大きく、徐々に小さくなっていく。

一方、リリースケーブル40を引き付けるノブの移動量
は解除アーム30の同一回動角に対して引き始めは多く、
距離Ｈの減少とともに少なくなっていく。

しかるに既に述べた解析結果のように、爪部材の爪18
が爪車の係止歯15aから離脱するための解除抵抗力は始
めは大きく解除動作の進行に連れて徐々に小さくなって
いるから、解除回転力が当初は大きく漸次小さくなる構
成と一致している。

「発明の効果」 本発明に係る足踏み式パーキングブレーキ装置によれ
ば、大きな解除力を要する解除始めに於ても小さな解除
力でブレーキ解除が可能となり、しかも解除の為のノブ
の引き付け量が少なくてすみ、足踏み式パーキングブレ
ーキ装置のブレーキ解除操作が極めて容易となる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第２図は本発明の一実施例を示しており、第１
図は足踏み式パーキングブレーキ装置の正面図、第２図
はブレーキの係止と解除の機構説明図、第３図は爪車と
爪部材との噛合解析用の説明図、第４図は解析結果の一
例を示す線図である。 10……足踏み式パーキングブレーキ装置 11……支持ブラケット、13……足踏みレバー 15……爪車、15a……爪車の係止歯 16……枢支軸、17……爪部材 17b……爪部材の揺動端 30……解除アーム 31……リリースケーブル案内部 31a……案内面、32……止結点 33……解除アームの揺動尾端 34……押圧子、35……解除アームの枢支軸 40……リリースケーブル

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】自動車の床近傍に固設される支持ブラケッ
   トに枢支された足踏みレバーと、 一端を前記足踏みレバーに止結されてブレーキ力を伝え
   るコントロールケーブルと、 前記足踏みレバーの枢支軸に同心にかつ該足踏みレバー
   に固結して設けられ、多数の係止歯を刻設された爪車
   と、 前記支持ブラケットに揺動可能に枢支され、前記爪車に
   噛合して足踏みレバーを係止する爪部材と、 前記爪部材の揺動端に係合する押圧子を有し、前記支持
   ブラケットに揺動可能に枢支される解除アームと、 前記解除アームの揺動部位の止結点に固結され、解除力
   を伝えるリリースケーブルとを備えて成る足踏み式パー
   キングブレーキ装置において、 前記解除アームの揺動部位の前記止結点にリリースケー
   ブルの始端を置き、リリースケーブルを該解除アームの
   枢支軸から遠ざかる方向に案内する案内面を有するリリ
   ースケーブル案内部を設け、前記リリースケーブルを該
   リリースケーブル案内部に沿って巻装したことを特徴と
   する足踏み式パーキングブレーキ装置。