JP2549571B2 - 燃料吸収体の製造方法 - Google Patents

燃料吸収体の製造方法

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JP2549571B2 JP2114372A JP11437290A JP2549571B2 JP 2549571 B2 JP2549571 B2 JP 2549571B2 JP 2114372 A JP2114372 A JP 2114372A JP 11437290 A JP11437290 A JP 11437290A JP 2549571 B2 JP2549571 B2 JP 2549571B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は,燃料蒸発防止装置に用いる燃料吸収体の製
造方法に関する。
〔従来技術〕
自動車の燃料タンク内に,給油ガンにより燃料を供給
する際には,比較的多くの燃料が蒸発する。また,自動
車の走行時,停止時いずれにおいても,燃料タンク,気
化器フロート室内の燃料が一部気化する。
そこで,これら蒸発燃料を大気中に漏らさないように
するため,これらタンク等に,燃料吸収体を充填したキ
ャニスタ(燃料蒸発防止装置)が連結されている。この
燃料吸収体は,蒸発燃料を捕捉するためのものである。
また,自動車に限らず燃料貯蔵タンク等からの蒸発燃
料,更には漏洩した燃料液を捕捉するため,同様に燃料
吸収体を充填した燃料蒸発防止装置が用いられている。
そして,上記燃料吸収体としては,従来活性炭が用い
られている。活性炭に吸着された燃料は,パージ(離
脱)時に活性炭から放出される。そのため,活性炭は燃
料の吸着,離脱を繰り返して使用される(後述する第3
図参照)。
〔解決しようとする課題〕
しかしながら,上記活性炭を用いたキャニスタでは,
しばしば,蒸発燃料を捕捉しきれず,蒸発燃料が大気に
放出されてしまうことが起こる。
この原因を調査したところ,活性炭は,液状のガソリ
ンと接触した場合に,活性炭のガソリン蒸発捕捉能が著
しく低下することが明らかとなった。更に,活性炭が液
状のガソリンと接触する原因は,キャニスタにつながっ
ている配管及びキャニスタ上部の壁面に凝縮した液状の
ガソリンが,活性炭に触れるためであることが分かっ
た。
なお,前記のようなガソリン蒸気の凝縮は,特に外気
温が高く,燃料タンク或いは気化器においてガソリンの
蒸気圧が非常に高い時に,その周辺の配管及びキャニス
タ上部の空間で起こる。
また,活性炭の蒸気捕捉能(ワーキングキャパシテ
ィ)低下のもう1つの要因は,活性炭に吸着された蒸発
燃料分子のうち,炭素原子数が4又は5以下の小さな分
子はキャニスタのパージ工程中に容易に離脱するのに反
し,それより大きな分子は離脱し難いことである。ま
た,そのため,キャニスタの使用時間が増加するにつれ
て蒸気捕捉能が減少するという点である。
また,活性炭に代えてポリプロピレン,スチレン−ブ
タジエン共重合体等の有機高分子を燃料吸収体として用
いることも提案されている(特開平1−67222,特開平1
−227861)。しかし,該燃料吸収体は燃料の吸収,離脱
のサイクル(吸脱サイクル)を繰り返す間に燃料吸収能
力が低下する。
この原因は次のように考えられる。1次粒子の強度,1
次粒子同士の結合力(2次粒子の強度)が弱いため,吸
収時の膨潤と離脱時の収縮の繰り返し,さらには振動等
により1次粒子の破壊,2次粒子の崩壊が起こる。この様
に微細化された粒子は飛散し易く吸収剤の偏りの原因と
なり,吸収能が低下する。また,粒子が微細化される
と,空隙率が低下するため,膨潤時に目詰まりが生じ易
くなり,吸収能が低下する。
本発明は,かかる従来の問題点に鑑み,上記吸脱サイ
クルに対する耐久性に優れ,かつ蒸発燃料捕捉能力に優
れた燃料吸収体の製造方法を提供しようとするものであ
る。
〔課題の解決手段〕
本発明は,燃料捕捉機能を有する有機高分子化合物を
溶媒に溶解し,その溶液にバインダー用の熱可塑性樹脂
パウダーを添加混合し,その後前記有機高分子化合物反
応用の架橋剤の存在下にて反応を行い,反応終了後上記
熱可塑性樹脂パウダーを含む高分子ゲルを採取し,その
後造粒し,得られた中間粒状物を前記熱可塑性樹脂パウ
ダーが互いに融着する温度に加熱することを特徴とする
燃料吸収体の製造方法にある。
本発明において,燃料捕捉機能を有する有機高分子化
合物とは,蒸発燃料(漏洩した燃料液も含む)を捕捉す
る機能を有し,少なくとも,ゲルを生じせしめる程度に
架橋可能な有機高分子化合物をいう。また,ここに捕捉
機能とは,燃料に溶解又は燃料によって膨潤する性質を
いう。
また,上記反応とは,上記有機高分子化合物の架橋お
よび/または重合反応を含む,あらゆる化学反応をい
う。また,これらの反応は,通常の重合方法,例えば,
懸濁重合,乳化重合,溶液重合等のいずれの方法を採用
しても良い。そして,後述のごとく,懸濁重合,乳化重
合の場合には高分子ゲル微粒体が得られ,一方溶液重合
の場合には高分子ゲル体が得られる。
前記性質を有する有機高分子化合物としては,例え
ば,ポリイソプレン,ポリブタジエン,ポリイソブチレ
ン,ポリスチレン,ポリノルボルネン,ポリシロキサ
ン,エチレン−プロピレン−ジエン系共重合体,スチレ
ン−ブタジエン系共重合体,エチレン−プロピレン系共
重合体,イソブチレン−イソプレン系共重合体,ブタジ
エン−アクリロニトリル系共重合体,エチレン−酢酸ビ
ニル系共重合体,アクリル系重合体,ポリエピクロルヒ
ドリン,スチレン−イソプレン系共重合体を用いる。
また,これらの有機高分子化合物を反応させる際に用
いる溶媒としては,トルエン,ベンゼン,ジメチルベン
ゼン,トリメチルベンゼン,シクロヘキサン,ペンタ
ン,ヘキサン,ヘプタン,塩化メチレン,クロロホル
ム,四塩化炭素,トリクロロエチレンなどがある。
また,有機高分子化合物と溶媒との割合は,有機高分
子化合物2〜50%(重量比,以下同じ),溶媒は50〜98
%とすることが好ましい。
また,上記バインダー用の熱可塑性樹脂パウダーとし
ては,PP,PE,PBT,PET,POM,ナイロン等の結晶性樹脂など
がある。該熱可塑性樹脂パウダーは,後述するごとく中
間粒状物を互いに融着するための接合剤とするものであ
り,上記の有機高分子化合物の反応には関与せず,ある
いは,少なくとも,熱融着性を損なわない程度にしか,
架橋しないものである。また,該熱可塑性樹脂パウダー
は有機高分子化合物と共に溶媒中に加えるが,該熱可塑
性樹脂パウダーは溶媒には完全に溶解しないものを用い
る。
また,該熱可塑性樹脂パウダーは,有機高分子化合物
に対して20〜70重量%添加する。20%未満ではバインダ
ーとしての効果が少なく,70%を越えると熱可塑性樹脂
パウダーが多くなりすぎて,燃料吸収体能力が低下する
おそれがある。また,熱可塑性樹脂パウダーの粒子径と
しては,0.01〜2000μmのものを用いることが好まし
い。
次に,架橋剤としては,ベンゾイル・パーオキサイ
ド,ラウロイル・パーオキサイド等のジアシル・パーオ
キサイド類,2,4,4−トリメチル・ペンチル−2−ハイド
ロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類,ジク
ミル・パーオキサイド等のジアルキル・パーオキサイド
類,1,1−ジ−t−ブチル・パーオキシ−3,3,5−トリメ
チル・シクロヘキサン等のパーオキシケタール類,t−ブ
チル・パーオキシ−ネオデカノエート等のアルキルパー
エステル類,ビス(4−t−ブチル・シクロヘキシル)
パーオキシ・ジカルボネート等のパーカーボネート類,
メチル・エチル・ケトンパーオキサイド等のケトンパー
オキサイド類等のパーオキサイド系架橋剤がある。
また,イオウ,イオウ化合物,アミン化合物,エポキ
シ化合物,カルボキシ化合物等の,通常,一般的に用い
られている架橋剤も用いることができる。また,好まし
くは,燃料捕捉機能を有する有機高分子化合物に対し
て,架橋可能であり,かつ,バインダー用の熱可塑性樹
脂に対し架橋しない架橋剤を用いることが望ましい。
また,反応が不充分な場合には,架橋助剤を添加す
る。
かかる架橋助剤としては,上記パーオキサイド系架橋
剤に対しては,テトラハイドロ・フルフリル・メタクリ
レート,エチレン・ジメタクリレート,1,3−ブチレン・
ジメタクリレート,ポリエチレングリコール・ジメタク
リレート,2−2,−ビス(4−メタクリロキシ・ジエトキ
シ・フェニル)プロパン,アルミニウム・メタクリレー
ト,カルシウム・ジメタクリレート,トリアリル・イソ
シアヌレート,ジアリル・フタレート,ジビニル・ベン
ゼン,P−キノン・ジオキシム,1,2−ポリブタジエン,硫
黄などがある。一方,上記パーオキサイド系以外の架橋
剤に対しては,一般的に使用される架橋助剤を用いるこ
とができる。
また,架橋剤は有機高分子化合物に対して1〜20%,
架橋助剤は同じく0〜20%添加する。
また,上記反応を行うに先立って,有機高分子化合物
溶液は,脱酸素処理しておくことが好ましい。かかる脱
酸素処理方法としては,上記有機高分子化合物溶液中
に,例えば窒素(N2)ガスをバブリングする方法があ
る。また,溶液の入った容器を真空排気後,N2ガスを充
てんする操作を繰り返す方法もある。これにより,反応
溶液中より,溶存酸素を放出させる。
次に,懸濁重合,乳化重合の場合には,次のように分
散剤を含有させた溶液を用いて,反応を行う。
即ち,有機高分子化合物と架橋剤とを含む溶液を,分
散剤含有溶液中に,撹拌しながら添加して,分散液を作
る。そして,架橋剤がほぼ完全に分解するまで加熱,撹
拌を続けて,反応させる。
上記分散剤としては,ポリビニルアルコール(PV
A),ゼラチン,トラガカントゴム,アラビアゴム,デ
ンプン,メチルセルロース,カルボキシメチルセルロー
ス,ポリアクリル酸塩,アルカリセッケン,有機アミン
セッケン,および高級アルコールの硫酸エステル,トゥ
イーン類の非イオン活性剤等の合成表面活性剤,タンパ
ク質,植物ゴム,アルギン酸塩,サポニン等がある。
また,分散剤含有溶液についても上記と同様に脱酸素
処理を行っておくことが好ましい。また,該溶液の溶媒
としては,通常,水を用いる。また,該溶液中の分散剤
の濃度は,1〜5%程度である。
反応終了後,冷却すると反応によって得られたポリマ
ーと,溶液とが上下に分離する。そこで,上方のポリマ
ー相を採取することにより,生クリーム状のペーストを
得る。これが高分子ゲル微粒体である。該高分子ゲル微
粒体は,粒径10〜100μmの微粒状ポリマーと,これに
付着,混合したバインダー用の熱可塑性樹脂パウダー
と,溶媒及び分散剤等を含んでいる。
次に,該熱可塑性樹脂パウダーを含んだ高分子ゲル微
粒体を,ハイスピードミキサー又はスプレードライヤー
等の造粒機により,造粒し,粒径1〜5mm程度の中間粒
状物とする。該中間粒状物は,上記微粒状ポリマーが,
上記付着,混合している熱可塑性樹脂パウダーによっ
て,互いに軽く接合された状態のものである(第1図参
照)。
次に,上記中間粒状物は,上記熱可塑性樹脂パウダー
が互いに融着する温度(例えば,PEの場合は140〜150
℃)に加熱する。これにより,微粒状ポリマーに混在し
ている熱可塑性樹脂パウダーが互いに融着し,中間粒状
物は強度の高い燃料吸収体となる(第1図参照)。
即ち,熱可塑性樹脂は加熱融着という結合形態を取る
ので,単に接着性バインダーによる付着という結合形態
の場合よりも結合力が強い。更に,溶け難いパウダーと
して微粒状ポリマーと混在させた後に加熱融着するの
で,微粒状ポリマー表面に万遍なく分布して結合作用を
果たし,上記燃料吸収体がその各部分において等しい結
合力で支持される。従って特定の結合力の弱い部分から
壊れるおそれが少ない。又,第1図,第2図に示すよう
に,燃料吸収体は孔隙性の結合構造を取るので,燃料吸
収率が高くなる。
一方,溶液重合の場合には,有機高分子化合物溶液に
架橋剤を添加後反応を行う。この場合,分散剤は用いな
い。そして,反応終了後,上記熱可塑性樹脂パウダーが
混在している高分子ゲル体を得る。このものは,上記と
同様に造粒して中間粒状物となし,前記融着温度に加熱
して融着させる。
また,上記方法においては,熱可塑性樹脂パウダーを
当初より添加せず,反応後採取した高分子ゲル微粒体に
熱可塑性樹脂パウダーを添加混合し,次いで上記造粒,
加熱を行う方法もある。この場合有機高分子化合物の反
応は,懸濁重合又は乳化重合により行う。
即ち,この方法は,燃料捕捉機能を有する有機高分子
化合物を溶媒に溶解し,その後溶液を別途準備した分散
剤含有溶液中に撹拌しながら添加して前記有機高分子化
合物反応用の架橋剤の存在下で反応を行い,反応終了後
高分子ゲル微粒体を採取し,次いで該高分子ゲル微粒体
に熱可塑性樹脂パウダーを添加混合し,その後造粒し,
得られた中間粒状物を前記熱可塑性樹脂パウダーが互い
に融着する温度に加熱することを特徴とする燃料吸収体
の製造方法である。
また,上記2種類の方法においては,熱可塑性樹脂パ
ウダーが付着している高分子ゲル(上記高分子ゲル微粒
体,高分子ゲル体を含む)を担体に塗布して,担体付き
の燃料吸収体を製造することもできる。
即ち,上記熱可塑性樹脂パウダーが含まれている高分
子ゲル微粒体(以下,高分子ゲル体も同様)を担体の表
面に塗布し,次いで乾燥する。これにより,多数の上記
微粒状ポリマーが上記熱可塑性樹脂パウダーによって軽
く付着され,かつこれらが上記担体表面に付着された中
間体を得る。そして,その後,これらを熱可塑性樹脂パ
ウダーの融着温度以上に加熱する。これにより,微粒状
ポリマーが,担体上に熱可塑性樹脂によって融着されて
なる,担体付き燃料吸収体が得られる。
上記担体としては,粒状体,板状体,布,網,糸など
がある。また,担体の材質としては,プラスチック,セ
ラミックス,金属などがある。また,高分子ゲル微粒体
を担体に塗布する方法としては,担体を高分子ゲル微粒
体の中に浸漬して引き上げる浸漬法がある。また,水又
は溶媒に,上記熱可塑性樹脂パウダーを含む生クリーム
状の上記高分子ゲル微粒体を希釈又は希釈することな
く,スプレーガン等により,担体上に吹き付ける方法が
ある。更に,ロールに上記高分子ゲル微粒体を付着させ
て担体に塗布するロールコータ法もある。
また,上記のごとくして得た粒子状の燃料吸収体は,
これを更に所望する形状,例えばハニカム状,板状,フ
ィルム状等にすることもできる。しかし,厚みが大きく
なると,表面だけが膨潤して,中の方まで吸収が進ま
ず,吸収能力が低下するおそれがある。したがって,燃
料吸収体は直径或いは厚みを5mm以下としておくことが
好ましい。
また,担体付きの燃料吸収体は,基本的には担体の形
状と同様であるが,上記のごとく,板状,ハニカム状等
にすることもできる。またその厚み,直径等も上記と同
様である。
また,本発明にかかる燃料吸収体は,蒸発燃料の捕捉
(吸収)によって膨潤するが,燃料に対しては不溶であ
る。それ故,一旦捕捉した燃料をパージ(離脱)するこ
とにより,再生でき,その使用を繰り返すことができ
る。
なお,本発明の燃料吸収体は,自動車用キャニスタに
限らず,ボイラー用燃料タンクなど種々の燃料蒸発防止
装置に用いることができる。
〔作用および効果〕
本発明においては,上記製造方法によって得られた燃
料吸収体が,前記有機高分子化合物を母体とするもので
あるため,蒸発燃料に対して高い捕捉能力を有してい
る。この高い捕捉能力は,この有機高分子化合物がガソ
リン等の燃料を吸収して,膨潤しようとする力に基づく
ものである。これは,上記有機高分子化合物と蒸発燃料
との親和力が大きいためである。
また,該燃料吸収体は,上記熱可塑性樹脂パウダーに
よって,微粒状ポリマーが互いに結合されているため,
全体の強度が向上する。それ故,燃料捕捉,放出という
前記吸脱サイクルに対する耐久性に優れている。
また,バインダーとして熱可塑性樹脂のパウダーを用
いるので,上記微粒状ポリマーの表面に均一に熱可塑性
樹脂を付着させることができ,またバインダーの添加も
行い易い。
また,上記有機高分子化合物は,反応によって互いに
化学的に結合されているため,得られた燃料吸収体は,
立体構造を有する。それ故,全体が柔軟性に富み,また
燃料捕捉能力も高い。
また,担体付きの燃料吸収体は,担体が骨格となるの
で,その全体の強度が高い,また,該担体の表面に微粒
状ポリマー層が設けてあるため,該微粒状ポリマーの体
積に対する表面積の割合が大きい。それ故,微粒状ポリ
マーの単位重量当たりの燃料吸収能力が高い。
なお,蒸発燃料を吸収することにより膨潤した燃料吸
収体は,燃料蒸発防止装置内をパージする工程で捕捉し
ていた燃料を放出し,蒸発燃料吸収能力が復活し,継続
して使用することができる。
このように,本発明によれば,燃料の吸脱サイクルに
対する耐久性に優れ,また蒸発燃料捕捉能力に優れた燃
料吸収体の製造方法を提供することができる。
〔実施例〕
第1実施例 本発明の実施例にかかる燃料吸収体の製造方法につ
き,第1図を用いて説明する。
まず,燃料捕捉機能を有する有機高分子化合物とし
て,エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネンポ
リマー(日本合成ゴム(株)EP33。エチレン−プロピレ
ン−ジエン系共重合体)14gをトルエンに溶解する(溶
液量140g)。
更に,該溶液に,バインダー用の熱可塑性樹脂パウダ
ーとして,PE樹脂を9.3g,上記溶液を加えて混合した(溶
液量149.3g)。上記熱可塑性樹脂パウダーの粒子径は,
約30μmであった。
この溶液に,架橋剤としてのベンゾイルパーオキサイ
ドを純品(100%)換算で,前記ポリマー100部(重量
部,以下同じ)に対して20部を添加,溶解した。更に,
架橋助剤としてのジビニルベンゼンを,前記ポリマー10
0部に対し20部添加,溶解した。このようにして調整し
たポリマー溶液にN2ガスをバブリングし,溶液中の溶存
酸素を除去する脱酸素処理を行った。
一方,耐圧仕様の容器に,分散剤としてのポリビニル
アルコール(PVA)(重合度500,ケン化度86.5〜89モル
%)の1%水溶液を準備する(溶液量800g)。そして,
該耐圧容器の上部に分散撹拌機を固定し,容器をシール
した。次いで,該耐圧容器内を真空排気した後,N2ガス
を充填する操作を3回行い,PVA水溶液中の溶存酸素を除
去する脱酸素処理を行った。
その後,耐圧容器内のPVA水溶液中に前記の脱酸素処
理したポリマー溶液を流し込みながら,上記分散撹拌機
で高速撹拌し,分散液を作った。また,ポリマー溶液の
流入終了後,耐圧容器内を前記と同様に脱酸素処理し,
撹拌を15分続けた。
次に,上記分散撹拌機を簡易型のプロペラ撹拌機に取
り換え,上記耐圧容器内の反応液を,92℃まで昇温しな
がら400〜500rpmで撹拌した。92℃に到達した後,更に
6時間上記撹拌を続け,その後酸化防止剤(重合禁止
剤)の20%トルエン溶液を反応液に添加し,反応を中止
した。
反応終了後,氷水にて耐圧容器を冷却し,室温に3時
間放置した。これにより,上層に生クリーム状の高分子
ゲル微粒体が,下層に水溶液が分離する。そこで,上層
の高分子ゲル微粒体を採取する。これにより,上記有機
高分子化合物が反応して生成した微粒状ポリマーと,そ
の表面に付着している熱可塑性樹脂パウダーとからなる
高分子ゲル微粒体を得た。その後,これをハイスピード
ミキサーに少量づつ投入し,造粒した。これにより,直
径1〜3mmの中間粒状物が得られた。
更に,該中間粒状物を,上記熱可塑性樹脂としての,P
E樹脂が融着する温度(150℃)以上に,10分マスト側レ
ール加熱した。これにより,本発明にかかる,粒状の燃
料吸収体が得られた。この燃料吸収体を試料No.1とす
る。
このようにして製造された燃料吸収体は,第1図にモ
デル的に示すごとく,前記有機高分子化合物の架橋反応
により生成した微粒状ポリマー50と,付着,混合するよ
うにして存在している熱可塑性樹脂パウダー層52とから
なっている。そして,該熱可塑性樹脂パウダー層52が融
着してバインダーとなり,各微粒状ポリマー50を接合
し,燃料吸収体5を構成している。
第2実施例 上記第1実施例において,熱可塑性樹脂パウダーは当
初から添加せず,反応後採取した生クリーム状の高分子
ゲル微粒体に該熱可塑性樹脂パウダーを添加,混合し
た。有機高分子化合物に対する熱可塑性樹脂パウダーの
添加割合は,第1実施例と同様であった。
次いで,造粒し,前記融着温度に加熱して,本発明に
かかる粒状の燃料吸収体を得た。その他は,第1実施例
と同様である。
このようにして得た燃料吸収体は,前記第1図に示し
たものと同様であった。この燃料吸収体を試料2とす
る。
第3実施例 上記第1実施例において生成した,熱可塑性樹脂パウ
ダーを含む生クリーム状の高分子ゲル微粒体を採取し,
これを担体の表面に塗布した。
担体としては,ナイロン材料の直径約0.5mmの繊維体
を用いた。また,上記の塗布は浸漬の方法により行っ
た。また,その後,上記高分子ゲル微粒体を塗布した担
体を,熱可塑性樹脂パウダーの融着温度以上の150℃に
加熱した。
これにより,直径約0.8mmの,粒状の担体付き燃料吸
収体が得られた。
このようにして製造された担体付き燃料吸収体は,第
2図にモデル的に示すごとく,前記有機高分子化合物が
架橋反応により生成した微粒状ポリマー50と,その周囲
に付着しているバインダーとしての熱可塑性樹脂パウダ
ー層52と,これらを担持している担体55とからなってい
る。即ち,担体55の表面に,熱可塑性樹脂パウダー層52
がバインダーとなって各微粒状ポリマー50を融着し,燃
料吸収体5を構成している。
その他は第1実施例と同様であった。この担体付き燃
料吸収体を試料No.3とする。
第4実施例 前記第2実施例に示したごとく,反応後採取した生ク
リーム状の高分子ゲル微粒体に,熱可塑性樹脂パウダー
を添加,混合した。ついで,このものを第3実施例と同
様に担体に塗布し,乾燥し,加熱した。これらの条件
は,第2及び第3実施例と同様とした。
これにより得られた燃料吸収体は,前記第2図に示し
たものと同様であった。この燃料吸収体を試料4とす
る。
第5実施例 上記第1〜第4実施例において得た試料No.1〜4の燃
料吸収体について,その特性を測定した。
即ち,まず燃料の吸脱サイクル耐久性に関しては,燃
料吸収体を100メッシュステンレス金網容器に入れ,こ
れらをトルエン中に2時間浸漬した。そして,取り出し
た直後の燃料吸収体について上方より荷重を加え,粉砕
された時点での粉砕荷重(gf)を測定した。
また,燃料吸収体の燃料捕捉能力については,まず試
料を約0.2g(担体付き燃料吸収体の場合は担体0.1gを含
む),上記と同様の金網容器(重量V)中に入れ秤量す
る。このときの,重量をWとする。そして,各試料を金
網容器と共に,燃料としてのトルエン中に浸漬し,第1
表に示す時間毎に取り出して各重量Yを秤量する。
そして,下式により,各時間毎の燃料吸収度(%)を
算出した。
測定結果を第1表に示す。
また,比較のため,第1実施例において,バインダー
としての熱可塑性樹脂パウダーは添加することなく反応
を行い,生クリーム状の高分子ゲル微粒体を採取し,造
粒して燃料吸収体を得た。これを,試料No.C1とする。
また,その測定結果を第1表に併示した。
第1表より知られるごとく,本発明にかかる燃料吸収
体(試料No.1〜4)は,いずれも比較試料No.C1に比し
て,高い粉砕荷重を示している。これはバインダーとし
ての熱可塑性樹脂パウダーによって,各微粒状ポリマー
が結合され,燃料吸収体全体として強度が高いためであ
る。
また,上記のうち試料No.3,4は,骨格としての担体を
有するので高い強度を有している。
それ故,本発明の燃料吸収体は燃料の吸脱サイクルに
対しても優れた耐久性を発揮する。
これに対して,バインダーとしての熱可塑性樹脂パウ
ダーを用いていない比較試料C1は,吸収度は非常に高い
ものの,微粒状ポリマーが熱可塑性樹脂によって結合さ
れていないため,燃料吸収時の粉砕荷重がかなり低い。
それ故,吸脱サイクルの耐久性が悪い。
第6実施例 本発明の燃料吸収体を自動車用キャニスタに使用した
例につき,第3図により説明する。
本キャニスタ1は,同図に示すごとく,燃料吸収体を
収容する容器である本体10と,該本体10内の吸収室2に
充填した燃料吸収体20とからなる。
本体10は,円筒状をなし,その上端に設けた蓋体11及
び底面に設けた底板12を有する。また,蓋体11には,吸
収室2の中央付近まで先端部141を挿入した第2導入パ
イプ14,同様に挿入した第1導入パイプ13,及びパージ用
パイプ16を固定する。
上記第1導入パイプ13は気化器フロート室81の上方空
間に連通し,第2導入パイプ14は燃料タンク82に連通し
ている。また,パージ用パイプ16はパージポート85に連
通している。また,底板12にはパージ空気パイプ15を開
口させる。上記の各パイプは,それぞれバルブ131,142,
151,161を有する。
また,本体10内において,吸収室2の下方には多孔板
17を,上方には多孔板18を配設する。また,多孔板17は
スプリング101により上方へ,多孔板18はスプリング102
により下方へ押圧されている。なお,同図において8は
ガソリンである。
しかして,このキャニスタ1による蒸発燃料の捕捉
は,上記のごとく,気化器フロート室81又は燃料タンク
82において蒸発したガソリン蒸気が,第1又は第2導入
パイプ13,14より,キャニスタ1内の吸収室2内に入り
込み,燃料吸収体20と接触して,これに吸収される。こ
の吸収の際には,上記導入パイプ13,14の弁131,142は開
かれており,パージ用パイプ16の弁161,パージ空気パイ
プ15の弁151は閉じられている。
上記の吸収は,前記燃料吸収体20がガソリンを捕捉し
膨潤することにより生ずる。
そして,これらの燃料吸収体が多くのガソリン蒸気を
吸収した時点においては,燃料吸収体の再生を行う。ま
た,繰り返し使用後は,蓋体11を取り外して新しい燃料
吸収体と交換する。
上記の再生は,上記各弁131,142,151,161の開閉を,
上記吸収時とは逆にして,上記パージ空気パイプ15より
空気を送入することにより行う。そして,上方のパージ
用パイプ16より排ガスをパージポート85へ排出する。こ
のとき,送入された空気は,燃料吸収体に吸収されてい
るガソリンを離脱させ,上記のごとく排出する役目をす
る。
上記のごとく,吸収,再生の吸脱サイクルを行うこと
により,燃料吸収体を繰り返し使用し,蒸発燃料として
のガソリン蒸気を高能率で捕捉することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は第1実施例の燃料吸収体における微粒状ポリマ
ーの結合状態の説明図,第2図は第3実施例の担体付き
燃料吸収体における微粒状ポリマーの結合状態の説明
図,第3図は第6実施例におけるキャニスタの説明図で
ある。 1……キャニスタ, 2……吸収室, 20……燃料吸収体, 8……ガソリン, 5……燃料吸収体, 50……微粒状ポリマー, 52……熱可塑性樹脂パウダー層, 55……担体
フロントページの続き (72)発明者 奥本 忠興 愛知県西春日井郡春日町大字落合字長畑 1番地 豊田合成株式会社内 (72)発明者 太田 隆 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 松下 光正 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 佐藤 紀夫 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1 株式会社豊田中央研究所内 (56)参考文献 特開 平4−11944(JP,A) 特開 平4−11942(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】燃料捕捉機能を有する有機高分子化合物を
    溶媒に溶解し,その溶液にバインダー用の熱可塑性樹脂
    パウダーを添加混合し,その後前記有機高分子化合物反
    応用の架橋剤の存在下にて反応を行い,反応終了後上記
    熱可塑性樹脂パウダーを含む高分子ゲルを採取し,その
    後造粒し,得られた中間粒状物を前記熱可塑性樹脂パウ
    ダーが互いに融着する温度に加熱することを特徴とする
    燃料吸収体の製造方法。
  2. 【請求項2】燃料捕捉機能を有する有機高分子化合物を
    溶媒に溶解し,その後溶液を別途準備した分散剤含有溶
    液中に撹拌しながら添加して,前記の有機高分子化合物
    反応用の架橋剤の存在下にて反応を行い,反応終了後高
    分子ゲル微粒体を採取し,次いで該高分子ゲル微粒体に
    熱可塑性樹脂パウダーを添加混合し,その後造粒し,得
    られた中間粒状物を前記熱可塑性樹脂パウダーが互いに
    融着する温度に加熱することを特徴とする燃料吸収体の
    製造方法。
  3. 【請求項3】第1又は第2請求項において,熱可塑性樹
    脂パウダーを含む高分子ゲルは,これを担体に塗布し,
    乾燥後,上記熱可塑性樹脂パウダーが融着する温度に加
    熱して,担体付きの燃料吸収体を得ることを特徴とする
    燃料吸収体の製造方法。
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