JP2549011Y2 - 気泡発生浴槽における噴出ノズル構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、噴出ノズルの開口部を
指で閉塞することを防止する指詰防止板を具備させた気
泡発生浴槽における噴出ノズル構造に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、気泡発生浴槽は、浴槽本体の側壁
に、噴出ノズルを設けるとともに、同ノズルに、吸込配
管と送水配管とを介して循環ポンプと接続しており、同
循環ポンプの駆動によって同ノズルから気泡混じりの噴
流を発生するものである。上記の噴出ノズルａは、図６
に示すように、循環ポンプと接続したノズル本体ｂと、
同ノズル本体ｂ内に設けた空気混合室ｄと、浴湯を噴出
するスロートｅとよりなり、空気混合室ｄに、空気取入
部からの送気管ｆを連通連結している。

【０００３】そして、循環ポンプの駆動によって、浴湯
を噴出する際に、空気混合室ｄのエジェクタ効果によっ
て、送気管ｆから空気を吸込むとともに、浴湯内に混入
して、浴槽本体内に気泡混じりの噴流を形成するもので
ある。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】しかし、上記の噴出ノ
ズルは、未だ、以下のような課題を有していた。即ち、
入浴中に、子供の悪戯でスロートｅ内に指ｈを挿入し
て、浴湯を噴出するスロートｅを指で詰めていた。この
場合、噴出ノズルから浴湯が全く噴出されなくなり、そ
の為、浴湯の逆流が発生していた。

【０００５】このように、浴湯が逆流すると、空気取入
部から浴湯が流出するおそれがあるとともに、循環ポン
プに負荷がかかり、同循環ポンプが破損するおそれがあ
った。

【０００６】本考案は、上記の課題を解決する気泡発生
浴槽における噴出ノズル構造を提供することを目的とす
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本考案は、浴槽本体の側
壁に取付けた筒状のノズル本体内に空気混合室を設け、
同空気混合室の先端部に、浴湯噴出孔を有するスロート
を形成し、スロート周壁にスロート内部と浴槽本体内部
とを連通させる連通孔を設けると共に、スロートの内壁
には、スロート内部へ伸延し、かつ、先端を前記連通孔
より浴槽本体側に位置させた指詰防止板を設けたことを
特徴とする気泡発生浴槽における噴出ノズル構造に係る
ものである。

【０００８】また、本考案は、上記指詰防止板を複数個
設けると共に、各指詰防止板とスロートの中心部との間
に、浴湯が通過する浴湯噴出空間を形成したことにも特
徴を有する。

【０００９】

【考案の効果】本考案では、浴槽本体の側壁に取付けた
筒状のノズル本体内に空気混合室を設け、同空気混合室
の先端部に、浴湯噴出孔を有するスロートを形成し、ス
ロート周壁にスロート内部と浴槽本体内部とを連通させ
る連通孔を設けると共に、スロートの内壁には、スロー
ト内部へ伸延し、かつ、先端を前記連通孔より浴槽本体
側に位置させた指詰防止板を設けたことにより、スロー
ト内へ指を挿入したりして浴湯噴出孔を塞ぐことを防止
でき、しかも、掌等で浴湯噴出孔を完全に塞いだ場合で
も、連通孔を介して浴槽本体内に浴湯が噴出されるので
浴湯の逆流を防止することができる。

【００１０】また、指詰防止板は、先端を連通孔よりも
浴槽本体側に位置するように設けているので、スロート
内壁側から浴湯噴出孔と連通孔とが同時に塞がれること
を防止できる。したがって、浴湯が逆流して空気吸入管
から浴湯が流出したりすることを防止できる。

【００１１】また、指詰防止板を複数個設けると共に、
各指詰防止板とスロートの中心部との間に、浴湯が通過
する浴湯噴出空間を形成したことにより、スロート中心
部を塞ぐことがなく、旋回している気泡流の流線に対す
る圧力損失を小さくすることができ、空気混合室のエジ
ェクタ効果を減少させることがなく、空気流入管から多
量の空気を吸い込むことができる。

【００１２】

【実施例】以下_、 本考案の実施例を図面を参照しながら
説明する。

【００１３】図１は、本考案に係る気泡発生浴槽Ａを示
し、同気泡発生浴槽Ａは、噴出ノズルＮを具備する浴槽
本体Ｂと、同ノズルに接続した給湯機Ｃと、浴湯循環機
能部Ｒとより構成されており、以下、その構成を詳説す
る。即ち、かかる浴槽本体Ｂは、上面開放の略箱状に形
成されており、同浴槽本体Ｂの一側壁に噴出ノズルＮを
取付けている。

【００１４】また、給湯機Ｃは、図１に示すように、略
方形筒状の燃焼部１と、熱交換部２とにより構成されて
おり、同燃焼部１の内部に、それぞれガス供給管３と連
通しした第１、第２バーナ４，５を配設している。図
中、６は元弁、７は各バーナ４，５の発熱量を調節する
為のガバナ付比例弁、８，９は第１、第２切換弁、10は
点火プラグ、11はバーナの点火状態を検知する為のフロ
ームロッド、12は温度ヒューズ、13は排気口を示す。

【００１５】また、熱交換部２は、熱交換部２内を往復
蛇行した受熱管21の両端部に給水管22と出湯管23とを連
結構成している。かかる給水管22は、上水道等の水源と
接続し、出湯管23は次に説明する浴湯循環機能部Ｒに接
続されている。

【００１６】上記構成によって、給水管22からの水を受
熱管21中を流れる間に、第１, 第２バーナ４, ５の熱で
加熱して出湯管23から浴湯循環機能部Ｒ及び台所等の出
湯先に出湯することができる。図中、24は台所等の出湯
先に出湯する為の接続口、25は給水温度センサ、26は給
水量センサ、27はハイリミットバイメタル、28は出湯セ
ンサ、29は水量調節バルブ、30は湯量センサ、31は浴槽
本体Ｂへの給湯をON・OFF する給湯バルブ、32は浴槽本
体Ｂ側から給湯機Ｃ側に湯または水が逆流するのを防止
する為の逆止弁、33は浴湯水流スイッチを示す。

【００１７】次いで、浴湯循環機能部Ｒは、浴湯を循環
させる為のポンプ40と、同ポンプ40と浴槽本体Ｂ及び給
湯機Ｃとを接続する配管とで構成されている。そして、
ポンプ40の吸入口41を、給湯配管42を介して、逆止弁32
と接続するとともに、浴湯吸入配管43を介して噴出ノズ
ルＮの吸入通路と接続している。

【００１８】一方、ポンプ40の吐出口44を、浴湯吐出配
管45を介して噴出ノズルＮの吐出通路に接続している。
さらに、前記給湯機Ｃと浴湯循環機能部Ｒとは、一体の
ケースｃ中に収納されている。図１中、50はリモートコ
ントローラであり、前記ポンプ40や給湯機Ｃの発停ボタ
ン、出湯量及び温度調節ボタン、空気量調節弁60に接続
した空気量調節ボタン等を備えた操作部51と表示部52と
を設けている。53はリモートコントローラ50、各弁、各
センサ、点火プラグ等の機能部品に接続した制御基板で
ある。

【００１９】次に、噴出ノズルＮの構成について詳説す
る。即ち、噴出ノズルＮは、浴槽本体Ｂの側壁B1に設け
たノズル取付孔B2に、有底筒状のノズル本体70を配設
し、同ノズル本体70の開口部の内周面に雌ネジ71を形成
し、浴槽本体Ｂの側壁B1の内側から雌ネジ71に螺入した
フランジ付スリーブ72によってノズル取付孔B2の外側に
固定されている。73はフランジ付スリーブ72の外周面に
形成した雄ネジ、74,75はパッキン、76はスリップワッ
シャを示す。

【００２０】また、ノズル本体70の内部には、空気混合
室Ｅを形成している。即ち、図２に示すように、ノズル
本体70の他側端部を後壁77で閉塞して、略円板形状空間
を有する旋回室78を形成し、後壁77の内面中央に旋回流
の強さを調整する為に略円板状の膨出部79を形成してい
る。また、旋回室78の周壁を前方に延出するとともに、
延出部80の中途部に段部81を設けて延出部80の内径を拡
径し、同延出部80の内部に中央に噴出口82を形成した略
円板状の前壁83を嵌入している。

【００２１】かかる前壁83の前面には、導水管84の後端
を当接させて、ポンプ40で圧送された浴湯を噴出口82か
ら導水管84中に噴出するように構成している。82a は縮
流を防止する為の丸みを示す。

【００２２】また、ノズル本体70の後端上部には、流入
口104 を形成して、流入口104 を旋回室78に上方から連
通させることにより、流入口104 からの浴湯の流線を旋
回室78の軸線に対して略直交させている。かかる旋回室
78の内部に、浴湯の旋回を制限するためのバッフルプレ
ートＰを設けている。バッフルプレートＰは、図２及び
図３で示すように、旋回室78内壁の上記流入口104 に対
向する位置に、略矩形板状のバッフルプレートＰを、旋
回室78の軸線、すなわち、浴湯旋回の軸線に平行に立設
して、浴湯の軸線方向の流動に対しては無抵抗である
が、旋回流に対しては抵抗を付与するようにしている。

【００２３】また、空気混合室Ｅの導水管84は、略円筒
状で、他端部周壁に複数個の連通口85を穿設しており、
連通口85の前方に拡径部86の外周面を前記延出部80の内
周面に密着させることで、導水管84を囲繞し、かつ、導
水管84の内部に連通した空気室87を形成し、同空気室87
をノズル本体70の周壁に形成した空気吸込口106 に連通
させている。

【００２４】そして、上記延出部80の前端面に、固定ワ
ッシャ88を小ネジ89で固着することにより、前壁83と導
水管84とをノズル本体70に挟持状態で固定している。ま
た、導水管84の前端部には、略円筒状のスロートホルダ
90の後端部が外嵌しており、同スロートホルダ90の前端
部にボールソケット91を形成し、同ソケット91中に略球
状に形成したスロート92の後端部を嵌入させ、同ソケッ
ト91の内側端部に螺入したスロート固定具93により、ス
ロート92を上下及び左右首振り自在に連設している。

【００２５】また、上記ボールソケット91の前端縁に後
方向に拡開した略円錐台形状の取付台94をスロートホル
ダ90と一体に形成し、同取付台94の基端内周面に形成し
た係合凸部95を、前記フランジ付スリーブ72の外周に形
成した係合凹部96に係合させることにより、スロートホ
ルダ90をノズル本体70に固定している。

【００２６】上記スロート92には、後端から前端にかけ
て浴湯噴出孔97が貫通しており、同浴湯噴出孔97は後端
から全長の約2/3 までの間は、前方に向かってテーパー
状に縮径し、全長の約2/3 から前端までの間は、前方に
向かってテーパー状に拡径している。スロート92の前端
部には、第４図で示すように、浴湯噴出孔97と外部とを
連通させる連通孔98を複数個形成している。

【００２７】また、スロートホルダ90の取付台94の浴槽
内部側には、略円錐台形状のカバー99を覆設し、同カバ
ー99の基部に略円筒状に形成した濾網100 を張設し、取
付台94の基部に浴湯吸込口101 を形成して、フランジ付
スリーブ72の内周面とスロートホルダ90の外周面、及
び、ノズル本体70の内周面と延出部80の外周面とで吸水
通路102 を形成し、同吸水通路102 を介して浴槽本体Ｂ
の内部を、ノズル本体70の後端下部に形成した流出口10
3 に連通させている。なお、105 はＯリングである。

【００２８】かかるノズル本体70の流入口104 には、前
記浴湯循環機能部Ｒの浴湯吐出配管45を接続し、流出口
103 に浴湯吸入配管43を接続し、空気吸入口106 に前記
空気量調節弁60から延出した空気吸入管61を接続してい
る。

【００２９】本実施例では、リモートコントローラ50の
操作部51の操作によって、給湯機Ｃを作動させて、浴槽
本体Ｂにお湯張りを行う。また、浴槽本体Ｂ内に気泡混
じりの浴湯を噴出させる際には、ポンプ40を駆動させ
て、浴槽本体Ｂ中の浴湯を、カバー99の濾網100 →浴湯
吸込口101 →吸水通路102 →流出口103 →浴湯吸入配管
43の順でポンプ40に吸入され、同ポンプ40で加圧され
て、同ポンプ40→浴湯吐出配管45→流入口104 の順で旋
回室78に流入し、同旋回室78内で強力な浴湯の旋回流が
発生する。

【００３０】そして、旋回室78内の浴湯は、導水管84に
噴出し、この浴湯噴出のエジェクタ効果によって、同導
水管84内に負圧が発生し、空気量調節弁60→空気吸入管
61→空気吸入口106 →空気室87→連通口85の順で空気が
導水管84内に吸入され、スロート92から浴槽本体Ｂ内に
気泡混じりの浴湯を噴出することとなる。

【００３１】本考案は、噴出ノズルＮのスロート92に指
詰防止板Ｓを取付けたことに特徴があり、以下、本実施
例に係る指詰防止板Ｓの構成を説明する。指詰防止板Ｓ
は、スロート92の内壁に、スロート92内部へ伸延し、か
つ、先端を前記連通孔98より浴槽本体Ｂ側に位置させて
いる。また、同指詰防止板Ｓを複数個設けており、しか
も、各指詰防止板Ｓとスロート92の中心部との間に、浴
湯が通過する浴湯噴出空間97a を形成している。

【００３２】すなわち、図２及び図５に示すように、そ
れぞれが指詰防止板Ｓとして機能する４枚の板片Saをス
ロート92の内周面92a に放射状に取付け、各板片Saの先
端が少なくとも連通孔98よりも浴槽本体Ｂ側に位置する
ようにし、また、各板片Saとスロート92の中心部との間
に浴湯噴出空間97a を形成している。さらに、前記連通
孔98をスロート92の外周面92b の各板片Sa間にそれぞれ
穿設している。

【００３３】かかる構成により、噴出ノズルＮから気泡
混じりの浴湯を噴出する際にスロート92の内部に設けた
指詰防止板Ｓにより浴湯噴出孔97に指を挿入したりした
場合でも、同噴出孔97を閉塞することを防止できる。ま
た、スロート92の内側から浴湯噴出孔97と連通孔98とが
同時に塞がれることを防止でき、例えば、浴湯噴出空間
97a に物が詰まったりした場合でも、浴湯は浴槽本体Ｂ
内へ噴出できる。

【００３４】また、掌等でスロート92を完全に塞いだり
した場合でも、連通孔98を介して浴槽本体Ｂ内に浴湯が
噴出されるので浴湯の逆流を防止することができる。し
たがって、空気取入部から浴湯が流出するおそれもな
い。さらに、浴湯噴出空間97aにより、スロート92の中
心部が塞がれることがなく、旋回している気泡流の流線
に対する圧力損失を小さくすることができ、空気混合室
Ｅのエジェクタ効果が減少することなく、空気流入管61
から多量の空気を吸い込むことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る気泡発生浴槽の説明図

【図２】浴槽本体に取付けた噴出ノズルの断面図

【図３】図２のＩ−Ｉ線断面図

【図４】図２のＩＩ−ＩＩ線断面図

【図５】スロートの斜視図

【図６】従来の噴出ノズルの断面図

【符号の説明】

Ａ 気泡発生浴槽 Ｂ 浴槽本体 Ｎ 噴出ノズル Ｅ 空気混合室 70 ノズル本体 92 スロート 97 浴湯噴出孔 98 連通孔 Ｓ 指詰防止板 Sa 板片

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 服部 政弘 兵庫県神戸市東灘区魚崎浜町43番１号 日本ユプロ株式会社内 (56)参考文献 特開 平２−211154（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−211155（ＪＰ，Ａ) 実開 平２−61284（ＪＰ，Ｕ) 実開 平３−70753（ＪＰ，Ｕ) 実開 平４−83330（ＪＰ，Ｕ)

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 浴槽本体(B) の側壁(B1)に取付けた筒状
   のノズル本体(70)内に空気混合室(E) を設け、同空気混
   合室(E) の先端部に、浴湯噴出孔(97)を有するスロート
   (92)を形成し、スロート(92)周壁にスロート(92)内部と
   浴槽本体(B)内部とを連通させる連通孔(98)を設けると
   共に、スロート(92)の内壁には、スロート(92)内部へ伸
   延し、かつ、先端を前記連通孔(98)より浴槽本体(B) 側
   に位置させた指詰防止板(S) を設けたことを特徴とする
   気泡発生浴槽における噴出ノズル構造。
2. 【請求項２】 上記指詰防止板(S) を複数個設けると共
   に、各指詰防止板 (S) とスロート(92)の中心部との間
   に、浴湯が通過する浴湯噴出空間(97a) を形成したこと
   を特徴とする請求項１記載の気泡発生浴槽における噴出
   ノズル構造。