JP2548311B2 - 光磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

光磁気記録媒体及びその製造方法

Info

Publication number
JP2548311B2
JP2548311B2 JP63170567A JP17056788A JP2548311B2 JP 2548311 B2 JP2548311 B2 JP 2548311B2 JP 63170567 A JP63170567 A JP 63170567A JP 17056788 A JP17056788 A JP 17056788A JP 2548311 B2 JP2548311 B2 JP 2548311B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
recording medium
film
protective film
ratio
refractive index
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP63170567A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0221441A (ja
Inventor
仁典 前野
政信 小林
佳代子 大石
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Oki Electric Industry Co Ltd
Original Assignee
Oki Electric Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Oki Electric Industry Co Ltd filed Critical Oki Electric Industry Co Ltd
Priority to JP63170567A priority Critical patent/JP2548311B2/ja
Priority to US07/376,591 priority patent/US4950547A/en
Priority to US07/466,947 priority patent/US5009762A/en
Publication of JPH0221441A publication Critical patent/JPH0221441A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2548311B2 publication Critical patent/JP2548311B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は光磁気記録媒体に関するものであり、特
に、カー(Kerr)効果エンハンスメント(Enhancemen
t)と保護特性とに優れた保護膜を具えた光磁気記録媒
体に関する。
(従来の技術) 光磁気記録媒体(以下、単に記録媒体と称する場合も
有る。)は、書換えのできる磁性膜を具えた高密度記録
媒体として、研究開発が活発に行なわれている。
このような記録媒体の磁性膜を構成する光磁気記録材
料の内でも、希土類金属と遷移金属との非晶質合金(以
下、単にRE−TM合金と称する場合も有る。)は、磁化方
向が成膜面に対して垂直に配向した垂直磁化膜となるこ
と、保磁力が数(KOe)と大きいこと、スパッタ、真空
蒸着またはその他の被着技術で比較的容易に成膜が可能
であること等の点で、最も研究が進み、実用化が進んで
いる。
しかしながら、RE−TM合金から成る磁性膜は耐食性が
低く(例えば文献I:「光磁気ディスク」(今村修武監
修,(株)トリケプス発行,第427頁)参照)、しか
も、磁気光学的な効果(カー(Kerr)効果)が小さいと
いう欠点が有る。
そこで、種々の材料から成る保護膜でRE−TM合金から
成る磁性膜を挟み、当該磁性膜の腐食を防ぐと共に、光
の多重反射を利用して見掛け上のカー(Kerr)回転角を
大きくする構造が知られている(前記文献I:第119
頁)。
以下、図面を参照して、上述した従来の光磁気記録媒
体につき説明する。
第5図は、保護膜を具えた記録媒体の一構成例を説明
するため、概略的な断面により示す説明図である。図
中、断面を示すハッチングは一部省略する。
この第5図からも理解できるように、基板11の表面に
保護膜13a、磁性膜15及び保護膜13bを順次形成すること
によって記録媒体17が構成される。
このうち、基板11は例えばポリカーボネート樹脂、ガ
ラス、エポキシ樹脂またはその他任意好適な材料から成
り円板形状を有する。
また、保護膜13aと13bとは、例えばSiO、SiO2、AlN、
Si3N4、AlSiN、AlSiONまたはその他の保護膜材料を被着
させて形成する。既に述べたように、この保護膜の被着
は例えばスパッタ法、真空蒸着法またはその他の、保護
膜を構成する材料に応じた被着技術によって行なわれ
る。
さらに、磁性膜15は前述したRE−TM合金から構成さ
れ、このような合金として例えばTb−Fe合金、Tb−Co合
金、Tb−Fe−Co合金またはその他、希土類金属と遷移金
属との組み合わせが、種々、知られている。
このような構造の記録媒体17において、当該媒体17の
読取り側に配設された保護膜13aはC/N比(Carrier/Nois
e Ratio:搬送波対雑音比)に影響を及ぼす要因であるた
め、次のような条件を満たすことが必要とされている。
見掛け上のカー回転角を高めるために屈折率の高い材
料であること 書込みや読取りに使用される光の波長(通常、750〜9
00(nm)程度)において透光性を有する材料であること 媒体を使用する環境で、例えば水分等から磁性膜を保
護し得る耐食性材料であること また、保護膜13bは、少なくとも上述のとして示す
耐食性を満たす材料であれば、カー効果エンハンスメン
トをもたらす条件を欠く他の材料で構成しても良い。
このような記録媒体17は、1(μm)程度のスポット
径に絞ったレーザビーム及び外部磁界を用いた熱磁気書
込み方式によって情報の書込みが行なわれ、前述した垂
直磁化膜であることから108(ビット/cm2)という極め
て高密度な記録が可能である。また、原理的には、消去
と再書込みとの繰り返しを無限回に近く行なうことがで
きるという優れた特色を有する。
(発明が解決しようとする課題) 上述した従来技術の説明からも理解できるように、光
磁気記録媒体における保護膜の屈折率と透光性とは、情
報の書込み特性や読取り特性に大きく影響する。このう
ち屈折率について考えれば、例えばアルミ系の保護膜材
料(例えば前述したAlN、AlSiN、AlSiON)は屈折率nが
2程度であり、周知の材料中で比較的高い値を示す材料
として知られている。しかしながら、現在では、種々の
情報機器の発達に伴なって記録密度の向上が要求されて
おり、従来公知の保護膜材料が有する屈折率ではカー効
果エンハンスメントが不充分であるという問題が有る。
また、前述したように、磁性膜の読取り側に形成され
る保護膜は、情報の書込みや読取りに使用される波長で
の吸光係数kが小さいものであることが要求される。こ
の吸光係数kは、上述した屈折率nを含む複素屈折率n
−ki(iは虚数単位)として知ることができる、実際
に、従来周知の保護膜材料の吸光係数kは、10-1程度の
値を有するが、さらに低い値とすることが望まれる。
しかしながら、屈折率nと吸光係数kとに関する要求
を満たし、かつ耐食性にも優れた保護膜材料が得られて
いないという問題点が有った。
この発明の目的は、上述した従来の問題点に鑑み、上
述した種々の要求を満たす保護膜を具えた信頼性の高い
光磁気記録媒体と、当該媒体の製造に好適な方法とを提
供することに有る。
(課題を解決するための手段) この目的の達成を図るため、この出願の第一発明に係
る光磁気記録媒体によれば、基板上に、少なくとも、保
護膜と磁性膜とを具えて成る光磁気記録媒体において、 上述した保護膜が、下記の化学式(1)で示される、
酸化ストロンチウムを含有するチタン酸塩および下記の
化学式(2)で示される、酸化バリウムを含有するチタ
ン酸塩のうちから選ばれたいずれか一方の物質または双
方の混晶から成ることを特徴とする。
SrTiOX ・・・(1) BaTiOX ・・・(2) (但し、Xは、2.7≦X≦3.0の値を表す。) また、この出願の第二発明に係る光磁気記録媒体の製
造方法によれば、基板上に、少なくとも、保護膜と磁性
膜とを具えて成る光磁気記録媒体を製造するに当り、 上述した保護膜を、チタン酸ストロンチウム(SrTi
O3)及びチタン酸バリウム(BaTiO3)のうちから選ばれ
たいずれか一方または双方から成る成膜用ターゲット
と、チタン(Ti)または酸化チタン(TiOY)(但し、Y
は正数を表わす。)から成る組成調整用ターゲットとを
同時にスパッタして被着形成する ことを特徴としている。
さらに、この出願の第三発明に係る光磁気記録媒体の
製造方法によれば、基板上に、少なくとも、保護膜と磁
性膜とを具えて成る光磁気記録媒体を製造するに当り、 上述した保護膜を、チタン酸ストロンチウム(SrTi
O3)及びチタン酸バリウム(BaTiO3)のうちから選ばれ
たいずれか一方または双方から成る成膜用ターゲットを
不活性ガスと酸素との混合雰囲気中でスパッタして被着
形成する ことを特徴としている。
また、この出願の第四発明に係る光磁気記録媒体の製
造方法によれば、基板上に、少なくとも、保護膜と磁性
膜とを具えて成る光磁気記録媒体を製造するに当り、 上述した保護膜を、チタン酸ストロンチウム(SrTi
O3)及びチタン酸バリウム(BaTiO3)のうちから選ばれ
たいずれか一方または双方から成る成膜用ターゲット
と、チタン(Ti)または酸化チタン(TiOY)(但し、Y
は正数を表わす。)から成る組成調整用ターゲットと
を、不活性化ガスと酸素との混合雰囲気中で同時にスパ
ッタして被着形成する ことを特徴としている。
尚、上述した第二発明、第三発明及び第四発明に係る
方法において、チタン酸ストロンチウムとチタン酸バリ
ウムとの双方から成る成膜用ターゲットとは、これら2
つの物質が混晶として構成される成膜用ターゲットを用
いる場合と、各々の物質から成る合計2種類の成膜用タ
ーゲットを同時に用いる場合とを包括的に表わしてい
る。
(作用) この出願の第一発明に係る光磁気記録媒体によれば、
上述した保護膜材料で光磁気記録媒体の保護膜を構成す
ることにより、屈折率nが2.2以上、吸光係数kが0.03
以下となり、さらに従来の材料に比して耐食性の劣化を
きたすことがない。
また、この出願の第二発明に係る光磁気記録媒体の製
造方法によれば、前述したように、成膜用ターゲットと
組成調整用ターゲットとを同時にスパッタして保護膜を
形成することにより高い屈折率と低い吸光係数とを実現
することができ、さらに耐食性の劣化を回避することが
できる。これら特性のうち、特に、上述した吸光係数k
については、組成調整用ターゲットにおける酸素の占め
る割合を大きくすることによって、当該係数kを0とす
ることもでき、実質的に透明な保護膜を実現することが
できる。
この製造方法の作用については、明らかではないが、
組成調整用ターゲットとして前述した構成のものを用い
ることにより、成膜用ターゲットを構成する物質と、保
護膜として被着された物質との間の化学量論的な組成の
ずれが補償されると考えられる。
さらに、この出願の第三発明に係る光磁気記録媒体の
製造方法によれば、前述したように、成膜用ターゲット
のみを、例えばアルゴンのような不活性ガスと酸素との
混合雰囲気中でスパッタして保護膜形成することにより
高い屈折率と低い吸光係数とを実現することができ、さ
らに耐食性の劣化を回避することができる。これら特性
のうち、特に、上述した吸光係数kについては、混合雰
囲気中において酸素の占める割合を大きくすることによ
って、当該係数kを0とすることもでき、実質的に透明
な保護膜を実現することができる。
また、この出願の第四発明に係る光磁気記録媒体の製
造方法によれば、前述したように、成膜用ターゲットと
組成調整用ターゲットとを同時に、かつ例えばアルゴン
のような不活性ガスと酸素との混合雰囲気中でスパッタ
して保護膜形成することにより高い屈折率と低い吸光係
数とを実現することができ、さらに耐食性の劣化を回避
することができる。この第四発明に係る方法によれば、
上述した第二発明及び第三発明と同様に、組成調整用タ
ーゲットにおいて酸素の占める割合や混合雰囲気中にお
いて酸素の占める割合を大きくすることによって、吸光
係数kを0とすることができ、実質的に透明な保護膜を
実現することができる。
(実施例) 以下、図面を参照して、この出願に係る本発明の実施
例につき説明する。尚、以下に説明する実施例は、この
発明の範囲の好ましい数値例、その他の条件で説明する
が、これらは単なる例示であって、この発明はこれら特
定の条件にのみ限定されるものではないことを理解され
たい。また、この実施例では、記録媒体の構造の一例と
して前述した第5図に示す構造を有する比較例及び実施
例1〜18の、合計19種類の記録媒体を作製して種々の特
性を測定し、比較検討した。これら試料についての説明
の理解を容易とするため、各々の試料に係る記録媒体の
材料構成、被着条件及び特性評価の結果を第69頁に別表
として記載する。
比較例 <製造条件の説明> まず、この比較例に係る記録媒体では、従来周知のス
パッタ技術によって、ポリカーボネート樹脂から成る基
板11の表面に一酸化ケイ素(SiO)から成る保護膜13aを
約800(Å)の膜厚で被着形成する。この時の成膜条件
は、SiOのみから成る直径126(mm)の成膜用ターゲット
を用い、投入電力が500(W)、アルゴンのガス圧が3
(mTorr)として行なった。
次に、テルビウム:鉄:コバルトの組成比が22:70:8
(原子数の比)である磁性膜用のターゲットを用意し、
上述と同様なスパッタ条件により、保護膜13aの表面
に、約800(Å)の膜厚を以って磁性膜15を被着形成す
る。
続いて、前述した保護膜13aと同一の条件によって、
上述した磁性膜15の表面に約1000(Å)の膜厚で保護膜
13bを被着形成し、比較例に係る記録媒体を得た。
<C/N比の測定手順と測定結果の説明> このC/N比の測定に当っては、上述した手順により、
ポリカーボネート樹脂基板上に作製された比較例に係る
記録媒体を試料とし、書込みに用いた光の波長830(n
m)、回転数900(r.p.m.)、デューティー50(%)、記
録周波数1.85(MHz)、記録パワー7(mW)で記録し、
その後、読出しパワー1.6(mW)、バンド幅30(KHz)で
C/N比の測定を行なった。
その結果、比較例に係る記録媒体のC/N比は44.0(d
B)であった。
<耐食性試験の手順と測定結果の説明> 耐食性試験では、比較例に係る記録媒体に対して予め
情報を書込み、この記録媒体を60(℃)の温度で相対湿
度を80(%)とした条件(以下、単に耐食性試験条件と
称する。)で200時間に亙って保持する。然る後、予め
書込まれた情報が耐食性試験の後に損傷する割合(エラ
ーレート)を測定した結果と、上述したC/N比の測定結
果とにより、耐食性を評価した。
その結果、エラーレートは約10-4程度であり、C/N比
は耐食性試験前の値と同じ44.0(dB)であった。
<複素屈折率の測定手順と結果> この測定では、前述した保護膜と同じ被着条件によっ
てシリコンウエハの表面に2000(Å)の膜厚でSiOを被
着させた試料を別途作製し、エリプソメーターを用いて
633(nm)の波長における複素屈折率n−kiを測定し
た。
その結果、複素屈折率は1.90−0.10iであった。
次に、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)を成膜用タ
ーゲットとして用いた場合の実施例1〜4に係る記録媒
体につき説明する。
実施例1 <製造条件の説明> この実施例1に係る記録媒体では、従来周知のスパッ
タ技術によって、ポリカーボネート樹脂から成る基板11
の表面に、保護膜13aを約800(Å)の膜厚で被着形成す
る。この時の成膜条件は、SiTiO3のみから成る直径126
(mm)の成膜用ターゲットを用い、投入電力が500
(W)、アルゴンのガス圧が3(mTorr)として行なっ
た。
次に、前述した組成を有する磁性膜用のターゲットを
用い、上述と同様なスパッタ条件によって、保護膜13a
の表面に約800(Å)の膜厚を以って磁性膜15を被着形
成する。
続いて、前述した保護膜13aと同一の成膜条件によっ
て、上述した磁性膜15の表面に約1000(Å)の膜厚で保
護膜13bを被着形成し、実施例1に係る記録媒体を得
た。
<C/N比の測定手順と測定結果の説明> この実施例1に係る記録媒体のC/N比測定に当って
も、前述した比較例と同一の手順により、ポリカーボネ
ート樹脂基板上に作製された実施例1に係る記録媒体を
試料とし、書込みに用いた光の波長830(nm)、回転数9
00(r.p.m.)、デューティー50(%)、記録周波数1.85
(MHz)、記録パワー7(mW)で記録し、その後、読出
しパワー1.6(mW)、バンド幅30(KHz)でC/N比の測定
を行なった。
その結果、実施例1に係る記録媒体のC/N比は47.5(d
B)であった。
<耐食性試験の手順と測定結果の説明> 耐食性試験では、実施例1に係る記録媒体に対して予
め情報を書込み、この記録媒体を60(℃)の温度で相対
湿度を80(%)とした比較例と同一の耐食性試験条件下
で200時間に亙って保持する。然る後、前述した情報の
損傷割合(エラーレート)の測定と、上述したC/N比の
測定とにより、耐食性を評価した。
その結果、エラーレートは約10-5程度であり、C/Nは
耐食性試験前の値と同じ47.5(dB)であった。
<複素屈折率の測定手順と結果> この測定では、上述と同じ被着条件によって、シリコ
ンウエハの表面に、保護膜を200(Å)の膜厚で被着さ
せた試料を別途作製し、エリプソメーターを用いて633
(nm)の波長における複素屈折率n−kiを測定した。
その結果、複素屈折率は2.22−0.02iであった。
実施例2 <製造条件の説明> この実施例2に係る記録媒体では、第二発明に係る方
法を適用して保護膜13aと13bとを被着形成し、磁性膜15
の被着は既に述べたのと同一の材料、膜厚及び被着条件
で試料作製を行なった。この保護膜の被着条件につき詳
述すれば、まず、チタン(Ti)から成る直径126(mm)
の組成調整用ターゲットと、チタン酸ストロンチウム
(SrTiO3)から成る直径25(mm)の成膜用ターゲットと
を用意する。然る後、上述した組成調整用ターゲットの
表面に成膜用ターゲットを6枚載置する。このように、
被スパッタ面において、組成調整用ターゲットの表面が
成膜用ターゲットにより覆われた状態で、これら2種類
のターゲットを同時にスパッタし、ポリカーボネート樹
脂から成る基板11の表面に、保護膜13aを約800(Å)の
膜厚で被着形成した。この時の成膜条件は、前述と同様
に、投入電力が500(W)、アルゴンのガス圧が3(mTo
rr)として行なった。
上述した説明からも理解できるように、この実施例2
では、SrTiO3から成る成膜用ターゲットが被スパッタ面
に占める面積の割合を約95(%)とし、Tiから成る組成
調整用ターゲットが被スパッタ面に占める面積の割合を
約5(%)として保護膜の被着形成を行なった。
<C/N比の測定手順と測定結果の説明> この実施例2に係る記録媒体に関しても、比較例及び
実施例1と同一の条件でC/N比の測定を行なった。その
結果、実施例2に係る記録媒体のC/Nは46.8(dB)であ
った。
<耐食性試験の手順と測定結果の説明> 耐食性試験も比較例及び実施例1と同一の耐食性試験
条件下で200時間に亙って保持した後に行ない、前述し
た情報の損傷割合(エラーレート)の測定と、上述した
C/N比の測定とにより、耐食性を評価した。
その結果、エラーレートは約10-5程度であり、C/N比
は耐食性試験前の値と同じ46.8(dB)であった。
<複素屈折率の測定手順と結果> この実施例2に係る記録媒体の複素屈折率測定におい
ても、シリコンウエハの表面に、上述と同じ被着条件に
よって2000(Å)の膜厚で保護膜を被着させた試料を別
途作製し、比較例及び実施例1と同様にエリプソメータ
ーを用いて633(nm)の波長における複素屈折率n−ki
を測定した。
その結果、複素屈折率は2.23−0.03iであった。
実施例3 <製造条件の説明> この実施例3に係る記録媒体では、組成調整用ターゲ
ットに一酸化チタン(TiO)を用い、第二発明に係る方
法を適用して保護膜13aと13bとを被着形成し、磁性膜15
の被着は既に述べたのと同一の材料、膜厚及び被着条件
で試料作製を行なった。
この保護膜の被着条件につき詳述すれば、一酸化チタ
ン(TiO)から成る直径126(mm)の組成調整用ターゲッ
トと、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)から成る直径
25(mm)の成膜用ターゲットとを用意する。然る後、実
施例2と同様に、被スパッタ面において、組成調整用タ
ーゲットの表面が6枚の成膜用ターゲットにより覆われ
た状態で、これら2種類のターゲットを同時にスパッタ
し、ポリカーボネート樹脂から成る基板11の表面に、保
護膜13aを約800(Å)の膜厚で被着形成した。この時の
成膜条件は、前述と同一の投入電力及びアルゴンガス圧
として行なった。
上述した説明からも理解できるように、この実施例3
では、SrTiO3から成る成膜用ターゲットが被スパッタ面
に占める面積の割合を約95(%)とし、TiOから成る組
成調整用ターゲットが上述した面において占める割合を
約5(%)として保護膜の被着形成を行なった。
<C/N比の測定手順と測定結果の説明> この実施例3に係る記録媒体に関しても、比較例、実
施例1及び実施例2と同一の条件でC/N比の測定を行な
った結果、実施例3に係る記録媒体のC/N比は47.5(d
B)であった。
<耐食性試験の手順と測定結果の説明> 前述した比較例、実施例1及び実施例2と同一の耐食
性試験条件で200時間保持した後に、実施例3に係る記
録媒体のエラーレートの測定と、C/N比の測定とを行な
った結果、エラーレートは約10-5程度であり、C/N比は
耐食性試験前の値と同じ47.5(dB)であった。
<複素屈折率の測定手順と結果> この実施例3に係る記録媒体の複素屈折率測定におい
ても、シリコンウエハの表面に、上述と同じ被着条件
で、2000(Å)の保護膜を被着させた試料を別途作製
し、比較例、実施例1及び実施例2と同様に測定した結
果、複素屈折率は2.22−0.02iであった。
実施例4 <製造条件の説明> この実施例4に係る記録媒体では、組成調整用ターゲ
ットに二酸化チタン(TiO2)を用い、第二発明に係る方
法を適用して保護膜13aと13bとを被着形成し、磁性膜15
の被着は既に述べたのと同一の材料、膜厚及び被着条件
で試料作製を行なった。
この保護膜形成においては、二酸化チタン(TiO2)を
組成調整用ターゲットとして用いたことを除き、実施例
2及び実施例3と同一の投入電力及びアルゴンガス圧と
して行なった。
上述した説明からも理解できるように、この実施例4
では、SrTiO3から成る成膜用ターゲットが被スパッタ面
に占める面積の割合を約95(%)とし、TiO2から成る組
成調整用ターゲットが上述した面において占める割合を
約5(%)として保護膜の被着形成を行なった。
<C/N比の測定手順と測定結果の説明> この実施例4に係る記録媒体に関しても、比較例、実
施例1〜3と同一の条件でC/N比の測定を行なった結
果、実施例4に係る記録媒体のC/N比は47.0(dB)であ
った。
<耐食性試験の手順と測定結果の説明> 前述した比較例、実施例1〜3と同一の耐食性試験条
件で200時間保持した後に、実施例4に係る記録媒体の
エラーレートの測定と、C/N比の測定とを行なった結
果、エラーレートは約10-5程度であり、C/N比は耐食性
試験前の値と同じ47.0(dB)であった。
<複素屈折率の測定手順と結果> この実施例2に係る記録媒体の複素屈折率測定におい
ても、シリコンウエハの表面に、上述と同じ被着条件
で、2000(Å)の保護膜を被着させた試料を別途作製
し、比較例、実施例1〜3と同様に測定した結果、複素
屈折率は2.21であった。この説明からも理解できるよう
に、実施例4に係る記録媒体の吸光係数kが0となり、
実質的に透明な保護膜を形成することができた。
続いて、チタン酸バリウム(BaTiO3)を成膜用ターゲ
ットとして用いた場合の実施例5〜8に係る記録媒体に
つき説明する。
実施例5 <製造条件の説明> この実施例5に係る記録媒体では、チタン酸バリウム
(BaTiO3)から成る直径126(mm)の成膜用ターゲット
を用いたこと以外は、実施例2と同一の積層関係及び成
膜条件で記録媒体を作製し、実施例5に係る記録媒体を
得た。
<C/N比の測定手順と測定結果の説明> この実施例5に係る記録媒体のC/N比測定に当って
も、前述した比較例及び実施例1〜4に係る記録媒体と
同一の手順により測定を行なった結果、実施例5に係る
記録媒体のC/N比は48.0(dB)であった。
<耐食性試験の手順と測定結果の説明> この実施例5に係る記録媒体に関して、比較例及び実
施例1〜4に係る記録媒体と同一の耐食性試験条件下で
200時間に亙って保持した後、前述したエラーレートの
測定と、上述したC/N比の測定とにより、耐食性を評価
した。
その結果、エラーレートは約10-5程度であり、C/N比
は耐食性試験前の値と同じ48.0(dB)であった。
<複素屈折率の測定手順と結果> 上述と同じ被着条件によって、シリコンウエハの表面
に、保護膜を2000(Å)の膜厚で被着させた実施例5に
係る試料を別途作製し、エリプソメーターを用いて複素
屈折率n−kiを測定した結果、複素屈折率は2.25−0.02
iであった。
実施例6 <製造条件の説明> この実施例6では、チタン酸バリウム(BaTiO3)から
成る直径25(mm)の成膜用ターゲットを用いたことを除
き、第二発明を利用した実施例2と同一の積層関係及び
成膜条件で記録媒体を作製した。
即ち、チタン(Ti)から成る直径126(mm)の組成調
整用ターゲットの表面に上述した成膜用ターゲットを6
枚載置した状態で、これら2種類のターゲットを同時に
スパッタして、保護膜13aを及び13bを被着形成した。こ
の時の成膜条件は、前述と同一の投入電力及びアルゴン
ガス圧とした。
上述した説明からも理解できるように、この実施例6
では、BaTiO3から成る成膜用ターゲットが被スパッタ面
に占める面積の割合を約95(%)とし、Tiから成る組成
調整用ターゲットが被スパッタ面において占める割合を
約5(%)として保護膜の被着形成を行なった。
<C/N比の測定手順と測定結果の説明> この実施例6に係る記録媒体に関しても、比較例及び
実施例1〜5と同一の条件でC/N比の測定を行なった結
果、実施例6に係る記録媒体のC/N比は47.0(dB)であ
った。
<耐食性試験の手順と測定結果の説明> この実施例6に係る記録媒体に関して、比較例及び実
施例1〜5に係る記録媒体と同一の耐食性試験条件下で
200時間に亙って保持した後、前述したエラーレートの
測定と、上述したC/N比の測定とにより、耐食性を評価
した。
その結果、エラーレートは約10-5程度であり、C/N比
は耐食性試験前の値と同じ47.0(dB)であった。
<複素屈折率の測定手順と結果> 上述と同じ被着条件によって、シリコンウエハの表面
に、保護膜を2000(Å)の膜厚で被着させた試料を別途
作製し、比較例及び実施例1〜5と同様に測定した結
果、複素屈折率は2.27−0.02iであった。
実施例7 <製造条件の説明> この実施例7では、チタン酸バリウム(BaTiO3)から
成る直径25(mm)の成膜用ターゲットを用いたことを除
き、第二発明に係る方法を利用して実施例3と同一の積
層関係及び成膜条件で記録媒体を作製した。即ち、一酸
化チタン(TiO)から成る直径126(mm)の組成調整用タ
ーゲットの表面に上述した成膜用ターゲットを6枚載置
した状態で、これら2種類のターゲットを同時にスパッ
タして、保護膜13a及び13bを被着形成した。この時の成
膜条件は、前述と同一の投入電力及びアルゴンガス圧と
した。
上述の説明からも理解できるように、この実施例7で
は、BaTiO3から成る成膜用ターゲットが被スパッタ面に
占める面積の割合を約95(%)とし、TiOから成る組成
調整用ターゲットが被スパッタ面に占める面積の割合を
約5(%)として保護膜の被着形成を行なった。
<C/N比の測定手順と測定結果の説明> この実施例7に係る記録媒体に関しても、比較例及び
実施例1〜6と同一の条件でC/N比の測定を行なった結
果、実施例7に係る記録媒体のC/N比は48.0(dB)であ
った。
<耐食性試験の手順と測定結果の説明> この実施例7に係る記録媒体に関して、比較例及び実
施例1〜6に係る記録媒体と同一の耐食性試験条件下で
200時間に亙って保持した後、前述したエラーレートの
測定と、上述したC/N比の測定とにより、耐食性を評価
した。
その結果、エラーレートは約10-5程度であり、C/N比
は耐食性試験前の値と同じ48.0(dB)であった。
<複素屈折率の測定手順と結果> 上述と同じ被着条件によって、シリコンウエハの表面
に、保護膜を2000(Å)の膜厚で被着させた試料を別途
作製し、エリプソメーターを用いて633(nm)の波長に
おける複素屈折率n−kiを測定した結果、複素屈折率は
2.25−0.02iであった。
実施例8 <製造条件の説明> この実施例8では、チタン酸バリウム(BaTiO3)から
成る直径25(mm)の成膜用ターゲットを用いて保護膜13
a及び13bを形成したことを除き、実施例4と同一の条件
で記録媒体を作製した。即ち、二酸化チタン(TiO2)か
ら成る直径126(mm)の組成調整用ターゲットの表面に
上述した成膜用ターゲットを6枚載置した状態で、これ
ら2種類のターゲットを同時にスパッタし保護膜13a及
び13bを被着形成した。この時の成膜条件は、前述と同
一の投入電力及びアルゴンガス圧とした。
上述の説明からも理解できるように、この実施例8で
は、BaTiO3から成る成膜用ターゲットが被スパッタ面に
占める面積の割合を約95(%)とし、TiO2から成る組成
調整用ターゲットが被スパッタ面に占める面積の割合を
約5(%)として保護膜の被着形成を行なった。
<C/N比の測定手順と測定結果の説明> この実施例8に係る記録媒体に関して、比較例及び実
施例1〜7と同一の条件でC/N比の測定を行なった結
果、実施例8に係る記録媒体のC/N比は47.5(dB)であ
った。
<耐食性試験の手順と測定結果の説明> 前述した比較例、実施例1〜7と同一の耐食性試験条
件で200時間保持した後、実施例8に係る記録媒体のエ
ラーレートの測定と、C/N比の測定とを行なった結果、
エラーレートは約10-5程度であり、C/N比は耐食性試験
前の値と同じ47.5(dB)であった。
<複素屈折率の測定手順と結果> この実施例8に係る記録媒体の複素屈折率測定におい
ても、シリコンウエハの表面に、上述と同じ被着条件及
び膜厚2000(Å)で保護膜を被着させた試料を別途作製
し、比較例及び実施例1〜7と同様に測定した結果、複
素屈折率は2.21であった。この説明からも理解できるよ
うに、前述した実施例4に係る記録媒体と同様に吸光係
数kが0となり、実質的に透明な保護膜を実現すること
ができた。
次に、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)とチタン酸
バリウム(BaTiO3)との双方を成膜用ターゲットとして
保護膜を形成した場合の実施例9〜実施例12につき説明
する。
実施例9 <製造条件の説明> この実施例9では、チタン酸ストロンチウム(SiTi
O3)とチタン酸バリウム(BaTiO3)と(組成比1:1)の
混晶から成る直径126(mm)の成膜用ターゲットを用い
て保護膜13a及び13bを形成したことを除き、従来周知の
スパッタ技術を利用した実施例1及び実施5と同様な積
層関係及び成膜条件で記録媒体を作製した。この時の成
膜条件は、前述と同一の投入電力及びアルゴンガス圧と
した。
<C/N比の測定手順と測定結果の説明> この実施例9に係る記録媒体に関して、比較例及び実
施例1〜8と同一の条件でC/N比の測定を行なった結
果、記録媒体C/N比は48.0(dB)であった。
尚、この実施例9に係る光磁気記録媒体では、耐食性
試験を行なわなかった。
<複素屈折率の測定手順と結果> この実施例9に係る記録媒体の複素屈折率測定におい
ても、シリコンウエハの表面に、上述と同じ被着条件及
び膜厚2000(Å)で保護膜を被着させた試料を別途作製
し、比較例及び実施例1〜8と同様に測定した結果、複
素屈折率は2.24−0.02iであった。
実施例10 <製造条件の説明> この実施例10では、チタン酸ストロンチウム(SrTi
O3)から成る直径25(mm)の成膜用ターゲットとチタン
酸バリウム(BaTiO3)から成る直径25(mm)の成膜用タ
ーゲットとを用いて保護膜13a及び13bを形成したことを
除き、第二発明を利用した実施例3及び実施例7と同様
な積層関係及び成膜条件で記録媒体を作製した。即ち、
チタン(Ti)から成る直径126(mm)の組成調整用ター
ゲットの表面に、上述したSiTiO3から成る成膜用ターゲ
ットとBaTiO3から成る成膜用ターゲットとを、夫々3枚
ずつ、合計6枚載置した状態で、これら3種類のターゲ
ットを同時にスパッタし、保護膜13a及び13bを被着形成
した。この時の成膜条件は、前述と同一の投入電力及び
アルゴンガス圧とした。
上述の説明からも理解できるように、この実施例10で
は、SrTiO3とBaTiO3との夫々から成る成膜用ターゲット
が被スパッタ面に占める面積の割合の合計を約95(%)
とし、Tiから成る組成調整用ターゲットが被スパッタ面
に占める面積の割合を約5(%)として保護膜の被着形
成を行なった。
<C/N比の測定手順と測定結果の説明> この実施例10に係る記録媒体に関して、比較例及び実
施例1〜9と同一の条件でC/N比の測定を行なった結
果、記録媒体のC/N比は47.0(dB)であった。
尚、この実施例10に係る光磁気記録媒体では、上述し
た実施例9と同様に、耐食性試験を行なわなかった。
<複素屈折率の測定手順と結果> この実施例10に係る記録媒体の複素屈折率測定におい
ても、シリコンウエハの表面に、上述と同じ被着条件及
び膜厚2000(Å)で保護膜を被着させた試料を別途作製
し、比較例及び実施例1〜9と同様に測定した結果、複
素屈折率は2.26−0.03iであった。
実施例11 <製造条件の説明> この実施例11では、一酸化チタン(TiO)から成る組
成調整用ターゲットを用いたこと以外は、上述の実施例
10と同一の積層関係及び成膜条件とし、第二発明に係る
方法を利用して記録媒体を作製した。即ち、一酸化チタ
ン(TiO)から成る直径126(mm)の組成調整用ターゲッ
トの表面に、SrTiO3から成る成膜用ターゲットとBaTiO3
から成る成膜用ターゲットとを、夫々3枚ずつ、合計6
枚載置した状態で、これら3種類のターゲットを同時に
スパッタし、保護膜13a及び13bを被着形成した。この時
の成膜条件は、前述と同一の投入電力及びアルゴンガス
圧とした。
上述の説明からも理解できるように、この実施例11で
はSiTiO3とBaTiO3との夫々から成る成膜用ターゲットが
被スパッタ面に占める面積の割合の合計を約95(%)と
し、TiOから成る組成調整用ターゲットが被スパッタ面
に占める面積の割合を約(5%)として保護膜の被着形
成を行なった。
<C/N比の測定手順と測定結果の説明> この実施例11に係る記録媒体に関して、比較例及び実
施例1〜10と同一の条件でC/N比の測定を行なった結
果、記録媒体のC/N比は48.0(dB)であった。
<耐食性試験の手順と測定結果の説明> この実施例11では、前述した耐食性試験条件下で1000
時間に亙って保持した後、記録媒体のエラーレートの測
定と、C/N比の測定とを行なった結果、エラーレートは
約10-5程度であり、C/N比は耐食性試験前の値と同じ48.
0(dB)であった。
<複素屈折率の測定手順と結果> この実施例11に係る記録媒体の複素屈折率測定におい
ても、シリコンウエハの表面に、上述と同じ被着条件及
び膜厚2000(Å)で保護膜を被着させた試料を別途作製
し、比較例及び実施例1〜10と同様に測定した結果、複
素屈折率は2.24−0.02iであった。
実施例12 <製造条件の説明> この実施例12では、二酸化チタン(TiO2)から成る組
成調整用ターゲットを用いたこと以外は、上述の実施例
11と同一の積層関係及び成膜条件とし、第二発明に係る
方法を利用して記録媒体を作製した。即ち、二酸化チタ
ン(TiO2)から成る直径126(mm)の組成調整用ターゲ
ットの表面に、SrTiO3から成る成膜用ターゲットとBaTi
O3から成る成膜用ターゲットとを、夫々3枚ずつ、合計
6枚載置した状態で、これら3種類のターゲットを同時
にスパッタし、保護膜13a及び13bを形成した。この時の
成膜条件は、前述と同一の投入電力及びアルゴンガス圧
とした。
上述の説明からも理解できるように、この実施例12で
は、SiTiO3とBaTiO3との夫々から成る成膜用ターゲット
が被スパッタ面に占める面積の割合の合計を約95(%)
とし、TiO2から成る組成調整用ターゲットが被スパッタ
面に占める面積の割合を約5(%)として保護膜の被着
形成を行なった。
<C/N比の測定手順と測定結果の説明> この実施例12に係る記録媒体に関して、比較例及び実
施例1〜11と同一の条件でC/N比の測定を行なった結
果、記録媒体のC/N比は48.2(dB)であった。
<耐食性試験の手順と測定結果の説明> この実施例12では、実施例11と同様に、前述した耐食
性試験条件下で1000時間に亙って保持した後、記録媒体
のエラーレートの測定と、C/N比の測定とを行なった結
果、エラーレートは約10-5程度であり、C/N比は耐食性
試験前の値と同じ48.2(dB)であった。
<複素屈折率の測定手順と結果> この実施例12に係る記録媒体の複素屈折率測定におい
ても、シリコンウエハの表面に、上述と同じ被着条件及
び膜厚2000(Å)で保護膜を被着させた材料を別途作製
し、比較例及び実施例1〜11と同様に測定した結果、複
素屈折率は2.22であった。この説明からも理解できるよ
うに、前述した実施例4及び実施例8に係る記録媒体と
同様に吸光係数kが0となり、実質的に透明な保護膜を
実現することができた。
以下、上述した比較例の特性及び実施例1〜12の特性
につき、別表を参照して詳細に検討する。
まず、C/N比につき比較すれば、この別表及び前述し
た説明からも理解できるように、比較例に係る記録媒体
が44.0(dB)であるのに対して、実施例1〜12に係るい
ずれの記録媒体であってもC/N比の特性向上が認められ
る。一例として、これら実施例中でC/N比の向上が最も
低い実施例2では46.8(dB)が得られ、2.8(dB)向上
した。また、実施例12に係る記録媒体では、当該特性値
の向上が最も著しく、比較例に比して4.2(dB)高い48.
2(dB)のC/N比が得られた。
さらに、耐食性試験の結果からも理解できるように、
比較例及び実施例1〜実施例8、実施例11及び実施例12
に係る記録媒体では、200時間に亙る耐食性試験の後のC
/N比の低下は認められず、特に、実施例11に係る記録媒
体と実施例12に係る記録媒体とは、同じ耐食性試験条件
を1000時間に亙って保持した後であってもC/N比の低下
は認められなかった。
一方、既に述べたように、エラーレートの測定から
は、200時間に亙って前述した耐食性試験条件に保持し
た、比較例に係る記録媒体は約10-4であった。これに対
して、実施例1〜実施例8、実施例11及び実施例12に係
る記録媒体では、比較例と同じ条件下、約10-5程度の値
が得られ、この発明に係る保護膜の材料構成によって記
録媒体の安定性が向上したことが理解できる。さらに、
実施例11に係る記録媒体と実施例12に係る記録媒体で
は、上述と同じ耐食性試験条件を1000時間に亙って保持
した後であっても約10-5のエラーレートが得られ、SrTi
O3とBaTiO3との双方を同時にスパッタして得られた保護
膜を具えることにより、記録情報の安定性は著しく向上
することが理解できる。
また、複素屈折率n−kiのうちの屈折率nについて比
較すれば、比較例に係る試料の屈折率nが1.90であるの
に対して、実施例1〜12に係る試料では、いずれの実施
例でも屈折率nが2.21以上であり、カー効果エンハンス
メントによってC/N比が向上したことが理解できる。
さらに、吸光係数kに関しては、比較例における吸光
係数kが0.10であるのに比して、いずれの実施例でも著
しい向上が認められ、特に、実施例4、実施例8及び実
施例12に係る試料では、吸光係数kが0となり、実質的
に透明な保護膜材料が被着されていることが理解でき
る。
これに加えて、別表からも理解できるように、例えば
実施例2〜4に係る3種類の記録媒体を比較すると、組
成調整用ターゲットに酸素が含有されている割合が大き
く成るにつれて吸光係数kの値が小さく成る傾向が見て
取れる。このような傾向は、実施例6〜8または実施例
10〜12における夫々の比較からも認められる。
また、実施例1と実施例2、実施例5と実施例6また
は実施例9と実施例10の、夫々の記録媒体に関する比較
から、第二発明に係る方法を利用して組成調整用ターゲ
ットにチタン(Ti)を用いることにより、屈折率nが向
上しているとが理解できる。
上述した比較例と実施例1〜12との比較からも理解で
きるように、この出願の第二発明に係る方法により作製
された記録媒体では、各々の材料構成において組成調整
用ターゲットと同時に成膜用ターゲットをスパッタする
ことにより、従来の記録媒体に比して、優れた特性の記
録媒体が得られる。
次に、この出願の第三発明に係る方法の実施例とし
て、不活性ガスと酸素との混合雰囲気中で、成膜用ター
ゲットのみをスパッタして保護膜形成した場合の実施例
13〜実施例15に係る記録媒体につき説明する。尚、これ
ら第三発明に係る実施例では、前述した実施例9及び実
施例10と同様に耐食性試験を行なわなかった。
実施例13 <製造条件の説明> この実施例13では、アルゴン80(体積%)及び酸素20
(体積%)の混合雰囲気中でスパッタして保護膜13a及
び13bを形成したことを除き、チタン酸ストロンチウム
(SrTiO3)から成る直径126(mm)の成膜用ターゲット
を用いて実施例1と同様な積層関係及び成膜条件で記録
媒体を作製した。この時の成膜条件は、前述と同一の投
入電力とし、上述した混合雰囲気のガス圧は3(mTor
r)とした。
<C/N比の測定手順と測定結果の説明> この実施例13に係る記録媒体に関して、比較例及び実
施例1〜12と同一の条件でC/N比の測定を行なった結
果、記録媒体のC/N比は47.6(dB)であった。
<複素屈折率の測定手順と結果> この実施例13に係る記録媒体の複素屈折率測定におい
ても、シリコンウエハの表面に、上述と同じ被着条件及
び膜厚2000(Å)で保護膜を被着させた試料を別途作製
し、比較例及び実施例1〜12と同様に測定した結果、複
素屈折率は2.22であった。この説明からも理解できるよ
うに、前述した実施例4、実施例8及び実施例12に係る
記録媒体と同様に吸光係数kが0となり、実質的に透明
な保護膜を実現することができた。
実施例14 <製造条件の説明> この実施例14では、アルゴン80(体積%)及び酸素20
(体積%)の混合雰囲気中スパッタして保護膜13a及び1
3bを形成したことを除き、チタン酸バリウム(BaTiO3
から成る直径126(mm)の成膜用ターゲットを用いた実
施例5と同様な積層関係及び成膜条件で記録媒体を作製
した。この時の成膜条件は、前述と同一の投入電力と
し、上述した混合雰囲気のガス圧は3(mTorr)とし
た。
<C/N比の測定手順と測定結果の説明> この実施例14に係る記録媒体に関して、比較例及び実
施例1〜13と同一の条件でC/N比の測定を行なった結
果、記録媒体のC/N比は47.5(dB)であった。
<複素屈折率の測定手順と結果> この実施例14に係る記録媒体の複素屈折率測定におい
ても、シリコンウエハの表面に、上述と同じ被着条件及
び膜厚2000(Å)で保護膜を被着させた試料を別途作製
し、比較例及び実施例1〜13と同様に測定した結果、複
素屈折率は2.21であった。この説明からも理解できるよ
うに、前述した実施例4、実施例8、実施例12及び実施
例13に係る記録媒体と同様に吸光係数kが0となり、実
質的に透明な保護膜を実現することができた。
実施例15 <製造条件の説明> この実施例15では、アルゴン80(体積%)及び酸素20
(体積%)の混合雰囲気中でスパッタして保護膜13a及
び13bを形成したことを除き、チタン酸ストロンチウム
(SrTiO3)とチタン酸バリウム(BaTiO3)と(組成比1:
1)の混晶から成る直径126(mm)の成膜用ターゲットを
用いた実施例9と同様な積層関係及び成膜条件で記録媒
体を作製した。この時の成膜条件は、前述と同一の投入
電力とし、上述した混合雰囲気のガス圧は3(mTorr)
とした。
<C/N比の測定手順と測定結果の説明> この実施例15に係る記録媒体に関して、比較例及び実
施例1〜14と同一の条件でC/N比の測定を行なった結
果、記録媒体のC/N比は48.1(dB)であった。
<複素屈折率の測定手順と結果> この実施例15に係る記録媒体の複素屈折率測定におい
ても、シリコンウエハの表面に、上述と同じ被着条件及
び膜厚2000(Å)で保護膜を被着させた試料を別途作製
し、比較例及び実施例1〜14と同様に測定した結果、複
素屈折率は2.23であった。この説明からも理解できるよ
うに、前述した実施例4、実施例8及び実施例12〜14に
係る記録媒体と同様に吸光係数kが0となり、実質的に
透明な保護膜を実現することができた。
これら実施例13〜15に係る記録媒体の特性からも理解
できるように、この出願に係る第三発明の方法によれ
ば、不活性ガスと酸素との混合雰囲気中でスパッタして
保護膜を形成することにより、この出願の第二発明を利
用して二酸化チタン(TiO2)を組成調整用ターゲットに
用いた場合とほぼ同様の複素屈折率が得られ、実質的に
透明な保護膜を形成し得る。
次に、この出願の第四発明に係る方法の実施例とし
て、不活性ガスと酸素との混合雰囲気中で、成膜用ター
ゲットと組成調整用ターゲットとを同時にスパッタして
保護膜形成した場合の実施例16〜実施例18に係る記録媒
体につき説明する。尚、前述したように、第二発明に係
る実施例からも理解できるように、組成調整用ターゲッ
トとしてチタン(Ti)を用いて保護膜形成した場合に
は、屈折率の向上が見られた。従って、この実施例で
は、組成調整用ターゲットとしてTiを用いると共に、第
三発明に係る実施例との比較を容易とする目的で、混合
雰囲気がアルゴン80(体積%)及び酸素20(体積%)の
場合につき特性測定を行なった。
実施例16 <製造条件の説明> この実施例16では、アルゴン80(体積%)及び酸素20
(体積%)の混合雰囲気中でスパッタして保護膜13a及
び13bを形成したことを除き、実施例2と同様な積層関
係及び成膜条件で記録媒体を作製した。即ち、チタン
(Ti)から成る直径126(mm)の組成調整用ターゲット
と、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)から成る直径25
(mm)の成膜用ターゲットとを用意して、上述した組成
調整用ターゲットの表面に成膜用ターゲットを6枚載置
し、上述した混合雰囲気中で、これら2種類のターゲッ
トを同時にスパッタする。この時の成膜条件は、前述と
同一の投入電力とし、上述した混合雰囲気のガス圧は3
(mTorr)とした。
<C/N比の測定手順と測定結果の説明> この実施例16に係る記録媒体に関して、比較例及び実
施例1〜15と同一の条件でC/N比の測定を行なった結
果、記録媒体のC/N比は47.5(dB)であった。
<耐食性試験の手順と測定結果の説明> この実施例16では、比較例及び実施例1〜8と同様
に、前述した耐食性試験条件下で200時間に亙って保持
した後、記録媒体のエラーレートの測定と、C/N比の測
定とを行なった。
その結果、エラーレートは約10-5程度であり、C/N比
は耐食性試験前の値と同じ47.5(dB)であった。
<複素屈折率の測定手順と結果> この実施例16に係る記録媒体の複素屈折率測定におい
ても、シリコンウエハの表面に、上述と同じ被着条件及
び膜厚2000(Å)で保護膜を被着させた試料を別途作製
し、比較例及び実施例1〜15と同様に測定した結果、複
素屈折率は2.23であった。この説明からも理解できるよ
うに、前述した実施例4、実施例8及び実施例12〜実施
例15に係る記録媒体と同様に吸光係数kが0となり、実
質的に透明な保護膜を実現することができた。
実施例17 <製造条件の説明> この実施例17では、アルゴン80(体積%)及び酸素20
(体積%)の混合雰囲気中でスパッタして保護膜13a及
び13bを形成したことを除き、実施例6と同様な積層関
係及び成膜条件で記録媒体を作製した。即ち、チタン
(Ti)から成る直径126(mm)の組成調整用ターゲット
と、チタン酸バリウム(BaTiO3)から成る直径25(mm)
の成膜用ターゲットとを用意して、上述した組成調整用
ターゲットの表面に成膜用ターゲットを6枚載置し、上
述した混合雰囲気中で、これら2種類のターゲットを同
時にスパッタする。この時の成膜条件は、前述と同一の
投入電力し、上述した混合雰囲気のガス圧は3(mTor
r)とした。
<C/N比の測定手順と測定結果の説明> この実施例17に係る記録媒体に関して、比較例及び実
施例1〜16と同一の条件でC/N比の測定を行なった結
果、記録媒体のC/N比は47.0(dB)であった。
<耐食性試験の手順と測定結果の説明> この実施例17では、比較例及び実施例1〜8と同様
に、前述した耐食性試験条件下で200時間に亙って保持
した後、記録媒体のエラーレートの測定と、C/N比の測
定とを行なった。
その結果、エラーレートは約10-5程度であり、C/N比
は耐食性試験前の値と同じ47.0(dB)であった。
<複素屈折率の測定手順と結果> この実施例17に係る記録媒体の複素屈折率測定におい
ても、シリコンウエハの表面に、上述と同じ被着条件及
び膜厚2000(Å)で保護膜を被着させた試料を別途作製
し、比較例及び実施例1〜16と同様に測定した結果、複
素屈折率は2.25であった。この説明からも理解できるよ
うに、前述した実施例4、実施例8及び実施例12〜実施
例16に係る記録媒体と同様に吸光係数kが0となり、実
質的に透明な保護膜を実現することができた。
実施例18 <製造条件の説明> この実施例18では、アルゴン80(体積%)及び酸素20
(体積%)の混合雰囲気中でスパッタして保護膜13a及
び13bを形成したことを除き、実施例10と同様な積層関
係及び成膜条件で記録媒体を作製した。即ち、チタン
(Ti)から成る直径126(mm)の組成調整用ターゲット
の表面に、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)から成る
直径25(mm)の成膜用ターゲットと、チタン酸バリウム
(BaTiO3)から成る直径25(mm)の成膜用ターゲットと
を、各々3枚載置し、上述した混合雰囲気中で、これら
3種類のターゲットを同時にスパッタする。この時の成
膜条件は、前述と同一の投入電力とし、上述した混合雰
囲気のガス圧は3(mTorr)とした。
<C/Nの測定手順と測定結果の説明> この実施例18に係る記録媒体に関して、比較例及び実
施例1〜17と同一の条件でC/N比の測定を行なった結
果、記録媒体のC/N比は47.9(dB)であった。
尚、この実施例18に係る記録媒体では、耐食性試験を
行なわなかった。
<複素屈折率の測定手順と結果> この実施例18に係る記録媒体の複素屈折率測定におい
ても、シリコンウエハの表面に、上述と同じ被着条件及
び膜厚2000(Å)で保護膜を被着させた試料を別途作製
し、比較例及び実施例1〜17と同様に測定した結果、複
素屈折率は2.24であった。この説明からも理解できるよ
うに、前述した実施例4、実施例8及び実施例12〜実施
例17に係る記録媒体と同様に吸光係数kが0となり、実
質的に透明な保護膜を実現することができた。
以下、図面を参照して、この出願の第四発明に係る実
施例として、不活性ガスと酸素との混合雰囲気における
酸素の含有率を種々に変え、前述した成膜用ターゲット
と組成調整用ターゲットとを同時にスパッタし、これに
よって得られた試料の複素屈折率を測定した結果につき
説明する。
<試料の製造条件> この測定では、前述した比較例及び実施例1〜18と同
様に、シリコンウエハの表面に2000(Å)の膜厚で保護
膜材料を被着形成した試料を用いた。
この試料の製造条件につき詳述すれば、まず、前述の
実施例2で用いたのと同一の寸法を有する、チタン酸ス
トロンチウム(SrTiO3)から成る成膜用ターゲットとチ
タン(Ti)から成る組成調整用ターゲットとを用意す
る。然る後、アルゴンと酸素とから成るスパッタガスに
おいて酸素が占める割合を0〜50(体積%)の範囲内で
種々に変え、このような被着雰囲気中において、上述し
た組成調整用ターゲットと2種類の成膜用ターゲットと
を同時にスパッタして成膜を行なった。尚、この際の被
着条件は、投入電力を500(W)、上述した混合気体か
ら成るスパッタガスの圧力を3(mTorr)に統一して行
なった。
第1図及び第2図は、上述の製造条件により作製した
各々の試料につき、複素屈折率n−kiを測定した結果を
示す特性曲線図である。これら図において、第1図は、
縦軸に屈折率n及び横軸に酸素含有率(体積%)を採っ
て示し、第2図は縦軸に吸光係数k及び横軸に酸素含有
率(体積%)を採って示してある。
まず、第1図からも理解できるように、上述したスパ
ッタガスにおける酸素含有率を高めていくに従って、屈
折率nの減少傾向が認められた。例えばスパッタガスを
酸素0(体積%)とした場合(アルゴン100(体積%)
とした前述の実施例2に相当)では屈折率nが2.23であ
るのに対して、酸素50(体積%)とした場合には屈折率
nが2.1程度にまで減少した。
また、第2図から理解できるように、吸光係数kにつ
いても同様の傾向が見られ、スパッタガス中の酸素含有
率が0(体積%)である実施例2に相当する試料では吸
光係数kが0.03となった。これに対して、酸素含有率を
20(体積%)とした混合雰囲気でスパッタを行なった場
合には吸光係数kが0となるのが認められ、当該含有率
を20(体積%)よりも大きな値としても、0を示すのが
認められた。
次に、上述したチタン酸ストロンチウムの代わりに、
チタン酸バリウムを成膜用ターゲットとして、アルゴン
と酸素との含有率を種々に変えて得られた試料の複素屈
折率を測定した結果につき説明する。尚、試料の作製に
係る種々の条件は、上述したチタン酸ストロンチウム
(SrTiO3)の代わりにチタン酸バリウム(BaTiO3)を用
いたことを除いて同一とし、シリコンウエハの表面に20
00(Å)の膜厚で保護膜材料を被着して作製した試料を
用いて測定を行なった。
第3図及び第4図は、前述した第1図または第2図と
同様に複素屈折率n−kiを測定した結果を示す特性曲線
図である。これら図において、第3図は、縦軸に屈折率
n及び横軸に酸素含有率(体積%)を採って示し、第4
図は縦軸に吸光係数kと及び横軸に酸素含有率(体積
%)を採って示してある。
まず、第3図からも理解できるように、このチタン酸
バリウムを用いて混合雰囲気中で被着形成した試料にお
いても、上述したチタン酸ストロンチウムの場合と同様
に、スパッタガスにおける酸素含有率を高めるに従っ
て、屈折率nの減少傾向が認められた。例えばスパッタ
ガスを酸素0(体積%)とした場合(アルゴン100(体
積%)とした前述の実施例6に相当)には屈折率nが2.
27となった。これに対して、スパッタガスにおける酸素
含有率を50(体積%)とした場合には、屈折率nが2.1
程度にまで減少した。
また、第4図から理解できるように、吸光係数kにつ
いてもチタン酸ストロンチウムと同様の傾向が見られ、
スパッタガス中の酸素含有率が0(体積%)である試料
(実施例6に相当)では吸光係数kが0.02となった。こ
れに対して、酸素含有率を20(体積%)とした混合雰囲
気でスパッタを行なった場合には、チタン酸ストロンチ
ウムの場合と同様に、吸光係数kが0となるのが認めら
れ、当該含有率を20(体積%)よりも大きな値としても
0となることが理解できる。
以上、この出願の発明に係る実施例につき、種々の条
件で作製した記録媒体を試料として詳細に説明した。こ
こで、上述した製造方法と、各製造方法により作製され
た保護膜の組成との関係につき説明する。
上述した実施例のうち、実施例1、実施例5及び実施
例9に係る記録媒体は、従来周知のスパッタリング技術
により保護膜を被着形成して作製したものである。ま
た、これに加えて、この出願の方法発明により作製され
た記録媒体においても、特性測定の結果から理解できる
ように、実施例1〜18に係る記録媒体(保護膜)では、
ほぼ同一の組成を有すると考えられる。これらの元素構
成において、例えばストロンチウム、バリウム及びチタ
ンといった金属元素については、例えばオージェー効果
を利用した化学分析技術を用いて決定可能であるが、チ
タン酸系の化合物の場合には、気体成分と成り易い酸素
を含む構成であるため、厳密な組成を決定することが難
しい。
しかしながら、例えば文献II:「誘電体論」(岡小天
著,第55〜77頁,現代工学社刊)からも理解できるよう
に、例えばMOとTiOX-1との共融によりMTiOX(Mは金属
元素)で表わされるチタン酸系の物質では、上述したMO
が有する複素屈折率とTiOX-1が有する複素屈折率との平
均によって求めることができる。さらに述べれば、上述
したチタン酸系の物質ではXの値が3に近い程、吸光係
数kが0に近似することが知られている。詳細に説明す
ると、一酸化チタン(TiO)と上述した金属酸化物MOと
により得られるチタン酸塩は吸収を有する(吸光係数k
が0でない)のに対して、二酸化チタン(TiO2)と金属
酸化物とにより得られるチタン酸塩は透明(吸光係数k
が0)となることが知られている。
ところで、本発明における酸化ストロンチウム(Sr
O)を含有するチタン酸塩(SrTiOX)は、SrOとTiO2の固
溶体、もしくは、SrOとTiO2とTiOとの固溶体と考えら
れ、また酸化バリウム(BaO)を含有するチタン酸塩(B
aTiOX)は、BaOとTiO2との固溶体もしくはBaOとTiO2とT
iOとの固溶体と考えられるが、ここでは、例えばBaTiOX
で示される酸化バリウムを含有するチタン酸塩を、BaTi
O3とBaTiO2との混合物であると仮定する。この仮定によ
り、上記文献IIに示されているように、BaTiO3及びBaTi
O2のそれぞれの複素屈折率を混合比に応じて平均化し
て、BaTiOXの複素屈折率を導出することができる。ま
た、混合比は組成比から導出できるので、組成比と複素
屈折率とを対応づけることができる。
そこで、一例として、BaTiO2.7の保護膜の複素屈折率
について検討する。上述した実施例14で示したチタン酸
バリウムの保護膜は、酸素の欠損がほとんどなくBaTiO3
となっていることが吸光係数k=0という分析結果から
確認されている。そして、このときの複素屈折率は2.21
である。一方、BaOターゲット及びTiOターゲットから作
成されたBaTiO2の複素屈折率は、2.4−0.1iである。そ
して、組成比Xが2.7の場合の混合比を(BaTiO3):(B
aTiO2)=0.7:0.3とすると、この保護膜の複素屈折率
は、(2.21)×0.7+(2.4−0.1i)×0.3=2.27−0.03i
と導出できる。
尚、ここでは、保護膜の組成比Xから複素屈折率を導
出したが、これとは逆に複素屈折率が分かれば、複素屈
折率から混合比を予想して組成比Xを導出することもで
きる。
また、(SrTiOX)で示される酸化ストロンチウムを含
有するチタン酸塩の場合も、SiTiO3の複素屈折率が2.22
であること(実施例13)、及び、SrOターゲットとTiOタ
ーゲットとから作成されたSrTiO2の複素屈折率が2.3−
0.1iであることを利用して、SrTiOXの組成比Xと複素屈
折率とを対応づけることができる。
前述のような光学的性質から、上述した実施例1〜18
に係る保護膜(即ち、酸化ストロンチウムを含有するチ
タン酸塩(SrTiOX)、または、酸化バリウムを含有する
チタン酸塩(BaTiOX))の組成を計算すれば、上述した
Xの値は2.7≦X≦3.0となる。
以上、この発明の実施例につき詳細に説明したが、こ
の発明は上述した実施例にのみ限定されるものではない
こと明らかである。
例えば、上述した実施例においては、この出願の方法
発明に係るスパッタガスとしてアルゴンを用いた場合に
つき説明したが、他の不活性ガスであっても同様の効果
を期待し得る。
また、実施例に係る記録媒体の構造として、第5図に
示す積層関係で構成したものを例示した。しかしなが
ら、この発明の光磁気記録媒体は、特定の積層関係によ
ってのみ効果が得られるものではなく、例えば反射膜ま
たはその他の構成成分を付加して構成した場合であって
も同様の効果を得ることができる。
さらに、上述した実施例では、Tb−Fe−Coから成る磁
性膜を用いた場合につき説明したが、これに限定される
ものではなく、種々のRE−TM合金を用いることができ
る。
これら材料、寸法、配置関係、数値的条件及びその
他、上述した特定の条件は、この発明の目的の範囲内
で、任意好適な設計の変更及び変形を行ない得ること明
らかである。
(発明の効果) 上述した説明からも明らかなように、この出願の第一
発明に係る光磁気記録媒体によれば、保護膜材料とし
て、酸化ストロンチウムを含有するチタン酸塩(SrTi
OX)、及び、酸化バリウムを含有するチタン酸塩(BaTi
OX)(但し、Xは2.7≦X≦3.0の値を表す。)のうちか
ら選ばれたいずれか一方の物質または双方の混晶を保護
膜として用いる構成と成している。これがため、従来の
保護膜材料を具えた記録媒体に比して、高い屈折率と低
い吸光係数とを実現することができ、さらに耐食性の劣
化を来すことがない。
また、この出願の第二発明に係る光磁気記録媒体の製
造方法によれば、前述した所定の材料から成る成膜用タ
ーゲットと組成調整用ターゲットとを同時にスパッタし
て保護膜を被着形成することにより、第一発明に係る記
録媒体を容易に実現することができる。
さらに、この出願の第三発明に係る光磁気記録媒体の
製造方法によれば、酸素を含む混合雰囲気中で前述した
所定の材料から成る成膜用ターゲットをスパッタして保
護膜形成することにより、第一発明に係る記録媒体を容
易に得ることができる。
これに加えて、この出願に係る第四発明の光磁気記録
媒体の製造方法によれば、上述した第二発明と第三発明
とを同時に適用することにより、第一発明に係る記録媒
体を容易に得ることができる。
従って、この出願に係る発明を適用することにより、
優れた特性を有する記録媒体を簡単かつ容易に提供する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第3図は実施例を説明するため、縦軸に屈折
率n、及び横軸にスパッタ雰囲気における酸素含有率
を、夫々採って示す特性曲線図、 第2図及び第4図は実施例を説明するため、縦軸に吸光
係数k、及び横軸にスパッタ雰囲気における酸素含有率
を、夫々採って示す特性曲線図、 第5図は、従来の技術及び実施例を説明するため、光磁
気記録媒体の一構成例を概略的断面により示す説明図で
ある。 11……基板、13a,13b……保護膜 15……磁性膜、17……光磁気記録媒体。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に、少なくとも、保護膜と磁性膜と
    を具えて成る光磁気記録媒体において、 前記保護膜が、下記の化学式(1)で示される、酸化ス
    トロンチウムを含有するチタン酸塩および下記の化学式
    (2)で示される、酸化バリウムを含有するチタン酸塩
    のうちから選ばれたいずれか一方の物質または双方の混
    晶から成る ことを特徴とする光磁気記録媒体。 SrTiOX ・・・(1) BaTiOX ・・・(2) (但し、Xは、2.7≦X≦3.0の値を表す。)
  2. 【請求項2】基板上に、少なくとも、保護膜と磁性膜と
    を具えて成る光磁気記録媒体を製造するに当り、 前記保護膜を、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)及び
    チタン酸バリウム(BaTiO3)のうちから選ばれたいずれ
    か一方または双方から成る成膜用ターゲットと、チタン
    (Ti)または酸化チタン(TiOY)(但し、Yは正数を表
    わす。)から成る組成調整用ターゲットとを同時にスパ
    ッタして披着形成する ことを特徴とする光磁気記録媒体の製造方法。
  3. 【請求項3】基板上に、少なくとも、保護膜と磁性膜と
    を具えて成る光磁気記録媒体を製造するに当り、 前記保護膜を、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)及び
    チタン酸バリウム(BaTiO3)のうちから選ばれたいずれ
    か一方または双方から成る成膜用ターゲットを不活性ガ
    スと酸素との混合雰囲気中でスパッタして披着形成する ことを特徴とする光磁気記録媒体の製造方法。
  4. 【請求項4】基板上に、少なくとも、保護膜と磁性膜と
    を具えて成る光磁気記録媒体を製造するに当り、 前記保護膜を、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)及び
    チタン酸バリウム(BaTiO3)のうちから選ばれたいずれ
    か一方または双方から成る成膜用ターゲットと、チタン
    (Ti)または酸化チタン(TiOY)(但し、Yは正数を表
    わす。)から成る組成調整用ターゲットとを、不活性化
    ガスと酸素との混合雰囲気中で同時にスパッタして披着
    形成する ことを特徴とする光磁気記録媒体の製造方法。
JP63170567A 1988-07-08 1988-07-08 光磁気記録媒体及びその製造方法 Expired - Fee Related JP2548311B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63170567A JP2548311B2 (ja) 1988-07-08 1988-07-08 光磁気記録媒体及びその製造方法
US07/376,591 US4950547A (en) 1988-07-08 1989-07-07 Magneto-optical recording medium having protective film with increased Kerr effect and improved protection characteristic and manufacturing method of the same
US07/466,947 US5009762A (en) 1988-07-08 1990-01-18 Magneto-optical recording medium having protective film with increased kerr effect and improved protection characteristic and manufacturing method of the same

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63170567A JP2548311B2 (ja) 1988-07-08 1988-07-08 光磁気記録媒体及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0221441A JPH0221441A (ja) 1990-01-24
JP2548311B2 true JP2548311B2 (ja) 1996-10-30

Family

ID=15907231

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP63170567A Expired - Fee Related JP2548311B2 (ja) 1988-07-08 1988-07-08 光磁気記録媒体及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2548311B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0856676B8 (en) 1997-01-29 2005-01-12 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Clutch arrangement

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5036796Y2 (ja) * 1972-01-31 1975-10-25
JPH0511938Y2 (ja) * 1987-08-12 1993-03-25
JPH0546825Y2 (ja) * 1988-01-20 1993-12-08
JP3087580U (ja) * 2002-01-28 2002-08-09 直樹 高橋 片手で開閉できる歯磨きチューブ

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0221441A (ja) 1990-01-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0304873B1 (en) Magneto-optical recording medium
US5400307A (en) Magneto-optical recording medium with stacked layer structure
EP0364631A1 (en) Thin film of amorphous alloy
JPH081709B2 (ja) 光磁気記録媒体
JP2548311B2 (ja) 光磁気記録媒体及びその製造方法
US5009762A (en) Magneto-optical recording medium having protective film with increased kerr effect and improved protection characteristic and manufacturing method of the same
JPH0775085B2 (ja) 光磁気媒体
JPWO2007088682A1 (ja) 情報記録媒体およびその製造方法、並びにその製造装置
JP2701337B2 (ja) 光磁気記録媒体
JP2503268B2 (ja) 光磁気記録媒体及びその製造方法
Asano et al. Magneto-optical recording media with new protective films
JPH03288346A (ja) 光記録媒体
JPH03156753A (ja) 光記録媒体
JPH02265052A (ja) 光記録媒体の製造方法
JP2558011B2 (ja) 磁気光学記憶媒体
JP2507592B2 (ja) 光記録媒体
JPH057775B2 (ja)
JP2523180B2 (ja) 光記録媒体及びその製造方法
JP2918600B2 (ja) 光磁気記録媒体
JPH03122845A (ja) 光記録媒体
JP2528173B2 (ja) 光記録媒体
JPH02195543A (ja) 光磁気ディスク
KR0144719B1 (ko) 광자기 기록 매체
EP0316803A2 (en) Magneto-optical recording medium
JPS62232736A (ja) 光磁気記録用媒体

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees