JP2503268B2 - 光磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

光磁気記録媒体及びその製造方法

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JP2503268B2 JP5046789A JP5046789A JP2503268B2 JP 2503268 B2 JP2503268 B2 JP 2503268B2 JP 5046789 A JP5046789 A JP 5046789A JP 5046789 A JP5046789 A JP 5046789A JP 2503268 B2 JP2503268 B2 JP 2503268B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、光磁気記録媒体に関するものであり、特
に、カー(kerr)効果エンハンスメント(Enhancemen
t)と保護特性とに優れた保護膜を具えた光磁気記録媒
体及びその製造方法に関する。
(従来の技術) 光磁気記録媒体(以下、単に記録媒体と称する場合も
有る。)は、書換えのできる磁性膜を具えた高密度記録
媒体として、研究開発が活発に行なわれている。
このような記録媒体の磁性膜を構成する光磁気記録材
料の内でも、希土類金属と遷移金属との非晶質合金(以
下、単にRE−TM合金と称する場合も有る。)は、磁化方
向が成膜面に対して垂直に配向した垂直磁化膜となるこ
と、保磁力が数(KOe)と大きいこと、スパッタ、真空
蒸着またはその他の被着技術で比較的容易に成膜が可能
であること等の点で、最も研究が進み、実用化が進んで
いる。
しかしながら、RE−TM合金から成る磁性膜は耐食性が
低く(例えば文献I:「光磁気ディスク」(今村修武監
修,(株)トリケプス発行,第427頁)参照)、しか
も、磁気光学的な効果(カー(Kerr)効果)が小さいと
いう欠点が有る。
そこで、種々の材料から成る保護膜でRE−TM合金から
成る磁性膜を挟み、当該磁性膜の腐食を防ぐと共に、光
の多重反射を利用して見掛け上のカー(kerr)回転角を
大きくする構造が知られている(前記文献I:第119
頁)。
以下、図面を参照して、上述した従来の光磁気記録媒
体につき説明する。
第2図は、保護膜を具えた記録媒体の一構成例を説明
するため、概略的な断面により示す説明図である。図
中、断面を示すハッチングは一部省略する。
この第2図からも理解できるように、基板11の表面に
保護膜13a、磁性膜15及び保護膜13bを順次形成すること
によって記録媒体17が構成される。
このうち、基板11は例えばポリカーボネート樹脂、ガ
ラス、エポキシ樹脂またはその他任意好適な材料から成
り円板形状を有する。
また、保護膜13aと13bとは、例えばSiO、SiO2、AlN、
Si3N4、AlSiN、AlSiONまたはその他の保護膜材料を被着
させて形成する。既に述べたように、この保護膜の被着
は例えばスパッタ法、真空蒸着法またはその他の、保護
膜を構成する材料に応じた被着技術によって行なわれ
る。
さらに、磁性膜15は前述したRE−TM合金から構成さ
れ、このような合金として例えばTb−Fb合金、Tb−Co合
金、Tb−Fe−Co合金またはその他、希土類金属と遷移金
属との組み合わせが、種々、知られている。
このような構造の記録媒体17において、当該媒体17の
読取り側に配設された保護膜13aはC/N(Carrier Noise
Ratio:搬送波対雑音比)に影響を及ぼす要因であるた
め、次のような条件を満たすことが必要とされている。
見掛け上のカー回転角を高めるために屈折率の高い材
料であること 書込みや読取りに使用される光の波長(通常、750〜9
00(nm)程度)において透光性を有する材料であること 媒体を使用する環境で、例えば水分等から磁性膜を保
護し得る耐食性材料であること また、保護膜13bは、少なくとも上述のとして示す
耐食性を満たす材料であれば、カー効果エンハンスメン
トをもたらす条件を欠く他の材料で構成しても良い。
このような記録媒体17は、1(um)程度のスポット径
に絞ったレーザビーム及び外部磁界を用いた熱磁気書込
み方式によって情報の書込みが行なわれ、前述した垂直
磁化膜であることから108(ビット/cm2)という極めて
高密度な記録が可能である。また、原理的には、消去と
再書込みとの繰り返しを無限回に近く行なうことができ
るという優れた特色を有する。
上述の説明からも理解できるように、光磁気記録媒体
における保護膜の屈折率と透光性とは、情報の書込み特
性や読取り特性に大きく影響する。
特に、屈折率について考えれば、例えばアルミ系の保
護膜材料(例えば前述したAlN、AlSiN、AlSiON)は屈折
率nが2程度であり、周知の材料中で比較的高い値を示
す材料として知られている。
さらに、この発明に係る出願人によって、特願昭63−
170567号公報に提案されている、チタン酸ストロンチウ
ム系化合物(Sr−Ti−O)やチタン酸バリウム系化合物
(Ba−Ti−O)も保護膜材料として有望である。Sr−Ti
−OやBa−Ti−Oは、これら2つの化合物の混晶をも含
め、屈折率nは2.2〜2.3程度であり、Al系の保護膜材料
に比べて高い屈折率を達成することができる。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、現在、種々の情報機器の発達に伴なっ
て記録密度の向上が要求されており、従来の保護膜材料
よりも大きな屈折率を有する材料によって、カー効果エ
ンハンスメントをさらに向上せしめることが好ましい。
また、このような現状にあって、屈折率の向上を図ると
共に、少なくとも、光磁気記録媒体に従来程度の耐食性
を付与する保護膜材料が望まれるが、これら2つの特性
を充分に満足する材料が知られておらず、優れた光磁気
記録媒体の実現を図ることが難しいという問題点が有っ
た。
この発明の目的は、上述した従来の問題点に鑑み、高
屈折率を有し、しかも耐食性に優れた保護膜材料を用い
ることによって、信頼性の高い光磁気記録媒体と、当該
媒体の製造に好適な方法とを提供することに有る。
(課題を解決するための手段) この目的の達成を図るため、この出願の第一発明に係
る光磁気記録媒体によれば、基板上に、少なくとも、保
護膜と磁性膜とを具えて成る光磁気記録媒体において、 上述した保護膜が、チタン酸ストロンチウム系窒素化
合物(SrTiOXNY)及びチタン酸バリウム系窒素化合物
(BaTiOXNY)(但し、Xは0<X<3、Yは0<Y<3
の値を表わす。)のうちから選ばれたいずれか一方の物
質または双方の混晶から成る ことを特徴としている。
また、この出願の第二発明に係る光磁気記録媒体の製
造方法によれば、基板上に、少なくとも、保護膜と磁性
膜とを具えて成る光磁気記録媒体を製造するに当り、 上述した保護膜を、チタン酸ストロンチウム(SrTi
O3)及びチタン酸バリウム(BaTiO3)のうちから選ばれ
たいずれか一方または双方から成るターゲットを、不活
性ガスと窒素との混合雰囲気中でスパッタして被着する ことを特徴としている。
(作用) この出願の第一発明に係る光磁気記録媒体によれば、
上述した保護膜材料で記録媒体を構成することにより、
屈折率nの向上を図り、さらに従来の材料に比して耐食
性の劣化をきたすことがない。
また、この出願の第二発明に係る光磁気記録媒体の製
造方法によれば、前述のターゲットを、例えばアルゴン
のような不活性ガスと窒素との混合雰囲気中でスパッタ
して保護膜形成することにより高い屈折率の保護膜材料
を実現することができ、さらに、光磁気記録媒体の耐食
性劣化を来たすことがない。
(実施例) 以下、図面を参照して、この出願に係る発明の実施例
につき説明する。尚、以下に説明する実施例は、この発
明の範囲の好ましい数値例、その他の条件で説明する
が、これらは単なる例示であって、この発明はこれら特
定の条件にのみ限定されるものではないことを理解され
たい。
実施例1 始めに、光磁気記録媒体を構成する保護膜がチタン酸
バリウム系窒素化合物(BaTiOXNY)である場合の実施例
につき説明する。この実施例では、所定の成膜条件で保
護膜を形成した記録媒体を製造し、この記録媒体に関し
て記録特性を測定すると共に、耐食性試験を行なうこと
によって、記録特性の変化を調べた。また、常法に従っ
て、チタン酸バリウム系窒素化合物の屈折率を測定した
結果についても述べる。
<製造方法の説明> まず、この実施例1では、従来周知のスパッタ技術に
よって、ポリカーボネート樹脂から成る基板11の表面
に、BaTiOXNYから成る保護膜13aを約800(Å)の膜厚で
被着形成する。この時の成膜条件は、BiTiO3から成る直
径126(mm)のターゲットを用い、投入電力が500
(W)、アルゴン(Ar)と窒素(N2)との混合ガスの組
成がAr:N2=80:20(体積比)(以下、窒素含有量20(体
積%)と略記)、この混合ガスのガス圧が3(mTorr)
として行なった。
次に、テルビウム:鉄:コバルトの組成比が22:70:8
(原子数の比)である磁性膜用のターゲットを用意し、
上述と同様なスパッタ条件により、保護膜13aの表面
に、約800(Å)の膜厚を以って磁性膜15を被着形成す
る。
続いて、前述した保護膜13aと同一の条件によって、
上述した磁性膜15の表面に約1000(Å)の膜厚で保護膜
13bを被着形成し、実施例1に係る記録媒体を得た。
<C/Nの測定手順と測定結果の説明> このC/Nの測定に当っては、上述の手順で得られた実
施例1に係る記録媒体を試料とし、書込みに用いた光の
波長830(nm)、回転数1800(r.p.m)、デューティー33
(%)、記録周波数3.70(MHz)、記録パワー7(mW)
で記録し、その後、読出しパワー1.6(mW)、バンド幅3
0(KHz)でC/Nの測定を行なった。
その結果、前述した混合ガスにおける窒素含有量が20
(体積%)の条件で、BiTiO3から成るターゲットを用い
て保護膜形成した実施例1に係る記録媒体のC/Nは49.9
(dB)であった。
<耐食性試験の手順と測定結果の説明> この耐食性試験では、実施例1に係る記録媒体に対し
て情報を書込み、書込んだ情報と読み出した情報を比較
し情報の誤り率(エラーレート)を測定する。この記録
媒体を60(℃)の温度で相対湿度を80(%)とした条件
(以下、単に耐食性試験条件と称する。)で200時間に
亙って保持する。然る後、耐食性試験前に行ったのと同
様のエラーレートの測定を行った。上述したエラーレー
トとC/Nの測定結果により、耐食性を評価した。
その結果、エラーレートは約3×10-5程度で耐食性試
験前とほとんど変化がなく、C/Nは耐食性試験前の値と
同じ49.9(dB)であった。
<屈折率の測定手順と結果> この屈折率測定では、上述した被着条件で、シリコン
ウエハの表面に保護膜を2000(Å)の膜厚で被着させた
試料を別途作製し、エリプソメーターを用いて、633(n
m)の波長における屈折率nを測定した。
その結果、BaTiO3から成るターゲットを窒素含有量20
(体積%)の混合ガスでスパッタして得られたチタン酸
バリウム系窒素化合物の屈折率nは2.75であった。
比較例1 <製造条件の説明> この比較例1に係る記録媒体は、保護膜形成に当っ
て、アルゴン−窒素の混合ガスの代わりに、アルゴンの
みを用いたことを除いては、実施例1と同一の条件で製
造を行なった。
<C/Nの測定結果の説明> 上述した比較例1に係る記録媒体についても、実施例
1と同一の手順でC/Nを測定した。
その結果、比較例1に係る記録媒体のC/Nは48.0(d
B)であった。
<耐食性試験の手順と測定結果の説明> この比較例1に係る記録媒体についても、実施例1で
説明した耐食性試験条件下、200時間に亙って保持し、
エラーレートとC/Nとの測定により、耐食性を評価し
た。
その結果、エラーレートは実施例1と同様な約3×10
-5程度であり、C/Nは耐食性試験前の値と同じ48.0(d
B)であった。
<屈折率の測定手順と結果> この比較例1に係る保護膜材料についても、実施例1
と同様な条件で試料を別途作製し、エリプソメーターを
用いて、633(nm)の波長における屈折率nを測定し
た。
その結果、BaTiO3から成るターゲットをアルゴンのみ
(窒素含有量0(体積%))をスパッタガスに用いて得
られたチタン酸バリウム系化合物の屈折率nは2.25であ
った。
これら実施例1と比較例1との比較からも理解できる
ように、この発明に係るチタン酸バリウム系窒素化合物
(窒素含有量20(体積%)の混合ガスで成膜したもの)
を保護膜材料に用いることにより、この出願の発明者等
によって提案されているチタン酸バリウム系化合物に比
べて屈折率nは0.5程度向上し、しかも、耐食性の劣化
は認められなかった。
実施例2 次に、光磁気記録媒体を構成する保護膜がチタン酸ス
トロンチウム系窒素化合物(SrTiOXNY)である場合の実
施例につき、前述と同様に説明する。
<製造方法の説明> この実施例2では、BaTiO3から成るターゲットの代わ
りに、SrTiO3から成るターゲットを用いたことを除いて
は、前述の窒素含有量20(体積%)の混合ガスを用いた
保護膜形成を含め、実施例1と同一の条件で記録媒体を
作製した。
<C/Nの測定結果の説明> この実施例2に係る記録媒体のC/N測定に当っても、
前述の実施例1と同一の手順により行なった。
その結果、前述した混合ガスにおける窒素含有量が20
(体積%)の条件で、SrTiO3から成るターゲットを用い
て保護膜形成した実施例2に係る記録媒体のC/Nは49.7
(dB)であった。
<耐食性試験の測定結果の説明> この耐食性試験についても、実施例1と同様に行なっ
た。
その結果、実施例2に係る記録媒体を前述の耐食性試
験条件に200時間に亙って保持した後のエラーレートは
約3×10-5程度であり、C/Nは耐食性試験前の値と同じ4
9.7(dB)であった。
<屈折率の測定結果> この実施例2に係る記録媒体の屈折率測定において
も、実施例1と同様に、シリコンウエハの表面に保護膜
を被着させた試料を別途作製し、エリプソメーターを用
いて、633(nm)の波長における屈折率nを測定した。
その結果、SrTiO3から成るターゲットを窒素含有量20
(体積%)の混合ガスでスパッタして得られたチタン酸
ストロンチウム系窒素化合物の屈折率nは2.73であっ
た。
比較例2 <製造条件の説明> この比較例2に係る記録媒体は、保護膜形成に当っ
て、アルゴン−窒素の混合ガスの代わりに、アルゴンの
みを用いたことを除いては、実施例2と同一の条件で製
造を行なった。
<C/Nの測定結果の説明> 上述した比較例2に係る記録媒体についても、実施例
1及び実施例2と同一の手順でC/Nを測定した。
その結果、比較例2に係る記録媒体のC/Nは47.5(d
B)であった。
<耐食性試験の手順と測定結果の説明> この比較例2に係る記録媒体についても、実施例1及
び実施例2で説明した耐食性試験条件下、200時間に亙
って保持し、エラーレートとC/Nとの測定により、耐食
性を評価した。
その結果、エラーレートは実施例2と同様な約3×10
-5程度であり、C/Nは耐食性試験前の値と同じ47.5(d
B)であった。
<屈折率の測定手順と結果> この比較例2に係る保護膜材料についても、実施例1
及び実施例2と同様な条件で試料を別途作製し、エリプ
ソメーターを用いて、633(nm)の波長における屈折率
nを測定した。
その結果、SrTiO3から成るターゲットを、アルゴンの
み(窒素含有量0(体積%))をスパッタガスに用いて
得られたチタン酸ストロンチウム系化合物の屈折率nは
2.22であった。
これら実施例2と比較例2との比較からも理解できる
ように、この発明に係るチタン酸ストロンチウム系窒素
化合物を保護膜材料に用いることにより、その出願の発
明者等によって提案されているチタン酸ストロンチウム
系化合物に比べて屈折率nは0.5程度向上し、しかも、
耐食性の劣化は認められなかった。
実施例3 次に、光磁気記録媒体を構成する保護膜が、チタン酸
ストロンチウム系窒素化合物(SrTiOXNY)と、チタン酸
バリウム系窒素化合物(BaTiOXNY)との混晶である場合
の実施例につき、前述と同様に説明する。
<製造方法の説明> この実施例3では、BaTiO3とSrTiO3とが1:1の組成比
で構成されるターゲットを用いたことを除いては、前述
の窒素含有量20(体積%)の混合ガスを用いた保護膜形
成を含め、実施例1及び実施例2と同一の条件で記録媒
体を作製した。
<C/Nの測定結果の説明> この実施例3に係る記録媒体のC/N測定に当っても、
前述の実施例1と同一の手順により行なった。
その結果、前述した混合ガスにおける窒素含有量が20
(体積%)の条件で、BaTiO3とSrTiO3との混晶から成る
ターゲットを用いて保護膜形成した実施例3に係る記録
媒体のC/Nは49.7(dB)であった。
<耐食性試験の測定結果の説明> この耐食性試験についても、実施例1と同様に行なっ
た。
その結果、実施例3に係る記録媒体を前述の耐食性試
験条件に200時間に亙って保持した後のエラーレートは
約3×10-5程度であり、C/Nは耐食性試験前の値と同じ4
9.7(dB)であった。
<屈折率の測定結果> この実施例3に係る記録媒体の屈折率測定において
も、実施例1及び実施例2と同様に、シリコンウエハの
表面に保護膜を被着させた試料を別途作製し、エリプソ
メーターを用いて、633(nm)の波長における屈折率n
を測定した。
その結果、前述の混晶から成るターゲットを窒素含有
量20(体積%)の混合ガスでスパッタして得られた、チ
タン酸ストロンチウム系窒素化合物とチタン酸バリウム
系窒素化合物との混晶から成る保護膜材料の屈折率nは
2.74であった。
比較例3 <製造条件の説明> この比較例3に係る記録媒体は、保護膜形成に当っ
て、アルゴン−窒素の混合ガスの代わりに、アルゴンの
みを用いたことを除いては、実施例3と同一の条件で製
造を行なった。
<C/Nの測定結果の説明> 上述した比較例3に係る記録媒体についても、実施例
1及び実施例3と同一の手順でC/Nを測定した。
その結果、比較例3に係る記録媒体のC/Nは48.0(d
B)であった。
<耐食性試験の手順と測定結果の説明> この比較例3に係る記録媒体についても、実施例1及
び実施例3で説明した耐食性試験条件下、200時間に亙
って保持し、エラーレートとC/Nとの測定により、耐食
性を評価した。
その結果、エラーレートは実施例3と同様な約3×10
-5程度であり、C/Nは耐食性試験前の値と同じ48.0(d
B)であった。
<屈折率の測定手順と結果> この比較例3に係る保護膜材料についても、実施例1
及び実施例3と同様な条件で試料を別途作製し、エリプ
ソメーターを用いて、633(nm)の波長における屈折率
nを測定した。
その結果、BaTiO3とSrTiO3との混晶から成るターゲッ
トを、アルゴンのみ(窒素含有量0(体積%))をスパ
ッタガスに用いて得られた、チタン酸ストロンチウム系
化合物とチタン酸バリウム系化合物との混晶から成る保
護膜材料の屈折率nは2.24であった。
これら実施例3と比較例3との比較からも理解できる
ように、この発明に係るチタン酸ストロンチウム系窒素
化合物とチタン酸バリウム系窒素化合物との混晶から成
る保護膜材料を用いることにより、この出願の発明者等
によって提案されているチタン酸ストロンチウム系化合
物とチタン酸バリウム系化合物との混晶から成る保護膜
材料に比べて屈折率nは0.5程度向上し、しかも、耐食
性の劣化は認められなかった。
上述した実施例1〜実施例3では、各々の実施例の特
徴となる保護膜材料を被着するに当って、アルゴン−窒
素から成る混合ガスの窒素含有量を20(体積%)に統一
して説明した。従って、以下の説明においては、図面を
参照し、混合ガスにおける窒素含有量のみを変えて複数
の屈折率測定用試料を作製し、屈折率測定を行なった結
果につき説明する。
第1図は、上述した屈折率の測定結果を説明するた
め、縦軸に屈折率nを取り、横軸に混合ガスにおける窒
素含有量(体積%)を取って示す特性曲線図である。同
図中、曲線Iはチタン酸バリウム系窒素化合物で得られ
た結果、曲線IIはチタン酸ストロンチウム系窒素化合物
で得られた結果、及び曲線IIIはチタン酸バリウム系窒
素化合物とチタン酸ストロンチウム系窒素化合物との混
晶で得られた結果を、各々、表わしている。
まず、曲線Iからも理解できるように、比較例1とし
て説明したように、窒素含有量が0(体積%)の条件で
成膜されるチタン酸バリウム系化合物では屈折率nが2.
25である。これに対して、この出願に係る第二発明の方
法を適用して、混合ガスにおける窒素含有量を増加させ
るに従って、屈折率nの上昇が見て採れる。
例えば、窒素含有量を5(体積%)とした場合には、
屈折率nとして2.52の値が得られ、極くわずかな窒素添
加によって、大きな屈折率の向上を図り得ることが理解
できる。また、このような窒素含有量から、さらに窒素
を増加させて得られた保護膜材料では、窒素含有量10
(体積%)の場合に2.70の屈折率、当該量20(体積%)
の場合には2.75の屈折率が得られた。
上述した窒素含有量の増加との間に見られる屈折率上
昇には、窒素含有量が10〜20(体積%)程度の範囲を境
界として平衡に達する傾向が認められ、例えば窒素含有
量を60(体積%)としたチタン酸バリウム系窒素化合物
では、2.79程度の屈折率が得られた。周知のスパッタ技
術では、窒素含有量を大きく採るほど成膜速度が低くな
るため、この実施例では、60(体積%)を超えた窒素含
有量での試料作製を行なわなかったが、屈折率向上の効
果にのみ注目すれば、上述の値を超えた窒素含有量とし
ても、同等の効果が期待できる。
次に、曲線IIからも理解できるように、比較例2とし
て説明した窒素含有量が0(体積%)の条件で成膜され
るチタン酸ストロンチウム系化合物では屈折率nが2.24
である。これに対して、この発明に係る方法を適用し
て、混合ガスにおける窒素含有量を増加させるに従っ
て、曲線Iの場合と同様に、屈折率nの上昇が見て採れ
る。
前述したチタン酸バリウム系の場合と同様に、チタン
酸ストロンチウム系の場合も、極くわずかな窒素添加に
よって、大きな屈折率の向上を図り得ることがわかる。
例えば、窒素含有量10(体積%)として得られたチタン
酸ストロンチウム系窒素化合物では2.64の屈折率、当該
量20(体積%)の場合には2.74の屈折率が得られた。ま
た、窒素含有量の増加との間に見られる屈折率上昇に
は、曲線Iの場合と同様に平衡に達する傾向が認めら
れ、例えば窒素含有量を60(体積%)とした保護膜材料
では、2.78程度の屈折率が得られた。
従って、前述した曲線Iに係るチタン酸バリウム系の
場合と同様に、曲線IIにより表わされるチタン酸ストロ
ンチウム系の場合も、屈折率向上の効果にのみ注目すれ
ば、上述の値を超えた窒素含有量としても、同等の効果
が期待できる。
さらに、上述した曲線Iで説明した窒素化合物と曲線
IIで説明した窒素化合物との混晶と考えられる、曲線II
Iに係る窒素化合物の場合も、窒素含有量の増加に伴な
って、屈折率の向上を図り得ることが理解できる。
以上、この出願の発明に係る実施例につき、種々の条
件で作製した記録媒体を試料として詳細に説明した。こ
こで、上述した製造方法と、これにより作製された保護
膜の組成との関係につき説明する。
上述した実施例に係る記録媒体は、いずれも、不活性
ガスであるアルゴンと、チタン酸系化合物との反応を積
極的に期待する窒素との混合ガス中で保護膜形成したも
のである。これらの元素構成において、例えばストロン
チウム、バリウム及びチタンといった金属元素について
は、例えばオージェー効果を利用した化学分析技術等を
用いて決定可能であるが、チタン酸系の化合物の場合に
は、気体成分と成り易い酸素を含む構成であるため、厳
密な組成を決定することが難しい。
しかしながら、例えば文献II:「誘電体論」(岡小天
著,第55〜77頁,現代工学社刊)からも理解できるよう
に、例えばMOとTiOX-1との共融によりMTiOX(Mは金属
元素)で表わされるチタン酸系の物質では、上述したMO
が有する屈折率とTiOX-1が有する屈折率との平均によっ
て組成を求めることが可能である。このことは、第1図
に示す曲線I〜IIIからも理解できる。ここで、前述し
た耐食性試験で劣化がないことから、上述したチタン酸
系化合物を、窒素を含む雰囲気中でスパッタして得られ
る保護膜が、気体成分として窒素を含むものではないこ
とが理解できる。
従って、これらの点から、この出願の第二発明に係る
製造方法を適用して得られる保護膜は、各々のターゲッ
ト組成に応じて、チタン酸ストロンチウム系窒素化合物
(SrTiOXNY)及びチタン酸バリウム系窒素化合物(BaTi
OXNY)(但し、Xは0<X<3、Yは0<Y<3の値を
表わす。)のうちから選ばれたいずれか一方の物質また
は双方の混晶から成ることが理解できる。
以上、この発明の実施例につき詳細に説明したが、こ
の発明は上述した実施例にのみ限定されるものではない
こと明らかである。
例えば、上述した実施例においては、この出願の方法
発明に係るスパッタガスとしてアルゴンを用いた場合に
つき説明したが、他の不活性ガスであっても同様の効果
を期待し得る。
また、実施例に係る記録媒体の構造として、第2図に
示す積層関係で構成したものを例示した。しかしなが
ら、この発明の光磁気記録媒体は、特定の積層関係によ
ってのみ効果が得られるものではなく、例えば反射膜ま
たはその他の構成成分を付加して構成した場合であって
も同様の効果を得ることができる。
さらに、上述した実施例では、Tb−Fe−Coから成る磁
性膜を用いた場合につき説明したが、これに限定される
ものではなく、種々のRE−TM合金を用いることができ
る。
また、この発明の特徴となる保護膜のうち、チタン酸
バリウム系窒化化合物とチタン酸ストロンチウム系窒化
化合物との混晶を、これらの原料となるターゲットをB
a:Sr=1:1の組成で構成した場合につき説明した。しか
しながら、このような混晶によって保護膜を形成するに
当り、これら2つの元素の比率は任意好適に変更し得
る。
これら材料、寸法、配置関係、数値的条件及びその
他、上述した特定の条件は、この発明の目的の範囲内
で、任意好適な設計の変更及び変形を行ない得ること明
らかである。
(発明の効果) 上述した説明からも明らかなように、この出願の第一
発明に係る光磁気記録媒体によれば、保護膜材料とし
て、チタン酸ストロンチウム系窒素化合物(SrTiOXNY
及びチタン酸バリウム系化合物(BaTiOXNY)Xは0<X
<3、Yは0<Y<3の値を表わす。)のうちから選ば
れた一方の物質または双方の混晶を用いる構成と成して
いる。これがため、高屈折率を実現することができ、さ
らに耐食性の劣化を来すことがない。
また、この出願の第二発明に係る光磁気記録媒体の製
造方法によれば、窒素を含む混合ガス中で前述した所定
の材料から成るターゲットをスパッタして保護膜形成す
ることにより、第一発明に係る記録媒体を容易に得るこ
とができる。
従って、この出願に係る発明を適用することによっ
て、高屈折率による良好なカーエンハンスメント効果を
有し、しかも耐食性に優れた保護膜が実現でき、信頼性
の高い光磁気記録媒体と当該媒体の製造に好適な方法と
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例を説明するため、縦軸に屈折率を採
り、横軸に、混合ガスにおける窒素含有量(体積%)を
採って示す特性曲線図、 第2図は、従来の技術及び実施例を説明するため、光磁
気記録媒体の一構成例を概略的断面により示す説明図で
ある。 11……基板、13a,13b……保護膜 15……磁性膜、17……光磁気記録媒体。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に、少なくとも、保護膜と磁性膜と
    を具えて成る光磁気記録媒体において、 前記保護膜が、チタン酸ストロンチウム系窒素化合物
    (SrTiOXNY)及びチタン酸バリウム系窒素化合物(BaTi
    OXNY)(但し、Xは0<X<3、Yは0<Y<3の値を
    表わす。)のうちから選ばれたいずれか一方の物質また
    は双方の混晶から成る ことを特徴とする光磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】基板上に、少なくとも、保護膜と磁性膜と
    を具えて成る光磁気記録媒体を製造するに当り、 前記保護膜を、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)及び
    チタン酸バリウム(BaTiO3)のうちから選ばれたいずれ
    か一方または双方から成るターゲットを、不活性ガスと
    窒素との混合雰囲気中でスパッタして被着する ことを特徴とする光磁気記録媒体の製造方法。
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