JP2546497B2 - 電気湯沸器 - Google Patents

電気湯沸器

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JP2546497B2
JP2546497B2 JP5138616A JP13861693A JP2546497B2 JP 2546497 B2 JP2546497 B2 JP 2546497B2 JP 5138616 A JP5138616 A JP 5138616A JP 13861693 A JP13861693 A JP 13861693A JP 2546497 B2 JP2546497 B2 JP 2546497B2
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浩之 篠原
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、電気湯沸器に関し、
さらに詳しくは電気湯沸器における転倒止水構造に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、沸騰型の電気湯沸器の場合、沸
騰時に内容器内において多量の蒸気が発生するため、該
蒸気を本体外へ排出する構造が採用される。この蒸気排
出構造としては、内容器の上部開口を開閉自在に覆蓋す
る蓋体内に蒸気を外部(例えば、蓋体上面側)へ導出する
ための蒸気導出通路を設けるようにしたものがある。と
ころが、前記蒸気導出通路を常時開通状態としておく
と、本体が転倒した場合には、蒸気導出通路を介して熱
湯が外部へ漏出してしまうこととなるため、前記蒸気導
出通路の途中に本体転倒時に該蒸気導出通路を閉止する
転倒止水弁を設けるようにしている(例えば、実開平4
ー49010号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の公知例のもので
は、転倒止水弁としてスライド弁を採用しているが、転
倒止水弁として、図7に示すようなボール弁を採用する
ことも多い。
【0004】図7に示すボール弁タイプの転倒止水弁3
3の場合、上下方向に移動可能とされた球体38と開弁
時に前記球体38を支持する支持部39と前記球体38
の外周を囲繞し且つ下端側が開放され、しかも上壁部4
0aに前記球体38によって開閉される弁孔41を有す
る円筒状の弁室40とを備えて構成されているのが通例
である。
【0005】ところが、弁室40内壁と球体38との間
の隙間tを小さくすれば、球体38の閉弁方向への応答
性が良くなるが、蓋体を急激に閉操作した場合、内容器
内が高温となっているところから、閉蓋時に内容器上部
に閉じ込められた空気が急激に膨張し、その結果蒸気導
出通路内が高圧となって転倒止水弁33における球体3
8が弁孔41に食いついてしまうことがある。このよう
な球体38の食いつきが起きると、内容器内のが異常高
圧となるため、これを防止する目的から、球体38と弁
室40内壁との隙間tを比較的大きく設定しているのが
現状である。
【0006】ところが、球体38と弁室40内壁との隙
間tを大きくとると、球体38の閉弁方向への応答性が
低下することとなり、本体転倒時において、蒸気導出通
路を流れる水流Wが球体38のわきを素通りしてしま
い、転倒止水弁33として十分に作動しない場合が生ず
るという不具合がある。
【0007】本願発明は、上記の点に鑑みてなされたも
ので、本体転倒時において転倒止水弁が良好に作動し得
るようにすることを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明では、上
記課題を解決するための手段として、加熱用の電気ヒー
タ4が付設された有底筒状の内容器3を有する容器本体
1と、前記内容器3の上部開口3aを開閉自在に覆蓋す
る蓋体2とを備え、該蓋体2内には、前記内容器3にお
いて発生した蒸気Sを外部へ導出するための蒸気導出通
路29が形成され、該蒸気導出通路29の途中には、本
体転倒時において前記蒸気導出通路29を閉止する転倒
止水弁33が設けられている電気湯沸器において、前記
転倒止水弁33を、上下方向に移動可能とされた球体3
8と開弁時に前記球体38を支持する支持部39と前記
球体38の外周を囲繞し且つ下端側が開弁時における球
体38の中心Oより下位に位置して開放され、しかも上
壁部40aに前記球体38によって開閉される弁孔41
を有する円筒状の弁室40とを備えて構成するととも
に、前記支持部39に、本体正立時に前記球体38が着
座せしめられ且つ該球体38の直径より小径とされた着
座面45を有し、しかも本体転倒時において前記蒸気導
出通路29を流れる水流Wを前記球体38に対して閉弁
方向の押圧力を作用させるべくガイドする上り勾配の傾
斜ガイド面44を形成するようにしている。
【0009】請求項2の発明では、上記課題を解決する
ための手段として、前記請求項1記載の電気湯沸器にお
いて、前記蓋体2内に、前記内容器3内へ加圧空気を圧
送するためのベロース式のエアーポンプ19を配設する
とともに、前記蒸気導出通路29における転倒止水弁3
3の下流側と前記エアーポンプ19内とを連通路47を
介して連通させ且つ該連通路47に、蒸気圧によっては
閉弁状態を保ち、本体転倒時において蒸気導出通路29
を流れる水流Wの水圧によって開弁する制御弁48を介
設するようにしている。
【0010】請求項3の発明では、上記課題を解決する
ための手段として、前記請求項1記載の電気湯沸器にお
いて、前記蒸気導出通路29における転倒止水弁33の
下流側に第2の転倒止水弁74を介設するようにしてい
る。
【0011】
【作用】請求項1の発明では、上記手段によって次のよ
うな作用が得られる。
【0012】即ち、本体転倒時には、内容器3内の内容
液(例えば、熱湯)が蒸気導出通路29を流れ出ようとす
るが、その時水流Wが転倒止水弁33における傾斜ガイ
ド面44にガイドされて球体38を閉弁方向に押し上
げ、水流Wが弁孔41を通過する前に球体38により弁
孔41が閉止されることとなる。従って、前述したよう
に、球体38の弁孔41への食いつきを防止するために
弁室40内壁と球体38との隙間を大きくとったとして
も、球体38による弁孔41の閉止が遅れるということ
がなくなるのである。
【0013】請求項2の発明では、上記手段によって次
のような作用が得られる。
【0014】即ち、本体転倒時において万が一転倒止水
弁33の動作不良により転倒止水弁33の下流側へ内容
液(例えば、熱湯)が流れだした場合には、制御弁48が
水流Wの水圧によって開作動され、内容液の一部がエア
ーポンプ19内へ導入されることとなる。従って、本体
転倒時に蒸気導出通路29を介して外部へ流出する内容
液の量が可及的に抑えられることとなる。
【0015】請求項3の発明では、上記手段によって次
のような作用が得られる。
【0016】即ち、本体転倒時において万が一転倒止水
弁33の動作不良により転倒止水弁33の下流側へ内容
液(例えば、熱湯)が流れだした場合にも、第2の転倒止
水弁74が閉作動して外部への内容液の流出が防止され
ることとなる。
【0017】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、加熱用の電気
ヒータ4が付設された有底筒状の内容器3を有する容器
本体1と、前記内容器3の上部開口3aを開閉自在に覆
蓋する蓋体2とを備え、該蓋体2内には、前記内容器3
において発生した蒸気Sを外部へ導出するための蒸気導
出通路29が形成され、該蒸気導出通路29の途中に
は、本体転倒時において前記蒸気導出通路29を閉止す
る転倒止水弁33が設けられている電気湯沸器におい
て、前記転倒止水弁33を、上下方向に移動可能とされ
た球体38と開弁時に前記球体38を支持する支持部3
9と前記球体38の外周を囲繞し且つ下端側が開弁時に
おける球体38の中心Oより下位に位置して開放され、
しかも上壁部40aに前記球体38によって開閉される
弁孔41を有する円筒状の弁室40とを備えて構成する
とともに、前記支持部39に、本体正立時に前記球体3
8が着座せしめられ且つ該球体38の直径より小径とさ
れた着座面45を有し、しかも本体転倒時において前記
蒸気導出通路29を流れる水流Wを前記球体38に対し
て閉弁方向の押圧力を作用させるべくガイドする上り勾
配の傾斜ガイド面44を形成して、本体転倒時に内容器
3内の内容液(例えば、熱湯)が蒸気導出通路29を流れ
出ようとする場合に、水流Wが転倒止水弁33における
傾斜ガイド面44にガイドされて球体38を閉弁方向に
押し上げ、水流Wが弁孔41を通過する前に球体38に
より弁孔41が閉止されるようにしたので、前述したよ
うに、球体38の弁孔41への食いつきを防止するため
に弁室40内壁と球体38との隙間を大きくとったとし
ても、球体38による弁孔41の閉止が遅れるというこ
とがなくなり、極めて簡易な手段によって確実且つ円滑
な転倒止水作動が得られるという優れた効果がある。
【0018】請求項2の発明によれば、請求項1記載の
電気湯沸器において、蓋体2内に、前記内容器3内へ加
圧空気を圧送するためのベロース式のエアーポンプ19
を配設するとともに、前記蒸気導出通路29における転
倒止水弁33の下流側と前記エアーポンプ19内とを連
通路47を介して連通させ且つ該連通路47に、蒸気圧
によっては閉弁状態を保ち、本体転倒時において蒸気導
出通路29を流れる水流Wの水圧によって開弁する制御
弁48を介設して、本体転倒時において万が一転倒止水
弁33の動作不良により転倒止水弁33の下流側へ内容
液(例えば、熱湯)が流れだした場合に、制御弁48が水
流Wの水圧によって開作動され、流出内容液の一部がエ
アーポンプ19内へ導入されるようにしたので、本体転
倒時に蒸気導出通路29を介して外部へ流出する内容液
の量が可及的に抑えられることとなり、より一層の安全
性が確保できるという優れた効果がある。
【0019】請求項3の発明によれば、請求項1記載の
電気湯沸器において、蒸気導出通路29における転倒止
水弁33の下流側に第2の転倒止水弁74を介設して、
本体転倒時において万が一転倒止水弁33の動作不良に
より転倒止水弁33の下流側へ内容液(例えば、熱湯)が
流れだした場合にも、第2の転倒止水弁74が閉作動し
て外部への内容液の流出が防止されるようにしたので、
本体転倒時に蒸気導出通路29を介して内容液が外部へ
流出することがなくなり、より一層の安全性が確保でき
るという優れた効果がある。
【0020】
【実施例】以下、添付の図面を参照して、本願発明の幾
つかの好適な実施例を説明する。
【0021】実施例1 図1ないし図3には、本願発明の実施例1にかかる電気
湯沸器が示されている。本実施例は、請求項1および2
の発明に対応するものである。
【0022】本実施例の電気湯沸器は、図2に示すよう
に、加熱用の電気ヒータ4が付設された有底円筒状の内
容器3を有する容器本体1と、前記内容器3の上部開口
3aを開閉自在に覆蓋する蓋体2とを備えて構成されて
いる。本実施例の場合、電気ヒータ4は内容器3の外周
壁下部に設けられている。符号5は保温制御用温度セン
サー、6は温度ヒューズである。
【0023】前記容器本体1の外周側は、板金製の円筒
状の外ケース7と、該外ケース7の上端に対して係合状
態で取り付けられる合成樹脂製の肩部材8と、前記外ケ
ース7の下端に対して係合状態で取り付けられる合成樹
脂製の皿状の底部材9とによって構成されており、前記
肩部材8の後方側および前方側には、前記蓋体2のヒン
ジピン18を係止するヒンジ支持部8aおよび後述する
液体注出通路12の出口である注出口12bが臨ましめ
られる注口10を有する嘴部8bがそれぞれ形成されて
いる。該嘴部8b内は、周方向に所定の幅を有する空間
部11とされている。
【0024】前記内容器3の底面には、内容器3内の液
体(例えば、熱湯)を外部へ注出するための液体注出通路
12の導入口12aが接続されており、該液体注出通路
12は、容器本体1の前方側における内容器3と外ケー
ス7との間の空間を通ってその注出口12bを前記嘴部
8bの注口10に臨ましめられることとなっている。な
お、この液体注出通路12における直管部12cは水位
検知管とされており、外ケース7において該直管部12
cと対応する部位には覗窓13が形成されている。
【0025】そして、前記液体注出通路12の途中(即
ち、前記空間部11に位置する部位)には、本体転倒時
に液体注出通路12を閉止する液体注出通路用転倒止水
弁14が設けられている。該転倒止水弁14は、前記液
体注出通路12の途中に形成され、上壁に弁孔15aを
有する弁室15と、該弁室15内にあって仮想ロート状
のガイドリブ16にガイドされて前記弁孔15aを閉止
すべく斜め上向きにスライド可能とされた弁体17とに
よって構成されている。つまり、弁体17は、本体転倒
時にガイドリブ16にガイドされてスライドし、弁孔1
5aを閉止することとなっており、これによって転倒止
水が達成されることとなっているのである。
【0026】前記蓋体2は、前記容器本体1における肩
部材8のヒンジ支持部8aに対してヒンジピン18を係
止することにより開閉自在に枢支されており、その内部
には、前記内容器3内へ加圧空気を圧送するためのベロ
ーズ式のエアーポンプ19が配設されている。
【0027】該エアーポンプ19は、前記蓋体2の天板
2aの略中央部から下向きに垂設された上下開放状態の
ガイド筒20内にあって、該ガイド筒20に上下動自在
に嵌挿されたポンプ押板21と蓋体2の底板2bとの間
に位置せしめられており、ポンプ天板19aと前記蓋体
底板2bの一部によって構成されるポンプ底板19bとに
ベローズ19cの上下端を溶着せしめることによって構
成されている。前記ポンプ天板19aの中央部には吸気
口22が形成されており、該吸気口22にはエアーポン
プ19の圧縮時に吸気口22を閉止するフックバルブタ
イプの吸気弁23が設けられている。一方ポンプ底板1
9bには吐出口24が形成されており、該吐出口24に
はエアーポンプ19の膨張時に吐出口24を閉止し、エ
アーポンプ19の圧縮時に吐出口24を開放する吐出弁
25が設けられている。該吐出弁25は、エアーポンプ
19の圧縮時に後に詳述する蒸気導出通路29の途中を
閉止する閉止弁としても作用することとなっており、前
記吸気弁23との間にはエアーポンプ19の圧縮時に吐
出弁25を開方向に作動させるためのスプリング26が
介設されている。符号27はベローズ19cを膨張方向
に付勢するスプリング、49はポンプ押板21の作動を
ロックするロック機構、50は蓋体2をロックするロッ
ク機構である。
【0028】また、前記蓋体2は、前記蓋体底板2bの
下面に取り付けられ、前記内容器3の上部開口3aを覆
蓋する板金製の蓋板28を備えている。
【0029】しかして、前記蓋体2内には、前記蓋板2
8に形成された蒸気入口30から蓋体底板2bと蓋板2
8との間の空間を通り、蓋体天板2aにおける後部(換言
すれば、枢支部やや前方)に開口された蒸気出口31に
通ずる蒸気導出通路29が形成されている。ここで蒸気
入口30は本体転倒時の内容液流出口ともなる。
【0030】該蒸気導出通路29は、内容器3内におい
て発生する蒸気Sを外部へ導出することにより、内容器
3内の圧力が異常に上昇して液体注出通路12を介して
内容液(例えば、熱湯)が注出口12bから不用意に注出
されることのないようにするために設けられるものであ
って、蓋体底板2bと蓋板28との間の空間に配設され
た合成樹脂製の通路構成部材32(図3参照)により通路
長が長くなるように構成されている。
【0031】前記通路構成部材32は、前記蓋板28と
の間にあって蒸気入口30に連通する第1の部屋29a
を形成する環状部32aと、前記第1の部屋29aと蒸気
導出通路用転倒止水弁33を介して連通される第2の部
屋29bを蓋体底板2bと共同して形成するとともに、該
第2の部屋29bと連通孔34を介して連通される環状
の第3の部屋29cを蓋体底板2bより垂設された垂下壁
35と共同して形成する環状部32bと、前記第3の部
屋29cの後部から蒸気出口31の直下とを連通させる
樋状の第4の部屋29dを蓋体底板2bと共同して形成す
る樋状部32cとによって構成されている。つまり、内
容器3内において発生した蒸気Sを導出する蒸気導出通
路29は、第1の部屋29a、第2の部屋29b、第3の
部屋29c、第4の部屋29dおよび蒸気出口31の直下
に位置する第5の部屋29eとによって構成されてお
り、このことにより通路長を可及的に長くすることがで
きることとなっている。なお、前記連通孔34は、エア
ーポンプ19の吐出口24と対向せしめられる位置に形
成されており、エアーポンプ19の圧縮時には吐出弁2
5によって閉止されることとなっている。この時、蒸気
導出通路29の第1および第2の部屋29a,29bはエ
アーポンプ19からの加圧空気の通路ともなる。
【0032】前記蒸気導出通路29における第5の部屋
29eの下端部には、口縁にシール部材37が付設され
た開口36が形成されており、該開口36は、蓋体2の
閉蓋時にはシール部材37が肩部材8に当接されること
により閉塞状態とされ、蓋体2の開蓋時には開放状態と
されて蒸気導出通路29にたまった水を内容器3内へ返
し戻すように作用することとなっている。符号42は前
記肩部材8において前記開口36と対応する位置に設け
られた沸騰検知用の温度センサーである。
【0033】前記転倒止水弁33は、図1に示すよう
に、上下方向に移動可能とされた球体38と、開弁時に
前記球体38を支持する支持部39となる蓋板28の一
部と、前記球体38の外周を囲繞し且つ下端側が開弁時
における球体38の中心Oより下位に位置して開放さ
れ、しかも上壁部40aに前記球体38によって開閉さ
れる弁孔41を有する円筒状の弁室40とを備えて構成
されたボール弁タイプとされている。符号43は弁室4
0の内周壁に形成された球体案内用のガイドリブであ
る。
【0034】そして、前記支持部39には、本体正立時
に前記球体38が着座せしめられ且つ該球体38の直径
より小径とされた着座面45を有し、しかも本体転倒時
において前記蒸気導出通路29を流れる水流Wを前記球
体38に対して閉弁方向の押圧力を作用させるべくガイ
ドする上り勾配の傾斜ガイド面44が形成されている。
本実施例の場合、前記傾斜ガイド面44は、蓋板28に
形成された孔(内容液流出口となる孔)46の口縁46a
を斜め上向きに傾斜せしめてなる傾斜面によって構成さ
れており、該口縁46aの上端が前記着座面45を構成
することとなっている。
【0035】なお、前記エアーポンプ19の底板19b
には、前記蒸気導出通路29における転倒止水弁33の
下流側となる第2の部屋29bとエアーポンプ19内と
を連通させる連通路47が形成されており、該連通路4
7には、蒸気圧によっては閉弁状態を保ち、本体転倒時
において蒸気導出通路29を流れる水流Wの水圧によっ
て開弁する制御弁48が介設されている。符号48aは
制御弁48の開作動を促すべく水流Wの水圧を受け止め
る受圧片である。
【0036】上記のように構成された電気湯沸器では、
転倒時において次のような作用が得られる。
【0037】本体転倒時には、内容器3内の内容液(例
えば、熱湯)が蒸気導出通路29を流れ出ようとする
が、その時水流Wが転倒止水弁33における傾斜ガイド
面44にガイドされて球体38を閉弁方向に押し上げ、
水流Wが弁孔41を通過する前に球体38により弁孔4
1が閉止されることとなる。従って、前述したように、
球体38の弁孔41への食いつきを防止するために弁室
40内壁と球体38との隙間を大きくとったとしても、
球体38による弁孔41の閉止が遅れるということがな
くなるのである。従って、本体転倒時における内容液の
外部への流出が確実に防止できることとなるのである。
【0038】なお、本体転倒時において万が一転倒止水
弁33の動作不良により転倒止水弁33の下流側へ内容
液(例えば、熱湯)が流れだした場合であっても、制御弁
48が水流Wの水圧によって開作動され、流出内容液の
一部がエアーポンプ19内へ導入されることとなる。従
って、本体転倒時に蒸気導出通路29を介して外部へ流
出する内容液の量が可及的に抑えられることとなり、よ
り一層の安全性が確保できる。
【0039】実施例2 図4には、本願発明の実施例2にかかる電気湯沸器にお
ける転倒止水弁部分の構造が示されている。本実施例
は、請求項1および2の発明に対応するものである。
【0040】本実施例の場合、球体38を開弁時に支持
する支持部39は、蓋板28とは別体構成とされてい
て、上面に球体38を支持する着座面45を有し且つ該
着座面45の外周から下方に延びる上り勾配の傾斜ガイ
ド面44を有する略円錐台状部材とされており、該支持
部39の外周には、弁室40の側壁下端に対して係合さ
れ且つ弁室40内へ通ずる通孔51を有するリング体5
2が一体に形成されている。その他の構成および作用効
果は実施例1と同様なので重複を避けて説明を省略す
る。
【0041】実施例3 図5および図6には、本願発明の実施例3にかかる電気
湯沸器が示されている。本実施例は、請求項1および3
の発明に対応するものである。
【0042】本実施例の電気湯沸器においては、容器本
体1が、外ケース7、肩部材8および底部材9を含む外
容器ユニットXと、内容器3および液体注出通路12を
含む内容器ユニットYとに分割されており、内容器ユニ
ットYが外容器ユニットXに対して着脱自在とされてい
る。
【0043】前記外容器ユニットXの内周面は、前記肩
部材8に対して上端縁を係止固定された有底円筒状の中
容器53で構成されており、該中容器53の前面側にお
いて外ケース7の覗窓13と対応する部分には、水位検
知管12cを透視するための開口64が形成されてい
る。
【0044】前記中容器53の内底部には、略円盤形状
の電気ヒータ4が配設されている。該電気ヒータ4およ
び前記中容器53の中央部には、円形の穴54,55が
それぞれ形成されており、これらの穴54,55を貫通
した状態で、内容器3の温度を検知するためのセンサー
ユニット56が配設されている。
【0045】該センサーユニット56は、円筒ケース5
7と、該円筒ケース57内に上下動自在に嵌装されたセ
ンサー支持具58と、該センサー支持具58に支持され
且つ前記円筒ケース57の上方に突出せしめられる温度
センサー59と、前記センサー支持具58を上方に付勢
するスプリング60とによって構成されている。該温度
センサー59の上端部中央には、内容器3の温度を検知
する検知部として作用するサーミスタ61が埋設されて
いる。符号62は前記温度センサー59からの温度情報
を得て電気ヒータ4に対して適宜制御信号を出力するマ
イコン基板である。
【0046】前記電気ヒータ4の上面は上に凸な円弧状
を呈しており、内容器ユニットYを装着した状態におい
ては、内容器3の底面が電気ヒータ4の上面に密接に接
合載置されることとなっている。つまり、本実施例の場
合、内容器3の底面3bも上に凸な円弧状を呈している
のである。そして、内容器底面3bの中央部には、前記
温度センサー59が当接される円形突部65が形成され
ている。
【0047】また、前記肩部材8の嘴部8bの前面側に
はスイッチ基板63が配設されている。
【0048】一方、前記内容器ユニットYにおいては、
内容器3の上端縁を係止固定するとともに内容器ユニッ
トYの着脱時における把持部となる略環状の支持枠66
が設けられており、該支持枠66の前面側には、液体注
出通路12を保護する保護枠67が一体に形成されてい
る。該保護枠67において外ケース7の覗窓13と対応
する部分には、水位検知管12cを透視するための開口
68が形成されている。なお、本実施例の場合、液体注
出通路12の導入口12aは内容器3の側壁下部に接続
されている。
【0049】本実施例の場合、エアーポンプ19の吸気
弁23は、ポンプ天板19aの周辺部に形成された吸気
口22を開閉する舌状弁とされている。符号69は吸気
弁23を支持するための支持杆である。また、エアーポ
ンプ19の吐出弁25は、ポンプ底板19bに対して上
下方向に相対移動可能に配設された円筒状の切換弁70
内に配設された舌状弁とされている。本実施例の場合、
該切換弁70内の通路が吐出口24を構成することとな
っている。符号71は切換弁70の下端とポンプ底板1
9bとの間をシールするシール部材、72は切換弁70
を下向きに付勢するスプリング、73は切換弁70内へ
加圧空気を導入するための空気穴である。
【0050】一方、本実施例の蒸気導出通路29および
転倒止水弁33は、実施例1のものと同構造とされてい
る。そして、本実施例の場合、前記切換弁70は、エア
ーポンプ19の作動時には下動して転倒止水弁33の弁
孔41を吐出口25に連通させ、エアーポンプ19の非
作動時には上動して転倒止水弁33の弁孔41を蒸気導
出通路29に連通させるように作用する。つまり、エア
ーポンプ19の作動時においては加圧空気が、吐出口2
5、転倒止水弁33の弁孔41、蒸気導出通路29の第
1の部屋29aおよび蒸気入口30を通って内容器3内
へ圧送され、エアーポンプ19の非作動時においては内
容器3内の蒸気が、蒸気入口30、蒸気導出通路29お
よび蒸気出口31を通って外部へ導出されることとなっ
ているのである。
【0051】上記のように構成されたエアーポンプ19
は次のように作用する。
【0052】即ち、ポンプ押板21を手で押し下げてエ
アーポンプ19を所定量だけ圧縮した後にポンプ押板2
1から手を放しても、吐出弁25が内容器3内の圧力に
よって閉弁するため内容器3内の圧力が低下することが
なく、エアーポンプ19内へは吸気弁23の開作動によ
って新たな空気が供給されるため、その後のポンプ押板
21の押し下げによって加圧空気の内容器3への圧送が
行える。つまり、エアーポンプ19を全ストローク作動
させなくとも、ポンプ押板21の小刻みな作動によって
連続的に加圧空気の圧送が行えるのである。
【0053】しかして、本実施例においては、前記蒸気
導出通路29における転倒止水弁33の下流側(具体的
には、第5の部屋29eの下部)に第2の転倒止水弁74
が介設されている。該第2の転倒止水弁74は、上下方
向に移動可能とされた球体75と、開弁時に前記球体7
5を支持する支持部76と、前記球体75の外周を囲繞
し且つ上壁部77aに前記球体75によって開閉される
弁孔78を有する円筒状の弁室77とを備えて構成され
たボール弁タイプとされている。符号79は弁室77の
内周壁に形成された球体案内用のガイドリブである。
【0054】上記のように構成したことにより、本体転
倒時において万が一転倒止水弁33の動作不良により転
倒止水弁33の下流側へ内容液(例えば、熱湯)が流れだ
した場合にも、第2の転倒止水弁74が閉作動して外部
への内容液の流出が防止される。従って、本体転倒時に
蒸気導出通路29を介して内容液が外部へ流出すること
がなくなり、より一層の安全性が確保できるのである。
その他の構成および作用効果は実施例1と同様なので重
複を避けて説明を省略する。
【0055】本願発明は、上記各実施例の構成に限定さ
れるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲におい
て適宜設計変更可能なことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の実施例1にかかる電気湯沸器におけ
る転倒止水弁部分の構造を示す断面図(換言すれば、図
3におけるI−I断面相当図)である。
【図2】本願発明の実施例1にかかる電気湯沸器の縦断
面図である。
【図3】本願発明の実施例1にかかる電気湯沸器におけ
る蒸気導出通路を構成する通路構成部材の斜視図であ
る。
【図4】本願発明の実施例2にかかる電気湯沸器におけ
る転倒止水弁部分の構造を示す断面図である。
【図5】本願発明の実施例3にかかる電気湯沸器の縦断
面図である。
【図6】本願発明の実施例3にかかる電気湯沸器におけ
る容器本体の分離状態を示す縦断面図である。
【図7】従来の電気湯沸器における転倒止水弁部分の構
造を示す断面図である。
【符号の説明】
1は容器本体、2は蓋体、3は内容器、3aは上部開
口、4は電気ヒータ、19はエアーポンプ、28は蓋
板、29は蒸気導出通路、30は蒸気入口、31は蒸気
出口、33は転倒止水弁、38は球体、39は支持部、
40は弁室、40aは上壁部、41は弁孔、45は着座
面、44は傾斜ガイド面、47は連通路、48は制御
弁、74は第2の転倒止水弁。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加熱用の電気ヒータ(4)が付設された有
    底筒状の内容器(3)を有する容器本体(1)と、前記内容
    器(3)の上部開口(3a)を開閉自在に覆蓋する蓋体(2)
    とを備え、該蓋体(2)内には、前記内容器(3)において
    発生した蒸気(S)を外部へ導出するための蒸気導出通路
    (29)が形成され、該蒸気導出通路(29)の途中には、
    本体転倒時において前記蒸気導出通路(29)を閉止する
    転倒止水弁(33)が設けられている電気湯沸器であっ
    て、前記転倒止水弁(33)を、上下方向に移動可能とさ
    れた球体(38)と開弁時に前記球体(38)を支持する支
    持部(39)と前記球体(38)の外周を囲繞し且つ下端側
    が開弁時における球体(38)の中心(O)より下位に位置
    して開放され、しかも上壁部(40a)に前記球体(38)
    によって開閉される弁孔(41)を有する円筒状の弁室
    (40)とを備えて構成するとともに、前記支持部(39)
    には、本体正立時に前記球体(38)が着座せしめられ且
    つ該球体(38)の直径より小径とされた着座面(45)を
    有し、しかも本体転倒時において前記蒸気導出通路(2
    9)を流れる水流(W)を前記球体(38)に対して閉弁方
    向の押圧力を作用させるべくガイドする上り勾配の傾斜
    ガイド面(44)を形成したことを特徴とする電気湯沸
    器。
  2. 【請求項2】 前記蓋体(2)内には、前記内容器(3)内
    へ加圧空気を圧送するためのベロース式のエアーポンプ
    (19)を配設するとともに、前記蒸気導出通路(29)に
    おける転倒止水弁(33)の下流側と前記エアーポンプ
    (19)内とを連通路(47)を介して連通させ且つ該連通
    路(47)には、蒸気圧によっては閉弁状態を保ち、本体
    転倒時において蒸気導出通路(29)を流れる水流(W)の
    水圧によって開弁する制御弁(48)を介設したことを特
    徴とする前記請求項1記載の電気湯沸器。
  3. 【請求項3】 前記蒸気導出通路(29)における転倒止
    水弁(33)の下流側に第2の転倒止水弁(74)を介設し
    たことを特徴とする前記請求項1記載の電気湯沸器。
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