JP2546000B2 - シールド掘進機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は後方で孔壁にライニングを施しながら掘進
するシールド掘進機に関するものである。

（発明が解決しようとする課題） シールド掘進機の後方で場所打ちのコンクリートによ
りライニングを施しながらシールド孔を形成する方法は
従来、コンクリートの打設後にこれを早期に硬化させて
妻型枠を脱型する目的で、妻型枠全体を同時に後方へ押
圧することによりコンクリートを加圧，脱水する、とい
う要領で施工されるが、シールド掘進機にはこの打設後
のコンクリートを加圧するためのジャッキを本体の掘進
のための推進ジャッキとは別に装備する必要があるため
ライニング用の機構が複雑化しており、操作の煩雑化と
施工性の低下を招く結果となっている。

この発明はライニングを行うシールド掘進機にライニ
ングのコンクリートを加圧する機能を持たせる場合に、
加圧用のジャッキを装備することに伴う問題に着目して
なされたもので、簡素な機構で、操作性のよい掘進機を
提案するものである。

（課題を解決するための手段） 本発明では本体の後方に接続するテールプレートの内
周側に組み立てられる、シールド孔の周方向に複数個に
分割された内型枠と推進ジャッキとの間にライニングの
妻面を塞ぐ妻型枠を配置し、この妻型枠に推進ジャッキ
を接続することにより、妻型枠を本体の進行方向後方へ
押圧してライニングのコンクリートを加圧する機能を推
進ジャッキに兼ねさせ、推進ジャッキの他にコンクリー
トを加圧するためのジャッキを装備することを不要に
し、シールド掘進機の機構を簡素化し、操作性と施工性
の向上を図る。

妻型枠は内型枠とライニングの妻面間に跨り、各内型
枠の進行方向前方側に位置する推進ジャッキと内型枠と
の間に配置される。

推進ジャッキは内型枠に反力を取りながら本体を掘進
させる本来の機能の他、妻型枠に接続されることにより
妻型枠を本体の進行方向後方へ押圧し、ライニングのコ
ンクリートを加圧する機能を併せ持つ。

ライニングは内型枠と本体の後方に接続するテールプ
レート間にコンクリートを打設することにより孔壁に施
される。

（実施例） この発明のシールド掘進機Ａは第１図に示すように先
端の切羽ａで掘削を行い、後方で現場打ちのコンクリー
ト１により孔壁にライニングを施すと共に、本体の周囲
に配置される推進ジャッキ２によりライニングのコンク
リート１を加圧する毎に掘進するものである。

ライニングはシールド掘進機Ａ本体の後方に接続する
テールプレート４と、その内周側に組み立てられる内型
枠５との間にコンクリート１を打設することにより施さ
れる。ライニングと孔壁間にはモルタル等の裏込材８が
充填される。内型枠５は第４図に示すようにシールド孔
の周方向に複数個に分割される。

推進ジャッキ２は第１図，第４図に示すように各内型
枠５の進行方向前方側に位置し、推進ジャッキ２と内型
枠５との間には内型枠５とライニングの妻面間に跨り、
ライニングの妻面を塞ぐ妻型枠３が配置される。妻型枠
３には隣接するライニングのコンクリート1,1を一体化
するジョイント筋９を挿入するための挿入孔3aが明けら
れる。

図示する実施例では妻型枠３を内型枠５と等数に分割
しているが、各妻型枠３毎に推進ジャッキ２が接続され
る。推進ジャッキ２は妻型枠３に、内型枠５の厚みの範
囲内で接続されることにより掘進時に内型枠５に反力を
取りながらシールド掘進機Ａを掘進させる。

第１図中、６は掘削土砂を排出するためのスクリュー
コンベアを、７は内型枠５を組み立てるためのエレクタ
ーをそれぞれ示す。

第１図，第２図では推進ジャッキ２をそのストローク
を調整する調整ジャッキ10を介して妻型枠３に接続して
いるが、調整ジャッキ10は必須ではない。

調整ジャッキ10は第２図に示すように推進ジャッキ２
と内型枠５間で推進ジャッキ２と同一軸線上に連結さ
れ、調整ジャッキ10の先端には内型枠５に直接当接し、
これを押圧するスプレッダー11が接続される。第３図−
I,II,IIIは第２図のそれぞれＸ−Ｘ線,Y−Ｙ線,Z−Ｚ線
の矢視図である。

推進ジャッキ２はテールプレート４と内型枠５及び妻
型枠３に囲まれた空間にコンクリート１が充填された
後、妻型枠３を本体の進行方向後方へ押圧することによ
りライニングのコンクリート１を加圧する。

ここで第５図によりシールド掘進機Ａの掘削からライ
ニングまでの１サイクルの操作要領を説明する。

まず一区分のライニングが完了した後、内型枠５を解
体すると同時に、推進ジャッキ２を収縮させて次の施工
区分まで妻型枠３を切羽ａ側へ引き込む（Ｉ）。このと
き調整ジャッキ10によりスプレッダー11も引き込められ
ている。

次に妻型枠３からジョイント筋９を差し込んだ状態で
ライニングのための鉄筋12を組み立て（II）、その内側
にエレクター７により内型枠５を組み立て、推進ジャッ
キ2,または必要により調整ジャッキ10を伸長させ、妻型
枠３に接続しているスプレッダー11を選択しながらこれ
を既設の内型枠５に押し付け、新規の内型枠５を固定す
る（III）。

このとき推進ジャッキ2,調整ジャッキ10,スプレッダ
ー11,妻型枠2,内型枠３が固定された状態となり、切羽
ａにかかっている圧力は内型枠３に伝達され、更に後方
のライニングのコンクリート１に伝わることによりシー
ルド掘進機Ａのバックリングが防止されることになる。

以上のＩ〜IIIの作業を周回する全妻型枠３について
行い、シールド掘進機Ａのバックリングを防ぎながら妻
型枠３と推進ジャッキ２の盛り替えを行う。

全妻型枠３と推進ジャッキ２の盛り替え終了後、内型
枠５と妻型枠３間にコンクリート１を打設する（IV）。

コンクリート１の打設終了後、調整ジャッキ10を弛め
ながら推進ジャッキ２を伸ばして妻型枠３のみを押圧
し、コンクリート１を加圧する（Ｖ）。

所定の圧力が導入されたところで調整ジャッキ10を固
定し、推進ジャッキ２を伸長させながら掘削を行い、シ
ールド掘進機Ａ本体を掘進させる（VI,VII）。このとき
同時にライニングの背面側に裏込材８の注入を行う。

（発明の効果） シールド掘進機本体を掘進させる掘進ジャッキをライ
ニングのコンクリートの加圧用に兼用させたものである
ため、推進ジャッキの他にコンクリートを加圧するため
のジャッキを装備する必要がなくなり、シールド掘進機
の機構が簡素化され、操作性と施工性が向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図はシールド掘進機本体を示した断面図、第２図は
第１図の一部拡大図、第３図−I,II,IIIは第２図のそれ
ぞれＸ−Ｘ線,Y−Ｙ線,Z−Ｚ線断面図、第４図は妻型枠
の盛り替えの様子を示した斜視図、第５図−Ｉ〜VIIは
ライニングの施工要領を示した断面図である。 Ａ……シールド掘進機、ａ……切羽、１……コンクリー
ト、２……推進ジャッキ、３……妻型枠、3a……挿入
孔、４……テールプレート、５……内型枠、６……スク
リューコンベア、７……エレクター、８……裏込材、９
……ジョイント筋、10……調整ジャッキ、11……スペレ
ッダー、12……鉄筋。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】本体の後方に接続するテールプレートの内
   周側に組み立てられる、シールド孔の周方向に複数個に
   分割された内型枠とテールプレート間にコンクリートを
   打設して孔壁にライニングを施し、各内型枠の進行方向
   前方側に位置する推進ジャッキが内型枠に反力を取りな
   がら本体を掘進させるシールド掘進機であり、推進ジャ
   ッキと内型枠との間には内型枠とライニングの妻面間に
   跨り、ライニングの妻面を塞ぐ妻型枠が配置され、推進
   ジャッキはこの妻型枠に接続され、妻型枠を本体の進行
   方向後方へ押圧してライニングのコンクリートを加圧す
   る機能を兼ねていることを特徴とするシールド掘進機。