JP2951895B2 - 現場打ちライニング型シールド工法 - Google Patents

現場打ちライニング型シールド工法

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JP2951895B2
JP2951895B2 JP8220492A JP22049296A JP2951895B2 JP 2951895 B2 JP2951895 B2 JP 2951895B2 JP 8220492 A JP8220492 A JP 8220492A JP 22049296 A JP22049296 A JP 22049296A JP 2951895 B2 JP2951895 B2 JP 2951895B2
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利博 奥村
匡剛 安本
司 橋本
清 倉林
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は現場打ちライング型
のシールド工法の改良に関する。
【0002】
【背景技術及び発明が解決しようとする課題】シールド
工事においては、その工事費中に占めるセグメント費用
の割合が多い。そこで、セグメントを用いずに、直接コ
ントクリートを打設してライニングを構築する工法があ
り、この工法は、現場打ちライニング工法と呼ばれてい
る。
【0003】この現場打ちライニング工法の1つとし
て、シールド掘進機の筒状テールプレートを外枠として
用いると共に、この筒状テールプレートの内側に、内型
枠を組立てるものがある。この工法では、テールプレー
トと内型枠との間に形成されたリング状の空間内にコン
クリートを打設し、その後、シールド掘進を行いながら
コンクリートをテールボイドに充填するという作業を行
ないトンネルを構築していく。
【0004】しかし、このような従来工法では、一定の
強度に硬化したコンクリートがシールド掘進機の筒型テ
ールプレート内に充満することになるため、シールド掘
進機の直進はできるが、曲進はできず、従来のセグメン
トシールド工法のようなカーブ施工ができないという問
題があった。
【0005】また、前記従来の工法では、テールプレー
トと内型枠との間の狭い空間内において十分な止水機構
を設けることができなかった。このため、高水圧下での
工事を行う場合には、打設したコンクリートが高水圧に
耐え得る強度まで十分に自立・固化した後でなければシ
ールド掘進機を前進させることができず、工期の短縮が
できないという問題があった。
【0006】また、前述したカーブ施工対策を施したシ
ールド掘進機として、例えば特開平1-256700号公報にか
かる提案も知られており、この従来技術は、シールド掘
進機の筒型テールプレートの内側に、比較的薄肉の鋼板
によって形成した筒状のインナープレートを設け、この
インナープレートの方向を制御することによりシールド
掘進機の曲進を可能とするものである。
【0007】しかし、この従来技術は、前述した問題の
1つを解決し、カーブ施工を可能とするものではある
が、高水圧対策は何ら講じられておらず、カーブ施工お
よび高水圧対策という2つの問題を同時に解決すること
はできない。
【0008】本発明は、このような従来の課題に鑑みて
なされたものであり、その目的は、カーブ施工ができ、
かつ高水圧にも十分に対応することが可能な現場打ちラ
イニング型シールド工法を提供することある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明にかかる現場打ちライニングシールド工法は
以下の各工程を含むことを特徴とする。
【0010】 シールド掘進機の筒型テールプレート
の内側に位置しかつ掘削方向に移動可能な筒型移動プレ
ートの内側に内型枠を組む工程。
【0011】 この筒型移動プレートと内型枠との間
の空間内にプレスジャッキで1次加圧しながら覆工用の
急硬性コンクリートを打設する工程。
【0012】 打設された急硬性コンクリートが所定
の強度を得た時点で、前記筒型移動プレートをトンネル
掘削方向に移動し、ライニングと筒型テールプレートと
の間に筒型テールプレートが曲進可能な移動用クリアラ
ンスを形成する工程。
【0013】請求項2の発明は、請求項1において、以
下の工程を更に含むことを特徴とする。
【0014】 前記内型枠に当接したシールドジャッ
キを伸長させ、その反力でシールド掘進機を前進させる
とともに、シールド掘進機の前進によって生じたテール
ボイドへ充填用のコンクリートを打設し、プレスジャッ
キで前記覆工用の急硬性コンクリートを2次加圧する工
程。
【0015】請求項3の発明は、請求項1、2のいずれ
かにおいて、前記の内型枠を組む工程に先立って、前
記筒型移動プレートと前記内型枠の組み付け予定位置と
の間の空間内に、鉄筋の組み付けを行うことを特徴とす
る。
【0016】次に本発明の作用を説明する。
【0017】本発明においては、シールド掘進機の筒型
テールプレートの内側に、掘削方向に移動可能な筒型移
動プレートを設け、打設された工用コンクリートが所
定の強度を得た時点で、この筒型移動プレートをトンネ
ル掘削方向へ移動させる。これにより、前記コンクリー
トが自立して形成されたライニングと筒型テールプレー
トとの間に、筒型テールプレートが曲進可能な移動用ク
リアランスを形成することができる。
【0018】従って、本発明によれば、現場打ちライニ
ング型のシールド掘進機を、そのテールプレートとライ
ニングとの干渉により、ライニングを破損させることな
くその進行方向を変えることができる。
【0019】さらに、本発明によれば、前記工用コン
クリートとして急硬性コンクリートを用いることによ
り、コンクリートを打設してから、それが高水圧に耐え
られるのに十分な強度を有するよう自立するまでの時間
が極めて短時間となる。このため、コンクリートの打設
終了後、比較的短時間でシールド掘進機を前進させるこ
とができる。従って、高水圧下でのトンネル工事を行う
場合でも、掘削したトンネル内壁面に比較的短時間でラ
イニングを形成していくことができ、工期の短縮を図る
ことができる。
【0020】特に、請求項2の発明は、覆工用の急硬性
コンクリートに対する加圧を、急硬性コンクリートがラ
イニングとして自立するまでの間行う一次加圧と、テー
ルボイド充填用のコンクリートを打設すると共に行う二
次加圧に分けて行う構成を採用している。
【0021】これにより、一次加圧時には、打設された
急硬性コンクリートから余分な水分が除去され、コンク
リートがライニングとして自立できるまでの時間を短縮
することができる。さらに、二次加圧では、自立してい
るライニングや、二次打設された充填用コンクリートか
らの脱水を促進させ、このコンクリート強度をより効果
的に増加させることができる。
【0022】この結果、高水圧下における工事の安全性
を確実に保持し、かつ期間を大幅に短縮することが可能
となる。
【0023】また、請求項3の発明は、鉄筋先組型の工
法を採用する場合に好適である。
【0024】
【発明の実施の形態】次に本発明の好適な実施例を図面
に基づき詳細に説明する。
【0025】図3には、本発明にかかる現場打ちライニ
ング型シールド掘進機の好適な実施例が示されている。
実施例の掘進機10は、筒状のシールド用スキンプレー
ト12の前面に、カッタ14が設けられ、このカッタ1
4を回転駆動することにより、切羽100の掘削を行う
ものである。
【0026】前記筒状のスキンプレート12の後端側に
は、中折れ部18を介して筒状の筒型テールプレート2
0が設けられている。
【0027】図4には、このシールド掘進機10の筒型
テールプレート20部分の一部拡大図が示されている。
【0028】前記筒型テールプレート20の後端側内周
面には、既に自立したライニング200の外周面と当接
し周囲の地山110からシールド内部への水の侵入を防
止する止水部材が設けられている。
【0029】この止水部材としては、必要に応じ各種の
ものを用いることができるが、本実施例では筒型テール
プレート20の内周面をリング状に覆うよう形成された
止水ブラシ22を、3段にわたって設けている。そし
て、この止水ブラシ22の間にグリース23を充満させ
ることにより水の侵入を確実に防いでいる。なお、前記
グリース23の補充は、止水ブラシ22に設けられた図
示しないグリース供給口を介して行われる。
【0030】また、このシールド掘進機10は、筒型テ
ールプレート20の内側に鉄筋30を組立て、さらにそ
の内側に内型枠24を着脱自在に組立てるよう構成され
ている。そして、筒型テールプレート20と内型枠24
との間に形成された空間内に、フレッシュコンクリート
を打設するものである。
【0031】さらに、実施例のシールド掘進機10は、
シールドジャッキ28およびプレスジャッキ34を有す
る。前記シールドジャッキ28は、スプレッダ 26を
介して内型枠24の端部と当接し、その反力をもってシ
ールド掘進機10を推進させるものである。また、前記
プレスジャッキ34は、筒型テールプレート20と内型
枠24内に打設されたフレッシュコンクリートをプレス
リング32を用いて加圧し、余剰の水を取除き、コンク
リートの硬化を促進させるものである。
【0032】なお前述したフレッシュコンクリートの打
設は、プレスリング32に設けられたコンクリート投入
口36を介して行われる。また、図中33は妻枠を表し
ている。
【0033】本実施例では、前記フレッシュコンクリー
トとして、急硬性コンクリートを用いており、これによ
り打設されたコンクリートが、高い水圧に耐えるようラ
イニングとして自立する迄の時間を短縮することが可能
となる。
【0034】このような急硬性コンクリートとしては、
初期強度の発現を早めるよう処理れたコンクリートで
あるならば、必要に応じ各種のものを用いることができ
る。本実施例では、初期強度の発現を早めるための急硬
材を用いたものが使用される。
【0035】このタイプの急硬性コンクリートの具体例
として、実施例では下表のものが用いられ、図5にはそ
の初期強度特性が示されている。
【0036】
【表1】 また、本実施例では、前記テールプレート20の内側
に、掘進方向に移動可能な筒型移動プレート40を設
け、テールプレートを筒型二重構造としている。ここで
は、前記移動プレート40は、内型枠24の長さより幾
分長めに形成されており、移動用ジャッキ42を用い
て、内型枠1個分の距離だけ掘進方向へ移動可能に形成
されている。
【0037】これにより、テールプレート20と内型枠
24との間に打設された急硬性コンクリートが所定の耐
水圧を有するライニングとして自立した段階で、この移
動プレート40を掘進方向へ移動することにより、筒型
テールプレート20とライニングとの間にシールド掘進
機10が曲進可能なクリアランスを形成することができ
る。これにより、シールド掘進機10は曲進する場合で
も、テールプレート20が、打設されたコンクリート
(ライニング)とし干渉してコンクリートを破壊するこ
とはない。
【0038】また、実施例のシールド掘進機では、筒型
テールプレート20の外周面に2次打設配管44が設け
られ、シールド掘進機10が前進した際、テールプレー
ト20の後方に発生するテールボイドに、フレッシュコ
ンクリートを打設するよう構成されている。
【0039】本実施例は以上の構成からなり、次にその
作用を説明する。
【0040】実施例のライニング型シールド工法では、
前述したシールド掘進機10を用いて、直打ちコンクリ
ート200(ライニング)と、止水ブラシ22との当接
によって地下水圧を防ぎ、内型枠24を反力として、シ
ールドジャッキ28を用いて掘進しながら、切羽100
の掘削を行うものである。
【0041】図1(A)〜(D)、図2(E)、(F)
にはこの現場打ちライニング型シールド工法の一連の工
程が示されている。
【0042】図1(A)は、直打ちされたコンクリート
200が所定の耐水圧をもつように自立するのを待っ
て、シールドジャッキ28およびプレスジャッキ34を
引き戻し、鉄筋および内型枠の組立て用空間を確保した
状態を表している。
【0043】この状態では、前記移動プレート40は、
シールド掘進機10の後端側へ伸長した状態に制御され
ている。
【0044】次に、図1(B)に示すよう、ユニット化
された鉄筋30を、主筋30aは重ね継手、配力筋30
bはクリップ継手31を用いて組立てる。
【0045】次に、図1(C)に示すよう、解体清掃し
た内型枠24を、例えばトロリー等を用いて運搬し、エ
レクタ等を用いて鉄筋30の内側に移動プレート40と
相対向するように組立てる。
【0046】そして、シールドジャッキ28のスプレッ
ダ26を内型枠24の先端に当接するようセットすると
共に、プレスリング32が移動プレート40と内型枠2
4とにより囲まれたリング状の空間と相対向するようプ
レスジャッキ34をセットする。
【0047】次に、図1(D)に示すよう、プレスリン
グ 32に設けられたコンクリート投入口36から急硬
性コンクリートをフレッシュコンクリートとして打設し
ながら、プレスリング32を用いて打設された急硬性コ
ンクリートを1次加圧する。これにより、打設された急
硬性コンクリート210からは余剰な水分が除去され、
コンクリートの硬化が促進される。
【0048】本発明では、このようにフレッシュコンク
リートとして急硬性コンクリートを用いることにより、
打設されたコンクリート210が所定の耐水圧を有する
ライニングとして自立する迄の時間を大幅に短縮し、工
期の短縮を図ることができる。
【0049】そして、打設された急硬性コンクリート2
10が所定の耐水圧を有するように自立した時点で、図
2(E)に示すよう筒型移動プレート40を掘進方向へ
移動する。
【0050】これにより、自立した急硬性コンクリート
210、すなわちライニングと、筒型テールプレート2
0との間には曲進可能なクリアランス300がほぼ均一
に形成されることになる。
【0051】前記クリアランス300の大きさは、移動
プレート40の厚さを変えることにより任意に設定する
ことができる。
【0052】次に、図2(F)に示すよう、シールドジ
ャッキ28を用いて、シールド掘進機10を水圧やカー
ブ施工等に対応しながら掘進させる。このとき、筒型テ
ールプレート20も同時に前方へ移動するが、テールプ
レート20とコンクリート210との間には前述したク
リアランス300があるため、シールド掘進機10が曲
進するような場合でも、テールプレート20とコンクリ
ート210とが干渉することなく、曲進を支障なく行う
ことが可能となる。
【0053】さらに、このようなシールド掘進機10が
前方へ移動する際、周囲の地山110から高い水圧が加
わっても、十分に自立したコンクリート210,200
と止水ブラシ22との当接によりシールド内部は密閉さ
れているため、水の侵入を防ぐことができる。
【0054】また、このようにシールドジャッキ28を
用いてシールド掘進機10を前進させると、テールプレ
ート20の後方にテールボイドが生じる。
【0055】実施例の装置は、2次打設配管44からこ
のテールボイドに急硬性コンクリートをフレッシュコン
クリートとして打設し、さらにプレスリング34を用い
てコンクリート210を二次加圧し、コンクリート21
0や二次打設されたフレッシュコンクリートの脱水を促
進させ、コンクリート強度の促進を図っている。
【0056】本実施例の現場打ちライニング型シールド
工法では、このような一連の工程を繰返し行うことによ
り、高水圧という工事環境下でも、さらにカーブ施工と
いう要求に対しても十分に対応しながらトンネル内壁に
ライニングを形成することができる。
【0057】なお、本発明は前記実施例に限定されるも
のではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が
可能である。
【0058】例えば、前記図1、2に示す一連の工程で
は、鉄筋先組型の工程を例にとり説明したが、本発明は
これに限らず、これ以外の施工を行う場合にも適用可能
であることはいうまでもない。
【0059】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく現場打ちライニング型シールド
工法の一連の工程を示す説明図である。
【図2】本発明に基づく現場打ちライニング型シールド
工法の一連の工程を示す説明図である。
【図3】本実施例に用いられるシールド掘進機の好適な
一例を示す断面概略説明図である。
【図4】図3に示すシールド掘進機の要部説明図であ
る。
【図5】本実施例に用いる急硬性コンクリートの初期強
度特性図である。
【符号の説明】
10 シールド掘進機 12 スキンプレート 20 筒型テールプレート、 22 止水ブラシ 24 内型枠、 26 スプレッダ 28 シールドジャッキ 32 プレスリング 34 プレスジャッキ 40 移動プレート 42 移動ジャッキ 200,210 コンクリート 300 クリアランス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 倉林 清 東京都中央区京橋1丁目7番1号 戸田 建設株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−21996(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E21D 11/10 E21D 9/06 301

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の各工程を含むことを特徴とする現
    場打ちライニング型シールド工法。 シールド掘進機
    の筒型テールプレートの内側に位置しかつ掘削方向に移
    動可能な筒型移動プレートの内側に内型枠を組む工程。
    この筒型移動プレートと内型枠との間の空間内にプ
    レスジャッキで1次加圧しながら覆工用の急硬性コンク
    リートを打設する工程。 打設された急硬性コンクリ
    ートが所定の強度を得た時点で、前記筒型移動プレート
    をトンネル掘削方向に移動し、ライニングと筒型テール
    プレートとの間に筒型テールプレートが曲進可能な移動
    用クリアランスを形成する工程。 前記内型枠に当接
    したシールドジャッキを伸長させ、その反力でシールド
    掘進機を前進させるとともに、シールド掘進機の前進に
    よって生じたテールボイドへ充填用のコンクリートを打
    設し、プレスジャッキで前記覆工用の急硬性コンクリー
    トを2次加圧する工程。
  2. 【請求項2】 請求項において、 前記の内型枠を組む工程に先立って、前記筒型移動プ
    レートと前記内型枠の組み付け予定位置との間の空間内
    に、鉄筋の組み付けを行うことを特徴とする現場打ちラ
    イニング型シールド工法。
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