JP2545321B2 - 平滑筋収縮抑制剤 - Google Patents

平滑筋収縮抑制剤

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JP2545321B2
JP2545321B2 JP4222764A JP22276492A JP2545321B2 JP 2545321 B2 JP2545321 B2 JP 2545321B2 JP 4222764 A JP4222764 A JP 4222764A JP 22276492 A JP22276492 A JP 22276492A JP 2545321 B2 JP2545321 B2 JP 2545321B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、平滑筋収縮抑制剤、よ
り詳しくは、4−エチルグアヤコールを有効成分として
含有する平滑筋収縮抑制剤に関する。
【0002】
【従来技術】従来から、平滑筋収縮抑制作用ないし鎮痙
作用を有する化合物として、フロログルシノールが知ら
れている(メルクインデックス第11版第1163
頁)。しかしながら、その活性は必ずしも十分ではな
い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、活性の高い
平滑筋収縮抑制剤を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、従来技術に
おける上記問題点に鑑み、フロログルシノールの類縁化
合物、特に多価フェノール類や置換フェノール類等の各
種のフェノール化合物検索した結果、これら化合物のう
ちでも、特に4−エチルグアヤコールが、極めて優れた
平滑筋収縮抑制活性を具備していることを見出した。本
発明は、この知見に基づき完成されたものである。
【0005】即ち、本発明は、4−エチルグアヤコール
を有効成分として含有する平滑筋収縮抑制剤を提供する
ものである。
【0006】本発明の有効成分である4−エチルグアヤ
コールは、別名2−メトキシ−4−エチルフェノールと
も呼ばれ、化1で示される公知の化合物である。
【0007】
【化1】
【0008】4−エチルグアヤコールは、公知の方法に
従い容易に製造することができ、また、すでに市販され
ている。
【0009】本発明では、上記4−エチルグアヤコール
を、一般的な医薬製剤の形態で用いる。製剤は、通常使
用される薬学的に許容される賦形剤ないし希釈剤を用い
て常法に従い調製される。本発明の製剤は、治療目的に
応じて各種の形態とすることができ、その代表的なもの
として、錠剤、丸剤、散剤、カプセル剤、顆粒剤、内用
液剤等の経口投与に適した剤型、注射剤等の血管内投
与、筋肉内投与、皮下又は皮内投与等に適した剤型及び
坐剤等の直腸内投与に適した剤型等を挙げることができ
る。
【0010】錠剤、顆粒剤、散剤の形態に調製する際に
は、従来公知の担体を広く使用でき、例えば、乳糖、白
糖、ブドウ糖、でんぷん、結晶セルロース等の賦形剤、
例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロ
ース、ゼラチン、トラガント、アラビアゴム、アルギン
酸ナトリウム等の結合剤、例えばでんぷん、カルボキシ
メチルセルロース、炭酸カルシウム等の崩壊剤、例えば
ステアリン酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸等の
滑沢剤等が使用できる。
【0011】錠剤は、必要に応じて、通常の剤皮を施す
こともでき、例えば糖衣錠、フィルムコーティング錠と
することができ、さらに二層錠、多層錠としてもよい。
顆粒剤や散剤も通常の剤皮を施すことができる。
【0012】丸剤の形態に調製するには、やはりこの分
野で従来から公知の各種担体を用いることができ、例え
ば、甘草末、ブドウ糖、小麦粉等の賦形剤、例えばグリ
セリン、水、シロップ、アラビアゴム、トラガント、ゼ
ラチン等の結合剤、薬用酵母、アロールート、ラミナリ
ア末等の崩壊剤等が使用される。
【0013】カプセル剤の形態に調製するには、この分
野で従来から公知の各種担体、例えば、乳糖、オリーブ
油、大豆油等の賦形剤が使用される。
【0014】内用液剤は、水性又は油性懸濁液、溶液、
シロップ、その他の形態であってもよい。このような液
体製剤には、普通に用いられる添加剤、例えば、懸濁化
剤例えばソルビットシロップ、メチルセルロース、ゼラ
チン、カルボキシメチルセルロース、乳化剤例えばレシ
チン、アラビアゴム等が使用できる。
【0015】注射剤の形態に調製するには、組成物は懸
濁液、溶液、油性又は水性ビヒクル中の乳液のような形
態であってもよく、懸濁化剤、安定化剤及び分散剤のよ
うな処方剤を含んでいてもよい。
【0016】坐剤の形態に調製するには、従来公知の担
体を広く使用できる。例えばカカオ脂、グリセロゼラチ
ン、マクロゴール等の基剤が使用できる。坐剤には必要
に応じて乳化剤、懸濁化剤が使用できる。更に本発明の
製剤には、必要に応じて、着色剤、香味剤等を添加する
こともできる。
【0017】本発明の製剤中に含有される4−エチルグ
アヤコールの量は、特に制限されず適宜選択すればよい
が、一般に、製剤全重量の0.2〜60%程度とされ
る。
【0018】本発明の医薬製剤の投与量は、患者の性
別、年齢、体重、症状の程度等により適宜選択される
が、一般に、経口投与及び直腸内投与の場合には、成人
に対し、有効成分である4−エチルグアヤコールを1日
あたり体重1kgに対して1〜500mg程度、好まし
くは2〜100mg程度、より好ましくは2〜25mg
程度とすればよい。
【0019】注射剤として非経口的に投与する場合、一
般に成人に対し有効成分である4−エチルグアヤコール
を一日当り体重1kgに対して0.2〜300mg程
度、好ましくは0.2〜50mg程度、より好ましくは
0.5〜5mg程度とすればよい。なお、本発明の製剤
は、1日に2〜4回程度に分けて投与してもよい。
【0020】
【発明の効果】本発明の製剤は、有効成分である4−エ
チルグアヤコールの優れた平滑筋収縮抑制作用に基づ
き、各種の平滑筋、例えば、腸管、胆管、尿管、胃、子
宮、血管等の収縮を抑制する。
【0021】その結果、人及び動物において、平滑筋の
収縮抑制が必要な諸症状、例えば、胃幽門部や腸のけい
れん、胆道の緊張性のジスキネジア、胆管結石、胆のう
結石、尿路結石、月経痛による痛みの緩和に有効であ
り、また、平滑筋である腸管の運動を抑制するので腸管
運動亢進に基づく下痢又は腹痛等の治療に有効である。
【0022】
【実施例】以下に、製剤例及び薬理試験の結果を示す。
【0023】 製剤例1 丸剤 成 分 量(mg) 4−エチルグアヤコール 50 カンゾウ 25 グリセリン 10 常水 50 処方量の各成分を練合し、その丸薬塊を切丸機で分割
し、成丸機で成丸し、1丸中4−エチルグアヤコール5
0mgを含有する丸剤を調製した。
【0024】 製剤例2 カプセル剤 成 分 量(mg) 4−エチルグアヤコール 100 でんぷん 250 4−エチルグアヤコールとでんぷんとを混合して、混合
末とし、硬カプセルに充填して、1カプセル中に4−エ
チルグアヤコール100mgを含有するハードカプセル
剤を調製した。
【0025】 製剤例3 カプセル剤 成 分 量(mg) 4−エチルグアヤコール 100 オリーブ油 200 4−エチルグアヤコールをオリーブ油に溶解して溶液を
得、ソフトカプセルに充填して、1カプセル中に4−エ
チルグアヤコール100mgを含有するソフトカプセル
剤を調製した。
【0026】 製剤例4 錠剤 成 分 量(mg) 4−エチルグアヤコール 150 乳糖 250 メチルセルロース 3 ステアリン酸マグネシウム 2 カロボキシメチルセルロース 10 上記処方となるようにステアリン酸マグネシウム以外の
各成分を混合し、これを水と混練して顆粒とし、この顆
粒を乾燥後、ステアリン酸マグネシウムと混合して圧縮
成型するか、或は、上記処方の各成分を混合して、直接
圧縮成型して、1錠415mgの錠剤を調製した。
【0027】 製剤例5 注射剤 成 分 量(mg) 4−エチルグアヤコール 50 注射用蒸留水 2ml 4−エチルグアヤコール50mgを注射用蒸留水に溶解
させた後、密封及び滅菌をして注射剤を調製した。
【0028】薬理試験1 体重150〜200gのウィスター系雌性ラットを24
時間絶食させ、ペントバルビタールナトリウム(体重1
kg当り30mg)を筋肉内注射して、麻酔した。腹部
を正中切開し、小腸を取り出し、回盲部から15cmを
除き、回腸を約4cmの片として切除した。この回腸片
をタイロード液で洗浄し、次いで空気を一晩通気して飽
和させたタイロード液50mlを満たしたマグヌスチェ
ンバー(KN−207,夏目社製,東京)内に吊した。
この時、タイロード液は37℃に維持し、空気を毎秒
0.2mlの速さで流した。回腸片の自発的収縮を、等
張性ヘーベルを用いてキモグラフ(キモグラフィオン
KN−215,夏目社製)上で記録した。
【0029】上記マグヌスチェンバー内に表1に記載の
フェノール化合物を各々3分毎に累積的に投与し、その
都度、腸管の収縮を測定した。腸管の収縮の程度は各投
与量における主要ピークの平均高さとして測定し、各フ
ェノール化合物の投与量が0g/mlの時の平均ピーク
高さ(100%)に対するパーセンテージとして、各投
与量の収縮率を算出し、収縮が50%抑制される各フェ
ノール化合物濃度、即ちIC50を求めた。結果を表1に
示す。
【0030】
【表1】
【0031】ほとんどのフェノール化合物のIC50は、
10-5〜10-4g/mlのオーダーであるのに対し、4
−エチルグアヤコールのIC50のみが10-6g/mlの
オーダーである。
【0032】従って、4−エチルグアヤコールは、腸管
収縮抑制作用が特に高く、優れた平滑筋収縮抑制剤であ
ることが判る。
【0033】薬理試験2 作動薬(アゴニスト)として働くアセチルコリン、セロ
トニン、プロスタグランディンE1 、E2 、F1α、F
2α、ブラジキニン又はヒスタミンにより誘発された腸
管収縮に対する4−エチルグアヤコールの抑制効果を、
上記薬理試験1と同様の装置で測定した。但し、空気の
代わりに95%酸素5%二酸化炭素混合ガスを流した。
【0034】上記薬理試験1と同様にして得たウィスタ
ーラットの回腸片をマグヌスチェンバー内に吊し、タイ
ロード液内に神経伝達阻害物質のテトロドトキシンを最
終濃度が0.5μMとなる様に添加後、30分間平衡化
する。アセチルコリンを最終濃度0.7μMとなるよう
に、マグヌスチェンバー内に加え、腸管収縮のピーク高
さを測定する(コントロール)。
【0035】次に、上記回腸片を洗浄後、4−エチルグ
アヤコールを最終濃度33μMになるようにタイロード
液中に加え、この時の収縮のピーク高さを測定する。
【0036】以下、同様にして回腸片を洗浄後、4−エ
チルグアヤコールの最終濃度が66μM、165μM、
330μM、660μMとなるよう各々投与した場合の
アセチルコリン0.7μMによって誘発される各収縮の
ピーク高さを測定した。コントロールのピーク高さ(1
00%)に対する各4−エチルグアヤコール濃度におけ
るピーク高さのパーセンテージを算出し、こうして得ら
れた4−エチルグアヤコール濃度−収縮曲線からアセチ
ルコリンによる収縮を50%抑制するのに要する4−エ
チルグアヤコール濃度IC50を求めた。
【0037】以下、セロトニン、プロスタグランディン
1 、E2 、F1α、F2α、ブラジキニン、ヒスタミ
ンについても、最終濃度をセロトニン10μM、プロス
タグランディン類1μM、ブラジキニン0.1μM、ヒ
スタミン100μMとする以外は、上記アセチルコリン
と同様の方法でIC50を測定した。
【0038】結果を下記表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】表2から明らかなように、4−エチルグア
ヤコールは各アゴニストによって引き起こされる腸管収
縮に対して、抑制効果を示す事が判る。
【0041】薬理試験3 (a) 薬理試験1と同様にして得たウィスターラット
の回腸片を、カルシウムフリー溶液(塩化カルシウムを
除いて作成したタイロード液)で洗浄し、1時間浸し
た。上記薬理試験2と同様の装置(但し、マグヌスチェ
ンバー内にはカルシウムフリー液50mlを満たし
た。)に、該回腸片を吊し、エチレングリコールビス
(β−アミノエチルエーテル)−N,N,N′,N′−
四酢酸(EGTA)を最終濃度0.1mMとなるように
加え、テトロドトキシンを最終濃度0.5μMとなるよ
うに加えた。30分間平衡化した後、塩化カリウムを最
終濃度22.7mMとなるように加添加し、腸管収縮が
起こらない事を確認後、塩化カルシウムを累積投与し
た。各投与毎に生じた腸管収縮の程度をキモグラフ上で
測定した。結果を図1に示す。
【0042】図1より、カルシウムの増加に伴い、腸管
収縮も増加する事が確認された。腸管収縮がカルシウム
濃度に依存しているという事は、腸管収縮が平滑筋によ
るものである事を示している。
【0043】(b) 上記薬理試験2と同様の方法で、
アセチルコリンの代わりに塩化カリウムを最終濃度2
2.7mMとなるように加え、カリウム脱分極による収
縮に対する4−エチルグアヤコールの抑制効果を測定し
た。収縮率を、薬理試験1と同様に4−エチルグアヤコ
ールの投与量が0Mの時の平均ピーク高さ(100%)
に対するパーセンテージとして求めた。結果を図2に示
す。
【0044】(c) 次に、上記(b)と同様の方法
で、塩化カリウムの代わりにカルシウムイオノフォアで
あるイオノマイシンを最終濃度1μMとなるように添加
し、4−エチルグアヤコールによるイオノマイシン誘発
収縮の抑制効果を測定した。収縮率を、薬理試験1と同
様に4−エチルグアヤコールの投与量が0Mの時の平均
ピーク高さ(100%)に対するパーセンテージとして
求めた。結果を図3に示す。
【0045】塩化カリウムを添加すると、カリウム脱分
極を起こし平滑筋の細胞膜のカルシウムチャンネルが開
かれ、細胞内のカルシウムイオン濃度が上昇し、収縮が
誘発される。
【0046】一方、イオノマイシンは、平滑筋の細胞膜
においてカルシウムが細胞外から細胞内へ流入するため
の担体として働き、細胞内のカルシウムイオン濃度を上
げ、収縮を起こす。
【0047】図2及び図3に示すように、4−エチルグ
アヤコールはこれらの作用の異なる両方の収縮を抑制す
る。よって、4−エチルグアヤコールは、平滑筋の運動
を抑制する鎮痙作用を有する事が判る。
【図面の簡単な説明】
【図1】薬理試験3(a)の結果を示すキモグラフであ
る。
【図2】薬理試験3(b)の結果を示すグラフである。
【図3】薬理試験3(c)の結果を示すグラフである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 4−エチルグアヤコールを有効成分とし
    て含有する平滑筋収縮抑制剤。
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