JP2544720B2 - 偏向巻線に偏向電流を発生させる装置 - Google Patents

偏向巻線に偏向電流を発生させる装置

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JP2544720B2 JP60272368A JP27236885A JP2544720B2 JP 2544720 B2 JP2544720 B2 JP 2544720B2 JP 60272368 A JP60272368 A JP 60272368A JP 27236885 A JP27236885 A JP 27236885A JP 2544720 B2 JP2544720 B2 JP 2544720B2
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Description

【発明の詳細な説明】 この発明は共振回路中の電流を切換えるためのスイッ
チに関するものである。
〔発明の背景〕
偏向装置の従来構造の出力段は、一般に、3つの並列
接続された分枝回路を持っている。第1の分枝回路は、
掃引期間中掃引共振回路を形成する偏向巻線と掃引コン
デンサとの直列回路を含む。第2の分枝回路は、帰線期
間中に偏向巻線と共に帰線共振回路を形成する帰線コン
デンサを含んでいる。第3の分枝回路は、偏向巻線中に
掃引電流及び帰線電流を発生するように働くスイッチを
含んでいる。
このスイッチが非導通の際、エネルギは帰線期間の第
1の半期間中には偏向巻線から帰線コンデンサに転送さ
れ、第2の半期間中には帰線コンデンサから偏向巻線へ
と転送される。
掃引期間の第1の半期間中には、エネルギは偏向巻線
からこのスイッチのダンパダイオード電流路を介して掃
引コンデンサに転送され、第2の半期間中にはこのスイ
ッチのバイポーラトランジスタを介して掃引コンデンサ
から偏向巻線へ転送される。
本願発明の目的は高速スイッチングを提供するととも
に高電圧フライバック電圧に耐え得るような、インダク
タンスの両端間に周期的な共振パルス電圧を発生させる
装置を提供することにある。特に周知のカスコード増幅
器の構成を使用しながら後述するブートストラップコン
デンサによって引き起こされる場合のある、掃引の開始
時に本来直線的な電流波形に歪みを生じさせるような偏
向電流のリンギングを防止することが可能な装置を提供
することにある。
〔発明の概要〕
この発明の1つの面によれば、掃引期間の第2の半期
間中に掃引電流を導通させるためにカスコード構成のス
イッチが用いられる。ここでこの「カスコード」とは周
知のカスコード増幅器を意味し、上記カスコード構成と
は第1のバイポーラトランジスタと、多数キャリヤ装
置、例えば、MOS電界効果トランジスタ(FET)、のよう
な第2のトランジスタとを備えた構成である。
この発明の実施にあたっては、第1のトランジスタの
エミッタは、例えば、FETの主電流端子、例えば、ドレ
ン電極に接続される。掃引電流は第1のトランジスタの
コレクタからFETのドレンを通ってFETのソースへ流れ
る。スイッチング制御電圧がスイッチのスイッチング時
間を制御するFETのゲートに供給される。FETは、共通エ
ミッタ構成に接続したバイポーラトランジスタでは難し
い高速スイッチングを可能にする性質を持っている。こ
のFETの性質によって、この発明のカスコード構成スイ
ッチは、例えば64KHzというような高い周波数で動作す
る偏向回路中で用いるのに適している。さらに、ゲート
が非常に高い入力インピーダンスを持っていることによ
り、駆動回路を簡単にすることができる。
帰線期間中、スイッチは非導通となり、スイッチが非
導通になることにより偏向巻線の掃引電流が遮断される
ことによってスイッチの両端間に発生する高い帰線電圧
が第1のトランジスタのベース−コレクタ接合の両端間
にかかる。第1のトランジスタの特徴はその降服電圧が
高いことにある。従って、高電圧の第1のトランジスタ
のエミッタ回路中に例えばFETのような低電圧高速スイ
ッチングトランジスタを用いることにより、総合的に高
電圧高速度カスコードスイッチが出来る。
この発明のもう一つの面によれば、スイッチのダンパ
ダイオードが導通しており、FETが導通していない時、
掃引の第1の半期間中第1のトランジスタのベースに蓄
積電荷が供給される。この蓄積電荷が第1のトランジス
タをターンオンさせる。掃引の第2の半期間中、FETが
導通している時、掃引の第1の半期間中に蓄積されたベ
ースにおける蓄積電荷が第1のトランジスタの導通状態
を維持させ、掃引電流がそのコレクタからエミッタを通
ってターンオンしたFETのドレンに流れる。蓄積電荷がF
ETのターンオンに先立ってベース領域に注入されるの
で、第1のトランジスタのエミッタ電流がFETのターン
オンの瞬間に流れ、高速低電力スイッチング動作が得ら
れる。掃引の終りにFETがターンオフされると、第1の
トランジスタのベース領域に蓄積されている電荷は急速
に放電される。
この発明のカスコードスイッチ装置の使用は偏向回路
に限られない。パルス発生共振回路の電流を切換えるよ
うな構成、例えば、高電圧発生用の電力源などの他の構
成にも使用可能である。
この発明によれば、インダクタンスの両端間に周期性
共振パルス電圧を発生する構成が、互いに直列カスコー
ド構成に接続された第1と第2のスイッチング手段を含
む可制御スイッチング装置を備えている。このカスコー
ド装置はインダクタンスに第1の電圧を供給してエネル
ギを蓄積させる。周期的スイッチング信号が第2のスイ
ッチング手段に供給される。スイッチング信号の各サイ
クルにはターンオン部分とターンオフ部分とがある。タ
ーンオフ部分の開始により第2のスイッチング部分が非
導通となり、これによってインダクタンスと共振キャパ
シタンスとによって共振回路が形成されることが可能と
なり、この共振回路が、この回路の端子に現われる交流
電圧の第1の期間中に、上記端子に共振パルス電圧を発
生させる。可制御スイッチング装置が、上記第1の期間
の終りに、スイッチング信号のターンオン期間の開始に
先立って、共振パルス電圧の発生を終了させるダンパ動
作を与える。ダンパ動作が行われている間、第1のスイ
ッチング手段の制御電極に制御電流が供給され、もって
第2のスイッチング手段の導通期間中、インダクタンス
からの電流が第1のスイッチング手段を介して流れるこ
とが出来る。
〔実施例の説明〕
第1図の構成において、コンデンサC3によって濾波さ
れた調整済の電圧B+がフライバック変成器T1の1次巻
線W1の一方の端子40に供給されている。巻線W1の中間に
あるタップ端子41がトランジスタQ1とダンパダイオード
D1とよりなるスイッチ35に結合されている。ダンパダイ
オードD1と帰線コンデンサCrとがそれぞれ端子41とアー
ス(共通導体)との間に接続されている。
偏向巻線LH1及びLH2の並列構成の一方の端子が変成器
T1の1次巻線W1の一端に結合されオートトランス装置を
形成している。直線性誘導子L1とR5とを含む並列構成が
端子46と47の間に結合されている。掃引コンデンサCs
端子47とアースとの間に接続されている。コンデンサCs
は掃引電圧現として機能し、スイッチ35の導通時に掃引
の後半期間に偏向巻線LH1及びLH2のインダクタンスにエ
ネルギを蓄積させる。
ツェナーダイオードZ1がトランジスタQ1のベースとア
ースとの間に接続されている。変成器T1の2次巻線W3の
端子42が、電流制限抵抗R4と直列のダイオードD2を介し
てトランジスタQ1のベースに結合されており、後述する
ように、掃引の第1半期間中、ベースに蓄積電荷を供給
する。
抵抗R3がトランジスタQ1のベース電流ibの小量分を供
給する。抵抗R3は+15V電源とトランジスタQ1のベース
との間に接続されている。抵抗R3は、偏向回路30が抵抗
R4を通してベース電流を供給することが出来ない時、例
えば、ターンオン時、あるいは起動(スタートアップ)
時にベース電流ibを供給する。
トランジスタQ1のエミッタはFETQ2のドレンに結合さ
れ、直列カスコードスイッチング構成を形成している。
第1図には示されていないが入力複合ビデオ信号の水
平同期パルスに同期したタイミングユニットから得られ
る水平周波数電圧V4fHが駆動回路20を通して抵抗R2の一
端に供給されてスイッチング信号Vgを発生する。抵抗R2
の他端はFETQ2のゲートに接続されている。水平ライン
偏向周波数は標準(NTSC)周波数fH=15.75KHzよりかな
り高い。例えば、このライン偏向周波数は4fH=63KHzと
すればよい。
2次巻線W4の端子44は抵抗R1と整流ダイオードD3との
直列接続体を介してコンデンサC2の端子48に接続されて
いる。端子48とアースと間の電圧が抵抗R6とR7を含む分
圧器の両端間に供給され、CRT(図示せず)にスクリー
ン電圧Sを供給する。
第2図a〜hは第1図の偏向回路30の動作の説明に供
する波形図である。第1図に使用されているものと同じ
参照符号は同じ素子及び機能を示す。
第2図eとhにおける時間tbr、即ち帰線の開始時に
おいて、FETQ2のゲートに供給されている第1図の電圧V
gによってFETQ2のドレンからソースへ流れる電流ieの電
流路が遮断される。第2図のeとdに示すように、第1
図のトランジスタQ1のエミッタとコレクタを流れる電流
ieとicとは時間tbrの直後に急速に0に減少する。逆方
向コレクタ電流によってトランジスタQ1のベースにおけ
る電荷が一掃されることにより、第2図fに示すよう
に、ツェナーダイオードZ1が降服導通状態となる。ツェ
ナーダイオードZ1はその後、R3からの電流と残留逆方向
コレクタ電極電流との総合作用により、降服導通状態に
維持される。さらに、第1図のトランジスタQ1のベース
−エミッタ接合の逆降服によって、エミッタ電圧Veが、
第2図gに示すように急速に上昇する。
帰線電流idfによる偏向巻線LH1及びLH2からのエネル
ギ転送の結果、第1図のコンデンサCrの両端間に第2図
aの帰線電圧Vcが現われる。フライバック変成器T1のオ
ートトランス構成によって、偏向巻線LH1及びLH2の端子
43の帰線電圧は電圧Vcよりも高くなる。一方トランジス
タQ1のコレクタを流れる電流icは偏向電流idfよりも大
きい。これは変成器T1が巻線巻回数比(N1-N2)/N1の巻線
比を有することによる。但し、ここで、N1は端子40と43
の間の巻回数、N2はタップ端子41と端子43との間の巻線
部分W2の巻回数である。この変成器T1の巻線比の構成は
帰線期間中のトランジスタQ1のコレクタの電圧Vcを低く
するために使用されている。
帰線の終了時である時間terでは、第2図aのコンデ
ンサCrの電圧Vcは第1図の偏向巻線LH1及びLH2並びに変
成器T1を介して完全に放電されている。共振パルス電圧
Vcの発生と、共振コンデンサCrと偏向巻線LH1及びLH2
インダクタンスとにより形成されている帰線共振回路の
端子43における共振パルス電圧の発生とがダンパダイオ
ードD1によって終了させられる。偏向巻線LH1とLH2中の
偏向電流は、第2図bの電流iD1として順バイアスされ
ているダイオードD1を流れ、さらに、第2図cとdに示
すベース電流ibと逆方向コレクタ電流icとしてトランジ
スタQ1のベース・エミッタ接合に直列の順バイアスされ
たツェナーダイオードZ1を流れる。第2図cに示したベ
ース電流波形は負を基準にして示した電流−ibである。
従って、Q1のベースに正の電流が流入する場合は、第2
図の電流波形はOAのレベルよりも下になる。
第1図のツェナーダイオードZ1及びトランジスタQ1は
第2図dの時間tdまで偏向掃引電流idfを導通させるよ
うにターンオンが遅い種類のダイオードD1を補助する。
ダイオードD1が完全にターンオンした後、時間tdから時
間thtまで、第1図のダイオードD1は偏向掃引電流iD1
大部分を導通させる。
第2図a〜hでは、掃引期間の中間に近い時間tht
おいて、第1図の偏向掃引電流idf及びダイオードD1を
流れる電流id1は夫々0になる。電流がフライバック変
成器T1の1次巻線W1のタップ端子41から左の方に流れは
じめる。
この発明の一面によれば、2次巻線W3の両端間に発生
する電圧Vsは、第2図aの略時間ter、即ち掃引の開始
から掃引の終了時点である時間tdr′までトランジスタ
Q1のベースに蓄積電荷を供給する。これは、1次巻線W1
の両端間の掃引電圧が2次巻線W3の誘起電圧Vsを端子42
において正極性になるようにすることによる。電圧Vs
ダイオードD2をターンオンさせもって抵抗R4に正の電流
isが流れるにようにし、この電流isは抵抗R3を流れる小
さな電流と合流されて正のベース電流ibを供給する。
トランジスタQ1に正のベース電流が供給される期間
は、ダイオードD1が順バイアスされかつカスコード構成
のトランジスタQ2の導通に先立った掃引期間ter〜tht
第1の半期間と重なる。また、この発明の出力段30で
は、ベース蓄積電圧それ自体によって時間thtとtbr′
との間第2図dに示すコレクタ電流icが保持され得る。
この構成によって、通常のトランジスタの動作を開始さ
せる順方向ベース・エミッタ導通を得るためにトランジ
スタQ1のベースとアース間とにブートストラップコンデ
ンサを接続する必要がなくなる。トランジスタQ1のベー
スに余分なキャパシタンスを接続すると、第2図の時間
terの後掃引の開始時においてQ1のベース電極とコレク
タ電極とがダンパ電流路を形成する時に、偏向電流が掃
引リンギングを起こすという不都合が生じる可能性があ
る。
抵抗R4が時間terからtbr′の間の掃引期間中にトラ
ンジスタQ1のベース領域に充分な蓄積電荷を生じさせる
ために流す必要のある電流の大きさは比較的小さく、ピ
ーク値で例えば250mAよりも小さい。この電流は、ピー
ク値が例えば約6Aの偏向電流をコレクタ電極に流すよう
飽和順方向コレクタ・エミッタ導通を行わせるようにバ
イポーラトランジスタQ1のベースを駆動するような場合
に要求される電流の大きさに比してかなり小さな電流で
ある。
さらに、ベース電圧Vbに対する掃引電圧Vsの大きさに
よっては抵抗R4を通る電流isは掃引の終了の近づくにし
たがって減少する。第2図のf及びgに示したように、
エミッタ電圧Ve即ちベース電圧Vbは、FETQ2を流れる偏
向電流idfの増大によって生じるFETQ2のチャンネル抵抗
の両端間の電圧降下の増大によって時間thtからtbr′
までの間増大する傾向がある。
ダンパダイオードD1が完全に導通する前の時間ter
d′との間の掃引の開始時に、負の偏向電流idfがア
ースからツェナーダイオードZ1を通ってベース電極に流
れ、コレクタ電極から流出しもってQ1のベース領域に電
荷を蓄積するための補助的な構成を提供する。時間td
らthtまでの間、抵抗R3とR4から及び通常のダイオード
として動作する順バイアスされたツェナーダイオードZ1
から得られる正のベース電流が流れる。これは順バイア
スされたダンパダイオードD1によってコレクタ電極に生
成される負の電圧による。時間tdとthtとの間に流れる
正のベース電流は比較的小さく、図示のスケールでは第
2図cには表わされない。
時間terとthtとの間でトランジスタQ1のベース領域中
に蓄積された電荷の量は、後の期間thtとtbr′との間
第2図dの順方向コレクタ電流icを維持するのに充分な
量である。
期間ter〜thrの間、ベース・コレクタPN接合は順バイ
アスされ、エミッタに逆方向トランジスタ動作を生じさ
せ、時間tdとthtとの間に第2図eを示すように小さな
負のエミッタ・コレクタ電流が発生する。FETQ2内部の
逆極性のダイオード11を介してエミッタ電流がアースか
ら流れる。
第2図a〜hの時間terとthtとの間の所定の時間tQ2
に、第1図のFETQ2がゲート電圧Vgによってターンオン
される。第2図bとdの時間thtの近くで偏向掃引電流i
dfの極性が反転した際、トランジスタQ1のベース領域に
蓄積され抵抗R3とR4を通して流れる電流により僅かな補
充を受けた電荷によって第1図の電流idfが第2図dに
示す順方向コレクタ電流icとしてトランジスタQ1のコレ
クタに流れる。電流icは同じく第2図eの順方向エミッ
タ電流ieとしてエミッタに流れる。第1図のFETQ2のチ
ャンネル抵抗値は限られているので第2図gの電圧Ve
び第2図fの電圧Vbは第2図eの電流ieが時間thtから
br′の間増加するのに伴って増加する。帰線の開始時
である時間tbr′(これは時間tbrと相当する)におい
て、第1図のFETQ2は前述の如くにターンオフされる。
この発明の他の特徴によれば、電源31が高電圧フライ
バック型変成器T2の2次巻線W2′における電圧を整流し
てアルタ電圧Uを発生する。電源31は偏向巻線LH1及びL
H2並びにその分枝回路素子がないことを除いて偏向回路
30と同じ構造をもったモード切換型電源130を含む。変
成器T2は偏向回路30のフライバック変成器T1と同様のも
のであって、そのインダクタンスは実質的に電源130の
共振キャパシタンスと共振して4fHの周波数で繰返す狭
い幅のパルス電圧Vrを生成するインダクタンスの全てで
ある。
第3図はこの発明の他の面を具備した偏向回路出力段
30″を示すもので、第1図に使用されている参照番号及
び記号は同じ素子及び機能を表わしている。第4図のa
〜hは第3図の出力段30″の動作の説明に供する波形図
である。第3図の出力段30″は第1図の可制御スイッチ
構成35と同様な可制御スイッチ構成35″を含む。第4図
のa〜hは第2図a〜hのそれぞれと同様のものであ
る。第2図a〜hと第4図a〜h中で同じ参照番号と記
号は同じものを示す。第3図の出力段30″は以下の述べ
る点以外は第1図の出力段30と同じである。
第3図のFETQ3のドレン・ソース間チャンネルがトラ
ンジスタQ1のベースとアースの間に接続されている。イ
ンバータ27はFETQ2のゲートに供給されている電圧Vg
反転しFETQ3のゲートの駆動電圧を供給する。従って、
第3図のFETQ3は第3図のFETQ2が導通の形に非導通であ
り、非導通の時に導通状態である。
第4図a〜hの時間terから時間tQ2までの間、第3図
のトランジスタQ1のベースにおける電圧Vbは、ターンオ
ンしているFETQ3のチャンネル抵抗が低いために、ほぼ
0である。FETQ3がターンオンしているとき、トランジ
スタQ1の順バイアスされたベース・コレクタPN接合の両
端間の電圧はダイオードD1の両端間の電圧とほぼ同じで
ある。第4図cとdに示す電流−ib又はicはダイオード
D1を経由する電流路と並列に偏向電流idfの電流路を提
供する。
好ましいことには、トランジスタQ1の順バイアスされ
たベース・コレクタPN接合の両端間電圧と順バイアスさ
れたダイオードD1のPN接合両端間電圧とが実質的に等し
いことにより、第4図のa〜hの時間terの直後にこれ
ら双方を流れる電流のスイッチング時間は、ダンパ作用
が実質的に1つのPN接合のみによって与えられる場合に
比して速い。従って、第3図のスイッチ35″の電力損失
はダンパ作用を実質的に1つのPN接合のみによって達成
する場合よりも小さくなる。トランジスタQ1の順バイア
スされたベース・コレクタPN接合により、ダンパ動作中
ベース電荷がさらに蓄積される。
第4図a〜hの時間tQ2において第3図のFETQ3はター
ンオフされる。時間thtにおいて順方向コレクタ電流が
流れ始めると、第4図cに示したように時間tQ2の後で
はトランジスタQ1には大きなベース電極電流は全く流れ
ないので、トランジスタQ1のベース領域に蓄積されてい
た電荷はそのまま維持される。順方向コレクタ・エミッ
タ電流が流れている時のベース電極電流それ自体はトラ
ンジスタQ1をFETQ2の導通期間の後半部に亘って飽和状
態に維持するには充分な大きさを有さない。しかしベー
ス領域の蓄積電荷は時間thtの後第4図hのコレクタ電
流icを維持することができ、また第3図のトランジスタ
Q1を更にベース電流に加える必要なしに飽和状態、即
ち、閉じた状態に維持することができる。好ましいこと
には、ベース電流を供給するために第1図の偏向回路30
に用いられている巻線W3、ダイオードD2及び抵抗R4の構
成は第3図の偏向回路30″では省かれている。
このように図1の構成において帰線動作(時間tbr
の開始時には駆動回路20の出力電圧Vg(図2h)が負であ
るためこの電圧Vgが抵抗R2を介してベースに供給される
トランジスタQ2は非導通状態となる。この結果トランジ
スタQ2のドレンにエミッタが接続されたトランジスタQ1
のコレクタ電流ic(図2d)はそのエミッタを介してトラ
ンジスタQ2に流れ込むことが出来ないためトランジスタ
Q1のベースから逆方向に流れる。この結果トランジスタ
Q1のベース電荷が全て流出する。尚ここでこのトランジ
スタQ1の逆方向ベース電流を流すためにこのトランジス
タQ1のベースに接続されたツェナーダイオードZ1がブレ
ークダウンする。ツェナーダイオードZ1は一旦導通する
とそのカソートに接続された抵抗R3を流れる電流及びト
ランジスタQ1のベースを流れ続ける残留コレクタ電流ic
によって導通し続ける。
帰線動作(時間tbr)の最後ではそのサイクルの掃引
期間が開始される。トランジスタQ1,Q2の直列回路に並
列に接続されたダイオードD1によって及びそのベースを
流れるトランジスタQ1の逆方向コレクタ電流によって偏
向電流が流される(波形2b,2c及び2d)。ダイオードD1
は大きな電流を流す容量を有するため徐々にターンオン
する。それ故、掃引の最初にはダイオードD1が完全にタ
ーンオンするまでトランジスタQ1のベース、コレクタ間
導通によって偏向電流が流される。時間tdにはダイオー
ドD1が完全に導通し大部分の掃引電流を流すようにな
る。(図2d)。
図1の構成におきまして全掃引期間である時間ter
らtbr′の間にトランジスタQ1のコレクタに接続された
トランスT1の巻線W3によってトランジスタQ1のベースに
蓄積電荷が供給される。その結果トランジスタQ1はトラ
ンジスタQ2が導通した際に掃引動作の中程より前に導通
する。実際上巻線W3によって供給される上記蓄積電荷は
掃引動作の後半の間トランジスタQ1を導通状態に維持す
るのに充分な量である。その結果トランジスタQ1のベー
スとアースとの間にこの導通状態を維持するためのブー
トストラップコンデンサを設ける必要はない。前述の如
くこのようなコンデンサを付加した場合にはトランジス
タQ1のベースコレクタ接合間に偏向電流が流れる際に掃
引動作の開始時に偏向電流のリンギングが発生する場合
がある。
図3の構成は図1の構成とは異なる方法で同じ問題点
を解決するための構成である。図3の構成において、フ
ライバックトランスT1によってトランジスタQ1のベース
の蓄積電荷を供給する必要がない。その代わりにこの蓄
積電荷は抵抗R3によって供給される。このような電荷は
トランジスタQ1のベースに接続された電界効果トランジ
スタQ3の導通の際に急速に除去されます。反転増幅器27
を駆動回路20の出力端子と上記電界効果トランジスタQ3
のゲート側に接続することによって電界効果トランジス
タQ2が非導通状態の際に電界効果トランジスタQ3が導通
し、そしてその逆の動作が行われるようになる。図4は
図3の構成に関する波形図を示している。
このように本願発明ではブートストラップコンデンサ
は不要である。即ち図1に示されている本願発明の実施
例によればトランジスタQ1のベース電流ibはフライバッ
クトランスT1の巻線W3によって掃引の開始時に供給され
る。又、図3に示されている本願発明の実施例によれば
トランジスタQ1のベース電流は帰線期間中に抵抗R3を介
して電界効果トランジスタQ3によってバイパスされる。
このような構成の本願発明の効果は次の通りである。
ブートストラップコンデンサを使用せずにスイッチング
手段(Q1)の制御電極(ゲート)へ制御電流の供給を行
うことを可能とすることによってブートストラップコン
デンサによって引き起こされる場合のある、掃引の開始
時に本来直線的な電流波形に歪みを生じさせるような偏
向電流のリンギングを防止することが可能となる。
そしその結果、カスコード増幅器の構成を使用して高
速スイッチングを提供するとともに高電圧フライバック
電圧に耐え得るような、インダクタンスの両端間に周期
的な共振パルスを発生させる装置を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】 第1図はこの発明の一実施例の偏向回路出力段及び高電
圧電源を示す回路図、第2図は第1図の回路の動作説明
に供する波形図、第3図はこの発明の他の実施例の偏向
回路出力段及び高電圧源を示す回路図、第4図は第3図
の動作説明に供する波形図である。 LH1,LH2……インダクタンス、Cr……共振コンデンサ、
B+……第1の電圧源、Q1……第1のスイッチング手
段、Q2……第2のスイッチング手段、20……周期的スイ
ッチング信号の信号源、43……共振回路の端子、D1……
ダンパダイオード、T1,D2……制御電流供給手段。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】偏向巻線に結合された帰線コンデンサと、 直列カスコード増幅器の構成で互いに結合されたバイポ
    ーラスイッチと電界効果トランジスタスイッチとを含
    み、導通時に掃引偏向電流を発生する可制御スイッチン
    グ構成と、 上記電界効果トランジスタスイッチに結合された周期的
    スイッチング信号の信号源とを備え、このスイッチング
    信号の各サイクルにはターンオン部分とターンオフ部分
    が含まれており、上記ターンオフ部分の開始によって上
    記電界効果トランジスタスイッチが非導通となって上記
    偏向巻線と上記帰線コンデンサが共振回路を形成するこ
    とを可能とし、この共振回路は帰線期間中その端子に共
    振パルス電圧を生成し、上記可制御スイッチング構成が
    ダンパ作用を提供し上記ダンパ作用は上記帰線期間を終
    了させ、 上記バイポーラスイッチのベース電極と結合され上記ダ
    ンパ作用が働いてる間そこにベース電流を提供し上記バ
    イポーラスイッチが掃引の後の方で順方向コレクタ電流
    として上記偏向電流を導通させることができるようにす
    る手段を更に備えてなる、偏向巻線に偏向電流を発生さ
    せる装置。
JP60272368A 1984-12-03 1985-12-02 偏向巻線に偏向電流を発生させる装置 Expired - Lifetime JP2544720B2 (ja)

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