JP2543964B2 - 冷蔵庫 - Google Patents

冷蔵庫

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JP2543964B2 JP20725188A JP20725188A JP2543964B2 JP 2543964 B2 JP2543964 B2 JP 2543964B2 JP 20725188 A JP20725188 A JP 20725188A JP 20725188 A JP20725188 A JP 20725188A JP 2543964 B2 JP2543964 B2 JP 2543964B2
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  • Cold Air Circulating Systems And Constructional Details In Refrigerators (AREA)
  • Freezing, Cooling And Drying Of Foods (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、冷蔵庫に係り、特に食品の鮮度保持に好適
な冷蔵庫に関するものである。
[従来の技術] 従来の冷蔵庫は、特開昭60−216166号、特開昭60−21
6168号公報記載のように、食品の風味を損わず、保存期
間を長期間化するために、0℃以下で食品が凍結する寸
前の温度にするものがある。すなわち、食品を氷温貯蔵
温度で貯蔵するものである。氷温貯蔵温度では細菌の繁
殖が抑制される。しかし、食品の種類によって凍結温度
が異なるため、ある食品では氷温であっても他の食品で
は氷温を越えた温度になって、品質を損う恐れがあっ
た。
[発明が解決しようとする課題] 上記従来技術は、冷蔵庫内の温度を食品が凍結する寸
前の温度でコントロールして、食品の保存期間を延ばそ
うとするものである。
一般に、食品の貯蔵性を損う要因としては、 1)食品自身のもつ酵素作用、 2)外部からの微生物作用、 3)酸化を主とする化学作用、 4)乾燥を主とする物理作用 の4つであるが、このいずれの作用も温度を下げること
により不活発になる。しかし、氷点付近の温度ではいず
れの作用も完全に止まるわけではないから、やはり食品
の劣化は徐々に進むことになり、温度だけのコントロー
ルでは限界がある。
本発明は、上記従来技術における課題を解決するため
になされたもので、食品保存室内に充分な遠赤外線照射
条件を作ることができ、遠赤外線の水分活性化効果によ
り貯蔵食品を高鮮度に貯蔵でき、食品の保存性を高めた
冷蔵庫を提供することを、その目的とするものである。
特に、従来の冷蔵チルド室の有する機能に加えて、遠赤
外線照射の追加機能により、低温貯蔵に加えて鮮度およ
び風味保持効果を付加できる低温保存技術を提供するこ
とをその目的とするものである。
[課題を解決するための手段] 上記目的を達成するために、本発明の冷蔵庫に係る第
1の発明の構成は、各種温度帯の食品保存室を備え、庫
内に遠赤外線を放射するランプと各種温度帯の食品保存
室へ遠赤外線を反射させる部材とを備えてなる冷蔵庫に
おいて、冷蔵チルド室内の壁部に遠赤外線ランプを設
け、当該冷蔵チルド室上部に、他の食品保存室との仕切
板を兼ね、かつ当該冷蔵チルド室に満遍なく遠赤外線を
照射させるべき遠赤外線の反射板を設けたものである。
また、本発明の冷蔵庫に係る第2の発明の構成は、各
種温度帯の食品保存室を備え、庫内に遠赤外線を放射す
るランプと各種温度帯の食品保存室へ遠赤外線を反射さ
せる部材とを備えてなる冷蔵庫において、庫内壁部に遠
赤外線ランプを設置し、当該遠赤外線ランプを設置した
壁面に反射シートを貼布するとともに、前記遠赤外線ラ
ンプ前面にスリットを有するランプカバを設けたもので
ある。
さらに、本発明の冷蔵庫に係る第3の発明の構成は、
各種温度帯の食品保存室を備え、庫内に遠赤外線を放射
するランプと各種温度帯の食品保存室へ遠赤外線を反射
させる部材とを備えてなる冷蔵庫において、庫内に食品
保存帯を形成する仕切りを用いることなく、庫内全体を
冷蔵室として所定温度に保ち、遠赤外線ランプを当該庫
内壁部に1個もしくは複数個設けたものである。
なお付記すると、遠赤外線ランプは、ランプ入力を2W
とし、ランプ表面温度を70℃程度に設定したものであ
る。
[作用] 上記の技術的手段による働きは次のとおりである。
冷蔵庫内背面に取付けた2Wのランプの表面には遠赤外
線を放射する粉体を塗布する。ランプを点灯すると、ラ
ンプ外表面に塗布した粉体から遠赤外線が放射される。
第1の発明では、冷蔵チルド室上部の仕切板を遠赤外
線の反射板とすることにより遠赤外線のエネルギーを冷
蔵チルド室の貯蔵容器に満遍なく放射(照射)できるも
のである。
第2の発明では、遠赤外線ランプの背面に反射シート
を貼付し、ランプ前面にスリットを有するランプカバを
備えた遠赤外線ランプ装置を庫内に設置するようにした
ので、複数の温度帯へ満遍なく遠赤外線を照射する、い
わゆるマルチ遠赤外線照射が可能となる。
第3の発明では、冷蔵チルド室、野菜室の仕切りをな
くし、庫内全体を冷蔵室として5℃に保ち、遠赤外線ラ
ンプを、例えば冷蔵室奥壁の中央部、野菜容器奥の上部
に設けた場合、中に貯蔵されている魚介類、加工食品、
青果物等は遠赤外線の作用を受けて、5℃であっても従
来の冷蔵庫とほぼ同等の鮮度保持が可能で、かつ従来の
冷蔵庫では得られなかった風味の向上が期待される。
[実施例] 以下、本発明の各実施例を第1図ないし第16図を参照
して説明する。
まず、本発明の冷蔵庫に係る第1の発明について第1
図を参照して説明する。
第1図は、本発明の一実施例に係る冷蔵庫の部分断面
斜視図である。
第1図において、3は冷蔵室、4は冷蔵室扉、5は氷
温チルドケース、6は氷温チルド室扉、7は仕切板、8
は冷蔵チルドケース、9は冷蔵チルド室扉、10は野菜容
器、11は野菜室扉、12は遠赤外線ランプ、13はソケット
を示す。
冷蔵チルドケース8によって形成される冷蔵チルド室
の奥壁に、2Wのランプ表面に遠赤外線塗料を施した遠赤
外線ランプ12を設け、従来の+1℃〜+2℃の温度帯に
プラスして遠赤外線ランプ12から照射する遠赤外線をシ
ャワーのように冷蔵チルド室内すなわち冷蔵チルドケー
ス8に放射する。
また、冷蔵チルド室上部の氷温チルド室との間の仕切
板7を遠赤外線の反射板とすることにより、遠赤外線の
エネルギーを冷蔵チルドケース8内に満遍なく放射でき
る構成とする。
ランプ表面には、例えばSiO2,MnO,Fe2O3等の金属酸化
物を主成分とする遠赤外線塗料を塗布し、塗膜強度を上
げるためにシリコーン樹脂、またはエポキシ樹脂をオー
バーコートして使用することにより金属酸化物の脱落を
防止している。
遠赤外線の反射板としては仕切板7の素材に遠赤外線
放射材料5〜20重量パーセントブレンドするか、仕切板
表面にアルミシートなどの反射シートを貼り付けるよう
にして形成される。
遠赤外線ランプ12から照射される遠赤外線は反射板
(仕切板7)により冷蔵チルドケース8に満遍なく放射
される。なお、遠赤外線を受ける貯蔵容器(冷蔵チルド
ケース8)はプラスチック製である。このプラスチック
製貯蔵容器にも遠赤外線粉体を練込んで、貯蔵容器から
の遠赤外線二次放射を誘起させ、貯蔵容器内を遠赤外線
のシャワーとなるようにし、貯蔵食品に遠赤外線を十分
照射できるようにする。
第1図に示す実施例によれば、次の作用効果がある。
1)小形の遠赤外線ランプから放射される遠赤外線の作
用により食品の鮮度および風味保持ができる。
2)遠赤外線放射のシャワー効果がある。すなわち、仕
切板を兼ねた反射板を使用することにより、満遍なく食
品へ遠赤外線を放射する効果を高めることができる。
次に、本発明の冷蔵庫に係る第2の発明について第2
図ないし第4図を参照して説明する。
第2図は、本発明の他の実施例に係る冷蔵庫の断面斜
視図、第3図は、その冷蔵庫の遠赤外線ランプを冷蔵チ
ルド室奥壁に設けたものの部分断面斜視図、第4図は、
その冷蔵庫の遠赤外線ランプを氷温チルド室奥壁に設け
たものの断面斜視図である。各図中、第1図と同一符号
のものは同等部分であるから、その説明を省略する。
第2図ないし第4図において、1は冷凍室、2は冷凍
室扉であり、冷蔵庫自体の各部は、先の第1図と同等で
ある。
14は、スリットを有するランプカバ、15は反射シート
である。すなわち、第2図ないし第4図の各図に示す遠
赤外線ランプ装置は、遠赤外線ランプ12の背面すなわち
遠赤外線ランプ12の取付け壁面に反射シート15を貼付す
るとともに、前記遠赤外線ランプ12の前面にスリットを
有するランプカバ14を設けてなるものである。反射シー
ト15は、例えばアルミシートなどであり、遠赤外線の放
射エネルギーを最大限に活用しようとするものである。
第2図に示す実施例は、前記遠赤外線ランプ装置を冷
蔵室3の奥壁に設けて、冷蔵室3内を破線矢印に示すよ
うに満遍なく遠赤外線を照射するようにしたものであ
る。反射シート15により反射した放射エネルギーはラン
プカバ14のスリットを通って冷蔵室3内に放射される。
第3図に示す実施例は、前記遠赤外線ランプ装置を冷
蔵チルドケース8後方の壁面に設けて、冷蔵チルドケー
ス8内へ満遍なく遠赤外線を照射するようにしたもので
ある。
第4図に示す実施例は、前記遠赤外線ランプ装置を氷
温チルドケース5後方の壁面に設けて、冷蔵室3および
冷蔵チルドケース8内へ矢印に示すように満遍なく遠赤
外線を照射するようにしたものである。
第2図ないし第3図に示す各実施例によれば、次の効
果がある。
1)遠赤外線の放射作用により各種温度帯の食品を高鮮
度に保持し、かつ風味を保持することができる。
2)庫内の複数の温度帯、例えば冷蔵室3と冷蔵チルド
ケース8内へ満遍なく遠赤外線を照射する、いわゆるマ
ルチ遠赤外線照射が可能となる。
3)反射シート15を貼付することにより、遠赤外線ラン
プ12前面へ遠赤外線を最大限に放射することができる。
4)スリットを有するランプカバ14を設置することによ
り使用者が直接ランプに触れることがなく、ランプの保
護と使用者の安全性を向上させることができる。
次に、本発明の冷蔵庫に係る第3の発明について第5
図を参照して説明する。
第5図は、本発明のさらに他の実施例に係る冷蔵庫の
断面斜視図である。図中、第2図の同一符号のものは同
等部分であるから、その説明を省略する。
第5図において、3Aは冷蔵室、4Aは冷蔵室扉、12A,12
Bは遠赤外線ランプ、16A,16Bはプラスチックカバ、17は
反射板である。
第5図に示す実施例では、チルド室、野菜室の仕切り
をなくし、庫内全体を冷蔵室3Aとして所定の温度5℃に
保ち、遠赤外線ランプ12Aを冷蔵室3奥壁の中央部、遠
赤外線ランプ12Bを野菜容器10奥の上部に設け、これら
遠赤外線ランプ12A,12B上部には保護用のプラスチック
カバ16A,16Bをそれぞれ取付けている。反射板17は遠赤
外線ランプ12Aから照射される遠赤外線を冷蔵室3A内に
放射するものである。
このようにすれば、中に貯蔵されている魚介類、加工
食品、青果物等は遠赤外線の作用を受けて、冷蔵室内温
度が5℃であっても従来の冷蔵庫とほぼ同等の鮮度保持
が可能で、かつ、従来の冷蔵庫では得られていなかった
風味の向上が期待される。
第5図の実施例によれば下記の効果がある。
第2図に示したマルチドア形式を2ドアにすることに
より、 1)冷蔵室の有効容積が拡大する。
2)仕切りがなく部品数が低減されることにより大幅な
原価低減ができる。
3)省スペース化が達成される。
4)野菜室が冷蔵室と一体化されることにより、構造が
簡略化される。
次に、第6図および第7図を参照して遠赤外線ランプ
の特性について説明する。
第6図は、豆腐を冷蔵庫に2週間保存した場合のラン
プ入力と乳酸生成量との関係を示す線図、第7図は、同
じく豆腐を2週間保存した場合のランプ表面温度と乳酸
生成量との関係を示す線図である。
例えば、先の第5図に示すように、冷蔵庫を構成する
冷蔵室3A(または容器)にくらべて著しく表面積および
体積の小さな低温高効率の遠赤外線ランプ12A,12Bを設
置する。これに電気エネルギーを与え、発生した熱,光
エネルギーをランプのガラス表面に塗布された遠赤外線
放射体で遠赤外線に変換する。放射された遠赤外線を、
例えば第2図に示したランプカバ14のスリットや反射シ
ート15、第5図の反射板17等で分散し、貯蔵食品に満遍
なく照射する。
第6図は、豆腐を例えば第5図に示す如き冷蔵庫に2
週間保存した場合の乳酸の生成量を示す線図で、この乳
酸は豆腐の劣化の指標とみることができる。第2図で
は、横軸にランプ入力、縦軸に乳酸生成量をとってい
る。
ランプの入力を2W(ワット)まで上げると乳酸の生成
は抑えられるが、それ以上に入力を上げてもさらに乳酸
の生成が抑えられるということにはならない。
また、第7図は同じく豆腐を2週間貯蔵した場合のラ
ンプの表面温度(横軸)と乳酸の生成量(縦軸)との関
係を求めたものである。
この場合においても、表面温度が70℃までは乳酸の生
成は抑えられ、それ以上温度を上げても効果はかならず
しも上がらない。こうした傾向はヨーグルトの場合でも
見られ、また肉や魚の貯蔵では入力を大きくすると表面
の色が黒ずむような現象が見られた。
すなわち、ランプ入力が小さすぎても遠赤外線の作用
が弱く、鮮度保持の効果は現われず、ランプ入力が多き
すぎると放射熱により食品の局部変質を生じる。
これらの結果に鑑みて、食品に照射される遠赤外線エ
ネルギー量は、放射源表面(ランプ表面)の温度で70℃
程度、食品の位置を考慮すると、5μW/cm2〜500μW/cm
2程度とし貯蔵食品を加温しない量とする。遠赤外線放
射源は、貯蔵室または貯蔵容器にくらべて表面積および
体積は著しく小さくし、低温高エネルギーの遠赤外線を
放射できるようにする。これによって、貯蔵容器内の有
効貯蔵体積が増える。
次に、遠赤外線による生鮮食品の鮮度保持作用につい
て第8図ないし第17図を参照して説明する。
まず、第8図は、食品に対する遠赤外線の働きを示す
説明図である。
一般に、遠赤外線(4〜20μm)は有機物によく吸収
される。食品は当然のことであるが有機物であるから食
品は遠赤外線をよく吸収する。食品中の蛋白質は、第8
図に示すように水分子の膜で覆われている。この水分子
も上記の遠赤外線をより吸収するから、水分子は遠赤外
線を吸収したことにより水分子間の結合継手に伸縮やね
じれを誘発して水分子を活性化させる。よって蛋白質な
どの細胞の組織を強化し、鮮度を保持させる作用をな
す。
上記の鮮度保持作用を実験により確認した事例を以下
に述べる。
はじめに、豆腐の鮮度比較試験結果について、表1お
よび第9図を参照して説明する。
第9図は、豆腐のゲル構造を示す電子顕微鏡写真で、
(a)は遠赤外線を放射したもの、(b)は遠赤外線を
放射しないものを示す。
豆腐を2℃の冷蔵室に貯蔵し一方の豆腐のみに遠赤外
線を放射しながら貯蔵温度を2℃に保持し、4日間貯蔵
した豆腐をとり出してその鮮度を比較した。
その結果を表1に記す。
遠赤外線の効果として保水性が向上し、遠赤外線なし
の豆腐は外観がやや縮んでいる。
豆腐の一部をとり液体窒素で瞬間的に凍結した状態に
おいて豆腐のゲル構造を電子顕微鏡(×1000倍)で観察
した結果を第9図に示す。
第9図(a)は、遠赤外線を放射しながら2℃で貯蔵
した豆腐のゲル構造であり、同じ2℃貯蔵で遠赤外線を
放射しないテスト品(豆腐)を同一条件で観察した第9
図(b)に見られるゲル構造と比較すると、遠赤外線を
照射したテスト品はゲル構造がはっきりしている。一
方、遠赤外線なしのものはゲル構造が収縮していること
が明らかである。
次に、ヨーグルトの鮮度比較試験結果について、表2
ならびに第10図ないし第12図を参照して説明する。
第10図は、冷蔵庫で鮮度比較試験を行なった供試ヨー
グルトの全酸度測定結果の線図、第12図は、ヨーグルト
のゲル構造を示す電子顕微鏡写真で、(a)は遠赤外線
を放射したもの、(b)は遠赤外線を放射しないものを
示す。
ヨーグルトを2℃の冷蔵室に貯蔵し、一方のヨーグル
トにのみ遠赤外線を放射しながら貯蔵温度を2℃に保持
し8日間貯蔵した。このサンプルを取り出し鮮度を比較
した結果を表2に記す。
遠赤外線を照射したテスト品はマイルドな味になるの
で、供試ヨーグルトの全酸度、有機酸を分析した。その
結果を第10,11図に示す。
第10図は、横軸に経過日数、縦軸に全酸度(%)をと
り、RT15℃,Rドアポケット(破線)チルド室,チルド室
+遠赤外線照射(実線)の条件で全酸度を測定比較した
結果を示している。遠赤外線を照射したテストサンプル
は全酸度の増加が少なく、初期品により近く鮮度を保持
していることがわかる。
第11図は、横軸に経過日数、縦軸にリンゴ酸(%)を
とり、実線はチルド室、破線はチルド室+遠赤外線照射
の条件で、有機酸の成分としてリンゴ酸の変化を測定比
較した結果を示している。遠赤外線を照射したものは、
リンゴ酸の増加が少なく、より初期品に近い鮮度を保持
している。また、舌ざわりもよい。
そこで、ヨーグルトの一部を取り、液体窒素で瞬間的
に凍結した状態でヨーグルトのゲル構造を電子顕微鏡
(×1000倍)で観察した。その結果を第12図に示す。
第12図(a)は、遠赤外線を照射したヨーグルトのゲ
ル構造、第12図(b)は、遠赤外線を照射しないヨーグ
ルトのゲル構造を示す。同一条件下で観察した第12図
(a),(b)を比較すると遠赤外線を照射したテスト
品のゲル構造は均一であるのに対し、遠赤外線を照射し
ないテスト品はゲル構造が崩れかけており、遠赤外線を
放射した方が高鮮度に貯蔵できる。
次に、生うどんの鮮度比較試験結果について、表3な
らびに第13図を参照して説明する。
第13図は、供試生うどんの粒子構造を示す電子顕微鏡
写真で、(a)は遠赤外線を放射したもの、(b)は遠
赤外線を放射しないものである。
生うどんを2℃の冷蔵室に貯蔵し、一方の生うどんに
のみ遠赤外線を放射しながら貯蔵温度を2℃に保持し、
2週間貯蔵した。このサンプルを取出し鮮度を比較した
結果を表3に記す。
遠赤外線を照射したテスト品はうどんのこしが強く風
味もよい。
これまでのテスト品と同様、供試生うどんの一部を電
子顕微鏡で観察した結果を第13図に示す。第13図(a)
は、遠赤外線を照射したものであり遠赤外線を照射しな
い第13図(b)のものと比較すると水分が一様に分散さ
れていることがよくわかる。
次に、その他の食品の鮮度保持比較試験結果について
表4ならびに第14図ないし第17図を参照して説明する。
第14図は、冷蔵庫で鮮度比較試験を行なった供試納豆
のグルタミン酸測定結果の線図、第15図は、同じく供試
納豆のアンモニア測定結果の線図、第16図は、同じく供
試牛乳のアンモニア測定結果の線図である。第14図ない
し第16図において、実線は2℃冷蔵、破線は2℃冷蔵+
遠赤外線照射の条件であり、第15,16図では前者まをナ
シ、後者をアリ(遠赤外線照射あり)と付記している。
第17図は、冷蔵貯蔵食品に対する遠赤外線の効果確認
試験結果を示す表示図であり、図中、従来貯蔵は−1〜
5℃の冷蔵貯蔵、遠赤貯蔵は、前記同様−1〜5℃の温
度条件で遠赤外線照射するものである。
その他の食品について貯蔵温度を一定にして、遠赤外
線の放射であり(遠赤外線)、なし(従来貯蔵)の食品
の鮮度を比較した結果を第17図に示す。
風味に大きな影響を与える成分を分析した結果を第14
図ないし第16図に示す。
第14図は、納豆について遠赤外線がグルタミン酸に及
ぼす影響を示すもので、横軸に経過日数、縦軸にグルタ
ミン酸(%)をとっている。図から明らかなように納豆
のグルタミン酸は、破線で示す遠赤外線照射品の方が増
加しておりうま味が増している。
また、第15図は、納豆について遠赤外線がアンモニア
に及ぼす影響を示すもので、横軸に経過日数、縦軸にア
ンモニア(%)をとっている。図から明らかなように遠
赤外線を照射した方(破線)がアンモニアの生成が少な
く、アミノ酸の分解が抑制されており、遠赤外線の鮮度
保持効果が表われている。
さらに、第16図は、牛乳について前記第15図同様の分
析結果を示しており、遠赤外線を照射した方がアンモニ
アの生成が少ないことが明らかである。
以上の試験結果を考察し、遠赤外線の効果をまとめる
と表4のとおりである。
以上記したとおり、冷蔵庫貯蔵は、従来低温保存によ
り食品の変敗を抑制し鮮度を保持してきたが、低温貯蔵
にプラスして遠赤外線を照射することにより、より高鮮
度貯蔵ができる効果が大である。
次に、チルド室に遠赤外線放射を行う理由について説
明する。チルド室に遠赤外線放射を行う例は第1図の実
施例(第1の発明)が代表的なものである。
一般の食品は冷蔵室に貯蔵するが、とくに生鮮食品は
鮮度保持を重視するので通常の冷蔵室(5℃)よりもチ
ルド室(1℃)に貯蔵し、風味を落さないようにしてい
る。
遠赤外線の適正量を食品に照射することにより、食品
中の水分を活性化し鮮度を保持できること、食品の乾燥
を防ぎ保水性を向上できること、食品をマイルドな味に
保持できること、魚介類中の分解酵素の作用を抑制し変
敗を遅らすことができること、いちご、レモンなどのか
び、細菌の繁殖をおさえることができることなど、既に
詳細に説明したように新たな鮮度保持効果を見出すこと
に成功したので、この鮮度保持効果を、従来のチルド室
に追加機能として付加することにより、変敗しやすい食
品の風味低下をおさえ、従来の低温貯蔵に上記の鮮度保
持効果を付加できる画期的な低温保蔵技術を提供できる
効果がある。
[発明の効果] 以上述べたように、本発明によれば、食品保存室内に
充分な遠赤外線照射条件を作ることができ、遠赤外線の
水分子の活性化効果により貯蔵食品を高鮮度に貯蔵で
き、食品の保存性を高めた冷蔵庫を提供することができ
る。
特に、従来の冷蔵チルド室の有する機能に加えて、遠
赤外線照射の追加機能により、低温貯蔵に加えて鮮度お
よび風味保持効果を付加できる低温保蔵技術を提供する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施例に係る冷蔵庫の部分断面斜
視図、第2図は、本発明の他の実施例に係る冷蔵庫の断
面斜視図、第3図は、その冷蔵庫の遠赤外線ランプを冷
蔵チルド室奥壁に設けたものの部分断面斜視図、第4図
は、その冷蔵庫の遠赤外線ランプを氷温チルド室奥壁に
設けたものの断面斜視図、第5図は、本発明のさらに他
の実施例に係る冷蔵庫の断面斜視図、第6図は、豆腐を
冷蔵庫に2週間保存した場合のランプ入力と乳酸生成量
との関係を示す線図、第7図は、同じく豆腐を2週間保
存した場合のランプ表面温度と乳酸生成量との関係を示
す線図、第8図は、食品に対する遠赤外線の働きを示す
説明図、第9図は、豆腐の粒子構造を示す電子顕微鏡写
真で、(a)は遠赤外線を放射したもの、(b)は遠赤
外線を放射しないもの、第10図は、冷蔵庫で鮮度比較試
験を行った供試ヨーグルトの全酸度測定結果の線図、第
11図は、そのリンゴ酸測定結果の線図、第12図は、ヨー
グルトの粒子構造を示す電子顕微鏡写真で、(a)は遠
赤外線を放射したもの、(b)は遠赤外線を放射しない
もの、第13図は、供試生うどんの粒子構造を示す電子顕
微鏡写真で、(a)は遠赤外線を放射したもの、(b)
は遠赤外線を放射しないもの、第14図は、冷蔵庫で鮮度
比較試験を行なった供試納豆のグルタミン酸測定結果の
線図、第15図は、同じく供試納豆のアンモニア測定結果
の線図、第16図は、同じく供試牛乳のアンモニア測定結
果の線図、第17図は、冷蔵貯蔵食品に対する遠赤外線の
効果確認試験結果を示す表示図である。 3,3A……冷蔵室、7……仕切板、8……冷蔵チルドケー
ス、12,12A,12B……遠赤外線ランプ、14……ランプカ
バ、15……反射シート、17……反射板。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 亀田 宮吉 栃木県下都賀郡大平町大字富田800番地 株式会社日立製作所栃木工場内 (72)発明者 田中 孝介 栃木県下都賀郡大平町大字富田800番地 株式会社日立製作所栃木工場内 (72)発明者 池田 孝史 栃木県下都賀郡大平町大字富田800番地 株式会社日立製作所栃木工場内 (72)発明者 権守 仁彦 栃木県下都賀郡大平町大字富田800番地 株式会社日立製作所栃木工場内

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】各種温度帯の食品保存室を備え、庫内に遠
    赤外線を放射するランプと各種温度帯の食品保存室へ遠
    赤外線を反射させる部材とを備えてなる冷蔵庫におい
    て、冷蔵チルド室内の壁部に遠赤外線ランプを設け、当
    該冷蔵チルド室上部に、他の食品保存室との仕切板を兼
    ね、かつ当該冷蔵チルド室に満遍なく遠赤外線を照射さ
    せるべき遠赤外線の反射板を設けたことを特徴とする冷
    蔵庫。
  2. 【請求項2】各種温度帯の食品保存室を備え、庫内に遠
    赤外線を放射するランプと各種温度帯の食品保存室へ遠
    赤外線を反射させる部材とを備えてなる冷蔵庫におい
    て、庫内壁部に遠赤外線ランプを設置し、当該遠赤外線
    ランプを設置した壁面に反射シートを貼布するととも
    に、前記遠赤外線ランプ前面にスリットを有するランプ
    カバを設けたことを特徴とする冷蔵庫。
  3. 【請求項3】特許請求の範囲第2項記載のものにおい
    て、背面に反射シート、前面にスリットを有するランプ
    カバを備えた遠赤外線ランプ装置を、当該スリットを通
    して庫内の複数の温度帯へ満遍なく遠赤外線を照射しう
    る位置に設置したことを特徴とする冷蔵庫。
  4. 【請求項4】各種温度帯の食品保存室を備え、庫内に遠
    赤外線を放射するランプと各種温度帯の食品保存室へ遠
    赤外線を反射させる部材とを備えてなる冷蔵庫におい
    て、庫内に食品保存帯を形成する仕切りを用いることな
    く、庫内全体を冷蔵室として所定温度に保ち、遠赤外線
    ランプを当該庫内壁部に1個もしくは複数個設けたこと
    を特徴とする冷蔵庫。
  5. 【請求項5】特許請求の範囲第4項記載のものにおい
    て、遠赤外線ランプは、冷蔵室奥壁中央部と野菜容器奥
    の上部に設けたことを特徴とする冷蔵庫。
  6. 【請求項6】各種温度帯の食品保存室を備え、庫内に遠
    赤外線を放射するランプと各種温度帯の食品保存室へ遠
    赤外線を反射させる部材とを備えてなる冷蔵庫におい
    て、遠赤外線ランプは、ランプ入力を2Wとし、ランプ表
    面温度を70℃程度に設定したことを特徴とする冷蔵庫。
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