JP2543737Y2 - 自動二輪車のチエンアジャスター - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案はチエンアジャスターの
ネジ又はボルト頭が後ホークから突出しないようにした
自動二輪車のチエンアジャスターに関する。

【０００２】

【従来の技術】自動二輪車は、エンジンのスプロケット
と後輪のスプロケットをチエンで連結して、エンジンで
後輪を駆動して走行するようになっている。エンジンの
スプロケットと後輪のスプロケットを連結するチエン
は、使用に伴って伸びが発生する。そこで、図５に示す
ように、後輪を回転自在に支承した後車軸Ａを横に通し
て後ホークＢ内に入れた車軸金具Ｃを後ホークＢに設け
た長孔Ｄに沿って、アジャストネジＥで前後方向に移動
させ、適宜チエンの張り具合を調節できるようにしてい
る。例えば、特開昭６０−１８３２８３号公報、特開昭
６４−６７４９４号公報参照。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】アジャストネジＥのネ
ジ部やボルト頭が、後ホークＢの後端から後側に突出し
ている。このため、ライダーが、突出したアジャストネ
ジのネジ部やボルト頭に、ズボンなどを引掛けることが
ある。又、アジャストネジのネジ部分が、外力を受けて
曲げられ、交換を要することがある。

【０００４】かかる点に鑑み、この考案は、チエンの張
りを調節するアジャストボルトが、後ホークの後端の端
板から突出しないようにして、ズボンを引掛けたりする
ことがなく外観も向上できる自動二輪車のチエンアジャ
スターを得ることを目的とする。

【０００５】上記目的を達成するために、この考案の自
動二輪車のチェンアジァスターは、パイプ状をなし後端
に前後方向に長孔を形成してなる左右一対の後ホーク
（７）と、この後ホーク（７）の長孔（８）に両端部が
遊挿される後車軸（６）と、中空形状をなす後ホーク
（７）の後端に移動可能に挿入されると共に前記後車軸
（６）を挿通させる車軸金具（９）と、前記後ホーク
（７）の後端に形成される開口部端縁（７ａ）を閉塞す
る端板（１０）と、この端板（１０）に形成したボルト
挿通孔（２０）に回動可能に挿入されるアジャストボル
ト（１３）と、前記車軸金具（９）に固定されると共に
前記アジャストボルト（１３）に螺合するナット（１
６）と、を備え、前記アジャストボルト（１３）を回動
させることによりナット（１６）と共に前記車軸金具
（９）を進退させ、後車軸（６）を前後に移動させるよ
うにした自動二輪車のチエンアジャスターにおいて、前
記端板（１０）の後端部は、外縁（１０ａ）から頂部
（１０ｂ）に向かって漸次厚みが増大する山形形状をな
すと共に、前記頂部（１０ｂ）に前記ボルト挿通孔（２
０）を形成してなり、前記ボルト挿通孔（２０）は、ア
ジャストボルト（１３）の軸部（１３ａ）を回動可能に
挿通できかつアジャストボルト（１３）の頭部（１４）
を掛止し得る径を有すると共に前記軸部（１３ａ）とほ
ぼ同一の厚さ（ｔ１）を有する通し孔（１２）と、アジ
ャストボルト（１３）の頭部（１４）を回動可能に挿通
させ得る径を有すると共に前記頭部（１４）以上の長さ
（ｔ２）を有する座ぐり部（１１）とからなるようにし
たものである。

【０００６】

【作用】後車輪の両端の締着を弛め、アジャストボルト
の頭部に設けた工具溝に工具を挿入してアジャストボル
トを回転させると、車軸金具が前又は後側に移動し、エ
ンジンのスプロケットと後輪のスプロケットを連結して
いるチエンの張り具合を後車軸の移動で調節できる。端
板の端部はその周縁部から漸次厚みが増大する山形形状
をなしており、しかも、アジャストボルトの頭部は、後
ホークの後端部の端板の座ぐり内に没入していて、端板
から突出しているものがない。このためズボンを端板や
アジャストボルトの頭部に引掛けることがなく、アジャ
ストボルトが外力を受けて曲がったりすることがない。

【０００７】以下、本考案の実施例を図１乃至図４によ
って説明する。エンジン１のスプロケット２と、後輪３
のスプロケット４をチエン５で連結して駆動する。後輪
３を回動自在に支承した後車軸６は、後ホーク７の左右
後端に締着する。左右の後ホーク７は、断面長四角形の
パイプ状のもので、後端に前後方向に長い長孔８が設け
てある。そして、後ホーク７内に、後車軸６を横に通す
車軸金具９を挿入する。そして、後ホーク７の後端部に
形成されている開口部は、端板１０を取付けて塞いであ
る。端板１０は、その外縁１０ａから頂部１０ｂに向か
って漸次厚みが増大する山形形状をなしており、その頂
部１０ｂに前記ボルト挿通孔２０が形成されている。こ
のボルト挿通孔２０は、通し孔１２と、これに連通する
座ぐり部１１とからなり、前記通し孔１２は、アジャス
トボルト１３の軸部１３ａを回動可能に挿通でき、かつ
アジャストボルト１３の頭部１４を掛止し得る径を有す
ると共に前記軸部１３ａとほぼ同一の長さｔ１を有する
ものとなっている。また、前記座ぐり部１１は、アジャ
ストボルト１３の頭部１４を回動可能に挿通させ得る径
を有すると共に前記頭部１４以上の長さｔ２を有する座
ぐり部１１とからなるものとなっている。なお、上記ボ
ルト挿通孔２０は、図１のように端板１０の中央に設け
るか、図３に示すように後車軸６をさけて、下側又は上
側にオフセットして設けてもよい。通し孔１２には、ア
ジャストボルト１３の軸部１３ａを通し、アジャストボ
ルト１３の頭部１４は座ぐり１１内に没入させる。頭部
１４には、回し工具を嵌合させる工具溝１５が設けてあ
る。アジャストボルト１３は、車軸金具９に溶着したナ
ット１６に螺合させる。

【０００８】

【実施例】以上説明したように、この考案は上述のよう
に構成したので、端板の座ぐり内に見えるアジャストボ
ルトの頭部の工具溝に回し工具を嵌め合わせて回すこと
によって、車軸金具を前後に移動させ、後車軸の位置を
調節してチエンの張り具合を調節できる。そして、端板
の端部はその周縁部から漸次厚みが増大する山形形状を
なしており、しかも、アジャストボルトの頭部は、後ホ
ークの後端部の端板の座ぐり内に没入していて、端板か
ら突出しているものがない。このためズボンを端板やア
ジャストボルトの頭部に引掛けることがなく、アジャス
トボルトが外力を受けて曲がったりすることがない。
又、端板は山形ですっきりした形状となっているため、
外観も向上する。

【０００９】

【考案の効果】以上説明したように、この考案は上述の
ように構成したので、端板の座ぐり内に見えるアジャス
トボルトの頭部の工具溝に回し工具を嵌め合せて回すこ
とによって、車軸金具を前後に移動させ、後車軸の位置
を調節してチエンの張り具合を調節できる。そして、ア
ジャストボルトは、端板から突出していないので、ズボ
ンなどを引掛けることがなく、アジャストボルトに何か
が当って曲ったりすることがない。又、端板はすっきり
した形状にできて外観が向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示し、図２のＸ−Ｘ線拡大
縦断面図である。

【図２】同後ホークの平面図である。

【図３】本考案の他の実施例を示す図１相当図である。

【図４】本考案の実施例を示す外観側面図である。

【図５】従来例を示す縦断側面図である。

【符号の説明】

６ 後車軸 ７ 後ホーク ９ 車軸金具 １０ 端板 １１ 座ぐり １２ 通し孔 １３ アジャストボルト １４ 頭部 １６ ナット

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 パイプ状をなし後端に前後方向に長孔を
   形成してなる左右一対の後ホーク（７）と、 前記後ホーク（７）の長孔（８）に両端部が遊挿される
   後車軸（６）と、 中空形状をなす後ホーク（７）の後端に移動可能に挿入
   されると共に前記後車軸（６）を挿通させる車軸金具
   （９）と、 前記後ホーク（７）の後端に形成される開口部端縁（７
   ａ）を閉塞する端板（１０）と、 前記端板（１０）に形成したボルト挿通孔（２０）に回
   動可能に挿入されるアジャストボルト（１３）と、 前記車軸金具（９）に固定されると共に前記アジャスト
   ボルト（１３）に螺合するナット（１６）と、を備え、 前記アジャストボルト（１３）を回動させることにより
   ナット（１６）と共に前記車軸金具（９）を進退させ、
   後車軸（６）を前後に移動させるようにした自動二輪車
   のチエンアジャスターにおいて、 前記端板（１０）の後端部は、外縁（１０ａ）から頂部
   （１０ｂ）に向かって漸次厚みが増大する山形形状をな
   すと共に、前記頂部（１０ｂ）に前記ボルト挿通孔（２
   ０）を形成してなり、 前記ボルト挿通孔（２０）は、アジャストボルト（１
   ３）の軸部（１３ａ）を回動可能に挿通できかつアジャ
   ストボルト（１３）の頭部（１４）を掛止し得る径を有
   すると共に前記軸部（１３ａ）とほぼ同一の厚さ（ｔ
   １）を有する通し孔（１２）と、アジャストボルト（１
   ３）の頭部（１４）を回動可能に挿通させ得る径を有す
   ると共に前記頭部（１４）以上の長さ（ｔ２）を有する
   座ぐり部（１１）とからなることを特徴とする自動二輪
   車のチエンアジャスター。