JP2543291B2 - 温水暖房付き風呂システム - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は温水暖房付き風呂システ
ムに関する。

【０００２】

【従来の技術】ガスバーナにより加熱される熱交換器、
循環ポンプ、及び水電磁弁を配した水供給路から循環用
の水道水が供給されるシスターン（貯溜水槽）を連設
し、熱交換器- シスターン間に、循環風呂水や循環水が
通過する風呂用放熱器と電磁開閉弁とを接続した第１循
環水路及び暖房用放熱器を有する第２循環水路を接続し
てなる温水暖房付き風呂システムが従来より知られてい
る。この温水暖房付き風呂システムでは、据え付け工事
の完了後、各水路に循環水を注入する必要があるので、
電磁開閉弁及び循環ポンプに通電を行って準備運転を行
っている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、通常、第２循
環水路は、第１循環水路より長く、且つ放熱器内の通路
も狭く通過抵抗が大きいので、上記準備運転を行うと、
第１循環水路内の空気は速やかに循環水と置換される
が、第２循環水路内の空気は直ぐには循環水と置換され
ず、水路内に空気が残る。この為、準備運転に時間がか
かり、作業性が悪いという欠点がある。尚、空気が抜け
切る前に、ガスバーナを燃焼させると加熱により膨張し
た第２循環水路内の残留空気がシスターン中の循環水中
に勢いよく放出されるので大きな異音を発する。本発明
の目的は、準備運転を行う際、短時間で各水路に循環水
を注入する事ができる温水暖房付き風呂システムの提供
にある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決する為、
本発明は、以下の構成を採用した。 （１）水電磁弁を配した水供給路から循環用の水が供給
される貯溜水槽と、加熱手段により加熱されるととも
に、循環水が通過する熱交換器と、循環水を前記熱交換
器に送る循環ポンプと、電磁開閉弁に、循環水が通過す
る循環水通路と浴槽の風呂水が通過する風呂水通路とを
熱的結合してなる風呂用放熱器を接続して構成され、前
記熱交換器から流出する循環水を前記貯溜水槽に戻す第
１循環水路と、循環水の有する熱を放出する暖房用放熱
器を水路中に配設し、前記熱交換器から流出する循環水
を前記貯溜水槽に戻す第２循環水路と、前記水電磁弁、
加熱手段、循環ポンプ、及び電磁開閉弁を制御する制御
手段とを具備してなる温水暖房付き風呂システムにおい
て、前記第１循環水路、第２循環水路に循環水を注入す
る準備運転を行う際、前記制御手段は、前記循環ポンプ
に通電して第２循環水路を循環水で満たした後、前記電
磁開閉弁に通電して前記第１循環水路も循環水で満た
す。 （２）上記（１）の構成を有し、前記第２循環水路が循
環水で満たされる迄の時間が第１設定時間を越える場
合、又は、前記第２循環水路が循環水で満たされた後に
第１循環水路が循環水で満たされる迄の時間が第２設定
時間を越える場合は、報知手段により注入異常を報知す
る。

【０００５】

【作用】

〔請求項１について〕凍結防止の為に循環水路を空にし
ておいた場合や、据え付け工事が完了した場合等、各水
路を循環水で満たす必要があり、この場合、以下の様な
準備運転を行う。制御手段は、水電磁弁に通電を行い、
貯溜水槽には循環用の水が水供給路から適宜、供給され
る。次に、制御手段は循環ポンプに通電する。貯溜水槽
内の循環水は、各循環水路の分岐点に到達するが、電磁
開閉弁が閉弁しているので、循環ポンプにより発生した
循環水流は分流する事なく第２循環水路（暖房用放熱
器）に到達し、第２循環水路内の空気が早期に追い出さ
れるとともに、第２循環水路は速やかに循環水で満たさ
れる。次に、制御手段は、循環ポンプへの通電を維持し
たまま電磁開閉弁に通電を行う。循環ポンプによる循環
水流は、第１循環水路と第２循環水路とに分流して、多
少、循環水流の圧力が減るが、第１循環水路は第２循環
水路より通過抵抗が小さいので、第１循環水路は早期に
循環水で満たされる。 〔請求項２について〕報知手段は、第２循環水路が循環
水で満たされる迄の時間が第１設定時間を越える場合、
又は、第２循環水路が循環水で満たされた後に第１循環
水路が循環水で満たされる迄の時間が第２設定時間を越
える場合には注入異常を報知する。

【０００６】

【発明の効果】

〔請求項１について〕準備運転の際、第１循環水路及び
第２循環水路を早期に循環水で満たす事ができ、作業性
に優れる。制御手段による電磁開閉弁への通電を、第２
循環水路を循環水で満たした後に行う様にしているだけ
なので、従来の温水暖房付き風呂システムと同程度のコ
ストで製造する事ができる。 〔請求項２について〕第２循環水路が循環水で満たされ
る迄の時間が第１設定時間を越える場合、又は、第２循
環水路が循環水で満たされた後に第１循環水路が循環水
で満たされる迄の時間が第２設定時間を越える場合に報
知手段が報知を行うので、使用者は、循環水路の閉塞や
亀裂、注入流量の不足等の原因による注入異常の発生を
容易に把握できる。

【０００７】

【実施例】本発明の一実施例（請求項１に対応）を図
１、図２に基づいて説明する。図１に示す如く、温水暖
房付き風呂システムＡは、シスターン１、循環ポンプ
２、及び熱交換器３を順に連設し、熱交換器３の出口と
シスターン１との間に、第１循環水路４と第２循環水路
５とを並列的に接続してなり、制御手段６が水電磁弁１
１、循環ポンプ２、加熱手段７、及び風呂ポンプ１０１
等の制御を行っている。尚、シスターン１、循環ポンプ
２、熱交換器３、第１循環水路４、制御手段６、水電磁
弁１１、加熱手段７、及び風呂ポンプ１０１は、浴室近
傍の屋外に設置される室外ユニットＵ内に内蔵されてい
る。

【０００８】シスターン１は、循環水として貯溜する為
に設けられた水槽であり、水電磁弁１１を配した水道管
ｓから循環用の水道水が供給される。

【０００９】循環ポンプ２は、シスターン１と熱交換器
３との間に配設され、通電されると作動し、シスターン
１内の循環水を熱交換器３に送る。

【００１０】熱交換器３は、循環水が通過し、ガスバー
ナ７１、燃焼ファン、及びガバナ比例弁等（何れも図示
せず）を有する加熱手段７により加熱される。

【００１１】熱交換器３の出口とシスターン１との間に
接続される第１循環水路４は、熱交換器３から流出する
循環水をシスターン１に戻す為、電磁開閉弁４１に、循
環水が通過する循環水通路４２１と浴槽１００（浴室に
設置されている）の風呂水１１０が通過する風呂水通路
４２２とを熱的結合してなる風呂用放熱器４２を連設し
て構成される。

【００１２】熱交換器３の出口とシスターン１との間に
接続される第２循環水路５は、熱交換器３から流出する
循環水をシスターン１に戻す為、循環水の有する熱を室
内に放出する暖房用放熱器５１（暖房を必要とする部屋
に設置される）を水路中に配設してなる。尚、この第２
循環水路５は、第１循環水路４に比べて長く、且つ循環
水通路４２１も狭いので第１循環水路４より循環水の通
過抵抗が大きい。

【００１３】制御手段６は、試運転を指示する試運転ス
イッチ（図示せず）と、低水位及び高水位を電気的に検
出する低水位センサ６１、高水位センサ６２と、試運転
時に、検出水位の関連データに基づいて水電磁弁１１、
循環ポンプ２、及び電磁開閉弁４１等を制御するマイク
ロコンピュータ（図示せず）を組み付けた制御ユニット
６０とを具備する。

【００１４】次に、マイクロコンピュータの作動を図２
とともに説明する。 ｛第１注入動作｝第２循環水路５を循環水で満たす第１
注入動作では、マイクロコンピュータは、試運転スイッ
チの投入とほぼ同時に水電磁弁１１に通電を開始する
（経過時間５００）。水道水がシスターン１内に補給さ
れ、シスターン１内の水位が徐々に増加していく。ま
た、シスターン１より低い位置に設置されている器具に
も水が流入していく。そして、シスターン１内の水位が
低水位を越える（経過時間５０１）と低水位センサ６１
がオン信号を出力し、さらに、水道水がシスターン１内
に補給される為、シスターン１内の水位が更に増加して
いく。シスターン１内の水位が高水位を越えると、高水
位センサ６２がオン信号を出力するので循環ポンプ２が
作動する（経過時間５０２）。この為、第２循環水路５
内に水が流入していき、シスターン１より高い位置に設
置されている器具にも水が流入していき、第２循環水路
５内の空気抜きが成されるとともに、シスターン１内の
水位が下がる。ここで、高水位センサ６２のオン時間の
継続時間τが所定時間（例えば２秒）に満たない時、循
環ポンプ２の作動を継続させる事により、更にシスター
ン１内の水位が低下していき、遂に低水位より低下する
と循環ポンプ２が作動停止する（経過時間５０３）。
尚、循環ポンプ２が停止しても、水電磁弁１１が開弁状
態であり、水道水の補給が継続されているので、再びシ
スターン１内の水位が上昇していく。シスターン１内の
水位が低水位を越える（経過時間５０４）と、補給水時
間計測部（図示せず）が作動を開始して高水位センサ６
２がオン信号を出力する迄の時間ｔを計測し、該計測時
間ｔに基づいて基準時間Ｔｐが設定される。シスターン
１内の水位が上昇して、水位が高水位を越えると、再び
循環ポンプ２が作動して、第２循環水路５内に水が流入
していく（経過時間５０５）。ところが、前回の空気抜
きによって、ほぼ第２循環水路５内に水が行き渡ってい
ると、継続時間τが所定時間（２秒）を越えても高水位
センサ６２はオン信号を出力し続けるので、所定時間
（２秒）が経過した時点で、水電磁弁１１を閉弁して、
シスターン１内への水道水の補給を中断する（経過時間
５０６）。そして、循環ポンプ２が作動中で、且つ水電
磁弁１１が閉弁した時から、低水位センサ６１がオン信
号を維持している時間の計測が開始される。そして、上
記維持時間が基準時間Ｔｐ以上になる（経過時間５０
７）と、１回目の空気抜き動作の終了時期と判定して、
循環ポンプ２を２０秒間、作動停止する（経過時間５０
８）。さらに、循環ポンプ２の、基準時間Ｔｐ作動- ２
０秒間停止を、図示の如く繰り返して、第２循環水路５
内の空気抜き動作が完了すると、第１注入動作が終了す
る（経過時間５０９）。 ｛第２注入動作｝第２注入動作が終了し、第１循環水路
４を循環水で満たす第２注入動作に移行すると同時に、
マイクロコンピュータは、電磁開閉弁４１及び水電磁弁
１１に通電して開弁する。そして、上記第１注入動作と
同様のシーケンスで、第１循環水路４内の空気抜き動作
を行い、第２注入動作が終了する（経過時間６００）
と、第１循環水路４及び第２循環水路５を循環水で満た
す為の試運転が終了する。

【００１５】以下、温水暖房付き風呂システムＡの利点
を述べる。 （ア）従来の温水暖房付き風呂システムであると、第２
循環水路内の空気は直ぐに置換されずに残るので、循環
ポンプを何回（数十回）も作動- 停止する必要があり、
試運転が長時間かかる。これに対して、本発明の構成を
採用した温水暖房付き風呂システムＡでは、試運転を行
う際、最初、電磁開閉弁４１を閉弁して第２循環水路５
を循環水で満たす第１注入動作を行い、第１注入動作の
完了の後、電磁開閉弁４１を開弁して第１循環水路４を
循環水で満たす第２注入動作を行っている。この為、第
１循環水路４及び第２循環水路５を短時間（数十分）で
循環水で満たす事ができ、据え付け工事が完了した後の
試運転に時間が長くかからない。 （イ）マイクロコンピュータの制御手順を変更するだけ
で良いので、温水暖房付き風呂システムＡを従来の温水
暖房付き風呂システムと同程度のコストで製造する事が
できる。

【００１６】本発明は、上記実施例以外に、次の実施態
様を含む。 ａ．上記実施例では、予め定めた注入動作が終了した時
に、第１注入動作又は第２注入動作が完了したとしてい
るが、マイクロコンピュータに判定手段を設け、第１循
環水路又は第２循環水路への循環水の注入が完了した事
を判定手段が判定した場合に、第１注入動作又は第２注
入動作が完了したとしても良い。尚、この様な構成にお
いて、第１設定時間を越えても第１注入動作が完了しな
い場合、又は第２設定時間を越えても第２注入動作が完
了しない場合は、ブザーの鳴動や報知ランプの点滅によ
り、注入異常の報知が行われる様にしても良い（請求項
２に対応）。 ｂ．第１循環水路は、複数設けられていても良く、この
場合、第１注入動作を行った後に第２注入動作を行う
際、通過抵抗の大きい順に第１循環水路の電磁開閉弁を
開弁していけば良い。尚、第１循環水路も複数設けられ
ていても良い。 ｃ．電磁開閉弁にバイパス通路等を設ける事により、閉
弁時に第２循環水路を完全に遮断しない構成であっても
良い。 ｄ．準備運転の開始を指示する試運転スイッチ、及び注
入異常を報知する報知手段は、室外ユニット側、リモコ
ン側の何方に配設されていても良く、両方に配設されて
いても良い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係る温水暖房付き風呂シス
テムの構成図である。

【図２】そのシステムに用いるマイクロコンピュータの
制御を説明するタイムチャートである。

【符号の説明】

Ａ 温水暖房付き風呂システム ｓ 水道管（水供給路） １ シスターン（貯溜水槽） ２ 循環ポンプ ３ 熱交換器 ４ 第１循環水路 ５ 第２循環水路 ６ 制御手段 ７ 加熱手段 １１ 水電磁弁 ４１ 電磁開閉弁 ４２ 風呂用放熱器 ５１ 暖房用放熱器 １００ 浴槽 １１０ 風呂水 ４２１ 循環水通路 ４２２ 風呂水通路

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 水電磁弁を配した水供給路から循環用の
   水が供給される貯溜水槽と、 加熱手段により加熱されるとともに、循環水が通過する
   熱交換器と、 循環水を前記熱交換器に送る循環ポンプと、 電磁開閉弁に、循環水が通過する循環水通路と浴槽の風
   呂水が通過する風呂水通路とを熱的結合してなる風呂用
   放熱器を接続して構成され、前記熱交換器から流出する
   循環水を前記貯溜水槽に戻す第１循環水路と、 循環水の有する熱を放出する暖房用放熱器を水路中に配
   設し、前記熱交換器から流出する循環水を前記貯溜水槽
   に戻す第２循環水路と、 前記水電磁弁、加熱手段、循環ポンプ、及び電磁開閉弁
   を制御する制御手段とを具備してなる温水暖房付き風呂
   システムにおいて、 前記第１循環水路、第２循環水路に循環水を注入する準
   備運転を行う際、前記制御手段は、前記循環ポンプに通
   電して第２循環水路を循環水で満たした後、前記電磁開
   閉弁に通電して前記第１循環水路も循環水で満たす事を
   特徴とする温水暖房付き風呂システム。
2. 【請求項２】 前記第２循環水路が循環水で満たされる
   迄の時間が第１設定時間を越える場合、又は、前記第２
   循環水路が循環水で満たされた後に第１循環水路が循環
   水で満たされる迄の時間が第２設定時間を越える場合
   は、報知手段により注入異常を報知する事を特徴とする
   請求項１記載の温水暖房付き風呂システム。