JP2542670Y2 - 自動排気弁 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は自吸式ポンプの吐出側
流路等に溜まる気体を排除する自動排気弁に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】一般的な自動排気弁としてフロート式が
あるが、フローとの浮力と重力の相反する条件が設計要
素となるため、小型のものは排気孔が小さく、急速排気
を必要とする自吸式ポンプの排気装置としては不適当で
ある。又、排気量の多いものは自吸運転の途中、気水混
合体の水位上昇により一旦フロートが排気弁座に接する
と、内圧によりフロートが上方に押しつけられて弁座よ
り離脱せず、排気作用が停止して自吸不能に陥ることが
屡々である。

【０００３】従って自吸式ポンプの吐出側に溜まった空
気を排除する方法として、一般的にはポンプと逆止弁の
間に排気管及びストップ弁を取付けて、手動操作によ
り、自吸完了まではストップ弁を開いて排気させ、揚液
開始後ストップ弁を締切り、液の流出を防ぐ方法等が採
られている。

【０００４】しかし近時、自動運転の必要性が高まり、
このため手動弁に代わりタイマーや圧力センサー制御に
よる電動弁等が多く使用されるなど、非常に高価で繁雑
な排気装置を必要とするようになって来ている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】自吸式ポンプの吐出側
流路に逆止弁が設けられ、この弁体背面に圧力（以下背
圧と呼称する）を受けた状態でポンプを起動した場合、
吸込管内の空気は自吸作用によって徐々に吐出側に集め
られるが、その空気の圧力が背圧を超えない限り逆止弁
を押し開くことはできず、空気の排出が不能となるため
自吸作用を失う。

【０００６】この考案は、ポンプの自動運転における上
記の問題を解決するため、簡素且つ安価な構造で正確な
作動により自吸式ポンプの特性を発揮させる自動排気弁
を得ることを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本考案は、上記の目的を
達成するために、急速排気を容易にし、自吸完了後は自
動的に揚液の流出を防ぐことができる自動排気弁であ
る。

【０００８】その構成を図１に示す一実施例に基づいて
説明する。作動弁体（３）は軸心部が中空構造で、空気
及び揚液の通路（ｂ，ｃ）を備え、入口部と出口部には
夫々の外周にシ−ル部材（６，７）を装着したピストン
構造の入口側ピストン部（３ａ）と出口側ピストン部
（３ｂ）が構成され、入口側直径（φＡ）は出口側直径
（φＢ）より大きい形状をなし、入口ケース（１）と出
口ケース（２）の夫々のシリンダー部（１ａ，２ａ）に
嵌装包容されている。

【０００９】また、作動弁体（３）の接液しない外周部
にねじ（３ｃ）を備え、これに螺合するばね受（４）と
出口ケース（２）との間に装着された作動圧力調整ばね
（５）によって、作動弁体（３）は常に入口方向に付勢
され、ばね受（４）の回動変位によってその付勢力の大
きさを調整できるように構成されている。

【００１０】以上総ての部材の夫々の中心線は１本の中
心線Ｘに同心する極めて単純明快な構造である。

【００１１】次に図２に示す一実施例は図１のピストン
構造をダイヤフラム構造に変化させたもので、揚液中に
スラリー等の異物を含有する場合に適用するよう構成し
たものである。

【００１２】

【作用】図１はポンプ吐出側の流路に取付けた一実施例
を示すもので、作動弁体（３）は自吸式ポンプの排気量
に対して充分大きな通路（ｂ，ｃ）を有するため、急速
排気が可能であり、また当然ゴミ詰まりも少ない。本実
施例においてポンプを起動すると、ポンプ吐出側の空気
はただちに通路（ａ，ｂ，ｃ，ｄ，ｅ）を通過して排気
が開始され、やがて揚液が始まると該通路には揚液の流
れが発生し次第に液の圧力が上昇する。

【００１３】この液の圧力は作動弁体（３）の２つのピ
ストン部（３ａ，３ｂ）の受圧面に対して同じ圧力で互
いに向かい合う方向に働くが、両ピストン部（３ａ，３
ｂ） の受圧面積の差によって出口方向に向かう推力が生
じる。排気完了後は更に液の圧力が上昇してこの出口方
向への推力が大きくなり、予め設定された圧力調整ばね
（５）による入口方向への付勢力を超えた時点で、作動
弁体（３）が出口方向に移動して、その端面（３ｄ）が
出口通路（ｅ）を閉塞することによって揚液の流出が防
がれる。

【００１４】

【実施例】図１は、作動弁体（３）の受圧部（３ａ，３
ｂ）をピストン構造とし、シール部材（６，７）にＯリ
ングを使用したもので、スラリー、異物等の混入の少な
い一般的揚液に使用する小型で最も簡単な構造を示すも
のである。

【００１５】図２は、作動弁体（３）の受圧部のシール
部材（６，７）にダイヤフラムを適用した構造を示すも
ので、シール部材の摺動がないためスラリーを含む特殊
揚液にも使用可能である。

【００１６】

【考案の効果】自吸式ポンプは、元来貴重な自吸能力を
有しながら、背圧を受けた場合の対策として適当な排気
装置がなかったゝめ、排気弁の開閉を手動操作したり、
揚液の連続放流がなされていたが、この考案の自動排気
弁を使用することによって、急速排気と確実な自動開閉
が可能になり、省力、省エネ効果を伴い自吸式ポンプの
特徴を充分発揮させることができる。尚、この自動排気
弁は、自吸式ポンプの他にも、急速排気を要する各種管
路に適用でき、同様の効果をあげるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１はこの考案の実施例において、シール部材
にＯリングを適用した場合の断面図を示す。

【図２】図２はシール部材にダイヤフラムを適用した場
合の断面図を示す。

【符号の説明】

１ 入口ケース ２ 出口ケース ３ 作動弁体 ４ ばね受 ５ 圧力調整ばね ６ シール部材 ７ シール部材 ａ，ｂ，ｃ，ｄ，ｅ 通路 ３ａ 入口側ピストン部 ３ｂ 出口側ピストン部 ３ｃ ねじ ３ｄ 出口側端面 １ａ 入口側シリンダー部 ２ａ 出口側シリンダー部 φＡ ピストン部入口側直径 φＢ ピストン部出口側直径 ３Ａ 弁体入口部材 ３Ｂ 弁体出口部材 ８ 中間ケース ９ 操作用窓

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 流路内に溜まる気体を排除する自動排気
   弁において、作動弁体（３）は、その中空軸心部に気体
   及び揚液の通路（ｂ，ｃ）、その通路入口側に入口側ピ
   ストン部（３ａ）、その通路出口側に出口側ピストン部
   （３ｂ）を有し、それらピストン部（３ａ，３ｂ）の直
   径は入口側直径（φＡ）が出口側直径（φＢ）よりも大
   きく形成され、入口ケース（１）と出口ケース（２）の
   夫々のシリンダー部に、シール部材（６，７）を介して
   嵌装包容されたこと、及び、該作動弁体（３）は、出口
   ケース（２）との間に装着された圧力調整ばね（５）に
   よって常に入口方向に付勢され、排気完了時に、通路
   （ａ，ｂ，ｃ，ｄ）を流れる揚液の該両ピストン部（３
   ａ，３ｂ）に及ぼす圧力の差によって作動弁体（３）に
   生じる出口方向の推力が、圧力調整ばね（５）の付勢力
   を超えた時点で、作動弁体（３）が出口方向に移動し
   て、該作動弁体（３）の出口側端面（３ｄ）が出口ケー
   ス（２）の出口通路（ｅ）を閉塞し、揚液の流出を防ぐ
   よう構成されたことを特徴とする自動排気弁。
2. 【請求項２】 作動弁体（３）の接液しない外周部にね
   じ（３ｃ）を備え、これに螺合するばね受（４）を外部
   から操作用窓（９）を通して回動操作することによっ
   て、該ばね受（４）と出口ケース（２）との間に装着さ
   れた圧力調整ばね（５）の付勢力を変え、作動圧力の調
   整を行うことができる構造に構成されたことを特徴とす
   る請求項１記載の自動排気弁。